(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プローブカバー体は、前記ケーシングに装着されたときに少なくとも前記センサに対応する部分が前記センサと被検部との間の音響結合が可能なゲル状の材料から成り、前記ケーシングの一端側部分を締め付けるべく伸縮可能に形成されている、請求項1に記載の超音波診断装置用カバー。
前記ケーシング側係合部は、嵌合凸部及び嵌合孔部のうちの何れか一方で形成される前記ブラケット側係合部の何れか1つと対応付けられ、対応する前記ブラケット側係合部と異なるように前記嵌合凸部及び前記嵌合孔部のうちの何れか他方で形成され、
前記嵌合凸部は、前記嵌合孔部に嵌合し、少なくとも先端の外周縁が周方向全周に渡ってR面取りされている、請求項1又は2に記載の超音波診断装置用カバー。
前記ブラケットは、前記ケーシングの少なくとも一端側部分に被せるブラケット本体と、前記ブラケット本体に設けられ且つ穿刺するための針組立体の針を案内する穿刺ガイドと、を更に有し、
前記嵌合孔部は、前記嵌合凸部の少なくとも先端の外周縁が前記プローブカバー体を介して突き当てられる支持面を有し、
前記支持面は、前記嵌合凸部の少なくとも先端の外周縁の形状に合わせて凹状にR面取りされている、請求項3に記載の超音波診断装置用カバー。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような超音波診断装置では、前述の通り、体表にエコー用ゲルを塗布することによってプローブと被検部との音響結合を良好にしているが、プローブの表面にエコー用ゲルが付着するため、患者が変わる度にプローブの洗浄という煩瑣な手間を必要とする。そのような課題を解決すべく、発明者は、以下のようなものを考え付いた。即ち、体表とプローブとの間の音響結合を良好にする、ゲルから成る袋状のプローブカバー体をプローブに被せる。これにより、体表とプローブとの間にプローブカバー体を介在させることができると共に、患者が変わってもプローブカバー体を取り換えるだけでよく、液状のエコー用ゲルを除去すべく洗浄を行うことを省くことができる。
【0005】
また、特許文献2の超音波診断装置では、患者に針等を穿刺する穿刺作業を行う際、穿刺状態(針の位置、方向、及び深さ等)を確認しながら穿刺作業を行うことが想定されており、撮像トランジューサを備えている。撮像トランジューサは、その側面にニードルガイドが設けられており、ニードルガイドは、穿刺する針等を挿入することができる。即ち、撮像トランジューサでは、ニードルガイドによって穿刺する針の方向付けを行うことができる。
【0006】
以上のように構成されている特許文献1及び2の超音波診断装置では、患者の体内を可視化する際にプローブを体表に当てて走査するようになっている。それ故、特許文献1の超音波診断装置のプローブに上述したプローブカバー体を被せて使用した場合であっても、プローブを走査することによってプローブカバー体がプローブに対してずれて音響結合に影響を与える可能性が考えられる。また、特許文献2の超音波診断装置では、プローブに形成される結合部材を介してニードルガイドをプローブに取付けるようになっている。それ故、結合部材とニードルガイドとの間でガタツキが生じている場合、針を穿刺する際にニードルガイドによって案内される針がぶれることになる。従って、プローブに取付けられる構成がプローブに対して動くことを抑制することが求められている。
【0007】
そこで本発明は、プローブに取付けられる構成、即ちプローブカバー体又は穿刺ガイドがプローブに対して動くことを抑制できる超音波診断装置用カバー、及び超音波診断装置用のブラケットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の超音波診断装置用カバーは、被検部にて反射された超音波を受信するセンサを有するプローブがケーシングの所定方向一端に配置されている超音波診断装置本体において前記ケーシングの一端側部分に被せられる超音波診断装置用カバーであって、前記ケーシングの少なくとも一端側部分に被せられるように袋状に形成されているプローブカバー体と、前記プローブカバー体の上に被せるように前記ケーシングの前記一端側部分に装着されるブラケットと、を備え、前記ブラケットは、前記ケーシングに形成される複数のケーシング側係合部の各々と係合可能な複数のブラケット側係合部を有し、前記プローブカバー体は、前記ケーシングの一端側部分に被せられている状態で前記複数のケーシング側係合部も覆っており、前記複数のブラケット側係合部は、前記複数のケーシング側係合部との間に前記プローブカバー体を介在させた状態で前記ケーシング側係合部と係合するようになっている。
