特許第6896812号(P6896812)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6896812カラーフィルタ、その製造方法、およびカラーフィルタを含む画像表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6896812
(24)【登録日】2021年6月11日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】カラーフィルタ、その製造方法、およびカラーフィルタを含む画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20210621BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20210621BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
   G02B5/20 101
   G02B5/20
   G02F1/1335 505
   G02F1/13357
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-153983(P2019-153983)
(22)【出願日】2019年8月26日
(65)【公開番号】特開2020-34913(P2020-34913A)
(43)【公開日】2020年3月5日
【審査請求日】2019年8月26日
(31)【優先権主張番号】10-2018-0100518
(32)【優先日】2018年8月27日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE−CHEM CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 勳 植
(72)【発明者】
【氏名】朴 ▲スル▼ ▲ギ▼
(72)【発明者】
【氏名】李 宗 洙
【審査官】 岩井 好子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−132662(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/098570(WO,A1)
【文献】 国際公開第2017/054898(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/017468(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0255054(US,A1)
【文献】 特開2018−025802(JP,A)
【文献】 特開2019−000801(JP,A)
【文献】 特開2018−189920(JP,A)
【文献】 特開2019−179111(JP,A)
【文献】 国際公開第2020/008969(WO,A1)
【文献】 特開2016−098375(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0054898(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
G02F 1/1335
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の色で形成されたカラー層と、
量子ドット層と、
前記カラー層および量子ドット層に対する単一の隔壁と、を有し、
前記単一の隔壁は、バックライトユニット上に直接形成されることを特徴とする、カラーフィルタ。
【請求項2】
前記隔壁は、5μm〜15μmの高さを有することを特徴とする、請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項3】
前記1つ以上の色で形成されたカラー層および前記量子ドット層は、インクジェット法工程で形成される、請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項4】
前記量子ドット層は、インクジェット法で形成されるものである、請求項3に記載のカラーフィルタ。
【請求項5】
前記隔壁と隣接した量子ドット層の厚さは、前記隔壁と隣接したカラー層の厚さの100%〜600%である、請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項6】
前記量子ドット層は、散乱粒子をさらに含む、請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項7】
前記散乱粒子は、Al、SiO、ZnO、ZrO、BaTiO、TiO、Ta、Ti、ITO、IZO、ATO、ZnO−Al、Nb、SnO、およびMgOからなる群より選択される1つ以上を含む、請求項6に記載のカラーフィルタ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のカラーフィルタを製造する方法であって、
バックライトユニット上に単一の形態の隔壁を形成するステップと、
