(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の電極の一部に1kHz〜10kHzのパルス周波数のパルス状にRF電力を印加して、前記プラズマを周期的にオン/オフにするRF電源をさらに備える請求項1に記載のバッチ式基板処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態をより詳しく説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施の形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化され、単にこれらの実施の形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。発明を詳しく説明するために図面は誇張されてもよく、図中、同じ符号は、同じ構成要素を指し示す。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態に係る基板処理装置を示す平面図であり、
図2の(a)は、
図1の平面図をA−A’に沿って切り取った断面図であり、
図2の(b)は、
図1の平面図をB−B’に沿って切り取った断面図であり、
図2の(c)は、
図1の平面図をC−C’に沿って切り取った断面図である。
【0025】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置は、複数枚の基板Sが処理される処理空間を与えるチューブ110と、前記処理空間において複数枚の基板Sを第1の方向、すなわち、チューブ110の長手方向に積載する基板支持部140と、チューブ110と連通して前記処理空間内の工程残渣(工程残留物)を外部に排気する排気部150と、チューブ110の長手方向に延び、チューブ110の内部に配置されて前記処理空間と画成され、プラズマが形成される放電空間を与える隔壁135と、複数枚の基板Sが処理される工程に必要とされる工程ガスを前記放電空間に供給するガス供給管160と、チューブ110の長手方向に沿って延び、前記放電空間にプラズマを形成するためにチューブ110の外部に配置される複数の電極131、132とを備え、チューブ110は、チューブ110の長手方向に延び、チューブ110の最外周面からチューブ110の内部方向に凹んだ複数の凹部115、例えば、二つの凹部115を有していてもよい。複数の電極131、132は、複数の凹部115にそれぞれ収容されてもよい。ここで、チューブ110の最外周面とは、凹部115を除く最外郭の外周面のことをいう。
【0026】
チューブ110は、上部は閉鎖され、下部が開放された円筒状であって、石英またはセラミックなどの耐熱性材料から形成されてもよく、内部に複数枚の基板Sが収容されて処理される処理空間を与えてもよい。チューブ110の処理空間は、複数枚の基板Sが第1の方向、すなわち、上下方向に積層された基板支持部140を収容し、実際に処理工程(例えば、蒸着工程)が行われる空間である。チューブ110のある領域に、例えば、排気部150と対向する領域に、チューブ110の最外周面からチューブ110の内部に向かって凹んだ複数の凹部115を有していてもよい。複数の凹部115は、チューブ110の長手方向に延びてもよく、チューブ110の周方向に沿って互いに離間して配置されてもよい。チューブ110の周方向における複数の凹部115の開かれた入口の幅は、複数の凹部115の内部空間の最大の幅よりもさらに小さくてもよい。
【0027】
基板支持部140は、基板Sを支持するための構成要素であり、複数枚の基板Sが第1の方向、すなわち、上下方向に積載されるように形成され、複数枚の基板Sがそれぞれ別々に処理される複数の単位処理空間を与えてもよい。すなわち、基板支持部140は、基板Sが第1の方向に積載されるように複数の層を形成し、一つの層(または、単位処理空間)に一枚の基板Sが積載されてもよい。したがって、基板支持部140の各層に基板Sの単位処理空間が個別的に形成されて単位処理空間の間に干渉が起こることを防ぐことができる。複数枚の基板Sが基板支持部140にいずれも積載されれば、基板支持部140は、チューブ110の下部(または、出入口)を介してチューブ110内の処理空間に移動することができる。ここで、基板支持部140は、複数枚の基板Sを載置して支持可能な形態であれば、特にその形状や構造は限定されない。
【0028】
