(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6896891
(24)【登録日】2021年6月11日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】遮音床材
(51)【国際特許分類】
E04F 15/20 20060101AFI20210621BHJP
E04F 15/02 20060101ALI20210621BHJP
E04F 15/10 20060101ALI20210621BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20210621BHJP
B32B 27/26 20060101ALI20210621BHJP
B32B 27/10 20060101ALI20210621BHJP
B32B 5/24 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
E04F15/20
E04F15/02 A
E04F15/10 104A
B32B27/32 E
B32B27/26
B32B27/10
B32B5/24 101
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-563090(P2019-563090)
(86)(22)【出願日】2019年8月12日
(65)【公表番号】特表2020-535330(P2020-535330A)
(43)【公表日】2020年12月3日
(86)【国際出願番号】KR2019010223
(87)【国際公開番号】WO2020045857
(87)【国際公開日】20200305
【審査請求日】2019年11月8日
(31)【優先権主張番号】10-2018-0102749
(32)【優先日】2018年8月30日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519399958
【氏名又は名称】ドンシンポリマー カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】593054941
【氏名又は名称】伸興化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オー,ドン ジン
【審査官】
河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】
特開2018−048538(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02030775(EP,A1)
【文献】
特開2000−001561(JP,A)
【文献】
韓国登録特許第10−1149890(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/20
B32B 5/24
B32B 27/10
B32B 27/26
B32B 27/32
E04F 15/02
E04F 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数層と、
前記複数層の下に形成される第1のバランス層と、
前記第1のバランス層の下に形成される第2のバランス層と、
前記第2のバランス層の下に形成されるプライマー層と、
前記プライマー層の下に形成されるPEフォーム層と、
前記PEフォーム層の下に形成されるPE離型紙層と、を含み、
前記プライマー層は、第1の組成物と、第2の組成物と、硬化剤と、を含み、
前記第1の組成物は、
レジンと、
プロパノールと、
1−メトキシ−2−プロパノールと、
酢酸プロピルと、
イソプロパノールと、
ブタノンと、
水と、
を含む遮音床材。
【請求項2】
前記PEフォーム層は、ガンマ線架橋PEフォームである請求項1に記載の遮音床材。
【請求項3】
前記ガンマ線架橋PEフォームは、低密度ポリエチレンをマトリックス樹脂とし、重炭酸ナトリウムを発泡剤として形成される請求項2に記載の遮音床材。
【請求項4】
前記ガンマ線の照射量は、120〜150kGyである請求項2に記載の遮音床材。
【請求項5】
前記複数層は、コート層と、表地層と、印刷層と、中地層と、ガラスファイバー層と、下地層と、を含む請求項1に記載の遮音床材。
【請求項6】
前記第1の組成物100重量部を基準に、前記第2の組成物が、45〜55重量部である請求項1に記載の遮音床材。
【請求項7】
前記1−メトキシ−2−プロパノールに比して、前記ブタノンの重量比は、1:1.5〜1:3.5である請求項1に記載の遮音床材。
【請求項8】
前記第1の組成物は、35〜45wt%のレジン、1〜10wt%のプロパノール、5〜15wt%の1−メトキシ−2−プロパノール、1〜10wt%の酢酸プロピル、1〜5wt%のイソプロパノール、及び15〜25wt%のブタノンを含む請求項1に記載の遮音床材。
