(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下においては、本発明をスポーツタイプの自動二輪車(車両)に適用した例について説明するが、適用対象はこれに限定されることなく変更可能である。例えば、本発明を他のタイプの自動二輪車や、バギータイプの自動三輪車、自動四輪車等に適用してもよい。また、方向について、車両前方を矢印FR、車両後方を矢印RE、車両左方を矢印L、車両右方を矢印Rでそれぞれ示す。また、以下の各図では、説明の便宜上、一部の構成を省略している。
【0011】
図1を参照して、本実施の形態に係る自動二輪車の概略構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る自動二輪車のエンジン及びその周辺構成を示す左側面図である。
【0012】
図1に示すように、自動二輪車1は、パワーユニット、電装系等の各部を搭載する車体フレーム10にエンジン2を懸架して構成される。エンジン2は、例えば、並列4気筒の水冷式エンジンで構成される。エンジン2は、左右に延びるクランクシャフト等の各種軸(不図示)をクランクケース20に収容して構成される。
【0013】
クランクケース20は、上下割で構成され、その上側部分は、シリンダブロック21と一体的に形成される。シリンダブロック21の上部には、下側から順に、シリンダヘッド22及びシリンダヘッドカバー23が設けられる。シリンダブロック21内にはピストン(不図示)が設けられ、シリンダヘッド22内には後述する動弁機構(
図4参照)が収容される。また、シリンダヘッドカバー23の上部には、エンジン2の排気ポート52(
図4参照)に二次エアを導入して排気の浄化を促進する排気浄化装置4が設けられる。
【0014】
クランクケース20の下部には、オイルパン24が設けられる。また、クランクケース20の左側面には、クランクケース20の割面を跨ぐようにマグネトカバー25が設けられる。マグネトカバー25の後方には、スプロケット(不図示)を覆うスプロケットカバー26が設けられる。
【0015】
車体フレーム10は、アルミ鋳造で形成されるツインスパータイプのフレームであり、上記のようにエンジン2を懸架することで、車体全体として剛性が得られるように構成される。車体フレーム10は、全体として、前方から後方に向かって延在し、後端側で下方に向かって湾曲した形状を有している。
【0016】
具体的に車体フレーム10は、ヘッドパイプ11から後方に向かって左右二股に分岐して延びるヘッドフレーム12と、ヘッドフレーム12から車体後方に向って斜め下方に延びる左右一対のタンクレール13と、タンクレール13の後端から下方に延びるボディフレーム14とを備えている。
【0017】
ヘッドパイプ11には、ステアリングシャフト(不図示)を介して左右一対のフロントフォーク(不図示)が操舵可能に支持される。ヘッドフレーム12は、下方に向かって突出する左右一対のブラケット部12aを有し、当該ブラケット部12aでエンジン2の前側(シリンダヘッド22)を支持する。タンクレール13は、中空断面形状を有する筒状に形成される。タンクレール13の上部には、燃料タンク(不図示)が配置される。
【0018】
ボディフレーム14は、各タンクレール13の後端から下方に延びる一対のフレーム部14aの上下端部を車幅方向で連結して構成される。ボディフレーム14の上下端部において、エンジン2の後側(クランクケース20の後部)が支持される。また、ボディフレーム14の鉛直方向の略中央部分には、スイングアーム15を揺動可能に支持するピボット部14bが形成されている。
【0019】
スイングアーム15は、ピボット部14bから後方に向かって延びている。スイングアーム15の後端には後輪(不図示)が回転可能に支持される。スイングアーム15とボディフレーム14の間には、リヤサスペンション16が設けられている。リヤサスペンション16は、一端がボディフレーム14の上端側に支持され、他端がリヤサスペンションリンク17を介してスイングアーム15の前側下方に支持される。
【0020】
また、シリンダヘッド22の前面に設けられる各排気口には、エキゾーストパイプ18及びマフラ19が接続される。エキゾーストパイプ18は、各排気口から下方に向かって複数本(本実施の形態では4本)延び、エンジン2の前下方で後方に屈曲した後、1本にまとめられる。
【0021】
また、エンジン2の左側面には、クイックシフト装置3の一部を構成するシフトペダル30が設けられている。シフトペダル30は、回転軸となる軸部31から後方に延びるレバー部32と、レバー部32の後端から左方に突出するペダル部33とによって構成される。軸部31は、オイルパン24の側面から左方に突出するように形成されており、左右方向が軸方向となっている。シフトペダル30は、軸部31を中心に上下に揺動可能となるようにオイルパン24に取り付けられる。
