(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6896988
(24)【登録日】2021年6月14日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】再送に起因してパケットに追加される遅延の表示
(51)【国際特許分類】
H04L 29/08 20060101AFI20210621BHJP
【FI】
H04L13/00 307Z
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-569309(P2019-569309)
(86)(22)【出願日】2018年6月14日
(65)【公表番号】特表2020-524935(P2020-524935A)
(43)【公表日】2020年8月20日
(86)【国際出願番号】IB2018054384
(87)【国際公開番号】WO2018234951
(87)【国際公開日】20181227
【審査請求日】2020年1月27日
(31)【優先権主張番号】62/523,663
(32)【優先日】2017年6月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517247516
【氏名又は名称】ヴァレンス セミコンダクター リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リダ、アイラン
【審査官】
平井 嗣人
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/090918(WO,A2)
【文献】
特開2017−016041(JP,A)
【文献】
特開2005−295342(JP,A)
【文献】
特開2013−168811(JP,A)
【文献】
特開2015−171014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 1/16−1/18
H04L 29/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再送イベントに起因してパケットに追加される遅延を示すように構成される送受信機であって、
第1のスケジューラ、メモリ、再送モジュール、第2のスケジューラ、遅延インジケータモジュール、および物理層モジュールを備え、
前記第1のスケジューラは、パケットストリームを受信して、前記パケットストリームを第1の多重化されたパケットストリームへと多重化するように、および時刻表示を追加するように構成され、
前記メモリは、前記第1の多重化されたパケットストリームを前記時刻表示と共に格納するように構成され、
前記再送モジュールは、再送要求を受信するように、および、再送のためのデータを選択するように構成され、
前記第2のスケジューラは、前記第1の多重化されたパケットストリームおよび前記再送のためのデータを受信するように、および、前記第1の多重化されたパケットストリームおよび前記再送のためのデータを第2の多重化されたパケットストリームへと多重化するように構成され、
前記遅延インジケータモジュールは、前記時刻表示を利用して、前記再送要求の実現の結果として前記第2の多重化されたパケットストリームのパケットに追加される遅延を計算するように構成され、
前記遅延インジケータモジュールはさらに、前記第2の多重化されたパケットストリームの前記パケットの少なくともいくつかに前記計算された遅延を追加するように構成され、
前記物理層モジュールは、前記第2の多重化されたパケットストリームを送信するように構成される、
送受信機。
【請求項2】
前記時刻表示は、パケットごとに追加され、前記送受信機のローカル時計に基づく、請求項1に記載の送受信機。
【請求項3】
前記再送要求は、データが前記送受信機によってすでに送信された先である第2の送受信機から受信される、請求項1または2に記載の送受信機。
【請求項4】
前記送受信機の時計および前記第2の送受信機の時計は、同期されない、請求項3に記載の送受信機。
【請求項5】
前記第2の送受信機に初回に送信されるパケットのペイロードが、第1のエラーレジスタンスレベルを用いて送信され、再送されるデータを包含するペイロードが、前記第1のエラーレジスタンスレベルより高い第2のエラーレジスタンスレベルを用いて送信される、請求項3または4に記載の送受信機。
【請求項6】
