(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6897274
(24)【登録日】2021年6月14日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】溶銑の予備処理方法
(51)【国際特許分類】
C21C 1/02 20060101AFI20210621BHJP
C21C 1/04 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
C21C1/02 110
C21C1/04 101
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-84481(P2017-84481)
(22)【出願日】2017年4月21日
(65)【公開番号】特開2018-178235(P2018-178235A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2019年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100113918
【弁理士】
【氏名又は名称】亀松 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100187702
【弁理士】
【氏名又は名称】福地 律生
(74)【代理人】
【識別番号】100140121
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 朝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100172269
【弁理士】
【氏名又は名称】▲徳▼永 英男
(72)【発明者】
【氏名】小野 慎平
(72)【発明者】
【氏名】工藤 進
【審査官】
國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭60−181212(JP,A)
【文献】
特開平07−310108(JP,A)
【文献】
特開2004−018942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21C 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
精錬容器内の溶銑に、酸化鉄源、気体酸素、及び、生石灰を含む精錬剤を、溶銑に浸漬した精錬剤吹込みランスから吹込み、脱珪処理と脱燐処理を連続して行なう溶銑の予備処理方法において、
上記精錬剤を、生石灰吹込み速度(kg/分):FCaOと、下記式(1)で定義する酸素吹込み速度(kg/分):FOとの比:FCaO/FOが、下記式(2)を継続して満たすように吹き込む、局所的塩基度C/Slocalが1.5を超えない状況を継続して形成することを特徴とする溶銑の予備処理方法。
FO=FO_FeOt+FO_O2 ・・・(1)
FO_FeOt:酸化鉄源による酸素吹込み速度(kg/分)
FO_O2:気体酸素による酸素吹込み速度(kg/分)
1.5≦FCaO/FO≦3.0 ・・・(2)
【請求項2】
前記脱珪処理により、Si:0.05〜0.25質量%に調整することを特徴とする請求項1に記載の溶銑の予備処理方法。
【請求項3】
前記脱燐処理により、P:0.05〜0.10質量%に調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の溶銑の予備処理方法。
【請求項4】
前記精錬容器が混銑車であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶銑の予備処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混銑車等の精錬容器において、溶銑のSi濃度を効率良く低減し、次いで、溶銑のP濃度を低減する溶銑の予備処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
溶銑を転炉で酸素吹錬して溶鋼とする際、転炉での吹錬負荷を低減するとともに、溶鋼を所望の成分組成に調整し易くするため、転炉に装入する溶銑から、予め、珪素、燐、硫黄等を除去する「溶銑予備処理」が、通常、行われている。
【0003】
即ち、高炉から出銑された溶銑が、まだ、出銑樋、傾注樋、又は、混銑車内に存在する間に、溶銑に、精錬剤として、石灰系フラックス、酸化剤、及び/又は、ソーダ灰系フラックス等を、キャリアガス(例えば、窒素、酸素)で吹き込むか、又は、上方から、直接添加し、珪素、燐、硫黄等をスラグへ移行させて除去する。
【0004】
熱力学的に、脱燐反応に先行して脱珪反応が進行するが、脱珪反応を効率よく進めるためには、スラグ中のSiO
