特許第6897364号(P6897364)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6897364
(24)【登録日】2021年6月14日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】押出プレスのシャー装置
(51)【国際特許分類】
   B21C 35/04 20060101AFI20210621BHJP
【FI】
   B21C35/04
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-124482(P2017-124482)
(22)【出願日】2017年6月26日
(65)【公開番号】特開2019-5785(P2019-5785A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2020年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】300041192
【氏名又は名称】宇部興産機械株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山本 武治
【審査官】 國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−102920(JP,A)
【文献】 特開平07−178447(JP,A)
【文献】 特開2013−091071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21C 23/00−35/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出成形後にダイスからコンテナを離間させ、ビレットの押出残部であるディスカードを前記ダイスの端面で切断して押出製品部より切り離す押出プレスのシャー装置において、
前記押出プレスのシャー装置は、シャースライドを備え、シャースライドはシャースライド根元部とシャースライド先端部に2分割で形成され、シャースライド根元部とシャースライド先端部は軸を介して傾動自在に連結されており、
シャースライド根元部はシャーガイドの内面を上下に摺動移動し、シャースライド先端部はシャーナイフを有してディスカードを切断し、
シャースライド先端部はディスカードを切断する際は下方に向き、シャースライド先端部が上昇限の際はダイス側に、傾転していることを特徴とする押出プレスのシャー装置。
【請求項2】
ディスカード切断後シャーナイフに付着したディスカードを突き落とすノッカーを備え、該ノッカーはノッカー根元部、ノッカー先端部、アクチュエータで構成され、該ノッカー先端部はシャースライド先端部に内装され、シャースライド先端部と合わせて傾転することを特徴とする請求項1に記載の押出プレスのシャー装置
【請求項3】
シャーガイドに設けられた駆動装置により、シャースライドの上昇限にて、シャースライド先端部を、軸を中心にダイス側に傾転するように押圧することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の押出プレスのシャー装置。
【請求項4】
シャースライドに設けられている弾性体により、シャースライド先端部を、軸を中心にシャースライド根元部とシャースライド先端部が長手方向に並び下方を向くようにしたことを特徴とする請求項1から請求項3の1項に記載の押出プレスのシャー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム合金等の金属押出成形用の押出プレスにおいて、押出成形後に
コンテナをダイスより離間させてビレットの残部であるディスカードをダイスの前面で切
断して押出製品部より切り離す押出プレスのシャー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の押出プレスのシャー装置では、ダイスを保持しているエンドプラテンの上部のコ
ンテナ側に設けたフレームに、ディスカード切断用のシャーシリンダが下方に向けて取り
付けられていて、シャーシリンダのピストンロッド下端部にシャースライドを介してシ
ャー刃が設けられた構成となっている。
【0003】
従来のシャー装置では、油圧シリンダとフレームとシャースライドとシャー刃を直列的に接続されている。さらにダイスとコンテナが合わさる際には、シャー刃はコンテナに当たらないように上方に逃げる必要があった。前述したように、油圧シリンダとフレームとシャースライドとシャー刃を直列的に繋がっているため、シリンダロッドの長さを含めるとシャー装置の高さは相当高いものになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2014−534904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来型の押出プレスでは以下のような課題があった。