前記隔壁が形成されたバックライトユニット上に前記量子ドット層を形成するステップと、
前記量子ドット層上に1つ以上の色で形成されたカラー層を形成するステップとを含むカラーフィルタの製造方法。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のカラーフィルタを含む画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ、その製造方法およびこれを含む画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近浮上しているディスプレイ装置には、大きく、液晶表示装置(Liquid Crystal Display)、有機電界発光表示装置(Organic electroluminescence device)などがある。
【0003】
液晶表示装置は、カラー形成のためにカラーフィルタを用い、前記カラーフィルタは、それぞれの画素間の境界部分を遮光するために透明基板上に定められたパターンに形成されたブラックマトリックス層と、それぞれの画素を形成するために複数の色(通常、赤色(R)、緑色(G)、および青色(B))の3原色を定められた順序で配列した画素部とが順次に積層された構造を取っている。
【0004】
カラーフィルタは、顔料分散法、電着法、印刷法、染色法、転写法、インクジェット方式などによって3種以上の色相を透明基板上にコーティングして製造する。最近は、品質、性能の面で優れた顔料分散型の感光性樹脂を用いた顔料分散法が主流をなす。
【0005】
顔料分散法は、黒色マトリックスが備えられた透明な基質上に、着色剤をはじめとして、アルカリ可溶性樹脂、光重合単量体、光重合開始剤、エポキシ樹脂、溶剤、その他添加剤などを含む感光性樹脂組成物をコーティングし、形成しようとする形態のパターンを露光した後、非露光部位を溶剤で除去して熱硬化させる一連の過程を繰り返すことにより着色薄膜を形成する方法で、携帯電話、ノート型パソコン、モニタ、TVなどのLCDを製造するのに盛んに応用されている。
【0006】
一般的に顔料分散法を利用する時、着色剤として染料や顔料を用いるが、この場合、光源の透過効率を低下させる問題を引き起こす。透過効率の低下は、結果として画像表示装置の色再現性を低下させ、結局、高品質の画面の実現を困難にする。そこで、優れたパターン特性だけでなく、より多様な色相表現、高い色再現率とともに、高輝度および高明暗比などのさらに向上した性能が求められるにつれ、染料や顔料の代わりに自発光する量子ドットの使用が提案された。
【0007】
量子ドットをカラーフィルタの発光物質として用いる場合、発光波形を縮小することができ、顔料では実現できない高い色実現能力を有し、優れた輝度特性を有する。しかし、カラーフィルタの製造で行う量子ドットの低い安定性によって、表面に結晶などが発生して量子ドットの発光効率が大きく低下する現象が報告されている。
【0008】
これに関連し、例えば、大韓民国特許公開第2018−0030353号で光効率を高めるための量子ドットカラーフィルタおよびこれを備える表示装置を開示しており、自発光型カラーフィルタの製造工程中の光効率の低下を最小化できる技術の開発が持続的に求められている。
【0009】
一方、発光効率を向上させて消耗する電力を減少させ、高い輝度を有するディスプレイは、使用者にとって明るいイメージを得ることができ、明らかな色感を認知することができるという点から、持続的な開発が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】大韓民国公開特許公報第2018−0030353号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、量子ドットを含む画素の光効率を向上させることができ、高い開口率を確保することにより、輝度が向上して明るいイメージを得ることができ、電力消耗の面でも利点があるカラーフィルタを提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、前記カラーフィルタの製造方法およびカラーフィルタを含む画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、
1つ以上の色で形成されたカラー層と、
量子ドット層と、
前記カラー層および量子ドット層に対して単一の隔壁とを用いることを特徴とするカラーフィルタを提供する。
【0014】
また、本発明は、前記カラーフィルタを製造する方法であって、
基材上に隔壁を形成するステップと、
前記隔壁が形成された基材上に前記1つ以上の色で形成されたカラー層を形成するステップと、
前記カラー層上に前記量子ドット層を形成するステップとを含むカラーフィルタの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るカラーフィルタは、量子ドットが含まれた層とカラー層に対して単一の形態である隔壁を含むことにより、外光抑制効果に優れて光効率を向上させることができる。
【0016】
