(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示されるように、カテーテル100は、細長いカテーテル本体112と、中間の偏向部分114と、遠位先端部分115と、カテーテル本体112の近位端に取り付けられた偏向制御ハンドル116と、偏向制御ハンドル116の近位側でカテーテル本体112に間接的に取り付けられた針注入制御ハンドル117と、を備える。
【0021】
図2A及び2Bを参照すると、カテーテル本体112は、単一の中央又は軸方向管腔118を有している。近位シャフト112は可撓性、即ち曲げ可能であるが、その長さに沿って実質的に非圧縮性である。カテーテル本体112は、任意の適当な構造のものであってよく、任意の適当な材料で作製することができる。一実施形態では、カテーテル本体112は、PEBAX(登録商標)、ポリウレタン又はナイロン製の外壁26を含む。外壁26は、カテーテル本体112の捻り剛性を増強するために、ステンレス鋼などの埋め込まれた編組メッシュを含み、その結果、偏向制御ハンドル116が回転すると、カテーテル本体112及び遠位のカテーテルの残りの部分は対応する様式で回転する。
【0022】
カテーテル本体112の外径は重要ではないが、一実施形態では、好ましくは約8フレンチ以下である。同様に、外壁26の厚さもさほど重要ではない。図示される実施形態では、外壁26の内表面は、任意の好適な材料、好ましくはポリイミドで作製することができる、強化チューブ20で裏張りされている。強化チューブ20は、編組された外壁26とともに改善された捻れ安定性を提供すると同時に、カテーテルの壁厚を最小化することで単一の管腔の直径を最大化する。強化チューブ20の外径は、外壁26の内径とほぼ同じか、又はそれよりも僅かに小さい。
【0023】
図2A、2B及び2Cに示されるように、中間偏向部分114は、例えば、第1の管腔121、第2の管腔122、第3の管腔、及び第4の管腔124と呼ばれる少なくとも4つの管腔を有する多管腔チューブ19のより短い方の部分を含み、それらの管腔のすべてではなくてもほとんどは軸から逸れている。チューブ19は、好ましくはカテーテル本体12よりも可撓性である、適切な非毒性材料で作製される。チューブ19に適した材料は、編組ポリウレタン、即ち編組のステンレス鋼などのメッシュが埋め込まれたポリウレタンである。開示される実施形態において、中間偏向部分114の外径は、カテーテル本体112の外径と同様に、約8フレンチ以下である。
【0024】
カテーテル本体112を中間偏向部分114に取り付けるための好適な手段は、
図2A及び2Bに例示されている。中間偏向部分114の近位端は、強化チューブ20の遠位端の外表面を受容する内部座ぐり穴134を備える。これらの端は接着剤などで取り付けられる。本発明により他の取り付け方法も使用できる。
【0025】
強化チューブ20は、カテーテル本体112の外壁26に対して適所に保持される。カテーテル本体112の好適な構造では、強化チューブ20の近位端に力が印加され、それによって強化チューブ20の遠位端が座ぐり穴134を確実に押圧する。圧縮下に置かれている間、速乾性接着剤、例えばSuper Glue(登録商標)によって、強化チューブ20と外壁26との間に第1の接着部が作製される。その後、遅乾性であるがより強力な接着剤、例えばポリウレタンを使用して、強化チューブ20の近位端と外壁26との間に、第2の接着部が形成される。
【0026】
図示されるカテーテルは、カテーテルを偏向させるための機構を含む。図の実施形態では、カテーテルは、プラーワイヤ17が第2の管腔122内に延びて一方向性の偏向のために適合されている。プラーワイヤの近位端は偏向制御ハンドル116に係留され、その遠位端は遠位先端部分115に係留されている。プラーワイヤは、ステンレス鋼又はニチノールなどの任意の適切な金属で作製され、好ましくはテフロン(登録商標)などでコーティングされる。このコーティングによって、プラーワイヤに潤滑性が付与される。一実施形態では、プラーワイヤの直径は、約0.015〜約0.025cm(約0.006〜約0.010インチ)の範囲である。
【0027】
偏向部分114の偏向を実施するため、プラーワイヤは、カテーテル本体112の近位端から延出し偏向部分114の近位端にて又はその付近で終端する、圧縮コイル24で取り囲まれている。圧縮コイル24は、例えばステンレス鋼など任意の適切な金属で作製される。圧縮コイル24は、可撓性(即ち、曲げ)をもたらすが圧縮には抵抗するように、緊密に巻き付けられている。圧縮コイル24の内径は、好ましくはプラーワイヤの直径よりも僅かに大きい。例えば、プラーワイヤの直径が約0.018cm(0.007インチ)のとき、圧縮コイルの内径は、好ましくは約0.020cm(0.008インチ)である。プラーワイヤ上にテフロン(登録商標)コーティングを施すことにより、このプラーワイヤが圧縮コイル24内で自在に摺動することが可能になる。圧縮コイル24の外表面は、その長さに沿って、それぞれの可撓性かつ非導電性のシースによって被覆されているため、カテーテル本体112内にある他の構成要素との間の接触が防止される。非導電性シースは、ポリイミドチューブで作製することができる。各圧縮コイル24は、その近位端において、接着剤(図示せず)によってカテーテル本体112内の強化チューブ20の近位端に係留されている。圧縮コイル24は、その遠位端で、接着部によって第2の管腔122に係留されている。偏向部分114内で、プラーワイヤ17は、例えばテフロン(登録商標)製の保護シース18を貫通して延び、偏向部分114を偏向させたときにプラーワイヤがチューブ19の壁の中に食い込むのを防ぐ。プラーワイヤ17を係留するための任意の他の好適な技術を使用し得る。更に、当該技術分野で周知のように第2のプラーワイヤを使用して二方向性の偏向をもたらしてもよい。
【0028】
