(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記処理指令部は、前記加入判定部により前記加入要求ノードの加入が許可され、且つ前記ネットワークの構成を示す構成情報に前記加入要求ノードが含まれていない場合に、前記加入要求ノードを含む前記ネットワークにおいて前記フレームの送受信による通信が可能となるようにコンフィグレーション処理の実行を指令する、請求項1に記載の通信制御装置。
前記加入判定部は、前記加入要求ノードが検出された場合に、前記ネットワークへの加入を許可する前記複数のノードが予め登録された加入許可情報に前記加入要求ノードが含まれているか否かに基づいて前記ネットワークへの加入の許否を判定する、請求項1または2に記載の通信制御装置。
前記通信制御装置は、複数のフィールド機器の通信装置を前記複数のノードとし、前記複数のフィールド機器の作業により基板製品を生産する対基板作業機の前記ネットワークに適用され、
前記複数のフィールド機器には、前記対基板作業機の標準仕様の構成に選択的に増設されるオプション機器が含まれ、
前記加入要求ノードは、前記オプション機器の前記通信装置である、請求項3に記載の通信制御装置。
前記オプション機器の前記通信装置は、前記オプション機器の本体部が前記通信装置に接続された場合に、前記通信制御装置に対して前記オプション機器が増設されたことを通知するとともに、前記ネットワークへの加入要求を行い、
前記通信制御装置は、前記オプション機器の前記通信装置による通知に基づいて前記加入許可情報を編集し、
前記加入判定部は、編集された前記加入許可情報に基づいて、前記加入要求ノードの前記ネットワークへの加入の許否を判定する、請求項4に記載の通信制御装置。
前記オプション機器の前記通信装置は、前記オプション機器の本体部が前記通信装置に接続された場合に、前記通信制御装置に対して前記オプション機器が増設されたことを通知するとともに、前記ネットワークへの加入要求を行い、
前記加入許可情報は、前記オプション機器の増設の予定に応じて編集され、
前記加入判定部は、編集された前記加入許可情報に基づいて、前記加入要求ノードの前記ネットワークへの加入の許否を判定する、請求項4に記載の通信制御装置。
前記処理指令部は、増設された前記オプション機器が前記加入許可情報に含まれておらず前記ネットワークへの加入を否定された場合に、前記オプション機器の前記通信装置をパッシブ状態に切り換えるとともに、作業者に対してエラーを報知する、請求項6に記載の通信制御装置。
前記オプション機器の前記通信装置は、標準仕様の前記対基板作業機を構成する前記複数のフィールド機器の前記通信装置に、前記ネットワークを構成する通信線によりそれぞれ接続される、請求項4−7の何れか一項に記載の通信制御装置。
前記通信制御装置は、前記複数のノードのそれぞれを前記ネットワークにおけるスレーブとして定周期で通信を行うマスターである、請求項1−8の何れか一項に記載の通信制御装置。
前記ネットワークにおける通信は、前記マスターから送信された前記フレームが全ての前記スレーブを通過するとともに、前記フレームが再び全ての前記スレーブを通過して前記マスターに戻される処理を一周期とする、請求項9に記載の通信制御装置。
前記スレーブは、前記フレームへの書き込みを許容されたアクティブ状態において、前記フレームを通過させる際に、前記フレームにおけるデータフィールドのうち自己に割り当てられたデータ区画にデータを読み書きする、請求項10に記載の通信制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.実施形態
以下、通信制御装置を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。通信制御装置は、複数のノードを含むネットワークの通信を制御する。本実施形態において、通信制御装置が複数のフィールド機器を有する対基板作業機としての部品装着機に適用された態様を例示する。
【0010】
1−1.部品装着機1の構成
部品装着機1は、回路基板(以下、単に「基板」と称する)90に複数の部品を装着して基板製品を生産する。部品装着機1は、
図1に示すように、基板搬送装置10、部品供給装置20、部品移載装置30、部品カメラ41、基板カメラ42、および制御装置60を備える。基板搬送装置10は、ベルトコンベアなどにより構成され、基板90を搬送方向へと順次搬送する。
【0011】
部品供給装置20は、基板90に装着される部品を供給する。部品供給装置20は、複数のスロット21にセットされたフィーダ22を備える。フィーダ22は、多数の部品が収納されたキャリアテープを送り移動させて、部品を採取可能に供給する。また、部品供給装置20は、例えば比較的大型の部品を、パレット24に載置されたトレイ25上に並べた状態で供給する。部品供給装置20は、収納棚23に複数のパレット24を収納し、装着処理に応じて所定のパレット24を引き出して部品を供給する。
【0012】