【0022】
シフトペダル30には、シフトペダル30の動作を変速機(不図示)に伝達するリンク機構の一部として、シフトロッド34が取り付けられる。シフトロッド34は、スプロケットカバー26の側方を跨ぐように、略鉛直方向に延びている。シフトロッド34の下端は、シフトペダル30に連結される。具体的にシフトロッド34の下端は、シフトペダル30の基端側であって、軸部31より後方(ペダル部33側)のレバー部32の側面に揺動可能に支持される。
【0023】
シフトロッド34は、クランクケース20の上端近傍まで延びている。シフトロッド34の先端には、シフトリンク35の一端が揺動可能に連結されている。本実施の形態では、シフトロッド34とシフトリンク35とを合わせてリンク機構と呼ぶことにする。シフトリンク35の他端は、クランクケース20内に設けられるシフトシャフト(不図示)に固定される。
【0024】
また、シフトロッド34の軸方向略中央には、シフトロッド34のストローク量や荷重を検出するセンサ36が設けられる。センサ36の検出値は、例えば、図示しないECU(Electronic Control Unit)に送られ、点火遅角や点火カット等のエンジン制御に用いられる。
【0025】
このように構成されるクイックシフト装置3では、乗員によりシフトペダル30が操作されると、リンク機構(シフトロッド34及びシフトリンク35)を介してシフトシャフトが回動される。このとき、シフトロッド34のストローク量や荷重がセンサ36によって検出され、一時的に点火遅角又は点火カット制御が実施される。また、シフトシャフトの回動動作は、クランクケース20内の変速機構に伝達される結果、変速ギヤの組み合わせが切替えられる。これらにより、クラッチの操作を必要とすることなく、シフトチェンジ時の変速機構にかかる負荷を低減して、円滑なシフト操作を実施することが可能である。
【0026】
ところで、従来より、内燃機関の排気系に二次空気を供給して排気中の未燃有害成分の燃焼を促進する二次エア供給装置が知られている。二次エア供給装置には排気ガスの逆流を防止するために二次エアリードバルブが設けられており、二次エアリードバルブは、絶えず一定の圧力にさらされている。
【0027】
二次エアリードバルブは、例えば極薄の金属板で形成されるリードを有しており、エンジン運転中に当該リードに過大な圧力が加わることが想定される。この結果、リードが変形してしまい、二次エアリードバルブとしての機能が果たされなくなるおそれがある。
【0028】
過大な圧力が発生する要因として、例えば排気通路内で燃料が爆発するアフターバーンが考えられる。アフターバーンが発生する要因の1つにエンジンの失火がある。エンジンの失火は、例えばエンジン冷機時、点火プラグの汚れや劣化、空燃比の異常等によって引き起こされるものである。
【0029】
アフターバーンは、例えばスロットルバルブを全開にしてエンジンを運転している状態でスロットルバルブを急速に全閉状態にしたときに起こり易い。このような運転をすると、それまで吸気ポートに付着していた燃料がシリンダ内に流入することにより混合気が一時的に濃くなる。
【0030】
この結果、燃焼室内で混合気が一時的にリッチな状態(濃い状態)で失火が生じ、排気通路内に多量の未燃混合気が排出されてしまう。このとき、排気通路内に二次エアが噴射されると、未燃混合気と二次空気とが混合されて適性な空燃比となって爆発的な燃焼、いわゆるアフターバーンが発生する。なお、上記したアフターバーンは、その発生要因の一例を示すものであり、上記の要因に限定されるものではない。
【0031】
排気通路の比較的上流側でアフターバーンが発生すると、燃焼圧が、排気ポートと二次エアリードバルブとを連通する二次エアポートを通じてリードに到達してしまう結果、上記のようなリードの変形という事態が発生し得る。
【0032】
特に、クイックシフト装置が適用されるエンジンにあっては、変速時の負荷を軽減して円滑なシフト操作を実現するため、意図的に点火カット又は点火遅角を実施するように制御される。すなわち、エンジンの失火状態が意図的につくられるため、上記のようなアフターバーンが発生し易くなっている。
【0033】
二次エアリードバルブに対して過大な圧力が加わるのを抑制するために、別部品を追加して二次エアリードバルブを保護することも考えられる。しかしながら、別部品を追加することに伴うシリンダヘッドカバーの大型化や、二次エア供給量の減少の可能性がある。また、単純に部品点数が増えるので、コスト、重量、組付工数の観点からあまり好ましくない。