従来の押出プレスのシャー装置では、またシャー装置の上昇限でコンテナホルダーを避けるためには高くなる必要があり、そのため油圧シリンダのストロークが長く必要であった為に油圧シリンダ、シャースライドなどの各部品の長さが長かった。
そのためシャー装置全体の高さが高くなり、建屋の高さ等を高くする必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
押出成形後にダイスからコンテナを離間させ、ビレットの押出残部であるディスカードを前記ダイスの端面で切断して押出製品部より切り離す押出プレスのシャー装置において、
前記押出プレスのシャー装置は、シャースライドを備え、シャースライドはシャースライド根元部とシャースライド先端部に2分割で形成され、シャースライド根元部とシャースライド先端部は軸を介して傾動自在に連結されており、
シャースライド根元部はシャーガイドの内面を上下に摺動移動し、シャースライド先端部はシャーナイフを有してディスカードを切断し、
シャースライド先端部はディスカードを切断する際は下方に向き、シャースライド先端部が上昇限の際はダイス側に、傾転していることとした。
【0007】
ディスカード切断後シャーナイフに付着したディスカードを突き落とすノッカーを備え、該ノッカーはノッカー根元部、ノッカー先端部、アクチュエータで構成され、該ノッカー先端部はシャースライド先端部に内装され、シャースライド先端部と合わせて傾転することにした。
【0008】
シャーガイドに設けられた駆動装置により、シャースライドの上昇限にて、シャースライド先端部を、軸を中心にダイス側に傾転するように押圧することにした。
【0009】
シャースライドに設けられている弾性体により、シャースライド先端部を、軸を中心にシャースライド根元部とシャースライド先端部が長手方向に並び下方を向くようにした。
【0010】
シャースライドの上昇限において、押出中にシャーナイフ潤滑をスプレー装置に噴射して、液垂れがあった場合にコンテナおよびダイスに及ぼさないようにダイスの真上にカバーを設けた。
【発明の効果】
【0011】
シャーストロークが従来と比較して著しく短いため、シャー装置の地面からの高さが低く抑えられる。そのため、押出プレスを設置するための建屋の高さも同時に低く抑えることができる。
【0012】
シャーストロークが従来に比較して著しく短いため、シャー動作時間が短く抑えられる。そのため、押出プレスのアイドル時間を短くできるため押出プレスの生産性が増す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明のシャー装置の全体図である。
図2】従来のシャー装置の全体図である
図3】本発明のシャースライド先端部の全体図である。
図4図3のA−A断面の図である。
図5】本発明のシャースライド先端部の側面図とBの方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係るシャー装置の実施形態を、図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0015】
図1〜5によって、本発明の実施形態を説明する。図1において、21はエンドプラテ
ン、23はダイス、25はダイスライド、27はダイスライド25の押出プレスの押出方向と直行する水平方向への移動をガイドするガイド部材、24はガイド部材27の支持部材、26はダイス12からの押圧力を受けるブロックである。エンドプラテン21とブロック26の中心部には、ダイス23から押し出される製品が通る穴が設けられている。
【0016】
ダイス23は図に示すように公知の複数個の部品で構成される。そして、ダイス23はダイスライド25に載置されステム方向への移動は馬蹄形に形成された金具28により規制される。符号22はコンテナライナ、コンテナ本体及びコンテナホルダ等で要部が構成される。
ダイス23を前面側に保持しているエンドプラテン21のコンテナ側上部には、シャー装置10が取り付けられている。
【0017】
シャー装置10において、15はエンドプラテン21のダイス23上面に取り付けられた固定フレーム16はシャーシリンダ、17はピストンロッドである。ピストンロッド17の先端にはクレビス41及びクレビスピン42が取り付けられ、クレビス41及びクレビスピン42はシャースライド13の上端中央部に配した。
そして、シャースライド13の下端部には、下方に向けて図示しないディスカードと製品とを切断して分離するシャー刃11が取り付けられている。
【0018】
本発明のシャー装置を図1に示す。本発明では、シャー刃11が取り付けられたシャースライド先端部12がシャースライド13と連結された第1の軸38の周りで回転自在となっている。