部品移載装置30は、部品供給装置20により供給された部品を、基板搬送装置10により機内に搬入された基板90上の所定の装着位置まで移載する。部品移載装置30は、ヘッド駆動装置31により移動台32を水平方向(X軸方向およびY軸方向)に移動させる。移動台32には、装着ヘッド33が交換可能に固定されている。装着ヘッド33は、吸着ノズル34をZ軸方向に移動可能に、且つZ軸に平行なθ軸周りに回転可能に支持する。吸着ノズル34は、供給される負圧エアにより部品を吸着する。
【0013】
部品カメラ41、および基板カメラ42は、CMOSなどの撮像素子を有するデジタル式の撮像装置である。部品カメラ41および基板カメラ42は、通信可能に接続された制御装置60による制御信号に基づいて撮像を行い、当該撮像により取得した画像データを制御装置60に送出する。部品カメラ41は、吸着ノズル34に保持された部品を下方から撮像可能に、部品装着機1の基台に固定される。基板カメラ42は、基板90を上方から撮像可能に、移動台32に設けられる。
【0014】
制御装置60は、主として、CPUや各種メモリ、制御回路により構成される。制御装置60は、基板90に部品を装着する装着処理において、予め生成された制御プログラムや、各種センサから出力される情報、画像処理などによる認識処理の結果に基づいて、部品を保持する装着ヘッド33の動作を制御する。制御装置60の詳細構成については後述する。
【0015】
1−2.部品装着機1のネットワーク70
部品装着機1のネットワーク70について
図2および
図3を参照して説明する。部品装着機1の制御装置60は、基板搬送装置10や部品供給装置20、部品移載装置30などのフィールド機器との間でデータ伝送を行う。ここで、「フィールド機器」とは、エンコーダ等の各種センサやリレー装置等の機器から出力されるデータを処理し、生産における所定の作業を行う機器である。フィールド機器のそれぞれは、制御装置60および他のフィールド機器との間で通信するための通信装置を備える。
【0016】
制御装置60は、複数のフィールド機器の通信装置を複数のノード71−76とし、複数のノード71−76との通信においてフレーム80(
図3を参照)を送受信する通信制御装置である。複数のノード71−76は、隣り合うノード間を通信線77によりそれぞれ接続される。ここで、部品装着機1のネットワーク70には、例えばイーサネット(登録商標)に準拠した通信方式を用いた通信により各種のデータ伝送を行う産業用イーサネットが適用され得る。
【0017】
また、本実施形態において、部品装着機1のネットワーク70には、マスター・スレーブ方式が採用される。制御装置60は、複数のノード71−76のそれぞれをネットワーク70におけるスレーブとして定周期で通信を行うマスターである。制御装置60は、マスターとして各スレーブとの間で送受信されるフレーム80の伝送を統括的に制御する。
【0018】
制御装置60は、フレーム80に含まれる各種データを入力する。制御装置60は、入力された各種データに基づいて装着処理における制御内容等を決定する。これにより、制御装置60は、例えば基板搬送装置10に基板90を搬入するように指令し、また部品移載装置30に制御プログラムに応じて部品を基板90に移載するように指令する。そのため、特に上記のような部品の移載を伴う装着処理の実行中においては、各種のフィールド機器により取得された現在状態を反映させた動作が必要となり、通信にリアルタイム性が要求される。
【0019】
ここで、通信に用いられるフレーム80は、
図3の上段に示すように、ヘッダ81およびデータフィールド82を有する。ネットワーク70における通信がイーサネットに準拠する場合には、フレーム80は、図示しないFCS(Frame Check Sequence)を有し、イーサネットフレームを構成する。その場合に、ヘッダ81は、宛先アドレスや、送信元アドレスなどのフィールドにより構成され、フィールド長が固定されている。データフィールド82のフィールド長は、ネットワーク70に適用される通信規格に応じて、所定範囲で可変とされるか、または所定値に固定される。
【0020】
本実施形態において、データフィールド82のデータ長は、
図3の中段に示すように、所定値に固定されている。また、データフィールド82は、複数のノード71−76ごとに規定容量のデータ区画R1−R6を割り当てられている。データ区画R1−R6の各規定容量は、例えば必要なデータ通信容量に応じて予め設定される。具体的には、フィールド機器が有するセンサやリレーの数に応じた信号数、指令コマンドの伝送に必要な容量に基づいて、データ区画R1−R6の各規定容量が設定される。なお、余剰領域Rsは、データフィールド82からデータ区画R1−R6を除いた領域である。
【0021】
上記のように規定容量を設定されたデータ区画は、
図3の下段に示すように、テレグラムヘッダ、データ、およびワーキングカウンタにより構成される。このヘッダには、規定容量に相当するデータ長やノードのアドレスが含まれる。ワーキングカウンタは、検証用のチェックビットである。なお、各ノード71−76の規定容量は、通常時において、固定のフィールド長からなるデータフィールド82に収まるように、最小データ容量から最大データ容量までの間で設定される。
【0022】
