(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のプロセスは、典型的には有機硫黄、窒素および金属化合物の混入濃度ならびにアスファルテンを含有する重質炭化水素供給原料の水素化処理を提供する。重質炭化水素供給原料は、原油または343℃(650
oF)を超える温度で沸騰する炭化水素の大部分を含むタールサンド炭化水素原料から誘導することができる。
【0010】
プロセスは、524℃(975
oF)を超える温度で沸騰する、ピッチ炭化水素の特に高い割合を有する重質炭化水素供給原料を処理する際に特に有用である。プロセスのこの実施形態では、重質炭化水素供給原料の50重量%を超えるピッチを含む重質炭化水素供給原料の部分とプロセスは、524℃(975
oF)より低い沸点を有するが、比較的低い沈殿物収率を伴う、炭化水素のピッチ炭化水素への有意な転化を提供する。
【0011】
これは、プロセスの沸騰床反応器システムの沸騰床反応ゾーン内で、沸騰床触媒である従来のより大きな粒子サイズとは対照的に、沸騰床触媒である小さな粒子サイズを使用する本発明のプロセスの特徴である。このシステムまたはプロセスの小さな粒子サイズの沸騰床触媒は、その断面周囲対断面積によって規定される特徴的な幾何学的形状を更に有し、沸騰床触媒粒子の他の特性と組み合わせて、水素化脱硫活性に負の影響を及ぼさないか、または影響を最小限に抑えた重質供給原料の水素化転化のための沸騰床プロセスにおいて使用されるときの、減少した沈殿物収率または低い沈殿物収率に寄与すると考えられる。
【0012】
本明細書で成形された水素化処理触媒粒子とも称される本発明のプロセスの沸騰床触媒粒子は、アルミナを含むか、実質的にアルミナから成るか、またはアルミナから成る、焼成形アルミナ担体を含む含浸された触媒であり、これは更に1種以上のまたは少なくとも1種の活性触媒金属成分で含浸されている。本発明のプロセスの、含浸され、成形された水素化処理触媒は更に、低いマクロポロシティを有するものとして特徴付けられる。多くの代替プロセスでは、沸騰床触媒が適度に高いマクロポロシティを有することが望ましいと考えられる。これらのプロセスでは、重質供給原料のより大きな炭化水素分子は、その大きな孔を通して触媒粒子内の活性触媒部位へのより容易なアクセスを有すると考えられている。
【0013】
他方、即時の発明のプロセスは、比較的低いマクロポロシティを有する含浸され、成形された水素化処理触媒の使用を含む。成形された水素化処理触媒粒子のマクロポロシティは、他の特徴と組み合わせて、比較プロセスよりも沈殿物収率の向上に寄与すると考えられる本発明のプロセスの特徴の1つである。用語「マクロポロシティ」は、本明細書では、350オングストロームを超える直径を有する孔内に含まれる触媒粒子の全孔容積のパーセンテージを指すために使用される。
【0014】
本発明のプロセスの最良の性能のためには、成形された水素化処理触媒粒子のマクロポロシティは9%未満である。しかしながら、好ましくは、成形された水素化処理触媒粒子のマクロポロシティは6%未満であり、より好ましくはマクロポロシティは4%未満であり、最も好ましくは3%未満である。典型的には、成形された水素化処理触媒粒子のマクロポロシティの下限は0.01%より大きいが、より典型的にはマクロポロシティは0.1%より大きく、または0.35%より大きい。
【0015】
本発明の沸騰床システムの一部として、低いマクロポロシティと特定の幾何学的形状を有する、小さなサイズの、含浸され、成形された水素化処理触媒粒子の使用が、比較する従来のプロセスよりも減少したまたは低い沈殿物収率で、高い脱硫および転化活性を提供することは予想外である。
【0016】
本発明の成形された水素化処理触媒粒子は、特別に規定された幾何学的形状を有する粒子に成形され、か焼されて、1つ以上のまたは少なくとも1つの活性触媒金属成分を更に含浸する、か焼成形アルミナ担体を提供する、無機酸化物成分を含む。可能な適切な無機酸化物の例としては、シリカ、アルミナ、およびシリカ−アルミナが挙げられる。アルミナまたはシリカ−アルミナが好ましい。成形された水素化処理触媒の最も好ましい無機酸化物成分はアルミナである。
【0017】