また、本発明によれば、前記カラーフィルタの製造時に工程を単純化させることが可能で生産性を向上させることができる。
【0017】
さらに、前記カラーフィルタを含むことで高い開口率を確保することにより、輝度が向上して明るいイメージを得ることができ、高品位の画質を実現することができ、電力消耗の面でも利点がある画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の例示的な実施形態に係るカラーフィルタを概略的に示す図である。
図2】本発明の例示的な実施形態に係るカラーフィルタを概略的に示す図である。
図3】本発明の比較例によるカラーフィルタを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、1つ以上の色で形成されたカラー層と、量子ドット層と、前記カラー層および量子ドット層に対して単一の形態であることを特徴とする隔壁とを含む、カラーフィルタ、その製造方法、およびこれを含む画像表示装置に関する。
【0020】
本発明の単一の形態の隔壁は、前記カラー層および量子ドット層それぞれに対する別個の隔壁ではない、前記カラー層および量子ドット層すべてに対する1つの単一の一体型隔壁であることを意味する。
【0021】
これによって、本発明は、外光抑制効果に優れてカラーフィルタの光効率を向上させるだけでなく、カラーフィルタの製造工程を単純化させて生産性を向上させることができる。また、単一の形態の隔壁によって高い開口率を確保することにより、輝度が向上して明るいイメージを得ることができ、高品位の画質を実現することができ、電力消耗の面でも利点がある画像表示装置を提供することができる。
【0022】
以下、添付した図面を参照して、本発明の好ましい実施例について詳細に説明する。本発明を説明するに先立ち、かかる公知の機能および構成に関する具体的説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにしうると判断された場合、それに関する説明は省略する。
【0023】
以下の説明と図面は、当業者が説明される装置と方法を容易に実施できるように特定の実施例を例示する。他の実施例は、構造的、論理的に異なる変形を含むことができる。個別の構成要素と機能は、明確に要求されない限り、一般的に選択可能であり、過程の順序は変化可能である。いくつかの実施例の部分と特徴は、他の実施例に含まれたり、他の実施例に代替されてもよい。
【0024】
<カラーフィルタ>
図1は、本発明の第1実施形態に係るカラーフィルタを概略的に示す図であり、図2は、本発明の第2実施形態に係るカラーフィルタを概略的に示す図である。
【0025】
図1および図2を参照すれば、本発明のカラーフィルタは、カラー層と、量子ドット層と、隔壁とを含む。
【0026】
カラー層は、赤色(Red)、緑色(Green)、青色(Blue)などのいずれか1つ以上の色を含む層で、着色剤、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、および溶剤から選択される1種以上を含む着色感光性樹脂組成物を用いて形成することができる。
【0027】
量子ドット層は、量子ドットを含む層で、前記カラー層上に配置される。
本発明の量子ドット層は、光ルミネッセンス量子ドット、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、および溶剤から選択される1種以上を含む自発光感光性樹脂組成物を用いて形成することができる。
【0028】
量子ドット(quantum dot、QD)は、ナノサイズの半導体物質である。原子が分子をなし、分子はクラスタという小さい分子の集合体を構成して、ナノ粒子が特に半導体特性を呈している時、これを量子ドットという。量子ドットは、外部からエネルギーを受けて励起状態に至ると、自主的に該当するエネルギーバンドギャップによるエネルギーを放出する。
【0029】
前記量子ドットは、光による刺激で発光可能な量子ドットであれば特に限定されず、例えば、II−VI族半導体化合物;III−V族半導体化合物;IV−VI族半導体化合物;IV族元素またはこれを含む化合物;およびこれらの組み合わせからなる群より選択可能である。これらは、単独または2種以上混合して使用することができる。
【0030】
前記II−VI族半導体化合物は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、およびこれらの混合物からなる群より選択される二元素化合物;CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、およびこれらの混合物からなる群より選択される三元素化合物;およびCdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe、およびこれらの混合物からなる群より選択される四元素化合物からなる群より選択できる。