【0009】
本発明に従えば、ケーシングの一端側部分にプローブカバー体を被せた状態でブラケットをケーシングの一端側部分に装着すると、プローブカバー体をケーシング側係合部とブラケット側係合によって挟持することができる。これにより、プローブカバー体がずれることを抑制することができる。
【0010】
本発明の超音波診断装置用のブラケットは、被検部にて反射された超音波を受信するセンサを有するプローブがケーシングの所定方向一端に配置されている超音波診断装置において前記ケーシングの一端側部分に被せられる、超音波診断装置用のブラケットであって、前記ケーシングの少なくとも一端側部分に被せるブラケット本体と、前記ブラケット本体に設けられ且つ穿刺するための針組立体の針を案内する穿刺ガイドと、前記ケーシングに形成される複数のケーシング側嵌合部の各々と対応付けられ且つ嵌合可能な複数のブラケット側嵌合部と、を備え、前記ケーシング側嵌合部が嵌合凸部及び嵌合孔部のうちの何れか一方で形成されているのに対応して、該ケーシング側嵌合部に対応する前記ブラケット側嵌合部は前記嵌合凸部及び前記嵌合孔部のうちの他方で形成され、前記嵌合凸部は、前記嵌合孔部に嵌合し、少なくとも先端の外周縁が周方向全周に渡ってR面取りされ、前記嵌合孔部は、前記嵌合凸部の少なくとも先端の外周縁が突き当てられる支持面を有しており、前記支持面は、前記嵌合凸部の少なくとも先端の外周縁の形状に合わせて凹状にR面取りされているものである。
【0011】
上記構成に従えば、嵌合凸部を嵌合孔部に嵌合させて嵌合凸部の先端の外周縁を押し付けるだけで、嵌合凸部の芯出しを行うことができる。複数の嵌合凸部に対して芯出しを行うことによって、ケーシングに対してブラケットの位置決めを行うことができ、操作中等においてケーシングに対してブラケットがずれることを抑制することができる。即ち、ケーシングに対して穿刺ガイドがぶれることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、プローブに取付けられる構成、即ちプローブカバー体又は穿刺ガイドがプローブに対して動くことを抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る第1及び第2実施形態のガイド付き超音波診断装置1,1Aについて図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、説明する上で便宜上使用するものであって、発明の構成の向き等をその方向に限定するものではない。また、以下に説明するガイド付き超音波診断装置1,1Aは、本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0015】
[第1実施形態]
図1に示すガイド付き超音波診断装置1は、皮下にある血管等を可視化しながら針等を穿刺する際に用いられるものであり、
図2に示すように超音波診断装置2と、超音波診断装置用カバー3とを備えている。以下では、超音波診断装置2、及びカバー3の構成の一例について説明する。
【0016】
<超音波診断装置>
超音波診断装置2は、体表に当てられた状態で被検部(即ち、皮下組織)に超音波を発振すると共に被検部にて反射された超音波(即ち、反射波)を受信する。また、超音波診断装置2は、受信した反射波に基づいて画像処理を行い、被検部の断面を映し出すようになっている。このような機能を有する超音波診断装置2は、
図2に示すようにケーシング11と、プローブ12と、モニター13とを有している。ケーシング11は、例えばポリカーボネート、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂、SAS(シリコン・アクリロニトリル・スチレン)、及びポリプロピレン等の合成樹脂から成り、正面視で大略矩形状且つ断面扁平状の箱体である。また、ケーシング11の下端部分(即ち、一端側部分)である先端側部分11aは、先端11bに向かって先細りの台形状に形成され、ケーシング11の先端11bにはプローブ12が配置されている。即ち、超音波診断装置2は、その先端2aにプローブ12を有している。また、ケーシング11は、中間部分において後側に反り返るように湾曲し、その湾曲部11cから基端側部分にかけて後側に傾倒している。更に、ケーシング11の前面11eには、モニター13が配置され、モニター13は画像を映し出すようになっている。以下では、プローブ12とモニター13について更に詳細に説明する。
