(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成のカードでは、カードの表面から視認される情報の表示色は基材層の色に限定される。そこで、情報の表示色の多様化のための構成として、吸収層の破壊された領域にて所望の色が視認されるように、所望の色を呈する着色層を吸収層と基材層との間に配置した構成が提案されている。しかしながら、着色層がレーザー光を吸収する材料から構成されている場合、レーザー光の照射を受けたときに吸収層に加えて着色層も破壊されてしまうため、着色層の色によって情報の表示色を制御することが困難である。
本発明は、情報の表示色の制御が容易なカードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するカードは、基材層と、金属からなる機能性顔料を含み、1030nm以上1070nm以下の波長域に含まれる波長を有するレーザー光を前記基材層よりも吸収する吸収層と、着色顔料を含み、前記基材層と前記吸収層との間に位置する着色層と、を備え、前記着色層の含む前記着色顔料は、黄、橙、赤、紫、青、および、緑を各別に呈する各顔料からなる群から選択される1以上の顔料から構成されている。
【0006】
上記構成によれば、着色層が黒色顔料であるカーボンブラックを含まないため、着色層は、一般的なレーザーマーキングに用いられる1030nm以上1070nm以下の波長のレーザー光を吸収しにくい。したがって、情報の記録のために吸収層側からレーザー光の照射を受けたとき、吸収層とその上層とは破壊される一方で吸収層の下層の着色層は破壊されにくい。それゆえ、カードの表面と対向する方向から見て、吸収層の破壊された部分には着色層の色が見える。すなわち、着色層の呈する色が情報の表示色となるため、着色層の呈する色の調整によって、情報の表示色を容易に制御することができる。
【0007】
上記構成において、前記着色層は、黒色を呈してもよい。
上記構成によれば、カーボンブラックを含まない構成でありながら、着色層が顔料の組み合わせによって黒色を呈する。それゆえ、着色層が黒色であってもレーザー光によって着色層が破壊されることが抑えられ、黒色での情報の表示が可能である。
上記構成において、前記着色層の含む前記着色顔料は、黄色顔料、赤色顔料、および、青色顔料であることが好ましい。
上記構成によれば、黒色を呈する着色層が好適に実現できる。
上記構成において、前記吸収層の含む前記機能性顔料は、アルミニウム顔料およびスズ顔料の少なくとも一方であることが好ましい。
上記構成によれば、レーザー光の吸収によって破壊される吸収層が好適に実現できる。
【0008】
上記構成において、前記吸収層の含む前記機能性顔料は、前記アルミニウム顔料であり、前記吸収層は、前記アルミニウム顔料と樹脂とを含み、前記アルミニウム顔料と前記樹脂との合計の重量に対する前記アルミニウム顔料の重量は、40%以上であることが好ましい。
上記構成によれば、レーザー光の吸収によって破壊される吸収層が好適に実現できる。
【0009】
上記構成において、前記カードは、磁気ストライプを備え、前記カードの表面と対向する方向から見て、前記レーザー光によって記録された情報の位置する領域は、前記磁気ストライプと重ならなくてもよい。
上記構成によれば、磁気ストライプの位置する領域にはレーザー光が照射されていないため、磁気ストライブの機能の低下が抑えられる。
【0010】
上記構成において、前記カードの表面と対向する方向から見て、前記レーザー光によって記録された情報の位置する領域は、前記着色層と重なる領域と、前記着色層と重ならない領域とを含んでもよい。
【0011】
上記構成によれば、情報の位置する領域のうち、着色層と重なっている領域における情報の表示色と、着色層と重ならない領域における情報の表示色とを異ならせることが可能であり、こうした構成をカードにおける意匠性の向上や偽造防止効果の向上に利用することができる。
【0012】
上記構成において、前記着色層は第1の着色層であって、前記カードは、前記基材層と前記吸収層との間に位置する第2の着色層を備え、前記第2の着色層は、着色顔料としてカーボンブラックを含んでもよい。
【0013】
