特許第6897232号(P6897232)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6897232
(24)【登録日】2021年6月14日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】車両の車体構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20210621BHJP
   B60S 1/34 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
   B62D25/08 C
   B62D25/08 H
   B60S1/34
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-68038(P2017-68038)
(22)【出願日】2017年3月30日
(65)【公開番号】特開2018-167765(P2018-167765A)
(43)【公開日】2018年11月1日
【審査請求日】2020年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100090103
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 章悟
(72)【発明者】
【氏名】板倉 拓也
(72)【発明者】
【氏名】平井 稔泰
(72)【発明者】
【氏名】加藤 宗昭
(72)【発明者】
【氏名】片山 美央
【審査官】 立花 啓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−262349(JP,A)
【文献】 特開2005−112190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/08
B60S 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前後方向に延びて、車体骨格を構成する一対のアッパフレームと、
幅方向に延びて、前記アッパフレームの間に配置されるカウルトップと、
前記アッパフレームのそれぞれの内側面に連結可能な連結部と、前記カウルトップを取り付ける第1取付部を有する一対のブラケットを備え、
前記一対のブラケットの少なくとも一方は、ワイパ装置の部品を取り付ける第2取付部を有し、
前記ブラケットの第1取付部は前記アッパフレームの上面より下方に配置され、前記車幅方向内側に延設され、
前記カウルトップは前記第1取付部の上面に配置されることを特徴とする車両の車体構造。
【請求項2】
前記アッパフレームに連結されて、前記アッパフレームの上面よりも車両上方に突出するフェンダブラケットを備え、
前記ブラケットは、前記車両前後方向において前記フェンダブラケットとオーバーラップするように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両の車体構造。
【請求項3】
前記ブラケットの第2取付部は前記アッパフレームの上面より上方に配置され、前記車幅方向内側に延設されることを特徴とする請求項1または2に記載の車両の車体構造。
【請求項4】
前記ブラケットの少なくとも前記連結部には、車両上下方向に延びる複数のリブが前記車両前後方向に並んで複数形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のうちの何れか一項に記載の車両の車体構造。
【請求項5】
前記リブは、前記ブラケットが前記アッパフレームの内側面に連結された際に、前記ワイパ装置が備えるワイパアームを取り付ける軸部の軸線と平行となるように形成されていることを特徴とする請求項に記載の車両の車体構造。
【請求項6】
前記第2取付部は、前記車幅方向に向かって幅広となる膨張部を有することを特徴とする請求項1乃至5のうちの何れか一項に記載の車両の車体構造。
【請求項7】
前記ワイパ装置の部品は、前記第2取付部にボルトとナット部で締結固定され、前記ナット部は前記膨張部に配置されていることを特徴とする請求項に記載の車両の車体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の前部には、フロントガラスに付着した水滴などを吹き払うワイパ装置が装備されている。ワイパ装置によって吹き払われた水滴は、フロントガラス上を流れ落ち、フロントガラスの下方において車幅方向の全域に渡って配置されているカウルトップ上に流れ込んで車両外へと排出される。
