(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
式(I)の基Yが、数平均分子質量が200〜10000g/molのポリオキシプロピレン基を表すことを特徴とする、請求項1に記載の架橋可能なコーティング組成物(M)。
式(I)の基Yが、数平均分子質量が500〜8000g/molのポリオキシプロピレン基を表すことを特徴とする、請求項1又は2に記載の架橋可能なコーティング組成物(M)。
成分(A)100重量部を基準として、少なくとも200重量部の成分(B)を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の架橋可能なコーティング組成物(M)。
架橋可能なコーティング組成物(M)が、架橋可能なコーティング組成物(M)100重量部を基準として10重量部未満の有機溶媒を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の架橋可能なコーティング組成物(M)。
請求項1〜7のいずれか一項に記載の架橋可能なコーティング組成物(M)又は請求項8に記載するように製造される架橋可能なコーティング組成物(M)が、少なくとも1つの基材に塗布され、その後に、架橋が行われる、コーティングを製造するための方法。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の特に好ましい実施形態では、本発明に係る組成物(M)は、化合物(C2)を含まない。
【0021】
任意選択的に使用される化合物(C2)は、並外れてUVに不安定であり、そのため、得られるコーティングのUV安定性に悪影響がある。
【0022】
本発明は、存在する場合でも、対応する長鎖及び/又は芳香族シランを末端に有するポリマー(C1)/(C2)をほんの少量しか含まない短鎖シランを末端に有するポリマー(A)と、多くの質量分率の本発明のシリコーン樹脂(B)とに由来する本発明の組成物(M)に由来するコーティングが、従来技術、特にWO2013/026654に記載されるような組成物よりも顕著に良好な汚れ特性を示すという驚くべき発見に基づいている。
【0023】
基Rの例は、アルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、1−n−ブチル、2−n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル;ヘキシル基、例えば、n−ヘキシル;ヘプチル基、例えば、n−ヘプチル;オクチル基、例えば、n−オクチル、イソオクチル基及び2,2,4−トリメチルペンチル;ノニル基、例えば、n−ノニル;デシル基、例えば、n−デシル;ドデシル基、例えば、n−ドデシル;オクタデシル基、例えば、n−オクタデシル;シクロアルキル基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びメチルシクロヘキシル基;アルケニル基、例えば、ビニル、1−プロペニル及び2−プロペニル;アリール基、例えば、フェニル、ナフチル、アントリル及びフェナントリル;アルカリール基、例えば、o−、m−、p−トリル;キシリル基及びエチルフェニル基;及びアラルキル基、例えば、ベンジル、α−フェニルエチル及びβ−フェニルエチルである。
【0024】
置換された基Rの例は、ハロアルキル基、例えば、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル、2,2,2,2’,2’,2’−ヘキサフルオロイソプロピル及びヘプタフルオロイソプロピル及びハロアリール基、例えば、o−、m−及びp−クロロフェニルである。
【0025】
基Rが、1〜6個の炭素原子を含む任意選択的にハロゲン置換された一価炭化水素基、特に好ましくは、1個又は2個の炭素原子を含むアルキル基、特にメチルを表す場合が好ましい。
【0026】
基R
1の例は、水素、Rについて引用された基、窒素、リン、酸素、硫黄、炭素又はカルボニル基を介して炭素原子に結合した任意選択的に置換された炭化水素基である。
【0027】
基R
1が、水素を表すか、又は1〜20個の炭素原子を含む炭化水素基、特に水素を表す場合が好ましい。
【0028】
基R
2の例は、水素又は基Rについて引用された例である。
【0029】
基R
2が、水素を表すか、又は1〜10個の炭素原子を含む任意選択的にハロゲン置換されたアルキル基、特に好ましくは、1〜4個の炭素原子を含むアルキル基、特にメチル又はエチルを表す場合が好ましい。
【0030】
基Yは、好ましくは、数平均モル質量M
nが少なくとも500g/mol、特に少なくとも1000g/molである。基Yは、好ましくは、数平均モル質量M
nが最大で8000g/mol、特に最大で6000g/molである。
【0031】
本発明の観点で、数平均モル質量M
nは、ポリスチレン標準に対し、THF中、60℃で、流速1.2ml/分でのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)と、Waters Corp.(USA)製のStyragel HR3−HR4−HR5−HR5カラムセット中のRI検出(屈折率検出器)とによって、注入容積が100μLで決定される。
【0032】
ポリマー基Yの例は、数平均分子質量が200〜10000g/molであり、ポリマー鎖として、ポリオキシアルキレン、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー及びポリオキシプロピレン−ポリオキシブチレンコポリマー;炭化水素ポリマー、例えば、ポリイソブチレン及びポリイソブチレンとイソプレンとのコポリマー;ポリ−クロロプレン;ポリイソプレン;ポリウレタン;ポリエステル;ポリアミド;ポリアクリレート;ポリメタクリレート;ビニルポリマー又はポリカーボネートを含み、1つ以上の基−[(CR
12)
b−SiR
a(OR
2)
3−a]に、好ましくは、−O−C(=O)−NH−、−NH−C(=O)O−、−NH−C(=O)−NH−、−NR’−C(=O)−NH−、NH−C(=O)−NR’−、−NH−C(=O)−、−C(=O)−NH−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−S−C(=O)−NH−、−NH−C(=O)−S−、−C(=O)−S−、−S−C(=O)−、−S−C(=O)−S−、−C(=O)−、−S−、−O−又は−NR’−を介して結合し、R’は、同一であってもよく、又は異なっていてもよく、Rについて引用した定義を有するか、又は基−CH(COOR”)−CH
2−COOR”を表し、R”は、同一であってもよく、又は異なっていてもよく、Rについて引用したのと同じ定義を有する、有機ポリマー基である。
【0033】
基R’は、好ましくは、基−CH(COOR”)−CH
2−COOR”又は1〜20個の炭素原子を含む任意選択的に置換された炭化水素基、特に好ましくは、1〜20個の炭素原子を含む直鎖、分枝鎖又は環状のアルキル基、又は6〜20個の炭素原子を含む任意選択的にハロゲン置換されたアリール基である。
【0034】
基R’の例は、シクロヘキシル、シクロペンチル、n−プロピル及びイソプロピル、n−、iso−及びt−ブチル、ペンチル、ヘキシル又はフェニルの種々の立体異性体及びフェニルである。
【0035】
基R”は、好ましくは、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基、特に好ましくは、メチル、エチル又はプロピル基である。
【0036】
ポリマー基Yが、ポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアルキレン又はポリアクリレート基、特に好ましくはポリウレタン基、ポリエステル基又はポリオキシアルキレン基、特にポリオキシプロピレン基を表し、但し、その数平均分子質量が200〜10000g/molである場合が好ましい。
【0037】
成分(A)は、ポリマー中の任意の望ましい位置に上述のように、例えば、内部及び/又は末端に接続した基−[(CR
12)
b−SiR
a(OR
2)
3−a]を含んでいてもよい。
【0038】
式(I)中の基Yが、数平均分子質量が200〜10000g/molであり、これに対して基−[(CR
12)
b−SiR
a(OR
2)
3−a]が末端に接続しているポリエステル基、ポリウレタン基又はポリオキシアルキレン基を表す場合が特に好ましい。基Yは、好ましくは、直鎖であるか、又は1〜3個の分岐点を有し、特に好ましくは直鎖である。
【0039】
ポリウレタン基Yは、好ましくは、−NH−C(=O)O−、−NH−C(=O)−NH−、−NR
3−C(=O)−NH−又は−NH−C(=O)−NR’−を介して、特に−O−C(=O)−NH−又は−NH−C(=O)−NR’−を介して、鎖末端が1つ以上の基−[(CR