ガス供給管160は、複数枚の基板Sを処理する工程に必要とされる工程ガスをプラズマ反応部130を介してチューブ110内に供給してもよい。
【0029】
プラズマ反応部130は、隔壁135及び複数の電極131、132を備え、ガス供給管160から供給された工程ガスをプラズマを用いて分解または活性化させ、工程ガスのラジカルのみを処理空間の内部に与える構成要素である。
【0030】
隔壁135は、チューブ110の内部に配置され、チューブ110の内壁に接続される副側壁部135a、135bと、副側壁部135a、135bの間の主側壁部135cとを備えていてもよい。隔壁135は、チューブ110の内壁からチューブ110の内部に向かって延び、互いに離間した副側壁部135a、135bと、副側壁部135a、135bの間に配置され、チューブ110の複数の凹部115と離間した主側壁部135cとを備えていてもよい。副側壁部135a、135b及び主側壁部135cは、チューブ110の内壁に沿って、且つ、チューブ110の長手方向に沿って延びてもよい。ただし、隔壁135は、処理空間と画成される放電空間を与えることができる形態であれば、
図1に示すところに何ら限定されるものではなく、種々に変形可能である。
【0031】
複数の電極131、132は、チューブ110の外部に配置され、それぞれ複数の凹部115に収容された第1の電極131及び第2の電極132を備える。第1の電極131及び第2の電極132のそれぞれは、上部から下部にわたって保護管170により包み込まれた状態で複数の凹部115に収容されてもよい。
【0032】
チューブ110の周方向における複数の凹部115の入口の幅は、内部空間の最大の幅よりもさらに小さいため、保護管170により包み込まれた状態で、収容された第1の電極131及び第2の電極132が安定的に複数の凹部115内に取り付けられることが可能になる。第1の電極131及び第2の電極132が安定的に複数の凹部115内に取り付けられるために、チューブ110の周方向における複数の凹部115の入口の幅は、保護管17の最大の幅よりもさらに小さくてもよく、複数の凹部115の内側面と保護管170の外側面とが触れ合ってもよい。第1の電極131及び第2の電極132が複数の凹部115に収容された状態で、第1の電極131及び第2の電極132の中心軸は、チューブ110の外壁より奥側に位置してもよい。
【0033】
第1の電極131はRF電源に接続され、第2の電極132は接地されてもよい。第1の電極131はパワー電極と呼ばれ、第2の電極132は接地電極と呼ばれてもよい。
【0034】
第1の電極131及び第2の電極132は、複数枚の基板Sが積載された第1の方向、すなわち、チューブ110の長手方向に延びてもよい。このとき、第1の電極131及び第2の電極132は互いに離間して配置され、第1の電極131にRF電力を印加することにより、第1の電極131と第2の電極132との間に生成される電場により、放電空間に容量性結合プラズマ(Capacitive Coupled Plasma;CCP)が発生することが可能である。
【0035】
通常、RF周波数の使用に伴う電気伝導では、電流が表面に沿って流れる表皮効果(Skin Effect)が生じる。ここで、メッシュ状のメッシュ電極を用いる場合には、空きスペースが占める面積が広いため、小さな表面積による大きな抵抗を起因として、RF電力の印加に非効率的であるという問題が存在する。さらに、基板処理工程を高温と低温とにおいて繰り返し行うが、電極がメッシュ状を呈する場合、変化する温度に応じてメッシュ電極の形状が不規則的に変化してしまう結果、形状の保持の側見からみて不利になり、変化する形状に応じて抵抗が異なってくるため、RF電力の印加に際して不均一なプラズマが生じてしまうという問題がある。
【0036】
前述した問題を防ぐために、本発明の一実施の形態に係る第1の電極131及び第2の電極132は、保護管170の内部に挿入されるだけではなく、空きスペースを極力抑え、しかも、柔軟性を有する編組タイプ(編組線)に形成されてもよい。一実施の形態によれば、空きスペースをさらに減少させるために、それぞれの電極の表面に金属を被覆する方法をさらに利用することもある。
【0037】
保護管170は、第1の電極131及び第2の電極132の外部を取り囲むことにより、各電極を電気的に絶縁させるとともに、プラズマ雰囲気に被爆される電極をプラズマから保護することができる。これにより、第1の電極131及び第2の電極132は、プラズマにより生じ得る汚染またはパーティクルから安全に保護されることが可能になる。保護管170は、石英またはセラミックなどの耐熱性材料から形成されてもよい。