一般にワイパ装置やカウルトップは、車体に対して個別なブラケットを介して固定されている。例えば特許文献1には、ワイパ装置の構成である駆動モータをエンジンルームの側壁にブラケットを介して取り付ける構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−160607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のように、ワイパ装置やカウルトップを車体に対して個別なブラケットを介して装着した場合、設置スペースを確保や部品点数が多く、改善の余地が残されている。
本発明は、ワイパ装置とカウルトップを共通のブラケットに固定することで、省スペース化、部品点数の削減が可能な新たな車両の車体構造を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る車両の車体構造は、車両前後方向に延びて、車体骨格を構成する一対のアッパフレームと、車幅方向に延びて、アッパフレームの間に配置されるカウルトップと、アッパフレームのそれぞれの内側面に連結可能な連結部と、カウルトップを取り付ける第1取付部を有する一対のブラケットを備え、一対のブラケットの少なくとも一方は、ワイパ装置の部品を取り付ける第2取付部を有し、ブラケットの第1取付部はアッパフレームの上面より下方に配置され、車幅方向内側に延設され、カウルトップは第1取付部の上面に配置されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、一対のアッパフレームのそれぞれの内側面に連結可能な連結部と、アッパフレームの間に配置されるカウルトップを取り付ける第1取付部を有する一対のブラケットの少なくとも一方は、ワイパ装置の部品を取り付ける第2取付部を有するので、ブラケットをアッパフレームとカウルトップに対して共有することができ、省スペース化、部品点数の削減が可能な新たな車両の車体構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る車両の車体構造の概略構成を説明する平面視図。
図2】本発明の実施形態に係る車両の車体構造の概略構成を説明する斜視図。
図3】本発明の実施形態に係る車両の車体構造の主要部となるブラケットの構成と配置を説明する拡大平面視図。
図4】ブラケットの構成と取付け工程を説明する拡大断面図。
図5】ブラケットの構成と配置を説明する拡大図。
図6】カウルトップの構成と取付け状態を説明する拡大断面図。
図7】ワイパ装置の一形態を説明する拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。発明を実施するための形態において、同一部材や同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、重複説明は省略する。図面は、一部構成の理解を助けるために部分的に省略する場合もある。
本実施形態に係る車両1の車体構造は、図1に示すように、車両1の前部2に、外装を構成するフェンダパネル11,11と、フードパネル12を備えている。フェンダパネル11,11は、車幅方向(左右方向)Wに配置されて、車体骨格を構成する一対のアッパフレーム7,7に、フェンダブラケット30,30を介して装着されて固定されている。フードパネル12は、左右のフェンダパネル11の間に配置されている。フードパネル12は、車両後方X2側に位置する端部がヒンジを介して車体に開閉可能に取り付けられている。アッパフレーム7,7よりも車両後方X2には、車幅方向Wにフロントピラー13,13が例えばアッパフレーム7,7と連結されて配置されている。アッパフレーム7,7の間には、フロントガラス3が設けられている。フロントガラス3の下方には、図7に示すワイパ装置40が配置されている。図中、符号41はワイパ装置40が備えている部品であるワイパアームを示す。
【0009】
フードパネル12の下方には、図2に示すように、車体を構成する複数の骨格部材で囲まれた空間部4が形成されている。この空間部4内には、車種によって異なるが、エンジンやモータ等の駆動系が搭載される。空間部4内には、ストラットタワー5が、車幅方向Wにそれぞれ設けられている。ストラットタワー5よりも車両後方X2には、空間4と車室内とを区切る骨格部材としてのダッシュパネル6が配置されている。ストラットタワー5には、サスペンションのストラット50の端部が取り付けられている(図6参照)。
【0010】
アッパフレーム7,7は、車両前後方向Xに延びていて、ストラットタワー5よりも主幅方向Wの外側に配置されている。各アッパフレーム7は、その後端がダッシュパネル6やフロントピラー13,13の下端と連結されている。
フェンダブラケット30,30は金属製で、各アッパフレーム7の上面7cよりも、その上部30cが車両上方Z1に向かって突出していて、車両前後方向Xにおいて、その位置を合わされている。
