(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
印刷制限がかけられたドキュメントと、そのドキュメントについての印刷ジョブを実行するのに承認を得る必要がある承認者とが関連付けられて、記憶部に記憶された印刷制限情報テーブルと、
前記ドキュメントについての印刷ジョブを受け付ける印刷ジョブ受付部と、
前記印刷ジョブ受付部に受け付けられた印刷ジョブが、前記印刷制限情報テーブルに登録されたドキュメントについての印刷ジョブであるか否かを判定する印刷ジョブ判定部と、
前記承認者が管理する端末との間で通信を行う通信部と、
前記印刷ジョブ判定部によって、前記印刷ジョブが前記印刷制限情報テーブルに登録されたドキュメントについての印刷ジョブであると判定された場合、前記印刷ジョブを実行するのに承認を得る必要がある承認者を前記印刷制限情報テーブルから読み出し、当該承認者が管理する端末に対して、前記通信部を介して、前記ドキュメントについての印刷ジョブが受け付けられたことを示す通知を送信する印刷ジョブ受付通知部と、
前記通信部に、前記印刷ジョブ受付通知部が前記通知を送信した前記承認者が管理する端末から、前記印刷ジョブ受付部に受け付けられた印刷ジョブと同一の印刷ジョブが受け付けられたときに、前記印刷ジョブ受付部に受け付けられた印刷ジョブを実行する印刷ジョブ実行部と、を備えた画像形成装置。
前記印刷制限情報テーブルには、前記印刷制限がかけられたドキュメントについての印刷ジョブが前記印刷ジョブ受付部に受け付けられた時点から、前記全ての承認者から前記同一の印刷ジョブが得られる時点までの制限時間が記憶されており、
前記印刷ジョブ実行部は、前記制限時間内に前記全ての承認者が管理するそれぞれの端末から、前記同一の印刷ジョブが前記通信部によって受信された場合に、前記印刷ジョブ受付部に受け付けられた印刷ジョブを実行する請求項2に記載の画像形成装置。
前記印刷制限情報テーブルにおいて、前記ドキュメントに対応付けて、前記承認者が、ユーザーID及びホスト名の組み合わせを有する承認者識別情報により記憶されており、
前記通信部は、前記承認者の端末から、前記同一の印刷ジョブと共に、ユーザーID及びホスト名を受信し、
前記印刷ジョブ実行部は、前記通信部によって受信されたユーザーID及びホスト名が、前記印刷制限情報テーブルに記憶されている前記承認者識別情報と一致する場合に、前記承認を送信してきた承認者が、前記ドキュメントに対応付けられた承認者であると判断する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置を含むシステムの概略構成図である。
【0011】
本システムは、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1と、複数のユーザー端末4と、サーバー装置8と、ネットワーク9とから構成される。画像形成装置1、複数のユーザー端末4及びサーバー装置8は、ネットワーク9に有線又は無線で接続されており、相互に通信可能になっている。複数のユーザー端末4は、PC、スマートフォン、又はタブレット端末等であり、いずれもサーバー装置8にアクセスしてそこに保存されているドキュメントを取得して印刷ジョブを生成し、当該印刷ジョブを画像形成装置1に送信する。画像形成装置1は、任意のユーザー端末4から印刷ジョブを受信するとそれを実行して印刷物を出力する。
【0012】
本システムにおいては、複数のユーザー端末4のうちいずれか一つが、印刷制限がかけられたドキュメントについての印刷ジョブを生成して画像形成装置1に当該印刷ジョブを送信する端末であり、他のユーザー端末4は、画像形成装置1におけるその印刷ジョブの実行を承認する承認者の端末であるものとする。本システムでは、画像形成装置1において、印刷制限がかけられたドキュメントは、承認者からの承認がないと印刷できないものとされている。
【0013】
