【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る鉄道車両用ロングシートは、以下の構成を備えている。
(1)鉄道車両における側構体内壁に沿って横長に設置されて、複数人が並んで腰掛けられる鉄道車両用ロングシートであって、
前記側構体内壁から室内側へ一定量突出して構体に固定されたシートフレームと、当該シートフレームの着座部の上方で前記側構体内壁に固定された背ずりクッションとを備え、
前記着座部は、ヒップレスト用に複数人が並んで腰掛けられる所要の長さに延設されていること、
前記背ずりクッションは、一人ずつの座席単位ごとに形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明においては、側構体内壁から室内側へ一定量突出して構体に固定されたシートフレームと、当該シートフレームの着座部の上方で側構体内壁に固定された背ずりクッションとを備え、着座部は、ヒップレスト用に複数人が並んで腰掛けられる所要の長さに延設されているので、着座スペースを減少して乗客人数を増加できると共に、シートフレームの製作及び組付けを簡素化でき、軽量化にも寄与できる。また、シートフレームの着座部の上方で側構体内壁に固定された背ずりクッションを備え、背ずりクッションは、一人ずつの座席単位ごとに形成されているので、背ずりクッションを小型化、軽量化できると共に、背ずりクッションを目印として、着座者に各座席単位の位置を明確に認識させることができて、定員人数が確実に腰掛けられるようになる。
【0012】
よって、本発明によれば、乗客人数を増加でき、着座者に各座席単位の位置を明確に認識させることができて、定員人数が確実に腰掛けられるようになると共に、軽量化が容易となり、組付け・製作等にかかる手間を低減できる鉄道車両用ロングシートを提供することができる。
【0013】
(2)(1)に記載された鉄道車両用ロングシートにおいて、
前記着座部には、座クッションを備え、
前記座クッションは、複数人が並んで腰掛けられる所要の長さに延設されていることを特徴とする。
【0014】
本発明においては、着座部には、座クッションを備え、座クッションは、複数人が並んで腰掛けられる所要の長さに延設されているので、座クッションを複数に分割する必要がなく、座クッションの製作及び組付けを簡素化でき、コスト低減にも寄与できる。
【0015】
(3)(2)に記載された鉄道車両用ロングシートにおいて、
前記座クッションには、前記着座部に着脱可能に形成された筒状クッション部材と、当該筒状クッション部材を覆う座表皮とを備え、
前記筒状クッション部材には、当該筒状クッション部材の内壁面の一端から対向する外壁面の他端まで長手方向に沿って分割された一対の分割面が着座側と異なる位置に形成され、前記座表皮には、前記分割面同士の境界線に沿って係脱する線状ファスナが装着されていることを特徴とする。
【0016】
本発明においては、座クッションには、着座部に着脱可能に形成された筒状クッション部材と、当該筒状クッション部材を覆う座表皮とを備え、筒状クッション部材には、当該筒状クッション部材の内壁面の一端から対向する外壁面の他端まで長手方向に沿って分割された一対の分割面が着座側と異なる位置に形成され、座表皮には、分割面同士の境界線に沿って係脱する線状ファスナが装着されているので、線状ファスナを開放し、筒状クッション部材の分割面同士を離間させることによって、座クッションをシートフレームの着座部に簡単に着脱させることができる。そのため、シートフレームに対する座クッションの組付け及び交換等にかかる手間を低減でき、コスト低減につなげることができる。
【0017】
(4)(3)に記載された鉄道車両用ロングシートにおいて、
前記着座部には、長手方向に沿って外方へ起立する廻り止め突起が着座側と異なる位置に形成され、前記筒状クッション部材の内壁面には、前記廻り止め突起に係合する係合溝が形成されていることを特徴とする。
【0018】