【請求項9】
前記第2の組成物は、イソプロピルアルコールと、酢酸エチルと、メチルエチルケトンと、を含む請求項1に記載の遮音床材。
【請求項10】
前記イソプロピルアルコールに比して、前記メチルエチルケトンの重量比は、1:2.5〜1:3.5である請求項9に記載の遮音床材。
【請求項11】
前記イソプロピルアルコールに比して、前記酢酸エチル及びメチルエチルケトンの重量比は、1:5.5〜1:6.5である請求項9に記載の遮音床材。
【請求項12】
前記イソプロピルアルコールは、15〜25wt%、前記酢酸エチルは、35〜45wt%、前記メチルエチルケトンは、35〜45wt%である請求項9に記載の遮音床材。
【請求項13】
前記硬化剤は、50〜60wt%の酢酸エチルエステルを含む請求項1に記載の遮音床材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遮音床材に係り、より詳細には、建物の床やフローリングに適用可能な、耐熱性、遮音性、付着力を改善した遮音床材に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建物の床やフローリングには、床マットやタイルなどの床(装飾)材が施工される。床マットやタイルなどの床材としては、軽くて、柔軟性があり、クッション性及び吸音性などに優れた塩化ビニルを主材料として製造される。
【0003】
床材は、ポリ塩化ビニル(PVC、Poly Vinyl Chloride)、又は、塩化ビニルに他の素材を混合又は合紙して製造される。このような床材は、通常、透明層、印刷層、樹脂含浸寸法補強層、発泡層、及び均衡層など、複数の層で積層して構成される。透明層は、印刷層に印刷されたインク面を保護する機能、印刷層は、色や柄を付与して装飾する機能、樹脂含浸寸法補強層は、ウレタン樹脂が含浸処理されたガラスファイバー(Glass−Fiber)であって、製品の寸法安全性を補強する機能、発泡層は、クッションを付与する機能、そして、均衡層は、補強及び底面との安着機能を果たす。
【0004】
透明フィルム層の上端には、必要によって、耐磨耗性や耐スクラッチ性の向上のためのコート層を更に形成することができる。床材は、用途によって、各層を加減して製作され、以下の特許文献に記載されているように、広範囲な分野で使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】大韓民国特許登録公報第10−0510836号(2005.08.30登録)
【特許文献2】大韓民国特許登録公報第10−0600841号(2006.07.06登録)
【特許文献3】大韓民国特許登録公報第10−1149890号(2012.05.18登録)
【0006】
従来の床材は、耐熱性、遮音性、及び付着力を全て満たしておらず、機能的で且つ耐久性に優れた床材が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、耐熱性、遮音性、及び付着力を満たす遮音床材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記技術的課題を達成するための本発明による遮音床材は、複数層と、前記複数層の下に形成される第1のバランス層と、前記第1のバランス層の下に形成される第2のバランス層と、前記第2のバランス層の下に形成されるプライマー層と、前記プライマー層の下に形成されるPEフォーム層と、前記PEフォーム層の下に形成されるPE離型紙層と、を含む。
【0009】
前記プライマー層は、第1の組成物と、第2の組成物と、硬化剤と、を含む組成物から形成され、前記第1の組成物は、レジンと、プロパノールと、1−メトキシ−2−プロパノールと、酢酸プロピルと、イソプロパノールと、ブタノンと、水と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明による遮音床材は、所定の成分のプライマー層を含むことにより、耐熱性及び付着力を向上し、
ガンマ線架橋PEフォームを適用することによって、更なる遮音性を改善している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明による遮音床材の一実施例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明による好適な実施例を詳しく説明する。但し、本発明を説明することに当たり、公知の機能又は構成の説明は、本発明の要旨を明瞭にするために省略する。
【0013】
図1は、本発明による遮音床材の一実施例を示している。
【0014】