図2は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の外観を示す斜視図である。本発明の一実施形態に係る画像形成装置1は、ファクシミリ機能、コピー機能、プリンター機能、及びスキャン機能等の複数の機能を兼ね備えた複合機である。
図2に示すように、画像形成装置1は、装置本体2と、装置本体2の上方に配置された画像読取部5と、画像読取部5と装置本体2との間に設けられた連結部3とから構成される。
【0014】
画像形成装置1の外郭を構成する筐体7には、画像形成装置1の様々な機能を実現するための複数の構成機器が収容されている。例えば、筐体7には、画像読取部5、画像形成部12(
図3)、定着部13(
図3)、給紙部30等が収容されている。
【0015】
操作部47は、ユーザーが画像形成装置1を操作したり、文字や数字等の情報を入力したりするためのユーザーインターフェース装置である。操作部47は、ユーザーへの操作案内画面や各機能の設定画面等を表示するタッチパネル473を備えている。操作部47は、タッチパネル473に表示されたアイコンやボタンに対するユーザーによるタッチ操作を検知して、タッチ操作の内容に従って、画像形成装置1が有する各機能の詳細項目の設定や、各機能の実行指示を受け付ける。
【0016】
次に、画像形成装置1の構成を説明する。
図3は画像形成装置1の主要内部構成例を示す機能ブロック図である。
【0017】
画像形成装置1は、制御ユニット10を備える。制御ユニット10は、プロセッサー、RAM、ROM及び専用のハードウェア回路等から構成される。プロセッサーは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU、又はASIC等である。
【0018】
画像読取部5は、制御ユニット10による制御の下、光照射部及びCCDセンサー等を有する読取機構を備える。画像読取部5は、光照射部により原稿を照射し、その反射光をCCDセンサーで受光することにより、原稿から画像を読み取る。画像読取部5は、原稿搬送部6により搬送される原稿の画像を、設定された読取サイズで読み取る。
【0019】
画像メモリー32は、画像読取部5による読取で得られた原稿画像を一時的に記憶したり、画像形成部12による画像形成の対象となる画像を一時的に保存する領域である。
【0020】
画像形成部12は、画像読取部5で読み取られた原稿画像、有線又は無線でネットワーク接続されたユーザー端末4から、ネットワークインターフェース部(特許請求の範囲における通信部の一例)91を介して受信した印刷ジョブ等の画像形成を行う。
【0021】
定着部13は、画像形成部12の画像形成処理により表面に画像(トナー像)が形成された記録紙を加熱し、熱圧着により当該画像を記録紙に定着させる定着処理を行う。
【0022】
操作部47は、上述したように、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理についてユーザーからの指示を受け付ける。操作部47は、ユーザーへの操作案内等を表示するタッチパネル473を備えている。
【0023】
HDD92は、画像読取部5によって読み取られた原稿画像やユーザー端末4から送られてきた印刷ジョブ等を記憶する大容量の記憶装置である。
【0024】
制御ユニット10は、制御部100、印刷制限情報テーブル101、印刷ジョブ受付部102、印刷ジョブ判定部103、印刷ジョブ受付通知部104、及び印刷ジョブ実行部105を備えている。例えば、制御ユニット10は、HDD92等に記憶されているコンピュータープログラムに従って動作することにより、制御部100、印刷ジョブ受付部102、印刷ジョブ判定部103、印刷ジョブ受付通知部104、及び印刷ジョブ実行部105として機能する。また、印刷ジョブ受付部102、印刷ジョブ判定部103、印刷ジョブ受付通知部104、及び印刷ジョブ実行部105は制御ユニット10で実行されるコンピュータープログラムとして実現される以外にハード回路で構成することも可能である。
【0025】