2活量を低く維持する必要がある(
図1のSiO
2等活量線図(1550℃)、参照)。また、スラグの塩基度(%CaO/%SiO
2、以下「C/S」ということがある。)を高くすると、スラグの脱燐能が向上するので、溶銑に投入する精錬剤のCaO源として生石灰を使用するのが一般的である。
【0005】
しかし、溶銑温度が1300〜1400℃であると、CaOが溶解可能なC/Sの上限は1.5程度であり、この上限を超えるCaOは、スラグに溶解(滓化)しないので、無駄になる(
図2のCaO−SiO
2−FeO系の3元状態図、参照)。
【0006】
それ故、投入するCaOと脱珪反応で生じるSiO
2の比(C/S)が1.5以下となるように、溶銑に投入するCaOの量を調整する必要があるが、必要量のCaOを一括して投入すると、脱珪処理の初期においてC/Sが上昇し過ぎて、かえって、脱珪効率が低下する場合がある。
【0007】
特許文献1には、溶銑を容器に受銑後、該容器内の溶銑を撹拌しつつスラグの塩基度を1.0以下にして脱珪処理し、該脱珪処理終了後10分以内に除滓を開始することを特徴とする溶銑脱珪方法が開示されている。特許文献1の方法では、脱珪−除滓を円滑かつ効率的に行うため、スラグの塩基度の上限を、理論的な上限(1.5)より低い1.0に規定したと考えられるが、脱珪効率の向上は必ずしも期待できない。
【0008】
一方、溶銑中にランスを浸漬して、インジェクション方式で、CaO及び酸化鉄源(精錬剤)を連続的に投入する場合、スラグのC/Sは徐々に増加し、投入したCaOの極端な滓化不良は起こり難いので、多くの場合、インジェクション方式による精錬剤の投入方法が採用されている(例えば、特許文献2及び3、参照)。しかし、この場合においても、スラグのC/Sが、1.5(理論的上限)より低いC/S域、例えば、1.2以下で、CaOの利用効率が極大となる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−001712号公報
【特許文献2】特開2004−018942号公報
【特許文献3】特開2005−248218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述したように、スラグの塩基度(C/S)が、1.5(理論的上限)より低いC/S域、例えば、1.2以下で、CaOの利用効率が極大となる場合があることから、本発明者らは、溶銑中に、CaOを連続的に吹き込む場合においても、CaOの吹込み速度が速いと、局所的に、例えば、吹込み領域にて、CaO濃度が上昇して固相(CaO)が晶出して、吹き込んだCaOが十分に滓化せず、CaOの利用効率が低下するのではないかと発想した。
【0011】
本発明は、上記発想のもとで、精錬容器中の溶銑に精錬剤を吹き込む予備処理(脱珪、脱燐)において、CaOの滓化を促進してCaOの利用効率を高めるとともに、投入する酸素の反応効率を高めることを課題とし、該課題を解決する溶銑の予備処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決する手法について鋭意検討した。その結果、精錬容器中の溶銑に精錬剤(酸化鉄源、気体酸素、生石灰等)を吹き込む際、生石灰吹込み速度(kg/分):F
CaOと、酸素吹込み速度(kg/分):F
Oとの比:F
CaO/F
Oを適切な範囲に制御すると、吹き込む生石灰が効率良く滓化するとともに、投入した酸素の反応効率が向上し、脱珪反応及び脱燐反応が迅速に進行することが判明した。この知見については、後述する。
【0013】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は次のとおりである。
【0014】
(1)精錬容器内の溶銑に、酸化鉄源、気体酸素、及び、生石灰を含む精錬剤を、溶銑に浸漬した精錬剤吹込みランスから吹込み、脱珪処理と脱燐処理を連続して行なう溶銑の予備処理方法において、
上記精錬剤を、生石灰吹込み速度(kg/分):F
CaOと、下記式(1)で定義する酸素吹込み速度(kg/分):F
Oとの比:F
CaO/F
Oが、下記式(2)を満たすように吹き込む
ことを特徴とする溶銑の予備処理方法。
F
O=F
O_FeOt+F
O_O2 ・・・(1)
F
O_FeOt:酸化鉄源による酸素吹込み速度(kg/分)
F
O_O2:気体酸素による酸素吹込み速度(kg/分)
1.5≦F
CaO/F
O≦3.0 ・・・(2)
【0015】
(2)前記脱珪処理により、Si:0.05〜0.25質量%に調整することを特徴とする前記(1)に記載の溶銑の予備処理方法。
【0016】
(3)前記脱燐処理により、P:0.05〜0.10質量%に調整することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の溶銑の予備処理方法。