本発明においては、着座部には、長手方向に沿って外方へ起立する廻り止め突起が着座側と異なる位置に形成され、筒状クッション部材の内壁面には、廻り止め突起に係合する係合溝が形成されているので、着座部の廻り止め突起に筒状クッション部材の係合溝を係合させることによって、シートフレームに対する座クッションの周方向への回転を簡単に阻止させることができる。そのため、シートフレームに対する座クッションの組付け等にかかる手間を低減しつつ、座クッションに着座者がより安定して腰掛けることができる。
【0019】
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載された鉄道車両用ロングシートにおいて、
前記背ずりクッションには、背ずり表皮と、当該背ずり表皮に被覆された背ずりクッション部材と、当該背ずりクッション部材の裏面に固定された背ずり裏当板とを備え、
前記背ずり裏当板には、前記側構体内壁へ固定する固定手段とは別に、係合手段が形成され、前記側構体内壁には、前記係合手段と係合する被係合手段が形成されていることを特徴とする。
【0020】
本発明においては、背ずりクッションには、背ずり表皮と、当該背ずり表皮に被覆された背ずりクッション部材と、当該背ずりクッション部材の裏面に固定された背ずり裏当板とを備え、背ずり裏当板には、側構体内壁へ固定する固定手段とは別に、係合手段が形成され、また、側構体内壁には、係合手段と係合する被係合手段が形成されているので、背ずりクッションを側構体内壁に固定する際、予め係合手段を被係合手段に係合させることによって、側構体内壁に対する背ずりクッションの固定位置のバラツキを低減できる。そのため、側構体内壁に配置されている背ずりクッションの、配置上の精度及び外観上の見栄えを向上させることができると共に、側構体内壁に対する背ずりクッションの組付け又は交換等にかかる手間を低減でき、コスト低減につなげることができる。
【0021】
(6)(5)に記載された鉄道車両用ロングシートにおいて、
前記係合手段は、前記背ずり裏当板の左右側端部に形成された突起部又は凹ボタンからなり、前記被係合手段は、前記側構体内壁に形成され前記突起部が嵌装される嵌装孔又は前記凹ボタンに嵌装される凸ボタンからなることを特徴とする。
【0022】
本発明においては、係合手段は、背ずり裏当板の左右側端部に形成された突起部又は凹ボタンからなり、被係合手段は、側構体内壁に形成され突起部が嵌装される嵌装孔又は凹ボタンに嵌装される凸ボタンからなるので、背ずり裏当板の左右側端部に突起部又は凹ボタンを設け、側構体内壁に突起部が嵌装される嵌装孔、又は凹ボタンに嵌装される凸ボタンを設けるという簡単な構造で、側構体内壁に対する背ずりクッションの位置精度をより一層向上させることができる。そのため、側構体内壁に対する背ずりクッションの組付け又は交換等にかかる手間を簡単な構造で低減でき、より一層コスト低減につなげることができる。
【0023】
(7)(1)乃至(6)のいずれか1つに記載された鉄道車両用ロングシートにおいて、
前記着座部は、2人用の座席長さに形成され、前記シートフレームは、前記着座部の前端又は後端で前記側構体内壁へ向けて略L字状又は略T字状に延設された連結部を備え、当該連結部にて側構体と連結されていることを特徴とする。
【0024】
本発明においては、着座部は、2人用の座席長さに形成され、シートフレームは、着座部の前端又は後端で側構体内壁へ向けて略L字状又は略T字状に延設された連結部を備え、当該連結部にて側構体と連結されているので、着座者が着座部に着座したとき、着座部の前端又は後端で略L字状又は略T字状に延設されたシートフレームの連結部を把持することができる。そのため、側構体に対するシートフレームの支持構造を簡素化しつつ、車両が走行時に前後左右へ多少揺れたときにおいても、着座者の着座姿勢を安定して保持することができる。
【0025】
(8)(1)乃至(7)のいずれか1つに記載された鉄道車両用ロングシートにおいて、
前記側構体内壁には、前記着座部の下方で板状のヒータ装置が装着されていることを特徴とする。
【0026】
本発明においては、側構体内壁には、着座部の下方で板状のヒータ装置が装着されているので、着座部の下方のスペースを有効に活用しつつ、着座者が着座部に着座したとき、着座者の足元を効率的に暖房することができる。