上記構成によれば、レーザー光の照射を受けたとき、第2の着色層およびその上層は破壊される。したがって、レーザー光の照射された領域における情報の表示色の差異等、第1の着色層と第2の着色層との配置によるカードの構成層の状態の差異をカードにおける意匠性の向上や偽造防止効果の向上に利用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、レーザー光の照射によって情報が記録されたカードにおいて、情報の表示色を容易に制御することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1〜
図3を参照して、カードの一実施形態について説明する。
【0017】
[カードの平面構成]
図1が示すように、カード10は、例えば略矩形形状の板状を有し、カード10の表面と対向する方向から見て、レーザー光の照射によって記録された情報の位置する領域である情報記録領域Rdを有している。情報記録領域Rdに記録されている情報は特に限定されず、情報は、例えば、文字、数字、記号、絵柄等である。
【0018】
また、カード10は、表面と対向する方向から見て、印刷によって形成された像の位置する領域である印刷像領域Pdを有している。こうした像には、例えば、絵柄やその背景模様、文字等が含まれる。
【0019】
例えば、情報記録領域Rdの示す情報は、カード10ごとに固有の情報であり、印刷像領域Pdの示す像は、同種のカード10において共通するデザインであって、カード10の表面と対向する方向から見て、情報記録領域Rd以外の部分が印刷像領域Pdである。
【0020】
カード10の表面と対向する方向から見て、情報記録領域Rdの全体は、カード10の構成層に含まれる着色層12と重なっており、情報記録領域Rdの示す情報の表示色は着色層12の呈する色である。
【0021】
カード10は、記憶媒体として磁気ストライプを備える磁気カードや、記憶媒体としてICチップを備えるICカードであってもよいし、こうした記憶媒体を備えないカードであってもよい。また、カード10の用途は特に限定されず、カード10は、例えば、クレジットカード、キャッシュカード、各種の会員カードやポイントカード、あるいは、身分証明のためのIDカード等として利用される。
【0022】
[カードの断面構成]
図2が示すように、カード10は、基材層11、着色層12、吸収層13、装飾層14、および、保護層15を備えている。また、
図2に示す例において、カード10は、記憶媒体の一例である磁気ストライプ16を備えている。
【0023】
カード10の裏面から表面にむけて、基材層11、着色層12、吸収層13、装飾層14、および、保護層15はこの順に位置する。基材層11の有する面のなかで外側に露出している面がカード10の裏面であり、保護層15の有する面のなかで外側に露出している面がカード10の表面である。
【0024】
基材層11は、情報を記録する際に照射されるレーザー光、具体的には1030nm以上1070nm以下の波長域に含まれる波長を有するレーザー光の吸収性が低い層であり、すなわち、基材層11における1030nm以上1070nm以下の波長の光の吸収率は、10%以下である。
【0025】
基材層11は、樹脂を主成分として構成されている。基材層11は、1つの層から構成されていてもよいし、複数の層から構成されていてもよい。
図2に示す例においては、基材層11は、2つの外装基材11a,11cの間に、1つのコア基材11bが挟まれた3層構造を有している。外装基材11a,11cは無色透明であり、コア基材11bは白色である。
【0026】
基材層11の色は、無色であっても有色であってもよいが、無色または白色であると、レーザーマーキングに用いられる一般的なレーザー光である上記1030nm以上1070nm以下の波長のレーザー光を基材層11が吸収しにくいため好ましい。例えば、外装基材11a,11cの上記レーザー光の透過率は90%以上であり、コア基材11bは上記レーザー光を反射する。なお、基材層11の色が有色である場合、基材層11は黒色顔料であるカーボンブラックを含まないことが好ましい。
【0027】
基材層11を構成する樹脂としては、カードの基材に一般的に用いられる樹脂が用いられればよい。こうした樹脂としては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、テレフタル酸とシクロヘキサンジメタノールおよびエチレングリコールとの共重合体、テレフタル酸とイソフタル酸およびエチレングリコールとの共重合体、これらの共重合体の少なくとも1つとポリカーボネートおよびポリアリレートの少なくとも一方とのポリマーアロイからなる非晶性ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ABS樹脂等が挙げられる。
【0028】