各フェンダブラケット30は、図3図4に示すように示すように、断面門型形状を成している。フェンダブラケット30,30は、その開口側から各アッパフレーム7に覆い被され、互いに対向する側面30a、30bをそれぞれアッパフレーム7の内側面7aと外側面7bに溶接されることで、アッパフレーム7に固定されている。
アッパフレーム7及びストラットタワー5よりも下方には、図2に示すように、車両前後方向Xに延びるサイドフレーム8,8が設けられている。サイドフレーム8,8は、車幅方向Wに配置されていて、ダッシュパネル6と連結されている。
【0011】
フロントガラス3よりも下方には、車幅方向Wに延びていて、フロントガラス3を流れ落ちる水を受けるためのカウルトップが、アッパフレーム7、7の間に跨るように配置されている。カウルトップは、ダッシュパネル6よりも車両前方X1で、かつ、ストラットタワー5の上方に位置している。
本実施形態において、カウルトップは、図に示すように、その後端91aがダッシュパネル6に溶接によって固定された金属製の第1カウルトップ91と、第1カウルトップ91とは別体であって、第1カウルトップ91に対して着脱可能な金属製の第2カウルトップ92を備えている。第2カウルトップ92は、ストラットタワー5を上方から覆う大きさを有している。第2カウルトップ92は、第1カウルトップ91に対して艤装のカウルトップパネルを構成している。カウルトップは、第2カウルトップ92を第1カウルトップ91から離脱することで、ストラットタワー5の上部5bに取り付けられているストラットの取付部51が空間4内に露呈するように、その大きさの割合が設定されている。第2カウルトップ92の後部92aは、第1カウルトップ91の前部91bに締結部材としてのボルト23とナット24によって連結されている。第2カウルトップ92は、図2図4に示すように、車幅方向Wに位置する端部92c、92dが、それぞれ一対のブラケット10A、10Bにボルト23とナット24によって取り付けられる。
【0012】
図7に示すように、ワイパ装置40は、フロントガラス3に付着した水滴などを吹き払うものである。ワイパ装置40は、カウルトップ9よりも車両上方Z1側に配置されている。ワイパ装置40は、ブレードが設けられたワイパアーム41と、ワイパアーム41の基端が取り付ける軸部としてのピボット軸42と、ピボット軸42を回動自在に支持するホルダ43と、駆動軸を備えた駆動源となるワイパモータ44と、ワイパモータ44の駆動軸の回転運動を揺動運動に変換して、その揺動運動をピボット軸42に伝達するリンク機構45とを備えた周知の構成である。
本実施形態に係るワイパ装置40は、複数本(二本)のワイパアーム41を備えているので、ピボット軸42及びホルダ43も、それぞれ2つずつ備えている。2つのホルダ43は、車幅方向Wに離れて配置されている。一方のホルダ43(A)は、車両中央寄りに配置されていて、他方のホルダ43(B)は、第2カウルトップ92の端部92cが位置する一方のアッパフレーム7寄りに配置されている。本実施形態では、他方のホルダ43(B)は、図中左方に位置するアッパフレーム7寄りに配置されている。
ワイパモータ44、ホルダ43(A)、43(B)は、車体側に固定されている。ワイパモータ44は、ダッシュパネル6とカウルトップ9に取り付けられた専用のワイパブラケット60に固定される。車両中央寄りに配置された一方のホルダ43(A)は、ダッシュパネル6とカウルトップ9に取り付けられた専用のワイパブラケット46に固定される。アッパフレーム7寄りに配置された他方のホルダ43(B)は、カウルトップ9の端部(92c)が取り付けられるブラケット10Aに固定される。
【0013】
次に、一方のブラケット10Aの構成と、カウルトップ9とホルダ43(B)の取付けについて詳細に説明する。
本実施形態では、カウルトップ9(第2カウルトップ92)とホルダ43(B)とを共通のブラケット10Aに取り付けて車体に固定するように構成されている。ホルダ43(B)は、外方に突出する連結アーム431を備えていて、この連結アーム431がブラケット10Aに取り付けられる。つまり、本実施形態において、連結アーム431はワイパ装置40の部品に相当する。
【0014】