一般に、成形された水素化処理触媒粒子は、触媒粒子の総重量の約70〜約99重量パーセント(重量%)の範囲内の量の無機酸化物成分を含む。好ましくは、成形された水素化処理触媒粒子中の無機酸化物材料の量は、78〜97重量%、最も好ましくは83〜96重量%の範囲内である。この重量パーセントは、成形された水素化処理触媒粒子の総重量に基づく。
【0018】
含浸されたか焼成形無機酸化物粒子の乾燥は、重要なステップではなく、一般に空気中で、20℃〜125℃の範囲内の乾燥温度で行われる。乾燥のための時間は、所望の乾燥量を提供することができる任意の適切な時間である。
【0019】
乾燥した成形された無機酸化物粒子または押出物のか焼は、空気などの酸素含有流体の存在下で、所望のか焼度を達成するのに適した温度および時間で行われ、金属含浸の準備ができている、か焼成形無機酸化物担体を提供する。か焼温度は、通常、300℃〜800℃、好ましくは、350℃〜700℃、より好ましくは、400℃〜600℃の範囲である。か焼時間は、0.1時間〜96時間の範囲内であり得る。
【0020】
か焼成形アルミナ担体に組み込まれる活性触媒金属成分は、ニッケル成分またはモリブデン成分、あるいはニッケル成分とモリブデン成分の組み合わせを含む。
【0021】
モリブデン成分は、酸化物として計算した場合、成形された水素化処理触媒粒子中に1重量%より多い量および24重量%未満の量で存在する。しかしながら、成形された水素化処理触媒粒子中にモリブデン成分が3重量%〜15重量%の範囲内の量で存在することが好ましく、より好ましくは4重量%〜12重量%である。これらの重量パーセント(wt.%)は、成形された水素化処理触媒粒子の総重量に基づいており(すなわち、総重量は、担体材料、金属および任意の他の成分を含む触媒組成物の全ての個々の成分の合計を含む)、モリブデン成分がその実際の形態にかかわらず、酸化物形態のMoO
3中に存在すると仮定している。
【0022】
ニッケル成分は、酸化ニッケルNiOとして計算した場合、成形された水素化処理触媒粒子中に6重量%までの量で存在する。しかしながら、ニッケル成分が成形された水素化処理触媒粒子中に0.5重量%〜6重量%の範囲内の量で存在することが好ましく、より好ましくは0.75重量%〜5重量%である。これらの重量パーセント(wt.%)は、成形された水素化処理触媒粒子の総重量に基づいており(すなわち、総重量は、担体材料、金属および任意の他の成分を含む触媒組成物の全ての個々の成分の合計を含む)、ニッケル成分がその実際の形態にかかわらず、酸化物形態のNiO中に存在すると仮定している。
【0023】
成形された水素化処理触媒粒子はまた、リン成分を含むことができる。成形された水素化処理触媒粒子中のリン成分の量は、約6重量%(2.63重量%のリン元素)までの範囲内であり得る。典型的には、リン成分は触媒組成物中に0.1重量%〜5重量%の範囲内で存在し、より好ましくは0.2重量%〜4重量%である。これらの重量パーセント(wt.%)は、成形された水素化処理触媒粒子の総重量に基づいており、リン成分がその実際の形態にかかわらず酸化物形態のP
2O
5中に存在すると仮定している。
【0024】
それは、本発明の方法の沸騰床反応ゾーンの触媒床を形成する成形された水素化処理触媒粒子が、無機酸化物と金属成分との共混錬混合物である触媒粒子の代わりに金属成分で含浸される、本発明のプロセスの特徴である。従って、か焼成形アルミナ担体は、金属成分の1つ以上の含浸によって含浸され、続いてか焼されて、本発明の最終的な成形された水素化処理触媒粒子を形成する。
【0025】
か焼成形アルミナ担体に金属を含浸させるために、任意の適切な方法を使用することができる。例えば、溶解した形態の金属前駆体を含む金属溶液が、か焼成形アルミナ担体粒子上に噴霧される噴霧含浸を使用することができる。別の方法は、か焼成形アルミナ担体粒子が断続的な乾燥の有無にかかわらず、含浸溶液と繰り返し接触する循環法またはマルチディップ法である。更に、別の方法は、か焼成形アルミナ担体粒子を大量の含浸溶液に浸漬することを含む。好ましい含浸法は、か焼成形アルミナ担体粒子をその孔を充填するのにちょうど十分な体積の含浸溶液にする初期湿潤法である。
【0026】
含浸溶液を形成するのに使用され得る潜在的に適切なニッケル化合物は、本明細書で定義されるか焼条件下で、空気中でか焼することによって酸化ニッケル形態に転化可能なものであり、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル、塩化ニッケル、水酸化ニッケルおよび酸化ニッケルを含み得る。特に適切なニッケル化合物は硝酸ニッケルである。