ここで、上記の「最小データ容量」とは、複数のノードのそれぞれがフレーム80を送受信するために最低限必要な容量であり、テレグラムヘッダ、上記の信号数に応じたデータ、およびワーキングカウンタに応じた容量となる。また、上記の「最大データ容量」とは、ノードが1つのフレーム80により送受信可能な容量であり、ノードの通信装置の仕様に依存してノードごとに設定される。具体的には、所定の通信規格においては、ノードの通信装置が有する通信バッファの容量が最大データ容量に相当する。
【0023】
また、ネットワーク70における複数のノード71−76は、アクティブ状態とパッシブ状態とを切り換え可能に構成される。ここで、ノードの「アクティブ状態」とは、受信したフレーム80の通過を許容し、且つフレーム80への書き込みを許容された状態をいう。つまり、アクティブ状態のノードは、フレーム80を通過させる際に、フレーム80におけるデータフィールド82のうち自己に割り当てられたデータ区画にデータを書き込みすることを許容される。
【0024】
また、ノードの「パッシブ状態」とは、受信したフレーム80の通過を許容しつつフレーム80への書き込みを禁止された状態をいう。つまり、パッシブ状態のノードは、規定容量のデータ区画が割り当てられているか否かに関わらず、自己のデータ区画に対して書き込みを行わない。但し、パッシブ状態のノードは、アクティブ状態のノードと同様にデータの読み取りについては禁止されていない。よって、パッシブ状態のノードは、通過させたフレーム80におけるデータフィールド82のうち自己または他のノードに割り当てられたデータ区画のデータを読み取ることは許容される。
【0025】
本実施形態において、複数のフィールド機器には、
図2に示すように、オプション機器50が含まれる。部品装着機1の標準仕様の構成に選択的に増設されるフィールド機器である。オプション機器50は、部品装着機1の機能を拡張または変更するために設けられる。より具体的には、オプション機器50としては、例えば装着処理で対象となる部品の種別や装着精度に応じて設置される装着ヘッドやカメラ、特定の部品を供給する供給装置、装着精度の維持を図るための校正に用いられる校正装置などが想定される。
【0026】
上記のようなオプション機器50は、部品装着機1の出荷時において必ずしも設置されているとは限らず、また出荷後において装着処理に応じて取り外されることがある。また、オプション機器50は、着脱を容易にするとともに種々のタイプを設置可能とするために、制御装置60との通信に用いられる通信装置52をネットワーク70に予め接続させておくことが望ましい。これにより、オプション機器50の本体部51が部品装着機1に設置されるとともに通信装置52に接続されると、オプション機器50を増設した状態にできる。
【0027】
そこで、本実施形態において、ネットワーク70は、オプション機器50の通信装置52を一つのノード75とし、それぞれのノード71−76を通信線77で接続して構成される。これにより、オプション機器50の通信装置52は、標準仕様の部品装着機1を構成する複数のフィールド機器の通信装置に、ネットワーク70を構成する通信線77によりそれぞれ接続される。
【0028】
このような構成によると、ノード75よりもネットワーク70の末端側に位置するノード76は、ノード75の電源が投入されて初めて制御装置60側のノード74と通信可能な状態となる。なお、オプション機器50の通信装置52としては、例えば種々のタイプの機器を接続可能な端子を有するリモートI/Oや、装着ヘッドやカメラの制御信号を入出力する専用端子を有する装置などが想定される。
【0029】
1−3.制御装置60の概要
制御装置60は、上記のように、複数のノードとの通信において、フレーム80を送受信する。このようなフレーム80を用いた通信を行うネットワーク70において、制御装置60は、フレーム80を複数のノードが送受信可能となるようにコンフィグレーション処理の実行を各ノードに指令する。コンフィグレーション処理の実行により、各ノードは、データフィールド82のうち自己に割り当てられたデータ区画を割り当てられる。
【0030】
コンフィグレーション処理は、一般に、各ノードが通信可能に接続されてネットワーク70が構築された場合に実行される。その他に、コンフィグレーション処理は、ネットワーク70への加入要求をするノード(以下、「加入要求ノード」と称する)が検出された場合に、必要に応じて実行される。コンフィグレーション処理が実行されると、各データ区画の規定容量は、ノードごとの最小データ容量を確保しつつ、総和がデータフィールド82の容量(フィールド長)を超えないように適宜設定される。
【0031】
ここで、オプション機器50の通信装置52は、本体部51が接続されていない状態でも、アクティブ状態であれば電源が投入されるとネットワーク70への加入要求をする。このように加入要求ノードが本体部51を接続されていない通信装置52である場合に、コンフィグレーション処理が実行されると、アクティブ状態の通信装置52には、一つのノードとしてフレーム80のデータフィールド82に所定容量のデータ区画が割り当てられる。
【0032】