12)
b−SiR
a(OR
2)
3−a]に結合した基であり、全ての基及び指数は、上述の定義の1つを有する。ポリウレタン基Yは、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のポリオキシアルキレンから、特にポリプロピレングリコールとジイソシアネート又はポリイソシアネートとから製造可能である。対応する成分(A)を製造するのに適切な方法と、さらに、成分(A)自体の例は、特に、EP1093482B1(段落[0014]〜[0023]、[0039]〜[0055]及び実施例1及び比較例1)又はEP1641854B1(段落[0014]〜[0035]、実施例4及び6、比較例1及び2)に記載されており、これらは、本出願の開示の一部を形成する。
【0040】
ポリエステル基Yは、好ましくは、モノマージカルボン酸とモノマージオール又はその他のヒドロキシカルボン酸又はその他の環状ラクトン、例えば、ε−カプロラクトンとのポリマー反応生成物である。
【0041】
ポリオキシアルキレン基Yは、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のポリオキシアルキレン基、特に好ましくは、ポリオキシプロピレン基であり、鎖末端が、好ましくは、−O−C(=O)−NH−又は−O−を介して1つ以上の基−[(CR
12)
b−SiR
a(OR
2)
3−a]に結合し、全ての基及び指数は、上述の定義の1つを有する。全ての鎖末端の少なくとも85%、特に好ましくは少なくとも90%、特に少なくとも95%が、−O−C(=O)−NH−を介し、基−[(CR
12)
b−SiR
a(OR
2)
3−a]に結合する場合が好ましい。
【0042】
Yがポリオキシアルキレン基を表す成分(A)を製造するのに適切な方法と、さらに、対応する成分(A)自体の例は、特に、EP1535940B1(段落[0005]〜[0025]と、さらに実施例1〜3及び比較例1〜4)又はEP1896523B1(段落[0008]〜[0047])に記載され、これらは、本出願の開示の一部を形成する。
【0043】
本発明に係る使用のための化合物(A)の末端基は、好ましくは、一般式
−NH−C(=O)−NR’−(CR
12)
b−SiR
a(OR
2)
3−a (IV)
−O−C(=O)−NH−(CR
12)
b−SiR
a(OR
2)
3−a (V)又は
−O−(CR
12)
b−SiR
a(OR
2)
3−a (VI)
の基であり、基及び指数は、上に引用した定義の1つを有する。
【0044】
化合物(A)がポリウレタンであるものが提供され、好ましい場合には、これらが、好ましくは、末端基
−NH−C(=O)−NR’−(CH
2)
3−Si(OCH
3)
3、
−NH−C(=O)−NR’−(CH
2)
3−Si(OC
2H
5)
3、
−O−C(=O)−NH−(CH
2)
3−Si(OCH
3)
3又は
−O−C(=O)−NH−(CH
2)
3−Si(OC
2H
5)
3
のうち1つ以上を含み、R’は、上述の定義の1つを有する。
【0045】
化合物(A)がポリプロピレングリコールであるものが提供され、特に好ましい場合には、これらが、好ましくは、末端基
−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)(OCH
3)
2、
−O−(CH
2)
3−Si(OCH
3)
3、
−O−C(=O)−NH−(CH
2)
3−Si(OC
2H
5)
3、
−O−C(=O)−NH−CH
2−Si(CH
3)(OC
2H
5)
2、
−O−C(=O)−NH−CH
2−Si(OCH
3)
3、
−O−C(=O)−NH−CH
2−Si(CH
3)(OCH
3)
2又は
−O−C(=O)−NH−(CH
2)
3−Si(OCH
3)
3
のうち1つ以上を含み、2つの最後に述べた末端基が特に好ましい。
【0046】
化合物(A)の平均分子量M
nは、好ましくは、少なくとも500g/mol、特に好ましくは少なくとも1000g/mol、好ましくは最大で10000g/mol、特に好ましくは最大で8000g/mol、特に最大で6500g/molである。
【0047】
化合物(A)の粘度は、好ましくは少なくとも0.2Pas、好ましくは少なくとも1Pasであり、好ましくは最大で8Pas、好ましくは最大で4Pasであり、それぞれの場合に、23℃で測定される。
【0048】
粘度は、本発明の観点で、温度を23℃に制御した後、ISO 2555に従って、A.Paar(Brookfield systems)製のDV 3 P回転粘度計を用い、スピンドル5を用い、2.5rpmで決定される。
【0049】
本発明に従って使用される化合物(A)は、化学で一般的に使用される方法によって製造されてもよい。
【0050】
ポリマー(A)の製造は、例えば、付加反応、例えば、ヒドロシリル化、マイケル付加、ディールスアルダー付加又はイソシアネート官能性化合物とイソシアネート反応性基を有する化合物との間の反応など、既知の方法によって行われてもよい。
【0051】
本発明に従って使用される成分(A)は、わずか1種類の化合物(I)を含んでいてもよく、又は異なる種類の式(I)の化合物の混合物を含んでいてもよい。したがって、成分(A)は、基Yに結合する全てのシリル基の90%より多く、好ましくは95%より多く、特に好ましくは98%より多くが同一である式(I)の化合物のみを排他的に含んでいてもよい。しかし、式(I)の化合物を少なくとも部分的に含み、異なるシリル基がY基に結合する成分(A)を使用することもできる。最後に、成分(A)として、基Yに結合する少なくとも2種類の異なるシリル基が存在する式(I)の種々の化合物の混合物を使用することも可能であるが、任意の1つの基Yに結合する全てのシリル基は同一である。
【0052】
本発明に係る組成物(M)は、好ましくは、化合物(A)を最大で40重量%、特に好ましくは最大で30重量%、好ましくは少なくとも3重量%、特に好ましくは少なくとも5重量%の濃度で含む。
【0053】
100重量部の成分(A)を基準として、本発明に係る組成物(M)は、好ましくは少なくとも150重量部、特に好ましくは少なくとも200重量部、特に少なくとも300重量部の成分(B)を含む。100重量部の成分(A)を基準として、本発明に係る組成物(M)は、好ましくは最大で5000重量部、特に好ましくは最大で2500重量部、特に最大で1500重量部の成分(B)を含む。
【0054】
成分(B)は、好ましくは、少なくとも90重量%の程度まで、式(II)の単位からなる。成分(B)は、特に好ましくは、排他的に式(II)の単位のみからなる。
【0055】
基R
3の例は、本明細書で上にRについて引用した脂肪族基である。しかし、基R
3は、互いに式(II)の2つのシリル基を接続する二価脂肪族基、例えば、1〜10個の炭素原子を含むアルキレン基、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン又はブチレン基も表していてもよい。二価脂肪族基の特に一般的に使用される例は、エチレン基である。
【0056】
しかし、基R
3は、好ましくは、1〜18個の炭素原子を含む任意選択的にハロゲン置換された一価のSiC結合した脂肪族炭化水素基、特に好ましくは、1〜8個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、n−オクチル又はi−オクチル基、特にi−オクチル又はメチルを表し、メチルが特にきわめて好ましい。
【0057】
基R
4の例は、水素又は基Rについて引用された例である。
【0058】
基R
4は、好ましくは、水素を表すか、又は1〜10個の炭素原子を含む任意選択的にハロゲン置換されたアルキル基、特に好ましくは、1〜4個の炭素原子を含むアルキル基、特にメチル又はエチルを表す場合が好ましい。
【0059】
基R
5の例は、上にRについて引用した芳香族基である。
【0060】
基R
5は、好ましくは、1〜18個の炭素原子を含む任意選択的にハロゲン置換されたSiC結合した芳香族炭化水素、例えば、エチル、フェニル、トリル、キシリル、クロロフェニル、ナフチル又はスチリル基、特に好ましくはフェニルを表す。
【0061】
成分(B)として、全ての基R
3の少なくとも90%が、n−オクチル、i−オクチル又はメチルを表すシリコーン樹脂を使用することが好ましく、特に好ましくは、全ての基R
3の少なくとも90%がメチルを表すものである。
【0062】
成分(B)として、全ての基R
4の少なくとも90%がメチル、エチル、プロピル又はイソプロピルを表すシリコーン樹脂を使用することが好ましい。
【0063】
成分(B)として、全ての基R
5の少なくとも90%がフェニルを表すシリコーン樹脂を使用することが好ましい。