基材層11の厚さは特に制限されないが、例えば、680μm以上840μm以下であって、カード10の形状をJISやISO等の規格に従った形状とする場合には、カード10の全体の厚みがその規格に定められた範囲内となるように設定されればよい。基材層11が複数の層から構成される場合には、これらの層の溶着や貼り合わせによって、基材層11が形成される。
【0029】
着色層12は、基材層11と吸収層13との間に挟まれている。カード10の表面と対向する方向から見て、着色層12は、基材層11の全体と重なっていてもよいが、少なくとも、情報記録領域Rdの全体と重なる部分に位置していればよい。
【0030】
着色層12は、着色顔料と樹脂とを含む。着色層12の含む着色顔料は、黄、橙、赤、紫、青、および、緑の各色を各別に呈する各顔料からなる群から選択される1以上の顔料である。すなわち、着色層12は、黒色顔料であるカーボンブラックを含まない。上記群から選択される顔料の色の組み合わせ、および、組み合わされた各顔料の比率によって、着色層12の呈する色が制御される。
【0031】
カーボンブラックが吸収する光の波長域は、レーザーマーキングに用いられる一般的なレーザー光の波長である1030nm以上1070nm以下の波長域と重なるため、着色層12がカーボンブラックを含んでいると、着色層12がレーザー光を吸収しやすい。これに対し、本実施形態の着色層12は、カーボンブラックを含まないため、着色層12は、情報を記録する際に照射されるレーザー光を吸収しにくい。着色層12における1030nm以上1070nm以下の波長の光の吸収率は、10%以下であることが好ましい。
【0032】
上述のように、複数の色の顔料の組み合わせや、組み合わされた各顔料の比率によって、着色層12の呈する色は様々に制御可能であり、着色層12が黒色顔料を含まずとも、着色層12の呈する色を黒色とすることは可能である。具体的には、着色層12の含む着色顔料が、黄色顔料、赤色顔料、および、青色顔料であると、黒色を呈する着色層12が実現可能であり、これらの顔料の体積比は、黄:赤:青=1:1:1であることが好ましい。
【0033】
着色層12の含む着色顔料は、無機顔料であっても有機顔料であってもよい。無機顔料の例としては、赤色顔料である鉛丹、酸化鉄赤、黄色顔料である黄鉛、亜鉛黄(亜鉛黄1種、亜鉛黄2種)、青色顔料であるウルトラマリン青、プロシア青(フェロシアン化鉄カリ)が挙げられる。有機顔料の例としては、多環顔料とアゾ顔料とが挙げられる。多環顔料の例としては、黄色顔料であるイソインドリノン、イソインドリン、アゾメチン、アントラキノン、アントロン、キサンテン、橙色顔料であるジケトピロロピロール、ペリレン、アントラキノン(アントロン)、ペリノン、キナクリドン、インジゴイド、赤色顔料であるキナクリドン、ジケトピロロピロール、アントラキノン、ペリレン、ペリノン、インジゴイド、紫色顔料であるジオキサジン、キナクリドン、ペリレン、インジゴイド、アントラキノン(アントロン)、キサンテン、青色顔料であるフタロシアニン、アントラキノン、インジゴイド、緑色顔料であるフタロシアニン、アゾメチン、ペリレンが挙げられる。アゾ顔料の例としては、モノアゾ化合物、ジアゾ化合物、トリアゾ化合物、ポリアゾ化合物が挙げられる。
【0034】
着色層12の含む樹脂の例としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂やこれらの共重合体等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等が挙げられる。
着色層12の厚さは特に制限されないが、例えば、20μm以下であることが好ましい。
【0035】
着色層12は、着色顔料および樹脂を含むインクが基材層11上に塗工されることによって形成される。インクに含まれる顔料の割合は、10質量%以上60質量%以下であることが好ましい。なお、インクには、公知の添加剤が含まれてもよい。塗工方法としては、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷等の公知の印刷法が用いられる。
【0036】
磁気ストライプ16は、基材層11上に配置されており、吸収層13は、着色層12と、磁気ストライプ16と、基材層11のなかで着色層12および磁気ストライプ16から露出している部分とを覆っている。なお、カード10の表面と対向する方向から見て、吸収層13は、少なくとも着色層12および磁気ストライプ16と重なっていればよい。
【0037】