印刷制限情報テーブル101は、例えば制御ユニット10に内蔵されている図略の不揮発性メモリー(特許請求の範囲における記憶部の一例)に記憶されている。制御部100は、ユーザーによる操作部47の操作に応じて印刷情報制限テーブル101を編集し、また、ユーザー端末4から送信されてネットワークインターフェース部91に受信された指示(当該指示は、ユーザーによるユーザー端末4の操作に応じて、ユーザー端末4にインストールされたプリンタードライバーにより作成される)に応じて、印刷情報制限テーブル101に記憶されている、印刷制限がかけられたドキュメントを示すドキュメント名称、及び当該ドキュメントについての承認者識別情報を編集する。
【0026】
印刷制限情報テーブル101においては、印刷制限がかけられたドキュメントと、当該ドキュメントについての印刷ジョブを実行するのに承認を得る必要がある承認者を示す承認者識別情報等とが関連付けて記憶されている。
図4は、印刷制限情報テーブル101に記録されているデータの一例を示す図である。なお、
図4にはドキュメントが1つ記憶されている例を示している。
図4において、印刷制限がかけられたドキュメントは「Filename(ファイル名称)」の欄に示される名称「document1」により特定される。当該印刷制限がかけられたドキュメントは、例えばサーバー装置8の共有フォルダーに保存されており、いずれのユーザーも自身が管理するユーザー端末4からサーバー装置8にアクセス可能とされ、当該各ユーザー端末4からの指示で、当該ドキュメントがサーバー装置8から画像形成装置1に送信される。
【0027】
サーバー装置8の制御部は、上記のようにユーザー端末4からの指示を受信した場合、当該ドキュメントについての印刷ジョブを作成し、サーバー装置8の通信部を介して、当該印刷ジョブを画像形成装置1に送信する。また、このような印刷ジョブは、ユーザー端末4から画像形成装置1に送信されるものとしてもよい。この場合は、ユーザー端末4が、上述したサーバー装置8と同様の処理を行う。
【0028】
また、当該ドキュメントを印刷するための印刷ジョブを実行するのに承認を得る必要がある承認者は「Approvers(承認者)」の欄で特定されている。
図4には、3名の承認者が登録されている例を示している。
【0029】
各承認者は、ユーザーID(User ID)と、ホスト名(Host name)との組み合わせからなる承認者識別情報により、印刷制限情報テーブル101に記憶されている。すなわち、ユーザーIDで特定されるユーザーがホスト名で特定されるユーザー端末4を使用しているときに、そのユーザーは承認者となり得る。印刷ジョブ実行部105は、承認者が複数である場合は、各承認者のユーザー端末4から承認(詳細は後述)が受信されたときに、印刷制限がかけられたドキュメントについての印刷ジョブを実行する。これにより、ドキュメントの更なるセキュリティーを確保する。
【0030】
承認者が複数である場合には、印刷制限情報テーブル101に各承認者の承認順が記憶される。
図4の例では、「Order(承認順)」の欄に承認順が記憶されている。印刷ジョブ実行部105は、承認順が設定されている場合には、各承認者からその承認順の通りに承認が受信されたときに、印刷制限がかけられたドキュメントについての印刷ジョブを実行する。これにより、ドキュメントのセキュリティーを更に確実に確保する。
【0031】
さらに、印刷制限情報テーブル101には、全ての承認者から承認を受信する制限時間が記憶されている。
図4の例では、「Time to expire :mins(制限時間)」の欄に当該制限時間を「15」(分)として記憶されている。これは、印刷制限がかけられたドキュメント「document1」(名称)の印刷ジョブが画像形成装置1に受け付けられた時点から15分以内に全ての承認者から当該印刷ジョブの実行の承認を受信する必要がある制限時間を示している。印刷ジョブ実行部105は、当該制限時間内に、全ての承認者からの承認がネットワークインターフェース部91に受信された場合に、印刷制限がかけられたドキュメントについての印刷ジョブを実行し、全ての承認者からの承認が上記制限時間内にネットワークインターフェース部91に受信されない場合には、印刷制限がかけられたドキュメントについての印刷ジョブを実行しない。これにより、ドキュメントのセキュリティーをより一層強固なものとする。
