(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1情報取得部は、前記第1流路に導入される前記第1流体の温度を計測する第1温度計測部と、前記第1流路に導入される前記第1流体の流量を計測する流量計測部とであり、
前記制御部は、前記第1温度計測部が計測した温度及び前記流量計測部が計測した流量に基づいて、前記基準条件が満たされていることを確認する、
請求項3に記載の熱処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。ここで、各実施形態に示す寸法、材料、その他、具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。また、実質的に同一の機能及び構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、本発明に直接関係のない要素については、図示を省略する。さらに、以下の各図では、鉛直方向にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内において、後述する第1及び第2流路の反応領域の延設方向にY軸を取り、かつ、Y軸に垂直な方向にX軸を取る。
【0016】
また、各実施形態で例示する熱処理装置は、第1流体と第2流体との熱交換を利用し、反応体としての反応原料を含んだ気体又は液体の反応流体を加熱又は冷却することで、反応体の反応を進行させる反応装置であるものとする。また、各実施形態では、第1流体として反応流体を想定し、第2流体として熱媒体を想定する。より具体的には、以下で詳説する反応部101に供給される反応流体を原料ガスMとし、生成物を含み、反応処理後に反応部101から排出される第3流体を反応ガスPとする。一方、熱媒体HCは、加熱流体であって、反応部101に供給される加熱流体を加熱ガスHC1とし、反応部101から排出される加熱流体を加熱排ガスHC2とする。
【0017】
(第1実施形態)
図1及び
図2は、本発明の第1実施形態に係る反応装置100の構成を示す概略図である。特に、
図1では、以下で詳説する熱交換部3に含まれる第2流路31に連通する加熱ガスHC1又は加熱排ガスHC2の流通配管に関連する構成を示す。一方、
図2では、熱交換部3に含まれる第1流路17に連通する原料ガスM又は反応ガスPの流通配管に関連する構成を示す。反応装置100は、反応部101と、それぞれ不図示であるが、反応部101に原料ガスMを供給する第1ガス供給部と、反応部101に加熱ガスHC1を供給する第2ガス供給部102とを有する。
【0018】
図3は、反応部101の構成を示す側面図である。反応部101は、原料ガスMから生成物を生成する反応処理を行うものであり、本体部としての熱交換部3を備える。
【0019】
熱交換部3は、反応流体が流通する反応流路を有する複数の第1伝熱体7と、熱媒体が流通する熱媒体流路を有する複数の第2伝熱体9と、蓋体39とを含み、反応流体と熱媒体とが互いに反対方向に流れる対向流型の構造を有する。第1伝熱体7、第2伝熱体9及び蓋体39は、それぞれ、耐熱性を有する熱伝導性素材で形成された平板状部材である。
【0020】
図4は、
図3におけるA−A部に対応した、第1伝熱体7を含む部位の構成及び形状を示す平面図である。第1伝熱体7は、反応領域を含む反応流路としての複数の第1流路17を有する。第1流路17は、その中間部分を反応領域とし、後述の第2伝熱体9内の第2流路を流通する熱媒体から供給された熱を受容して原料ガスMを反応させ、生成物を生成する。第1流路17は、それぞれ、Z方向の上方を開として、第1伝熱体7の一方の第1側面で開放され、原料ガスMが導入される第1導入口20から、Y方向に沿って他方の第2側面の直前まで直線状に伸び、流路断面を矩形とした溝である。これらの第1流路17は、X方向に等間隔に配設されている。なお、
図1及び
図2では、説明の簡略化のために、反応部101に含まれる熱交換部3内に第1流路17を1つのみ示している。
【0021】
第1伝熱体7は、第1基部11と、2つの第1側壁13と、複数の第1中間壁15と、第1隔壁19とを含む。第1基部11は、第1伝熱体7のXY平面全体を網羅する矩形板状の壁部である。第1側壁13は、第1基部11のZ方向に垂直な主表面の片面上で、第1流路17の延伸方向の左右端にそれぞれ設けられる壁部である。複数の第1中間壁15は、第1基部11の主表面の片面上で、2つの第1側壁13に挟まれ、それぞれ、第1側壁13と並列に、かつ、等間隔で設けられる壁部である。また、第1隔壁19は、第1基部11の主表面の片面上の第2側面側で、第1流路17の延設方向に対して垂直方向となるX方向に沿って設けられる。第1流路17が第2側面まで延伸すると、加熱ガスHC1が導入されている後述の第2空間S2に突き当たる。そこで、第1隔壁19は、複数の第1流路17を流通してきた加熱ガスHC1の進行方向を変化させる。さらに、第1側壁13、第1中間壁15及び第1隔壁19の各壁部のZ方向の高さは、同一である。
【0022】
また、第1伝熱体7は、第1隔壁19の内側面に沿って延設された第1連絡流路23を有する。第1連絡流路23は、すべての第1流路17に連通するとともに、一方の端部が第1側壁13の一方に設けられた、生成物を第1伝熱体7の外部に排出するための第1排出口21に連通する。なお、ここでは、流路の形状を説明するために、第1流路17とは別に、第1連絡流路23を示している。しかし、第1連絡流路23は、原料ガスM及び生成物を流通させるという流路の機能としては、第1流路17の一種であり、特別な差異はない。また、第1排出口21から排出される反応ガスPには、第1流路17内で生成された生成物が含まれるが、反応に用いられなかった原料ガスMも含まれる場合もある。