また、カード10の表面と対向する方向から見て、情報記録領域Rdおよび着色層12の各々は、磁気ストライプ16と重なっていないことが好ましい。情報記録領域Rdが磁気ストライプ16と重なっていないことは、すなわち、磁気ストライプ16が情報の記録のためのレーザー光の照射を受けていないことを示し、これにより、レーザー光によって磁気ストライプ16の磁気出力に関する機能が低下することが抑えられる。また、着色層12が磁気ストライプ16と重なっていないことにより、磁気ストライプ16の上層の厚さが過度に大きくなることが抑えられるため、磁気ストライプ16から出力された磁気が検出されにくくなることが抑えられる。
なお、磁気ストライプ16は、カード用として一般的に使用される磁気ストライプであれば、その構成に特に制約はない。
【0038】
吸収層13は、1030nm以上1070nm以下の波長域に含まれる波長を有するレーザー光を吸収する材料から構成されており、すなわち、吸収層13における1030nm以上1070nm以下の波長の光の吸収率は、90%以上である。また、吸収層13は、磁気ストライプ16を外部から隠蔽する機能も有している。
【0039】
吸収層13は、金属からなる機能性顔料と樹脂とを含んでいる。吸収層13の含む機能性顔料は、アルミニウム顔料およびスズ顔料の少なくとも一方であることが好ましい。特に、吸収層13の含む機能性顔料はアルミニウム顔料であり、アルミニウム顔料と樹脂との合計の重量に対するアルミニウム顔料の重量が、40%以上であることが好ましい。こうした構成によれば、レーザー光の吸収によって破壊される吸収層13が好適に実現できる。
【0040】
吸収層13の含む樹脂の例としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂やこれらの共重合体等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等が挙げられる。
【0041】
なお、吸収層13は、カーボンブラック以外の着色顔料を含まないことが好ましい。これにより、吸収層13が破壊された際に残存する破片に起因して情報の表示色に吸収層13の色が混じって見えることが抑えられる。
吸収層13の厚さは特に制限されないが、例えば、1μm以上10μm以下であることが好ましい。
【0042】
吸収層13は、機能性顔料および樹脂を含むインクが、着色層12と磁気ストライプ16との配置された基材層11上に塗工されることによって形成される。また、インクには、公知の添加剤が含まれてもよい。塗工方法としては、例えば、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等の公知の印刷法が用いられる。
【0043】
装飾層14は、印刷像領域Pdの像を構成する層であり、カード10の表面から見て、こうした像が視認されるように、印刷によって形成される。装飾層14は、形成される像に応じた色の着色顔料と樹脂とを含む。装飾層14の含む樹脂の例としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等が挙げられる。
装飾層14の厚さは特に制限されないが、例えば、3μm以下であることが好ましい。
【0044】
装飾層14は、着色顔料および樹脂を含むインクが吸収層13上に塗工されることによって形成される。インクに含まれる顔料の割合は、10質量%以上60質量%以下であることが好ましい。なお、インクには、公知の添加剤が含まれてもよい。塗工方法としては、例えば、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷等の公知の印刷法が用いられる。
【0045】
なお、表面と対向する方向から見たカード10の基調色を白色としたい場合には、吸収層13と装飾層14との間に、二酸化チタン顔料を含む白色の層が配置されていてもよい。
保護層15は、装飾層14およびその下層を保護する層であり、カード10の表面と対向する方向から見て、基材層11の全体と重なっている。
【0046】
保護層15は、透明であり、樹脂を主成分として構成されている。保護層15を構成する樹脂としては、例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ABS樹脂、これらの共重合体やポリマーアロイ等が挙げられる。
【0047】
また、保護層15は、添加剤として、ポリエチレンワックスやPTFEワックス等のワックスや、マイカ、タルク、シリカ等を含んでいてもよく、これらの添加剤は、保護層15に求められる特性に応じて選択されればよい。