偏向部分114の偏向をもたらす、カテーテル本体112に対するプラーワイヤの長手方向移動は、制御ハンドル16(
図1)の好適な操作によって達成される。単一のプラーワイヤを操作して一方向で偏向させる好適な制御ハンドルの例は、例えば、米国特許Re第34,502号、同第5,897,529号、及び同第6,575,931号に開示されており、それらの開示全体は参照により本明細書に援用する。少なくとも2つのプラーワイヤを操作して二方向で偏向させる好適な制御ハンドルは、米国特許第6,123,699号、同第6,171,277号、及び同第6,183,463号に記載されており、それらの開示は参照により本明細書に援用する。
【0029】
図3Aに示すように、カテーテル本体112を通って遠位先端部分115の中まで、灌漑アブレーション針電極アセンブリ132が延在している。アセンブリ132は、近位のチューブ13と遠位の電極針12とを備えている。近位のチューブ13は、カテーテル本体112の中央管腔118及び偏向部分114のチューブ19の管腔121を通って延在している(
図2A及び2C)。遠位の電極針12は遠位先端部分115を通って延在するが、全体としてのアセンブリ132は、カテーテル本体112及び遠位先端部分115に対して、後退され引き戻された位置(
図3B)と、延長され配備された位置(
図3A)との間で長手方向に移動可能である。
【0030】
図3A、3B及び3Cに示すように、遠位先端部分115は先端電極2及びコネクタチューブ4を含む。先端電極2は、円形断面を有する長手方向のチャネル130を有し、それを通って遠位電極針12が延在する。チャネル130は、より大きい直径を有するより短い近位部130Pと、より小さい直径を有するより長い遠位部130Dと、それらの間の接合部の環状当接部又は止め130Aと、を有する。
【0031】
先端電極2の近位端は、コネクタチューブ4によって偏向部分114のチューブ19に取り付けられており、コネクタチューブ4の近位端は、チューブ19の遠位端の切り欠きのある外表面の上に取り付けられており、その遠位端は、先端ドーム電極2の切り欠きのある近位端の上に取り付けられている。例えばPEEK(ポリイミド又はポリエーテルエーテルケトン)などの任意の好適な材料で構築されてよいチューブ4は、中央管腔4Lを有し、かつチューブ19と先端電極2との間に、それらの間に延在する構成要素が必要に応じて曲がる及び向きを変える/再整列できるように軸方向の分離間隙Gを提供する長さを有する。環電極21は、コネクタチューブ4及び先端電極2の近位端の上に取り付けられている。例えばポリウレタンなどの接着性シーラント135をコネクタチューブ4の近位端及び遠位端に適用して取り付けを固定する。
【0032】
図3Dを参照すると、先端電極2の近位面は複数の止まり穴141及び142とともに形成されている。止まり穴141は、偏向部分114の管腔124と概ね整列し、電磁波位置バイオセンサー16を受容する。止まり穴142は、偏向部分114の管腔122と概ね軸方向に整列し、例えば、止まり穴142に半田付けされるないしは別の方法で埋め込まれる、プラーワイヤの遠位端に圧着されるステンレス鋼ハイポストックのようなアンカー17Aを含むプラーワイヤ17の遠位端を受容する。止まり穴142は、偏向部分114の管腔123及びカテーテル本体112の中央管腔118から延びるリードワイヤ15Tの遠位端もまた受容する。先端電極2に提供されるリードワイヤ15Tは、管腔123と止まり穴142との間で軸方向の間隙Gにおいて必要に応じて容易に曲がる。
【0033】
先端ドーム電極2及び環電極21は、プラチナ、イリジウム、パラジウム、又はそれらの組み合わせなどの任意の好適な材料で構築され得る。リードワイヤ15Nは針電極12に提供され、リードワイヤ15Rは環電極21に提供される。リードワイヤ15Rは、偏向制御ハンドル116からカテーテル本体112の管腔118及び偏向部分114の管腔123を通って軸方向の間隙G内まで延在し、そこでその遠位端はコネクタチューブ4の側壁に形成された開口部3(
図3B)を通じて環電極21に接続される。カテーテルにおけるリードワイヤ15Nの経路を以下に更に説明する。
【0034】
針電極アセンブリ132は、組織を切除すると同時に生理食塩水又は他の流体を注入して、アブレーションエネルギーを伝導し、針電極を冷却するために使用される。灌流組織中の生理食塩水は、アブレーション電極の有効サイズを増大させる。針電極アセンブリ132は、更に後述するように、針制御ハンドル17(
図1)の操作によって延長可能及び後退可能である。
図3Aは、組織を切除する、及び/又は組織からの電位図をモニターする際のような、カテーテル本体に対して延長位置にある針電極アセンブリ132を示す。針電極12は、特に、カテーテルを患者の身体の脈管系を通して前進させている間、及びカテーテルが身体から除去される間、その遠位端に対する損傷及び/又は患者に対する外傷を回避するために、
図3Bに示すように、チャネル130内へと戻される又は後退されてもよい。
【0035】
図3Aに示すように、針電極アセンブリ132は、注入制御ハンドル117、偏向制御ハンドル116、カテーテル本体112、及び偏向部分114を貫通して、遠位先端部分115内まで延在する。開示される実施形態において、近位のチューブ13は、針制御ハンドル117から、偏向制御ハンドル16を通じ、カテーテル本体112の管腔118を通って、偏向部分114の第1の管腔131内まで延在する。管腔13Lを有する細長い可撓性の近位のチューブ13は、管腔12Lを有する中空の、概して剛性の導電性チューブである針電極12に接続される。針電極12(本明細書においては「電極針」と互換的に用いられる)が概して剛性であることは、アブレーション中にその有効性を増すためにそれが組織を穿刺することを可能にする。一実施形態では、針電極12は、ニチノール又はステンレス鋼で形成され、図に示されるように、組織を穿孔する能力を強化するために、その遠位先端に斜角を付けた縁部28を有して形成される。近位のチューブ13は、PEEKで作られてもよいが、プラスチック又は金属など、他の任意の好適な生体適合性材料で作られてもよい。