【0034】
そこで、本件発明者等は、二次エアリードバルブの形状に着目し、二次エアの供給量に影響を与えることなく二次エアリードバルブの変形を抑制すると共に、簡易な構成で排気ガスの浄化を促進することに想到した。以下、本実施の形態に係るエンジンの排気浄化装置の詳細について説明する。
【0035】
次に、
図2から
図4を参照して、本実施の形態に係るエンジンのシリンダヘッド周辺の構成について説明する。
図2は、
図1に示すエンジンのA矢視図である。
図2は説明の便宜上、一部の構成を省略している。
図3は、
図1に示すエンジンのB矢視図である。
図4は、
図3のC−C線に沿う断面図である。
【0036】
図2及び
図3に示すように、シリンダヘッドカバー23の上部には、エンジン2の排気ポート52(
図4参照)に二次空気を導入して排気の浄化を促進する排気浄化装置4が設けられている。
【0037】
上記したようにエンジン2は、並列4気筒のエンジンであり、排気浄化装置4は、シリンダヘッドカバー23上で車幅方向に隣り合う気筒間に配置されている。より具体的に排気浄化装置4は、左側の2気筒間に1つ、右側の2気筒間に1つ、合計2つ設けられている。2つの排気浄化装置4は、同一構成のため、便宜上共通の符号を示して説明する。
【0038】
排気浄化装置4は、シリンダヘッドカバー23の上面に形成される二次エアリードバルブ収納室5(以下、単に収納室5と記す)にリード部43(
図4参照)等の弁体(後述する二次エアリードバルブ40(
図5参照))を収容し、収納室5に二次エアリードバルブカバー41(以下、カバー部材41と記す)で蓋をして構成される。カバー部材41には、ホース48を介してカットバルブ49が接続され、カットバルブ49の先には、図示しないホースを介してエアクリーナ(不図示)に接続される。なお、排気浄化装置4の詳細については後述する。
【0039】
図4に示すように、シリンダヘッド22内には、動弁機構が収容されている。具体的にシリンダヘッド22の下部には、シリンダブロック21(
図1参照)との間で燃焼室50が形成されており、当該燃焼室50には、吸気ポート51及び排気ポート52が連通している。吸気ポート51は、シリンダヘッド22の後面に連通する一方、排気ポート52は、シリンダヘッド22の前面に連通している。また、詳細は後述するが、各排気ポート52と収納室5とは、排気浄化装置4の下方に設けられる二次エアポート53によって連通されている。
【0040】
燃焼室50の上部には、動弁機構の一部として、吸気バルブ54及び排気バルブ55が設けられている。シリンダヘッド22の後側(吸気ポート51側)に吸気バルブ54が配置され、シリンダヘッド22の前側(排気ポート52側)に排気バルブ55が配置されている。吸気バルブ54及び排気バルブ55は上下に延びており、各バルブにはそれぞれバルブスプリング56、57が設けられている。吸気バルブ54及び排気バルブ55は、バルブスプリング56、57によって常時上方向(閉方向)に付勢されている。
【0041】
吸気バルブ54の上方には、吸気バルブ54の開閉を制御する吸気カムシャフト58及び吸気ロッカーアーム59が設けられている。同様に、排気バルブ55の上方には、排気バルブ55の開閉を制御する排気カムシャフト60及び排気ロッカーアーム61が設けられている。吸気カムシャフト58及び排気カムシャフト60は、車幅方向に延びており、シリンダヘッド22及びシリンダヘッドカバー23の合わせ面上に配置されている。
【0042】
吸気カムシャフト58及び排気カムシャフト60には、それぞれ吸気カム62及び排気カム63が設けられている。吸気カムシャフト58の回転に伴って吸気カム62が吸気ロッカーアーム59に接触することにより、吸気ロッカーアーム59を介して吸気バルブ54が下方に押し下げられ、吸気バルブ54が開かれる。同様に、排気カムシャフト60の回転に伴って排気カム63が排気ロッカーアーム61に接触することにより、排気ロッカーアーム61を介して排気バルブ55が下方に押し下げられ、排気バルブ55が開かれる。
【0043】
このように、吸気バルブ54の開閉によって吸気ポート51から燃焼室50への混合気の流入が制御される一方、排気バルブ55の開閉によって燃焼室50から排気ポート52への排気ガスの流出が制御される。
【0044】
次に、
図3から
図7を参照して、本実施の形態に係る二次エアリードバルブの詳細構成について説明する。
図5は、本実施の形態に係るリードバルブアセンブリを示す図である。
図5Aはリードバルブアセンブリを下方(排気ポート側)から見た斜視図であり、
