特許第6896897号(P6896897)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6896897
(24)【登録日】2021年6月11日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】m−ジアミド化合物の調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 231/12 20060101AFI20210621BHJP
   C07C 237/42 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
   C07C231/12
   C07C237/42
【請求項の数】18
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2020-5077(P2020-5077)
(22)【出願日】2020年1月16日
(65)【公開番号】特開2021-66723(P2021-66723A)
(43)【公開日】2021年4月30日
【審査請求日】2020年1月16日
(31)【優先権主張番号】201911023386.7
(32)【優先日】2019年10月25日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518383921
【氏名又は名称】南通泰禾化工股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(72)【発明者】
【氏名】朱錦涛
(72)【発明者】
【氏名】呂亮
(72)【発明者】
【氏名】黄超群
(72)【発明者】
【氏名】羅亮明
(72)【発明者】
【氏名】張栄
【審査官】 高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第109497062(CN,A)
【文献】 国際公開第2013/150988(WO,A1)
【文献】 特表2011−529939(JP,A)
【文献】 特開昭60−075443(JP,A)
【文献】 特表2000−516941(JP,A)
【文献】 特開2009−013158(JP,A)
【文献】 特開平08−027054(JP,A)
【文献】 特開昭52−062201(JP,A)
【文献】 特開2010−047478(JP,A)
【文献】 Org. Process Res. Dev.,2020年 4月 7日,24,1024−1031
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 231/12
C07C 237/42
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)以下の反応式のように、2−フルオロ−3−ニトロベンゾイルクロリドと4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)アニリンとを縮合反応させ、2−フルオロ−3−ニトロ−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドを取得するステップと、
【化1】
(2)以下の反応式のように、2−フルオロ−3−ニトロ−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドを還元反応させ、3−アミノ−2−フルオロ−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドを取得するステップと、
【化2】
(3)以下の反応式のように、3−アミノ−2−フルオロ−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドとアルキル化剤とをアルキル化反応させ、2−フルオロ−3−(アルキルアミノ)−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドを取得するステップと、
【化3】
(4)以下の反応式のように、2−フルオロ−3−(アルキルアミノ)−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドと式IIに示す酸クロリド化合物とを反応させ、2−フルオロ−3−(アルキルベンズアミド)−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドを取得するステップと、
【化4】
(5)以下の反応式のように、2−フルオロ−3−(アルキルベンズアミド)−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドを臭素化反応させ、式Iに示すm−ジアミド化合物を取得するステップと、
【化5】
を含み、
ステップ(5)における臭素化反応は、臭化物および酸化剤の存在下で行われ、
前記臭化物が、アルカリ金属の臭素化塩、アルカリ土類金属の臭素化塩、臭化水素酸、臭素、臭化アンモニウムのうちの1種または少なくとも2種の組み合わせであり、
ステップ(5)における2−フルオロ−3−(アルキルベンズアミド)−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドと臭化物とのモル比が1:(0.55〜2.0)であり、
前記酸化剤が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、亜塩素酸塩、または次亜塩素酸塩のうちの1種または少なくとも2種の組み合わせであり、
ステップ(5)における2−フルオロ−3−(アルキルベンズアミド)−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドと酸化剤とのモル比が1:(0.2〜2.0)であり、
ステップ(5)における臭素化反応が、塩基性物質の存在下で行われ、
前記塩基性物質が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、および炭酸水素塩のうちの1種または少なくとも2種の組み合わせであり、
前記2−フルオロ−3−(アルキルベンズアミド)−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドと塩基性物質とのモル比が1:(0〜3.0)である、ことを特徴とする式Iの構造を有するm−ジアミド化合物の調製方法。
(ただし、Rは、メチル基または
【化6】
であり、Rは、水素またはフッ素である。)
【請求項2】
ステップ(1)における2−フルオロ−3−ニトロベンゾイルクロリドは、2−フルオロ−3−ニトロ安息香酸と酸クロリド化剤とを反応させ、2−フルオロ−3−ニトロベンゾイルクロリドを取得するステップAにより調製することができる、ことを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項3】
ステップAにおける酸クロリド化剤は、塩化チオニル、トリホスゲン、塩化オキサリル、三塩化リン、または五塩化リンのうちの1種または少なくとも2種の組み合わせであり
テップAにおける2−フルオロ−3−ニトロ安息香酸と酸クロリド化剤とのモル比が1:(0.33〜2.5)である、ことを特徴とする請求項2に記載の調製方法。
【請求項4】
ステップAにおける反応の溶媒が、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、またはジクロロベンゼンのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであり、
ステップAにおける2−フルオロ−3−ニトロ安息香酸と溶媒との質量比が1:(1〜5)である、ことを特徴とする請求項2に記載の調製方法。
【請求項5】
ステップAにおける反応の温度が40〜180℃であり、
ステップAにおける反応の時間が3〜8hである、ことを特徴とする請求項2に記載の調製方法。
【請求項6】
ステップ(1)における2−フルオロ−3−ニトロベンゾイルクロリドと4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)アニリンとのモル比が(1〜1.5):1であり
テップ(1)における反応の溶媒が、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、またはジクロロベンゼンのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであり
テップ(1)における4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)アニリンと溶媒との質量比が1:(1〜5)である、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項7】
ステップ(1)における反応が触媒の存在下で行われ、前記触媒が4−ジメチルアミノピリジンであり、
前記触媒の用量が、4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)アニリンの質量の0.1%〜5%である、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項8】