ブラケット10Aは、図3図5に示すように、一方のアッパフレーム7の内側面7aに連結可能な連結部103と、カウルトップ9の端部92cが取り付ける第1取付部102と、連結アーム431を取り付ける第2取付部101を備えている。第2取付部101と第1取付部102とは互いに対向するように、連結部103から同一方向に突出して形成されている。このため、ブラケット10Aは、その外観形状がコの字状を成している。第2取付部101は第1取付部102の上方に位置している。ブラケット10Aは、金属製で、一方のアッパフレーム7の内側面7aに、第2取付部101と第1取付部102とが車両内側(空間4側)に位置する向きで連結部103をスポット溶接することで、アッパフレーム7と連結されている。図中、符号Pで示す黒丸はスポット溶接箇所を示す。ブラケット10Aの第1取付部102は、アッパフレーム7に取付けられた(接合/連結)状態において、アッパフレーム7の上面7cより下方に配置され、車幅方向内側に延設されている。また、カウルトップ9は、第1取付部102の上面102bに配置されて締結固定される。
【0015】
第2取付部101は、車両前後方向Xに延びるように形成されている。第2取付部101は、アッパフレーム7に取付けられた(接合/連結)状態において、アッパフレーム7の上面7cより上方に配置され、車幅方向内側に延設される。第2取付部101には、車両上下方向Zに貫通する取付孔101aが形成されている。第2取付部101には、車幅方向Wに向かって幅広となる膨張部105が形成されている。取付孔101aは、膨張部105の中央に配置されている。第2取付部101の裏面101c側には、ナット部を構成するナットプレート25が取付孔101aと位置合わせされて例えばスポット溶接により取り付けられている。取付孔101aは、ナットプレート25が備えるねじ部25aよりも大きな直径を有し、ナットプレート25を移動させても、取付孔101aからねじ部25aが露呈可能に形成されている。連結アーム431は、図4図7に示すように、取付孔を有する端部を第2取付部101に上方から接合し、ボルト20をねじ部25aに締め込むことで第2取付部101に締結固定される。
第1取付部102は、ブラケット10Aの車両前方X1寄りに配置され車両上下方向Zに貫通する取付孔102aが形成されている。この取付孔102aは、組付時に、第2カウルトップ92の端部92cに形成された貫通孔92c1と一致する部位に形成されている。
連結部103には、図5に示すように、車両上下方向Zに延びる複数のリブ110が車両前後方向Xに間隔を設けて並んで形成されている。連結部103は、隣接するリブ110の間の部位で内側面7aに例えばスポット溶接により固定されている。各リブ110は、ブラケット10Aをアッパフレーム7に連結した際に、ワイパアーム41を取り付けるピボット軸42の軸線Oと平行となるように形成されている。
【0016】
ブラケット10Aは、車両前後方向Xにおいてフェンダブラケット30とオーバーラップするように、内側面7aに連結部103が固定されている。ブラケット10Aと内側面7aとの固定に際し、ブラケット10Aは、膨張部105がフェンダブラケット30と重合しないように位置だしされて溶接固定されている。なお、ブラケット10Bもその構成や形状はブラケット10Aと同様であり、第2カウルトップ92の端部92dが第1取付部102に取り付けられる。なお、本実施形態において、ブラケット10B側には、ワイパ装置40の部品は配置されていないが、ステリング位置が本実施形態に係る車両1と左右反対になる車両の場合や、ワイパ装置40の構成によっては、ブラケット10Bにワイパ装置40の部品が位置することがある。この場合を想定すれば、ブラケット10Bに第2取付部101が形成されていてもよいが、本実施形態においてはブラケット10Bに第2取付部101は形成されておらず、少なくともワイパ装置40の部品が位置する側のブラケットが第2取付部101を備えていればよい。
【0017】
このように、本実施形態に係る車体構造においては、車幅方向Wに位置するアッパフレーム7の内側面7aに連結可能な連結部103、連結アーム431を取り付ける第2取付部101及びカウルトップ9(第2カウルトップ92)を取り付ける第1取付部102を有するブラケット10Aを備えているので、取付け剛性を確保しながらも、ブラケット10Aと連結アーム431の取付部の共有化を図ることができ、省スペース化と部品点数の削減が可能な新たな車両1の車体構造を提供することができる。
また、ブラケット10Aの取付け剛性が高まるため、連結アーム431の支持が安定し、ワイパアーム41を支持するピボット軸42の取り付け位置の精度向上する。ワイパ装置40の動作による荷重はブラケット10Aを介してアッパフレーム7とカウルトップ9に分散して伝達されるので、振動低減も期待できる。
【0018】