通常シャー装置10は、コンテナホルダ22の上で待機している。押出が完了した後にディスカードを切断するために、機内に下降してくる。
従来のシャー装置10では、シャー装置10の待機位置ではシャースライド先端部12はシャースライド13と一直線となった状態となっているで、シャー刃11をコンテナホルダ22の上部に逃がすためには、シャー刃11が待機位置からディスカードの切断位置までの距離が長く、そのためシャーシリンダ16のストロークが長く必要で、シャーシリンダ16が長くなっていた。シャー装置10全体の高さが非常に高くなっていた。
本発明では、シャー装置10が待機位置にいるとき、シャー刃11を取り付けたシャースライド先端部12が第1の軸36を中心に回転し、コンテナホルダ22とエンドプラテン21とダイス23で囲まれたスペースに収まるようにした。
その結果、シャー刃11とディスカードの距離が短くなり、シャーシリンダ16の長さが短くなるとともに、シャースライド13の位置が低くなり、シャー装置10全体の高さが低くなる。
【0019】
図3にシャースライド先端部12の詳細を示す。シャースライド先端部12が傾いた際の図である。シャーガイド14の内部にあるシャースライド13にはアクチュエータ31が固定されている。このアクチュエータはノッカーの作動の為に設けてある。ノッカー用油圧シリンダのピストンロッド32は第1の軸38を経由してノッカー33に連結されている。
シャースライド先端部はシャースライド13と一直線上になった際に、ピストンロッド32とノッカー33が一直線になり、アクチュエータ31を駆動することによりノッカーとしての機能が働き、ノッカー33がシャー刃に付着したディスカードを下方へ突き落とすことになる。
シャースライド根元部とはシャースライド13のシャースライド先端部12と結合した近辺の範囲のことを言う。
なお、アクチュエータ31は油圧シリンダ、エアーシリンダなどが望ましい。
【0020】
図3においてシャースライド先端部12が傾くのは、シャーガイド14にピン46により回転自在に取り付けられた駆動装置35により、シャースライド先端部12の上部が押圧部品45により押されて傾くものである。なお、この押圧の駆動装置は、押圧方向のみの駆動である。これによりシャーでディスカードを切断する際でも駆動装置35はシャースライド14に固定されたままの状態が保持できるため駆動装置35はノッカー用アクチュエータ31と干渉することなく構成できる。なお、駆動装置35は油圧シリンダ、エアーシリンダ、モータ、ラックピニオン、ボールネジのようなものでも良い。
【0021】
図4図3におけるA−A断面の図を示す。第2の軸36の2本がシャースライド13とシャースライド先端部12を連結している。すなわち、第2の軸36を軸にしてシャースライド先端部12は傾転をしているのである。
また、第1の軸38はピストンロッド32とノッカー33を回転自在に連結している。すなわち第1の軸38を軸として、ピストンロッド32とノッカー33は傾転するのである。ピストンロッド32とノッカー33が一直線上になった際にアクチュエータ31を駆動することによって、ノッカー33が下方に下がり、ディスカードを突き落とすのである。また、ノッカー33の摺動部分には、ブッシュ39が取り付けられており、ノッカー33とピストンロッド32が摺動し易くしてある。
【0022】
図5の矢視図Bにシャースライド先端部12が傾転の位置から、シャースライド13と一直線の位置に戻るために使用される弾性体41の図を示す。前述したように、シャースライド先端部12を傾転させる駆動装置35は傾転させる際のみの機能しかないため、元に戻るための弾性体41が必要になる。弾性体41はシャースライド13とシャースライド先端部12に取り付けられている。弾性体41はバネのようなものが望ましい。
【0023】
本発明は、以上の構成であるから以下の効果が得られる。
シャーストロークが従来と比較して著しく短いため、シャー装置の地面からの高さが低く抑えられる。そのため、押出プレスを設置するための建屋の高さも同時に低く抑えることができる。
【0024】
また、シャーストロークが従来に比較して著しく短いため、シャー動作時間が短く抑えられる。そのため、押出プレスのアイドル時間を短くできるため押出プレスの生産性が増す。
【符号の説明】
【0025】
11 シャー刃
12 シャースライド先端部
13 シャースライド
14 シャーガイド
15 固定フレーム
16 シャーシリンダ
17 ピストンロッド
21 エンドプラテン
22 コンテナホルダ
23 ダイス
25 ダイスライド
27 ガイド部材
31 アクチュエータ
32 ピストンロッド
33 ノッカー
35 駆動装置
36 第2の軸
38 第1の軸
39 ブッシュ
41 弾性体
図1
図2
図3
図4
図5