【0017】
(4)前記精錬容器が混銑車であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の溶銑の予備処理方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、精錬容器内の溶銑の予備処理(脱珪、脱燐)において、生石灰を有効に活用するとともに、投入した酸素の反応効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】CaO−SiO
2−FeO系の3元状態図である。
【
図3】F
CaO/F
Oと局所的な塩基度C/S
localの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の溶銑の予備処理方法(以下「本発明方法」ということがある。)は、精錬容器内の溶銑に、酸化鉄源、気体酸素、及び、生石灰を含む精錬剤を、溶銑に浸漬した精錬剤吹込みランスから吹込み、脱珪処理と脱燐処理を連続して行なう溶銑の予備処理方法において、
上記精錬剤を、生石灰吹込み速度(kg/分):F
CaOと、下記式(1)で定義する酸素吹込み速度(kg/分):F
Oとの比:F
CaO/F
Oが、下記式(2)を満たすように吹き込む
ことを特徴とする。
F
O=F
O_FeOt+F
O_O2 ・・・(1)
F
O_FeOt:酸化鉄源による酸素吹込み速度(kg/分)
F
O_O2:気体酸素による酸素吹込み速度(kg/分)
1.5≦F
CaO/F
O≦3.0 ・・・(2)
【0022】
従来から、一般的に用いられている塩基度(C/S)は、投入した全てのCaOと生成した全てのSiO
2が、精錬容器内に、それぞれ均一に存在する場合において、スラグの特性を示す指標として有用である。
【0023】
しかし、実際の予備処理では、最終的なCaO投入量とSiO
2生成量が同じでも、予備処理中、精錬容器内に存在するCaO量は投入速度によって変動し、また、生成するSiO
2量は生成速度によって変動するので、予備処理の進行形態は一様でない。
【0024】
ここで、精錬剤として、酸化鉄源、気体酸素、及び、生石灰を同時に溶銑中に吹き込んだ際の反応について考える。
【0025】
酸化鉄源中の酸化鉄と気体酸素が溶銑中のSiと反応してSiO
2が生成し、局所的に、例えば、吹込み領域に、CaO−SiO
2−FeO系のスラグが生成する。局所的に生成するスラグの塩基度C/S(以下「C/S
local」ということがある。)は、CaOの吹込み速度F
CaOと、SiO
2の生成源である酸素の吹込み速度F
Oとの比:F
CaO/F
Oと比例関係にあると考えられる。
【0026】
それ故、F
CaO/F
Oが大きくなり過ぎて、C/S
localが1.5を超え、CaOが滓化しない状況が発生し得るが、C/S
localが1.5を超えない状況を継続して形成すれば、CaOの滓化を促進できると考えられる。
【0027】
そこで、本発明者らは、従来から、一般的に用いられている包括的な塩基度ではなく、局所的に、例えば、吹込み領域に生成するCaO−SiO
2−FeO系のスラグの塩基度C/S
localに着目し、該C/S
localと比例関係にあるF
CaO/F
Oを操作指標として採用した。そして、実際の予備処理の条件と結果に基づいて、C/S
localに対する操作指標F
CaO/F
Oの最適範囲を明確にした。
【0028】
即ち、酸化鉄源、気体酸素、及び、生石灰を含む精錬剤を、生石灰吹込み速度(kg/分):F
CaOと、下記式(1)で定義する酸素吹込み速度(kg/分):F
Oとの比:F
CaO/F
Oが、下記式(2)を満たすように吹き込むと、局所的なC/S
localが適正範囲に維持されて、吹き込まれた生石灰が効率良く滓化しつつ、脱珪反応が効率良く進行する。
F
O=F
O_FeOt+F
O_O2 ・・・(1)
F
O_FeOt:酸化鉄源による酸素吹込み速度(kg/分)
F
O_O2:気体酸素による酸素吹込み速度(kg/分)
1.5≦F
CaO/F
O≦3.0 ・・・(2)
【0029】
図3に、F
CaO/F
Oと局所的な塩基度C/S
localの関係を示す。F
CaO/F
Oが1.5以上3.0以下であれば、C/S
localが1.5を超えない状況を継続して形成して、CaOの滓化を促進することができ、脱珪反応を効率良く推進することができる。この点が、本発明方法の基本思想である。
【0030】
以下、本発明方法の条件について説明する。
【0031】
溶銑:
本発明方法が予備処理の対象とする溶銑は、特に、特定の成分組成の溶銑に限定されず、通常の成分組成の溶銑である。具体的には、例えば、高炉から出銑した溶銑や、電気炉で溶解した溶銑が挙げられる。