前記III−V族半導体化合物は、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb、およびこれらの混合物からなる群より選択される二元素化合物;GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP、およびこれらの混合物からなる群より選択される三元素化合物;およびGaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb、およびこれらの混合物からなる群より選択される四元素化合物からなる群より選択できる。前記IV−VI族半導体化合物は、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe、およびこれらの混合物からなる群より選択される二元素化合物;SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS,SnPbSe、SnPbTe、およびこれらの混合物からなる群より選択される三元素化合物;およびSnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe、およびこれらの混合物からなる群より選択される四元素化合物からなる群より選択できる。前記IV族元素またはこれを含む化合物は、Si、Ge、およびこれらの混合物からなる群より選択される元素化合物;およびSiC、SiGe、およびこれらの混合物からなる群より選択される二元素化合物からなる群より選択できる。
【0031】
また、前記量子ドットは、均質な(homogeneous)単一構造;コア−シェル(core−shell)、グラジエント(gradient)構造などのような二重構造;またはこれらの混合構造であってもよい。
【0032】
前記コア−シェル(core−shell)の二重構造において、それぞれのコア(core)とシェル(shell)をなす物質は、前記言及された互いに異なる半導体化合物からなってもよい。例えば、前記コアは、CdSe、CdS、ZnS、ZnSe、CdTe、CdSeTe、CdZnS、PbSe、AgInZnS、およびZnOからなる群より選択された1つ以上の物質を含むことができるが、これに限定されるものではない。前記シェルは、CdSe、ZnSe、ZnS、ZnTe、CdTe、PbS、TiO、SrSe、およびHgSeからなる群より選択された1つ以上の物質を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0033】
本発明の量子ドットは、赤色を示す量子ドット、緑色を示す量子ドット、および青色を示す量子ドットに分類される。本発明に係る量子ドット層は、前記カラー層の示す色に対応するように、赤色、緑色、青色、およびこれらの組み合わせから選択された1種の量子ドットを含むことができる。
【0034】
例えば、バックライトユニットから青色光が照射される場合、レッドカラー層に対応する位置に存在する量子ドット層に青色光が入射すると、青色光は、量子ドット層によって赤色光に変換される。青色光が緑色カラー層に対応する位置に存在する量子ドット層に入射する場合には、青色光が量子ドット層によって緑色光に変換される。すなわち、本発明の量子ドット層は、入射光をカラー層の示す色と同一の色に変換する色変換層である。
【0035】
量子ドット層は、入射光を散乱する散乱粒子を含むことができる。散乱粒子が含まれた量子ドット層は、入射した光を色変換させずに出射するが、上記の例示のように、青色光が散乱粒子を含む量子ドット層に入射する場合には、入射した青色光が色変換されずに出射される。
【0036】
前記散乱粒子としては、通常の無機材料をすべて使用可能であり、好ましくは、金属酸化物を使用することができる。
【0037】
前記金属酸化物は、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Mo、Cs、Ba、La、Hf、W、Tl、Pb、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Ti、Sb、Sn、Zr、Nb、Ce、Ta、In、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1種以上を含む金属酸化物が可能である。
【0038】
具体的には、金属酸化物として、Al、SiO、ZnO、ZrO、BaTiO、TiO、Ta、Ti、ITO、IZO、ATO、ZnO−Al、Nb、SnO、MgO、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1種以上を使用することが可能である。必要な場合、アクリレートなどの不飽和結合を有する化合物で表面処理された材質も使用可能である。
【0039】
前記量子ドットは、湿式化学工程(wet chemical process)、有機金属化学蒸着工程、または分子線エピタキシ工程によって合成される。
【0040】
前記湿式化学工程は、有機溶剤に前駆体物質を入れて粒子を成長させる方法である。結晶が成長する時、有機溶剤が自然に量子ドット結晶の表面に配位されて分散剤の役割を果たして結晶の成長を調節するので、前記有機金属化学蒸着(MOCVD、metal organic chemical vapor deposition)や分子線エピタキシ(MBE、molecular beam epitaxy)のような気相蒸着法よりも容易かつ安価な工程によりナノ粒子の成長を制御することができる。