【0032】
図3へ戻り、制御部100は、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る。制御部100は、画像読取部5、原稿搬送部6、画像メモリー32、画像形成部12、定着部13、操作部47、タッチパネル473、ネットワークインターフェース部91、及びHDD(ハードディスクドライブ)92等と接続され、これら各部の駆動制御を行う。
【0033】
印刷ジョブ受付部102は、サーバー装置8又はユーザー端末4から送られてくる印刷ジョブを、ネットワークインターフェース部91を介して受け付け、画像メモリー32又はHDD92等の記憶領域に保存する。
【0034】
印刷ジョブ判定部103は、印刷ジョブ受付部102に受け付けられた印刷ジョブが印刷制限情報テーブル101に登録されているドキュメント(すなわち、印刷制限情報テーブル101にドキュメント名が記憶されているドキュメント)についての印刷ジョブであるか否かを判定する。印刷ジョブは、印刷対象とするドキュメントのドキュメント名をメタ情報として有している。このため、印刷ジョブ判定部103は、印刷ジョブ受付部102に受け付けられた印刷ジョブのメタ情報から、印刷ジョブにより印刷対象とするドキュメントのドキュメント名を取得し、当該ドキュメント名と、印刷制限情報テーブル101に記憶されているドキュメント名とを比較することにより、印刷ジョブ受付部102に受け付けられた印刷ジョブが、印刷制限情報テーブル101に登録されている、印刷が制限されたドキュメントについての印刷ジョブであるか否かを判定することができる。
【0035】
印刷ジョブ受付通知部104は、印刷ジョブ判定部103により、印刷ジョブ受付部102に受け付けられた印刷ジョブが、印刷制限情報テーブル101に登録されているドキュメントについての印刷ジョブであると判定された場合に、当該印刷ジョブを実行するのに承認を得る必要がある全ての承認者を印刷制限情報テーブル101から読み出し、当該全ての承認者に対して、当該ドキュメントについての印刷ジョブが画像形成装置1に受け付けられたことを示す通知を、ネットワークインターフェース部91を介して送信する。例えば、印刷ジョブ受付通知部104は、承認者に電子メールを送信することで当該通知を送信する。
【0036】
ここで、
図4に示したように印刷制限情報テーブル101において承認者の承認順が登録されている場合には、印刷ジョブ受付通知部104は、ネットワークインターフェース部91を介して、当該承認順に、順番が最先の承認者に上記通知を送信して、当該承認者から承認が得られた後に、次の順の承認者に上記通知を送信する。
【0037】
ネットワークインターフェース部91は、印刷ジョブ受付通知部104が上記通知を送信した全ての承認者から(当該全ての承認者のそれぞれのユーザー端末4から)、印刷ジョブ受付部102により受け付けられた印刷ジョブと同じ印刷ジョブを、印刷ジョブ受付部102により受け付けられた印刷ジョブの実行の承認として受信する。
【0038】
印刷ジョブ受付通知部104は、このような、上記承認順が示す最先の通知先としての承認者に対して上記通知を送信し、当該承認者から上記承認がネットワークインターフェース部91に受信されたときに、上記承認順が示す次の順の承認者に対して上記通知を送信する処理を、上記承認順が示す最後の順の承認者からの承認がネットワークインターフェース部91に受信されるまで行う。
【0039】
印刷ジョブ実行部105は、印刷ジョブ受付通知部104が通知を送信した全ての承認者から、印刷ジョブ受付部102により受け付けられた印刷ジョブの実行についての上記承認が、ネットワークインターフェース部91に受信されたときに、印刷ジョブ受付部102により受け付けられた印刷ジョブを実行する。