ステップ(1)における反応が終了した後、後処理を行い、前記後処理は、
反応系にアルカリ液を加え、80℃で10〜40min撹拌し、熱いうちに分液し、得られた有機層を室温まで冷却した後、0〜5℃において1〜3h撹拌し、濾過して乾燥し、2−フルオロ−3−ニトロ−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドを得るステップを含み、
前記アルカリ液が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、または炭酸水素塩水溶液のうちの1種または少なくとも2種の組み合わせである、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項9】
ステップ(1)における縮合反応の温度が40〜180℃であり、
テップ(1)における縮合反応の時間が3〜8hである、ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項10】
ステップ(2)における還元反応の触媒が、パラジウム炭素、白金炭素、またはラネーニッケルのうちのいずれか1種であり
記触媒は、有効物質の含有量が10%以上であり
テップ(2)における2−フルオロ−3−ニトロ−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドと触媒との質量比が1:(0.001〜0.01)である、ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項11】
ステップ(2)における還元反応において、還元剤が水素ガスであり、
ステップ(2)における還元反応において、水素ガスを通入した後の圧力を1.5〜3.0MPaにするように制御し、
ステップ(2)における還元反応の温度が25〜120℃であり、
ステップ(2)における還元反応の時間が8〜16hである、ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項12】
ステップ(3)におけるアルキル化剤は、ホルムアルデヒドまたはシクロプロパンカルボキシアルデヒドである、ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項13】
ステップ(3)におけるアルキル化剤がホルムアルデヒドである場合、前記3−アミノ−2−フルオロ−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドとホルムアルデヒドとのモル比が1:(2〜8)であり、
ステップ(3)におけるアルキル化剤がホルムアルデヒドである場合、前記アルキル化反応が濃硫酸の存在下で行われ、
前記3−アミノ−2−フルオロ−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドと濃硫酸との質量比が1:(3〜10)であり、
ステップ(3)におけるアルキル化剤がホルムアルデヒドである場合、ステップ(3)におけるアルキル化反応の温度が25〜100℃であり、
ステップ(3)におけるアルキル化剤がホルムアルデヒドである場合、ステップ(3)におけるアルキル化反応の時間が12〜24hである、ことを特徴とする請求項12に記載の調製方法。
【請求項14】
ステップ(3)におけるアルキル化剤がシクロプロパンカルボキシアルデヒドである場合、ステップ(3)におけるアルキル化反応は亜鉛粉末の存在下で行われ
−アミノ−2−フルオロ−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドと亜鉛粉末とのモル比が1:(1.5〜6)であり
テップ(3)におけるアルキル化剤がシクロプロパンカルボキシアルデヒドである場合、3−アミノ−2−フルオロ−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドとシクロプロパンカルボキシアルデヒドとのモル比が1:1.2〜3であり
ステップ(3)におけるアルキル化剤がシクロプロパンカルボキシアルデヒドである場合、ステップ(3)におけるアルキル化反応が酢酸の存在下で行われ
−アミノ−2−フルオロ−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドと酢酸とのモル比が1:(3〜12)であり
テップ(3)におけるアルキル化剤がシクロプロパンカルボキシアルデヒドである場合、前記アルキル化反応の温度が30〜90℃であり
テップ(3)におけるアルキル化剤がシクロプロパンカルボキシアルデヒドである場合、前記アルキル化反応の時間が1〜4hであり
テップ(3)におけるアルキル化剤がシクロプロパンカルボキシアルデヒドである場合、前記アルキル化反応の溶媒が、メタノール、酢酸エチル、1,2−ジクロロエタン、トルエン、またはキシレンのうちの1種または少なくとも2種の組み合わせである、ことを特徴とする請求項12に記載の調製方法。
【請求項15】
ステップ(4)における2−フルオロ−3−(アルキルアミノ)−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドと式IIに示す酸クロリド化合物とのモル比が1:(1〜1.5)であり
テップ(4)における反応が触媒の存在下で行われ、前記触媒が4−ジメチルアミノピリジンであり
記触媒の用量が、2−フルオロ−3−(アルキルアミノ)−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドの質量の0.1%〜5%である、ことを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項16】
ステップ(4)における反応の溶媒が、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、またはジクロロベンゼンのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであり、
ステップ(4)における2−フルオロ−3−(アルキルアミノ)−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドと溶媒との質量比が1:(2〜8)であり、
ステップ(4)における反応の温度が40〜180℃であり、
ステップ(4)における反応の時間が1〜6hである、ことを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項17】
ステップ(4)における反応が終了した後、後処理を行い、前記後処理は、
反応系にアルカリ液を加え、80℃で10〜40min撹拌し、熱いうちに分液し、2−フルオロ−3−(アルキルベンズアミド)−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドを取得するステップを含み、
前記アルカリ液が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、または炭酸水素塩水溶液のうちの1種または少なくとも2種の組み合わせである、ことを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項18】
ステップ(5)における臭素化反応の温度が0〜150℃である、ことを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農薬殺虫剤の合成の技術分野に属し、m−ジアミド化合物の調製方法に関し、特に、アミド系殺虫剤Broflanilideおよびその類似体シクロプロピルブロフラニリドの調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Broflanilideはm−ジアミド化合物であり、具体的には、m−ホルムアミドベンズアミド系構造であり、化学構造および作用メカニズムがいずれも従来のクロラントラニリプロール等のo−ジアミド系殺虫剤と著しく異なり、Broflanilideは、青果物、豆類、水稲等の農作物における鱗翅目、鞘翅目等の咀嚼性作物害虫に効率的な殺虫活性を有するだけでなく、更に、他の殺虫剤に耐性を生じる害虫、特に、クロラントラニリプロールおよびフィプロニルに耐性を生じる害虫を効果的に防除することもできる。Broflanilideを代表としてのm−ジアミド化合物は、独特な作用メカニズム、新規な作用標的、および環境に優しい等の特徴を有するため、国内外の農薬会社の研究ホットスポットになりつつあり、Broflanilide系化合物は、既に最も潜在力を有する殺虫剤の研究開発方向の1つとなっている。
【0003】
CN109497062Aに開示されたシクロプロピルブロフラニリド(化合物番号62)は、Broflanilideの基に研究開発された新たな殺虫剤であり、低用量で高い殺虫活性を有し、効き目が速く、施用してから1日後に殺虫活性を発揮することができ、3日間以内に高い殺虫活性を達成することができ、且つ良好な即効性を有する。
【0004】
【化7】
【0005】
今まで報道されたBroflanilideの合成は、主に3種類のプロセス経路を有し、既に報道されたシクロプロピルブロフラニリドの合成経路はBroflanilideに類似し、置換基のみが異なっている。
【0006】
経路1:
【化8】
【0007】