【0041】
前記量子ドットは、従来使用していた顔料、染料などの着色剤を代替して、カラーフィルタに多様な色相表現、高い色再現率、高輝度、および高明暗比などのさらに向上した性能を提供することができるが、このような量子ドットは全方向に光を発散するので、光の活用率が高くない問題が発生する。
【0042】
本発明のカラーフィルタは、カラー層および量子ドット層、すなわち、カラー層上に量子ドット層が積層配置された多層構造の画素領域に対して単一の形態であることを特徴とする隔壁を含むことで、カラーフィルタの光効率を向上させることができる。
【0043】
つまり、前記隔壁は、基材上に多層構造の画素領域を挟んで位置する。
前記隔壁は、一例として、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、および溶剤を含む感光性樹脂組成物を用いて形成することができる。
【0044】
本発明のカラーフィルタにおいて、基材は、図1のようにカラーフィルタ自体の基板でもよいし、またはディスプレイ装置などにカラーフィルタの位置する部位でもよいもので、特に限らない。前記基板は、ガラス、シリコン(Si)、シリコン酸化物(SiO)、または高分子基板であってもよい。前記高分子基板は、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone、PES)またはポリカーボネート(polycarbonate、PC)などであってもよい。
【0045】
本発明のカラーフィルタは、基材上に隔壁が形成され、前記隔壁の間に、インクジェット法またはリソグラフィ工程によりカラー層および量子ドット層が形成されるが、カラー層上に量子ドット層を形成時、インクジェット法を利用する場合、工程を単純化させることができ、材料の損失を低減することができる。
【0046】
一部の実施例において、前記隔壁は、5〜15μmの高さを有することができる。前記隔壁の高さが5μm未満の場合には、カラー層と量子ドット層が十分な厚さを有することができず、特性が発現しない問題が発生することがあり、15μm超過の場合には、工程上、カラー層と量子ドット層の均一な塗膜形成が難しい問題が発生することがある。
【0047】
また、本発明のカラーフィルタは、量子ドット層がカラー層よりも厚く形成される。例えば、前記隔壁と隣接した量子ドット層の厚さは、前記隔壁と隣接したカラー層の厚さを基準として100〜600%さらに厚く形成される。量子ドット層の厚さが前記範囲で形成されると、カラーフィルタの光効率を向上させるのに有利である。
【0048】
一例として、本発明のカラー層は、5μm以下の厚さに形成されることが好ましく、量子ドット層の場合、5μm以上の厚さに形成されることが好ましい。
【0049】
上記のような本発明に係るカラーフィルタは、ディスプレイに適用されて、カラーを表示するように使用可能である。
【0050】
例えば、実施形態に係るカラーフィルタは、映像信号によって制御される表示部の複数の画素領域に各カラーフィルタ領域が対応して配置されて、カラーを形成することができる。前記表示部は、例えば、透過型や反射型液晶パネル、または有機発光パネルであってもよい。
【0051】
<カラーフィルタの製造方法>
以下では、本発明の一実施形態に係るカラーフィルタを製造する方法について説明する。
【0052】
前記カラーフィルタは、単一の形態の隔壁を形成するステップと、カラー層を形成するステップと、前記カラー層上に前記量子ドット層を形成するステップを経て製造される。あるいは、場合によって、単一の形態の隔壁を形成し、カラー層を形成する前に量子ドット層を形成し、カラー層を形成することができる。
【0053】
例えば、本発明の一実施形態に係るカラーフィルタの製造方法は、基材上に単一の隔壁を形成するステップと、
前記隔壁が形成された基材上に前記1つ以上の色で形成されたカラー層を形成するステップと、
前記カラー層上に前記量子ドット層を形成するステップとを含むことができる。
【0054】
あるいは、一実施形態に係るカラーフィルタの製造方法は、バックライトユニット上に単一の形態の隔壁を形成するステップと、
前記隔壁が形成されたバックライトユニット上に量子ドット層を形成するステップと、
前記量子ドット層上に1つ以上の色で形成されたカラー層を形成するステップとを含むことができる。
【0055】
前記例示的な方法により製造された本発明に係るカラーフィルタは、単一の形態の隔壁を有し、量子ドット層とカラー層を同時に有するフィルタであってもよい。
【0056】
本発明において、隔壁の製造方法は、従来の、カラーフィルタに含まれる隔壁の形成方法により製造可能である。
【0057】
例えば、本発明のカラーフィルタ用隔壁は、基板またはバックライトユニットの少なくとも一方に、着色剤、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、および溶剤を含む感光性樹脂組成物を用いて樹脂層を形成し、前記樹脂層をパターン状に露光し、現像することにより、量子ドット層とカラー層とを隔離する隔壁パターンを形成する工程により形成される。必要に応じて、ベーキング処理するなどの他の工程を追加的にさらに含んでもよい。