【0064】
本発明によれば、それぞれの場合に、式(II)の単位全体を基準として、cが0である式(II)の単位を少なくとも20%、特に好ましくは少なくとも40%含むシリコーン樹脂(B)を使用することが好ましい。
【0065】
それぞれの場合に式(II)の単位全体を基準として、dが値0又は1をとる式(II)の単位を少なくとも70%、特に好ましくは少なくとも80%含むシリコーン樹脂(B)を使用することが好ましい。
【0066】
それぞれの場合に式(II)の単位全体を基準として、eが値1をとる式(II)の単位を少なくとも20%、特に好ましくは少なくとも40%、特に少なくとも50%含むシリコーン樹脂(B)を使用することが好ましい。
【0067】
本発明の1つの特定の実施形態は、eが1である式(II)の単位のみを排他的に含むシリコーン樹脂(B)を使用することを含む。
【0068】
本発明の特に好ましい実施形態は、成分(B)として、それぞれの場合に式(II)の単位全体を基準として、eが値1をとり、cが値0をとる式(II)の単位を少なくとも20%、特に好ましくは少なくとも40%、特に少なくとも50%含むシリコーン樹脂(B)を使用することが好ましい。
【0069】
それぞれの場合に式(II)の単位全体を基準として、c+eの合計が0又は1である式(II)の単位を少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、特に好ましくは少なくとも70%含むシリコーン樹脂(B)を使用することが好ましい。
【0070】
本発明に従って使用されるシリコーン樹脂(B)の例は、式SiO
4/2、Si(OR
4)O
3/2、Si(OR
4)
2O
2/2及びSi(OR
4)
3O
1/2の(Q)単位、式PhSiO
3/2、PhSi(OR
4)O
2/2、PhSi(OR
4)
2O
1/2、MeSiO
3/2、MeSi(OR
4)O
2/2、MeSi(OR
4)
2O
1/2、i−OctSiO
3/2、i−OctSi(OR
4)O
2/2、i−OctSi(OR
4)
2O
1/2、n−OctSiO
3/2、n−OctSi(OR
4)O
2/2及びn−OctSi(OR
4)
2O
1/2の(T)単位、式Me
2SiO
2/2及びMe
2Si(OR
4)O
1/2の(D)単位、さらに、式Me
3SiO
1/2の(M)単位から選択される単位から実質的になり、好ましくは、これらのみからなる有機ポリシロキサン樹脂であり、ここで、Meは、メチルを表し、Phは、フェニルを表し、n−Octは、n−オクチルを表し、i−Octは、イソオクチルを表し、R
4は、水素を表すか、又は1〜10個の炭素原子を含む任意選択的にハロゲン置換されたアルキル基、特に好ましくは、1〜4個の炭素原子を含む非置換アルキル基を表し、樹脂は、好ましくは(T)単位1モルあたり0〜2モルの(Q)単位、0〜2モルの(D)単位、0〜2モルの(M)単位を含む。
【0071】
本発明に従って使用されるシリコーン樹脂(B)の好ましい例は、式PhSiO
3/2、PhSi(OR
4)O
2/2及びPhSi(OR
4)
2O
1/2からのT単位、さらに、式MeSiO
3/2、MeSi(OR
4)O
2/2及びMeSi(OR
4)
2O
1/2からのT単位から選択される単位から実質的になり、好ましくは、これらのみからなる有機ポリシロキサン樹脂であり、ここで、Meは、メチルを表し、Phは、フェニルを表し、R
4は、水素を表すか、又は1〜10個の炭素原子を含む任意選択的にハロゲン置換されたアルキル基を表す。
【0072】
本発明に従って使用されるシリコーン樹脂(B)のさらに好ましい例は、式PhSiO
3/2、PhSi(OR
4)O
2/2及びPhSi(OR
4)
2O
1/2のT単位、式MeSiO
3/2、MeSi(OR
4)O
2/2及びMeSi(OR
4)
2O
1/2のT単位、さらに、式Me
2SiO
2/2及びMe
2Si(OR
4)O
1/2のD単位から選択される単位から実質的になり、好ましくは、これらのみからなる有機ポリシロキサン樹脂であり、ここで、Meは、メチルを表し、Phは、フェニルを表し、R
4は、水素を表すか、又は1〜10個の炭素原子を含む任意選択的にハロゲン置換されたアルキル基、好ましくは、1〜4個の炭素原子を含む非置換アルキル基を表し、フェニルシリコーン単位とメチルシリコーン単位のモル比は、0.5対4.0である。これらのシリコーン樹脂中のD単位の含有量は、好ましくは10重量%未満である。
【0073】
本発明に従って使用されるシリコーン樹脂(B)の特に好ましい例は、式PhSiO
3/2、PhSi(OR
4)O
2/2及びPhSi(OR
4)
2O
1/2のT単位のうち80%の程度まで、好ましくは90%の程度まで、特にこれらから排他的になる有機ポリシロキサン樹脂であり、ここで、Phは、フェニルを表し、R
4は、水素を表すか、又は1〜10個の炭素原子を含む任意選択的にハロゲン置換されたアルキル基、好ましくは、1〜4個の炭素原子を含む非置換アルキル基を表し、それぞれの場合に、単位の合計を基準とする。
【0074】
本発明に従って使用されるシリコーン樹脂(B)が、平均モル質量(数平均)M
nが少なくとも400g/mol、特に好ましくは少なくとも600g/molである場合が好ましい。平均モル質量M
nは、好ましくは最大で400000g/mol、特に好ましくは最大で10000g/mol、特に最大で3000g/molである。
【0075】
本発明に従って使用されるシリコーン樹脂(B)は、23℃、1000hPaで固体又は液体のいずれかであってもよく、シリコーン樹脂(B)は、好ましくは液体である。シリコーン樹脂(B)が、23℃での粘度が10〜100000mPas、好ましくは50〜50000mPas、特に100〜20000mPasである場合が好ましい。
【0076】
本発明に従って使用されるシリコーン樹脂(B)は、好ましくは、多分散性(M
w/M
n)が5以下であり、好ましくは3以下である。
【0077】
数平均モル質量M
nと同様に、質量平均分子質量M
wは、同様に、ポリスチレン標準に対し、THF中、60℃で、流速1.2ml/分でのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)と、Waters Corp.のStyragel HR3−HR4−HR5−HR5カラムセット中のRI検出(屈折率検出器)とによって、決定される。(USA)製のStyragel HR3−HR4−HR5−HR5カラムセット中のRI検出(屈折率検出器)とによって、注入容積が100μLで決定される。
【0078】
シリコーン樹脂(B)は、純粋な形態で、又は適切な溶媒(BL)との混合物の形態で使用されてもよい。
【0079】
使用可能な溶媒(BL)としては、室温で成分(A)及び(B)に対して反応せず、1013mbarで250℃未満の沸点を有する任意の化合物が挙げられる。
【0080】
任意選択的に使用される溶媒(BL)の例は、エーテル、例えば、ジエチルエーテル、メチル t−ブチルエーテル、グリコールとTHFのエーテル誘導体;エステル、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル及びグリコールエステル;脂肪族炭化水素、例えば、ペンタン、シクロペンテン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン又はさらに長鎖の分枝鎖及び分岐していないアルカン;ケトン、例えば、アセトン及びメチルエチルケトン;芳香族、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン及びクロロベンゼン;又はアルコール、例えば、メタノール、エタノール、グリコール、プロパノール、イソプロパノール、グリセロール、ブタノール、イソブタノール及びt−ブタノールである。
【0081】
多くの市販の樹脂(B)、例えば、Wacker Chemie AG(ミュンヘン、ドイツ)製の樹脂SILRES(R)SY 231、SILRES(R)IC 231、SILRES(R)IC 368、SILRES(R)IC 678又はSILRES(R)BS 1268は、23℃、1013hPaで液体であるが、それでも、これらは、製造の結果として、少量の溶媒(BL)、特にトルエンを含む。したがって、上述の樹脂は、樹脂の合計重量を基準として、約0.1重量%のトルエンを含有する。
【0082】
トルエンを含まない樹脂(B)も同様に市販されており、例えば、Wacker Chemie AG(ミュンヘン、ドイツ)製のGENIOSIL(R)LX 678又はGENIOSIL(R)LX 368である。
【0083】
本発明の1つの好ましい実施形態は、成分(B)として、0.1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満、特に好ましくは0.02重量%未満、特に0.01重量%未満の芳香族溶媒(BL)を含むシリコーン樹脂を使用することを含む。