具体的には、経路1は以下のような問題がある。プロセス経路が長く、更に最終に原薬を合成する時、ジアミドを生成し、酸の用量が少なくともアミンの2.4倍を必要とし、且つ塩基を加えて加水分解する必要があるとともに、酸の回収操作を追加し、加水分解後に分液する時、水相および油相の色がいずれも濃く、見分けにくく、処理が複雑であり、原薬を合成する1ステップの収率が75%程度である。
【0008】
それと同時に、経路1の合成過程で、酸クロリドの調製中に、酸のアミド構造が破断してベンゾイルクロリドを生成し、更にアミンとの縮合により原薬を合成する時、除去しにくい不純物を生成することが発見された。
【0009】
経路2:
【化9】
【0010】
経路2は、同様にプロセス経路が長いという問題が存在し、且つ、ステップ8において、ヘプタフルオロイソプロピルの収率が63%だけであり、精製しにくく、最後に原薬を臭素化合成する時、高価なNBS試薬を使用する。
【0011】
経路3:
【化10】
【0012】
経路3において、ニトロ酸とアミンとの縮合中に、リチウムジイソプロピルアミドを使用する必要があり、コストが高く、且つ−70℃の深冷が必要であり、工業化しにくく、1ステップの収率が34%だけであり、工業化生産に不利である。
【0013】
以上により、従来のBroflanilideおよびシクロプロピルブロフラニリドを調製する合成方法は、いずれも環境に優しくなく、収率が低く、精製しにくい等の欠点を有し、より適切な合成プロセスの開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来技術の不足に対し、本発明の目的は、m−ジアミド化合物の調製方法を提供することにあり、特に、殺虫剤Broflanilideおよびその類似体シクロプロピルブロフラニリドの調製方法を提供することにある。本発明は、合成経路が短く、複数ステップの反応がほぼ定量反応であり、副生成物が少なく、深冷高温を回避し、工業化生産に更に適するとともに、該経路は、原薬を合成するまで各ステップで分離しなくてもよく、高品質な原薬を取得するように異なる溶媒で分離を行ってもよい。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的を達成するために、本発明は以下の技術案を採用する。
【0016】
第1態様では、本発明は、
(1)以下の反応式のように、2−フルオロ−3−ニトロベンゾイルクロリドと4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)アニリン(本発明において、デカフルオロアニリンと略称される)とを縮合反応させ、2−フルオロ−3−ニトロ−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド(本発明において、ニトロアミドと略称される)を取得するステップと、
【化11】
(2)以下の反応式のように、2−フルオロ−3−ニトロ−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドを還元反応させ、3−アミノ−2−フルオロ−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド(本発明において、アミノアミドと略称される)を取得するステップと、
【化12】
(3)以下の反応式のように、3−アミノ−2−フルオロ−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドとアルキル化剤とをアルキル化反応させ、2−フルオロ−3−(アルキルアミノ)−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド(前記アルキル基Rがメチル基である場合、メチルアミノアミドと略称され、Rがシクロプロピルメチル基である場合、シクロプロピルアミノアミドと略称される)を取得するステップと、
【化13】
(4)以下の反応式のように、2−フルオロ−3−(アルキルアミノ)−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドと式IIに示す酸クロリド化合物とを反応させ、2−フルオロ−3−(アルキルベンズアミド)−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド(前記アルキル基Rがメチル基である場合、Broflanilideジアミドと略称され、Rがシクロプロピルメチル基である場合、シクロプロピルブロフラニリドジアミドと略称される)を取得するステップと、
【化14】
(5)以下の反応式のように、2−フルオロ−3−(アルキルベンズアミド)−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドを臭素化反応させ、式Iに示すm−ジアミド化合物(すなわち、Broflanilideまたはシクロプロピルブロフラニリド)を取得するステップと、
【化15】
を含む式Iの構造を有するm−ジアミド化合物の調製方法を提供する。
(ただし、Rは、メチル基または
【化16】
であり、Rは、水素またはフッ素である。)
【0017】
本発明の調製方法において、複数ステップの反応がほぼ定量反応であり、副生成物が少なく、深冷高温反応を回避し、更に、最後のステップで特定の部位に臭素原子を導入することを実現でき、生産率が高く、工業化生産に更に適するとともに、該経路は、原薬を合成するまで各ステップで分離しなくてもよく、または簡単な溶媒分離により高純度の生成物を取得することができる。
【0018】
本発明において、ステップ(1)における2−フルオロ−3−ニトロベンゾイルクロリドは、2−フルオロ−3−ニトロ安息香酸と酸クロリド化剤とを反応させ、2−フルオロ−3−ニトロベンゾイルクロリドを取得するステップAにより調製することができる。
【0019】
好ましくは、ステップAにおける酸クロリド化剤は、塩化チオニル、トリホスゲン、塩化オキサリル、三塩化リン、または五塩化リンのうちの1種または少なくとも2種の組み合わせであり、塩化チオニルまたはトリホスゲンであることが好ましい。
【0020】
好ましくは、ステップAにおける2−フルオロ−3−ニトロ安息香酸と酸クロリド化剤とのモル比が1:(0.33〜2.5)であり、例えば、1:0.33、1:0.5、1:0.7、1:0.9、1:1、1:1.3、1:1.5、1:1.8、1:2、1:2.2、1:2.5等であり、1:(0.5〜2.0)であることが好ましい。
【0021】
好ましくは、ステップAにおける反応の溶媒が、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、またはジクロロベンゼンのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであり、トルエンおよび/またはキシレンであることが好ましい。
【0022】
好ましくは、ステップAにおける2−フルオロ−3−ニトロ安息香酸と溶媒との質量比が1:(1〜5)であり、例えば、1:1、1:1.3、1:1.5、1:1.8、1:2、1:2.3、1:2.5、1:2.8、1:3、1:3.3、1:3.5、1:3.8、1:4、1:4.3、1:4.5、1:4.8、または1:5であり、1:(2〜4)であることが好ましい。
【0023】
好ましくは、ステップAにおける反応の温度が40〜180℃であり、例えば、40℃、50℃、60℃、80℃、100℃、120℃、140℃、150℃、170℃、または180℃であり、110〜140℃であることが好ましい。
【0024】
好ましくは、ステップAにおける反応の時間が3〜8hであり、例えば、3h、3.3h、3.5h、3.8h、4h、4.5h、4.8h、5h、5.3h、5.5h、5.8h、6h、6.5h、6.8h、7h、7.5h、7.8h、または8hであり、4〜6hであることが好ましい。
【0025】
好ましくは、ステップ(1)における2−フルオロ−3−ニトロベンゾイルクロリドと4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)アニリンとのモル比が(1〜1.5):1であり、例えば、1:1、1.1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、または1.5:1であり、(1.1〜1.3):1であることが好ましい。
【0026】
好ましくは、ステップ(1)における反応の溶媒が、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、またはジクロロベンゼンのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであり、トルエンおよび/またはキシレンであることが好ましい。
【0027】
好ましくは、ステップ(1)における4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)アニリンと溶媒との質量比が1:(1〜5)であり、例えば、1:1、1:1.2、1:1.5、1:1.8、1:2、1:2.2、1:2.4、1:2.5、1:2.7、1:2.8、1:2.9、1:3、1:3.2、1:3.4、1:3.6、1:3.8、1:4、1:4.3、1:4.5、1:4.8、または1:5であり、1:(2〜4)であることが好ましい。