【0040】
すなわち、印刷ジョブ実行部105は、承認者のユーザー端末4から、印刷ジョブ受付部102に受け付けられた印刷ジョブと同一の印刷ジョブが送られてきたことをもって、当該承認者により、印刷ジョブ受付部102に受け付けられた印刷ジョブの実行の承認がされたものと判断し、印刷ジョブ受付部102に受け付けられた印刷ジョブを実行する。つまり、ここでは、上記同一の印刷ジョブが承認者からの承認となる。これにより、印刷ジョブ受付部102に受け付けられている当該印刷ジョブが、画像形成部12及び定着部13において処理されて印刷物が出力される。
【0041】
このとき、印刷ジョブ実行部105は、当該承認者が送ってきた印刷ジョブが、印刷ジョブ受付部102に受け付けられた印刷ジョブと同一か否かを判断するが、例えば、印刷ジョブ実行部105は、2つの印刷ジョブが同一である否かを、印刷ジョブ判定部103による処理として上述した場合と同様にして、各印刷ジョブに付随するメタ情報から、各印刷ジョブのドキュメント名をそれぞれ取得して、ドキュメント名同士が一致するか否かで判断する。
【0042】
また、承認者は、自身が管理するユーザー端末4から、上記承認としての印刷ジョブと共に、自身を示すユーザーID及びホスト名を画像形成装置1に対して送信する。印刷ジョブ実行部105は、ネットワークインターフェース部91によって当該印刷ジョブと共に受信されたユーザーID及びホスト名が、印刷制限情報テーブル101に、当該印刷ジョブのドキュメントに対応付けて記憶されている承認者識別情報と一致するか否かを判断し、一致する場合には、上記承認を送信してきた承認者が、当該ドキュメントを印刷するために承認を必要とする承認者であると判断する。例えば、
図4の例では、印刷ジョブ実行部105は、ユーザーID「User 135」で特定されるユーザーがホスト名「hostpc23」で特定されるユーザー端末4から承認が送信されてきた場合に限り、そのユーザーを、ドキュメント「document1」(名称)の承認者とみなす。
【0043】
なお、印刷ジョブの実行の承認に上記制限時間が設けられている場合には、印刷ジョブ実行部105は、制限時間内に全ての承認者から印刷ジョブの実行の上記承認が得られた場合に、上記印刷ジョブを実行する。
【0044】
本実施形態では、各承認者は、印刷ジョブ受付通知部104から通知を受けて承認が求められたとき、自身の管理するユーザー端末4において、当該通知が示ドキュメントと同一のドキュメントを開き、さらにそのドキュメントを印刷するための操作を行わなければ、画像形成装置1においては、印刷ジョブ受付部102に受け付けられた印刷ジョブの実行についての承認がされない。これにより、印刷制限がかけられたドキュメントを印刷する場合に、承認者が、そのドキュメントの内容を確認してから印刷を承認するようことを担保することが可能になる。
【0045】
次に、画像形成装置1における。印刷制限がかけられたドキュメントの印刷処理について説明する。
図5は、画像形成装置1における、印刷制限がかけられたドキュメントの印刷処理を示すフローチャートである。
【0046】
まず、任意のユーザー端末4又はサーバー装置8において、画像形成装置1を出力デバイスとしてドキュメントの印刷処理が実行されると、ユーザー端末4又はサーバー装置8において当該ドキュメントについての印刷ジョブが生成され、ユーザー端末4又はサーバー装置8から画像形成装置1に当該印刷ジョブが送られる。印刷ジョブ受付部102は、ネットワークインターフェース部91を介して、当該印刷ジョブを受信する(S1)。
【0047】