【0023】
図5は、
図3におけるB−B部に対応した、第2伝熱体9を含む部位の構成及び形状を示す平面図である。第2伝熱体9は、熱媒体流路としての複数の第2流路31を有する。第2流路31は、加熱ガスHC1から供給された熱を、外部すなわち第1伝熱体7に向けて供給する。第2流路31は、それぞれ、Z方向の上方を開として、第2伝熱体9の一方の第1側面で開放され、加熱ガスHC1が導入される第2導入口30から、Y方向に沿って他方の第2側面の直前まで直線状に伸び、流路断面を矩形とした溝である。ただし、第2伝熱体9でいう第1側面は、第1伝熱体7でいう第1側面とは、Y方向で反対となる。これらの第2流路31も、第1流路17と同様に、X方向に等間隔に配設されている。なお、
図1及び
図2では、説明の簡略化のために、反応部101に含まれる熱交換部3内に第2流路31を1つのみ示している。
【0024】
第2伝熱体9は、第2基部25と、2つの第2側壁27と、複数の第2中間壁29と、第2隔壁33とを含む。第2基部25は、第2伝熱体9のXY平面全体を網羅する矩形板状の壁部である。第2側壁27は、第2基部25のZ方向に垂直な主表面の片面上で、第2流路31の延伸方向の左右端にそれぞれ設けられる壁部である。複数の第2中間壁29は、第2基部25の主表面の片面上で、2つの第2側壁27に挟まれ、それぞれ、第2側壁27と並列に、かつ、等間隔で設けられる壁部である。また、第2隔壁33は、第2基部25の主表面の片面上の第2側面側で、第2流路31の延設方向に対して垂直方向となるX方向に沿って設けられる。第2流路31が第2側面まで延伸すると、原料ガスMが導入されている後述の第1空間S1に突き当たる。そこで、第2隔壁33は、複数の第2流路31を流通してきた加熱ガスHC1の進行方向を変化させる。さらに、第2側壁27、第2中間壁29及び第2隔壁33の各壁部のZ方向の高さは、同一である。
【0025】
また、第2伝熱体9は、第2隔壁33の内側面に沿って延設された第2連絡流路37を有する。第2連絡流路37は、すべての第2流路31に連通するとともに、一方の端部が第2側壁27の一方に設けられた、加熱排ガスHC2を第2伝熱体9の外部に排出するための第2排出口35に連通する。
【0026】
図6は、
図3におけるC−C部に対応した、第1伝熱体7の第1流路17及び第2伝熱体9の第2流路31の形状及び配置を示す熱交換部3の断面図である。Z方向の最上部を蓋体39とし、蓋体39の下方に向かって第2伝熱体9と第1伝熱体7とを交互に積層し接合することで、接合体又は積層体としての熱交換部3が形成される。このとき、第1流路17と第2流路31とは、第1基部11又は第2基部25を介して非接触で隣り合う。熱交換部3の組み立ての際には、各部材間をTIG(Tungsten Inert Gas)溶接や拡散接合等のような接合方法を利用して固着させることで、各部材間の接触不良に起因する伝熱性の低下等が抑止される。
【0027】
熱交換部3を構成する各要素の熱伝導性素材としては、鉄系合金やニッケル合金等の耐熱性金属が好適である。具体的には、ステンレス綱等の鉄系合金、インコネル625(登録商標)、インコネル617(登録商標)、Haynes230(登録商標)等のニッケル合金のような耐熱合金が挙げられる。これらの熱伝導性素材は、第1流路17での反応進行や熱媒体として使用し得る流体に対する耐久性又は耐食性を有するので好ましいが、これらに限定されるものではない。また、鉄系メッキ鋼や、フッ素樹脂等の耐熱樹脂で被覆した金属、又は、カーボングラファイト等でもよい。
【0028】
なお、熱交換部3は、少なくとも1つの第1伝熱体7と第2伝熱体9との一対の組で構成可能である。ただし、熱交換性能を向上させる観点から、伝熱体の数は、各図に例示しているように多い方が望ましい。また、1つの第1伝熱体7に形成される第1流路17、及び、1つの第2伝熱体9に形成される第2流路31の数も、特に限定されるものではなく、熱交換部3の設計条件や伝熱効率などを考慮して適宜変更可能である。さらに、熱交換部3からの放熱を抑制して熱損失を抑えるために、ハウジング又は断熱材で熱交換部3の周囲を覆う構成としてもよい。
【0029】
また、第1流路17には、反応を促進させるための触媒体41を、取り出し可能に設置してもよい。触媒体41は、第1流路17に設置されていない状態に比べて、熱交換部3による熱交換性能を向上又は維持させる伝熱構造体の1つである。触媒体41に含まれる触媒は、化学反応の進行促進に有効な活性金属を主成分として有し、反応部101で遂行する合成反応に基づいて、反応促進に適したものが適宜選択される。触媒成分である活性金属としては、例えば、Ni(ニッケル)、Co(コバルト)、Fe(鉄)、Pt(白金)、Ru(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム)等が挙げられ、1種、又は、反応促進に有効である限り、複数種を組み合わせて使用してもよい。触媒体41は、例えば、触媒を構造材に担持することにより調製される。構造材は、耐熱性の金属から、成形加工が可能で、触媒の担持が可能なものが選択される。構造体、すなわち触媒体41の形状は、反応流体との接触面積を増加させるために、断面が波状に丸く湾曲したコルゲート板状やギザギザに屈曲した形状などがあり得る。