【0027】
含浸溶液の調製に使用することができるモリブデン化合物は、本明細書で定義されるか焼条件下で、空気中でか焼することによって酸化モリブデン形態に転化可能なものであり、酸化モリブデン、ならびにモリブデンの水和物およびモリブデン酸塩を含み得る。1つの特に適切なモリブデン化合物は、ヘプタモリブデン酸アンモニウムである。
【0028】
含浸溶液の調製に使用することができるリン化合物は、メタリン酸、ピロリン酸、リン酸などのリン酸を含んでもよいが、好ましくはオルトホスホリック酸(H
3PO
4)またはリン酸の前駆体を含んでもよい。
【0029】
か焼成形アルミナ担体粒子が、必要とされるニッケル、モリブデンおよびリンの金属成分の適切な濃度を含有する含浸溶液で含浸されることによって、本明細書に記載する必要な金属濃度を有する、本発明のプロセスの最終的な成形された水素化処理触媒粒子を提供する、単一の含浸工程を用いて、本発明の成形された水素化処理触媒粒子を製造することが好ましい。
【0030】
含浸された、か焼成形アルミナ担体は、乾燥され、次いでか焼されて、金属化合物のそれらの酸化物形態への転化を提供する。含浸された粒子の乾燥は、重要なステップではなく、一般に空気中で、20℃〜125℃の範囲内の乾燥温度で行われる。乾燥のための時間は、所望の乾燥量を提供することができる任意の適切な時間である。
【0031】
押出物のか焼は、金属化合物のそれらの酸化物形態への転化を提供する。押出物のか焼は、空気などの酸素含有流体の存在下で、本発明の最終的な成形された水素化処理触媒粒子を提供するための所望のか焼度合いを達成するのに適した温度及び時間で行われる。か焼温度は、一般に300℃〜800℃、好ましくは350℃〜700℃、より好ましくは400℃〜600℃の範囲内である。か焼時間は、0.1時間〜96時間の範囲内であり得る。
【0032】
沸騰床反応器システムの触媒床の一部として、5mm
−1〜8mm
−1の範囲内の断面周囲対断面積によって特徴付けられ、本明細書に記載された他の特徴を有する、小さいサイズの成形された水素化処理触媒粒子の適用および使用が、本発明の水素化処理および転化プロセスの重質炭化水素転化生成物内に得られ、含まれる沈殿物の有意な減少に寄与することは予想外である。沸騰床反応器システムの触媒床を構成する触媒粒子が、その断面周囲対断面積が上記の範囲内にあるような幾何学的形状を有することは、本発明のプロセスの本質的側面である。
【0033】
この粒子の幾何学的形状は、より低い断面周囲対断面積比を伴う粒子を使用する、沸騰床残渣の改良プロセスと比較して、沈殿物生成の減少に寄与すると考えられる。成形された水素化処理触媒粒子は、断面周囲対断面積が上記の範囲内であれば、任意の適切な形状とすることができる。粒子の可能な形状の例は、2013年11月21日に公開された米国特許出願公開第2013/0306517号;2004年9月23日に公開された米国特許出願公開第2004/0185244号;1983年7月19日に発行された米国特許第4,394,303号;1977年6月7日に発行された米国特許第4,028,227号などの特許公報に記載される。これらの特許および特許公報は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0034】
本明細書における本発明の成形された触媒粒子の幾何学的形状に関する言及は、無機酸化物またはアルミナ混合物を通過させて成形担体を形成する押出ダイのダイ開口部の幾何学的形状によって定義される。押出されたペレットの直径のサイズは、乾燥及びか焼によって減少することに留意されたい。成形された担体の粒子またはペレットは、無機酸化物担体材料を、本明細書に記載されるような幾何学的形状を有する押出ダイの開口部に通すことによって形成される。押出混合物が押出ダイ開口部を通過するとき、押出混合物は、通常0.1mm〜10mmの範囲内のランダム長さに破壊され、平均粒子長さは1mm〜5mmの範囲内になる。また、粒子が沸騰床反応器で使用されるとき、粒子の更なる破損が起こることがあることにも留意されたい。
【0035】