【0084】
本発明の特に好ましい実施形態は、成分(B)として、0.1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満、特に好ましくは0.02重量%未満、特に0.01重量%未満の溶媒(BL)を含み、R
4が本明細書で上に定義した通りである、アルコールR
4OHを除くシリコーン樹脂を使用することを含む。
【0085】
本発明の特にきわめて好ましい実施形態は、成分(B)として、溶媒(BL)を少しも含まず、R
4が本明細書で上に定義した通りであり、一般的に製造の結果として、アルコールR
4OHが、好ましくは5重量%以下、特に好ましくは、0〜1重量%存在する、アルコールR
4OHを除くシリコーン樹脂を使用することを含む。
【0086】
本発明に従って使用されるシリコーン樹脂(B)は、市販製品であるか、又はケイ素化学で一般的に使用される方法によって製造されてもよい。
【0087】
化合物(C1)又は(C2)は、対応して高い分子質量を有し、及び/又は芳香族に直接的に結合した窒素原子又は酸素原子を含む芳香族構造要素を有する、ポリマー基Yを有するポリマーを使用することを除き、化合物(A)と同じ様式で製造可能な化合物である。シランを末端に有するポリマー(C1)の例は、特に、Wacker Chemie AG(ミュンヘン、ドイツ)製のGENIOSIL(R)STP−E10、GENIOSIL(R)STP−E15、GENIOSIL(R)STP−E30又はGENIOSIL(R)STP−E35との名称で得ることができる製品である。
【0088】
本発明に係る組成物(M)が、化合物(C1)及び/又は(C2)を含む場合、それに関する量は、それぞれの場合に、本発明に係る組成物(M)全体100重量部を基準として、好ましくは、全体で10重量部以下、特に好ましくは5重量部以下である。本発明に係る組成物(M)が化合物(C1)も化合物(C2)も含まないことが特に好ましい。
【0089】
使用される成分(A)、(B)及び任意選択的に使用される成分(C1)及び(C2)に加えて、本発明に係る組成物(M)は、架橋可能な組成物に使用されており、成分(A)、(B)、(C1)及び(C2)とは別個の任意のさらなる物質、例えば、窒素を含有する有機ケイ素化合物(D)、触媒(E)、接着促進剤(F)、水捕捉剤(G)、フィラー(H)、添加剤(I)及び混合剤(J)を含んでいてもよい。
【0090】
成分(D)が、式
D
hSi(OR
7)
gR
6fO
(4−f−g−h)/2 (III)
の単位を含む有機ケイ素化合物を表し、
ここで、
R
6は、同一であってもよく、又は異なっていてもよく、一価の任意選択的に置換されたSiC結合した窒素を含まない有機基を表し、
R
7は、同一であってもよく、又は異なっていてもよく、水素を表すか、又は任意選択的に置換された炭化水素基を表し、
Dは、同一であってもよく、又は異なっていてもよく、カルボニル基(C=O)に結合していない少なくとも1個の窒素原子を有する、一価のSiC結合した基を表し、
fは、0、1、2又は3、好ましくは1であり、
gは、0、1、2又は3、好ましくは1、2又は3、特に好ましくは1又は3であり、
hは、0、1、2、3又は4、好ましくは1であり、
但し、f+g+hの合計は4以下であり、分子あたり少なくとも1つの基Dが存在する場合が好ましい。
【0091】
本発明に従って任意選択的に使用される有機ケイ素化合物(D)は、シラン(すなわち、f+g+h=4である式(III)の化合物)又はシロキサン(すなわち、f+g+h≦3である式(III)の化合物)のいずれかであってもよく、シランが好ましい。
【0092】
基R
6の例は、Rについて引用された例である。
【0093】
基R
6は、好ましくは、1〜18個の炭素原子を含む任意選択的にハロゲン置換された炭化水素基、特に好ましくは、1〜5個の炭素原子を含む炭化水素基、特にメチルを表す。
【0094】
任意選択的に置換された炭化水素基R
7の例は、基Rについて引用された例である。
【0095】
基R
7は、好ましくは、水素、1〜18個の炭素原子を含む任意選択的にハロゲン置換された炭化水素基、特に好ましくは、水素、1〜10個の炭素原子を含む炭化水素基、特にメチル又はエチルである。
【0096】
基Dの例は、式H
2N(CH
2)
3−、H
2N(CH
2)
2NH(CH
2)
3−、H
2N(CH
2)
2NH(CH
2)
2NH(CH
2)
3−、H
3CNH(CH
2)
3−、C
2H
5NH(CH
2)
3−、C
3H
7NH(CH
2)
3−、C
4H
9NH(CH
2)
3−、C
5H
11NH(CH
2)
3−、C
6H
13NH(CH
2)
3−、C
7H
15NH(CH
2)
3−、H
2N(CH
2)
4−、H
2N−CH
2−CH(CH3)−CH
2−、H
2N(CH
2)
5−、シクロ−C
5H
9NH(CH
2)
3−、シクロ−C
6H
11NH(CH
2)
3−、フェニル−NH(CH
2)
3−、(CH
3)
2N(CH
2)
3−、(C
2H
5)
2N(CH
2)
3−、(C
3H
7)
2N(CH
2)
3−、(C
4H
9)
2N(CH
2)
3−、(C
5H
11)
2N(CH
2)
3−、(C
6H
13)
2N(CH
2)
3−、(C
7H
15)
2N(CH
2)
3−、H
2N(CH
2)−、H
2N(CH
2)
2NH(CH
2)−、H
2N(CH
2)
2NH(CH
2)
2NH(CH
2)−、H
3CNH(CH
2)−、C
2H
5NH(CH
2)−、C
3H
7NH(CH
2)−、C
4H
9NH(CH
2)−、C
5H
11NH(CH
2)−、C
6H
13NH(CH
2)−、C
7H
15NH(CH
2)−、シクロ−C
5H
9NH(CH
2)−、シクロ−C
6H
11NH(CH
2)−、フェニル−NH(CH
2)−、(CH
3)
2N(CH
2)−、(C
2H
5)
2N(CH
2)−、(C
3H
7)
2N(CH
2)−、(C
4H
9)
2N(CH
2)−、(C
5H
11)
2N(CH
2)−、(C
6H
13)
2N(CH
2)−、(C
7H
15)
2N(CH
2)−、(CH
3O)
3Si(CH
2)
3NH(CH
2)
3−、(C
2H
5O)
3Si(CH
2)
3NH(CH
2)
3−、(CH
3O)
2(CH
3)Si(CH
2)
3NH(CH
2)
3−及び(C
2H
5O)
2(CH
3)Si(CH
2)
3NH(CH
2)
3−の基及び上述の一級アミノ基と、一級アミノ基に対して反応性の二重結合又はエポキシ基を含有する化合物との反応生成物である。
【0097】
基Dは、好ましくは、H
2N(CH
2)
3−、H
2N(CH
2)
2NH(CH
2)
3−又はシクロ−C
6H
11NH(CH
2)
3−である。
【0098】
本発明に従って任意選択的に使用される式(III)のシランの例は、H
2N(CH
2)
3−Si(OCH
3)
3、H
2N(CH
2)
3−Si(OC
2H
5)
3、H
2N(CH
2)
3−Si(OCH
3)
2CH
3、H
2N(CH
2)
3−Si(OC
2H
5)
2CH
3、H
2N(CH
2)
2NH(CH
2)
3−Si(OCH
3)
3、H
2N(CH
2)
2NH(CH
2)
3−Si(OC
2H
5)
3、H
2N(CH
2)
2NH(CH
2)
3−Si(OCH
3)
2CH
3、H
2N(CH
2)
2NH(CH
2)
3−Si(OC
2H
5)
2CH
3、H
2N(CH
2)
2NH(CH
2)
3−Si(OH)
3、H
2N(CH
2)
2NH(CH
2)
3−Si(OH)
2CH
3、H
2N(CH
2)
2NH(CH
2)
2NH(CH
2)
3−Si(OCH
3)
3、H
2N(CH
2)
2NH(CH
2)
2NH(CH
2)
3−Si(OC
2H
5)
3、シクロ−C
6H
11NH(CH
2)
3−Si(OCH
3)
3、シクロ−C
6H
11NH(CH
2)
3−Si(OC
2H
5)
3、シクロ−C
6H
11NH(CH
2)
3−Si(OCH
3)
2CH
3、シクロ−C
6H
11NH(CH
2)
3−Si(OC
2H
5)
2CH
3、シクロ−C
6H
11NH(CH
2)
3−Si(OH)
3、シクロ−C
6H
11NH(CH
2)
3−Si(OH)
2CH
3、フェニル−NH(CH
2)
3−Si(OCH
3)
3、フェニル−NH(CH
2)
3−Si(OC
2H
5)
3、フェニル−NH(CH
2)
3−Si(OCH
3)
2CH
3、フェニル−NH(CH
2)
3−Si(OC
2H
5)
2CH
3、フェニル−NH(CH
2)
3−Si(OH)
3、フェニル−NH(CH