耐熱性の金属としては、Fe(鉄)、Cr(クロム)、Al(アルミニウム)、Y(イットリウム)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Mg(マグネシウム)、Ti(チタン)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)等の金属の1種又は複数種を主成分とする耐熱合金がある。例えば、Fecralloy(登録商標)等の耐熱合金製の薄板状構造材を成形加工して触媒体41を構成してもよい。触媒の担持方法としては、表面修飾等によって構造材上に直接担持する方法や、担体を用いて間接的に担持する方法などがあり、実用的には、担体を用いた触媒の担持が容易である。担体は、反応部101で実施する反応を考慮して、反応の進行を阻害せず耐久性を有する材料であって、使用する触媒を良好に担持し得るものが適宜選択される。例えば、Al
2O
3(アルミナ)、TiO
2(チタニア)、ZrO
2(ジルコニア)、CeO
2(セリア)、SiO
2(シリカ)等の金属酸化物が挙げられ、1種又は複数種を選択して担体として使用することができる。担体を用いた担持方法としては、例えば、成形した構造材の表面に触媒と担体との混合物層を形成する方式や、担体層を形成した後に表面修飾等によって触媒を担持させる方式などが挙げられる。
【0030】
さらに、第2流路31には、熱媒体との接触面積を増加させて熱媒体と第2伝熱体9との間の伝熱を促進するための伝熱促進体43を、取り出し可能に設置してもよい。伝熱促進体43も、第2流路31に設置されていない状態に比べて、熱交換部3による熱交換性能を向上又は維持させる伝熱構造体の1つである。伝熱促進体43は、いわゆる伝熱フィンであり、第2伝熱体9との接触面積を確保するために、コルゲート板状とし得る。また、伝熱促進体43を構成する熱伝導性素材としては、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、鉄系メッキ鋼等の金属が挙げられる。
【0031】
さらに、反応部101は、反応流体導入部45及び生成物排出部49と、熱媒体導入部53及び熱媒体排出部57とを備える。
【0032】
反応流体導入部45は、凹状に湾曲した筐体であり、複数の第1流路17の第1導入口20が開放されている熱交換部3の側面を覆い、熱交換部3との間に第1空間S1を形成する。反応流体導入部45は、熱交換部3に対して着脱可能又は開閉可能に設置される。この着脱等により、例えば、作業者が第1流路17に対する触媒体41の挿入や抜き出しを行うことができる。また、反応流体導入部45は、不図示の第1ガス供給部から原料ガスMを導入する第1導入配管47を有する。第1導入配管47は、熱交換部3の側面に対して中心、具体的にはXZ平面上の中心に位置し、複数の第1導入口20の開口方向と同一方向に連接されている。このような構成により、1箇所から導入された原料ガスMは、複数の第1導入口20のそれぞれに分配される。
【0033】
生成物排出部49は、1つの開放面を有する箱状の筐体であり、第1伝熱体7の第1排出口21に開放面が合うように、熱交換部3の第3側面に設置される。また、生成物排出部49は、その壁部の1箇所に、生成物を含む反応ガスPを反応部101の外部へ排出する第1排出配管51を有する。第1排出配管51は、不図示であるが、反応ガスPに対して後処理等を行う別の処理器に接続されている。このような構成により、複数の第1排出口21のそれぞれから排出された反応ガスPは、1箇所の第1排出配管51を通じて回収される。
【0034】
熱媒体導入部53は、反応流体導入部45と同様に、凹状に湾曲した筐体であり、複数の第2流路31の第2導入口30が開放されている熱交換部3の側面を覆い、熱交換部3との間に第2空間S2を形成する。熱媒体導入部53は、熱交換部3に対して着脱可能又は開閉可能に設置される。この着脱等により、例えば、作業者が第2流路31に対する伝熱促進体43の挿入や抜き出しを行うことができる。また、熱媒体導入部53は、第2ガス供給部102から加熱ガスHC1を導入する第2導入配管55を有する。第2導入配管55は、熱交換部3の側面に対して中心、具体的にはXZ平面上の中心に位置し、複数の第2導入口30の開口方向と同一方向に連接されている。このような構成により、1箇所から導入された加熱ガスHC1は、複数の第2導入口30のそれぞれに分配される。
【0035】
熱媒体排出部57は、生成物排出部49と同様に、1つの開放面を有する箱状の筐体であり、第2伝熱体9の第2排出口35に開放面が合うように、熱交換部3の第3側面に設置される。また、熱媒体排出部57は、その壁部の1箇所に、加熱排ガスHC2を反応部101の外部へ排出する第2排出配管59を有する。第2排出配管59は、不図示であるが、加熱排ガスHC2を再利用するための別の処理器に接続されている。このような構成により、複数の第2排出口35のそれぞれから排出された加熱排ガスHC2は、1箇所の第2排出配管59通じて回収される。
【0036】
熱交換部3は、液−液型熱交換器、気−気型熱交換器及び気−液型熱交換器のいずれとしても使用可能であり、反応部101に供給する反応流体及び熱媒体は、気体及び液体のいずれであってもよい。また、反応部101は、吸熱反応や発熱反応など様々な熱的反応による化学合成を可能とする。そのような熱的反応による合成として、例えば、式(1)で示すメタンの水蒸気改質反応、式(2)で示すメタンのドライリフォーミング反応のような吸熱反応、式(3)で示すシフト反応、式(4)で示すメタネーション反応、式(5)で示すフィッシャー−トロプシュ(Fischer tropsch)合成反応等の発熱反応による合成がある。なお、これらの反応における反応流体は、気体状である。