【0017】
プローブ12は、超音波を送受信するように構成されており、センサ12aを有している。センサ12aは、例えば圧電素子等の振動子及び音響レンズによって構成されている。このように構成されているセンサ12aは、
図2及び
図3にも示すようにケーシング11の先端側部分11aに埋め込むように取付けられ、その下端面が先端11bと面一となるようにケーシング11に配置されている。また、センサ12aは、ケーシング11内に収容される制御装置(図示せず)に接続され、制御装置からの指令に応じて超音波を発振するようになっている。また、センサ12aは、被検部で反射される反射波を受信し、受信する超音波に応じた信号を制御装置に出力する。即ち、センサ12aの振動子が被検部で反射される反射波によって振動して、その振動に応じた信号を制御装置に出力する。制御装置は、画像処理機能を有しており、その信号に基づいて画像処理を行って画像データをモニター13に出力する。
【0018】
画像表示部の一例であるモニター13は、例えば液晶型モニター及び有機EL型モニターであり、画像データに応じた画像を表示するようになっている。即ち、モニター13には、センサ12aで受信した反射波に基づいて作成される画像、例えば被検部の断面を映し出すようになっている。このような機能を有するモニター13は、前述の通りケーシング11の前面11eに配置されている。更に詳細に説明すると、モニター13の左右の幅は、ケーシング11の左端付近から右端付近までに渡り、上下の高さはケーシング11において湾曲部11cから基端付近までに渡っている。
【0019】
このように構成されている超音波診断装置2は、そのプローブ12を被検部の体表に当て、その状態でプローブ12のセンサ12aの振動子から超音波を発振させる。発振される超音波は被検部にて反射され、その反射をセンサ12aの振動子にて受信する。そうすると、センサ12aの振動子が反射波に応じて振動し、振動子はその振動に応じた信号を制御装置に出力する。制御装置は、その信号に基づいて画像処理を行い、それによって被検部の断面がモニター13に映し出される。
【0020】
このような機能を有する超音波診断装置2は、被検部の体表上においてプローブ12を走査されるようにして使用されるが、センサ12aと被検部との音響インピーダンスの差が大きい。それ故、単に被検部にプローブ12を当てただけでは、センサ12aから発振される超音波が体表にて反射されることになる。そこで、プローブ12と被検部の体表との間における音響結合を良好にするために、超音波診断装置2には、超音波診断装置用カバー3が被せられている。
【0021】
<超音波診断装置用カバー>
超音波診断装置用カバー3は、前述の通り、ケーシング11の先端側部分11aに被せられており、プローブ12のセンサ12aを被覆している。超音波診断装置用カバー3は、プローブカバー体14と、ガイド付きブラケット15とを備えている。プローブカバー体14は、プローブ12と体表との間の音響結合を良好にし、ガイド付きブラケット15は、プローブカバー体14のずれを抑制するようになっている。以下では、
図2を参照しながらプローブカバー体14について説明する。
【0022】
<プローブカバー体>
プローブカバー体14は、断面扁平の袋状に形成され、プローブカバー体14の外縁は、正面視で大略U字状になっている。このような外形を有するプローブカバー体14は、先端側(即ち、下側)が閉じられ、且つ基端側(上側)に開口14aを有している。より詳細に説明すると、プローブカバー体14は、ケーシング11の湾曲部11cから先端側部分11aにかけての部分と略同形状で形成されている。即ち、プローブカバー体14の先端側部分14bは、ケーシング11の先端側部分11aと同様に正面視で先端に向かって先細りの台形状に形成され、基端側部分14cは、正面視で先端側から基端側に真直ぐ延在するように形成されている。また、プローブカバー体14の内周面は、ケーシング11の前述する部分より小さく形成されている。