【0028】
好ましくは、ステップ(1)における反応が触媒の存在下で行われ、前記触媒が4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)である。
【0029】
好ましくは、前記触媒の用量が、4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)アニリンの質量の0.1%〜5%であり、例えば、0.1%、0.3%、0.5%、0.8%、1%、1.5%、1.8%、2%、2.3%、2.5%、2.8%、3%、3.5%、3.8%、4%、4.5%、または5%等である。
【0030】
好ましくは、ステップ(1)における反応が終了した後、後処理を行い、前記後処理は、
反応系にアルカリ液を加え、80℃で10〜40min(例えば、10min、15min、18min、20min、23min、25min、28min、30min、35min、または40min)撹拌し、熱いうちに分液し、得られた有機層を室温まで冷却した後、0〜5℃(例えば、0℃、1℃、2℃、3℃、4℃、または5℃)において1〜3h(例えば、1h、1.3h、1.5h、1.8h、2h、2.3h、2.5h、2.8h、または3h)撹拌し、濾過して乾燥し、2−フルオロ−3−ニトロ−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドを取得するステップを含む。
【0031】
本発明のステップ(1)における反応が終了した後の後処理において、アルカリ液を加えた後の撹拌温度を80℃に保持する必要があり、温度が低すぎると、材料の析出が起こり、温度が高すぎると、副反応が生じる。
【0032】
好ましくは、前記アルカリ液が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、または炭酸水素塩水溶液のうちの1種または少なくとも2種の組み合わせであり、水酸化ナトリウム溶液または炭酸ナトリウム溶液であることが好ましい。
【0033】
好ましくは、ステップ(1)における縮合反応の温度で40〜180℃であり、例えば、40℃、50℃、60℃、80℃、100℃、120℃、140℃、150℃、170℃、または180℃であり、110〜140℃であることが好ましい。
【0034】
好ましくは、ステップ(1)における縮合反応の時間が3〜8hであり、例えば、3h、3.3h、3.5h、3.8h、4h、4.5h、4.8h、5h、5.3h、5.5h、5.8h、6h、6.5h、6.8h、7h、7.5h、7.8h、または8hであり、4〜6hであることが好ましい。
【0035】
好ましくは、ステップ(2)における還元反応の触媒が、パラジウム炭素、白金炭素、またはラネーニッケルのうちのいずれか1種であり、パラジウム炭素または白金炭素触媒であることが好ましい。
【0036】
好ましくは、前記触媒は、有効物質の含有量が10%以上であり、10%のパラジウム炭素触媒であることが好ましい。
【0037】
好ましくは、ステップ(2)における2−フルオロ−3−ニトロ−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドと触媒との質量比が1:(0.001〜0.01)であり、例えば、1:0.001、1:0.003、1:0.004、1:0.005、1:0.006、1:0.007、1:0.008、または1:0.01であり、1:(0.003〜0.006)であることが好ましい。
【0038】
好ましくは、ステップ(2)における還元反応において、還元剤が水素ガスである。
【0039】
好ましくは、ステップ(2)における還元反応において、水素ガスを通入した後の圧力を1.5〜3.0MPaにするように制御し、例えば、1.5MPa、1.7MPa、1.9MPa、2MPa、2.2MPa、2.5MPa、2.8MPa、または3MPaにし、2.0〜2.5MPaにすることが好ましい。
【0040】
好ましくは、ステップ(2)における還元反応の温度が25〜120℃であり、例えば、25℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、または120℃であり、40〜100℃であることが好ましい。
【0041】
好ましくは、ステップ(2)における還元反応の時間が8〜16hであり、例えば、8h、9h、10h、11h、12h、13h、14h、15h、または16hであり、10〜14hであることが好ましい。
【0042】
好ましくは、ステップ(3)におけるアルキル化剤が、ホルムアルデヒドまたはシクロプロパンカルボキシアルデヒドである。
【0043】
好ましくは、ステップ(3)におけるアルキル化剤がホルムアルデヒドである場合、前記3−アミノ−2−フルオロ−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドとホルムアルデヒドとのモル比が1:(2〜8)であり、例えば、1:2、1:2.5、1:2.8、1:3、1:3.3、1:3.5、1:3.8、1:4、1:4.5、1:5、1:5.5、1:5.8、1:6、1:6.5、1:6.8、1:7、1:7.5、1:7.8、1:8であり、1:(4〜6)であることが好ましい。
【0044】
好ましくは、ステップ(3)におけるアルキル化剤がホルムアルデヒドである場合、前記アルキル化反応が濃硫酸の存在下で行われ、ステップ(3)において、濃硫酸も溶媒とする。
【0045】
好ましくは、前記3−アミノ−2−フルオロ−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドと濃硫酸との質量比が1:(3〜10)であり、例えば、1:3、1:3.3、1:3.5、1:3.8、1:4、1:4.3、1:4.5、1:4.8、1:5、1:5.5、1:6、1:6.5、1:7、1:7.5、1:8、1:8.5、1:9、1:9.5、または1:10であり、1:(4〜6)であることが好ましい。
【0046】
好ましくは、ステップ(3)におけるアルキル化剤がホルムアルデヒドである場合、ステップ(3)におけるアルキル化反応の温度が25〜100℃であり、例えば、25℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、または100℃等であり、50〜80℃であることが好ましい。
【0047】
好ましくは、ステップ(3)におけるアルキル化剤がホルムアルデヒドである場合、ステップ(3)におけるアルキル化反応の時間が12〜24hであり、例えば、12h、14h、16h、18h、20h、22h、または24h等であり、14〜18hであることが好ましい。
【0048】
好ましくは、ステップ(3)におけるアルキル化剤がシクロプロパンカルボキシアルデヒドである場合、ステップ(3)におけるアルキル化反応が亜鉛粉末の存在下で行われる。
【0049】
好ましくは、3−アミノ−2−フルオロ−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドと亜鉛粉末とのモル比が1:(1.5〜6)であり、例えば、1:1.5、1:1.8、1:2、1:2.5、1:2.8、1:3、1:3.5、1:3.8、1:4、1:4.5、1:4.8、1:5、1:5.5、1:5.8、または1:6であり、1:(2〜4)であることが好ましい。
【0050】
好ましくは、ステップ(3)におけるアルキル化剤がシクロプロパンカルボキシアルデヒドである場合、3−アミノ−2−フルオロ−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドとシクロプロパンカルボキシアルデヒドとのモル比が1:1.2〜3であり、例えば、1:1.2、1:1.5、1:1.8、1:2、1:2.3、1:2.5、1:2.8、1:3であり、1:1.6〜2であることが好ましい。
【0051】
好ましくは、ステップ(3)におけるアルキル化剤がシクロプロパンカルボキシアルデヒドである場合、ステップ(3)におけるアルキル化反応が酢酸の存在下で行われる。
【0052】
好ましくは、3−アミノ−2−フルオロ−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドと酢酸とのモル比が1:(3〜12)であり、例えば、1:3、1:3.5、1:3.8、1:4、1:4.5、1:5、1:5.5、1:6、1:6.5、1:7、1:7.5、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:(4〜8)であることが好ましい。
【0053】
好ましくは、ステップ(3)におけるアルキル化剤がシクロプロパンカルボキシアルデヒドである場合、前記アルキル化反応の温度が30〜90℃であり、例えば、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、または90℃であり、40〜80℃であることが好ましい。
【0054】
好ましくは、ステップ(3)におけるアルキル化剤がシクロプロパンカルボキシアルデヒドである場合、前記アルキル化反応の時間が1〜4hであり、例えば、1h、1.5h、1.8h、2h、2.5h、2.8h、3h、3.3h、3.5h、3.8h、または4hであり、1.5〜2.5hであることが好ましい。
【0055】