【0038】
その一方で、プラズマを安定的に形成するために、または、所望の量のラジカルを得るために印加されるRF電力が高くなることに伴い、高いエネルギーを有するイオンにより第1及び第2の電極131、132を保護する保護管170及び隔壁135にダメージが与えられ、パーティクルが生じるという問題が起きてしまう。保護管170がダメージを受けると、内部の電極132もまたダメージを受けたり汚れたりする。
【0039】
本発明の一実施の形態においては、放電空間にプラズマを形成するために、RF電力が印加される第1の電極131及び第2の電極132をチューブ110の外部の凹部115に配置することにより、プラズマにより第1の電極131及び保護管170がダメージを受けることを防ぐことができる。
【0040】
なお、前記RF電源は、第1の電極131にパルス状のRF電力を印加してもよい。パルス状のRF電力は、1kHz〜10kHzのパルス周波数領域においてパルスの幅とデューティ比(duty ratio)を調節することができる。パルス状のRF電力を第1の電極131に印加すれば、プラズマが周期的にオン/オフになり、すなわち、プラズマがパルス状に生じることが可能になる。これにより、処理工程の最中に隔壁にダメージを与え、パーティクルを生じさせるイオンの密度は下げることができるのに対し、ラジカルの密度は一定に保つことができる(
図8参照)。したがって、処理工程の効率を保ちながらも、プラズマにより隔壁135がダメージを受けることを低減もしくは防止することができる。一般に、RF電力は、0.1MHz〜数百MHzの周波数を有することができる。
【0041】
第1の電極131、第2の電極132及びガス供給管160は、チューブ110の周方向に沿って互いに離間して配置されてもよい。少なくとも一本のガス供給管160は、隔壁135の外側に配置されてもよい。例えば、
図1に示すように、二本のガス供給管160がチューブ110の周方向における隔壁135の一方の側及び他方の側にそれぞれ配置されてもよい。すなわち、隔壁135の第1及び第2の副側壁部135a、135bの外側に配置されて、放電空間に工程ガスを供給してもよい。これとは異なり、一本のガス供給管160がチューブ110の周方向における隔壁135の一方の側または他方の側にのみ配置されてもよい。ガス供給管160は、第1の方向、すなわち、チューブ110の長手方向に並べられた複数の供給口161を有していてもよい。
【0042】
ガス供給管160を隔壁135内に配置する場合、ガス供給管160の周りの空間にプラズマが形成されないデッドゾーン(dead zone)が形成されるおそれがある。また、隔壁135内に配置されたガス供給管160の複数の供給口が隔壁135を向くように配置する場合、隔壁135内に渦流が形成されて、隔壁135内の放電空間に均一な圧力を形成するのに時間がかかる。
【0043】
本発明の一実施の形態においては、ガス供給管160をチューブ110の周方向に沿って隔壁135の外側に配置して、すなわち、第1の副側壁部135aの外側及び第2の副側壁部135bの外側に配置して、隔壁135内の放電空間に工程ガスを直ちに供給して行き渡らせるので、隔壁135内に渦流が形成されず、短い時間内に放電空間に均一な圧力を形成することができる。なお、本発明の一実施の形態においては、第1の電極131、第2の電極132及びガス供給管160を放電空間の外部に配置することにより、放電空間をコンパクトにでき、これにより、短い時間内に放電空間に均一な圧力を形成することができる。
【0044】
プラズマ反応部130には、プラズマ反応部130において分解された工程ガス中のラジカルを処理空間に噴射する複数の噴射口120が形成されてもよい。複数の噴射口120は、隔壁135の主側壁部135cに形成されてもよい。複数の噴射口120は、第1の電極131と第2の電極132との間に対応する位置に配置されてもよい。複数の噴射口120は、複数枚の基板Sのそれぞれにラジカルを供給するように、基板支持部140の単位処理空間にそれぞれ対応して、第1の方向、すなわち、チューブ110の長手方向に並べられてもよい。
【0045】