【0058】
このように製造された隔壁に、従来のカラーフィルタを製造する方法でカラー層と量子ドット層を形成することができるが、マスクの形態が異なるだけで、前記隔壁を形成する方法と類似している。追加的な導入方法で隔壁が形成されているため、スピンコーティングではない、インクジェット方式で隔壁にカラー層乃至量子ドット層をインクジェットする方法で形成することができるが、このようなインクジェット工程による工程は、使用する量を低減することができるという利点がある。
【0059】
<画像表示装置>
本発明は、前記カラーフィルタを含む画像表示装置を提供する。
【0060】
本発明のカラーフィルタは、通常の液晶表示装置だけでなく、電界発光表示装置、プラズマ表示装置、電界放出表示装置などの各種画像表示装置に適用が可能である。
【0061】
本発明の画像表示装置は、1つ以上の色で形成されたカラー層と、量子ドット層と、前記カラー層および量子ドット層に対して単一の形態であることを特徴とする隔壁とを含むカラーフィルタを備えることができる。この場合、画像表示装置への適用時、光源の放出光は特に限定されないが、より優れた色再現性の面から、好ましくは青色光を放出する光源を用いることができる。
【0062】
本発明の画像表示装置は、光効率に優れて高い輝度を示し、色再現性に優れ、広い視野角を有する。
【0063】
以下、本発明を実施例および比較例を用いてより詳細に説明する。しかし、下記の実施例は本発明を例示するためのものであって、本発明は下記の実施例によって限定されず、多様に修正および変更可能である。本発明の範囲は、後述する特許請求の範囲の技術的思想によって定められる。
【0064】
実施例および比較例:カラーフィルタの製造
横、縦それぞれ10センチメートルのガラス基板(イーグル2000;コーニング社製造)を中性洗剤、水、およびアルコールで順次洗浄した後、乾燥した。前記ガラス基板上に隔壁を形成するために、DONGWOO FINE−CHEM社のSY−LR1001製品をスピンコーティングした後、クリーンオーブンで、90℃、3分間プリベークした。前記プリベークした基板を常温に冷却後、石英ガラス製フォトマスクとの間隔を200μmにして、露光器(TME−150RSK;トプコン(株)製造)を用いてそれぞれ60mJ/cmの露光量(365nm基準)で光を照射した。この時の照射は、超高圧水銀灯からの放射光を用いた。この時、フォトマスクは、パターンが同一平面上に形成されたフォトマスクを用いた。従来のブラックマトリックスを形成するためのマスクは、内部に長方形の形態で遮断部(未露光部)を有し、透光部(パターン)は直線の形態が互いに横切る形態を有する。透光部のパターンの大きさは15μmであった。光照射後、非イオン系界面活性剤0.12重量%と水酸化カリウム0.04重量%を含有する水系現像液に、前記塗膜を25℃で100秒間浸漬して現像し、水洗後、オーブン中で、220℃、20分間ポストベークを実施した。得られた膜厚さは13μmであった。膜厚さは膜厚測定装置(DEKTAK 6M;Veeco社製造)を用いて測定した。
【0065】
この時、実施例1〜2および比較例1で製造したカラー層は2.0μmの厚さに塗膜を形成し、量子ドット層は11.0μmの厚さに塗膜を形成した。
【0066】
実施例1の場合には、図1のような構造で単一の形態の隔壁を用いてカラーフィルタを製造した。
【0067】
実施例2の場合には、図2のような構造で単一の形態の隔壁を用いてカラーフィルタを製造した。
【0068】
比較例1の場合には、図3のような構造で隔壁とカラー層とを形成し、隔壁と量子ドット層とを形成してカラーフィルタを製造した。このように製造されたカラーフィルタは、カラー層と量子ドット層のための隔壁がそれぞれ位置する。
【0069】
試験例:カラーフィルタの特性評価
実験例1.輝度測定
前記実施例1〜2、そして比較例1で製造されたカラーフィルタは、OLEDパネルとともに組立てられて発生する輝度を、顕微分光光度計(Olympus Corporation製品;OSP100)を用いて、ピンホール径100μmで測定した。その結果を下記表1に示した。
【0070】
実験例2.開口率評価
前記実施例1〜2、そして比較例1で製造されたカラーフィルタを、光の出る部分の面積を全体面積で計算して開口率を測定した。その結果を下記表1に示した。
【0071】
【表1】
【0072】
前記表1に示されるように、実施例1〜2のように隔壁が形成されたカラーフィルタは、カラーフィルタで測定される輝度が高いことが分かり、また、単一の形態の隔壁でカラー層と量子ドット層を形成するうえで開口率の損失を低減することができるという利点があることを確認することができる。
【0073】
これに対し、比較例1のように単一の形態の隔壁を含まないカラーフィルタの場合には、輝度特性が良くなく、実施例に比べて開口率の損失が大きいことを確認することができる。
図1
図2
図3