換言すると、通信装置52は、上記のように部品装着機1にはオプション機器50が増設されておらず、実際にはフレーム80への書き込みを行わないにも関わらず、アクティブ状態のノードとしてネットワーク70に加入した状態となる。このようなノードをネットワーク70に加入させるようにコンフィグレーション処理を実行すると、データ長に限りあるデータフィールド82に所定容量のデータ区画が確保されて、通信効率が低下するおそれがある。
【0033】
一方で、加入要求ノードが検出されているのに関わらずコンフィグレーション処理を実行しないと、ネットワーク70の構成を示す構成情報と実際のネットワーク70の構成が一致せずに、エラーとなったり通信が停滞したりするおそれがある。そこで、本実施形態の制御装置60は、通信効率の低下などを防止すべく、ネットワーク70への加入の許否に応じて加入要求ノードの状態を切り換える構成を採用する。
【0034】
1−4.制御装置60の詳細構成
制御装置60は、
図2に示すように、記憶部61と、加入判定部62と、処理指令部63とを備える。記憶部61は、ハードディスクやフラッシュメモリなどにより構成される。記憶部61には、制御プログラムに加えて、構成情報M1および加入許可情報M2などが記憶されている。制御プログラムは、部品の装着位置に、部品の装着角度、および部品情報が関連付けられた情報である。
【0035】
構成情報M1は、上記のようにネットワーク70の構成を示す情報である。構成情報M1は、
図4の表1−表3に示すように、複数のノード71−76ごとに、フレーム80に割り当てられたデータ区画のデータ容量、および状態(
図4の「Active」または「Passive」)が関連付けられた情報である。構成情報M1は、コンフィグレーション処理が実行される度に更新される。
【0036】
加入許可情報M2は、ネットワーク70への加入を許可する複数のノードが予め登録された情報である。制御装置60は、加入許可情報M2を適宜編集する。本実施形態において、制御装置60は、オプション機器50の通信装置52による通知を入力した場合に、当該通知に基づいて加入許可情報M2を編集する。また、加入許可情報M2は、例えばオプション機器50の増設の予定に応じて、作業者や管理者により編集され得る。
【0037】
加入判定部62は、複数のノード71−76により構成されたネットワーク70への加入要求をする加入要求ノードが検出された場合に、加入要求ノードの加入の許否を判定する。本実施形態において、加入判定部62は、加入要求ノードが検出された場合に、加入許可情報M2に加入要求ノードが含まれているか否かに基づいてネットワークへの加入の許否を判定する。
【0038】
より具体的には、ネットワーク70の各機器に電源が投入されて複数のノード71−76のそれぞれから加入要求があった場合に、加入判定部62は、
図4の表1に示す加入許可情報M2に基づいて、ノード71−74,76の加入を許可するとともに、ノード75の加入を否定する。また、制御装置60による加入許可情報M2の編集があった場合には、加入判定部62は、その後の加入の可否判定において、編集された加入許可情報M2に基づいて、加入要求ノードのネットワーク70への加入の許否を判定する。
【0039】
処理指令部63は、加入判定部62による判定結果に基づいて、複数のノード71−76のアクティブ状態とパッシブ状態とを切り換える。つまり、処理指令部63は、加入判定部62により加入要求ノードの加入が否定された場合に、パッシブ状態に加入要求ノードを切り換える。より具体的には、上記の例において、ネットワーク70への加入を否定されたノード75は、
図4の表2に示すように、処理指令部63の指令に応じてパッシブ状態へと切り換えられる。
【0040】
また、処理指令部63は、複数のノード71−76の一部または全部に対して状態を切り換えるように指令した場合に、構成情報M1を更新すべくコンフィグレーション処理の実行を指令する。つまり、処理指令部63は、加入判定部62により加入要求ノードの加入が許可され、且つネットワーク70の構成を示す構成情報M1に加入要求ノードが含まれていない場合に、加入要求ノードを含むネットワーク70においてフレーム80の送受信による通信が可能となるようにコンフィグレーション処理の実行を指令する。
【0041】
これにより、例えばアクティブ状態からパッシブ状態に切り換えられたノードにフレーム80におけるデータ区画が割り当てられていた場合には、コンフィグレーション処理により上記のデータ区画のデータ容量が0とされる。一方で、ネットワーク70への加入を許可されたアクティブ状態のノードにフレーム80におけるデータ区画が割り当てられていない場合には(例えば、
図4の表1のノード73)、コンフィグレーション処理により最小データ容量以上のデータ区画が割り当てられる(
図4の表2の「Vd03」)。
【0042】
ここで、加入判定部62は、通信装置52に本体部51を接続して増設されたオプション機器50が加入許可情報M2に含まれていない場合に、ネットワーク70への加入を否定することがある。このような場合に、処理指令部63は、オプション機器50の通信装置52をパッシブ状態に切り換えるとともに、作業者に対してエラーを報知する。
【0043】
1−5.制御装置60による加入要求対応処理
制御装置60による加入要求対応処理について
図2−