前記第2のエラーレジスタンスレベルは、再送パケットエラーレートを少なくとも8桁低減するように選択される、請求項5に記載の送受信機。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の送受信機と、第2の送受信機とを備えるネットワークシステムであって、前記第2の送受信機が、前記送受信機から前記パケットを受信し、固定された遅延の後に有線通信リンクを介して第3の送受信機へ、初回に送信されるパケットを送信し、ここにおいて、前記初回に送信されるパケットのペイロードが第1のエラーレジスタンスレベルを用いて送信され、第2のメモリに前記ペイロードを格納し、前記第2のメモリに格納された前記ペイロードに含まれる第2のペイロードのための第2の再送要求を受信し、前記第1のエラーレジスタンスレベルより高い第2のエラーレジスタンスレベルでエンコードされた第2の再送パケットを用いて前記第2のペイロードを再送するように構成された、ネットワークシステム。
【請求項8】
前記第2のエラーレジスタンスレベルは、再送パケットエラーレートを少なくとも8桁低減するように選択される、請求項7に記載のネットワークシステム。
【請求項9】
前記物理層モジュールはHDBaseT(登録商標)物理層モジュールであり、前記第2の多重化されたパケットストリームはHDBaseT(登録商標)ストリームである、請求項1から6のいずれか一項に記載の送受信機。
【請求項10】
再送イベントに起因してパケットに追加される遅延を示す方法であって、
送受信機によって、パケットストリームを受信し、前記パケットストリームを第1の多重化されたパケットストリームへと多重化する段階と、
前記第1の多重化されたパケットストリームを、時刻表示と共にメモリに格納する段階と、
再送要求を受信し、再送のためのデータを選択する段階と、
前記第1の多重化されたパケットストリームと、再送のためのデータとを、第2の多重化されたパケットストリームへと多重化する段階と、
前記再送要求の実現の結果として、前記第2の多重化されたパケットストリームのパケットに追加される遅延を計算するために前記時刻表示を利用する段階と、
前記計算された遅延を、前記第2の多重化されたパケットストリームの少なくともいくつかの前記パケットに追加する段階と、
前記送受信機によって、前記第2の多重化されたパケットストリームを送信する段階と、
を備える、方法。
【請求項11】
前記再送要求は、データが前記送受信機によってすでに送信された先である第2の送受信機から受信される、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[関連出願への相互参照]
本出願は、2017年6月22日に提出された、米国仮特許出願第62/523,663号の優先権を主張する。
【0002】
低いレイテンシ変動を保証する通信ネットワークは、再送イベントによって生じたレイテンシ変動を補償する機構を含み得る。この機構はたいてい、送信先にあるバッファを用いて、および/または、送信パスに沿ってネットワークノードの時計を同期させることによって、エンド・ツー・エンド方式で、再送イベントによって生じたレイテンシ変動を補償する。ネットワークノードの時計を同期させることは、コストおよびネットワークの複雑性を増加させ、エンド・ツー・エンド解決法は、ネットワークノードの時計が非同期であるときには不正確となり得る。したがって、ネットワークノードが非同期であるときにもまた、リンクレベルにおける再送イベントによって生じたレイテンシ変動の、少なくともいくらかを補償する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態において、再送イベントに起因してパケットに追加される遅延を示すように構成される送受信機は、第1のスケジューラ、メモリ、再送モジュール、第2のスケジューラ、遅延インジケータモジュール、および物理層モジュールを含み、第1のスケジューラは、複数のパケットストリームを受信してこれらを第1の多重化されたパケットストリームへと多重化するように、および、時刻表示を追加するように構成され、メモリは、第1の多重化されたパケットストリームを、時刻表示と共に格納するように構成され、再送モジュールは、再送要求を受信するように、および、再送のためのデータを選択するように構成され、第2のスケジューラは、第1の多重化されたパケットストリームおよび再送のためのデータを受信するように、および、それらを第2の多重化されたパケットストリームへと多重化するように構成され、遅延インジケータモジュールは、時刻表示を利用して、再送要求の実現の結果として第2の多重化されたパケットストリームのパケットに追加された遅延を計算するように構成され、遅延インジケータモジュールはさらに、第2の多重化されたパケットストリームの少なくともいくつかのパケットに、計算された遅延を追加するように構成され、物理層モジュールは、第2の多重化されたパケットストリームを送信するように構成される。