【0023】
このような形状を有するプローブカバー体14は、例えばウレタンゲル、スチレン系エラストマーゲル、シリコーンゲル等のエラストマーゲルによって伸縮可能に構成されている。これにより、プローブカバー体14は、その開口14aを広げることができ、広げることによって中に超音波診断装置2の先端側部分、即ちケーシング11の先端側部分11aを入れることができるようになっている。また、プローブカバー体14は、開口14aだけでなくその全体を拡げることができるので、プローブカバー体14の中に入れられた後も超音波診断装置2をプローブカバー体14内の先端側へと押し進めることができる。押し進めると、超音波診断装置2の先端2a(即ち、プローブ12のセンサ12a)がやがてプローブカバー体14の底面に当たるようになっており、こうすることでケーシング11の湾曲部11cより先端側をプローブカバー体14に収めることができる。また、超音波診断装置2を更に押し込むことによってセンサ12aをプローブカバー体14に密着させることができ、密着させた状態でプローブカバー体14を超音波診断装置2に装着することができる。更に超音波診断装置2には、プローブカバー体14の上に被せるようにガイド付きブラケット15が装着されている。
【0024】
<ガイド付きブラケット>
ガイド付きブラケット(以下、単に「ブラケット」という)15は、プローブカバー体14をケーシング11に押さえ付け、ケーシング11に対してプローブカバー体14がずれを抑制するようになっている。このような機能を有するブラケット15は、
図3に示すようにブラケット本体21とガイド部22とを有している。ブラケット本体21は、上下に開口し且つ正面視で大略台形のカバー状の部材であり、その内空間がケーシング11の先端側部分11aの外形形状に合わせて形成されている。より詳細には、ブラケット本体21の内空間は、左右方向及び前後方向においてケーシング11の先端側部分11aより若干大きく形成されており、先端側部分11aに被せたプローブカバー体14の上に更に被せて先端側部分11aに装着できるように構成されている。他方、ブラケット本体21の下端側から下方にプローブ12が突出している。このような形状を有するブラケット本体21には、左右の側面の各々に一対の溝21a,21aが形成されている。
【0025】
一対の溝21a,21aは、
図3に示すように、上下方向に延在すると共に左右方向に貫通し且つ前後方向に離して形成されており、離して形成することによってそれらの間に可撓片21bが形成されている。このように形成されている可撓片21bは、上下方向に延在し、その基端部分を支点として左右方向に撓むようになっている。また、可撓片21bには、嵌合孔部21cが形成されている。即ち、ブラケット本体21は、その左右に夫々配置される一対の嵌合孔部21c,21cを有している。また、ケーシング11には、
図4に示すように一対の嵌合孔部21c,21cに夫々対応させて一対の嵌合凸部11d,11dが形成されている。即ち、嵌合凸部11d,11dは、ケーシング11の左右の側面に夫々形成されている。なお、
図4では、ケーシング11内の構造については省略している。
【0026】
また、各可撓片21b,21bの左右方向内側の面には、ガイド溝21dが形成されており、ガイド溝21dは、可撓片21bの上端から下方に延在しており、対応する嵌合孔部21cまで達している。更に詳細に説明すると、ガイド溝21dは、上下方向に垂直な仮想平面で切断するとその断面が凹状になっており、ブラケット本体21にケーシング11の先端側部分11aに入れると、やがて嵌合凸部11dの頭頂部分がガイド溝21dに入って可撓片21bに当たるようになっている。また、この状態からケーシング11の先端側部分11aをブラケット本体21に対して下方に押し込むと、一対の嵌合凸部11d,11dが一対の可撓片21b,21bを左右方向外方に押し退けられる。これにより、ケーシング11の先端側部分11aをブラケット本体21内に押し込むことができ、ケーシング11の先端側部分11aをブラケット本体21内に更に押し込むことによって一対の嵌合凸部11d,11dがやがて対応する嵌合孔部21c、21cに達する。これにより、嵌合凸部11d,11dの各々が対応する嵌合孔部21c,21cに嵌まり込み、嵌まり込むことでブラケット本体21がケーシング11と嵌合するようになっている。このように構成されている一対の嵌合凸部11d,11d及び一対の嵌合孔部21c、21cは、以下のような形状を有している。