【0037】
CH
4 + H
2O → 3H
2 + CO ・・・(1)
CH
4 + CO
2 → 2H
2 + 2CO ・・・(2)
CO + H
2O → CO
2 + H
2 ・・・(3)
CO + 3H
2 → CH
4 + H
2O ・・・(4)
(2n+1)H
2 + nCO → C
nH
2n+2 + nH
2O ・・・(5)
【0038】
一方、熱媒体としては、反応部101の構成素材を腐食させない物質が好適であり、本実施形態のように加熱ガスである場合には、燃焼ガス、加熱空気等の気体状物質が使用できる。なお、例えば、水、油等の液状物質であってもよい。ただし、熱媒体として気体状物質を使用すると、液体媒体を使用する場合と比較して、取り扱いが容易である。
【0039】
また、反応装置100の構成要素として、不図示の第1ガス供給部は、第1導入配管47に連設され、反応部101内の第1流路17に向けて原料ガスMを供給する。以下、第1導入配管47を通過する、反応部101への導入前の原料ガスMの温度を「Te1」と表記する。
【0040】
また、不図示の第2ガス供給部は、第2導入配管55に連設され、反応部101内の第2流路31に向けて加熱ガスHC1を供給する。第2ガス供給部は、例えば、加熱ガスHC1が燃焼ガスである場合には、燃料と空気とを適宜混合させて燃焼ガスを生成する燃焼器を備える。
【0041】
また、
図1に示すように、反応装置100は、それぞれ第2導入配管55に設置され、管内を流れる加熱ガスHC1の温度を計測する第1温度計測部70と、加熱ガスHC1の流量を計測する流量計測部71とを含む。以下、第1温度計測部70が計測した、第2導入配管55を通過する反応部101への導入前の加熱ガスHC1の温度を「Te3」と表記する。また、このとき流量計測部71が計測した、加熱ガスHC1の流量を「F」と表記する。
【0042】
また、反応装置100は、第2排出配管59に設置され、管内を流れる加熱排ガスHC2の温度を計測する第2温度計測部72を含む。以下、第2温度計測部72が計測した加熱排ガスHC2の温度を「Te4」と表記する。
【0043】
また、
図2に示すように、反応装置100は、それぞれ第1排出配管51に設置され、管内を流れる反応ガスPの温度を計測する第3温度計測部73と、反応ガスPの組成を分析する組成分析部74とを含む。以下、第3温度計測部73が計測した反応ガスPの温度を「Te2」と表記し、このときの反応率を「r」と表記する。
【0044】
組成分析部74は、例えばガスクロマトグラフである。ガスクロマトグラフは、クロマトグラフィー手法により化合物の同定や定量を行う分析機器である。ガスクロマトグラフは、固定相と移動相とが気体である場合に適用可能であるので、本実施形態のように反応ガスPに含まれる生成物の組成分析には好適である。
【0045】
さらに、反応装置100は、反応装置100の全般の動作を制御する制御部103を有する。特に本実施形態では、制御部103は、第1温度計測部70と、第2温度計測部72と、第3温度計測部73と、流量計測部71と、組成分析部74とに、それぞれ電気的に接続されている。そして、制御部103は、下記のように、伝熱促進体43及び触媒体41の使用寿命を予測する。
【0046】
次に、本実施形態による作用について説明する。
【0047】
まず、第1の作用として、
図1等を参照し、伝熱促進体43の使用寿命の予測について説明する。制御部103は、第1温度計測部70、流量計測部71及び第2温度計測部72のそれぞれから得られた温度又は流量に関する情報に基づいて、伝熱促進体43の使用寿命を予測する。まず、作業者は、伝熱促進体43の使用寿命の予測を制御部103に開始させるに際し、予測のための経時計測の基準とする条件を規定する。本実施形態では、一例として、加熱ガスHC1の温度Te3を875(°C)、加熱ガスHC1の流量Fを39600(kg/h)、比熱C
pを1.2(kJ/(kg・°C))と規定し、この規定条件を経時計測のための基準条件とする。
【0048】
次に、制御部103は、反応装置100を運転状態とし、第1温度計測部70から温度に関する情報を取得し、加熱ガスHC1の温度Te3が、予め規定された上記の温度になっていることを確認する。また、制御部103は、流量計測部71から流量に関する情報を取得し、加熱ガスHC1の流量Fが、予め規定された上記の流量になっていることを確認する。すなわち、伝熱促進体43の使用寿命を予測する場合には、第1温度計測部70と、流量計測部71とが、経過時間の基準条件となる情報を取得する第1情報取得部に相当する。
【0049】
次に、制御部103は、基準条件が満たされていることを確認した後、反応処理を行う通常運転を開始する。そして、制御部103は、運転開始から、例えば、500,4000,8000,12000及び16000(時間)経過したときに、その都度、第2温度計測部72から加熱排ガスHC2の温度に関する情報を取得し、そのときの温度Te4を記憶する。すなわち、伝熱促進体43の使用寿命を予測する場合には、第2温度計測部72が、経過時間ごとに情報を取得する第2情報取得部に相当する。そして、各経過時間で計測された温度Te4は、それぞれ、609.8,612.0,611.1,617.4及び619.0(°C)である。