図1に示すように、本発明による遮音床材は、複数層100と、第1のバランス層200と、第2のバランス層300と、プライマー層400と、PEフォーム層500と、PE離型紙層600とを含む。複数層100、第1のバランス層200、第2のバランス層300、プライマー層400、PEフォーム層500、及びPE離型紙層600が、順に形成される。すなわち、複数層100の下に第1のバランス層200が、第1のバランス層200の下に第2のバランス層300が、第2のバランス層300の下にプライマー層400が、プライマー層400の下にPEフォーム層500が、PEフォーム層500の下にPE離型紙層600が形成される。
【0015】
ここで、‘下’とは、該当層の直ぐ下面となり得るが、これに限定されるものではなく、層の間に別の層が形成されることができる。
【0016】
複数層100は、
図1に示すように、コート層110と、表地層120と、印刷層130と、中地層140と、ガラスファイバー層150と、下地層160と、を含む。
【0017】
コート層110は、UVコート層が望ましく、表地層120の上に形成され、5〜12μmの厚さであるのが望ましい。表地層120は、コート層110の下に形成され、PVC100重量部に対して、可塑剤25〜35重量部を含み、0.40〜0.70mm厚さであるのが望ましい。印刷層130は、表地層120の下に形成され、PVC100重量部に対して、可塑剤6〜10重量部を含み、0.05〜0.10mmの厚さであるのが望ましい。
【0018】
中地層140は、印刷層130の下に形成され、PVC100重量部に対して、可塑剤40〜60重量部と、110〜130メッシュサイズのCaCO3400〜550重量部とを含み、マグネシウムの含水珪酸塩鉱物の粉末であるタルク(TALC)又は麦飯石粉末を更に含むことができる。ここで、タルクは、雲母のような結晶構造を有する単斜晶系に属する岩石であって、色は、白色、銀白色、淡緑色などであり、パイロフィライトと同様に、2:1型フィロケイ酸塩に属し、一方、微細粉末を医薬・工業方面では、滑石粉末と言う。中地層140は、0.5〜0.8mmの厚さであるのが望ましい。
【0019】
ガラスファイバー層150は、中地層140の下に形成され、PVC100重量部に対して、可塑剤60〜90重量部と、補強用無機系フィラーであるCaCO350〜70重量部とを混合して、容器内でゾル(sol)状態で設け、該当容器内にガラスファイバーを含浸して乾燥することによって設けられ、中地層140と下地層160の間の合紙を可能とする。ガラスファイバー層150には、例えば、G/Fを55g/cm
2含有することができる。ガラスファイバー層150は、製品周囲の温度で敏感に影響する収縮、膨張、カーリングを防止する機能を果たし、ガラスファイバー層150がないと、実際の床に施工して使用する床材を生産することができない。ガラスファイバー層150は、0.35〜0.55mmの厚さであるのが望ましい。
【0020】
下地層160は、ガラスファイバー層150の下に形成され、PVC100重量部に対して、可塑剤40〜60重量部と、60〜80メッシュサイズのCaCO3400〜550重量部とを含み、1.8〜2.5mmの厚さであるのが望ましい。
【0021】
第1のバランス層200は、下地層160の下に形成され、PVC100重量部に対して、可塑剤20〜30重量部を含み、0.2〜1.0mmの厚さであるのが望ましい。
【0022】
第2のバランス層300は、第1のバランス層200の下に形成され、PVC100重量部に対して、可塑剤20〜30重量部を含み、生産性の効率を向上するために、第1のバランス層200と同じ厚さであるのが望ましい。
【0023】
プライマー層400は、第2のバランス層300の下に形成され、第1の組成物と、第2組成物と、硬化剤とを含み、第1の組成物100重量部を基準に、第2組成物を、45〜55重量部、硬化剤を、4〜6重量部含むのが望ましい。接着力を向上させるために、コロナ処理、又は、コロナ処理とプライマーコートの併合が考えられるが、本発明の第2のバランス層は、PVC素材を中心として設計されるため、コロナ処理は適していない。
【0024】
プライマー層400の形成工程を説明すると、第2のバランス層300の下に、第1の組成物、第2の組成物、及び硬化剤を含むプライマー組成物をコーティングし、コーティング後、50℃の乾燥ボックスで熱風乾燥を行い、40℃の熟成室で40〜50時間の熟成を行って、プライマー層400を、第2のバランス層300の下に形成する。
【0025】
本発明の第1の組成物は、レジンと、プロパノールと、1−メトキシ−2−プロパノールと、酢酸プロピルと、イソプロパノールと、ブタノンと、水とを含む。第1の組成物は、プライマー層400を形成する基本成分の組成物である。
【0026】