【0036】
例示の実施形態では、近位のチューブ13及び針電極12は接合されており、それにより針電極12の近位端は近位のチューブ13の管腔13L内にその遠位端で受容される。そのようにして、近位のチューブ13の管腔13Lは針電極12の管腔12Lと連通し直接に接続される。したがって、管腔13L内の流体は、矢印Aが示すように、管腔12L内を通って針電極12の遠位端でカテーテルから出ることができる。以下に更に説明するように、矢印Aによって示す流体は、近位のチューブ13の管腔13L及び針電極12の管腔12Lによって部分的に画定されている第1の隔離された独立の専用流体経路に沿って流れる。第1の流体経路は、注入制御ハンドル117から偏向制御ハンドル116を通り、カテーテル本体112、偏向部分114、及び針電極12の管腔を通って、延びている。
【0037】
図3A、3B及び3Eに示すように、針電極12に提供されたリードワイヤ15Nは、近位のチューブ13を通って延在する。近位のチューブ13の遠位端で、リードワイヤ15Nの遠位部は針電極12の近位部の周囲にコイル状に巻かれ、半田付けされ、このコイル状のリードワイヤ及び針電極の近位部は、好適な、例えばポリウレタン135のような材料によって近位のチューブ13の遠位端に埋め込まれ、係留される。近位のチューブ13の内径は、近位部及びそれを囲むシーラント135の周囲のリードワイヤ15Nの巻線に対応する寸法である。巻線及びシーラントが一緒になって流体漏れのないシールされた接合部を形成し、電極針12を近位のチューブ13にしっかりと係留する。したがって、矢印Aによって示されている流体のすべては、針電極アセンブリ132の全長に沿ってその内部に収容されており、この通路は、電極針12の延長及び後退の際の、カテーテルに対する針電極アセンブリ132のあらゆる長手方向の移動の前、及び移動中、並びに後に開いており、利用可能である。
【0038】
本発明の別の特徴によると、遠位先端部分115は、チャネル130の内部で軸に合わせて針電極12を位置づけて中央合わせするために、チャネル130に固定されている針中央合わせインサート90を含むが、以下にその重要性を更に説明する。
図4A(1)及び4A(2)に示すように、インサート90は、外径ODを画定する概ね細長い円筒形の本体を有する。インサート90の外表面には、本体の近位端により近い、インサートの長手方向軸に沿った所定の位置に、隆起形状又は環92が設けられている。環92は、インサート90が先端電極から滑り落ちて離脱するのを防ぐための安全策として、先端電極2のチャネル130の止め130A(
図3A)に当接するように適合され、構成される。
【0039】
インサート90の円筒形の本体は、内径IDを画定する中央合わせされた軸上の針通路91を有する。針電極12は針通路91内を通って延在する。チャネル130の内部に接着されたインサート90の外径OD(チャネル130の直径により調整される)は、針電極12と先端電極2(特に、後者の遠位面2D)との間に望ましい径方向の距離すなわち分離R(
図3A)を提供して、針電極12が通電されたときの(先端ドーム電極の外側に遠位方向に延在する)針電極12の露出された部分の近位縁と遠位面2Dとの間の「アーク放電」を減らす又は最小限にするという利点を提供する。したがって、インサート90は、PEEKなどの非導電性の材料で作製される。
【0040】
本発明の特徴によると、針通路91を裏張りしているインサート90の内表面の断面は、針通路91に中央合わせされ軸上に置かれた針電極12を支持するように少なくとも一部分の直径がより小さくなっており、インサートの内表面と針電極12の外表面との間で針通路91を通る少なくとも1つの長手方向の流体経路を提供するように少なくとも一部分の直径がより大きくなっている。開示される実施形態では、
図4A(1)及び4A(2)に示すように、インサート90の内表面は、より大きい直径D1とより小さい直径D2とがインサートの長手方向の軸の周囲で交互になって形成している平らでない、すなわち起伏したパターン(
図4B)を有しており、インサート90の遠位端と近位端との間の全長にわたって長手方向に延在する山P(軸方向の隆起)と谷V(軸方向の溝)とを形成している。山Pは、針電極12をチャネル130内で中央合わせして軸上に維持するために針電極12に均等かつ同時に周囲方向の支持を提供するように、径方向に均一の寸法である。谷Vは、矢印B(
図3B及び6A)によって示すように、針電極12の外表面に沿ってチャネル130内に遠位方向に流れて、例えば生理食塩水のような流体が、針電極12の外表面を取り囲む概ね周囲方向の「生理食塩水のスリーブ」を形成し、遠位面2Dで先端ドーム電極2から流れ出ることを可能にし、この生理食塩水のスリーブは、露出されている針電極12(
図10)の近位縁Eでの凝固の形成を最小限にするという利点を有する。開示される実施形態では、インサート90は、径方向に均等に分布された複数の山と谷(6つの山と6つの谷)を有して形成されている。必要に応じて又は適宜、複数の山と谷の数を例えばそれぞれ約3つから9つの間の範囲で変えてもよいことを理解されたい。更に、インサート90の近位側の面は、針アセンブリ132が遠位方向に完全に延長され、近位のチューブ13の遠位端がインサート90の近位面に当接したときに流体が管腔13Lから針通路91内に流れ続けることができるように、少なくとも1つの谷Vとインサート90の外表面との間を連通させる径方向に延在する少なくとも1つの窪み又は溝29(
図4A(2)及び4C)を有するように形成される。
【0041】