【0004】
別の実施形態において、再送イベントに起因してパケットに追加される遅延を示す方法は、複数のパケットストリームを受信してそれらを第1の多重化されたパケットストリームへと多重化する段階と、第1の多重化されたパケットストリームを、時刻表示と共にメモリに格納する段階と、再送要求を受信して再送のためのデータを選択する段階と、第1の多重化されたパケットストリームおよび再送のためのデータを、第2の多重化されたパケットストリームへと多重化する段階と、時刻表示を利用して、再送要求の実現の結果として第2の多重化されたパケットストリームのパケットに追加された遅延を計算する段階と、第2の多重化されたパケットストリームの少なくともいくつかのパケットに、計算された遅延を追加する段階と、第2の多重化されたパケットストリームを送信する段階とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
実施形態は、以下の図面を参照して、例としてのみ本明細書で説明される。これらの実施形態の詳細な構造を、実施形態の基本的な理解のために必要であるよりも詳細に示す試みは行われない。図面において:
【0006】
【
図1A】そのヘッダおよびテールがそのペイロードより高いエラーレジスタンスであることを特徴とするパケットを再送する、一実施形態を示す図である。
【0007】
【
図1B】送信されるデータの本来の順序を維持しながら、その最大能力近くで通信リンクを動作させるための一方法を示すフロー図である。
【0008】
【
図2】実施形態を各ホップにおいて実装するネットワークを示す。
【0009】
【
図3】少なくともいくつかのストリームに関する再送および固定された遅延をサポートする、ソースおよびシンクデバイスの一実施形態を示す。
【0010】
【
図4】再送イベントに起因してパケットに追加される遅延を示すように構成された、送受信機の一実施形態を示す。
【0011】
【
図5】少なくとも2つのメモリを有する、送受信機の一実施形態を示す。
【0012】
【
図6】再送イベントに起因してパケットに追加される遅延を示す方法の一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1Aは、そのヘッダおよびテールがそのペイロードより高いエラーレジスタンスであることを特徴とするパケットを再送する、一実施形態を示す。第1送信の特定のタイプのパケット(#1、#2、#3、#4)は、目標パケットエラーレートよりかなり悪いパケットエラーレートを有するようにエンコードされており、一方、再送される複数のパケットは、それらのパケットエラーレートが目標パケットエラーレートとほぼ等しいか、より良くなるようにエンコードされている。ソース402は、予め定められたレートでシンク404にパケットを送信する。ソース402は、往復移動遅延とほぼ等しい、またはより長い期間で、パケットを介して送信されたデータを格納する。シンク404は、パケットを受信し、受信されたパケットを、エラーおよび/またはパケット喪失に関してチェックし、エラーのあるパケットの再送を要求する(ここで、エラーのあるパケットは、喪失したパケットもまた含む)。その一方で、ソース402は予め定められたレートでパケットを送信し続け、エラーのあるパケット(この例では、パケット#2)を再送するまで次のパケット(この例では、パケット#3)を送信する。任意で、追加の再送が要求されないことを保証するように、再送されるパケット#2'のペイロードは、パケット#2のエラーレジスタンスより高いエラーレジスタンスを用いてエンコードされる。エラーのあるパケット#2を置き換えるようにパケット#2'を送信した後、ソース402は、次の未送信パケット#4を、本来の順序に従って送信する。受信側において、シンク404は、バッファ410のエラーのあるパケット#2のペイロードを、再送されたパケット#2'のペイロードに置き換えることにより、データの本来の順序を維持する。
【0014】
例えば、本明細書に参照により組み込まれる、米国特許第8,565,337号で説明されるように、パケットの異なる部分は、異なるエンコード方式を実装した結果として、異なるエラーレジスタンスを特徴とし得る。代替的に、パケットの異なる部分は、順方向エラー訂正(FEC)技術を実装した結果として、異なるエラーレジスタンスを特徴とし得る。
【0015】
一例において、