保護層15の厚さは特に制限されないが、例えば、0.5μm以上8.0μm以下であることが好ましい。
【0048】
保護層15は、樹脂および必要に応じた添加剤を含むインクが装飾層14上に塗工されることによって形成される。塗工方法としては、例えば、オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等の公知の印刷法や、ダイコーティング等の公知の塗布法が用いられる。
なお、
図2に示した積層構造が形成可能であれば、カード10を構成する各層の形成の順番や形成方法は、上述の形態に限られない。
【0049】
図3は、情報記録領域Rdが位置する部分でのカード10の断面構造を示す図である。
情報記録領域Rdは、カード10の上記各構成層から構成される積層体に対し、カード10の表面側から、レーザー光が照射されることによって形成される。用いられるレーザー光の波長は、1030nm以上1070nm以下であり、特に、1064nmであることが好ましい。こうした波長域のレーザー光を用いることによって、上記各構成層から構成される積層体に対して情報記録領域Rdの形成を好適に行うことが可能であり、また、上記構成の無色や白色の基材層11がレーザー光の熱によって劣化することが抑えられる。
レーザーとしては、例えば、ファイバーレーザー、Nd:YAGレーザー、Nd:YVOレーザーが好適に用いられる。
【0050】
上述のように、着色層12はカーボンブラックを含まないためレーザー光を吸収しにくく、吸収層13はレーザー光を吸収する。したがって、保護層15の表面側からレーザー光が照射されたとき、吸収層13はレーザー光のエネルギーを吸収して昇温することにより変質し、レーザー光が照射された部分では、吸収層13がその上層である装飾層14および保護層15とともに、下層から剥離する。一方、吸収層13の下層である着色層12および基材層11は、レーザー光を吸収しにくいため、これらの層は、レーザー光によっては破壊されない。結果として、レーザー光が照射された領域には、表面から見て、着色層12が露出する。
【0051】
これにより、レーザー光が照射された領域に情報記録領域Rdが形成され、カード10の表面と対向する方向から見て、情報記録領域Rdは、着色層12の呈する色に見える。情報記録領域Rdの付近の装飾層14の色と着色層12の色とが異なる構成とすることにより、カード10の表面と対向する方向から見て、情報記録領域Rdの示す情報の識別が可能である。
【0052】
以上のように、本実施形態では、着色層12の呈する色がレーザー光の照射によって記録された情報の表示色となるため、着色層12の色の設定によって、情報の表示色を規定することができる。したがって、情報の表示色の制御が容易である。
【0053】
また、本実施形態のカード10の構成の比較対象の構成として、レーザー光からの着色層12の保護のために、耐熱性を有する樹脂層が着色層12と吸収層13との間に挟まれている構成が想定される。こうした構成では、樹脂層の形成のための加熱および加圧の工程の前後で、着色層12や吸収層13を形成するための印刷法等によるインクの塗工が必要となるため、その製造が煩雑であるが、本実施形態のカード10であれば、樹脂層の形成を挟むことなく各層の塗工による形成が可能であるため、製造工程の煩雑化が抑えられる。
以上説明したように、本実施形態のカードによれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
【0054】
(1)吸収層13は、金属からなる機能性顔料を含み、レーザー光を吸収する。そして、着色層12の含む着色顔料は、黄、橙、赤、紫、青、および、緑を各別に呈する各顔料からなる群から選択される1以上の顔料から構成されている。こうした構成によれば、着色層12が黒色顔料であるカーボンブラックを含まないため、着色層12は、一般的なレーザーマーキングに用いられる1030nm以上1070nm以下の波長のレーザー光を吸収しにくい。したがって、情報の記録のために吸収層13側からレーザー光の照射を受けたとき、吸収層13とその上層とは破壊される一方で吸収層13の下層の着色層12は破壊されにくく、カード10の表面と対向する方向から見て、吸収層13の破壊された部分には着色層12の色が見える。すなわち、着色層12の呈する色が情報の表示色となるため、着色層12の呈する色の調整によって、情報の表示色を容易に制御することができる。
【0055】