インサート90の内表面と針電極12の外表面との間の通路91に沿って少なくとも1つの谷Vに流体を供給するために、カテーテル100は、近位のチューブ13を概ねその全長に沿って注入制御ハンドル117と針電極12との間で取り囲みながらもその内表面と近位のチューブの外表面との間に環状の断面を伴う隙間を残すような寸法を有する、管腔22Lを有する第1の細長い流体漏れのないガイドチューブ22(
図2C、3A及び3B)を含む。ガイドチューブ22の側壁は、注入制御ハンドル117、偏向制御ハンドル116、カテーテル本体112、及び偏向部分114の近位のチューブ13の長さに沿って流体漏れのないシールを提供する。流体漏れのないチューブ22の遠位端はインサート90の近位端を超えて装着され、インサート90の環92の近位面と当接する。したがって、インサート90が先端電極2に貼付された状態で、ガイドチューブ22はカテーテルに対して長手方向に移動することができず、針電極アセンブリ132とともに摺動しない。すなわち、ガイドチューブ22は、針電極アセンブリ132がガイドチューブ22の管腔22Lを通って延長及び後退する際にカテーテルに対して固定されたままである。例えばポリウレタンなどの接着性シーラント135を適用して、インサート90の環92にガイドチューブ22の遠位端を封止し、それが、ガイドチューブ22をその遠位端でインサート90及び先端電極2に対して係止する。
【0042】
近位のチューブ13を取り囲んでいるガイドチューブ22は、偏向部分114のチューブ19の管腔121(
図2A及び
図2C)及びカテーテル本体112の管腔118を貫通して延在する。ガイドチューブ22は、更に、偏向制御ハンドル116を通って延び、注入制御ハンドル117においてその近位端で終端する。注入制御ハンドル117において、ガイドチューブ22は、針制御ハンドル117内でガイドチューブ22を取り囲んでいる、例えばポリアミドナイロン又はZYTEL製の、より短い保護チューブ25によって取り囲まれる。保護チューブ25はガイドチューブ22に接着されているので、保護チューブ25は制御ハンドル117に対しても固定されている。したがって、矢印Bによって示した流体は、ガイドチューブ22と近位のチューブ13との間の管腔22Lの環状の隙間、インサート90の近位面の溝29、及びインサート90の谷Vによって画定される、第2の隔離した独立の専用の第2の流体経路に沿って流れる(
図3B)。第2の流体経路は、注入制御ハンドル117から偏向制御ハンドル116を通り、カテーテル本体112、偏向部分114、及び遠位先端電極2を通って延在している。したがって、矢印Bが示す流体は、ガイドチューブ22及びインサート90の内部に収容され、上述したように、この通路は、針電極アセンブリ132の長手方向の移動によっても、あるいは針電極アセンブリ132に画定される矢印Aが示す第1の通路によっても、概ね影響されず、邪魔されない。本発明の特徴にしたがって、第1及び第2の通路のそれぞれは互いに概ね分離されており、独立している。
【0043】
カテーテルに対するプラーワイヤ17の長手方向の動きは、偏向部分114の撓みを引き起こし、この動きは、制御ハンドル16の適切な操作によって行われる。
図5に示すように、制御ハンドル16の遠位端は胴体53を備え、親指コントロール56を有するピストン54は胴体53内で長手方向に摺動し、プラーワイヤ17を操作する。カテーテル本体112の近位端は、収縮性スリーブ58によってピストン54に接続されている。
【0044】
プラーワイヤ17、リードワイヤ15T、15N、及び15R、電磁センサーケーブル16C、並びに近位のチューブ13などの構成要素は、それらを貫通する構成要素とともに、ピストン54を通って延在する。プラーワイヤ17は、ピストン54の近位に位置するアンカーピン57に留められる。リードワイヤ40及び電磁センサーケーブル74は、制御ハンドル16の側部の近くに位置する第1のトンネル58を通って延在する。電磁センサーケーブル16Cは、制御ハンドル116の近位端の近くで回路基板64に接続する。ワイヤ類73は、電気コネクタ48を介して回路基板64をコンピュータ及びイメージングモニター(図示せず)に接続する。
【0045】
針アセンブリ132の近位のチューブ13は、偏向制御ハンドル116の近位端でガイドチューブ66を通って延在し、その内部で長手方向に移動することができる。ガイドチューブ66は、例えばポリウレタンのような任意の好適な材料で作製され、例えば接着部によって第1のトンネル58内でピストン54に係留される。この設計は、プラーワイヤ17を操作するようにピストン54が調節されたときに針アセンブリ132が破壊されないように、制御ハンドル116内での針アセンブリ132の長手方向の移動を可能にする。ピストン54の内部で、電磁センサーケーブル16C及びリードワイヤ類15はトランスファーチューブを通過し、プラーワイヤ17は別のトランスファーチューブを通過して、これらの構成要素が第1のトンネル58内の接着部を通って長手方向に移動するのを可能にする。
【0046】
針アセンブリ132の近位のチューブ13及びガイドチューブ66は、制御ハンドル116の側面の近くに位置する第2のトンネル60を通って延在する。針アセンブリ132が不要に曲がるのを避けるために、ピストン54の近位端と第2のトンネル60の遠位端との間に空間62が設けられる。一実施形態では、空間62の長さは、少なくとも1.27cm(0.50インチ)、より好ましくは約1.52cm〜約2.29cm(約0.60インチ〜約0.90インチ)である。
【0047】
制御ハンドル116の近位端において、近位のチューブ13及びガイドチューブ66は、例えばテフロン(登録商標)製のより大きい第2のプラスチックガイドチューブ68を通って延在し、これは、ガイドチューブ66及び近位のチューブ13の長手方向の摺動を可能にする。第2のガイドチューブ68は接着剤又は同等物によって制御ハンドル116の内側に係留され、制御ハンドル116を超えて近位方向に延在する。第2のガイドチューブ68は、ガイドチューブ66及び近位のチューブ13が制御ハンドル116から出る際に、回路基板64との接触及び鋭角な屈折をしないように、近位のチューブ13を保護する。好適な偏向制御ハンドルは、米国特許第6623474号に記載されており、その全ての開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0048】