図1Aに示された通信リンクは、HDMI(登録商標)信号を送信するように用いられる。そのリンクを最大限に活用するように、パケットの第1のセットは、1e−3およびCRC−32のパケットエラーレートでHDMI(登録商標)データを配信し、再送されるパケットは、1e−11のパケットエラーレートで移送され、それはHDMI(登録商標)規格によって要求される1e−9のパケットエラーレートより良い。
【0016】
図1Bは、送信されるデータの本来の順序を維持しながら、その最大能力近くで通信リンクを動作させるための一方法を示すフロー図である。方法は、以下の段階を含む。段階440において、データの少なくとも1つのストリームを、予め定められたレートで送信する。送信されるデータは、第1のエラーレジスタンスレベルを特徴とする。段階441において、受信されたデータをバッファに格納する。段階442において、エラーを検出したことに応じてデータ再送を要求する。段階443において、第1のエラーレジスタンスレベルより高い第2のエラーレジスタンスレベルでデータを再送する。段階444において、データの本来の順序を維持するように、バッファの適切な場所に、再送されたデータを挿入する。一実施形態において、方法は、データの本来の順序を維持するネットワークの各ホップにおいて動作し、レイテンシ変動が5マイクロ秒(μsec)未満の、短い、そしてほぼ固定されたレイテンシを特徴とする。一実施形態において、検出されたエラーは、パケット喪失エラーを含み、さらに、予め定められた一連のコードに従って割り当てられるパケット識別コードを用いて、パケット喪失を識別する段階を備える。一実施形態において、ストリームは、時間に影響されるデータを含み、方法は、レイテンシ変動が5マイクロ秒未満である、ほぼ固定されたレイテンシを保証する。
【0017】
図2は、各ホップにおいて
図1Aによって示された方法を実装する、ネットワークを示す。したがって、ネットワークの全体が、送信されたパケットの順序を維持し、再送の要求には、エラーレジスタンスを向上させたパケットを用いて応答され、大部分は、ソース502および504から送信された本来のストリームに悪影響を与えずに応答される。任意で、ソース502および504は、固定された送信レートにほぼ従って本来のストリームを送信する。任意に、ネットワークは、レイテンシ変動が5マイクロ秒未満である固定されたレイテンシをほぼ保証する。任意に、ソース502および504は、再送をサポートしないエンドデバイスからデータを受信する。
【0018】
一実施形態において、
図2に示されたネットワークのスイッチ506、508および510は、バッファを含み、したがって、ネットワークは、再送をサポートしないレガシエンドデバイス502、504、512および514によって良好に動作し得る。この実施形態において、ネットワークの合計のレイテンシもまた、再送が少なくとも1つのホップにおいて不要であるとき、減少し得る。
【0019】
図3は、少なくともいくつかのストリームに関する再送および固定された遅延をサポートする、ソースおよびシンクデバイスの一実施形態を示す。ソース側において、ソースのスケジューラ602は、再送メカニズムによって保護されるべき第1のストリーム(実線によって記される)と、再送メカニズムによって保護されない第2のストリーム(破線によって記される)とを受信する。ソースの再送モジュール604は、任意に、それらの順番を識別するように、第1のストリームパケットに追加のパケット識別データを追加し、次に、ソースのバッファ606に第1のストリームの一部を格納する。第1および第2のストリームは、リンク612を介してソースの物理層コンポーネント608によって送信され、受信機の物理層コンポーネント620によってシンク側で受信される。受信機の再送モジュール622は、CRCチェックありかまたはなしで、第2のストリームのパケットを受信機のスケジューラ626に転送し、第1のストリームのパケットを受信機のバッファ624に転送する。第1のストリームパケットにおいてCRCエラーを検出したことに応じて、またはパケット喪失を検出したことに応じて、任意で追加のパケット識別データにおけるギャップに基づいて、受信機の再送モジュール622はソースに適切な再送要求を送信する。ソースの再送モジュール604は、要求されたパケットをソースのバッファ606から抽出し、パケットを再エンコードして、より良いエラーレジスタンスを特徴とし、再送されるパケットをシンクに送信する。パケットの本来の順序を維持するように、受信機は、適切であれエラーであれ、すべての保護されたパケット上でレイテンシをもたらすように受信機のバッファ624を使用し、受信機の再送モジュール622は、再送されたパケットを、受信機のバッファ624におけるその本来の位置に挿入する。要求されたレイテンシ期間が過ぎた後、受信機のバッファ624からのパケットが、受信機のスケジューラ626に転送される。