(2)着色層12が黒色を呈する構成では、カーボンブラックを含まない構成でありながら、着色層12が顔料の組み合わせによって黒色を呈するため、着色層12が黒色であってもレーザー光によって着色層12が破壊されることが抑えられ、黒色での情報の表示が可能である。そして、着色層12の含む着色顔料が、黄色顔料、赤色顔料、および、青色顔料である構成によれば、黒色を呈する着色層が好適に実現できる。
【0056】
(3)吸収層13の含む機能性顔料が、アルミニウム顔料およびスズ顔料の少なくとも一方である構成では、レーザー光の吸収によって破壊される吸収層13が好適に実現できる。さらに、吸収層13の含む機能性顔料がアルミニウム顔料であり、吸収層13の含むアルミニウム顔料と樹脂との合計の重量に対するアルミニウム顔料の重量が、40%以上である構成では、レーザー光の吸収によって破壊される吸収層13が特に好適に実現できる。
【0057】
(4)カード10の表面と対向する方向から見て、情報記録領域Rdが磁気ストライプ16と重ならないため、磁気ストライプ16の位置する領域にはレーザー光が照射されていない。したがって、磁気ストライブの機能の低下が抑えられる。
【0058】
[実施例]
上述したカードについて、具体的な実施例および比較例を用いて説明する。
(実施例1)
<カードの構成>
先の
図2に例示した構造のカードを、各層の構成を下記として製造した。実施例1のカードは、基材層と隠蔽層との間に磁気ストライプを備えている。
【0059】
・基材層:厚さが0.1mmの透明ポリ塩化ビニルからなる外装基材と、厚さが0.6mmの白色ポリ塩化ビニルからなるコア基材と、厚さが0.1mmの透明ポリ塩化ビニルからなる外装基材とからなる積層体を溶着により形成して、基材層とした。
・着色層:着色顔料として、黄色顔料、赤色顔料、および、青色顔料を、黄:赤:青=1:1:1の体積比で含むインクを、オフセット印刷により塗工して、厚さ1μmの着色層を形成した。
【0060】
・吸収層:機能性顔料としてのアルミニウム顔料、および、樹脂としての塩化ビニルと酢酸ビニルとの共重合体を、機能性顔料:樹脂=4:6の重量比で含むインクを、スクリーン印刷により塗工して、厚さ3μmの吸収層を形成した。
・装飾層:UV硬化性アクリル樹脂を含むインクをオフセット印刷により塗工して、厚さ1μmの装飾層を形成した。
・保護層:アクリル樹脂を含むインクをグラビア印刷により塗工して、厚さ2μmの保護層を形成した。
【0061】
<レーザー光の照射による情報の記録>
上記構成に対し、ファイバーレーザーを用いて1064nmの波長のレーザー光を保護層側から照射したところ、保護層と装飾層と吸収層が破壊され、これらの層が破壊された領域には、黒色の着色層が視認された。これにより、黒色の文字情報が形成された。
【0062】
(実施例2)
<カードの構成>
基材層が1層構造であるカードを、基材層の構成を下記として製造した。着色層、吸収層、装飾層、保護層の構成については、実施例1と同様の構成とした。実施例2のカードは、磁気ストライプを備えていない。すなわち、実施例2のカードは、
図4に示す構造のカードである。
・基材層:厚さが0.8mmの白色ポリカーボネートからなる層を基材層として用いた。
【0063】
<レーザー光の照射による情報の記録>
上記構成に対し、ファイバーレーザーを用いて1064nmの波長のレーザー光を保護層側から照射したところ、保護層と装飾層と吸収層が破壊され、これらの層が破壊された領域には、黒色の着色層が視認された。これにより、黒色の文字情報が形成された。
【0064】
(比較例1)
<カードの構成>
実施例1における着色層の構成を、下記に変更して、比較例1のカードを製造した。着色層以外の各層の構成は、実施例1と同様の構成とした。
・着色層:着色顔料として、黒色顔料であるカーボンブラックを含むインクを、オフセット印刷により塗工して、厚さ1μmの着色層を形成した。
<レーザー光の照射による情報の記録>
上記構成に対し、ファイバーレーザーを用いて1064nmの波長のレーザー光を保護層側から照射したところ、保護層と装飾層と吸収層に加えて着色層が破壊され、黒色の文字情報は形成できなかった。
【0065】
以上のように、着色層の含む着色顔料として、カーボンブラック以外の顔料を用いることによって、レーザー光によって着色層が破壊されることが抑えられ、着色層の呈する色からなる情報の形成が可能であることが示された。
【0066】
[変形例]
上記実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。