印刷ジョブ受付部102により印刷ジョブが受け付けられると、印刷ジョブ判定部103は、当該印刷ジョブが印刷制限情報テーブル101に登録されたドキュメントについての印刷ジョブであるか否か、すなわち、当該印刷制限がかけられたドキュメントについての印刷ジョブである否かを判定する(S2)。印刷ジョブ判定部103により、印刷ジョブ受付部102に受け付けられた印刷ジョブが、印刷制限がかけられたドキュメントについての印刷ジョブでないと判定された場合(S2でNO)、S1で受け付けられた印刷ジョブは、印刷制限がかけられていない即座に実行すべき印刷ジョブであるため、印刷ジョブ実行部105は、S1で受信された印刷ジョブを即座に実行し、画像形成部12により当該印刷ジョブに基づく画像形成を行わせる(S10)。
【0048】
一方、印刷ジョブ判定部103により、印刷ジョブ受付部102に受け付けられた印刷ジョブが、印刷制限がかけられたドキュメントについての印刷ジョブであると判定した場合(S2でYES)、印刷ジョブ受付通知部104が、印刷制限情報テーブル101から、当該ドキュメントについての印刷ジョブを実行するために承認を得る必要がある全ての承認者を読み出し、
図6にイメージ図を示すように、当該全ての承認者のうち、承認順序が第1番目の承認者に、上記ドキュメントについての印刷ジョブが受け付けられたことを示す通知を、ネットワークインターフェース部91を介して送信する(S3)。
【0049】
図4の例では、印刷ジョブ受付通知部104は、承認順序が第1番目とされている、ユーザーID「User 135」で特定されるユーザーのホスト名「hostpc23」で特定されるユーザー端末4に対して、名称「document1」からなるドキュメントについての印刷ジョブが受け付けられたことを示す情報を送信することで、承認者に対する通知を行う。
【0050】
当該承認者のユーザー端末4では、その通信部が上記通知を受信すると、例えば、制御部が、表示部(LCD等)に、当該通知が示す内容、すなわち、印刷制限がかけられたドキュメント、例えば名称「document1」からなるドキュメントについての印刷ジョブが、画像形成装置1に受け付けられた旨を表示させる。例えば、承認者であるユーザーは、この表示を視認すると、画像形成装置1による当該ドキュメントについての印刷ジョブの印刷を承認する場合、当該ユーザー端末4の操作部を操作してプリンタードライバーの起動指示を入力し、更にこのプリンタードライバーを操作して、当該ドキュメントの印刷指示を入力する。プリンタードライバーは、当該印刷指示に従って、HDD又は不揮発性メモリー等に記憶されている当該ドキュメントを読み出して、当該ドキュメントについての印刷ジョブを作成する。このように印刷ジョブが作成されると、プリンタードライバーは、当該ユーザー端末4の上記通信部を介して、画像形成装置1に向けて当該印刷ジョブと、当該承認者であるユーザーのユーザーID、及び、当該ユーザー端末4のホスト名とを送信する。
【0051】
画像形成装置1において、印刷ジョブ実行部105は、ネットワークインターフェース部91が、上記通知を受信した承認者のユーザー端末4からの上記印刷ジョブと、当該承認者のユーザーID及びユーザー端末4のホスト名とを受信したか否かを判断する(S4)。
【0052】
印刷ジョブ実行部105は、ネットワークインターフェース部91が、上記通知を受信した承認者のユーザー端末4から上記印刷ジョブと上記ユーザーID及びホスト名とを受信するのを待機する(S4でNO)。
【0053】
ここで、印刷ジョブ実行部105は、ネットワークインターフェース部91が、上記通知を受信した承認者のユーザー端末4から上記印刷ジョブと上記ユーザーID及びホスト名とを受信したと判断した場合(S4でYES)、当該受信された印刷ジョブを画像メモリー32又はHDD92等の記憶領域に一旦保存させる。但し、印刷ジョブ実行部105は、当該受信された印刷ジョブを実行することはない。印刷ジョブ実行部105は、当該承認者から送られてくる印刷ジョブをネットワークインターフェース部91が受信したか否かを、印刷ジョブ受付部102により受け付けられた印刷ジョブを実行するか否かを決定するための判断基準として用いるのみである。すなわち、ネットワークインターフェース部91は、印刷ジョブ受付部102により受け付けられた印刷ジョブの実行の承認として、上記通知を受けた承認者のユーザー端末4からの印刷ジョブを受信していることになる。