【0050】
次に、制御部103は、計測された加熱排ガスHC2の温度Te4に基づいて、そのときの交換熱量qを求める。交換熱量qは、式(6)を用いて求めることができる。
【0051】
q=w・C
p・ΔT ・・・(6)
ただし、wは質量流量であり、C
pは比熱であり、ΔTは、加熱ガスHC1の温度Te3と加熱排ガスHC2の温度Te4との差である。
【0052】
式(6)より得られた各経過時間での交換熱量qは、それぞれ、3501,3472,3483,3400及び3379(kW)である。そして、制御部103は、これらの値を用いて、経過時間tと交換熱量qとの関係を示す近似式を求める。ここで得られた近似式は、式(7)で表される。
【0054】
図7は、この場合の経過時間t(h)と交換熱量q(kW)との関係を示すグラフである。
図7では、各経過時間tでの交換熱量qを計測値として記載するとともに、それらの値を用いて求められた式(8)を近似曲線として記載している。
【0055】
ここで、伝熱促進体43の交換を要する時の交換熱量qの閾置を、例えば3300(kW)と規定する。この閾値は、予め作業者により規定されるものであり、制御部103に記憶されている。そして、制御部103は、この閾値を式(7)に適用し、
図7に示すように、このときの時間t
1を求める。この例では、得られた時間t
1は、20833時間となり、この時間が、反応装置100を予め規定された条件の下で反応処理を行わせた場合の伝熱促進体43の使用寿命となる。なお、作業者は、この場合の使用寿命を認識することで、例えば、反応装置100が現時点で16000時間運転していたとすると、伝熱促進体43の残りの使用可能時間が4833時間であると推測することができる。
【0056】
次に、第2の作用として、
図2等を参照し、触媒体41の使用寿命の予測について説明する。制御部103は、第3温度計測部73から得られた温度に関する情報、及び、組成分析部74で分析された反応ガスP中の生成物の組成に基づいて、触媒体41の使用寿命を予測する。まず、作業者は、触媒体41の使用寿命の予測を制御部103に開始させるに際し、予測のための経時計測の基準とする条件を規定する。本実施形態では、一例として、反応ガスPの温度Te2を850(°C)と規定し、この規定条件を経時計測のための基準条件とする。
【0057】
次に、制御部103は、反応装置100を運転状態とし、第3温度計測部73から温度に関する情報を取得し、反応ガスPの温度Te2が、予め規定された上記の温度になっていることを確認する。すなわち、触媒体41の使用寿命を予測する場合には、第3温度計測部73が、経過時間の基準条件となる情報を取得する第1情報取得部に相当する。
【0058】
次に、制御部103は、基準条件が満たされていることを確認した後、反応処理を行う通常運転を開始する。そして、制御部103は、運転開始から、例えば、500,4000,8000,12000及び16000(時間)経過したときに、その都度、組成分析部74に、反応ガスPの組成を分析させ、それらの情報を記憶する。すなわち、触媒体41の使用寿命を予測する場合には、組成分析部74が、経過時間ごとに情報を取得する第2情報取得部に相当する。そして、[表1]は、各経過時間で特定された反応ガスPの組成を示す表である。
【0060】
次に、制御部103は、特定された反応ガスPの組成に基づいて、そのときの反応率rを求める。ここで、反応率とは、一般的な反応装置でいう反応率と異なるところはなく、原料ガスMに含まれる原料の量に対する、反応ガスPに生成物として含まれる原料、すなわち実際に生成物を生成するための反応に用いられた原料の量をいう。この反応率を本実施形態に適合させると、本実施形態における反応率rは、式(8)で表される。なお、反応率は、反応の種類により異なるものであり、例えば、複数の反応が同時に行われる場合には、それら反応の選択率を踏まえて求められた収率等を考慮し、適宜決定される。
【0061】
反応率=(CO濃度+CO
2濃度)/(CO濃度+CO
2濃度+CH
4濃度)×100
・・・(8)
式(8)より得られた各経過時間での反応率rは、それぞれ、86.0、84.6、85.1、84.1及び82.5(%)となる。そして、制御部103は、これらの値を用いて、経過時間tと反応率rとの関係を示す近似式を求める。ここで得られた近似式は、式(9)で表される。
【0063】
図8は、この場合の経過時間t(h)と反応率r(%)との関係を示すグラフである。
図8では、各経過時間tでの反応率rを計測値として記載するとともに、それらの値を用いて求められた式(9)を近似曲線として記載している。
【0064】
ここで、触媒体41の交換を要する時の反応率rの閾置を、例えば80(%)と規定する。この閾値は、予め作業者により規定されるものであり、制御部103に記憶されている。そして、制御部103は、この閾値を式(9)に適用し、
図8に示すように、このときの時間t
2を求める。この例では、得られた時間t
2は、22738時間となり、この時間が、反応装置100を予め規定された条件の下で反応処理を行わせた場合の触媒体41の使用寿命となる。なお、作業者は、この場合の使用寿命を認識することで、例えば、反応装置100が現時点で16000時間運転していたとすると、触媒体41の残りの使用可能時間が6738時間であると推測することができる。
【0065】
次に、本実施形態による効果について説明する。