【0027】
即ち、ケーシング側係合部の一例である一対の嵌合凸部11d,11dは、
図5に示すようにケーシング11の先端側部分11aにおける左右の側面(先細りになっている部分)から左右方向外方であって斜め下方(即ち、側面に略直交する方向)に突出している。また、一対の嵌合凸部11d,11dは、大略部分球面状(本実施形態では、大略半球面状)に形成されている。このような形状を有する一対の嵌合凸部11d,11dは、ケーシング11の先端側部分11aにプローブカバー体14を被せた状態においてプローブカバー体14によって覆われており、覆われた状態のまま対応する嵌合孔部21c、21cに嵌合される。また、嵌合孔部21c,21cは、一対の嵌合凸部11d,11dに対応させて形成されている。
【0028】
即ち、ブラケット側係合部の一例である嵌合孔部21c,21cは、ブラケット本体21の内周面の左右両側(即ち、一対の可撓片21b,21bの内周面)において、そこから左右方向外方であって斜め下方(即ち、左右両側の面に略直行する方向)に貫通し、大略部分球面状(本実施形態では、大略球台状)に形成されている。また、嵌合孔部21c,21cは、一対の嵌合凸部11d,11dより若干大きく形成されており、プローブカバー体14が被せられた状態の嵌合凸部11d,11dがしっかり嵌まり込むようになっている。
【0029】
また、嵌合孔部21c,21cは、前述の通り大略球台状に形成されている、即ち嵌合孔部21c,21cの内周面である支持面21eが大略球台面状に形成されている。それ故、嵌合凸部11d,11dは、嵌まり込んだ状態でプローブカバー体14を介して支持面21eに突き当たり、支持面21eによって支持される。嵌合孔部21c,21cの形状は、前述の通り、嵌合凸部11d,11dの形状に合わせられており、支持面21eの形状もまた嵌合凸部11d,11dの外表面に合わせて大略部分球面状に形成されている。それ故、嵌合凸部11d,11dを嵌合孔部21c,21cにしっかり嵌め込むことによって嵌合凸部11d,11dが支持面21e全体で支持され、それによって嵌合凸部11d,11dが芯出しされる。ケーシング11の左右両側において嵌合凸部11d,11dが芯出しされることによって、ケーシング11は、前後方向及び上下方向において位置決めされ、且つそれらの方向の動きが抑制されることになる。このような機能を有するブラケット本体21は、更に嵌合用突起部分21fを有している。
【0030】
嵌合用突起部分21fは、ブラケット本体21の前面(即ち、ケーシング11の前面11eと同じ側の面)21gに一体的に設けられている。嵌合用突起部分21fは、ブラケット本体21の前面21gにおいて左右方向中央に配置されており、ブラケット本体21の前面21gから前方に突出するように形成されている。このように形成されている嵌合用突起部分21fには、ガイド部22が嵌合されている。ガイド部22は、留置針等の針組立体23の針23a(後述する
図6参照)を被検部30に穿刺する際に、穿刺する針23aを案内して針23aの穿刺方向を決定づけるものであり、側面視で大略台形のブロック状に形成されている。
【0031】
このような形状を有するガイド部22は、その前端面22aがブラケット本体21の前面21gに対して所定の角度α(例えば、20度≦α≦60度)を成しており、ガイド部22の前端面22aは、ブラケット本体21の前面21gに対して傾けて形成されている。また、前端面22aには、その左右方向中心部分にガイド孔形成部分22bが形成されている。ガイド孔形成部分22bは、前端面22aからそれに直交する方向に突出し且つ前端面22aに沿って前斜め上方に延在している。また、ガイド孔形成部分22bの断面(即ち、前端面22aに直交する断面)が大略半円状に形成され、ガイド孔形成部分22bには、その軸線に沿ってガイド孔22cが形成されている。これによりガイド部22には、前斜め上方に延びるガイド孔22cが形成されている。ガイド孔22cは、ガイド部22を前斜め上方に貫通しており、その上側から針組立体23の針23aを入れて下側から針先23bを出すことができるようになっている。また、ガイド孔形成部分22bには、更に周面に取出し口22dが形成されている。