先端電極2の遠位端の外への針アセンブリ132の延長及び格納は、針注入制御ハンドル117によって行われる。
図6に示すように、針制御ハンドル117は、近位端及び遠位端を有する概ね円筒形の外側本体80と、それを通って途中まで延在するピストンチャンバ82と、それを通って途中まで延在する通路83と、を含む。ピストンチャンバ82は、ハンドル部の近位端から本体80内の途中まで延在するが、本体の遠位端の外までは延在しない。通路83は、ピストンチャンバ82よりも小さい直径を有し、ピストンチャンバの遠位端から外側本体80の遠位端まで延在する。
【0049】
近位端及び遠位端を有するピストン84は、ピストンチャンバ82内に摺動可能に装着される。ルアーコネクタ86は、ピストン84の近位端に装着される。ルアーコネクタ86は、例えばステンレス鋼のような剛性材料で作製される。以下に更に詳細に説明するように、ピストン84は、軸方向通路85を有し、それを通って針アセンブリ132の近位のチューブ13が延在する。圧縮ばね88は、ピストン84の遠位端と外側本体80との間でピストンチャンバ82内に装着される。
【0050】
図6及び7に示すように、針アセンブリ132の近位のチューブ13の近位端は、ルアーコネクタ86の剛性チューブ部87の管腔87Lに受容される。針アセンブリ132の近位のチューブ13の近位端は、ルアーコネクタ86の剛性チューブ部87の重なり合った内表面に接着ないしは別の方法で貼付される。ルアーコネクタ86は、ピストンとともに長手方向に移動するように、ピストン84内にねじ止めされる。この配置は、ルアーコネクタ86とピストン84の長手方向の移動を近位のチューブ13に、したがって針アセンブリ132に連結することになるので、ピストン84の長手方向の移動は、針アセンブリ132を延長及び格納する。近位のチューブ13及び剛性チューブ部87は、ピストン84の軸方向の通路85を通って延在する。軸方向の通路85の内部で、好ましくはステンレス鋼で作製された剛性チューブ93は、剛性チューブ部87の遠位端と同軸の近位端を有する。剛性チューブ93は、針制御ハンドル117に固定される。ガイドチューブ22に接着されている、より短いチューブ25もまた、剛性チューブ93に接着される。ルアーコネクタ86の剛性チューブ部87は、(剛性チューブ部87に貼付されている針電極アセンブリ132の近位のチューブ13とともに)剛性チューブ93からテレスコープ式に出入りする。保護カバー又は収縮性スリーブ97を剛性チューブ93の上に適用して、緩くコイル状に巻かれているチューブ32を剛性チューブ93に固定する。
【0051】
使用の際、ピストン84に力が加えられて、ピストンが外側本体80に対して遠位方向に移動し、それによって圧縮ばね88が圧縮される。この移動は、それに対応して針アセンブリ132の近位のチューブ13を外側本体80、チューブ22、25、93及び97、並びにカテーテル本体112に対して遠位方向に移動させ、それにより、針電極12の遠位端は先端電極2の遠位端の外に出る(
図3A)。その力がピストンから取り除かれると、圧縮ばね88がピストン84を近位方向にその元の位置に押して、針電極12の遠位端を先端電極2の中に後退させる(
図3B)。ピストン84が遠位移動すると、剛性チューブ部87が剛性チューブ91の中に遠位方向に移動して、針アセンブリ132を複合チューブ22と整列させる。
【0052】
ピストン84は、その外縁の一部分に沿って延在する長手方向スロット101を更に備える。止めねじ102は、外側本体80を通って長手方向のスロット100の中まで延在する。この設計によって、ピストンをピストンチャンバ82の外へ近位方向に摺動させることができる距離が制限される。針電極12の遠位端が後退位置にあるとき、典型的には、止めねじ102は長手方向スロット100の遠位端又はその付近にある。
【0053】
ピストン84の近位端は、ねじ山付きの外表面104を有する。円形の親指コントロール106は、ピストンの近位端に装着される。親指コントロール106は、ピストンのねじ山付きの外表面104と相互作用するねじ山付きの内表面108を有する。親指コントロール106は、ピストン84をピストンチャンバ82内へと押し込むことができる距離、したがって、針電極12をカテーテルの遠位端の外へと延在させることができる距離を制限する、止めとして作用する。親指コントロール106及びピストン84のねじ山付きの表面によって、親指コントロールを外側本体80の近位端に近付くように、又はそこから遠ざかるように移動させることが可能になるので、針電極12の延長距離を例えば医師などの使用者が制御することができる。親指コントロール106は、ステンレス鋼球75がばね76及び止めねじ77によって所定の位置に保持されている戻り止め機構もまた組み込んでおり、これにより、親指コントロール106が外側本体80の近位端で金属エンドキャップ78を越えて前進したときに、球75を金属エンドキャップ78の垂直段78V(
図6)を超えさせるように強制する付加的な力が用いられ、親指コントロール106を金属エンドキャップ78から解放するまで、球75は親指コントロール106を前進した位置に保持する。医師は戻り止め機構を使用して、アブレーションの期間中、針電極アセンブリ132を延長位置で係止することができる。当業者には認識されるように、親指コントロール106は、ピストン84がピストンチャンバ82内へと延在する距離を制限するための止めとして作用することができる他の任意の機構に置き換えることができ、止めがピストンに対して調節可能であることは必須ではないが好ましい。
【0054】