【0054】
印刷ジョブ実行部105は、上記S4でYESの場合、ネットワークインターフェース部91が受信した上記承認者からの印刷ジョブと、S1で印刷ジョブ受付部102が受け付けた印刷ジョブとが同一の印刷ジョブであるか否かを判断する(S5)。
【0055】
ここで、印刷ジョブ実行部105が、ネットワークインターフェース部91が受信した上記承認者からの印刷ジョブと、S1で印刷ジョブ受付部102が受け付けた印刷ジョブとが同一の印刷ジョブであると判断した場合(S5でYES)、印刷ジョブ実行部105は、更に、承認者から上記印刷ジョブと共に受信したユーザーID及びホスト名が、印刷制限情報テーブル101に、S2で判定したドキュメントに対応付けて記憶されている承認者識別情報が示すユーザーID及びホスト名と一致するか否かを判断する(S6)。
【0056】
印刷ジョブ実行部105は、承認者から上記印刷ジョブと共に受信したユーザーID及びホスト名が、印刷制限情報テーブル101に記憶されている上記承認者識別情報が示すユーザーID及びホスト名と一致すると判断した場合(S6でYES)、印刷ジョブ受付通知部104は、印刷制限情報テーブル101を参照して、S1で印刷ジョブ受付部102が受け付けた印刷ジョブのドキュメントについて、更なる承認者がいるか否かを判断する(S7)。
【0057】
印刷ジョブ受付通知部104は、S1で印刷ジョブ受付部102が受け付けた印刷ジョブのドキュメントについて、更なる承認者がいると判断した場合は(S7でYES)、当該ドキュメントについて印刷制限情報テーブル101に記憶されている承認順が示す次の承認者に、画像形成装置1に印刷制限がかけられた上記ドキュメントについての印刷ジョブが受け付けられたことを示す通知を、ネットワークインターフェース部91を介して送信する(S8)。
図4の例では、ユーザーID「User 135」で特定されるユーザーの次の順で、ユーザーID「User 23」で特定されるユーザーが存在するため、当該ユーザーを更なる承認者として、この承認者のユーザー端末4に対して、印刷制限がかけられた上記ドキュメントについての印刷ジョブが画像形成装置1に受け付けられたことを示す情報が更に送信される。この後、処理はS4に戻り、S4からS8までの処理が全ての承認者に対して上記承認順に行われる。
【0058】
すなわち、印刷ジョブ受付通知部104は、上記承認順が示す最先の通知先としての承認者に対して上記通知を、ネットワークインターフェース部91を介して送信し、当該承認者から上記承認がネットワークインターフェース部91に受信されたときに、上記承認順が示す次の順の承認者に対して上記通知を送信する処理を、上記承認順が示す最後の通知先からの上記承認がネットワークインターフェース部91に受信されるまで行う。
【0059】
そして、
図7にイメージ図を示すように、印刷ジョブ実行部105が、全ての承認者に対して上記情報を送信して、当該全ての承認者から上記承認が受信されたと判断すると(S7でNO)、印刷ジョブ受付部102に受け付けられてHDD92に保存されている上記印刷ジョブを実行する(S9)。これにより、印刷制限がかけられたドキュメントについての印刷物が画像形成装置1により出力される。なお、S1で受け付けられた印刷ジョブの実行について承認が必要な承認者が単数である場合は、S8の処理は行われず、S4乃至S7の処理が1回だけ行われる。
【0060】
また、承認に制限時間が設定されている場合には、印刷ジョブ実行部105は、S1で印刷ジョブが受け付けられた時点から計時を開始し、この時点から、上記全ての承認者から印刷ジョブの実行の承認が受信された時点までが上記制限時間内に場合に、印刷ジョブを実行する。
【0061】