【0020】
一実施形態において、
図3に示された通信リンクは、マルチメディア信号を搬送する。ビデオピクセルデータが再送によって保護される一方、ビデオピクセルデータに同期される必要がないレイテンシに影響されるデータは、再送メカニズムによって保護されない、したがって固定された遅延を伴わない、第2のストリームにおいて送信される。この場合において、送信機と受信機のいずれも、保護されていないパケットを再送バッファに格納する必要がない。一実施形態において、保護されていないデータ型は、より低いPAMなどの、最初の保護されたパケットよりもかなり高いエラーレジスタンスレベルを用いて送信されるので、再送保護機構は不要である。例えば、リンク制御メッセージおよびビデオDDC信号は、高いエラーレジスタンスで、かつ、再送メカニズムなしで送信され得る。
【0021】
一実施形態において、第1の映像ストリームは再送メカニズムによって保護されて、第2の映像ストリームは再送メカニズムによって保護されない。したがって、保護されていない映像ストリームは、保護される映像ストリームよりもリンク遅延が短い特徴がある。一実施形態において、最大リンク遅延は再送の最大数を決定し、それは再送メカニズムによって保護されるべきトラフィックの量を決定する。
【0022】
送信されたパケットの順序および固定された短いレイテンシを維持しながら、ほぼその最大能力で通信チャネルを利用する必要がある場合がある。ほぼその最大能力で通信チャネルを利用するように、データは、順方向エラー訂正(FEC)コードのみによっては保護されることができず、通信リンクを介した干渉が正確に予測できないとき、さらなる帯域幅を消費する。したがって、オプションのFECコードによって修正されることができない、エラーのあるパケットは、再送されなければならない。送信されたパケットの順序および固定された短いレイテンシを維持するように、再送されるパケットは、受信機が受信されたパケットにおけるエラーを識別するや、および/または、パケット喪失を識別するやすぐに、要求されるべきである。
【0023】
一実施形態において、通信リンクは、第1および第2の送受信機を含む。第1の送受信機は、第1のエラーレジスタンスレベルで予め定められたレートでパケットの第1のセットを送信し、送信されるデータをバッファに格納する。第2の送受信機は、パケットの第1のセットを受信し、エラーに関してパケットをチェックし、エラーのあるパケットを検出したことに応じて、エラーのあるパケットの再送を要求する。第1の送受信機は、再送要求を受信し、第1のエラーレジスタンスレベルより高い第2のエラーレジスタンスレベルでエンコードされた1または複数のパケットを用いて、関連するデータを再送する。次に、第2の送受信機は、パケットにおいて受信されたデータを、固定された遅延のほぼ後に、その本来の順序に従って転送する。一実施形態において、再送の平均スループットおよび最大バーストは、予め定義された量を超えない、リンクに過負荷をかけない、パケットの第1のセットの正しい送信に干渉しない、パケットの第1のセットと再送されたパケットとの送信の最大スループットを、通信リンクの最大能力に至らせる、および/または、ある値を超えて遅延を増加させない、などのように制御される。再送は、第1の送受信機、第2の送受信機、および/または、任意の他の適切な要素によって制御され得る。一実施形態において、再送されるパケットは、パケットの第1のセットの優先度より高い優先度で送信される。より高い優先度でパケットを再送することは、再送の要求と再送されたパケットの受信との間の時間を短くすることによって、通信リンクのレイテンシを減少させ得る。実施形態は、有線媒体、無線媒体、または光媒体などの、様々な媒体を介して実装され得る。さらに、実施形態は、レイテンシ変動が5マイクロ秒未満であるほぼ固定されたレイテンシを保証するネットワークをもたらすように用いられ得る。そのようなネットワークは、また、再送をサポートしないエンドデバイスと共に良好に動作し得る。
【0024】
一実施形態において、受信機は、パケット処理要素に結合されたパケットバッファを含む。パケットバッファは、受信されたパケットを格納し、パケット処理要素は、エラーのあるパケットを検出して、エラーのあるパケットを検出したことに応じて再送要求を送信する。任意に、パケットは、予め定められた一連のコードに従って割り当てられたパケット識別コードを含み、パケット処理要素は、受信されたパケットのパケット識別コードを、一連のコードから予想されるパケット識別コードと比べることによって、パケット喪失を識別する。再送されたパケットを受信するとき、パケット処理要素は、再送されたパケットをその適切な場所に挿入することによって、パケットの本来の順序を維持する。