2)
3−Si(OH)
2CH
3、HN((CH
2)
3−Si(OCH
3)
3)
2、HN((CH
2)
3−Si(OC
2H
5)
3)
2、HN((CH
2)
3−Si(OCH
3)
2CH
3)
2、HN((CH
2)
3−Si(OC
2H
5)
2CH
3)
2、シクロ−C
6H
11NH(CH
2)−Si(OCH
3)
3、シクロ−C
6H
11NH(CH
2)−Si(OC
2H
5)
3、シクロ−C
6H
11NH(CH
2)−Si(OCH
3)
2CH
3、シクロ−C
6H
11NH(CH
2)−Si(OC
2H
5)
2CH
3、シクロ−C
6H
11NH(CH
2)−Si(OH)
3、シクロ−C
6H
11NH(CH
2)−Si(OH)
2CH
3、フェニル−NH(CH
2)−Si(OCH
3)
3、フェニル−NH(CH
2)−Si(OC
2H
5)
3、フェニル−NH(CH
2)−Si(OCH
3)
2CH
3、フェニル−NH(CH
2)−Si(OC
2H
5)
2CH
3、フェニル−NH(CH
2)−Si(OH)
3及びフェニル−NH(CH
2)−Si(OH)
2CH
3及びそれらの部分的な加水分解物であり、H
2N(CH
2)
3−Si(OCH
3)
3、H
2N(CH
2)
3−Si(OC
2H
5)
3、H
2N(CH
2)
3−Si(OCH
3)
2CH
3、H
2N(CH
2)
3−Si(OC
2H
5)
2CH
3、H
2N(CH
2)
2NH(CH
2)
3−Si(OCH
3)
3、H
2N(CH
2)
2NH(CH
2)
3−Si(OCH
3)
2CH
3、H
2N(CH
2)
2NH(CH
2)
3−Si(OC
2H
5)
3、H
2N(CH
2)
2NH(CH
2)
3−Si(OC
2H
5)
2CH
3又はそれぞれの場合にそれらの部分的な加水分解物が特に好ましい。
【0099】
本発明に従って任意選択的に使用される有機ケイ素化合物(D)は、本発明に係る組成物(M)中で、硬化性触媒又は共触媒の機能も発揮してもよい。
【0100】
本発明に従って任意選択的に使用される有機ケイ素化合物(D)は、さらに、接着促進剤及び/又は水捕捉剤として作用してもよい。
【0101】
本発明に従って任意選択的に使用される有機ケイ素化合物(D)は、市販製品であり、化学で一般的に使用される方法によって製造可能である。
【0102】
本発明に係る組成物(M)が成分(D)を含む場合、それに関する量は、それぞれの場合に、本発明に係る組成物(M)全体100重量部を基準として、好ましくは、0.1〜40重量部、特に好ましくは0.2〜30重量部、特に0.1〜5重量部である。本発明に係る組成物(M)は、好ましくは、成分(D)を含む。
【0103】
本発明に係る組成物(M)に任意選択的に使用される触媒(E)は、シラン縮合によって硬化可能な組成物のための所望のこれまでに知られている任意の触媒であってもよい。
【0104】
金属を含有する硬化性触媒(E)の例は、有機チタン化合物及びスズ化合物、例えば、チタン酸エステル、例えば、チタン酸テトラブチル、チタン酸テトラプロピル、チタン酸テトライソプロピル及びチタンテトラアセチルアセトネート;スズ化合物、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクタノエート、ジブチルスズアセチルアセトネート、ジブチルスズオキシド及び対応するジオクチルスズ化合物である。
【0105】
金属を含まない硬化性触媒(E)の例は、塩基性化合物、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4−ジアザ−ビシクロ[2,2,2]オクタン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、N,N−ビス(N,N−ジメチル−2−アミノ−エチル)メチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシル−アミン、N,N−ジメチルフェニルアミン及びN−エチルモルホリニン又はカルボン酸の塩(例えば、酢酸ナトリウム)である。
【0106】
同様に触媒(E)として使用可能なのは、酸性化合物、例えば、リン酸及びその部分的にエステル化された誘導体、トルエンスルホン酸、硫酸、硝酸、又は有機カルボン酸、例えば、酢酸及び安息香酸である。
【0107】
本発明に係る組成物(M)が触媒(E)を含む場合、それに関する量は、それぞれの場合に、本発明に係る組成物(M)全体100重量部を基準として、好ましくは、0.01〜20重量部、特に好ましくは0.05〜5重量部である。
【0108】
本発明に係る組成物では、金属を含有する触媒(E)、特に、スズを含有する触媒は、好ましくは、成分(A)が、全体的に、又は少なくとも部分的に、すなわち、少なくとも40重量%の程度まで、好ましくは、少なくとも50重量%の程度までの式(I)の化合物からなり、bが1であり、R
1が水素を表す場合を避けてもよい。金属を含有する触媒を含まず、特にスズを含有する触媒を含まない本発明のこの実施形態が特に好ましい。
【0109】
本発明に係る組成物(M)に任意選択的に使用される接着促進剤(F)は、シラン縮合によって硬化可能な系についてこれまでに記載されている任意の所望な接着促進剤であってもよい。
【0110】
接着促進剤(F)の例は、エポキシシラン、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン又は3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3−トリエトキシシリル−プロピル)マレイン酸無水物、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)ウレア、N−(トリメトキシシリルメチル)ウレア、N−(メチルジメトキシシリルメチル)ウレア、N−(3−トリエトキシシリルメチル)−ウレア、N−(3−メチルジエトキシシリルメチル)ウレア、O−メチルカルバメート−メチルメチルジメトキシシラン、O−メチルカルバメートメチルトリ−メトキシ−シラン、O−エチルカルバメートメチルメチルジエトキシシラン、O−エチル−カルバメート−メチルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン、メタクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロイルオキシメチルメチル−ジメトキシシラン、メタクリロイルオキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロイルオキシメチル−メチルジエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、アクリロイルオキシメチルメチルジメトキシ−シラン、アクリロイルオキシメチルトリエトキシシラン及びアクリロイルオキシメチルメチルジエトキシシラン及びさらにそれらの部分的な加水分解物である。
【0111】
本発明に係る組成物(M)が接着促進剤(F)を含む場合、それに関する量は、それぞれの場合に、本発明に係る組成物(M)全体100重量部を基準として、好ましくは、0.5〜30重量部、特に好ましくは1〜10重量部である。
【0112】
本発明の特に好ましい実施形態では、本発明に係るコーティング組成物は、エポキシシラン、特に3−グリシドキシプロピルトリメトキシ−シラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシ−プロピルトリエトキシシラン又は3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン又はこれらの部分的な加水分解物だけではなく、好ましいものとして記載される化合物(D)、特にH
2N(CH
2)
3−Si(OCH
3)
3、H
2N(CH
2)
3−Si(OC
2H
5)
3、H
2N(CH
2)
3−Si(OCH
3)
2CH
3、H
2N(CH
2)
3−Si(OC
2H
5)
2CH
3、H
2N(CH
2)
2NH(CH
2)
3−Si(OCH
3)
3、H
2N(CH
2)
2NH(CH
2)
3−Si(OCH
3)
2CH
3、H
2N(CH
2)
2NH(CH
2)
3−Si(OC
2H
5)
3、H
2N(CH
2)
2NH(CH
2)
3−Si(OC
2H
5)
2CH
3又はそれらの部分的な加水分解物を、それぞれの場合に好ましいと明記されている量で含む。
【0113】
特に好ましいのは、本発明に係るコーティング組成物が、エポキシシラン、特に3−グリシドキシ−プロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン又は3−グリシドキシプロピルメチル−ジエトキシシラン又はそれらの部分的な加水分解物だけではなく、好ましいと記載され、ジアルコキシシリル基を有する化合物(D)、特に、H