図7を参照して説明する。以下では、説明を簡易にするために、ネットワーク70には、
図2に示すように、制御装置60の他に、6つのフィールド機器(基板搬送装置10、部品供給装置20、部品移載装置30など)の通信装置が接続されているものとする。また、各フィールド機器の通信装置を、制御装置60から送信されたフレーム80(
図3を参照)が送信される順に、ノード71、ノード72、・・・、ノード76とする。
【0044】
本実施形態において、ネットワーク70における通信は、マスターである制御装置60から送信されたフレーム80がスレーブである全てのノード71−76を通過するとともに、フレーム80が再び全てのノード71−76を通過して制御装置60に戻される処理を一周期とする。アクティブ状態のノードは、フレーム80を通過させる際に、データフィールド82のうち自己に割り当てられたデータ区画にデータを読み書きする。
【0045】
つまり、ネットワーク70における通信が例えば1kHzの定周期で行われる場合には、全てのノード71−76がアクティブ状態であれば、制御装置60から送出されたフレーム80が各ノード71−76においてオンザフライでデータを読み書きされて再び制御装置60に戻されるという処理が1msごとに実行される。制御装置60は、加入要求ノードが検出された場合に、
図5および
図7に示すように、加入要求対応処理を実行する。
【0046】
なお、ノードによる加入要求は、例えばノードが通信線77によりネットワーク70に物理的に接続された場合や、ネットワーク70に接続されているノードの電源が投入された場合、オプション機器50の通信装置52に本体部51が接続された場合などに、加入要求ノードから送出される。ここで、部品装着機1は、例えば標準仕様のフィールド機器のみで構成されているものとする。
【0047】
このとき、加入許可情報M2には、
図4の表1に示すように、標準仕様のフィールド機器の通信装置(ノード71−74,76)がネットワーク70への加入を許可されたノードとして示されている。このような構成からなる部品装着機1において、各ノード71−76は、電源を投入されてアクティブ状態となり、制御装置60に対して加入要求をそれぞれ送出する。これにより、制御装置60は、加入要求ノードを検出する。
【0048】
1−5−1.加入要求対応処理の第一態様
加入判定部62は、上記のように加入要求ノードが検出された場合に、
図5に示すように、ネットワーク70への加入要求ノード加入の許否を判定する(ステップ11(以下、「ステップ」を「S」と表記する))。本実施形態において、加入判定部62は、加入許可情報M2に加入要求ノードが含まれているか否かに基づいて判定する。
【0049】
例えば、加入要求ノードがノード75である場合には、
図4の表1に示すように加入許可情報M2に含まれておらず、ネットワーク70への加入が否定される(S11:No)。この場合に、処理指令部63は、この加入要求ノード(ノード75)をアクティブ状態からパッシブ状態に切り換える(S12)。
【0050】
一方で、加入判定部62により加入許可情報M2に加入要求ノードが含まれている場合には、その加入要求ノードの加入を許可する(S11:Yes)。この場合に、処理指令部63は、加入要求ノードが現在の構成情報M1に含まれているか否かを判定する(S13)。より具体的には、処理指令部63は、構成情報M1において加入要求ノードに最小データ容量以上のデータ区画がフレーム80に割り当てられていない場合には(
図4の表1のノード73)、加入要求ノードが構成情報M1に含まれていないと判定する(S13:No)。
【0051】
続いて、処理指令部63は、構成情報M1を更新すべくコンフィグレーション処理の実行を各ノード71−76に指令する(S14)。これにより、
図4の表2に示すように、ノード73に所定のデータ容量Vd03のデータ区画がフレーム80に割り当てられ、ノード73が読み書き可能にネットワーク70に加入した状態となる。よって、通信の必要があるノードによりネットワーク70を構築できる。なお、パッシブ状態に切り換えられたノード75は、コンフィグレーション処理の実行を指令されてもフレーム80にデータ区画を割り当てられない。
【0052】
一方で、処理指令部63は、構成情報M1において加入要求ノードが既にデータ区画をフレーム80に割り当てられている場合には(
図4の表1のノード71,72,74,76)、加入要求ノードが構成情報M1に既に含まれていると判定する(S13:Yes)。この場合には、構成情報M1を更新する必要がないことから、処理指令部63は、コンフィグレーション処理の実行を省略する。これにより、不必要なコンフィグレーション処理の実行を抑制し、処理負荷を軽減することができる。
【0053】
また、上記のようにネットワーク70およびフレーム80が構築された後に、部品装着機1の機能の拡張または変更に伴って、一部のフィールド機器が交換されたり、オプション機器50が増設または取り外されたりすることがある。このようなネットワーク70の変更に対応するために、制御装置60は、加入許可情報M2の編集を行う。本実施形態において、加入許可情報M2は、作業者等による手動編集の他に、制御装置60により自動編集される。