【0066】
まず、本実施形態に係る熱処理装置は、第1流体と第2流体とを流通させる熱処理装置であって、第1流体を流通させる第1流路と、第2流体を流通させる第2流路とを含む熱交換部3と、第1流路に取り外し可能に設置され、設置された伝熱構造体と、第1流路の入口側又は出口側に連設され、経過時間の基準条件となる第1流体の温度、流量又は組成を特定するための情報を取得する第1情報取得部と、第1流路の出口側に連設され、経過時間ごとに第1流体の温度、流量又は組成を特定するための情報を取得する第2情報取得部と、第1情報取得部及び第2情報取得部により取得された情報により特定された温度、流量又は組成に基づいて、経過時間に対する交換熱量、反応率又は収率を求め、該交換熱量、該反応率又は該収率に基づいて、伝熱構造体の使用寿命を予測する制御部103と、を有する。
【0067】
ここでいう第1流体又は第2流体に対応する流体が具体的に何であるかは、適用される熱処理装置の種類と、使用寿命の予測対象である伝熱構造体が何であるかとにより変化する。まず、適用される熱処理装置が、上記の例示のとおり反応装置100であると想定する。このとき、予測対象の伝熱構造体が伝熱促進体43である場合、第1流体は、伝熱促進体43に接触する熱媒体であり、第2流体は反応流体である。一方、予測対象の伝熱構造体が触媒体41である場合、第1流体は、触媒体41に接触する反応流体であり、第2流体は熱媒体である。なお、反応装置の種類によっては、第1流体が反応流体であっても、第2流体も反応流体である場合もあり得る。
【0068】
また、ここでいう第1流路及び第2流路についても、第1流体及び第2流体の位置づけに伴い、上記の例示のとおり第1流路17及び第2流路31である場合の他、これらの符号が逆になる場合もある。また、本発明の熱処理装置は、第1流体及び第2流体の双方を熱媒体とする熱交換器にも適用可能である。すなわち、予測対象の伝熱構造体は、第1流路及び第2流路の双方に設置されている伝熱促進体となる場合もあり得る。
【0069】
さらに、ここでいう第1流路の入口側又は出口側についても、第1流路が、触媒体41が設置される第1流路17である場合には、第1流路の入口側が第1導入配管47に相当し、出口側が第1排出配管51に相当する。一方、第1流路が、伝熱促進体43が設置される第2流路31である場合には、第1流路の入口側が第2導入配管55に相当し、出口側が第2排出配管59に相当する。
【0070】
反応装置100のような熱処理装置には、熱交換部3内の流路に、経過の時間に伴って劣化し、いずれかのタイミングで交換を余儀なくされる伝熱構造体が設置されている。本実施形態に係る熱処理装置によれば、ある条件で実際に使用された伝熱構造体の経過時間に対する交換熱量、反応率又は収率に基づいて、作業者にとって最も効率的な交換タイミングの指標となる伝熱構造体の使用寿命を予測することができる。したがって、その後の同一条件での熱処理では、作業者は、最も効率的な交換タイミングで伝熱構造体を交換することができる。すなわち、実際に伝熱構造体を交換したタイミングが最も効率的な交換タイミングからずれたことに起因して熱処理装置の性能が低下し、運転費用が増加するなどの経済的損失を、極力減らすことができる。また、本実施形態に係る熱処理装置によれば、第1情報取得部や第2情報取得部を用いることで伝熱構造体の使用寿命の予測が可能であるので、熱処理装置の構成を大きく改変する必要もなく、また、伝熱構造体自体に手を加える必要もない。したがって、熱処理装置自体のコストも極力抑えることができる。
【0071】
また、本実施形態に係る熱処理装置では、第1流体は、熱媒体であり、伝熱構造体は、伝熱促進体43である。
【0072】
本実施形態に係る熱処理装置によれば、第1流体と伝熱構造体とがそのような条件である場合に、好適に上記の効果を奏することができる。
【0073】
また、本実施形態に係る熱処理装置では、第2情報取得部は、第1流路から排出された第1流体の温度を計測する第2温度計測部72であり、制御部103は、経過時間ごとに第2温度計測部72が計測した温度を記憶し、第2温度計測部72が計測した温度に基づいて、経過時間ごとの交換熱量を求め、経過時間と交換熱量との関係を示す第1近似式を求め、第1近似式に、予め規定された、伝熱促進体43の交換を要する時の交換熱量の閾置を適用することで、伝熱促進体43の使用寿命を予測する。
【0074】
ここで、第1近似式は、例えば、上記の式(7)に相当する。
【0075】
本実施形態に係る熱処理装置によれば、特に伝熱促進体43の使用寿命を可能な限り正確に予測することができる。
【0076】
また、本実施形態に係る熱処理装置では、第1情報取得部は、第1流路に導入される第1流体の温度を計測する第1温度計測部70と、第1流路に導入される第1流体の流量を計測する流量計測部71とであり、制御部103は、第1温度計測部70が計測した温度及び流量計測部71が計測した流量に基づいて、基準条件が満たされていることを確認する。
【0077】
本実施形態に係る熱処理装置によれば、特に伝熱促進体43の使用寿命を予測するに際して、制御部103は、第1温度計測部70等を用いて基準条件が満たされていることを確認するので、予測精度を向上させることができる。
【0078】
また、本実施形態に係る熱処理装置では、第1流体は、反応流体であり、伝熱構造体は、触媒体41である。
【0079】
本実施形態に係る熱処理装置によれば、第1流体と伝熱構造体とがそのような条件である場合に、好適に上記の効果を奏することができる。