その一方で、チューブ110内の処理空間に工程ガスを直接的に供給した後に処理空間においてプラズマを形成する場合には、プラズマを形成するための磁場や電場により処理工程が行われる間に、チューブ110の内壁に形成された薄膜がパーティクルとして剥がれ落ちてしまうという問題が生じる。本発明においては、チューブ110内に別途のプラズマ反応部130を備えることにより、すなわち、隔壁135によりプラズマが形成される放電空間と、基板Sが処理される処理空間とを画成することにより、処理工程が行われる間にチューブ110の内壁に形成された薄膜がパーティクルとして剥がれ落ちてしまうという問題を防ぐことができる。
【0046】
排気部150は、プラズマ反応部130と対向するように配置されてもよい。排気部150は、処理空間内に配置されて処理空間内の工程残渣を外部に排気する役割を果たしてもよい。排気部150は、第1の方向、すなわち、チューブ110の長手方向に延びる排気部材151と、排気部材151に接続される排気ライン152及び排気ポンプ(図示せず)を備えていてもよい。排気部材151は、プラズマ反応部130の噴射口120と対向し、基板支持部140の単位処理空間にそれぞれ対応して、第1の方向、すなわち、上下方向に並べられた複数の排気口153を備えていてもよい。
【0047】
このように、プラズマ反応部130の噴射口120と排気部150の排気口153とが互いに対応して、基板Sが積載される第1の方向と交差する第2の方向(例えば、基板Sの表面と平行な方向)に同一線上に配設されるので、噴射口120から噴射されるラジカルが排気口153に流れ込みながら層流(Laminar Flow)を形成することが可能になる。したがって、噴射口120から噴射されるラジカルが基板Sの上部面にまんべんなく供給されることが可能になる。
【0048】
本発明の一実施の形態に係る基板処理装置は、チューブ110内の前記処理空間にソースガスを供給するソースガス供給管190をさらに備えていてもよい。ソースガス供給管190は、チューブ110内に配置され、プラズマ反応部130の一方の側に配置されてもよい。
【0049】
工程ガスは、一種以上のガス、すなわち、ソースガス及びソースガスと反応して薄膜物質を形成する反応ガスを含んでいてもよい。ソースガス供給管190は、処理空間に直ちにソースガスを供給してもよい。ガス供給管160は、処理空間に直ちに供給するソースガス供給管190とは異なり、プラズマ反応部130内に先に反応ガスを供給してもよく、反応ガスは、プラズマにより活性化されてラジカルの状態で処理空間に与えられてもよい。例えば、基板Sの上に蒸着されるべき薄膜物質がシリコン窒化物である場合、ソースガスは、シリコンを含有するガス、すなわち、ジクロロシラン(SiH
2Cl
2、略称:DCS)などを含んでいてもよく、反応ガスは、窒素を含有するガス、すなわち、NH
3、N
2O、NOなどを含んでいてもよい。
【0050】
本発明の一実施の形態によれば、ソースガスよりも相対的にガスの分解温度がさらに高い反応ガスをプラズマ反応部130に供給することにより、プラズマ反応部130により反応ガスが効果的に分解されて処理空間に与えられることが可能になる。
【0051】
本発明の一実施の形態に係る基板処理装置は、複数枚の基板Sを加熱するためにチューブ110を取り囲む加熱手段及び処理工程の均一性のために基板支持部140の下部に接続されて基板支持部140を回転させる回転手段をさらに備えていてもよい。
【0052】
図3は、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置を示す平面図である。
【0053】
図3を参照すると、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置は、プラズマ反応部130を除く残りの構成及び効果は、
図1の基板処理装置と同一または類似であるため、以下では、相違点に重点をおいて説明する。
【0054】
本発明の一実施の形態に係る基板処理装置は、複数枚の基板Sが処理される処理空間を与えるチューブ110、前記処理空間において複数枚の基板Sを第1の方向、すなわち、上下方向に積載する基板支持部140、チューブ110と連通して、前記処理空間内の工程残渣を外部に排気する排気部150、チューブ110から延びて前記処理空間と画成され、プラズマが形成される放電空間を画定する隔壁135、複数枚の基板Sが処理される工程に必要とされるガスを隔壁135内に供給するガス供給管160、及びチューブ110の長手方向に沿って延び、前記放電空間にプラズマを形成するためにチューブ110の外部に配置される複数の電極131、132、133を備え、チューブ110は、チューブ110の長手方向に延び、チューブ110の最外周面からチューブ110の内部に向かって凹んだ複数の凹部115、例えば、三つの凹部115を有していてもよい。複数の電極131、132、133は、複数の凹部115にそれぞれ収容されてもよい。