【0054】
編集処理において、
図6に示すように、フィールド機器の接続、または取り外しがあると、ネットワーク70の通信規格に応じて制御装置60に通知がなされる(S21)。制御装置60は、入力した通知に基づいて加入許可情報M2を編集する(S22)。これにより、制御装置60は、接続されたフィールド機器のネットワーク70への加入を許可し、取り外されたフィールド機器をネットワーク70から離脱させるように、加入許可情報M2を編集する。
【0055】
上記のフィールド機器の接続および取り外しには、オプション機器50の通信装置52に対する本体部51の着脱が含まれる。具体的には、フィールド機器の接続としてオプション機器50の本体部51が通信装置52に接続された場合に、オプション機器50の通信装置52(ノード75)は、制御装置60に対してオプション機器50が増設されたことを通知するとともに(S21)、ネットワーク70への加入要求を行う。
【0056】
次に、制御装置60は、オプション機器50の通信装置52(ノード75)による通知に基づいて、
図4の表2に示すように、ノード75のネットワーク70への加入を許可するように加入許可情報M2を編集する(S22)。その後に、加入要求対応処理が再び実行されると、加入要求ノードであるノード75は、加入許可情報M2に含まれるため、加入判定部62によりネットワーク70への加入を許可される(S11:Yes)。
【0057】
さらに、ノード75は、
図4の表2に示すように、現在の構成情報M1ではデータ区画を割り当てられておらず、構成情報M1に含まれていない(S13:No)。そこで、処理指令部63は、コンフィグレーション処理の実行を指令する(S14)。これにより、ノード75がフレーム80にデータ区画を割り当てられるとともに(
図4の表3の「Vd05」)、データを書き込みすることを許容される。
図4の表3に示すように、構成情報M1が更新され、ノード75は、ネットワーク70に加入した状態となる。
【0058】
このような構成によると、オプション機器50の増設があった場合に加入許可情報M2が自動的に編集されるので(S22)、現状のフィールド機器の状態に応じてノードの加入の許否判定(S11)を行うことができる。これにより、オプション機器50の増設前において、ネットワーク70の通信経路上に接続されているのみで、通信を必要としないノード75をアクティブ状態として加入させなくとも通信エラーを回避できる。一方で、例えば機能追加などに伴うオプション機器50の増設があった場合には、コンフィグレーション処理が実行されることになり(S14)、ネットワーク70が適切に構築される。
【0059】
1−5−2.加入要求対応処理の第二態様
ここで、加入許可情報M2の編集については、上記のような制御装置60による自動編集を禁止し、作業者などによる手動の編集のみを許容するようにしてもよい。つまり、加入許可情報M2は、フィールド機器の接続および取り外しによっては自動的に編集されることはなく、作業者がフィールド機器の接続および取り外しの予定に応じて編集される。
【0060】
具体的には、例えばオプション機器50を増設する場合に、作業者は、予め増設するオプション機器50の識別情報などを制御装置60に入力し、加入許可情報M2を編集する。これにより、制御装置60は、どのようなオプション機器50が増設されるかが登録された状態となる。また、
図4の表2に示すように、加入許可情報M2においてオプション機器50の通信装置52(ノード75)のネットワーク70への加入が許可される。
【0061】
その後に、オプション機器50の本体部51が通信装置52に接続された場合に、オプション機器50の通信装置52(ノード75)は、制御装置60に対してオプション機器50が増設されたことを通知するとともに(S21)、ネットワーク70への加入要求を行う。
図7に示すように、加入要求対応処理が再び実行されると、加入要求ノードであるノード75は、加入許可情報M2に含まれるため、加入判定部62によりネットワーク70への加入を許可される(S11:Yes)。その後の処理(S13、S14)については、加入要求対応処理の第一態様と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0062】
ここで、加入要求対応処理の第二態様においては、加入許可情報M2は、作業者などによる手動での編集のみが許容される。そのため、加入許可情報M2にてネットワーク70への加入が禁止されているフィールド機器の接続(オプション機器50の増設を含む)が通知されても加入許可情報M2は編集されない。また、予定されていないオプション機器50が増設されると、加入判定部62は、そのオプション機器50の通信装置52(加入要求ノード)のネットワーク70への加入を否定する(S11:No)。
【0063】
この場合に、処理指令部63は、この加入要求ノードを現在状態からパッシブ状態に切り換えるとともに(S12)、作業者に対してエラーを報知する(S15)。このような構成によると、オプション機器50の増設があった場合に、当該オプション機器50が増設を予定されていたフィールド機器であるか否かが判定される(S11)。換言すると、増設されたオプション機器50の正否を判定される。