2N(CH
2)
3−Si(OCH
3)
2CH
3、H
2N(CH
2)
3−Si(OC
2H
5)
2CH
3、H
2N(CH
2)
2NH(CH
2)
3−Si(OCH
3)
2CH
3、H
2N(CH
2)
2NH(CH
2)
3−Si(OC
2H
5)
2CH
3又はそれらの部分的な加水分解物を、それぞれの場合に好ましいと明記されている量で含む本発明の一実施形態で与えられる。
【0114】
本発明に係るコーティング組成物(M)に任意選択的に使用される水捕捉剤(G)は、シラン縮合によって硬化可能な系についてこれまでに記載した任意の望ましい水捕捉剤であってもよい。
【0115】
水捕捉剤(G)の例は、シラン、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、O−メチルカルバメートメチルメチル−ジメトキシシラン、O−メチルカルバメートメチル−トリメトキシシラン、O−エチルカルバメートメチルメチル−ジエトキシシラン、O−エチル−カルバメート−メチルトリエトキシシラン及び/又はそれらの部分的な縮合物、さらに、オルトエステル、例えば、1,1,1−トリメトキシエタン、1,1,1−トリエトキシエタン、トリメトキシメタン及びトリエトキシメタンであり、ビニルトリメトキシシランが好ましい。
【0116】
本発明に係るコーティング組成物(M)が水捕捉剤(G)を含む場合、それに関する量は、それぞれの場合に、架橋可能な組成物(M)100重量部を基準として、好ましくは、0.5〜30重量部、特に好ましくは1〜10重量部である。
【0117】
本発明に係る組成物に任意選択的に使用されるフィラー(H)は、これまでに知られている任意の望ましいフィラーであってもよい。
【0118】
フィラー(H)の例は、強化していないフィラー、すなわち、BET表面積が好ましくは50m
2/gまでのフィラー、例えば、石英、特に、石英粉、珪藻土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、タルク、カオリン、ゼオライト、金属酸化物粉末、例えば、アルミニウム酸化物、チタン酸化物、鉄酸化物又は亜鉛酸化物及び/又はそれらの混合酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、ガラス粉末及びプラスチック粉末、例えば、ポリアクリロニトリル粉末;強化フィラー、すなわち、BET表面積が50m
2/gを超えるフィラー、例えば、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、沈降石灰、カーボンブラック、例えば、ファーネスカーボンブラック及びアセチレンブラック、大きなBET表面積を有するケイ素−アルミニウム混合酸化物、又は三水酸化アルミニウムである。引用したフィラーは、疎水性化された状態であってもよく、例えば、有機シラン及び/又は有機シロキサンを用いるか、又はステアリン酸を用いた処理の結果として、又はヒドロキシル基からアルコキシ基へのエーテル化の結果としての疎水性化された状態であってもよい。本発明に係る組成物は、わずか1種類のフィラーを含んでいてもよく、又は複数の異なるフィラー(H)の混合物を含んでいてもよい。
【0119】
任意選択的に使用されるフィラー(H)は、好ましくは、石英粉、炭酸カルシウム、タルク、三水酸化アルミニウム又はシリカであり、石英粉が特に好ましい。
【0120】
任意選択的に使用されるフィラー(H)は、含水量が好ましくは1重量%未満、特に好ましくは0.5重量%未満である。
【0121】
本発明に係る組成物がフィラー(H)を含む場合、それに関する量は、それぞれの場合に、本発明に係る組成物(M)100重量部を基準として、好ましくは、5〜90重量部、特に好ましくは10〜80重量部、特に15〜70重量部である。
【0122】
本発明に係る組成物(M)に任意選択的に使用される添加剤(I)は、シラン架橋する系に典型的な所望のこれまでに知られている任意の添加剤であってもよい。
【0123】
本発明に従って任意選択的に使用される添加剤(I)は、これまでに引用された成分とは別個の化合物、好ましくは、酸化防止剤、UV安定化剤、例えば、UV吸収剤又はいわゆるHALS化合物、抗真菌剤、殺生物剤又は缶内防腐剤、市販の消泡剤及び/又は脱気剤、例えば、Wacker Chemie AG(ミュンヘン、ドイツ)製のSILFOAM(R)SC 120、SILFOAM(R)124又はSILFOAM(R)155、又はBYK(ヴェセル、ドイツ)製の製品、市販の湿潤剤、例えば、BYK(ヴェセル、ドイツ)製のもの、顔料、例えば、二酸化チタン又は有機着色顔料、又は艶消し剤、例えば、Deuteron M 648、Deuteron Pergolak M3、又は種々のDeuteron ST−S製品である。
【0124】
任意選択的に使用される添加剤(I)は、好ましくは、艶消し剤である。
【0125】
艶消し剤は、好ましくは、少なくとも2.5重量%、特に少なくとも5重量%の量で使用される。艶消し剤は、好ましくは、それぞれの場合に、本発明に係る組成物の合計重量を基準として、最大で60重量%、特に最大で50重量%の量で使用される。
【0126】
本発明に係るコーティングが添加剤(I)を含む場合、それに関する量は、それぞれの場合に、本発明に係る組成物(M)100重量部を基準として、好ましくは、0.01〜30重量部、特に好ましくは0.1〜20重量部である。本発明に係るコーティング組成物は、好ましくは添加剤(I)を含む。
【0127】
本発明に従って任意選択的に使用される混合剤(J)は、好ましくは、テトラアルコキシシラン、例えば、テトラエトキシシラン及び/又はその部分的な縮合物、可塑剤、反応性希釈剤、難燃剤又は有機溶媒である。
【0128】
可塑剤(J)の例は、フタル酸エステル、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソオクチル及びフタル酸ジウンデシル;ペルヒドロ化フタル酸エステル、例えば、ジイソノニル 1,2−シクロヘキサンジカルボキシレート及びジオクチル 1,2−シクロヘキサン−ジカルボキシレート;アジピン酸エステル、例えば、アジピン酸ジオクチル;安息香酸エステル;グリコールエステル;飽和アルカンジオールのエステル、例えば、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート;リン酸エステル;スルホン酸エステル;ポリエステル;ポリエーテル、例えば、モル質量が好ましくは1000〜10000g/molのポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール;ポリスチレン;ポリブタジエン;ポリイソブチレン;パラフィン系炭化水素;及び高分子量の分岐炭化水素である。
【0129】
本発明に係るコーティング組成物(M)が可塑剤(J)を含まない場合が好ましい。
【0130】
好ましい反応性希釈剤(J)は、6〜40個の炭素原子を含むアルキル鎖を有し、化合物(A)に対して反応性の基を含む化合物、例えば、イソオクチルトリメトキシシラン、イソオクチルトリエトキシシラン、n−オクチル−トリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリ−エトキシ−シラン、テトラデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン又はヘキサデシルトリエトキシシランである。
【0131】
使用可能な難燃剤(J)は、全ての典型的な難燃剤、特にハロゲン化化合物及び誘導体、特に、成分(E)とは異なるリン酸の(部分)エステルである。
【0132】
有機溶媒(J)の例は、本明細書で上に溶媒(BL)として既に引用した化合物、好ましくはアルコール、特にエタノールである。
【0133】
本発明に係るコーティング組成物(M)は、それぞれの場合に、本発明に係る組成物(M)100重量部を基準として、好ましくは、50重量部未満、特に好ましくは10重量部未満、特に5重量部未満の有機溶媒を含む。特に好ましい実施形態では、本発明に係る組成物は、有機溶媒を含まない。
【0134】
本発明に係るコーティング組成物が成分(J)を含む場合、それに関する量は、それぞれの場合に、本発明に係る組成物(M)100重量部を基準として、好ましくは、0.1〜50重量部、特に好ましくは0.5〜20重量部、特に1〜10重量部である。
【0135】
本発明に係るコーティング組成物(M)は、好ましくは、このような組成物が、
(A)100重量部の式(I)の化合物と、
(B)少なくとも100重量部の式(II)の単位を含むシリコーン樹脂と、
以下から選択される少なくとも1種類のさらなる成分と