本実施形態に係る車体構造においては、アッパフレーム7の上面7cよりも車両上方Z1に突出してアッパフレーム7に設けたフェンダブラケット30と、車両前後方向Xにおいてフェンダブラケット30とオーバーラップするようにブラケット10Aを配置するので、上面7cから突出する部分を集約して突出領域を低減することができる。車両1の前部2においては、アッパフレーム7の上方にフードパネル12が配置されている。このため、アッパフレーム7よりも上方に突出する部材の突出領域を低減することは、フードパネル12と歩行者とが干渉した場合において、歩行者と突出する部材とが干渉する機会の低減つながり、歩行者保護に貢献することができる。
本実施形態に係る車体構造においては、ブラケットの第1取付部102は、アッパフレーム7の上面7cより下方に配置され、車幅方向内側に延設されているので、アッパフレーム7に上方から重なることなく、カウルトップ9(第2カウルトップ92)を取付けルことができるとともに、アッパフレーム7よりも上方に突出する部材の突出領域を低減することができる。このため、より歩行者と突出する部材とが干渉する機会の低減つながり、歩行者保護に貢献することができる。さらに、ブラケットの第2取付部101は、その機能上、アッパフレーム7の上面7cより上方に配置されてはいるが、車幅方向内側に延設されるため、アッパフレーム7に上方から重なることなく、ワイパ装置40の部品を取り付けることができる。このため、部品の共有化によるメリットを得ながらも、アッパフレーム7よりも上方に突出する部材の突出領域を低減するこができる。このため、より歩行者と突出する部材とが干渉する機会の低減につながり、歩行者保護に貢献することができる。
【0019】
本実施形態に係る車体構造においては、ブラケット10Aの連結部103に、車両上下方向Zに延びる複数のリブ110を車両前後方向Xに間隔を設けて並べて形成しているので、連結部103の面剛性を高めることができる。また、面剛性を高めた部位(連結部103)とアッパフレーム7との溶接箇所が近くなるため、ブラケット10A自体の取付け剛性が向上する。このため、ワイパ装置40の部品である連結アーム431やホルダ43(B)、ピボット軸42の位置が安定する。
本実施形態に係る車体構造においては、ブラケット10Aをアッパフレーム7に連結した際に、ワイパアーム41を取り付けるピボット軸42の軸線Oと平行となるように各リブ110を形成しているので、ピボット軸42の軸線周りの捻れ剛性を高められ、ワイパアーム41等の部材の取付け強度が向上する。
【0020】
本実施形態に係る車体構造においては、第2取付部101に車幅方向Wに向かって幅広となる膨張部105を形成しているので、取付孔101aの形成範囲が広がり自由度が高まる。また、取付孔101aとナットプレート25を膨張部105に配置することで、ナットプレート25の車幅方向Wへの調整代を確保することができる。このため、ピボット軸42やホルダ43(B)の取付け位置に誤差が生じた場合でも、ナットプレート25の位置を変更することで調整することができ、ワイパ装置40の位置精度出しを、他の部位に変更を加えることなく容易に行える。
【0021】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、上記実施形態において、ワイパ装置40は、2本のワイパアーム41を備えた方式の物を例示したが、1本のワイパアーム41を往復動作して掻き取るタイプのものであっても良い。この場合であっても、ワイパアーム41を取り付けるピボット軸42を備えたホルダ43を、連結アーム431を介してブラケット10Aの第2取付部101に取り付けることで、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
無論3本以上のワイパアーム41を備えたものであっても良い。この場合、左右のアッパフレーム7,7寄りに配置されるホルダ43を、車幅方向Wに位置するブラケット10それぞれに連結アーム431,431を介して取付けことで、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0022】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0023】
1・・・車両、7・・・アッパフレーム、7a・・・アッパフレームの内側面、7c・・アッパフレームの上面、9・・・カウルトップ、10A、10B・・・一対のブラケット、20・・・ボルト、25・・・ナット部、30・・・フェンダブラケット、40・・・ワイパ装置、41・・・ワイパアーム、42・・・軸部、101・・・第2取付部、102・・・第1取付部、102a・・・第1取付部の上面、103・・・連結部、105・・・膨張部、110・・・複数のリブ、431・・・ワイパ装置の部品、O・・・軸線、W・・・車幅方向、X・・・車両前後方向、Z・・・車両上下方向、Z1・・・車両上方
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7