好ましくは、ステップ(3)におけるアルキル化剤がシクロプロパンカルボキシアルデヒドである場合、前記アルキル化反応の溶媒が、メタノール、酢酸エチル、1,2−ジクロロエタン、トルエン、またはキシレンのうちの1種または少なくとも2種の組み合わせであり、酢酸エチル、トルエン、またはキシレンのうちの1種または少なくとも2種の組み合わせであることが好ましい。
【0056】
好ましくは、ステップ(4)における2−フルオロ−3−(アルキルアミノ)−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドと式IIに示す酸クロリド化合物とのモル比が1:(1〜1.5)であり、例えば、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、または1:1.5であり、1:(1.05〜1.1)であることが好ましい。
【0057】
好ましくは、ステップ(4)における反応が触媒の存在下で行われ、前記触媒が4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)である。
【0058】
好ましくは、前記触媒の用量が、2−フルオロ−3−(アルキルアミノ)−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドの質量の0.1%〜5%であり、例えば、0.1%、0.3%、0.5%、0.8%、1%、1.5%、1.8%、2%、2.3%、2.5%、2.8%、3%、3.5%、3.8%、4%、4.5%、または5%等である。
【0059】
好ましくは、ステップ(4)における反応の溶媒が、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、またはジクロロベンゼンのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであり、1,2−ジクロロエタンまたはトルエンであることが好ましい。
【0060】
好ましくは、ステップ(4)における2−フルオロ−3−(アルキルアミノ)−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドと溶媒との質量比が1:(2〜8)であり、例えば、1:2、1:2.5、1:2.8、1:3、1:3.5、1:3.8、1:4、1:4.5、1:5、1:5.5、1:6、1:6.5、1:7、1:7.5、または1:8であり、1:(4〜6)であることが好ましい。
【0061】
好ましくは、ステップ(4)における反応の温度が40〜180℃であり、例えば、40℃、50℃、60℃、80℃、100℃、120℃、140℃、150℃、170℃、または180℃であり、80〜110℃であることが好ましい。
【0062】
好ましくは、ステップ(4)における反応の時間が1〜6hであり、例えば、1h、1.5h、2h、2.5h、3h、3.5h、4h、4.5h、5h、5.5h、または6hであり、3〜5hであることが好ましい。
【0063】
好ましくは、ステップ(4)における反応が終了した後、後処理を行い、前記後処理は、
反応系にアルカリ液を加え、80℃で10〜40min(例えば、10min、15min、18min、20min、25min、30min、35min、40min等)撹拌し、熱いうちに分液し、2−フルオロ−3−(アルキルベンズアミド)−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドを取得するステップを含む。
【0064】
本発明のステップ(4)における反応が終了した後の後処理において、アルカリ液を加えた後の撹拌温度を80℃に保持する必要があり、温度が低すぎると、材料の析出が起こり、温度が高すぎると、副反応が生じる。
【0065】
好ましくは、前記アルカリ液が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、または炭酸水素塩水溶液のうちの1種または少なくとも2種の組み合わせであり、水酸化ナトリウム溶液または炭酸ナトリウム溶液であることが好ましい。
【0066】
好ましくは、ステップ(5)における臭素化反応が、臭化物および酸化剤の存在下で行われる。
【0067】
好ましくは、前記臭化物が、アルカリ金属の臭素化塩、アルカリ土類金属の臭素化塩、臭化水素酸、臭素、臭化アンモニウムのうちの1種または少なくとも2種の組み合わせであり、臭化ナトリウムまたは臭化水素酸であることが好ましい。
【0068】
好ましくは、ステップ(5)における2−フルオロ−3−(アルキルベンズアミド)−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドと臭化物とのモル比が1:(0.55〜2.0)であり、例えば、1:0.55、1:0.7、1:0.9、1:1、1:1.2、1:1.4、1:1.6、1:1.8、または1:2であり、1:(1.2〜1.6)であることが好ましい。
【0069】
好ましくは、前記酸化剤が、塩素ガス、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、亜塩素酸塩、または次亜塩素酸塩のうちの1種または少なくとも2種の組み合わせであり、塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、または塩素ガスのうちの1種または少なくとも2種の組み合わせであることが好ましい。
【0070】
好ましくは、ステップ(5)における2−フルオロ−3−(アルキルベンズアミド)−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドと酸化剤とのモル比が1:(0.2〜2.0)であり、例えば、1:0.2、1:0.4、1:0.55、1:0.7、1:0.9、1:1、1:1.2、1:1.4、1:1.6、1:1.8、または1:2等であり、1:(0.4〜1.6)であることが好ましい。
【0071】
好ましくは、ステップ(5)における臭素化反応が、塩基性物質の存在下で行われる。
【0072】
好ましくは、前記塩基性物質が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、および炭酸水素塩のうちの1種または少なくとも2種の組み合わせであり、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムであることが好ましい。
【0073】
好ましくは、前記2−フルオロ−3−(アルキルベンズアミド)−N−(4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドと塩基性物質とのモル比が1:(0〜3.0)であり、例えば、1:0.3、1:0.5、1:0.8、1:1、1:1.5、1:1.8、1:2、1:2.2、1:2.5、1:2.8、1:3であり、1:(0.5〜2.8)であることが好ましい。
【0074】
好ましくは、ステップ(5)における臭素化反応の温度が0〜150℃であり、例えば、0℃、5℃、10℃、20℃、25℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、または150℃であり、40〜90℃であることが好ましい。
【0075】
好ましくは、ステップ(5)における臭素化反応の時間が0.5〜8hであり、例えば、0.5h、0.6h、0.8h、1h、1.5h、1.8h、2h、2.5h、3h、4h、5h、6h、7h、または8hであり、1〜2hであることが好ましい。
【0076】
本発明において、ステップ(5)における反応が終了した後、反応液を熱いうちに分液し、有機層に亜硫酸ナトリウム溶液を加えて洗浄した後、塩酸を加えてpHを4〜5に調整してから再び分液し、有機層を濃縮した後、淡黄色生成物粗品を取得し、続いて有機溶媒で再結晶して乾燥した後、白色固体の生成物(すなわち、Broflanilideまたはシクロプロピルブロフラニリド)を取得する。前記再結晶に用いられる有機溶媒は、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、トルエン、キシレン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノールの1種または少なくとも2種の組み合わせであり、トルエン、メタノール、またはイソプロパノールであることが好ましい。
【発明の効果】
【0077】
従来技術と比べ、本発明は以下の有益な効果を有する。
【0078】
本発明の調製方法において、複数ステップの反応がほぼ定量反応であり、副生成物が少なく、深冷高温反応を回避し、更に、最後のステップで特定の部位に臭素原子を導入することを実現でき、生産率が高く、工業化生産に更に適するとともに、該経路は、原薬を合成するまで各ステップで分離しなくてもよく、または簡単な溶媒分離により高純度の生成物を取得することができる。
【発明を実施するための形態】
【0079】
以下、具体的な実施形態により本発明の技術案について更に説明する。当業者であれば、前記実施例が本発明を理解するためのものに過ぎず、本発明を具体的に限定するものではないことを理解すべきである。本発明および以下のような実施例に係る生成物または中間体の含有量または純度は、高速液体クロマトグラフィー外部標準法により測定され、収率または生産率が質量収率または生産率である。