(D)窒素を含有する有機ケイ素化合物、
(E)触媒、
(F)接着促進剤、
(G)水捕捉剤、
(H)フィラー、
(I)添加剤及び
(J)混合剤
を含む組成物である。
【0136】
本発明に係るコーティング組成物は、好ましくは、このような組成物が、
(A)100重量部の式(I)の化合物、
(B)100〜1000重量部の式(II)の単位を含むシリコーン樹脂、
(C1)100重量部未満の式(I’)の化合物、
(C2)100重量部未満の式(I”)の化合物、
(D)0.1〜40重量部の窒素を含有する有機ケイ素化合物、
任意選択的に
(E)触媒、
任意選択的に
(F)接着促進剤、
任意選択的に
(G)水捕捉剤、
任意選択的に
(H)フィラー、
任意選択的に
(I)添加剤及び
任意選択的に
(J)混合剤を含むものである。
【0137】
本発明に係るコーティング組成物は、特に好ましくは、このような組成物が、
(A)100重量部の式(I)の化合物、
(B)150〜2500重量部の式(II)の単位からなるシリコーン樹脂、
(C1)50重量部未満の式(I’)の化合物、
(C2)50重量部未満の式(I”)の化合物、
(D)0.5〜30重量部の窒素を含有する有機ケイ素化合物、
任意選択的に
(E)触媒、
任意選択的に
(F)接着促進剤、
任意選択的に
(G)水捕捉剤、
任意選択的に
(H)フィラー、
任意選択的に
(I)添加剤及び
任意選択的に
(J)混合剤を含むものである。
【0138】
本発明に係るコーティング組成物は、特に、このような組成物が、
(A)100重量部の式(I)の化合物、
(B)200〜1500重量部の式(II)の単位からなるシリコーン樹脂、
(C1)50重量部未満の式(I’)の化合物、
(C2)50重量部未満の式(I”)の化合物、
(D)0.5〜15重量部の構成要素(D)、
任意選択的に
(E)触媒、
任意選択的に
(F)接着促進剤、
任意選択的に
(G)水捕捉剤、
任意選択的に
(H)フィラー、
任意選択的に
(I)添加剤及び
(J)混合剤を含むものである。
【0139】
本発明に係るコーティング組成物は、好ましくは、引用した成分(A)〜(J)以外のさらなる構成成分を含まない。
【0140】
本発明に従って使用される成分は、それぞれの場合に、このような成分の1種、又はそれぞれの成分の少なくとも2種類の混合物であってもよい。
【0141】
本発明に係るコーティング組成物の製造は、それ自体が知られている任意の所望な様式で行われてもよく、例えば、水分で硬化する組成物を製造するための一般的な方法及び混合方法によって行われてもよい。種々の構成成分を互いに混合する順序は、所望なようにさまざまであってよい。
【0142】
本発明は、さらに、個々の成分を任意の所望な順序で混合することによる、本発明に係る組成物を製造するための方法を提供する。
【0143】
この混合は、室温及び周囲雰囲気の圧力(すなわち、約900〜1100hPa)で行われてもよい。
【0144】
しかし、所望であれば、この混合は、もっと高い温度で、例えば、30℃〜130℃の範囲の温度で行われてもよい。揮発性化合物及び/又は空気を除去するために、減圧下、例えば、30〜500hPaの絶対圧で、断続的に、又は永久的に混合を行うことも可能である。
【0145】
好ましい混合では、混合は、水及び大気中の水分が大部分存在しない状態で、又は完全に存在しない状態で行われる。
【0146】
本発明に係る方法は、連続的に、又は不連続的に行われてもよい。
【0147】
本発明に係るコーティング組成物は、好ましくは、一成分組成物であり、水非存在下で保存可能であり、水を受け入れつつ、室温で架橋可能である。しかし、本発明に係るコーティング組成物は、OHを含有する化合物(例えば水)を第2成分で加える二成分架橋系の一部であってもよい。
【0148】
空気中の一般的な含水量は、本発明に係るコーティング組成物を架橋させるのに十分である。本発明に係るコーティング組成物の架橋は、好ましくは室温で行われる。所望な場合、上述の架橋は、室温より高い温度又は低い温度で行われてもよく(例えば、−5℃〜15℃又は30℃〜80℃)、及び/又は通常の空気の含水量を超える水の濃度を用いて行われてもよい。
【0149】
架橋は、好ましくは、100〜1100hPaの圧力で、特に、周囲雰囲気の圧力で(すなわち、約900〜1100hPa)で行われる。
【0150】
本発明は、さらに、本発明に係る組成物の架橋によって作られる成形物品を提供する。
【0151】
成形物品は、好ましくは、コーティングである。硬化するコーティングは、好ましくは、厚さが0.01〜3mm、特に好ましくは0.05〜1.5mm、特に0.1〜1mmである。
【0152】
本発明は、さらに、本発明のコーティング組成物が、少なくとも1つの基材に塗布され、その後に、架橋が行われる、コーティングを製造するための方法を提供する。
【0153】
基材は、好ましくは、木材又は鉱物材料であり、特に好ましくは、木材、コンクリート又はスクリード表面、特に、木材、コンクリート又はスクリード表面である。
【0154】
本発明に係るコーティングは、良好な撥汚れ性という利点を有する。コーヒー、バルサミコ酢、赤ワイン、ケチャップ又は廃棄油などの酷い染みを作る汚染物質でさえ、数時間さらした後でさえ、残留物なく除去されるだろう。
【0155】
硬化した後、本発明に係るコーティング組成物は、乾燥したコンクリート及び湿ったコンクリート、スクリード及びマスチックアスファルトに対して、好ましくは少なくとも1.5N/mm
2の高い引張結合強度を示す。
【0156】
引張結合強度は、規定の条件下(特に、測定領域、温度、引抜速度)、DIN EN 13813に従って決定され、関連する試験標本のコーティングに接着剤によって結合したラム(いわゆる試験ラム)は、引張試験機を用いて引き裂き(破壊)が起こるまで、均一にゆっくりと引き抜かれる基材表面に対して垂直である。
【0157】
本発明に係るコーティングは、さらに、高いペンジュラム硬度、良好な耐引っ掻き性を示し、また、良好な耐摩耗性と良好な耐化学薬品性を示す。
【0158】
本発明に係るコーティング組成物は、製造するのが容易であるという利点を有する。
【0159】
架橋可能な本発明に係るコーティング組成物は、非常に高い保存安定性と高い架橋速度を特徴とするという利点を有する。
【0160】
本発明に係る架橋可能なコーティング組成物は、さらに、使用が容易であるという利点を有する。
【0161】
本発明のコーティングは、好ましくは、床コーティングである。本発明のコーティングは、特に好ましくは、コンクリート、セメント又はスクリードから作られる下張り床に塗布される床コーティングである。
【0162】
本発明のさらに好ましい実施形態では、本発明に係るコーティング組成物は、寄せ木細工用ラッカーとして使用される。本発明に係るコーティングは、木材の良好な「木目改良」というさらなる利点を示す。このことは、本発明に係るコーティングが、色深度を高める効果を有し、さらに、木材の天然の木目を増強させることを意味する。
【0163】
本発明のさらに好ましい実施形態では、架橋可能な組成物は、装飾的な天然又は人工の石表面のためのコーティングとして使用される。ここでも、本発明に係るコーティングは、顕著な色深度を高める効果を示す。
【0164】
本発明に係る方法では、塗布は、任意の望ましいこれまでに知られている方法によって、例えば、注ぎ、パテ状に塗り、ローラーで塗り、噴霧し、刷毛塗りすることによって行ってもよい。
【0165】
本発明に係るコーティング組成物は、下張り床に直接塗布されてもよい。下張り床が、本発明に係るコーティング組成物を塗布する前に洗浄される場合が好ましく、このことは、特定の緩く結合した材料、地衣類、藻類又は植物の成長、脂質、パラフィン、剥離剤及び任意の他の不純物を除去することを含むべきである。穴、空洞又は砂利による窪みは、好ましくは、コーティングを塗布する前に埋められるべきである。原理上、表面が特定の粗さ及びグリップ性を有しているとき、良好な接着性にとって利点である。
【0166】
以下に記載する実施例では、全ての報告している粘度は、23℃の温度に関連している。特に明記しない限り、以下の実施例は、周囲雰囲気の圧力(すなわち、約1000hPa)、室温(すなわち、約23℃)又はさらなる加熱又は冷却を行うことなく、相対湿度約50%で反応剤を室温で合わせたときに達成される温度で行われる。さらに、特に明記しない限り、全ての報告している部及びパーセントは、重量基準である。
【実施例】
【0167】
以下の実施例は、以下の物質を使用した:
GENIOSIL(R)STP−E10:平均モル質量(M
n)が12000g/molであり、式−O−C(=O)−NH−CH
2−SiCH
3(OCH
3)
2の末端基を有する、シランを末端に有するポリプロピレングリコール(Wacker Chemie AG(ミュンヘン、ドイツ)から市販)。