【0055】
チューブ110のある領域に、例えば、排気部150と対向する領域に、チューブ110の最外周面からチューブ110の内部に向かって凹んだ複数の凹部115を有していてもよい。複数の凹部115は、チューブ110の長手方向に延びてもよく、チューブ110の周方向に沿って互いに離間して配置されてもよい。
【0056】
複数の凹部115の間の空間に均一にプラズマを形成するために、複数の凹部115同士の間隔は互いに等しくてもよい。チューブ110の周方向における複数の凹部115の入口の幅は、複数の凹部115の内部空間の最大の幅よりもさらに小さくてもよい。
【0057】
複数の電極131、132、133は、チューブ110の外部に配置され、それぞれ複数の凹部115に収容された第1の電極131、第2の電極132及び第3の電極133を備える。第1の電極131、第2の電極132及び第3の電極133のそれぞれは、上部から下部にわたって保護管170により包み込まれた状態で、複数の凹部115に収容されてもよい。第2の電極132は、複数の凹部115のうち真ん中に位置する凹部115に収容され、第1及び第3の電極131、133は、複数の凹部115のうち外側に位置する残りの凹部115に収容されてもよい。
【0058】
チューブ110の周方向における複数の凹部115の入口の幅は、内部空間の最大の幅よりもさらに小さいため、保護管170により包み込まれた状態で、収容された第1の電極131、第2の電極132及び第3の電極133が安定的に複数の凹部115内に取り付けられることが可能である。第1の電極131、第2の電極132及び第3の電極133が安定的に複数の凹部115内に取り付けられるために、チューブ110の周方向における複数の凹部115の入口の幅は、保護管17の最大の幅よりもさらに小さくてもよく、複数の凹部115の内側面と保護管170の外側面とが触れ合ってもよい。第1乃至第3の電極131、132、133が複数の凹部115に収容された状態で、第1乃至第3の電極131、132、133の中心軸は、チューブ110の外壁よりも奥側に位置してもよい。
【0059】
第1の電極131及び第3の電極133はRF電源に接続され、第2の電極132は接地されてもよい。第1の電極131及び第3の電極133は、パワー電極と呼ばれ、第2の電極132は、接地電極と呼ばれてもよい。
【0060】
第1の電極131、第2の電極132及び第3の電極133は、複数枚の基板Sが積載された第1の方向、すなわち、チューブ110の長手方向に延びてもよい。このとき、第1の電極131、第2の電極132及び第3の電極133は、互いに離間して配置され、第1の電極131及び第3の電極133にRF電力を印加することにより、第1の電極131と第2の電極132との間及び第2の電極132と第3の電極133との間に生成される電場により、放電空間に容量性結合プラズマ(Capacitive Coupled Plasma;CCP)が発生することが可能である。
【0061】
第1の電極131と第2の電極132との間及び第2の電極132と第3の電極133との間の空間に均一にプラズマを形成するために、第1の電極131と第2の電極132との間隔は、第2の電極132と第3の電極133との間隔に等しくしなければならない。複数の凹部115同士の間隔を互いに等しくすることにより、第1の電極131と第2の電極132との間隔は、第2の電極132と第3の電極133との間隔に等しくすることができる。チューブ110の外壁を基準としたとき、複数の凹部115の深さもまた互いに等しくてもよい。
【0062】
その一方で、プラズマを安定的に形成するために、または所望の量のラジカルを得るために印加されるRF電力が高くなるにつれて、高いエネルギーを有するイオンにより第1及び第2の電極131、132を保護する保護管170及び隔壁135にダメージが与えられ、パーティクルが生じてしまうという問題が起こる。保護管170がダメージを受けると、内部の電極132もまたダメージを受けたり汚れたりするおそれがある。
【0063】