【0080】
本発明において、前記原料4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)アニリン(すなわち、デカフルオロアニリン)は、従来技術の調製方法で調製され、例えば、EP2319830A1に開示された方法で調製され、具体的な調製方法は以下のとおりである。
【0081】
100g(0.608mol)の2−(トリフルオロメチル)アニリン、131g(0.639mol)の85%の亜ジチオン酸ナトリウム、および20.9g(0.0608mol)の硫酸水素テトラブチルアンモニウムを、1500mlの酢酸エチルと1500mlの水との混合溶液に加え、その後、53.9g(0.639mol)の炭酸水素ナトリウムを更に加える。室温でその中に198g(0.669mol)のヘプタフルオロイソプロピルヨードを滴下し、室温で6時間撹拌してから分液し、有機層の溶媒を減圧下で蒸発させ、且つその中に500mlの酢酸エチルを加える。160g(0.608mol)の4Mの塩化水素/酢酸エチル溶液を滴下し、室温で30分間撹拌した後、5℃で1時間撹拌する。濾過し、濾液を水および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で蒸発させる。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー法(溶出溶媒は、ヘキサン:酢酸エチル=10:1である)により精製し、60.0g(生産率30%)の4−(パーフルオロプロパン−2−イル)−2−(トリフルオロメチル)アニリンを調製する。
【0082】
本発明の全体的な合成経路は以下のとおりである。
【0083】
【化17】
【0084】
ただし、Rは、メチル基または
【化18】
であり、Rは、水素またはフッ素である。
【実施例1】
【0085】
本実施例において、Rがメチル基でRが水素である生成物、すなわち、
【化19】
(Broflanilide)を調製するために用いられ、調製方法は以下のステップを含む。
【0086】
(1)250mLの反応釜に、39.6g(0.21mol)の2−フルオロ−3−ニトロ安息香酸、79.2gのトルエン、31.5g(0.105mol)のトリホスゲン、および4滴のDMFを順次加え、110℃まで加熱して6h反応させ、安息香酸の反応が終了すると溶媒を除去し、67.1g(0.2mol)のデカフルオロアニリン、0.2gのDMAP、および134.2gのトルエンを順次加え、110℃まで加熱して6h反応させ、少し冷却した後、40gの10%の炭酸ナトリウム溶液を徐々に加え、80℃で30min撹拌し、熱いうちに分液した後、有機層を室温まで冷却してから氷機において0℃で3h撹拌し、濾過して乾燥した後、96.2gのニトロアミド黄色固体を取得し、含有量が98.4%であり、収率が95.4%であった。
【0087】
構造検出:質量分析LC/MS[M+1]:m/z=497。
H NMR(400 MHz, DMSO−d)データは以下のとおりである(δ[ppm]):10.74 (s, 1H), 8.35 (t, J = 8.5 Hz, 1H), 8.20 − 8.03 (m, 3H), 7.96 (s, 1H), 7.62 (t, J = 8.0 Hz, 1H)。
【0088】
(2)1Lのオートクレーブに、99.2g(0.2mol)のニトロアミド、0.49gの10%の白金炭素触媒、および496gの酢酸エチルを順次投入し、圧力が2.3MPaとなるまで水素を加え、40℃で14h反応させ、濾過し、濾液を濃縮して青灰色固体を取得し、乾燥した後、93.5gのアミノアミドを取得し、含有量が98.8%であり、収率が99.1%であった。
【0089】
構造検出:質量分析LC/MS[M+1]:m/z=467。
H NMR(400 MHz, DMSO−d)データは以下のとおりである(δ[ppm]):10.14 (s, 1H), 8.16 − 8.03 (m, 2H), 7.93 (s, 1H), 7.07 − 6.92 (m, 2H), 6.86 (t, J = 5.8 Hz, 1H), 5.43 (s, 2H)。
【0090】
(3)500mLの反応釜に、190gの濃硫酸、47.5g(0.1mol)のアミノアミド、32.4g(0.4mol)の37%のホルムアルデヒドを順次加え、50℃まで昇温して18h反応させ、反応が終了した後、500gの氷水に入れ、室温で2h撹拌してから濾過し、濾過ケーキを200gの水で洗浄し、乾燥した後、45.1gのメチルアミノアミド系白色固体を取得し、含有量が98.0%であり、収率が92.1%であった。
【0091】
構造検出:質量分析LC/MS[M+1]:m/z=481。
H NMR(400 MHz, DMSO−d)データは以下のとおりである(δ[ppm]):δ 10.17 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 8.12−8.07 (m, 2H), 7.92 (s, 1H), 7.14 (t, J = 7.9 Hz, 1H), 6.91−6.83 (m, 2H), 5.89 (bro−s, 1H), 2.78 (d, J = 4.8 Hz, 3H)。
【0092】
(4)500mLの反応釜に、48.9g(0.1mol)のメチルアミノアミド、0.2gのDMAP、195.6gの1,2−ジクロロエタン、および15.1g(0.105mol)のベンゾイルクロリドを順次加え、80℃まで昇温してから5h反応させた後、40gの10%の炭酸ナトリウム溶液を徐々に加え、80℃で30min撹拌した後、熱いうちに分液し、255.8gの有機相を取得して用意し、ここで、Broflanilideのジアミドの含有量が22.6%であり、収率が99.0%であった。
【0093】
構造検出:質量分析LC/MS[M+1]:m/z=585。
1H NMR(400 MHz, DMSO−d6)データは以下のとおりである(δ[ppm]):δ 10.34 (s, 1H), 8.11 (dd, J = 8.7, 2.1 Hz, 1H), 8.01 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.93 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 7.62−7.58 (m, J = 5.8, 2H), 7.36−7.27(m, 6H), 3.36 (s, 3H)。
【0094】
(5)500mLの反応釜に、255.8g(含有量22.6%、0.0992mol)のステップ(4)で得られた有機相、12.3g(0.119mol)の臭化ナトリウム、2.1g(0.0496mol)のNaOH、および30gの水を順次加え、40℃まで昇温した後、21.3gの20%の塩素酸ナトリウム溶液を滴下し、滴下が終了した後、1.5h反応し続け、熱いうちに分液し、有機相を50℃で50gの7.5%の亜硫酸ナトリウム溶液を用いて洗浄し、この時、11.6gの濃塩酸でpHを4に調整し、熱いうちに再び分液し、有機相を濃縮した後、68.9gの淡黄色粗品を取得し、該粗品を60mLのメタノールに溶解して再結晶し、乾燥した後、61.1gの白色固体製品(すなわち、Broflanilide)を取得し、含有量が99.4%であり、収率が92.3%であった。
【0095】
構造検出:質量分析LC/MS[M+1]:m/z=664。
H NMR(400 MHz, DMSO−d)データは以下のとおりである(δ[ppm]):δ 10.69 (s, 1H), 8.41 (s, 1H), 7.96 (s, 1H), 7.63−7.57 (m, 2H), 7.36−7.28 (m, 6H), 3.37 (s, 3H)。
【実施例2】
【0096】
本実施例において、Rがメチル基でRが水素である生成物、すなわち、
【化20】
(Broflanilide)を調製するために用いられ、調製方法は以下のステップを含む。
【0097】
(1)500mLの反応釜に、45.3g(0.24mol)の2−フルオロ−3−ニトロ安息香酸、136gのキシレン、42.9g(0.36mol)の塩化チオニル、および4滴のDMFを順次加え、140℃まで加熱して5h反応させ、安息香酸の反応が終了すると溶媒を除去し、67.1g(0.2mol)のデカフルオロアニリン、0.2gのDMAP、および201.3gのキシレンを順次加え、140℃まで加熱して4h反応させ、少し冷却した後、40gの10%の水酸化ナトリウム溶液を徐々に加え、80℃で30min撹拌し、熱いうちに分液した後、有機層を室温まで冷却してから氷機において5℃で3h撹拌し、濾過して乾燥した後、96.6gのニトロアミド黄色固体を取得し、含有量が98.6%であり、収率が96.0%であった。
【0098】
(2)1Lのオートクレーブに、99.2g(0.2mol)のニトロアミド、0.59gの10%のパラジウム炭素触媒、および595.2gのメタノールを順次投入し、圧力が2.5MPaとなるまで水素を加え、60℃で12h反応し、濾過し、濾液を濃縮して青灰色固体を取得し、乾燥した後、93.3gのアミノアミドを取得し、含有量が98.9%であり、収率が99.0%であった。
【0099】