押出物の公称直径は、0.5mm〜1.3mmの範囲内である。沈殿物の制御性能を最大限にするためには、粒子サイズ、したがって公称直径をできるだけ小さくすることが好ましい。より小さな公称直径は、沈殿物収率の抑制または減少に寄与する成形された触媒粒子の幾何学的形状における好ましい変化と相関するからである。
【0036】
例えば、粒子の断面積(P/A)に対する断面周囲の比は、その公称直径に反映された粒子サイズの減少とともに増加する。小さな粒子サイズと特定の粒子幾何学的形状との組み合わせは、重質炭化水素供給原料のピッチ成分の大きな炭化水素分子が、触媒粒子の内部により容易に入り込むことを提供し、そこで触媒粒子が活性触媒部位と接触して、反応生成物が、触媒粒子の内部からより容易に出る、ことが考えられる。粒子の幾何学的形状が何らかの形で沈殿物収率の減少をもたらすか、またはそれに寄与するということは驚くべきことであり、予想外である。これは、動力学的パラメータまたは転化のいずれかを必ずしも改善しなくても起こる。
【0037】
沸騰床反応器システムの触媒床の成形された水素化処理触媒粒子が、第1の比を提供する幾何学的形状を有することは、本発明のプロセスの特徴である。第1の比は、粒子の外周囲を粒子の断面の断面積で割った値(すなわち、断面周囲対断面積)で定義される。成形された水素化処理触媒粒子が5mm
−1〜8mm
−1の範囲内にある第1の比を有することは更に重要である。しかし、第1の比が5mm
−1〜7mm
−1の範囲内であることが好ましく、第1の比が6mm
−1〜7mm
−1であることが最も好ましい。
【0038】
上記のように、成形された触媒粒子は、0.7mm〜1.2mmの範囲内の公称直径を有するが、好ましくは公称直径は0.8mm〜1.2mmの範囲内であり、より好ましくは0.8mm〜1mmの範囲内である。沈殿物収率と公称直径との間には直接の関係があり、成形された触媒粒子の公称直径が実現可能な限り小さいことが望ましいことが認識されている。成形された粒子の機械的完全性要件は、しかし、その小さなサイズに限界を設ける。
【0039】
上記のように、成形された粒子は、0.1mm〜10mm、好ましくは0.1mm〜5mmの範囲の粒子長さを有することができ、平均長さが1mm〜5mmの範囲内であるような粒子長分布を伴う。粒子長は、粒子外表面積を粒子体積(即ち、表面積対体積比)で割った値で定義される、第2の比を提供する、成形された水素化処理触媒粒子の幾何学的形状の別の重要な特徴に影響を及ぼす点で重要である。触媒押出物のランダムな長さ分布および触媒寿命を通しての長さ分布の典型的な変化のために、断面周囲対断面積比の第1の比よりも表面積対体積比を推定することはより困難である。第2の比は、しかし、5mm
−1〜15mm
−1、好ましくは5.5mm
−1〜12mm
−1、最も好ましくは6mm
−1〜10mm
−1の範囲内にあるべきである。
【0040】
以下の表1は、本発明の成形された水素化処理触媒粒子の実施形態を規定する幾何学的パラメータの概要を示す。
【0042】
好適な重質炭化水素供給原料は、少なくとも70重量パーセントが524℃(975
oF)を超える温度で沸騰するような、及び最も好ましくは、重質炭化水素供給原料の少なくとも80重量%が524℃(975
oF)を超える温度で沸騰するような沸点範囲を有する。
【0043】
重質炭化水素供給原料のAPI重力は、約0〜約15の範囲であり得るが、より具体的には、API重力は0〜10、より具体的には2〜8の範囲内である。
【0044】
重質炭化水素供給原料は、ASTM試験法D−189により測定された10重量%を超えるコンラドソン炭素含量を有することができ、より具体的にはコンラドソン炭素含量が15重量%〜30重量%の範囲内にある。
【0045】
本発明のプロセスの重質炭化水素供給原料は、典型的には、高濃度の硫黄および窒素化合物、ならびにニッケル、バナジウムなどの金属を含む。
【0046】
重質炭化水素供給原料は、重質炭化水素供給原料中の硫黄濃度が約2重量%を超え、更には3重量%を超えるような量の硫黄化合物を含むこともできる。より具体的には、重質炭化水素供給原料中の硫黄濃度は、4〜7重量%の範囲内であり得る。
【0047】
重質炭化水素供給原料に含まれる窒素化合物に関しては、重質炭化水素供給原料中の窒素濃度が0.1重量%を超え、更には0.2重量%を超えるような量で通常存在する。より具体的には、重質炭化水素供給原料中の窒素濃度は、0.3〜1重量%の範囲内であり得る。