少なくとも偏向制御ハンドル116と針制御ハンドル117との間には、近位のチューブ13、リードワイヤ15N、及び非導電性の保護チューブ11内の熱電対ワイヤ9などの構成要素が延在している。ガイドチューブ66で被覆されているこれらの構成要素は、例えば編組シャフトなどシャフト70を通過し、シャフトの近位端は、ピストンチャンバ82と連通する針制御ハンドル117の遠位端で遠位通路72に貼付されている、例えばステンレス鋼チューブのような剛性チューブ71に受容される。収縮性スリーブ74は、剛性チューブ71及びシャフト70に部分的に装着されて、ひずみの解放をもたらす。
【0055】
熱電対ワイヤ9は、先端電極2の温度を感知するために設けられる。ワイヤ9は、ポリイミド製であり得るチューブ11とともに、針電極アセンブリ132を通って延在する。開示する実施形態では、ワイヤ9及びチューブ11は、近位のチューブ13の管腔13L及び針電極12の管腔12Lを通って延在する。ワイヤ9及びチューブ11の遠位端は、針電極12の遠位端に隣接する。管腔12Lを通って延在するチューブ11の部分は、接着性シーラント135によって管腔12Lの内表面に貼付され得る。
【0056】
図9に示すように、カテーテルは、針制御ハンドル117の近位端から延びるルアーハブ41及び42を含む。各ルアーハブには、ルアーコネクタ86を介して針制御ハンドル117の近位端に入るそれぞれ対応する細長い可撓性のルアーチューブ43及び44が接続されている。ルアーチューブ43及び44は、例えばポリイミドのような任意の好適な材料で作製され得る。ルアー41及び42とコネクタルアー86との間に延在する各ルアーチューブ43及び44の部分は、それぞれ対応する保護性の壁の厚い外側シャフト49が取り囲んでおり、その近位端及び遠位端は、例えばポリウレタン135のような接着性シーラントによって、それぞれ対応するルアー41及び42に、並びにルアーコネクタ86に封着されている。例えばポリイミドのような任意の好適な材料で構築された、それぞれ対応する、より短いチューブ46は、外側シャフト49の内面を裏張りして、ルアーコネクタ86の近位端で、又はその近くで、各ルアーチューブ43及び44の遠位部を取り囲むことができる。例えば収縮性スリーブ47のような目じるしを、選択したチューブ43又は44に装着して、1つのチューブを別のチューブと区別してもよい。
【0057】
図6及び6Aに示すように、ピストン84の軸方向通路85の内部の注入制御ハンドル117で、ルアーチューブ43及び44は両方ともルアーコネクタ86の遠位のチューブ部87を通って、針電極アセンブリ132の近位のチューブ13の近位端13P内まで延在する。
図6の例示の実施形態では、近位のチューブ13の近位端は、剛性チューブ93の近位端93P及び97Pの近位側であり、一方、保護チューブ97は、チューブ22及び25の近位端の近位側である。
【0058】
ルアーチューブ43及び44は、それぞれ対応するルアーハブ41及び42内のそれらの近位端から、カテーテルの長手方向軸に沿って既定の位置で、それらの遠位端まで延びている。開示される実施形態では、この既定の位置は、
図6Aに示すように針制御ハンドル117内であり、ルアーチューブ43及び44は、それらの遠位端で終端し、第1及び第2の流体経路(矢印A及びB)は、カテーテルに沿ってそれらの相対的な内側及び外側の通路に分岐する。第1及び第2の流体経路は、所定の場所で管腔13Lに提供される、例えばポリウレタン135Sのようなシーラントによって互いから隔離されている。
図6B、6C、6D及び6Eに示すように、ポリウレタンシーラント135Sには、チューブ43及び44とそれらの遠位端を介して連通する通路が貫通して形成されている。シーラント135Sはまた、少なくとも、針電極12のためのリードワイヤ15Nの周囲に、及び熱電対ワイヤ9を取り囲む、例えばポリイミドチューブのようなチューブ11の周囲に形成される。
【0059】
第2の流体経路(矢印B)に関しては、ルアーチューブ44を通って延在する第2の流体経路が近位のチューブ13の側壁を横切ってガイドチューブ22と近位のチューブ13の外表面との間の管腔22Lに進入するように、切り欠き開口部45が近位のチューブ13の側壁に形成される。対照的に、第1の流体経路(矢印A)は、チューブ43の管腔を通って延在し、近位のチューブ13の同軸管腔13L内に軸方向に続く。
【0060】
リードワイヤ15N及び熱電対ワイヤ9は(それらの保護チューブ11内で)近位のチューブ13を通って延在しているので、それらは、偏向制御ハンドル116を近位方向に通過し、注入制御ハンドル117内まで延在する。しかしながら、針制御ハンドル117の内部空間は制限されており、ルアーコネクタ86により占有されているので、リードワイヤ15N、熱電対ワイヤ9、及びチューブ11は、注入制御ハンドル117を通って(遠位方向に)戻って偏向制御ハンドル116内に延びる経路をとり、そこでそれらは電気コネクタ48に接続される。
図6に示し、かつ
図8に更に詳細に示すように、これらの構成要素は近位のチューブ13の近位端から出て、そこからルアーコネクタ86の剛性チューブ部分87を通って続き、次いで剛性チューブ部87の側壁に形成された開口部30を通って、その近位端に向かって出て、チューブ部分87及び保護チューブ97の外表面の周囲に遠位方向にコイル状に巻かれた可撓性の保護チューブ32の近位端に入り、針制御ハンドル117の遠位端に向かう。保護チューブ32は遠位通路72(
図6)及びシャフト70を遠位方向に通過し、ガイドチューブ22の側に沿ってその外側に残る。偏向制御ハンドル116の内部で、リードワイヤ15N及び(先端電極2のリードワイヤ15T及び環電極のリードワイヤ15Rとともに)熱電対ワイヤ9は、偏向制御ハンドル116の近位端で電気コネクタ48に接続される。針電極アセンブリ132が延長及び後退する際、針制御ハンドル117内のリードワイヤ15N及び熱電対ワイヤ9のコイル状の部分は、破壊せずに近位のチューブ13の移動に対応する一方で、空間が制限されているハンドル117の近位端をルアーコネクタ86のために残すことができるという利点を有する。