【0032】
取出し口22dは、
図3に示すように前方(即ち、超音波診断装置2側と反対側)に開口し且つガイド孔形成部分22bの周面であって正面視で左右中央部分(即ち、最も前方に突出している部分)に形成されている。また、取出し口22dは、ガイド孔22cの中心軸線L1に沿って延在しており、ガイド孔形成部分22bにおいて上端から下端に渡って真直ぐ延在している。また、ガイド部22は、ガイド孔形成部分22bを撓ませることができるようになっており、ガイド孔22cに挿入された針23aを取出し口22dに向かって引く(又はガイド付きブラケット15を針23aから離す方向(即ち後側)に動かす)と、取出し口22dが広げられてそこから針23aを抜くことができるようになっている。
【0033】
[穿刺作業について]
このように構成されているガイド付き超音波診断装置1では、まずケーシング11の先端側部分11aにプローブカバー体14が被せられる。プローブカバー体14を撓みなく被せた後、更にその上からブラケット15が先端側部分11aに装着される。即ち、ケーシング11の先端側部分11aをブラケット本体21の上側の開口からブラケット本体21の中へと挿入する。そうすると、ケーシング11の一対の嵌合凸部11d,11dの各々が対応するガイド溝21d,21dの中に入り、やがて可撓片21b,21bに当たる。ケーシング11の先端側部分11aをブラケット本体21の中に押し込むことで、可撓片21b、21bが嵌合凸部11d,11dによって外側に押し退けられるように撓み、やがて嵌合凸部11d,11dが嵌合孔部21c,21cに嵌まり込む。即ち、嵌合凸部11d,11dは、そこに被せられるプローブカバー体14と一緒に嵌合孔部21c、21cに嵌まり込む。これにより、プローブカバー体14が嵌合凸部11d,11dと嵌合孔部21c,21cとによって挟持され、ケーシング11に対してプローブカバー体14がずれることを抑制することができる。
【0034】
また、ブラケット15では、嵌合凸部11d,11dが嵌合孔部21c,21cに嵌まり込むことで、一対の可撓片21b,21bが左右方向内方に弾性復帰する。これにより、一対の可撓片21b,21bによって嵌合凸部11d,11dがプローブカバー体14を介して挟持され、また嵌合孔部21c,21cの支持面21eに押し付けられる。これにより、ケーシング11が左右方向において位置決めされ、左右方向の動きが規制される。また、嵌合凸部11d,11dが嵌合孔部21c,21cの支持面21eに押し付けられることによって、嵌合凸部11d,11dが支持面21eによって芯出しされる。本実施形態のケーシング11では、嵌合凸部11d,11dが支持面21eによって芯出しされるので、ケーシング11がブラケット15内にて前後方向及び上下方向において位置決めされ、それらの方向の動きが抑制されることになる。
【0035】
本実施形態の場合と異なって嵌合孔部21c,21cが支持面21eを有しない(即ち、嵌合孔部21c,21cが大略円柱状に形成されている)場合には、嵌合凸部11d,11dと嵌合孔部21c,21cとの間に介在するプローブカバー体14の厚み次第で、嵌合凸部11d,11dと嵌合孔部21c,21cとの間にガタが生じることがある。しかし、本実施形態のブラケット15では、前述のようにケーシング11の先端側部分11aに対して左右方向、前後方向、及び上下方向のブレ(即ち、動き)が抑制され、その結果ブラケット15のガイド部22のブレも抑制することができる。
【0036】
装着された後、プローブ12が体表に押し当てられ、それによって被検部30の断面がモニター13に映し出される。なお、この際のプローブ12と体表との間における音響結合を良好にすべく、被検部の体表にエコー用ゲル等の液状ゲルが塗布されてもよい。塗布された後、使用者は、モニター13に映し出された被検部30の断面を見ながら血管31の位置を探り、血管31の位置を確認するとガイド孔22cに針組立体23の針23aを挿入する。挿入した後、使用者が針組立体23を押し込むことと針23aがガイド孔22cによって案内され、針先23bが血管31に向かって進んで行く。更に、押し込むことによって針先23bが血管31に穿刺され、その様子をモニター13によって確認することができる。
【0037】