本発明の一実施の形態においては、放電空間にプラズマを形成するための第1の電極131、第2の電極132及び第3の電極133をチューブ110の外部の凹部115に配置することにより、プラズマにより第1乃至第3の電極131、132、133及び保護管170がダメージを受けることを防ぐことができる。
【0064】
なお、本発明の一実施の形態においては、RF電力がそれぞれ印加される第1の電極131及び第3の電極133の間に接地される第2の電極132が配備された3電極構造を用いて、二つの電極にRF電力をそれぞれ分けて供給できるようにすることで、所望の量のラジカルを得るための電力を減少させて、一つの電極に高いRF電力を印加する場合に比べて、チューブ110及び隔壁135のダメージによるパーティクルの発生が低減もしくは防止されることが可能になる。
【0065】
そして、本発明の一実施の形態において、RF電源は、第1の電極131及び第3の電極133にパルス状のRF電力を印加してもよい。パルス状のRF電力は、1kHz〜10kHzのパルス周波数領域においてパルスの幅とデューティ比(duty ratio)が調節されてもよい。パルス状のRF電力を第1の電極131及び第3の電極133に印加すれば、プラズマが周期的にオン/オフになり、すなわち、プラズマがパルス状に発生することが可能になる。これにより、処理工程の最中に隔壁にダメージを与え、パーティクルを生じさせるイオンの密度は下げることができるのに対し、ラジカルの密度は一定に保つことができる(
図8参照)。したがって、処理工程の効率を保ちながらも、プラズマにより隔壁135がダメージを受けることを低減もしくは防止することができる。普通、RF電力は、0.1MHz〜数百MHzの周波数を有することができる。
【0066】
その一方で、色々な要因により、第1の電極131と第2の電極132との間及び第2の電極132及び第3の電極133との間にそれぞれ形成されるプラズマ密度が互いにばらついてしまうことがある。しかしながら、本発明の一実施の形態においては、可変電源供給部180において第1の電極131及び第3の電極133に互いに異なる大きさのRF電力をそれぞれ印加することにより、第1の電極131と第2の電極132との間の空間、及び第2の電極132と第3の電極133との間の空間にプラズマを均一に形成することができる。第1の電極131及び第3の電極133のそれぞれに互いに異なる大きさのRF電力を印加するための可変電源供給部180の詳細については後述する。
【0067】
第1の電極131、第2の電極132及び第3の電極133及びガス供給管160は、チューブ110の周方向に沿って互いに離間して配置されてもよい。少なくとも一本のガス供給管160は、隔壁135の外側に配置されてもよい。例えば、
図3に示すように、二本のガス供給管160が、チューブ110の周方向において、隔壁135の一方の側及び他方の側にそれぞれ配置されてもよい。
【0068】
プラズマ反応部130には、プラズマ反応部130において分解された工程ガス中のラジカルを処理空間に噴射する複数の噴射口120が形成されてもよい。複数の噴射口120は、隔壁135の主側壁部135cに形成されてもよい。主側壁部135cは、第1の電極131と第2の電極132との間、及び第2の電極132と第3の電極133との間に対応する位置に配設された複数の噴射口120を備えていてもよい。これにより、ガス供給管160から供給された工程ガスが第1の電極131と第2の電極132との間、及び第2の電極132と第3の電極133との間に形成されたプラズマにより十分に分解されることが可能になり、所望の量のラジカルが処理空間に供給されることが可能になる。
【0069】
図4は、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置を示す平面図である。
【0070】
図4を参照すると、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置は、凹部を除く残りの構成及び効果は、
図3の基板処理装置と同一または類似であるため、以下では、相違点に重点をおいて説明する。
【0071】
本発明の一実施の形態においては、