【0061】
第2の流体経路に沿った分岐又は切り欠き開口部45の場所は、気泡を閉じ込めるリスクを最小限にするように、近位の棒ピストン部材23のすぐ遠位になるように選択的に配置される。開示の実施形態では、棒ピストン部材23は、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)で作られた収縮性スリーブであり、ガイドチューブ22は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の内側層を有する複合材料で作られる。棒ピストン部材23は、近位のチューブ13の外表面の一部の、例えば隆起された環として形成されてもよい。そのようにして、棒ピストン部材23は、針アセンブリ132の周囲のガイドチューブ22によって画定された第2の流体経路(矢印B)のための流体漏れのない近位端を形成し、その一方で、近位のチューブ13がガイドチューブ22に対して容易にかつ滑らかに摺動することを可能にする。
図6Aに示すように、棒ピストン部材23を近位のチューブ13上にしっかりと固定するために、ポリウレタンのような接着性シーラントを、135P及び135Dにて、近位側及び遠位側に適用する。
【0062】
図3Aに示すように、カテーテルはバイオセンサー16を含み、このバイオセンサーは、例えば、患者の身体内でのカテーテルの遠位端の正確な場所を監視するために、先端電極2の座標を決定するために用いられる。バイオセンサー16はケーブル16Cに接続されており、ケーブル16Cは、偏向部分114のチューブ19の管腔124及びカテーテル本体112の中央管腔118を通って偏向制御ハンドル16内に延在し、そこでケーブル16Cのワイヤは回路基板64に接続される。回路基板は、センサー16から受信した信号を増幅し、それをコンピュータに理解可能な形式でコンピュータに伝送する。センサー16は、米国特許第5,391,199号に記載されているような磁場応答型コイル、又は国際特許公開第WO 96/05758号に記載されているような複数のこのようなコイルを含み得る。複数のコイルにより、位置センサー77の六次元座標(即ち、3つの位置座標及び3つの配向座標)を判定することが可能になる。あるいは、電気、磁気、又は音響センサーなど、当該分野において既知の任意の好適な位置センサーが使用されてもよい。本発明の用途に好適な位置センサは、例えば、開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,558,091号、同第5,443,489号、同第5,480,422号、同第5,546,951号、及び同第5,568,809号、国際特許公開第WO 95/02995号、同第WO 97/24983号、及び同第WO 98/29033号、並びに米国特許出願第09/882,125号(2001年6月15日出願の表題「Position Sensor Having Core with High Permeability Material」)にも説明されている。
【0063】
本発明のカテーテルを使用するために、電気生理学医は、当該分野において一般に知られているように、ガイドシース及び拡張器を患者の体内に導入してもよい。かかる使用に適合されたカテーテルのために、ガイドワイヤも導入することができる。ガイドシースを通して、カテーテル本体112全体が患者の脈管系を通り抜けて所望の場所に至ることができる。ガイドシースの遠位端が所望の場所に達したら、カテーテルを進めて、偏向部分114を露出することができる。制御ハンドル116の親指コントロール56を必要に応じて操作して、偏向可能な部分114及び遠位先端部分115を撓めて位置づけることができる。遠位先端電極2を組織と接触させて配置された後、組織の電気信号を、先端電極2、環電極21、及び針電極12の任意の組み合わせによって検知することができ、例えばその領域をマッピングするために、リードワイヤ15T、15R、及び15Nを介して偏向制御ハンドル116内の電気コネクタ48に信号を伝送することができる。組織を切除するために、リードワイヤ15T及び/又は15Nを介して先端電極2及び/又は針電極12にRFエネルギーを付加してもよい。これに関して、カテーテルに沿って進み先端電極2の遠位端でカテーテルを出る第2の流体経路(矢印B)を介して流体を導入して、針電極12の近位の露出区域と先端電極2の遠位面との間の区域からの血液を冷却すること及び移動させることができる。
【0064】
加えて、注入制御ハンドル117の親指コントロール106を遠位方向に押圧して、針電極アセンブリ132を延長させ、針電極12を配備して、組織を穿刺することができる。RFエネルギーをリードワイヤ15Nに付加して、針55を通電させて、表面より下の組織を切除することができる。その際、流体を導入して針電極12を冷却することができる。更に、流体は、灌漑用の生理食塩水又は診断若しくは治療を目的とした他のタイプの流体を含むことができる。球75が金属エンドキャップ78の垂直の段78Vの遠位に移動されたときに、親指コントロール106は、前進した位置で、親指コントロール106上の戻り止め機構によって係止され得る。
【0065】
金属エンドキャップ78の近位に球を押すために十分な力の付加によって親指コントロール106が解放されると、針電極12は先端電極2の中に後退し、カテーテルの遠位先端部分115が移動し、患者の身体内に安全に移動され得る。
【0066】