【0080】
また、本実施形態に係る熱処理装置では、第2情報取得部は、第1流路から排出された第1流体の組成を分析する組成分析部74であり、制御部103は、経過時間ごとに前記組成分析部74が分析した組成を記憶し、組成分析部74が分析した組成に基づいて、経過時間ごとの反応率又は収率を求め、経過時間と反応率又は収率との関係を示す第2近似式を求め、第2近似式に、予め規定された、触媒体41の交換を要する時の反応率又は収率の閾置を適用することで、触媒体41の使用寿命を予測する。
【0081】
ここで、第2近似式は、例えば、上記の式(9)に相当する。
【0082】
本実施形態に係る熱処理装置によれば、特に触媒体41の使用寿命を可能な限り正確に予測することができる。
【0083】
また、本実施形態に係る熱処理装置では、第1情報取得部は、第1流路から排出された第1流体の温度を計測する第3温度計測部73であり、制御部は、第3温度計測部73が計測した温度に基づいて、基準条件が満たされていることを確認する。
【0084】
本実施形態に係る熱処理装置によれば、特に触媒体41の使用寿命を予測するに際して、制御部103は、第3温度計測部73を用いて基準条件が満たされていることを確認するので、予測精度を向上させることができる。
【0085】
また、本実施形態に係る熱処理装置では、熱交換部3は、伝熱体からなり、第1流路及び第2流路は、伝熱体に形成されている溝又は貫通孔である。
【0086】
ここで、本実施形態では、熱交換部3は、例えば、第1流体が流通する第1流路17を有する第1伝熱体7と、第2流体が流通する第2流路31を有する第2伝熱体9との2種類の伝熱体が積層されたものである。このような構成の伝熱体では、製作の容易性の観点から、各流路の形状をそれぞれ溝とすることが望ましい。
【0087】
一方、本発明は、このような構成の伝熱体からなる熱交換部3だけに適用されるものではない。例えば、熱交換部3を構成する伝熱体が1つの直方体で、伝熱体が、第1流体が流通する複数の第1流路と、第2流体が流通する複数の第2流路との双方を有する場合にも、本発明は適用可能である。この場合、各流路は、それぞれ貫通孔となる。
【0088】
本実施形態に係る熱処理装置によれば、特に、熱交換部3が、1つの直方体である伝熱体、又は、複数の伝熱体が直接的に積層されて一体化された積層型のいずれかで構成される反応装置において、上記効果を奏することができる。
【0089】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る熱処理装置について説明する。上記の第1実施形態に係る熱処理装置として例示した反応装置100は、1つの熱交換部3のみを有する反応部101を備える。しかし、本発明は、このように熱交換部を1つのみ有する反応装置だけではなく、それぞれ独立した複数の熱交換部を有する反応装置にも適用可能である。
【0090】
図9は、本発明の第2実施形態に係る反応装置200の構成を示す概略図である。特に
図9では、反応装置200は、一例として3つの熱交換部3A〜3Cを含むものとする。また、
図9では、熱交換部3A〜3Cのそれぞれに含まれる第1流路17に連通する原料ガスM又は反応ガスPの流通配管に関連する構成を示す。すなわち、ここでは、3つの熱交換部3A〜3Cにそれぞれ設置される触媒体41の使用寿命をそれぞれ予測する場合について例示する。なお、
図9では、このような主旨から、熱交換部3A〜3Cのそれぞれに含まれている各第2流路と、各第2流路のそれぞれに連通する熱媒体の流路配管の記載を省略している。
【0091】
反応装置200は、熱交換部3A〜3Cのうちの1つをそれぞれ有する3つの反応部201A〜201Cを備える。それに伴い、第1導入配管47は、各反応部201A〜201Cのいずれかに連接するように分岐する3つの導入分岐部、すなわち、第1導入分岐部47A〜第3導入分岐部47Cを含む。同様に、第1排出配管51は、各反応部201A〜201Cのいずれかに連接するように分岐する3つの排出分岐部、すなわち、第1排出分岐部51A〜第3排出分岐部51Cを含む。なお、各反応部201A〜201Cの構成は、第1実施形態における反応部101の構成と同様と考えてよい。
【0092】
まず、反応部201Aに関して、反応装置200は、それぞれ第1導入分岐部47Aに設置され、管内を流れる原料ガスMの流量を計測する第1流量計測部80と、原料ガスMの組成を分析する第1組成分析部81とを含む。また、反応装置200は、第1導入分岐部47Aにおける第1組成分析部81と反応部201Aとの間に設置され、原料ガスMの流量を調整可能とする第1流量調整弁92を含む。一方、反応装置200は、それぞれ第1排出分岐部51Aに設置され、管内を流れる反応ガスPの温度を計測する第1温度計測部82と、反応ガスPの組成を分析する第2組成分析部83とを含む。
【0093】
同様に、反応部201Bに関して、反応装置200は、それぞれ第2導入分岐部47Bに設置され、管内を流れる原料ガスMの流量を計測する第2流量計測部84と、原料ガスMの組成を分析する第3組成分析部85とを含む。また、反応装置200は、第2導入分岐部47Bにおける第3組成分析部85と反応部201Bとの間に設置され、原料ガスMの流量を調整可能とする第2流量調整弁93を含む。一方、反応装置200は、それぞれ第2排出分岐部51Bに設置され、管内を流れる反応ガスPの温度を計測する第2温度計測部86と、反応ガスPの組成を分析する第4組成分析部87とを含む。