血管31に針先23bが穿刺されたことが確認されると、押し進めた位置にて針組立体23を留置し、その後ガイド孔22cから針組立体23の針23aを抜く。即ち、針組立体23から超音波診断装置2を離すように後側に倒すことによって、取出し口22dを介してガイド孔22cから針23aが抜かれる。このようにして、針23aをガイド孔22cから抜いた後も針組立体23はその位置に留置することができ、その後の処置(例えば、透析、投液及び採血等の処置)を施すことができる。
【0038】
このように構成されているガイド付き超音波診断装置1では、前述の通り、ブラケット15のガイド部22のブレが抑制されているので、予め定められた方向に針23aを案内することができる。これにより、針先23bを左右前後だけでなく上下方向において所望の位置にて穿刺することができ、血管31等に的確に穿刺することができる。
【0039】
また、ガイド付き超音波診断装置1では、プローブカバー体14が伸縮可能に構成されており、ケーシング11の先端側部分11aに装着するだけでプローブ12に圧着させることができる。これにより、走査中にプローブカバー体14がケーシング11に対してずれることを抑制することができる。また圧着させることでプローブカバー体14とプローブ12(より詳しくは、センサ12a)との間に隙間が発生することを抑制することができる。このように、ずれの発生及び隙間の発生を抑制することができるので、音響結合を良好に保つことができる。
【0040】
また、嵌合凸部11d,11dが先端面の外側縁に角を有している場合、その角にプローブカバー体が角に押し付けられて破れる可能性がある。他方、ガイド付き超音波診断装置1では、嵌合凸部11d,11dが大略半球面状に形成されている。それ故、嵌合凸部11d,11dを嵌合孔部21c,21cに嵌合すべく支持面21eに向かって押し付けられても、それらの間に介在するプローブカバー体14が破損することがない。
【0041】
また、ガイド付き超音波診断装置1では、ケーシング11の先端側部分11aにプローブカバー体14を装着した後、ブラケット15をプローブカバー体14の上に被せるブラケット15が押し付けるようにしてケーシング11の先端側部分11aに装着される。これにより、プローブカバー体14がケーシング11の基端側に引っ張られ、プローブカバー体14をケーシング11の先端側部分11a、特に先端11bに位置するセンサ12aに密着させることができる。密着させることによって、プローブ12と体表との音響結合を良好に保つことができる。
【0042】
[第2実施形態]
第2実施形態のガイド付き超音波診断装置1Aは、第1実施形態のガイド付き超音波診断装置1と構成が類似している。以下では、第2実施形態のガイド付き超音波診断装置1Aの構成について、第1実施形態のガイド付き超音波診断装置1と異なる点について主に説明し、同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0043】
図7に示す第2実施形態のガイド付き超音波診断装置1Aもまた、第1実施形態のガイド付き超音波診断装置1と同様に、皮下にある血管31等を可視化しながら針等を穿刺する際に用いられるものである。ガイド付き超音波診断装置1Aは、第1実施形態のガイド付き超音波診断装置1と異なり、超音波診断装置用カバー3Aがプローブカバー体14を有していない。即ち、ブラケット15がケーシング11の先端側部分11aに直接装着されている。
【0044】
このように構成されているガイド付き超音波診断装置1Aでは、ブラケット15の内周面がケーシング11の先端側部分11aと略同一寸法に形成され、ケーシング11の一対の嵌合凸部11d,11dの各々もまた対応する嵌合孔部21c,21cと略同一寸法に形成されている。それ故、ブラケット15をケーシング11の先端側部分11aに装着すると、嵌合孔部21c,21cによって嵌合凸部11d,11dが芯出しされ、ケーシング11の先端側部分11aに対してブラケット15が位置決めされる。これにより、穿刺時におけるブラケット15のガイド部22のブレを抑制することができ、針先23bを左右前後だけでなく上下方向において所望の位置にて穿刺することができ、血管31等に的確に穿刺することができる。
【0045】
第2実施形態のガイド付き超音波診断装置1Aは、その他、第1実施形態のガイド付き超音波診断装置1Aと同様の作用効果を奏する。
【0046】