図5Bはリードバルブアセンブリの平面図である。なお、
図5では説明の便宜上、一対のリード部のうち、一方を省略している。
図6は、
図5BのD−D線に沿う断面図である。
図7は、
図4に示す二次エアリードバルブ周辺の部分拡大図である。
【0045】
図5及び
図6に示すように、二次エアリードバルブ40は、排気ポート52(
図4参照)に対する二次空気の導入を制御する弁体であり、板状の台座部42に一対のリード部43及び一対のストッパ部44をネジ45で固定して構成される。すなわち、1つの二次エアリードバルブ40に対して2つの弁体(リード部43)が設けられている。
【0046】
台座部42は、板部材46の表面全体を覆うように弾性部材47を焼き付けて形成され、平面視略正方形状を有している。板部材46は例えば金属板で形成され、弾性部材47はゴム等の弾性を有する材料で形成される。なお、板部材46及び弾性部材47の材質は、これらに限定されず、適宜変更が可能である。板部材46の上面外周、下面及び側面は、弾性部材47によって覆われている。弾性部材47の上面及び下面には、台座部42の外周に沿って厚み方向に突出する環状突部47aが形成されている。
【0047】
台座部42には、板厚方向に貫通する一対の開口部42aが左右に並んで形成されている。開口部42aは、平面視矩形状に形成され、長手方向が前後に向いている。詳細は後述するが、開口部42aは、二次エアポート53(
図4参照)に向かって開口されている。また、台座部42には、当該開口部42aを前後2つに分断する柱部42bが形成されている。
【0048】
柱部42bは、開口部42aの長手方向の略中央を横切るように左右に延びている。この柱部42bによって、台座部42全体の強度が高められている。開口部42a及び柱部42bは、台座部42の前後方向の中心に対して後方に偏った位置に設けられている。また、各開口部42aの前方では、板部材46の一部が下面側に露出されており、露出された部分には、板厚方向に貫通するネジ穴46aが形成されている。
【0049】
台座部42には、開口部42aを開閉するリード部43と、当該リード部43の動きを規制するストッパ部44と、が固定される。リード部43は、台座部42に比べて薄い金属板で形成され、所定のバネ性を有する。リード部43は、開口部42aより大きい外形を有する平面視矩形状に形成される。リード部43の長手方向一端側には、ネジ45を挿通可能な貫通穴(不図示)が形成されている。
【0050】
ストッパ部44は、リード部43に比べて十分に厚い金属板により、平面視でリード部43と略同形の矩形状に形成される。ストッパ部44の長手方向一端側には、リード部43の貫通穴に対応して、ネジ45を挿通可能な貫通穴(不図示)が形成される。台座部42のネジ穴に下面側からリード部43及びストッパ部44をネジ45で共締めすることで、リード部43及びストッパ部44の長手方向一端側が台座部42に固定される。すなわち、リード部43の長手方向一端側が固定端であり、他端側が自由端となっている。
【0051】
図6に示すように、リード部43は、開口部42aの外周側に位置する台座部42の端面47bに接触するように設けられている。また、柱部42bのリード部43側の端面47cは、台座部42の端面47bと同一面となる位置に設けられている。すなわち、台座部42の端面47b及び柱部42bのリード部43側の端面47cは、弾性部材47を介してリード部43に接触している。
【0052】
また、ストッパ部44は、
図6に示す側面視において他端側が台座部42の下面から離れる方向に湾曲した形状を有している。具体的にストッパ部44は、後方に向かうに従って下方に傾斜しており、その先端が更に下方に向かって湾曲している。更にストッパ部44の上面(リード部43側の表面)には、所定厚みのクッション部材44aが貼り付けられている。クッション部材44aは、例えばゴム等の弾性材料で形成され、側面視において、柱部42bの前側の端部からリード部43の先端(自由端)に至る範囲で設けられている。なお、クッション部材44aの材質は、これらに限定されず、適宜変更が可能である。
【0053】
このように構成される二次エアリードバルブ40は、
図3及び
図7に示すように、ストッパ部44側を下方に向けて収納室5に収容される。具体的に収納室5は、台座部42を収容する第1凹部5aと、ストッパ部44を収容する第2凹部5bとによって構成される。
【0054】