【0025】
一実施形態において、ネットワークスイッチは、一度目に送信されたパケットより高いエラーレジスタンスでのパケット再送をサポートする複数の送受信機を含む。再送は、受信機側によって開始され、少なくとも2つのリンクおよび少なくとも1つのそのようなスイッチを備えるネットワークは、パケットの本来の順序を維持し、レイテンシ変動が5マイクロ秒未満であるほぼ固定された短いレイテンシを特徴とする。一実施形態において、ネットワークは、1または複数の主要なストリームを搬送し、再送されたパケットの最大量は、主要なストリームの正しい送信を干渉しないように決定される。一実施形態において、ネットワークのレイテンシは、一度目に送信されたパケットの大部分の優先度より高い優先度でパケットを再送することによって減少する。
【0027】
図4は、再送イベントに起因してパケットに追加される遅延を示すように構成された、送受信機750の一実施形態を示す。送受信機750は、少なくとも、第1のスケジューラ752、メモリ754、再送モジュール756、第2のスケジューラ758、遅延インジケータモジュール760、および物理層モジュール762を含む。
【0028】
第1のスケジューラ752は、1または複数のパケットストリーム(Str#1、Str#2、Str#3で表される)を受信し、パケットストリームは、例えば、入力ポートから、または、送受信機において実行中のプロセスから受信され得る。第1のスケジューラ752は、受信されたパケットストリーム(Str#1、Str#2、Str#3)を、第1の多重化されたパケットストリーム7aへと多重化し、パケットの少なくともいくつかに関する時刻表示を追加する。メモリ754は、第1の多重化されたパケットストリーム7a、およびそれの対応する時刻表示を受信および格納する。
【0029】
再送モジュール756は、再送要求770を受信し、再送のためのデータを選択する。任意で、再送要求770は、有線通信リンクなどの通信リンクを介して送受信機750と通信する第2の送受信機から受信される。再送要求770は、送受信機によって第2の送受信機にすでに送信されたデータに関して受信される。
【0030】
第2のスケジューラ758は、第1の多重化されたパケットストリーム7aと、再送7bのためのデータとを受信し、それらを、第2の多重化されたパケットストリーム7cへと多重化する。第2のスケジューラ758は、また、リンク管理データ776を受信し得、それを第2の多重化されたパケットストリーム7cへと多重化し得る。リンク管理データ776の例は、自己開始された再送、リンク管理パケット、および、通信リンクを学習および維持するために用いられる知られているデータを含む。
【0031】
遅延インジケータモジュール760は、時刻表示を利用して、再送要求の実現の結果として第2の多重化されたパケットストリーム7cのパケットに追加される遅延を計算する。一例において、時刻表示は、送受信機750のローカル時計の機能であり、遅延インジケータモジュール760は、特定のパケットと関連づけられた時刻表示から現在のローカル時計の時刻を減算することによって、第2の多重化されたパケットストリーム7cに属するパケットに追加される遅延を計算する。遅延インジケータモジュール760は、第2の多重化されたパケットストリームのうち少なくともいくつかのパケットに、計算された遅延を追加する。一例において、遅延インジケータモジュール760は、第2の多重化されたパケットストリームのうちすべてのパケットに、計算された遅延を追加する。別の例において、遅延インジケータモジュール760は、第2の多重化されたパケットストリームのうちいくつかのパケットにのみ、例えば、計算された遅延が予め定められた閾値を超えるパケットにのみ、計算された遅延を追加する。さらに別の例において、計算された遅延は、第1のスケジューラにおいてパケットを受信してから、送信のためにそれが物理層へ転送されるまでの時間の主な要因である。次に、物理層モジュール762は、任意には有線通信リンクを介して、第2の多重化されたパケットストリームを第2の送受信機に送信する。
【0032】