図3とは異なり、チューブ110の最外周面を基準としたとき、複数の凹部115のうち少なくともいずれか一つの凹部115の深さが残りの凹部115の深さとは異なることがある。例えば、チューブ110の最外周面を基準としたとき、複数の凹部115のうち真ん中に位置する凹部115の深さd2が、外側に位置する凹部115の深さd1よりも深いことがある。ここで、チューブ110の最外周面とは、凹部115を除く最外郭の外周面のことをいう。このように、複数の凹部115のうち真ん中に位置する凹部115の深さd2を、外側に位置する凹部115の深さd1よりもさらに深くすることにより、真ん中の凹部115に収容された第2の電極132(接地電極)を放電空間内にさらに深く配置することができ、第1の電極131と第2の電極132との間及び第2の電極132と第3の電極133との間の高密度プラズマ発生領域を広げることができる。チューブ110の周方向において、隔壁135の外側に配置されたガス供給管160から供給された工程ガスが広げられた高密度プラズマ発生領域を通って排出されることが可能になるので、工程ガスのプラズマ分解効率を高めることができる。したがって、高い密度のラジカルが処理空間に供給されることが可能になる。
【0072】
図5は、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置を示す平面図である。
【0073】
図5を参照すると、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置は、電極の周辺構造を除く残りの構成及び効果は、
図3の基板処理装置と同一または類似であるため、以下では、相違点に重点をおいて説明する。
【0074】
本発明の一実施の形態においては、
図3とは異なり、複数の凹部115に収容された複数の電極131、132、133は、保護管170に取り囲まれなくてもよい。複数の電極131、132、133は、複数の凹部115の内側面に接触してもよい。この場合、複数の凹部115に収容された複数の電極131、132、133を放電空間内にさらに深く配置することができる。したがって、第1の電極131と第2の電極132との間及び第2の電極132と第3の電極133との間の高密度プラズマ発生領域を広げることができる。チューブ110の周方向において、隔壁135の外側に配置されたガス供給管160から供給された工程ガスが広げられた高密度プラズマ発生領域を通って排出されることが可能になるので、工程ガスのプラズマ分解効率を高めることができる。したがって、高い密度のラジカルが処理空間に供給されることが可能になる。
【0075】
この場合、必要に応じて、複数の電極131、132、133及びチューブ110の一部の外壁を覆う保護カバー172をさらに備えていてもよい。複数の電極131、132、133を外部の環境から保護したり支持したりする役割を果たすことができる。
【0076】
図6は、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置を示す平面図である。
【0077】
図6を参照すると、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置は、プラズマ反応部130及びガス供給管160を除く残りの構成及び効果は、
図3の基板処理装置と同一または類似であるため、以下では、相違点に重点をおいて説明する。
【0078】
複数の電極131、132、133は、チューブ110の外部に配置され、それぞれ複数の凹部115に収容された第1の電極131、第2の電極132及び第3の電極133を備える。第1の電極131、第2の電極132及び第3の電極133のそれぞれは、上部から下部にわたって保護管170により包み込まれた状態で、複数の凹部115に収容されてもよい。第2の電極132は、複数の凹部115のうち真ん中に位置する凹部115に収容され、第1及び第3の電極131、133は、複数の凹部115のうち外側に位置する残りの凹部115に収容されてもよい。
【0079】
隔壁135は、複数の凹部115のうち外側に位置する凹部115から延びてもよい。すなわち、隔壁135は、第1の電極131及び第3の電極133が収容された凹部115から延びて放電空間を与えてもよい。
【0080】
複数本のガス供給管160は、チューブ110の外部から複数の電極131、132、133の間の空間へと前記工程ガスを供給してもよい。複数本の供給管160は、チューブ110の外部に配置され、すなわち、第1乃至第3の電極131、132、133の中心軸を結ぶ線から外側に配置される。なお、複数本のガス供給管160の供給口161は、第1の電極131と第2の電極132との間及び第2の電極132と第3の電極133との間の空間をそれぞれ向くように配置されてもよい。