上記の説明文は、現時点における本発明の好ましい実施形態に関連して提示されたものである。本発明が関係する分野及び技術における当業者であれば、本発明の原理、趣旨及び範囲を著しく逸脱することなく、説明された構造の改変及び変更が実施することができることを理解するであろう。当業者に理解されるように、図面は必ずしも一定の縮尺ではない。また、必要に応じて、又は適切であれば、異なる実施形態の異なる特徴が組み合わされてもよい。更に、本明細書に記載したカテーテルは、マイクロ波、レーザー、RF、及び/又は寒剤などの、様々なエネルギー形態を適用するように適合されてもよい。したがって、上記の説明は、説明され添付図面に示される厳密な構造のみに関係するものとして読み取るべきではなく、むしろ、最も完全で公正な範囲を有するであろう以下の特許請求の範囲と符合し、かつ特許請求の範囲を支持するものとして読み取るべきである。
【0067】
〔実施の態様〕
(1) カテーテルであって、
細長いカテーテル本体と、
遠位端を有する先端電極を有する遠位先端部分と、
少なくとも前記細長いカテーテル本体及び前記先端電極を通って延在する針電極アセンブリであって、延長位置及び後退位置へと、前記カテーテル本体及び遠位先端部分に対して長手方向に移動可能である、針電極アセンブリと、
前記針電極アセンブリを前記延長位置及び前記後退位置に移動させるように構成された、前記カテーテル本体の近位側の注入制御ハンドルと、
少なくとも前記カテーテル本体を通って延在し、前記先端電極の遠位端に遠位出口を有する、第1の流体経路と、
少なくとも前記カテーテル本体を通って延在し、前記針電極アセンブリの遠位端に遠位出口を有する、第2の流体経路と、
を備えており、
前記第1の流体経路及び第2の流体経路が互いに隔離されている、カテーテル。
(2) 前記針電極アセンブリが、前記カテーテル本体を通って延びる細長い近位のチューブと、前記先端電極を通って延びる遠位の針電極と、を有する、実施態様1に記載のカテーテル。
(3) 針中心合わせインサートを更に有し、前記先端電極は前記針中心合わせインサートを受容する長手方向の通路を有し、前記針中心合わせインサートは針通路を有し、それを通って針電極が延在する、実施態様1に記載のカテーテル。
(4) 前記針通路を裏張りする前記インサートの内表面が、より小さい直径とより大きい直径とを有する断面を有する、実施態様3に記載のカテーテル。
(5) 前記より小さい直径を有する部分が前記針通路において前記針電極を支える、実施態様4に記載のカテーテル。
【0068】
(6) 前記より大きい直径を有する部分が、前記インサートの内表面と前記針電極の外表面との間で前記針通路を通る軸方向の溝を提供する、実施態様4に記載のカテーテル。
(7) 前記第1の流体経路が前記針電極アセンブリを通過する、実施態様1に記載のカテーテル。
(8) 前記第2の流体経路が、前記針電極アセンブリを通って延在する近位部と、前記針電極アセンブリと前記針電極アセンブリを取り囲むガイドチューブとの間に延在する遠位部と、前記近位部と前記遠位部とを接続し、前記針電極アセンブリの側壁を横切る中間部と、を有する、実施態様1に記載のカテーテル。
(9) 前記中間部が、予め成形されたポリウレタンによって画定される、実施態様8に記載のカテーテル。
(10) 前記針電極アセンブリの長さに沿ってその周囲を取り囲むガイドチューブを更に備える、実施態様1に記載のカテーテル。
【0069】
(11) 前記第2の流体経路が、前記針電極アセンブリを通って延びる近位部と、前記針電極アセンブリの外側に延在する遠位部と、前記近位部と前記遠位部とを接続し、前記針電極アセンブリの側壁を横切る中間部と、を有し、
前記カテーテルが、前記針電極アセンブリの周囲を取り囲むガイドチューブを更に備え、前記針電極アセンブリが外表面を有し、前記第2の流体経路の前記中間部の近位側の前記外表面上に棒ピストン部材を含んでいる、実施態様10に記載のカテーテル。
(12) 前記棒ピストン部材が収縮性スリーブを備えている、実施態様11に記載のカテーテル。
(13) 前記インサートが、少なくとも1つの窪み形成部を有する近位端を有する、実施態様3に記載のカテーテル。
(14) 前記少なくとも1つの窪み形成部が、前記第2の流体経路と、前記インサートと前記針電極アセンブリとの間に延在する少なくとも1つの軸方向の溝との間の流体連通を提供するように構成されている、実施態様13に記載のカテーテル。
(15) カテーテルであって、
細長いカテーテル本体と、
遠位端を有する先端電極を有する遠位先端部分であって、前記先端電極が針チャネルを有する、遠位先端部分と、
針通路を有する針中央合わせインサートであって、前記先端電極の前記針チャネル内に位置づけられる、針中央合わせインサートと、
前記細長いカテーテル本体の少なくとも管腔を通って延在する近位部と、前記インサートの前記針通路を通って延在する遠位部と、を有する針電極アセンブリであって、延長位置及び後退位置へと、前記カテーテル本体及び遠位先端部分に対して長手方向に移動可能である、針電極アセンブリと、
前記針電極アセンブリを前記延長位置及び前記後退位置に移動させるように構成された、前記カテーテル本体の近位側の注入制御ハンドルと、
を備えており、
前記針通路が、前記インサートと、前記針チャネルを通って延在する前記針電極アセンブリの前記遠位部と、の間の流体の流れのために構成された少なくとも1つの溝を有する内表面を有する、カテーテル。
【0070】
(16) 前記少なくとも1つの溝と連通する流体経路を更に備えている、実施態様15に記載のカテーテル。
(17) 前記流体経路が、前記先端電極の遠位端に遠位出口を有する、実施態様15に記載のカテーテル。
(18) 少なくとも前記カテーテル本体を通って延在し、前記針電極アセンブリの遠位端に遠位出口を有する、第2の流体経路を更に備えており、
前記第1の流体経路及び第2の流体経路が互いに隔離されている、実施態様16に記載のカテーテル。
(19) 前記第2の流体経路が前記針電極アセンブリを通過している、実施態様18に記載のカテーテル。
(20) 前記針電極アセンブリが近位のチューブと遠位の針電極とを含み、前記第2の流体経路が前記近位のチューブ及び前記遠位の針電極を通過している、実施態様18に記載のカテーテル。