[その他の実施形態]
第1及び第2実施形態のガイド付き超音波診断装置1,1Aでは、ケーシング11にプローブ12とモニター13とが一体的に形成されているものについて想定されているが、必ずしもそのようなものに限定されない。例えば、ガイド付き超音波診断装置は、ケーシングにプローブだけが設けられ、モニターが別途配置されているようなものであってもよい。
【0047】
また、第1及び第2実施形態のガイド付き超音波診断装置1,1Aでは、プローブカバー体14の全体がゲル状の材料によって構成されているが、必ずしもこのような構成である必要はない。例えば、プローブカバー体14のセンサ12aに対応する部分にのみ音響結合が良好なゲル状の材料によって構成され、残余の部分が伸縮性を有する別の材料によって構成されてもよい。なお、対応する部分には、底面視でセンサ12aと重なる領域だけでなくセンサ12aの周辺をも含む部分である。これにより、ケーシング11に対してプローブカバー体14が仮にずれても、ゲル状の材料から成る部分がセンサ12aを覆った状態を維持することができ、音響結合に影響を与えることを抑制することができる。
【0048】
また、プローブカバー体14は、透明性を有する袋体、例えばビニール袋であってもよい。この場合、センサ12aには、音響結合が良好なゲル状の材料によって構成されるシート材を貼り付け、それをケーシング11の先端11bに固定する。そして、ビニール袋は、シート材を貼り付けたケーシング11全体を覆うようにして被せる。そして、ビニール袋の上からケーシング11の先端側部分11aにブラケット15を装着する。これにより、ビニール袋がケーシング11の先端側部分11aとラケット15とによって挟持され、ケーシング11に対するビニール袋のズレを抑制することができる。また、ビニール袋でケーシング11全体を覆うことで、超音波診断装置2の表面に付着する細菌やウイルス等がビニール袋の外側に出ることを抑えることができ、細菌やウイルス等による感染を防ぐことができる。これにより、使用する度に超音波診断装置2を洗浄する必要をなくすことができる。また、ガイド付き超音波診断装置では、ケーシング11の先端側部分11aに被せられたビニール袋の上から前述するゲル状の材料から成るカバー体を被せて、ビニール袋とブラケット15との間にカバー体を介在させてもよい。
【0049】
更に、第1及び第2実施形態のガイド付き超音波診断装置1,1Aでは、ブラケット本体21にガイド部22が取付けられているが、針23aの案内が必要でなければ、必ずしもガイド部22が取付けられている必要はない。また。第1及び第2実施形態のガイド付き超音波診断装置1,1Aでは、共にケーシング11に一対の嵌合凸部11d,11dが形成され、ブラケット15に一対の嵌合孔部21c,21cが形成されているが、必ずしもそのように構成されている必要はない。即ち、一対の嵌合凸部11d,11dがブラケット15に形成され、且つ一対の嵌合孔部21c,21cがケーシング11に形成されてもよい。また、ブラケット15及びケーシング11に嵌合凸部11d,11dを1つずつ形成し、嵌合孔部21c,21cもまたブラケット15及びケーシング11に1つずつ形成するようにしてもよい。更に、嵌合凸部11d,11d及び嵌合孔部21c,21cの数も2つずつに限定されず、3つずつ以上であってもよい。
【0050】
更に、嵌合凸部11d,11dは、必ずしも大略半球状に形成されている必要はなく、例えば
図8に示す嵌合凸部11fのように円柱状や角柱状に形成されてもよい。この場合、先端面の外周縁をR面取りすることによってプローブカバー体14を破損させることを抑制させることができる。また、嵌合孔部21hの支持面21eについても、嵌合凸部11fにおける先端面の外周縁の形状に合わせて支持面21eを凹状にR面取りすることによって、第1実施形態及び第2実施形態と同様に嵌合凸部11fの芯出しを行うことができる。
【0051】
また、第1実施形態及び第2実施形態のガイド付き超音波診断装置1,1Aでは、嵌合凸部11d,11dを嵌合孔部21c,21cに嵌合させる構成であるが、必ずしもこのような構成である必要はない。例えば、鉤状に形成される2つの係合部を互いに掛け合うように係合させるようにしてもよい。このような構成であれば、ブラケット15をケーシング11に装着可能であって且つ2つの係合部によってプローブカバー体14を挟持することができる。