なお、上記S5において、印刷ジョブ実行部105が、上記承認者からの印刷ジョブと、S1で印刷ジョブ受付部102が受け付けた印刷ジョブとが同一の印刷ジョブではないと判断した場合と(S5でNO)、上記S6において、印刷ジョブ実行部105が、上記承認者から上記印刷ジョブと共に受信したユーザーID及びホスト名が、印刷制限情報テーブル101に記憶されている上記承認者識別情報が示すユーザーID及びホスト名と一致しないと判断した場合は(S6でNO)、処理はS4に戻る。このようにS5及びS6でNOとなる場合は、S4で受信された印刷ジョブは、印刷制限がかけられていない即座に実行すべき印刷ジョブであることになるため、印刷ジョブ実行部105は、S4で受信された印刷ジョブを即座に実行し、画像形成部12により当該印刷ジョブに基づく画像形成を行わせる。この後、処理はS4に戻る。S4からS8までの処理が全ての承認者に対して完了するまで、S4からS8までの処理が繰り返される。
【0062】
以上のように本実施形態によると、印刷制限がかけられたドキュメントについての印刷ジョブが画像形成装置1に受け付けられると、このドキュメントの印刷に関する全ての承認者が、当該承認者のユーザー端末4から、当該ドキュメントについての印刷ジョブを画像形成装置1に送信した場合にのみ、画像形成装置1は、印刷制限がかけられたドキュメントについての印刷ジョブを実行する。このため、承認者が、単に当該ドキュメントの印刷を許可する指示を送るだけでは、当該ドキュメントの印刷は許可されず、当該ドキュメントの印刷ジョブを作成するための操作を行って印刷ジョブを送信しなければ、印刷制限がかけられたドキュメントの印刷は画像形成装置1では行われない。これにより、承認者は、印刷制限がかけられたドキュメントを開いてその内容を視認してから、当該ドキュメントの印刷指示を入力する等の操作を行うことになるため、承認者に当該ドキュメントの内容を確認させることが可能になる。
【0063】
また、承認者から、印刷制限がかけられたドキュメントと同じドキュメントについての印刷ジョブが画像形成装置1で受信されなければ、画像形成装置1では、印刷制限がかけられたドキュメントの印刷が承認されないことから、単に、承認者に対して単に当該ドキュメントの印刷を許可する指示を求める場合よりも、承認者に対して複雑な手続を要求することになるため、この要求により、承認者に対して、当該ドキュメントの印刷を承認する操作を行っているという認識を持たせることが可能になる。
【0064】
また、S6において、印刷ジョブ実行部105は、承認者から上記印刷ジョブと共に受信したユーザーID及びホスト名が、印刷制限情報テーブル101に、S2で判定したドキュメントに対応付けて記憶されている承認者識別情報が示すユーザーID及びホスト名と一致するか否かを判断するが、これに代えて、承認者から上記印刷ジョブと共にユーザーID及びホスト名のいずれか一方のみが送信されてくるものとし、印刷ジョブ実行部105は、当該送信されてきたユーザーID及びホスト名のいずれか一方が、印刷制限情報テーブル101に記憶されている承認者識別情報と一致するか否かを判断するものとしてもよい。
【0065】
この場合、例えば、ホスト名が省略された場合には、印刷ジョブ実行部105は、ユーザーが用いるユーザー端末4に拘わらず、当該ユーザーを承認者と判断して、後続する処理を行うことが可能になる。また、ユーザーIDが省略された場合には、印刷ジョブ実行部105は、当該ホスト名を有するユーザー端末4から上記印刷ジョブを受信できれば、当該ユーザー端末4を操作するユーザーの如何を問わず、当該ユーザー端末4を操作するユーザーを、承認者と判断して、後続する処理を行うことが可能になる。
【0066】
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1が複合機であるとしたが、これは一例に過ぎず、本発明に係る画像形成装置は、プリンター等でもよい。
【0067】
また、
図1乃至
図7を用いて上記実施形態により示した構成は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成に限定する趣旨ではない。