(3)500mLの反応釜に、237.5gの濃硫酸、47.5g(0.1mol)のアミノアミド、および40.5g(0.5mol)の37%のホルムアルデヒドを順次加え、65℃まで昇温して16h反応させ、反応が終了した後、500gの氷水に入れ、室温で2h撹拌してから濾過し、濾過ケーキを200gの水で洗浄し、乾燥した後、46.3gのメチルアミノアミド系白色固体を取得し、含有量が97.5%であり、収率が94.0%であった。
【0100】
(4)500mLの反応釜に、48.9g(0.1mol)のメチルアミノアミド、0.2gのDMAP、244.5gのトルエン、および15.5g(0.108mol)のベンゾイルクロリドを順次加え、100℃まで昇温して4h反応させた後、40gの10%の水酸化ナトリウム溶液を徐々に加え、80℃で30min撹拌した後、熱いうちに分液し、304.2gの有機相を取得して用意し、Broflanilideのジアミドの含有量が19.0%であり、収率が99.0%であった。
【0101】
(5)500mLの反応釜に、304.2g(含有量19.0%、0.099mol)の実施例ステップ(4)で得られた有機相、28g(0.14mol)の40%の臭化水素酸、30gの水、および7.5g(0.18mol)のNaOHを順次加え、70℃まで昇温した後、82.2gの14.5%の次亜塩素酸ナトリウム溶液を滴下し、滴下が終了した後、1h反応し続け、熱いうちに分液し、有機相を70℃で50gの7.5%の亜硫酸ナトリウム溶液を用いて洗浄し、この時、12.5gの濃塩酸でpHを5に調整し、熱いうちに再び分液し、有機相を濃縮した後、68.5gの淡黄色粗品を取得し、該粗品を90mLのトルエンに溶解して再結晶し、乾燥した後、60.6gの白色固体製品(すなわち、Broflanilide)を取得し、含有量が99.1%であり、収率が91.5%であった。
【実施例3】
【0102】
本実施例において、Rがメチル基でRが水素である生成物、すなわち、
【化21】
(Broflanilide)を調製するために用いられ、調製方法は以下のステップを含む。
【0103】
(1)500mLの反応釜に、49.1g(0.26mol)の2−フルオロ−3−ニトロ安息香酸、196.4gのトルエン、61.9g(0.52mol)の塩化チオニル、および4滴のDMFを順次加え、110℃まで加熱して4h反応させ、安息香酸の反応が終了すると溶媒を除去し、67.1g(0.2mol)のデカフルオロアニリン、0.2gのDMAP、および268.4gのトルエンを順次加え、110℃まで加熱して5h反応させ、少し冷却した後、40gの10%の炭酸ナトリウム溶液を徐々に加え、80℃で30min撹拌し、熱いうちに分液し、368.8gの有機層を取得し、ニトロアミドの含有量が26.5%であり、収率が98.4%であった。
【0104】
(2)1Lのオートクレーブに、368.8gのステップ(1)で得られた有機層、0.29gの10%のパラジウム炭素触媒を順次投入し、圧力が2.0MPaとなるまで水素を加え、100℃で10h反応させ、濾過し、濾液を乾燥して水を除去した後、288.4gのアミノアミドトルエン液を取得し、アミノアミドの含有量が31.5%であり、収率が99.0%であった。
【0105】
(3)500mLの反応釜に、285gの濃硫酸、47.5g(0.1mol)のアミノアミド、および48.6g(0.6mol)の37%のホルムアルデヒドを順次加え、80℃まで昇温して14h反応させ、反応が終了した後、500gの氷水に入れ、室温で2h撹拌してから濾過し、濾過ケーキを200gの水で洗浄し、乾燥した後、45.8gのオフホワイト色の固体を取得し、含有量が97.3%であり、収率が92.8%であった。
【0106】
(4)500mLの反応釜に、48.9g(0.1mol)のメチルアミノアミド、0.2gのDMAP、293.4gのトルエン、および15.8g(0.11mol)のベンゾイルクロリドを順次加え、110℃まで昇温して3h反応させた後、40gの10%の炭酸ナトリウム溶液を徐々に加え、80℃で30min撹拌した後、熱いうちに分液し、355.1gの有機相を取得して用意し、Broflanilideのジアミドの含有量が16.3%であり、収率が99.3%であった。
【0107】
(5)500mLの反応釜に、355.1g(含有量16.3%、0.0993mol)のステップ(4)で得られた有機相、16.6g(0.16mol)の臭化ナトリウム、30gの水、および18.5g(0.28mol)のKOHを順次加え、90℃まで昇温した後、8.5g(0.12mol)の塩素ガスを徐々に通入し、通気が終了した後、2h反応し続け、熱いうちに分液し、有機相を90℃で50gの7.5%の亜硫酸ナトリウム溶液を用いて洗浄し、この時、13.2gの濃塩酸でpHを4.5に調整し、熱いうちに再び分液し、有機相を濃縮した後、67.6gの淡黄色粗品を取得し、該粗品を60mLのイソプロパノールに溶解して再結晶し、乾燥した後、61.8gの白色固体製品(すなわち、Broflanilide)を取得し、含有量が99.3%であり、収率が93.2%であった。
【0108】
実施例2および実施例3は、同様に実施例1と同じ質量分析およびNMR特性評価により、その生成物構造の正確さを検証した。
【実施例4】
【0109】
本実施例において、Rがシクロプロピルメチル基でRがフッ素である生成物、すなわち、
【化22】
(シクロプロピルブロフラニリド)を調製するために用いられ、調製方法は以下のステップを含む。
【0110】
(1)500mLの反応釜に、49.1g(0.26mol)の2−フルオロ−3−ニトロ安息香酸、196.4gのトルエン、61.9g(0.52mol)の塩化チオニル、および4滴のDMFを順次加え、110℃まで加熱して4h反応させ、安息香酸の反応が終了すると溶媒を除去し、67.1g(0.2mol)のデカフルオロアニリン、0.2gのDMAP、および268.4gのトルエンを順次加え、110℃まで加熱して5h反応させ、少し冷却した後、40gの10%の炭酸ナトリウム溶液を徐々に加え、80℃で30min撹拌し、熱いうちに分液し、368.8gの有機層を取得し、ニトロアミドの含有量が26.5%であり、収率が98.4%であった。
【0111】
(2)1Lのオートクレーブに、368.8gのステップ(1)で得られた有機層、0.29gの10%のパラジウム炭素触媒を順次投入し、圧力が2.0MPaとなるまで水素を加え、100℃で10h反応させ、濾過し、濾液を乾燥して水を除去した後、360.4gのアミノアミドトルエン液を取得し、アミノアミドの含有量が25.2%であり、収率が99.0%であった。
【0112】
(3)500mLの反応釜に、360.4g(含有量25.2%、0.196mol)のステップ(2)で得られたアミノアミドトルエン液、22.4g(0.31mol)のシクロプロパンカルボキシアルデヒド、および25.5g(0.392mol)の亜鉛粉末を順次加え、60℃で47.1g(0.784mol)の酢酸を滴下し、滴下が終了した後、2h反応し続け、熱いうちに濾過し、濾液を50℃で160gの20%の水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを7に調整し、熱いうちに分液し、381.1gのシクロプロピルアミノアミドトルエン液を取得し、シクロプロピルアミノアミドの含有量が25.6%であり、収率が95.6%であった。
【0113】
構造検出:質量分析LC/MS[M+1]:m/z=521。
H NMR(400 MHz, DMSO−d)データは以下のとおりである(δ[ppm]):10.18 (s, 1H), 8.12 − 8.07 (m, 1H), 8.04 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.10 (t, J = 7.9 Hz, 1H), 6.94 (t, J = 8.2 Hz, 1H), 6.90 − 6.82 (m, 1H), 5.82 − 5.72 (m, 1H), 3.03 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 1.12 − 1.08 (m, 1H), 0.50 − 0.42 (m, 2H), 0.24 (q, J = 4.4 Hz, 2H)。
【0114】
(4)500mLの反応釜に、53.1g(0.1mol)のシクロプロピルアミノアミド、0.2gのDMAP、265.5gの1,2−ジクロロエタン、および17.0g(0.105mol)の4−フルオロベンゾイルクロリドを順次加え、80℃まで昇温して4h反応させた後、40gの10%の炭酸ナトリウム溶液を徐々に加え、80℃で30min撹拌した後、熱いうちに分液し、332.9gの有機相を取得して用意し、シクロプロピルブロフラニリドジアミドの含有量が19.1%であり、収率が99.0%であった。
【0115】
構造検出:質量分析LC/MS[M+1]:m/z=643。
H NMR(400 MHz, DMSO−d)データは以下のとおりである(δ[ppm]):10.21 (s, 1H), 8.09 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.99 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.61−7.59 (m, 2H), 7.36−7.22 (m, 6H), 3.68 (d, J = 52.0 Hz, 2H), 1.02 (brs, 1H), 0.40 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 0.08 (brs, 2H)。