任意には、送受信機750は、再送されていなかったパケットのペイロードを、第1のエラーレジスタンスレベルを用いて第2の送受信機に送信し、再送されるデータを包含するペイロードを、第2のエラーレジスタンスレベルを用いて第2の送受信機に送信する。第2のエラーレジスタンスレベルは、さらなる再送の可能性を減少させるように、第1のエラーレジスタンスレベルより高い。いくつかの場合において、第2のエラーレジスタンスレベルは、単一の再送が再送されるデータの送信に成功するために十分であることを保証するために十分強い。
【0033】
オプションの一実施形態において、第2の送受信機は、送受信機からパケットを受信し、固定された遅延の後で第1のエラーレジスタンスレベルによって有線通信リンクを介して第3の送受信機へ、再送されていなかったパケットを送信し、第2のメモリにペイロードを格納し、第2のメモリに格納されるペイロードに含まれる第2のペイロードに関する第2の再送要求を受信し、第1のエラーレジスタンスレベルより高い第2のエラーレジスタンスレベルでエンコードされた第2の再送パケットを用いて第2のペイロードを再送する。任意に、第2のエラーレジスタンスレベルは、単一の再送が第2のペイロードの送信に成功するために十分であることを保証するために十分強くあり得る。
【0034】
任意には、送受信機の時計および第2の送受信機の時計は同期されず、第2の送受信機は、第2の送受信機が受信するパケットに格納される、計算された遅延を使用し、送受信機750における再送イベントの結果として被った遅延の少なくともいくらかを補償するように、順序およびそれを受信するパケット間のアイドリング継続時間を調整する。
【0035】
任意には、メモリ754は共有メモリであり、再送のためのデータは、メモリに格納された第1の多重化されたパケットストリームから選択される。
【0036】
図5は、少なくとも2つのメモリを有する、送受信機800の一実施形態を示す。送受信機800は、少なくとも、第1のスケジューラ752に類似する第1のスケジューラ802と、送信の待機の間、第1の多重化されたパケットストリーム8aを格納するバッファ804と、可能な再送の待機の間、すでに送信されたパケット8dを格納する再送メモリ808と、リモート再送要求826を受信し、ローカル再送要求820を発し得、再送メモリ808から再送されるべきデータを、コマンドライン822を用いて選択する、再送モジュール806と、第2のスケジューラ758に類似する第2のスケジューラ810と、遅延インジケータモジュール760に類似する遅延インジケータモジュール810と、物理層モジュール762に類似する物理層モジュール814とを含む。
【0037】
第2のスケジューラ(758、810)はさらに、リンク管理パケットを受信し得、それらを第2の多重化されたパケットストリームへと多重化し得る。リンク管理パケットは、送受信機によって発せられた再送の要求、リンク制御メッセージ、リンクプロパティ学習に関するメッセージ、干渉の処理に関するメッセージなどの、リンクを動作させる送受信機によって生成されるパケットである。
【0038】
任意に、第1のスケジューラ、再送モジュール、第2のスケジューラ、および遅延インジケータモジュールは、1つまたは複数のプロセッサを用いて実装される。任意に、再送モジュールおよびメモリは、同じデータに関するマルチの再送イベントをサポートするように設計される。代替的に、再送モジュールおよびメモリは、同じデータに関する単一の再送イベントのみをサポートするように設計される。任意に、物理層モジュールは、HDBaseT(登録商標)物理層モジュールであり、第2の多重化されたパケットストリームは、HDBaseT(登録商標)ストリームである。
【0039】
一実施形態において、送受信機(750、800)は、5マイクロ秒未満のレイテンシ変動を有する再送をサポートするネットワークスイッチに組み込まれる。送受信機750は、第2のスイッチを通じて、スイッチ送受信機750を介してストリーミングされるビデオを表示するデバイスなどの、シンクデバイスに結合され得る。任意に、再送モジュール756は、パケットの順番を識別するように、追加のパケット識別データをパケットストリームに追加し得る。
【0040】