・上記実施形態では、基材層11が3層構造を有する構成を例示したが、
図4が示すように、基材層11は1つの層から構成されていてもよいし、2つの層、あるいは、4つ以上の層から構成されていてもよい。また、カード10の表面は、マット加工が施されていてもよい。
【0067】
・上記実施形態では、磁気ストライプ16は、基材層11が有する面のうち、カード10の表面に近い面に配置されたが、磁気ストライプ16は、基材層11の有する面のうち、カード10の裏面を構成する面に配置されていてもよい。また、カード10は、磁気ストライプ16に代えて、あるいは、磁気ストライプ16に加えて、記憶媒体の一例であるICチップやICチップによる非接触通信のためのアンテナを備えていてもよいし、
図4が示すように、こうした記憶媒体を備えていなくてもよい。
【0068】
・上記実施形態では、着色層12が複数の色の着色顔料を含む場合、これらの顔料は、着色層12を形成するためのインクにて混合され、このインクの塗工によって着色層12が形成された。こうした構成に変えて、互いに異なる色の着色顔料を含むインクが、オフセット印刷等によって各別に塗工されることによって、着色層12が形成されていてもよい。すなわち、カード10の表面と対向する方向から見て、着色層12は、互いに異なる色の着色顔料を含む微細な点の集合であってもよい。
【0069】
・カード10の表面と対向する方向から見て、着色層12は、互いに異なる色を呈する複数の部分を有し、情報記録領域Rdがこれらの部分の各々と重なっていてもよい。また、カード10は、互いに異なる色を呈する複数の着色層12を備え、カード10の表面と対向する方向から見て、これらの着色層12が各別の領域に位置し、情報記録領域Rdがこれらの着色層12の各々と重なっていてもよい。こうした構成によれば、情報記録領域Rdのなかでの位置によって、情報の表示色を異ならせることが可能であり、こうした構成を、例えば、カード10の意匠性の向上や偽造防止効果の向上のために利用することができる。
【0070】
・
図5が示すように、情報記録領域Rdは、着色層12と重なる領域と、着色層12と重ならない領域とを含んでもよい。情報記録領域Rdのなかで着色層12と重ならない領域では、レーザー光の照射によって吸収層13がその上層とともに破壊された部分に基材層11が露出するため、カード10の表面と対向する方向から見て、基材層11の色が見える。したがって、情報記録領域Rdのなかで、着色層12と重なっている領域における情報の表示色と、着色層12と重なっていない領域における情報の表示色とを異ならせることが可能であり、こうした構成を、例えば、カード10の意匠性の向上や偽造防止効果の向上のために利用することができる。
【0071】
・カード10は、カーボンブラックを含まない上記着色層12である第1の着色層と、カーボンブラックを含む第2の着色層とを備えていてもよい。
例えば、カード10の表面と対向する方向から見て、第1の着色層と第2の着色層とが各別の領域に位置し、情報記録領域Rdがこれらの着色層の各々と重なっていてもよい。具体的には、例えば、カード10の表面と対向する方向から見て、1つの方向に帯状に延びる第1の着色層と第2の着色層とが、これらの着色層の延びる方向と直交する方向に隣接するように配置されていてもよい。すなわち、先の
図5に示した構成において、カード10の表面と対向する方向から見て、2つの着色層12の間にカーボンブラックを含む着色層が位置していてもよい。
【0072】
また例えば、第1の着色層と基材層11との間に第2の着色層が挟まれ、カード10の表面と対向する方向から見て、第1の着色層の一部が第2の着色層と重なっていてもよい。すなわち、第1の着色層と第2の着色層とが重なる部分では、基材層11、第2の着色層、第1の着色層、吸収層13が、この順に位置している。
【0073】
カーボンブラックを含む第2の着色層は、レーザー光を吸収するため、レーザー光の照射を受けると、第2の着色層およびその上層が破壊され、基材層11が露出する。その結果、情報記録領域Rdのなかで第2の着色層と重なる領域では、カード10の表面と対向する方向から見て、基材層11の色が見える。したがって、情報記録領域Rdのなかで、第1の着色層のみと重なっている領域における情報の表示色と、第2の着色層と重なっている領域における情報の表示色とを異ならせることが可能であり、こうした構成を、例えば、カード10の意匠性の向上や偽造防止効果の向上のために利用することができる。