【0064】
これにより、増設を予定されたオプション機器50などのフィールド機器のみがネットワーク70に加入できるので、予定と異なるフィールド機器の接続(オプション機器の増設)を防止できる。また、予定と異なるオプション機器50を増設しようとした場合に、エラーが報知されるので(S15)、オプション機器50の確認などを作業者に促すことができる。
【0065】
1−6.実施形態の構成による効果
実施形態における制御装置60は、フレーム80の送受信により複数のノード71−76と通信する通信制御装置であって、複数のノード71−76により構成されたネットワーク70への加入要求をする加入要求ノードが検出された場合に、加入要求ノードの加入の許否を判定する加入判定部62と、加入判定部62により加入要求ノードの加入が否定された場合に(S11:No)、受信したフレーム80の通過を許容しつつフレーム80への書き込みを禁止されたパッシブ状態に加入要求ノードを切り換える処理指令部63と、を備える。
【0066】
このような構成によると、ネットワーク70への加入を否定された加入要求ノードがアクティブ状態からパッシブ状態に切り換えられる。これにより、加入要求ノードは、ネットワーク70に接続されつつも、フレーム80を通過させるのみでフレーム80に対して書き込みを行わない状態となる。結果として、加入要求ノードが検出された後に、不要なコンフィグレーション処理の実行が抑制されるとともに、通信を必要としないノードの加入による通信効率の低下を防止することができる。また、パッシブ状態に切り換えられることにより、構成情報M1と実際のネットワーク70の構成とが実質的に一致することになり、エラーとなったり通信が停滞したりすることを防止できる。
【0067】
本実施形態において、加入要求ノードは、オプション機器50の通信装置52である態様を例示した。このような構成によると、オプション機器50の通信装置52をネットワーク70に接続した状態で部品装着機1を構成することができる。ここで、ネットワークを構築した後にオプション機器の通信装置を追加すると、構成情報と実際のネットワークの構成とが一致せずに通信エラーとなり得る。
【0068】
そこで、従来では、オプション機器の増設前に通信が不必要であるにも関わらずオプション機器の通信装置をアクティブ状態(データ区画を割り当てる)にしたり、通信装置をネットワークの通信線から物理的に取り外したりする対処が行われていた。しかしながら、増設前のオプション機器の通信装置をアクティブ状態にすると通信効率の低下を招来するおそれがある。また、通信装置を物理的に取り外す場合には、例えば着脱可能にしつつ通信への影響を防止するためにネットワークの末端に配置する必要があるなど、標準仕様のフィールド機器との位置関係に制約が生じるおそれがある。
【0069】
これに対して、上記のように、ネットワーク70に接続されつつもパッシブ状態とする構成により、通信効率の低下を防止するとともに、他のフィールド機器との位置関係に制約を受けることなく通信装置(ノード)を配置することができる。結果として、オプション機器50の増設位置、および他のフィールド機器の配置にかかる自由度を向上できる。
【0070】
また、本実施形態において、オプション機器50の通信装置52(ノード75)は、標準仕様の部品装着機1を構成する複数のフィールド機器の通信装置(ノード74およびノード76)に、ネットワーク70を構成する通信線77によりそれぞれ接続される。
【0071】
このような構成によると、ネットワーク70の末端側に位置するノード76は、オプション機器50の通信装置52がフレーム80を通過させないと制御装置60と通信ができない。そのため、従来では、オプション機器50の増設前において、オプション機器50の通信装置52を取り外して、ノード74とノード76とを通信線で接続するか、書き込みがないにも関わらずノード75をアクティブ状態にする必要があった。
【0072】
これに対して、増設前のオプション機器50の通信装置52(ノード75)をパッシブ状態に切り換えることにより、通信装置52を取り外すような不要な作業を省略でき、また通信効率の低下を防止できる。さらに、オプション機器50の増設前に通信装置52をネットワーク70に接続しておくことにより、オプション機器50を増設する際の接続工程を省略でき、オプション機器50の増設に伴う作業効率を向上できる。
【0073】
また、本実施形態において、制御装置60は、複数のノード71−76のそれぞれをネットワーク70におけるスレーブとして定周期で通信を行うマスターである。
このような構成によると、制御装置60は、マスター・スレーブ方式の通信規格に準拠し、各ノードをスレーブとして統括制御することが可能となる。スレーブのそれぞれは、マスターの指令に応じて通信を行うとともに、必要に応じてコンフィグレーション処理を実行する。このようなネットワーク70において、加入要求ノードが検出される度に当該ノードをアクティブ状態にすべきかパッシブ状態にすべきかを判定することは特に有用である。
【0074】