レジンは、ウレタン系樹脂、エポキシ樹脂など、プライマーとして使用可能な様々な樹脂成分であり、35〜45wt%を含む。プロパノール(PROPANOL)は、化学式CH3CH2CH2OHで示される1−プロパノール(1−Propanol)であり、キャスナンバー(CAS No.)71−23−8の物質であって、プロピルアルコール(Propyl alcohol)である。1−メトキシ−2−プロパノール(1−METHOXY−2−PROPANOL)は、化学式CH3CH(OH)CH2OCH3で示されるキャスナンバー(CAS No.)107−98−2の物質である。酢酸プロピル(Propyl Acetate)は、化学式CH3COOCH2CH2CH3で示されるキャスナンバー(CAS No.)109−60−4の物質である。イソプロパノール(Isopropanol)は、化学式(CH3)2CHOHで示されるキャスナンバー(CAS No.)67−63−0物質である。ブタノン(Butanone)は、化学式C2H5COCH3で示されるキャスナンバー(CAS No.)78−93−3物質である。1−メトキシ−2−プロパノールに比して、ブタノンの重量比は、1:1.5〜1:3.5の範囲で含まれる。
【0027】
下記の表1は、1−メトキシ−2−プロパノールとブタノンの重量比によって、付着力の変化を示している。第2のバランス層300とPEフォーム層500の間に、プライマー層400を形成して、KS F 2561の付着力試験方法で付着強度をテストしている。後述する第2の組成物と硬化剤は、所定の含量を固定してテストを行っている。
【0029】
表1に示すように、プライマー層400に含まれた第1の組成物の1−メトキシ−2−プロパノールとブタノンの重量比によって、付着強度が変化することが分かる。1−メトキシ−2−プロパノールとブタノンの重量比が1:1.5の場合、急激に付着強度が上昇し、1:4であるとき、付着強度が劣化し、1:1.5〜1:3.5であるとき、最適の付着強度を有することが分かる。
【0030】
第1の組成物は、レジン35〜45wt%、プロパノール1〜10wt%、1−メトキシ−2−プロパノール5 〜15wt%、酢酸プロピル1〜10wt%、イソプロパノール1〜5wt%、及びブタノン15〜25wt%を含む。本物質の含量範囲は、物質の有機的な結合関係による本発明の目的を達成し得る最適の含量範囲であり、これは、実験的に確認されている。
【0031】
第2の組成物は、イソプロピルアルコール(Isopropyl alcohol)と、酢酸エチル(Ethyl acetate)と、メチルエチルケトン(Methyl ethyl ketone)とを含む。イソプロピルアルコールは、15〜25wt%、酢酸エチルは、35〜45wt%、メチルエチルケトンは、35〜45wt%を含む。第2の組成物は、希釈剤の用途として使用可能である。
【0032】
ここで、イソプロピルアルコールに比して、メチルエチルケトンの重量比は、1:2.5〜1:3である。下記の表2は、イソプロピルアルコールに比して、メチルエチルケトンの重量比による付着力(付着強度)、及び耐熱性をテストした結果である。付着力は、KS F2561の付着力試験方法で、前記表1の方法と同様に行っており、耐熱性は、130℃のオーブン内で変色(黄変)される時間を測定した。第1の組成物と硬化剤は、所定の含量を固定してテストを行っている。
【0034】
表2に示すように、第2の組成物のイソプロピルアルコールに比して、メチルエチルケトンの重量比によって、付着強度及び耐熱性が変わることが分かる。イソプロピルアルコールに比して、メチルエチルケトンの重量比による付着強度は、イソプロピルアルコールに比して、メチルエチルケトンの重量比が1:2〜1:3.5であるとき、最適であり、耐熱性は、1:2.5以上であるとき、最適であることが分かる。そこで第2の組成物のイソプロピルアルコールに比して、メチルエチルケトンの重量比は、1:2.5〜1:3.5であるとき、付着強度と耐熱性がいずれも優れていることが分かる。
【0035】
ここで、イソプロピルアルコールに比して、酢酸エチル及びメチルエチルケトンの重量比は、1:5.5〜1:6.5であることが最も望ましいが、これは、1:5.5未満の場合は、付着力が劣化し、1:6.5を超える場合は、耐熱性が劣化することを、実験から確認したためである。
【0036】
硬化剤は、50〜60wt%の酢酸エチルエステル(Acetic acid ethyl ester)と、40〜50wt%のレジンとを含む。
【0037】
第1の組成物100重量部を基準に、第2の組成物が、45〜55重量部である。
【0038】
下記の表3は、第1の組成物100重量部を基準に、第2の組成物の重量による付着力及び耐熱性をテストした結果である。テスト方法は、表1及び表2の方法と同様である。第2の組成物は、イソプロピルアルコール: 酢酸エチル:メチルエチルケトンの重量比(組成比)を、2:4:4としてテストしている。
【0040】
表3に示すように、第1の組成物100重量部を基準に、第2の組成物の重量によって、付着強度及び耐熱性が変わることが分かる。付着強度は、第1の組成物100重量部を基準に、第2の組成物の重量が45〜55重量部であるとき、最適であり、耐熱性は、45重量部以上であるとき、最適であることが分かる。そこで、第1の組成物100重量部を基準に、第2の組成物の重量は、45〜55重量部であるとき、付着強度及び耐熱性がいずれも優れていることが分かる。