【0048】
重質炭化水素供給原料中のニッケル濃度は、重量で10ppmw(ppmw)を超えることができ、または30ppmwを超えることができる。より具体的には、重質炭化水素供給原料中のニッケル濃度は、40ppmw〜300ppmwの範囲内であり得る。
【0049】
重質炭化水素供給原料中のバナジウム濃度は30ppmwを超えることができ、または75ppmwを超えることができる。より具体的には、重質炭化水素供給原料中のバナジウム濃度は、100ppmw〜1500ppmwの範囲内であり得る。
【0050】
本発明のプロセスは、重質炭化水素供給原料を、好ましくは水素の存在下で、沸騰床反応器システムの沸騰床反応器によって規定された、反応器容積内に含まれる、沸騰床反応ゾーン内の適切な水素化処理条件下で、成形された水素化処理触媒を接触させることを含む。本発明のプロセスは、重質炭化水素転化生成物を用いて沈殿物収率の比較的低いレベル内で重質炭化水素供給原料のピッチ成分の高転化率を提供する。
【0051】
重質炭化水素供給原料が水素化転化触媒と接触する適切な水素化転化条件は、約316℃(600
oF)〜約538℃(1,000
oF)の範囲内の温度で接触する水素化転化、約800psia〜約3,000psiaの範囲内の水素分圧を含む、約1,000psiaから約4,000psiaの範囲内の水素化転化の総接触圧、約2,000SCFB〜約10,000SCFBの範囲内の重質炭化水素供給原料の体積当たりの水素添加速度、および約0.1hr
−1〜5hr
−1の範囲内の水素転化液空間速度(LHSV)を含むことができる。
【0052】
好ましい水素化転化接触温度は、316℃(600
oF)〜510℃(950
oF)の範囲内であり、最も好ましいのは、371℃(700
oF)〜455℃(850
oF)である。好ましい水素化転化総接触圧は、1,000psia〜3,500psia、最も好ましくは1,500psia〜3,000psiaの範囲であり、好ましい水素分圧は1,800psia〜2,800psia、最も好ましくは2,000psia〜2,500psiaを伴う。LHSVは、好ましくは0.2hr
−1から4hr
−1、最も好ましくは0.2〜3hr
−1の範囲内である。重質炭化水素供給原料の体積当たりの水素添加速度は、好ましくは2,000SCFB〜8,000SCFB、より好ましくは3,000SCFB〜6,000SCFBの範囲内である。
【0053】
本発明のプロセスは、重質炭化水素供給原料を処理してそのピッチ成分の転化率を非常に高くし、比較的低い沈殿物含量を有する重質炭化水素転化生成物を提供する、本明細書に記載の成形された水素化処理触媒を含む沸騰床反応器システムを使用する。沸騰床反応器システムは、沸騰床反応ゾーン、沸騰床反応ゾーンの上方の上側ゾーン、および沸騰床反応ゾーンの下方の下側ゾーンを含む、反応器容積を定義する反応容器を含む。
【0054】
沸騰床反応ゾーンが成形された水素化処理触媒の触媒床を含むことが本発明のプロセスの必要な特徴である。成形された水素化処理触媒の幾何学的特徴は、沸騰床反応器システムの触媒として使用される場合、重質炭化水素転化生成物中に見出される沈殿物収率の有意な減少を提供すると考えられている。
【0055】
重質炭化水素転化生成物で典型的に得られる沈殿物は、試験プロセスASTM−4870により測定された場合、0.5重量%未満であり、好ましくは0.4重量%未満である。沸騰床反応器システムの必要な要素として成形された水素化処理触媒の使用を伴う本発明のプロセスは、円筒形または大きな粒子サイズまたは含浸触媒を使用する比較システムよりも著しく低い沈殿物含量を有する重質炭化水素転化生成物を提供する。重質炭化水素転化生成物の沈殿物含量は、0.3重量%未満または0.35重量%未満でさえあり得る。
【0056】
図1は、沸騰床反応器システム10の簡略図を示す。沸騰床反応器システム10は、適切な水素化転化反応条件下で、重質炭化水素供給原料を成形された水素化転化触媒と接触させるための接触ゾーン、および成形された水素化転化触媒から水素化処理された重質炭化水素生成物を分離するための分離ゾーンなどのいくつかのゾーンを画定する細長い容器12を含む。
【0057】
細長い容器12内には、沈降した水素化転化触媒床レベル16を有する沈降した水素化転化触媒床14がある。重質炭化水素供給原料および水素を含む反応器原料は、導管18により細長い容器12内の沸騰触媒床の下に位置する下側ゾーン17に導入される。