また、ネットワーク70における通信は、マスターから送信されたフレーム80が全てのスレーブを通過するとともに、フレーム80が再び全てのスレーブを通過してマスターに戻される処理を一周期とする。
このような構成によると、ネットワーク70における一周期の通信が定周期で実行されることにより、通信のリアルタイム性が確保される。このような通信規格においては、所定の周波数を実現するために、データフィールド82の容量に制限が設けられることから、当該データフィールド82における各データ区画の比率の変更を伴うノードの加入許可を適宜判定することは、帯域を有効利用することとなり特に有用である。
【0075】
また、スレーブは、フレーム80への書き込みを許容されたアクティブ状態において、フレーム80を通過させる際に、フレーム80におけるデータフィールド82のうち自己に割り当てられたデータ区画にデータを読み書きする。
このような構成によると、スレーブは、フレーム80をオンザフライでI/O処理を実行する。このような通信規格によると、通信の周波数を高くすることが可能となり、通信のリアルタイム性を向上できる。その一方で、このような通信規格では、データフィールド82の容量に制限が設けられることから、不要なノードの加入許可することは、帯域の利用性が低下し通信効率を低下させるおそれがある。そのため、加入要求ノードの許否判定をすることは特に有用である。
【0076】
また、本実施形態において、制御装置60は、対基板作業機である部品装着機1に適用される構成とした。部品装着機1では、基板搬送装置10などのフィールド機器に対する指令が定期的に必要となり、またフィールド機器からの応答性が生産効率に影響することがある。また、部品供給装置20においては、基板90に装着する部品の種別などに応じて供給形態(フィーダ22やトレイ25など)を変更する必要がある。
【0077】
さらに、部品移載装置30においては、基板90に装着する部品の種別などに応じて装着形態(装着ヘッド33や吸着ノズル34)を変更する必要がある。そのため、制御装置60には、種々の装着処理に応じたフィールド機器により構成されるネットワーク70に対応可能であり、且つ通信効率の低下を防止可能な通信制御が求められる。そのため、このような部品装着機1に実施形態にて例示した構成を適用することは特に有用である。
【0078】
2.実施形態の変形態様
2−1.加入要求対応処理について
実施形態において、制御装置60は、構成情報M1および加入許可情報M2をそれぞれ個別に備える構成とした。これに対して、構成情報M1を加入許可情報M2として、加入要求対応処理を実行してもよい。このような構成では、加入判定部62は、最後に実行されたコンフィグレーション処理により定義された構成情報M1を加入許可情報M2とし、ノードの加入の許否判定(S11)を行う。そして、加入判定部62は、この構成情報M1に含まれない加入要求ノードについては加入を許可しない。
【0079】
これにより、例えば部品装着機1の電源が投入されると、制御装置60は、構成情報M1に含まれるノードをアクティブ状態に維持するとともに、構成情報M1に含まれないノードをパッシブ状態に切り換える(S12)。よって、部品装着機1の起動時において、コンフィグレーション処理の実行が省略され、ネットワーク70が通信可能な状態となるまでの処理負荷が軽減される。なお、上記のような構成において、オプション機器50の増設やフィールド機器の取り外しなどが予定される場合には、管理者が構成情報M1を編集したり、強制的にコンフィグレーション処理を実行したりするように指令することにより対応することができる。
【0080】
2−2.ネットワーク70の通信規格
実施形態において、ネットワーク70に適用される通信規格は、イーサネットであるものとした。そして、制御装置60は、マスター・スレーブ方式が採用されたネットワーク70において、スレーブと定周期で通信を行うマスターであるものとした。これに対して、制御装置60は、複数のノードごとに規定容量のデータ区画を割り当てられたデータフィールド82を有するフレームを送受信するネットワーク70であれば、当該ネットワーク70に対応する種々の通信規格および通信方式を適用することができる。
【0081】
2−3.制御装置60の適用
実施形態において、制御装置60は、部品装着機1のネットワーク70に適用されるものとした。そして、制御装置60(マスター)が通信するノードは、基板搬送装置10などのフィールド機器の通信装置(スレーブ)であるものとした。これに対して、制御装置60は、ノードが複数であるネットワーク70であれば適用することができる。このような構成においても、実施形態と同様の効果を奏する。
【0082】
また、実施形態において、対基板作業機は、部品装着機1である構成とした。これに対して、制御装置60は、複数のフィールド機器を複数のノードとする対基板作業機であれば、部品装着機1以外の対基板作業機に適用することができる。具体的には、対基板作業機は、部品装着機1とともに生産ラインを構成するはんだ印刷機、部品を装着された回路基板を検査する検査装置であってもよい。さらに、制御装置60は、これらの対基板作業機とホストコンピュータを含むネットワークや、対基板作業機以外の種々の作業を行う装置のネットワークに適用することができる。