【0041】
プライマー層400は、第1の組成物、第2の組成物、及び硬化剤を含むプライマー組成物を、第2のバランス層の下に、45〜50μmでコーティングして、50℃の乾燥ボックスで1次乾燥した後、40℃の熟成室における熟成過程を経て、プライマー層を形成する。プライマー層400がコーティングされた第2のバランス層300は、第1のバランス層200の下に合紙して形成される。プライマー層が45μm以下の場合は、付着力が劣化するという問題があり、50μm以上の場合は、耐熱性が劣化するという問題がある。
【0042】
PEフォーム層500は、プライマー層400の下に形成され、
ガンマ線架橋PEフォームである。
ガンマ線架橋PEフォームは、低密度ポリエチレンをマトリックス樹脂とし、重炭酸ナトリウム(sodium bicarbonate)を発泡剤として形成される。こうして本発明は、
ガンマ線架
橋PEフォームで均一な発泡層を形成することができ、これによって、遮音性が向上するということを、実験から確認している。また、一般のPEフォームよりも、プライマー層400の付着力が更に向上することを、実験から確認している。
【0043】
ガンマ線の照射量は、120〜150kGyである。
【0044】
下記の表4は、ガンマ線の照射量による遮音性及び寸法変化率をテストした結果である。テストは、
図1に示しているような完成品を対象として、ガンマ線の照射量によるPEフォーム層だけを異にして、テストを行った。遮音性(吸音性)は、軽量衝撃音テスト(測定方法: 500gのハンマーを10cm間隔で5つ配列し、それぞれ、4cmの高さより0.1秒間隔で連続して自由落下した後、タッピングマシン(Tapping Machine)で測定しており、寸法変化率は、80℃の温度で24時間加熱した後、収縮又は膨張する寸法を測定し、百分率で計算している。
【0046】
表4に示すように、ガンマ線の照射量によって、遮音性及び寸法変化率が変わることが分かる。遮音性は、ガンマ線の照射量が120〜160kGyであるとき、最適であり、寸法変化率は、ガンマ線照射量が120〜150kGyであるとき、最適であることが分かる。そこで、PEフォーム層の形成に際して、ガンマ線照射量が120〜150kGyであるとき、本発明の遮音床材の遮音性及び寸法変化率が最適であることが分かる。このような遮音性及び寸法変化率は、ガンマ線照射量によるMD(Mechanical Direction)とTD(Transverse Direction)の引張率変化による実験結果とも一致することを、実験から確認したことがある。すなわち、ガンマ線照射量が120〜150kGyであるとき、MD(Mechanical Direction)の引張率が、TD(Transverse Direction)の引張率よりも急激に大きくなることを実験から確認している。
【0047】
他の一実施形態として、PEフォーム層500は、密度が均一に変わるPEフォーム層から形成することができる。密度は、上部、すなわち、プライマー層400と接合する面の密度が高く、下部に行くほど、低くなる形態で形成される。
【0048】
PE離型紙層600は、PEフォーム層500の下に形成される。PE離型紙層600は、ポリエチレンシートであり、ポリエチレン樹脂をコーティング又は含浸した紙を含む。PE離型紙層600は、製品の接着時、剥離して使用するのが望ましい。
【0049】
PEフォーム層500とPE離型紙層600の間には、PEフォーム層500とPE離型紙層600の接着力を向上するために、別の粘着層10を追加することができる。
【0050】
本発明による遮音床材は、カレンダー圧延工程を適用して形成するのが望ましい。カレンダー圧延工程に関する技術は、当業者にとって公知の技術であって、該当説明は、省略することにする。すなわち、公知のカレンダー圧延工程の様々な実施形態が、本発明の床材製造工程に適用可能である。
【0051】
本発明は、前述した実施例に限定されるものではなく、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく、様々に修正及び変形可能であることは、当該技術の分野における通常の知識を有する者にとって自明である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明による遮音床材は、付着力、耐熱性、及び遮音性に優れており、建物の床やフローリングに適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
10 粘着層
100 複数層
110 コート層
120 表地層
130 印刷層
140 中地層
150 ガラスファイバー層
160 下地層
200 第1のバランス層
300 第2のバランス層
400 プライマー層
500 PEフォーム層
600 PE離型紙層