【0081】
複数本のガス供給管160の供給口161が第1の電極131と第2の電極132との間、及び第2の電極132と第3の電極133との間の空間をそれぞれ向くように配置されれば、複数本のガス供給管160の供給口161を介して供給される工程ガスは、第1の電極131と第2の電極132との間、及び第2の電極132と第3の電極133との間の放電空間に直接的に供給されることが可能になるので、隔壁135内に渦流が形成されず、工程ガスが放電空間に行き渡る時間が短縮可能であるので、工程ガスの分解速度の向上及びそれに伴うプラズマの分解率の向上を図ることが可能になる。
【0082】
また、隔壁135及びチューブ110の一部により取り囲まれた放電空間がコンパクトになるので、放電空間に供給される工程ガスがまんべんなく行き渡る時間が短縮されることが可能である。これにより、工程ガスがプラズマ分解されて処理空間に与えられる時間もまた短縮することができる。
【0083】
噴射口120と供給口161は、チューブ110の半径方向に対して互いにずれるように配設されてもよい。噴射口120と供給口161の位置が、互いに対応することなく、
図6に示すように、互いにずれていると、供給口161を介して供給された工程ガスが直ちにチューブ110の噴射口120に抜け出ることなく、プラズマにより分解されるための時間的な余裕を有することができるので、プラズマ分解効率が向上する。供給口161を介して供給された工程ガスがプラズマにより十分に分解されることが可能であり、高い密度のラジカルが処理空間に供給されることが可能になる。
【0084】
図7は、本発明の一実施の形態に係るRF電力の印加方式を示す回路図である。
【0085】
図7の(a)を参照すると、可変電源供給部180は、第1及び第3の電極131、133にRF電力を印加するRF電源182、RF電源182と第1の電極131との間及びRF電源182と第3の電極133との間にそれぞれ与えられるRF電力の大きさまたは比率を調節するRFスプリッタ181を備えていてもよい。
【0086】
色々な要因により、第1の電極131と第2の電極132との間の空間に形成されるプラズマ密度と、第2の電極132と第3の電極133との間の空間に形成されるプラズマ密度とが互いに異なる、不均一なプラズマが形成されるという問題が生じてしまうおそれがある。本発明の一実施の形態においては、均一なプラズマが形成されるように、可変電源供給部180を用いて、第1の電極131及び第3の電極133のそれぞれに印加されるRF電力の大きさまたは比率を調節できるようにしている。RFスプリッタ181は、電気的に接続されたRF電源182から印加されるRF電力の大きさまたは比率を調節して、第1の電極131及び第3の電極133のそれぞれに互いに異なる大きさのRF電力が印加されるようにできる。
【0087】
可変電源供給部180は、第1の電極131と第2の電極132との間、及び第2の電極132と第3の電極133との間の空間にそれぞれ配設されてプラズマの放電特性(放電電流、放電電圧、位相など)を測定する探針棒をさらに備え、前記探針棒から測定された放電特性の違いに応じて、前記RF電力の大きさまたは比率が調節されることが可能になる。
【0088】
図7の(c)を参照すると、均一なプラズマが形成されるように、第1の電極131及び第3の電極133は、二つのRF電源182にそれぞれ電気的に接続されて、RF電力をそれぞれ独立して供給されてもよい。
【0089】
図7の(b)を参照すると、第1の電極131と第2の電極132との間、及び第2の電極132と第3の電極133との間にそれぞれ形成されるプラズマ密度が互いにばらついていない場合には、一つのRF電源182から出力されたRF電力を均等に分配して、第1の電極131及び第3の電極133に供給してもよい。
【0090】
なお、RF電源182は、第1の電極131及び第3の電極133にパルス状のRF電力を印加してもよい。パルス状のRF電力は、1kHz〜10kHzのパルス周波数領域においてパルスの幅とデューティ比(duty ratio)が調節されてもよい。
【0091】
このように、本発明の詳細な説明においては、具体的な実施の形態について説明したが、本発明から逸脱しない範囲内において種々の変形が可能である。よって、本発明の範囲は、説明された実施の形態に限って定められてはならず、特許請求の範囲だけではなく、この特許請求の範囲と均等なものによって定められるべきである。