図6は、再送イベントに起因してパケットに追加される遅延を示す、方法の一実施形態を示す。方法は、以下の段階を含む。段階850において、送受信機によって、複数のパケットストリームを受信し、それらを第1の多重化されたパケットストリームへと多重化する。段階851において、第1の多重化されたパケットストリームを、時刻表示と共にメモリに格納する。段階852において、再送要求を受信し、再送のためのデータを選択する。段階853において、第1の多重化されたパケットストリームと、再送のためのデータとを、第2の多重化されたパケットストリームに多重化する。段階854において、再送要求の実現の結果として第2の多重化されたパケットストリームのパケットに追加される遅延を計算するように、時刻表示を利用する。段階855において、第2の多重化されたパケットストリームのうち少なくともいくつかのパケットに、計算された遅延を追加する。段階856において、送受信機によって、第2の多重化されたパケットストリームを送信する。任意には、再送要求は、再送のためのデータが送受信機によってすでに送信された先である第2の送受信機から受信される。任意には、メモリは共有メモリであり、再送のためのデータは、メモリに格納された第1の多重化されたパケットストリームから選択される。および任意には、方法は、リンク管理パケットを受信して、それらを第2の多重化されたパケットストリームへと多重化する段階とをさらに含み得る。
【0042】
本明細書において、予め定められた確実性レベルまたは予め定められた閾値などの予め定められた値は、固定された値であり、および/または、ある値を予め定められた値と比較する計算を実行する前の任意の時点で決定される値である。また、値は、当該値を利用する閾値に達したかどうかを判定するように用いられる論理が、閾値に達したかどうかを判定する計算の実行の開始の前に知られているときには、予め定められた値とみなされる。
【0043】
この説明において、「一実施形態」(およびその変形)への参照は、参照される特徴が発明の少なくとも一つの実施形態に含まれ得ることを意味する。さらに、「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「別の実施形態」、および「さらに別の実施形態」への個別の参照は、同じ実施形態を参照してもよく、実施形態の異なる態様を示してもよく、および/または、異なる実施形態を参照してもよい。
【0044】
本発明の実施形態は、本明細書で説明された実施形態の特徴の、任意の様々な組み合わせ、および/または統合形態を含み得る。いくつかの実施形態はシリアルの操作を示すことがあるが、実施形態は、パラレルで、および/または、示されたものとは異なる順序で、特定の操作を実行してもよい。さらに、文章および/または図面における、繰り返される参照符号および/または文字の使用は、簡易性および明瞭性を目的としたものであり、それ自体で、様々な実施形態および/または説明されている構成の間の関係を決定するものではない。実施形態は、説明、図面、または例において設定された、方法の段階の順序、または、デバイスの実装の詳細へのそれらの応用に限定されない。さらに、図面に示された各ブロックは、本来は機能的なものであってよく、したがって、必ずしもディスクリートなハードウェア要素に相当するものでなくてもよい。請求項において、用語「第1」「第2」などは、序数指定にすぎないと解釈されるべきであり、これら自身に限定されるものではないとする。
【0045】
本明細書に開示された方法は、特定の順序で実行される特定の段階を参照して説明および示されてきた一方、実施形態の教示から逸脱しない限り、等価な方法を形成するように、これらの段階は、まとめられても、さらに分割されても、および/または、並べ替えられてもよいことが理解される。したがって、具体的に明細書に示されない限り、段階の順序およびグループ分けは、実施形態の限定ではない。さらに、実施形態の方法および機構は、明瞭性のために単数形で説明されることがある。しかしながら、いくつかの実施形態は、反対のことが記載されない限り、方法の複数回の反復または機構の複数個の例示を含み得る。例えば、プロセッサが一実施形態において開示されるとき、実施形態の範囲はまた、複数のプロセッサの使用にも及ぶことが意図される。明瞭にするために個別の実施形態の文脈で説明されてきたかもしれない、実施形態の特定の特徴は、また、単一の実施形態において、様々な組み合わせで提供されてもよい。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で説明されてきたかもしれない、実施形態の様々な特徴は、また、個別に提供されてもよく、任意の適切なサブコンビネーションで提供されてもよい。具体的な例とともに説明された実施形態は、限定としてではなく、例として表される。さらに、多くの代替例、変更例、および変形例が、当業者には明らかであろうことは自明である。他の実施形態が利用されてもよく、構造的な改変形態が、実施形態の範囲から逸脱することなく作成されてもよいことが、理解されるべきである。したがって、この開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の意図および範囲に入る、すべてのそのような代替例、変更例、および変形例を包含することを意図したものである。