第1凹部5aは、台座部42の外形と略同一の平面視正方形状を有し、シリンダヘッドカバー23の上面から下方に向かって所定深さで凹むように形成される。第1凹部5aの深さは、環状突部47aを含んだ台座部42の厚みより僅かに小さく設定されている。第1凹部5aの底面には、一対のストッパ部44に対応して、一対の第2凹部5bが左右に並んで形成されている。第2凹部5bは、前後方向に長い平面視矩形状を有し、第1凹部5aの底面から下方に向かって所定深さで凹むように形成される。第2凹部5bの底面高さが、ストッパ部44の最下端部と略一致している。
【0055】
また、第2凹部5bの底面には、排気ポート52(
図4参照)に二次エアを導入するための二次エアポート53が形成されている。二次エアポート53は、シリンダヘッドカバー23及びシリンダヘッド22を鉛直方向に貫通する貫通孔で形成され、上端が第2凹部5bに連通する一方、下端が排気ポート52に連通している。
【0056】
二次エアポート53は、第2凹部5bの後方側で且つ第2凹部5bの左右一方側に偏って配置されており、ストッパ部44の先端の直下に位置している。すなわち、エンジン上面視において、二次エアポート53は、ストッパ部44の少なくとも一部に重なるように配置されている。また、
図3に示すように、柱部42bは、エンジン上面視で二次エアポート53に重ならない位置に設けられている。
【0057】
このように、二次エアリードバルブ40が収納室5に収容された状態で、カバー部材41は、台座部42の外周部分を厚み方向に押し付けるように取り付けられる。このとき、弾性部材47の環状突部47aが押し潰されるため、台座部42のシール性が高められている。このようにして、エンジン2の排気浄化装置が構成される。
【0058】
次に、二次エアリードバルブ40の動作について説明する。
図6及び
図7に示すように、二次エアリードバルブ40が閉じられた状態においては、リード部43が台座部42(弾性部材47)の端面に接触しており、開口部42aが塞がれている。
【0059】
エンジン2の運転によって排気脈動圧(負圧)が発生すると、リード部43の自由端側が台座部42の端面から離れる方向に撓む。これにより、開口部42aが開放され、二次エアリードバルブ40が開放された状態となる。そして、エアクリーナ(不図示)からの吸入空気(二次エア)が、収納室5及び二次エアポート53を通じて排気ポートに導入される(
図7中実線矢印参照)。この結果、排気と二次エアとが混合され、排気中の未燃有害成分の燃焼を促進させることが可能である。
【0060】
なお、柱部42bは、開口部42aの開口面積に影響与えない幅で、かつ、二次エアの流入を妨げない位置に形成されているため、二次エアの一定の供給量を確保することが可能となっている。また、二次エアポート53の開口端(上端)がストッパ部44によって完全に覆われない位置に設けられているため、二次エアの供給が妨げられず、スムーズに二次エアを排気ポート52に供給することができる。
【0061】
また、リード部43の自由端側は、
図6及び
図7の二点鎖線に示すように、ストッパ部44(クッション部材44a)に接触して、ストッパ部44の湾曲形状にならって変形する。すなわち、リード部43の動きがストッパ部44によって規制される。上記したように、クッション部材44aは、ゴム等の弾性材料で形成されるため、リード部43がクッション部材44aに接触したときの衝撃を和らげることが可能である。よって、開口部42aが開放されたときのリード部43の振動や接触音、更には、リード部43に傷が付くこと(摩耗等)を防止できる。
【0062】
なお、排気脈動圧がなくなると、リード部43は、そのバネ性によって開口部42aを塞ぐように元の形状に戻ろうとする。このときもリード部43は、台座部42の端面であるゴム製の弾性部材47に接触するため、上記と同様に接触時の衝撃が和らげられている。
【0063】
また、上記したアフターバーン等によって、排気ポート52側の圧力(燃焼圧)が二次エアポート53を通じて収納室5内に到達すると(
図7中破線矢印参照)、リード部43は、燃焼圧によって開口部42aの外縁に押し付けられる。このとき、リード部43は、開口部42aの外周側の弾性部材47だけでなく、柱部42bに相当する弾性部材47にも接触する。すなわち、リード部43の変形量が最も大きくなると予想される開口部42aの中央位置に柱部42bを設け、当該柱部42bでリード部43を支えることにより、リード部43の変形量を大きく抑制することができる。
【0064】
また、二次エアポート53の開口端とストッパ部44が重なるように配置されることで、アフターバーンによって生じた燃焼圧が二次エアポート53を通じて収納室5内に到達した際、最初にストッパ部44で燃焼圧を受けることができる。よって、燃焼圧の一部がストッパ部44によって遮られ、燃焼圧が直接リード部43に到達し難くなる。この結果、燃焼圧によるリード部43の変形を抑制することが可能である。