【0094】
同様に、反応部201Cに関して、反応装置200は、それぞれ第3導入分岐部47Cに設置され、管内を流れる原料ガスMの流量を計測する第3流量計測部88と、原料ガスMの組成を分析する第5組成分析部89とを含む。また、反応装置200は、第3導入分岐部47Cにおける第5組成分析部89と反応部201Cとの間に設置され、原料ガスMの流量を調整可能とする第3流量調整弁94を含む。一方、反応装置200は、それぞれ第3排出分岐部51Cに設置され、管内を流れる反応ガスPの温度を計測する第3温度計測部90と、反応ガスPの組成を分析する第6組成分析部91とを含む。
【0095】
ここで、各流量調整弁92〜94は、それぞれ、例えば電磁弁であり、後述する制御部203からの信号に基づいて、開の程度を可変とする。なお、本実施形態において採用される各流量計測部80,84,88、各温度計測部82,86,90及び各組成分析部81,83,85,87,89,91の構成は、第1実施形態において採用されるものと同様である。
【0096】
さらに、反応装置200は、反応装置200の全般の動作を制御する制御部203を有する。特に本実施形態では、制御部203は、各流量計測部80,84,88、各温度計測部82,86,90、各組成分析部81,83,85,87,89,91、及び、各流量調整弁92〜94のすべてに、それぞれ電気的に接続されている。
【0097】
そして、制御部203は、各熱交換部3に含まれる触媒体41の使用寿命をそれぞれ独立して予測する。このとき、熱交換部3ごとに触媒体41の使用寿命を予測する基本的な作用は、第1実施形態において第2の作用として明示したものと同様である。ただし、本実施形態の場合には、上流側では1本であった第1導入配管47が途中から3つの導入分岐部47A〜47Cに分岐する。したがって、制御部203は、各導入分岐部47A〜47Cにおいて流通する原料ガスMの組成を具体的に特定し、各排出分岐部51A〜Cに設置されている各組成分析部83,87,91による反応ガスPの組成を分析する際に新たに基準とする必要がある。
【0098】
また、反応装置200には、各流量調整弁92〜94が備えられている。これにより、制御部203は、予測した使用寿命の結果に基づいて、各流量調整弁92〜94により各原料ガスPの流量を調整して、各反応部201A〜201Cでの負荷を調整することができる。このように負荷を調整することで、各熱交換部3における触媒体41の使用寿命をある程度合わせることができる。また、制御部203は、各流量計測部80,84,88が計測した流量に基づいて、各導入分岐部47A〜47Cを流通する各原料ガスPの現状の流量を認識したり、各原料ガスPの流量が所望の流量になっているかを確認したりすることができる。
【0099】
このように、本実施形態に係る反応装置200によれば、触媒体41が、それぞれ独立した複数の熱交換器3に設置されている場合でも、それぞれ独立して、第1実施形態で例示したような触媒体41の使用寿命を予測することができる。
【0100】
なお、本実施形態では、触媒体41の使用寿命の予測を例示したが、同様に、伝熱促進体43の使用寿命の予測も可能である。また、反応装置200における反応部201すなわち熱交換部3の設置数を3つとしたが、2つでもよいし、4つ以上でもよい。
【0101】
(他の実施形態)
第1実施形態では、伝熱促進体43及び触媒体41の双方の使用寿命を予測し得る構成を例示した。しかし、反応装置100は、そのうちのいずれか一方の使用寿命の予測のみを採用するものであってもよい。この点、第2実施形態に係る反応装置200についても同様である。
【0102】
また、上記の各実施形態では、発熱反応による反応処理を行う反応装置100,200を例示したが、吸熱反応による反応処理にも適用可能である。すなわち、第2流体は、加熱流体に限らず、冷却流体であってもよい。
【0103】
また、上記の各実施形態では、反応ガスPの組成を分析する組成分析部74等として、ガスクロマトグラフを例示した。しかし、組成分析部74等は、これに限らず、例えば、酸素分析計やメタン分析計など特定のガス分析計を採用して、反応ガス中の特定の気体の濃度をそれぞれ分析する構成としてもよい。
【0104】
また、上記の各実施形態では、制御部103は、第2情報取得部に相当する温度計測部や組成分析部から、所定の経過時間ごとに情報を取得し記憶するものとした。しかし、制御部103は、第2情報取得部からの情報を、このように断続的に取得し記憶するのみならず、連続的に取得して記憶し続け、所定の経過時間になったら、そのときの情報を抽出して構造体の使用寿命の予測に用いるものとしてもよい。
【0105】
また、上記の各実施形態では、熱交換部3が、第1流路17を流通する第1流体と、第2流路31を流通する第2流体とが互いに反対方向に流れる対向流型であるものとしたが、互いに同方向に流れる並流型であってもよい。すなわち、本発明では、第1流体と第2流体とが流れる方向について、なんら限定するものではない。
【0106】
また、上記の各実施形態では、熱交換部3を構成する第1伝熱体7と第2伝熱体9とがZ方向すなわち鉛直方向に積層されるものとしているが、本発明は、これに限らない。例えば、熱交換部3を構成するこれらの伝熱体が、それぞれ接合された状態でZ方向に立設するような、いわゆる横置きとして使用されるものであってもよい。
【0107】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。