【0032】
精錬容器:
溶銑の予備処理は、通常、溶銑を精錬工程へ搬送する混銑車を精錬容器として行うが、本発明方法の精錬容器は、混銑車に限らず、溶銑を、次の精錬工程へ搬送するための容器(例えば、溶銑鍋等)であって、予備処理を行うことが可能な容器であればよい。
【0033】
精錬剤:
溶銑に浸漬した精錬剤吹込みランスから溶銑に吹き込む精錬剤は、酸化鉄源、気体酸素、及び、生石灰を含む精錬剤である。酸化鉄源として、例えば、ミルスケール、焼結鉱、鉄鉱石、焼結ダスト等を用いて、酸化鉄を溶銑に吹き込む。生石灰は、通常、石灰系フラックスの形態で吹き込むが、CaO単独でもよく、主成分をCaOとする、炭酸カルシウム(CaCO
3)や、転炉滓等の混合物で吹き込んでもよい。
【0034】
操作指標F
CaO/F
O:1.5以上、3.0以下(上記式(2))
酸化鉄源、気体酸素、及び、生石灰を含む精錬剤を、生石灰吹込み速度(kg/分):F
CaOと、上記式(1)で定義する酸素吹込み速度(kg/分):F
Oとの比:F
CaO/F
Oが、1.5以上、3.0以下(上記式(2))を満たすように吹き込む。
【0035】
F
CaO/F
Oが1.5未満であると、生石灰の吹込量が不足し、スラグの塩基度(C/S
local)が適正範囲に達せず、脱珪反応が進行しないので、F
CaO/F
Oは1.5以上とする。好ましくは1.7以上である。
【0036】
一方、F
CaO/F
Oが3.0を超えると、生石灰の吹込量が過剰となり、塩基度(C/S
local)が1.5を超えた領域で固相(CaO)が析出し、Caの利用効率が低下するので、F
CaO/F
Oは3.0以下とする。好ましくは2.7以下である。
【0037】
酸素吹込み速度(kg/分):F
O=F
O_FeOt+F
O_O2(上記式(1))
溶銑には、気体酸素の他、酸化鉄の形態で酸素が吹き込まれるので、酸素吹込み速度(kg/分):F
Oは、酸化鉄による酸素吹込み速度(kg/分):F
O_FeOtと、気体酸素による酸素吹込み速度(kg/分):F
O_O2の和で定義する。
【0038】
このように、酸素吹込み速度(kg/分):F
Oを定義することにより、溶銑の予備処理中、溶銑に投入する酸素の全量を調整して、F
CaO/F
Oを適正範囲内に制御することができる。
【0039】
F
O_FeOtは、酸化鉄源によって異なる。例えば、酸化鉄源がミルスケールの場合、“酸化鉄吹込み速度×16/72”で、酸化鉄源が鉄鉱石の場合、“酸化鉄吹込み速度×48/160”である。F
O_O2は、送酸速度(Nm
3/h)/60×1.429(気体酸素密度)であり、送酸速度を変えることにより、F
O_O2を調整することができる。
【0040】
本発明方法によれば、生石灰を有効に活用し、投入した酸素の反応効率を高めて、精錬容器内の溶銑の予備処理(脱珪、脱燐)を効率的に行なうことができるが、次の転炉精錬での負荷を低減するとともに、溶鋼を所望の成分組成に調整し易くするため、Si:0.05〜0.25質量%、及び/又は、P:0.05〜0.10質量%に低減することが好ましい。
【実施例】
【0041】
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
【0042】
(実施例1)
高炉から出銑した250トンの溶銑(Si:0.4〜0.6質量%、P:0.100〜0.125質量%、C:4.4〜4.7質量%)を混銑車に装入し、精錬剤吹込み装置を備える予備処理場へ搬送し、表1に示す予備処理条件で、溶銑の予備処理(脱珪処理と脱燐処理)を実施した。
【0043】
予備処理の結果は、予備処理後のSiとPの組成、及び、下記式で定義する投入酸素の反応効率η
0(脱珪反応及び脱燐反応に消費された酸素の割合)で評価した。η
O>0.65を合格(○)と評価した。
【0044】
η
0=消費酸素量/総酸素投入量
={(ΔP×142/62+ΔSi×32/28)×10}/(F
O×処理時間/250(t))
ΔP:予備処理前P濃度(質量%)−予備処理後P濃度(質量%)
ΔSi:予備処理前Si濃度(質量%)−予備処理後Si濃度(質量%)
F
0:F
O_FeOt+F
O_O2
10:原単位換算のための係数
【0045】
【表1】
【0046】
比較例では、予備処理後のSi濃度が0.25質量%以上で、指標(投入酸素の反応効率)が0.70未満であるのに対し、発明例では、予備処理後のSi濃度が0.20質量%以下で、指標(投入酸素の反応効率)が0.70を超えていることが解る。
【産業上の利用可能性】
【0047】
前述したように、本発明によれば、精錬容器内の溶銑の予備処理(脱珪、脱燐)において、生石灰を有効に活用し、投入した酸素の反応効率を高めることができる。よって、本発明は、鉄鋼産業において利用可能性が高いものである。