【0065】
また、二次エアポート53の開口端とストッパ部44は、一部が重なって配置されるため、二次エアポート53の開口端がストッパ部44によって完全に覆われることがない。よって、二次エアリードバルブ40が開放される際には、二次エアの供給が妨げられず、スムーズに二次エアを二次エアポート53に供給することができる。
【0066】
以上説明したように、本実施の形態によれば、リード部43を支持する台座部42の開口部42aを横切るように柱部42bを設けたことにより、既存のエンジン構成を大きく変更することなくリード部43の変形を抑制することが可能である。また、柱部42bと二次エアポート53との位置関係を考慮したことにより、開口面積の減少を最小限に抑えつつ、二次エアの供給量が確保することができる。このように、二次エアの供給量に影響を与えることなく二次エアリードバルブ40の変形を抑制すると共に、簡易な構成で排気ガスの浄化を促進することができる。
【0067】
なお、上記実施の形態では、車両として自動二輪車1を例にして説明したが、この構成に限定されない。例えば、自動四輪車や自動三輪車等の他のタイプの車両であってもよい。
【0068】
また、上記実施の形態では、並列4気筒のエンジン2を例にして説明したが、この構成に限定されない。例えば、エンジン2は、単気筒や2気筒、3気筒、5気筒以上のエンジンで構成されてもよく、各気筒の配置も並列に限らず適宜変更が可能である。
【0069】
また、上記実施の形態では、車体フレーム10をツインスパータイプのフレームで構成したが、この構成に限定されない。車体フレーム10は、例えばダイヤモンドフレームであってもよい。
【0070】
また、上記実施の形態では、動弁機構がDOHC(Double OverHead Camshaft)式の動弁機構で構成される場合について説明したが、この構成に限定されない。例えば、SOHC(Single OverHead Camshaft)式の動弁機構を採用してもよい。
【0071】
また、上記実施の形態では、動弁機構が、ロッカーアームを介して吸排気バルブを開閉する構成としたが、この構成に限定されない。動弁機構は、ロッカーアームを介さず、カムで直に吸排気バルブを開閉させてもよい。
【0072】
また、上記実施の形態では、排気浄化装置4が、1つの台座部42に対して2つのリード部43を固定して構成される場合について説明したが、この構成に限定されない。排気浄化装置4は、1つの台座部42に対して1つのリード部43を設ける構成であってもよい。
【0073】
また、上記実施の形態では、2つの気筒に対して1つの二次エアリードバルブ40を設ける構成としたが、この構成に限定されない。二次エアリードバルブ40は、1つの気筒に対して1つずつ設けられてもよい。
【0074】
また、上記実施の形態では、シリンダヘッドカバー23に二次エアリードバルブ40を設ける構成としたが、この構成に限定されない。二次エアリードバルブ40は、例えばシリンダヘッド22に設けられてもよい。
【0075】
また、上記実施の形態では、柱部42bが開口部42aの長手方向の中央を横切るように設けられる構成としたが、この構成に限定されない。柱部42bが設けられる位置は、適宜変更が可能である。
【0076】
また、上記実施の形態では、エンジン上面視において、二次エアポート53とストッパ部44は、一部が重なる場合について説明したが、この構成に限定されない。二次エアポート53全体がストッパ部44に重なってもよい。
【0077】
また、上記実施の形態では、クイックシフト装置3を備えた自動二輪車1を例に挙げている。上記したように、クイックシフト装置3を備えた自動二輪車1は、意図的に点火カット等が実施されるのでアフターバーンが発生し易い。このため、本発明によるリード部43変形抑制の効果を大きく得ることが可能である。しかしながら、これに限定されず、適宜変更が可能である。クイックシフト装置3は、必ずしも備えられなくてよく、通常のシフト装置を備える自動二輪車であってもよい。
【0078】
また、本実施の形態及び変形例を説明したが、本発明の他の実施の形態として、上記実施の形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0079】
また、本発明の実施の形態は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。更には、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施形態をカバーしている。