【0116】
(5)500mLの反応釜に、332.9g(含有量19.1%、0.099mol)のステップ(4)で得られた有機相、12.3g(0.119mol)の臭化ナトリウム、2.1g(0.049mol)のNaOH、および30gの水を順次加え、40℃まで昇温した後、21.3gの20%の塩素酸ナトリウム溶液を滴下し、滴下が終了した後、1.5h反応し続け、熱いうちに分液し、有機相を50℃で50gの7.5%の亜硫酸ナトリウム溶液を用いて洗浄し、この時、11.9gの濃塩酸でpHを4に調整し、熱いうちに再び分液し、有機相を濃縮した後、74.8gの淡黄色粗品を取得し、該粗品を60mLのメタノールに溶解して再結晶し、乾燥した後、66.7gの白色固体シクロプロピルブロフラニリド製品を取得し、含有量が99.4%であり、収率が92.9%であった。
【0117】
構造検出:質量分析LC/MS[M+1]:m/z=722。
H NMR(400 MHz, DMSO−d)データは以下のとおりである(δ[ppm]):10.56 (s, 1H), 8.41 (s, 1H), 7.95 (s, 1H), 7.70 − 7.56 (m, 2H), 7.38 − 7.32 (m, 3H), 7.09 (br s, 2H), 3.69 (br s, 2H), 1.03 − 1.01 (m, 1H), 0.41 − 0.39 (m, 2H) , 0.08 − 0.06 (m, 2H)。
【実施例5】
【0118】
本実施例において、Rがシクロプロピルメチル基でRがフッ素である生成物、すなわち、
【化23】
(シクロプロピルブロフラニリド)を調製するために用いられ、調製方法は以下のステップを含む。
【0119】
(1)500mLの反応釜に、49.1g(0.26mol)の2−フルオロ−3−ニトロ安息香酸、196.4gのトルエン、61.9g(0.52mol)の塩化チオニル、および4滴のDMFを順次加え、110℃まで加熱して4h反応させ、安息香酸の反応が終了すると溶媒を除去し、67.1g(0.2mol)のデカフルオロアニリン、0.2gのDMAP、および268.4gのトルエンを順次加え、110℃まで加熱して5h反応させ、少し冷却した後、40gの10%の炭酸ナトリウム溶液を徐々に加え、80℃で30min撹拌し、熱いうちに分液し、368.8gの有機層を取得し、ニトロアミドの含有量が26.5%であり、収率が98.4%であった。
【0120】
(2)1Lのオートクレーブに、368.8gのステップ(1)で得られた有機層、0.29gの10%のパラジウム炭素触媒を順次投入し、圧力が2.0MPaとなるまで水素を加え、100℃で10h反応させ、濾過し、濾液を乾燥して水を除去した後、360.4gのアミノアミドトルエン液を取得し、アミノアミドの含有量が25.2%であり、収率が99.0%であった。
【0121】
(3)500mLの反応釜に、360.4g(含有量25.2%、0.196mol)のステップ(2)で得られたアミノアミドトルエン液、22.4g(0.31mol)のシクロプロパンカルボキシアルデヒド、および25.5g(0.392mol)の亜鉛粉末を順次加え、60℃で47.1g(0.784mol)の酢酸を滴下し、滴下が終了した後、2h反応し続け、熱いうちに濾過し、濾液を50℃で160gの20%の水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを8に調整し、熱いうちに分液し、381.1gのシクロプロピルアミノアミドトルエン液を取得し、シクロプロピルアミノアミドの含有量が25.6%であり、収率が95.6%であった。
【0122】
(4)500mLの反応釜に、381.1g(含有量25.6%、0.187mol)のステップ(3)で得られたシクロプロピルアミノアミドトルエン液、0.2gのDMAP、および34.0g(0.21mol)の4−フルオロベンゾイルクロリドを順次加え、100℃まで昇温して4h反応させた後、40gの20%の水酸化ナトリウム溶液を徐々に加え、80℃で30min撹拌した後、熱いうちに分液し、404.8gの有機相を取得して用意し、シクロプロピルブロフラニリドジアミドの含有量が29.3%であり、収率が98.8%であった。
【0123】
(5)500mLの反応釜に、404.8g(含有量29.3%、0.187mol)のステップ(4)で得られた有機相、53.6g(0.265mol)の40%の臭化水素酸、30gの水、および14.2g(0.34mol)のNaOHを順次加え、70℃まで昇温した後、155.4gの14.5%の塩素酸ナトリウム溶液を滴下し、滴下が終了した後、1h反応し続け、熱いうちに分液し、有機相を70℃で50gの7.5%の亜硫酸ナトリウム溶液を用いて洗浄し、この時、12.9gの濃塩酸でpHを5に調整し、熱いうちに再び分液し、有機相を濃縮した後、138.7gの淡黄色粗品を取得し、該粗品を180mLのトルエンに溶解して再結晶し、乾燥した後、123.0gの白色固体製品シクロプロピルブロフラニリドを取得し、含有量が99.2%であり、収率が90.5%であった。
【実施例6】
【0124】
本実施例において、Rがシクロプロピルメチル基でRがフッ素である生成物、すなわち、
【化24】
(シクロプロピルブロフラニリド)を調製するために用いられ、調製方法は以下のステップを含む。
【0125】
(1)500mLの反応釜に、49.1g(0.26mol)の2−フルオロ−3−ニトロ安息香酸、196.4gのトルエン、61.9g(0.52mol)の塩化チオニル、および4滴のDMFを順次加え、110℃まで加熱して4h反応させ、安息香酸の反応が終了すると溶媒を除去し、67.1g(0.2mol)のデカフルオロアニリン、0.2gのDMAP、および268.4gのトルエンを順次加え、110℃まで加熱して5h反応させ、少し冷却した後、40gの10%の炭酸ナトリウム溶液を徐々に加え、80℃で30min撹拌し、熱いうちに分液し、368.8gの有機層を取得し、ニトロアミドの含有量が26.5%であり、収率が98.4%であった。
【0126】
(2)1Lのオートクレーブに、368.8gのステップ(1)で得られた有機層、0.29gの10%のパラジウム炭素触媒を順次投入し、圧力が2.0MPaとなるまで水素を加え、100℃で10h反応させ、濾過し、濾液を乾燥して水を除去した後、360.4gのアミノアミドトルエン液を取得し、アミノアミドの含有量が25.2%であり、収率が99.0%であった。
【0127】
(3)500mLの反応釜に、47.5g(0.1mol)のアミノアミド、285gのキシレン、14.3g(0.2mol)のシクロプロパンカルボキシアルデヒド、および26g(0.4mol)の亜鉛粉末を順次加え、80℃で48g(0.6mol)の酢酸を滴下し始め、滴下が終了した後、1.5h反応し続け、熱いうちに濾過し、濾液を濃縮して黄色固体を取得し、その後、50mLのトルエンを加え、90℃に加熱して溶解させて清澄になった後、50mLの水を再び加え、5.9gの30%の水酸化ナトリウム溶液でpHを7.5に調整し、熱いうちに分液し、有機層を0℃において3h撹拌し、濾過して乾燥した後、50.8gの淡黄色固体を取得し、含有量が98.7%であり、収率が96.4%であった。
【0128】
(4)500mLの反応釜に、53.1g(0.1mol)のシクロプロピルアミノアミド、0.2gのDMAP、318.6gのトルエン、および17.8g(0.11mol)4−フルオロベンゾイルクロリドを順次加え、110℃まで昇温して3h反応させた後、40gの10%の炭酸ナトリウム溶液を徐々に加え、80℃で30min撹拌した後、熱いうちに分液し、385.9gの有機相を取得して用意し、シクロプロピルブロフラニリドジアミドの含有量が16.5%であり、収率が99.2%であった。
【0129】
(5)500mLの反応釜に、385.9g(含有量16.5%、0.0992mol)のステップ(4)で得られた有機相、16.3g(0.158mol)の臭化ナトリウム、30gの水、および18.3g(0.277mol)のKOHを順次加え、90℃まで昇温した後、8.5g(0.119mol)の塩素ガスを通入し、通気が終了した後、2h反応し続け、熱いうちに分液し、有機相を90℃で50gの7.5%の亜硫酸ナトリウム溶液を用いて洗浄し、この時、13.8gの濃塩酸でpHを4に調整し、熱いうちに再び分液し、有機相を濃縮した後、73.5gの淡黄色粗品を取得し、該粗品を90mLのイソプロパノールに溶解して再結晶し、乾燥した後、67.1gの白色固体製品シクロプロピルブロフラニリドを取得し、含有量が99.3%であり、収率が93.2%であった。
【0130】
実施例5および実施例6は、同様に実施例4と同じ質量分析およびNMR特性評価により、その生成物構造の正確さを検証した。
【0131】
本発明は、上記実施例により本発明のm−ジアミド化合物の調製方法について説明したが、本発明は上記実施例に限定されず、すなわち、本発明が上記実施例に依存しなければ実施できないことを意味するものではないことを出願人より声明する。当業者であれば、本発明に対する任意の改良、本発明の製品の各原料の等価置換および補助成分の添加、具体的な形態の選択等は、いずれも本発明の保護範囲および開示範囲内に含まれることを理解すべきである。