【0168】
GENIOSIL(R)GF 9:N−(2−アミノ−エチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(Wacker Chemie AG(ミュンヘン、ドイツ)から市販)。
【0169】
GENIOSIL(R)GF 80:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(Wacker Chemie AG(ミュンヘン、ドイツ)から市販)。
【0170】
DBU:1,8−ジアザビシクロ−5.4.0−ウンデカ−7−エン。
【0171】
Deaerator SILFOAM(R)SC 124:動的粘度が4000mPas未満である(Brookfieldスピンドル2;2.5rpm;25℃で)、ポリジメチルシロキサンに由来する、水を含まず、低粘度の液体消泡性化合物。
【0172】
Quartz flour W8(1〜100μm):粒径が0.001〜0.16mm、平均粒径が0.026mm、10μmを超える粒度分率が76重量%、20μmを超える粒度分率が59重量%、30μmを超える粒度分率が44重量%、40μmを超える粒度分率が40重量%、注いだときの密度が0.9kg/lの石英粉。
【0173】
Kronos(R)2190:TiO
2含有量が95%より多く、DIN EN ISO 591−1)に従う標準的な分類がR2、色指数Pigment White 6、注いだときの密度が4.1kg/l、油価が18g/100g(Kronos、USAダラスから市販)の二酸化チタン。
【0174】
Kronos(R)2310:TiO
2含有量が92.5%より多く、DIN EN ISO 591−1)に従う標準的な分類がR2、色指数Pigment White 6、注いだときの密度が4.0kg/l、油価が17g/100g(Kronos、USAダラスから市販)の二酸化チタン。
【0175】
TINUVIN(R)B 75:20%のIrganox(R)1135(CAS−No.125643−61−0)、40%のTinuvin(R)571(CAS−No.23328−53−2)及び40%のTinuvin(R)765(CAS−No.41556−26−7)の混合物(BASF SE、ルートヴィヒスハーフェン、ドイツから市販)。
【0176】
Deuteron(R)M 648:油価が206g/100g、注いだときの密度が120g/l、平均粒径d50が6μmの艶消し剤(Deuteron、アヒム、ドイツから市販)。
【0177】
Deuteron(R)Pergopak M3:油価が333g/100g、注いだときの密度が140g/l、平均粒径d50が7μmの艶消し剤(Deuteron、アヒム、ドイツから市販)。
【0178】
Printex 300カーボンブラック:黒色値Mが242(DIN 55979に従って測定)BET表面積が約80m
2/g、平均粒径が約27nm、油価が約68ml/100gのカーボンブラック(Orion、フランクフルト、ドイツから市販)。
【0179】
化合物Aの製造
2Lの4ツ口フラスコに、滴下漏斗、Liebig冷却器、KPG撹拌器及び温度計を取り付け、数平均分子質量が4000g/molのポリプロピレングリコール1080g(Acclaim PPG 4200、Covestro AG、レバークーゼン、ドイツから市販)を最初に投入し、80℃まで加熱し、圧力10mbarで2時間乾燥させる。
【0180】
減圧状態を窒素で破り、15分間かけて、91.2gのα−イソシアナトメチルメチルジメトキシシラン(GENIOSIL(R)XL 42、Wacker Chemie AG、ミュンヘン、ドイツから市販)を撹拌しつつ滴下する。温度を80℃に維持する。0.17gのビスマスと亜鉛を含有する触媒(「Borchi−Kat VP 244」の商品名でBorchers、ランゲンフェルト、ドイツから市販)を次に加える。このことにより、反応混合物がわずかに温かくなる(5℃未満)。次いで、混合物を80℃で2時間撹拌する。その後、反応混合物のIRスペクトルは、まだ小さなイソシアネートピークを示す。
【0181】
この混合物を50℃まで冷却し、残ったイソシアネートを除去するために、この温度で1.6gのメタノールを加える。その後に得られたIRスペクトルから、NCO基がないことを確認する。
【0182】
フェニルシリコーン樹脂Bの製造
2Lの4ツ口フラスコに、滴下漏斗、Liebig冷却器、KPG撹拌器及び温度計を取り付け、1000gのフェニルトリメトキシシランを室温で最初に投入し、撹拌しつつ、20gの20%塩酸水溶液と混合する。次いで、混合物を、わずかな環流が達成されるまで、65〜68℃の温度まで加熱する。次いで、環流しつつ、74gの水と40gのメタノールの混合物を30分かけて均一に添加する。添加が終了したら、混合物を、環流下でさらに10分間撹拌し、次いで、室温まで冷却する。
【0183】
反応混合物を室温で約16時間放置した後、60gの炭酸水素ナトリウムを撹拌しつつ加え、混合物を30分間撹拌し、次いで、得られた固体を濾過によって分離する。最後に、低沸点物質(実質的にメタノール)を蒸留によって除去する。このことにより、最初に、1013mbar、温度120℃で除去するために蒸留物の約80〜90%を除去し、その後、次の15〜20分間で、残留する低沸点残渣を除去するために圧力を10mbarまで下げる。
【0184】
このことにより、平均モル質量M
nが1200g/mol、23℃での粘度が90mPas、樹脂組成物合計を基準としてメトキシ基の含有量が18%のフェニルシリコーン樹脂Bが得られる。
【0185】
実施例1〜7(B1〜B7)及び比較例1(VB1):1Kコーティング組成物の製造
表1に報告した重量比に従って、全ての化合物を使用する。
【0186】
最初にフェニルシリコーン樹脂B(その製造は上に記載)を、直径が6.5cmのビーカーに投入することによって、コーティング組成物を製造する。次いで、さらなる成分を、表1に明記した順序で、上から下まで添加し、各成分は、それぞれの場合に、Pendraulik(シュプリンゲ、ドイツ)製のV2A 40mm分散ディスクを取り付けた溶解機に速度1000rpmで導入する。最後に、同じ溶解機のディスクを用い、混合物を、速度2000rpmでさらに2分間分散させる。
【0187】
使用準備のできた混合物を、それぞれ、気密密封可能な容器に入れる。大気中の水分が存在しない状態で、上述の混合物を少なくとも6ヶ月間、容器の中で保存してもよい。フィラーを含む場合(すなわち、実施例6及び7から得た混合物)、混合物が再び均一になるまで、混合物を、使用直前にスパチュラを用いて撹拌する。
【0188】
【表1】
【0189】
実施例8:実施例1〜7及び比較例1から得たコーティングの特性の決定
塗布のために、コーティングをそれぞれの場合にブラシを用いてコンクリートスラブに塗布する。塗布される量は、実施例1〜5及び比較例1では約180g/m
2であり、実施例6及び7では250g/m
2である。標準的な気候条件(23℃/50%大気湿度)で24時間保存した後、同様にブラシを用い、同じ量の材料を用いてもう一度、第2層を塗布する。
【0190】
スキン形成時間(SFT)
スキン形成時間を決定するために、標準的な気候条件で硬化させている間、5分ごとに、乾燥した実験室用スパチュラを、ブラシで塗布したコーティング表面に注意深く置き、上方向に引き上げる。材料がスパチュラに貼り付いたら、スキンはまだ形成されていない。サンプルがスパチュラに貼り付かなくなれば、スキンが生成しており、その時間を記録する。
【0191】
コーティングの1回目及び2回目の塗布からのスキン生成時間の平均を表2に記録する。
【0192】
エリクセン硬度
硬度試験のために、上述の二重層コーティングを、標準的な気候条件で7日間保存する。硬度試験自体は、エリクセン硬度試験用鉛筆(硬度試験用鉛筆318S型)を用いて行い、鉛筆先端で、適切な値にあらかじめ設定した圧力で、硬化したコーティングの上を引っ掻く。表2に報告するエリクセン硬度は、エリクセン硬度試験用鉛筆が目に見える引っ掻き傷を残さない最大圧力を表す。
【0193】
汚れ傾向を試験するために、上述の二重層コーティングを、標準的な気候条件で7日間保存する。その後、表2に明記した汚れをコーティング表面に塗布し、24時間放置し、その間、サンプルを標準的な気候条件で保存する。その後に、流水で洗浄を行い、マスタード又はケチャップなどの乾燥した汚れの場合には、従来の家庭用スポンジを用い、さらなる洗浄を行った。乾燥させた後、汚れの評価をEN 12720に従って行った。グレード5は、汚れが見ても全くわからないことを意味し、グレード4は、ちょうど認識できる程度の汚れを表し、数が小さくなるにつれて、より顕著になって行き、グレード1まで下がると、表面にきわめて酷い汚れがあることを表す。
【0194】
【表2】