【0058】
反応器原料は、反応器原料が沈降した水素化転化触媒床14の上方向にかつ中を通るように導くための手段を提供する、水平分配プレート20を通過する。反応器原料の沈降した水素化転化触媒床14を介しての通過は、成形された水素化転化触媒床を持ち上げて膨張させることに寄与し、これにより膨張水素化転化触媒床レベル24を有する膨張水素化転化触媒床22(沸騰触媒床)を提供する。
【0059】
細長い容器12の分離ゾーン26において、水素化転化触媒は、液体レベル30を有する液体炭化水素28と、導管32を介して細長い容器12から通過する重質炭化水素転化生成物とから分離される。
【0060】
細長い容器12内の下降管34は、液体炭化水素28を膨張した水素化転化触媒床22の底部にリサイクルするための導管手段を提供する。導管36は、下降管34と沸騰ポンプ38との間の流体流連通に動作可能に接続されている。沸騰ポンプ38は、膨張水素化転化触媒床22を介して、液体炭化水素28をリサイクルおよび循環するための手段を提供する。
【0061】
細長い容器12の上端は、沸騰床反応器システム10が作動している間に、新鮮な水素化転化触媒の導入を提供する、触媒入口導管手段40を含む。新鮮な水素化転化触媒は、導管42により導管手段40を介して細長い容器12に導入することができる。細長い容器12の下端は触媒出口導管手段44を含み、これは沸騰床反応器システム10が作動している間に、使用済み水素化転化触媒の除去を提供する。使用済み水素化転化触媒は、導管46により細長い容器12から出る。
【0062】
以下の実施例は、本発明を例示するために提示されるが、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0063】
実施例1
この実施例1は、その特徴的な断面周囲対断面積の値が小さくなるような幾何学的形状及びその小粒子を有する、含浸された比較触媒A、本発明の一実施形態での使用される、含浸された触媒B、および特徴的な断面周囲対断面積の値が相対的に大きくなるような幾何学的形状の調製を記載する。
【0064】
押出可能なアルミナペーストまたは混合物を、200部のアルミナ粉末、1部の硝酸、および233部の水を合わせることによって調製した。次いで、混合物の一部を円筒状の押出孔を通して押出し、混合物の一部を三葉の押出孔を通して押出した。押出物をオーブン中で121℃(250
oF)で4時間乾燥し、次いで静的炉内で677℃(1250
oF)で1時間か焼した。次いで、得られたアルミナ担体(アルミナを含む、実質的にアルミナから成る、またはアルミナから成る)を、表1に示す金属負荷を帯びた触媒を提供するような量で、モリブデン、ニッケルおよびリンを含有する水溶液の一部で含浸させ、121℃(250
oF)で4時間乾燥させ、482℃(900
oF)で1時間か焼した。
【0065】
得られた触媒Aおよび触媒Bの選択された特性を表1に要約する。これらの触媒には重要ではないマクロポロシティが含まれていることに留意されたい。
【0066】
【表2】
【0067】
実施例2
この実施例2では、触媒Aおよび触媒Bの性能試験の条件と性能試験の結果について記載する。
【0068】
触媒を2段階CSTRパイロットプラントで試験した。原料の特性を表2に要約し、プロセス条件を表3に示す。
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】
触媒A(ベース)の性能に対する触媒Bの性能を表4に要約する。
【0072】
【表5】
【0073】
表4に示された性能結果のレビューは、触媒Bの転化および脱硫の触媒性能が触媒Aのそれらと本質的に同じであることを示す。しかしながら、触媒Bは予想外に、触媒Aと比較して沈殿物収率の劇的な改善を提供する。触媒Bは予想外に、触媒Aによって提供される沈殿物収率の64%を提供し、したがって、触媒Aによってもたらされるものよりも沈殿物収率が36%低下する。これらの結果は、小さな粒子サイズおよび特定の幾何学的形状(すなわち、断面周囲対断面積比)を有する、含浸した低マクロポロシティ沸騰床触媒粒子が予想外に、転化および脱硫などの他の触媒特性にほとんどまたは全く影響を及ぼさずに、沈殿物収率に影響を及ぼすことを示している。