特許第6897592号(P6897592)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6897592
(24)【登録日】2021年6月14日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】台車
(51)【国際特許分類】
   B61F 19/06 20060101AFI20210621BHJP
   B61B 13/06 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
   B61F19/06
   B61B13/06 D
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-23262(P2018-23262)
(22)【出願日】2018年2月13日
(65)【公開番号】特開2019-137276(P2019-137276A)
(43)【公開日】2019年8月22日
【審査請求日】2020年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】村上 龍也
【審査官】 長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−223101(JP,A)
【文献】 実開昭56−134918(JP,U)
【文献】 実開昭52−158679(JP,U)
【文献】 特開2015−147519(JP,A)
【文献】 特開昭60−002519(JP,A)
【文献】 実開昭62−081610(JP,U)
【文献】 中国特許出願公開第101372829(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0157421(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61F 19/06
B61B 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールに沿って走行する台車であって、
上下方向に沿う上下軸心周りで回転するブラシと、前記ブラシに接触する接触部と、を備え、
前記ブラシの毛先部分で構成されるブラシ下部が、前記レールの上面に接触するように配置され、
前記ブラシ下部の回転軌跡には、上下方向視で前記レールの前記上面と重なる第1領域と上下方向視で前記レールの前記上面と重ならない第2領域とが含まれ、
前記接触部は、前記第2領域における前記ブラシの回転方向の下流側端部において前記ブラシ下部に接触し、前記第2領域における前記ブラシの回転方向の上流側端部において前記ブラシ下部と接触しないように設けられている、台車。
【請求項2】
前記接触部は、前記回転軌跡の径方向中央部から前記回転軌跡の径方向外側縁部までの全域で、前記ブラシ下部に接触するように形成されている請求項1に記載の台車。
【請求項3】
前記回転軌跡の前記第2領域を覆うように形成された箱状の受取部を更に備える請求項1又は2に記載の台車。
【請求項4】
前記受取部は、前記レールの側面に沿って配置されるレール側壁部を備え、
前記接触部は、前記レール側壁部の上端部のうちの、前記第2領域における前記ブラシの回転方向の下流側端部に対応する部分に形成されている請求項に記載の台車。
【請求項5】
前記レールの前記上面を転動する走行輪と、前記走行輪の回転を前記ブラシに伝達して前記ブラシを回転させる連動機構と、を更に備えている請求項1からのいずれか一項に記載の台車。
【請求項6】
前記ブラシ下部は、前記上下方向視の形状が円形に形成され、
前記ブラシ下部の中心が、前記ブラシ下部の前記回転軌跡の中心から偏心している請求項1からのいずれか項に記載の台車。
【請求項7】
レールに沿って走行する台車であって、
上下方向に沿う上下軸心周りで回転するブラシと、前記ブラシに接触する接触部と、を備え、
前記ブラシの毛先部分で構成されるブラシ下部が、前記レールの上面に接触するように配置され、
前記ブラシ下部の回転軌跡には、上下方向視で前記レールの前記上面と重なる第1領域と上下方向視で前記レールの前記上面と重ならない第2領域とが含まれ、
前記接触部は、前記第2領域において前記ブラシ下部に接触するように設けられており、
前記ブラシ下部は、前記上下方向視の形状が円形に形成され、
前記ブラシ下部の中心が、前記ブラシ下部の前記回転軌跡の中心から偏心している台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レールに沿って走行する台車に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる台車の従来例が、特開2015−147519号公報(特許文献1)に記載されている。特許文献1の台車は、回転ブラシ(46)とガイドブラシ(48)と回収部(47)とを備え、レール(70)の上面に存在する塵埃をガイドブラシ(48)によりレール(70)の幅方向の中央部に集め、その集めた塵埃を回転ブラシ(46)により回収部(47)に回収するように構成されている。また、特許文献1における変形例の台車は、ブラシ(46A)と回収部(47A)とを備え、レール(70)の上面に存在する塵埃をブラシ(46A)により掃いてレール(70)から落とし、その落とした塵埃を回収部(47)により回収するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−147519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の回転ブラシ(46)、ガイドブラシ(48)、及びブラシ(46A)は、いずれもその全体が上下方向視でレール(70)と重なっており、これらのブラシの存在領域とレール(70)における横方向の端部との間に隙間が形成されているため、レール(70)の上面における幅方向の端部を清掃し難く、レール(70)の上面を適切に清掃し難かった。また、ブラシには塵埃が付着するが、ブラシに塵埃が付着した状態で清掃を行うと、清掃効率が悪くなるため、この点でも、レール(70)の上面を適切に清掃し難い。
【0005】
そこで、レールの上面を適切に清掃し易い台車の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記に鑑みた、台車の特徴構成は、レールに沿って走行し、上下方向に沿う上下軸心周りで回転するブラシと、前記ブラシに接触する接触部と、を備え、前記ブラシの毛先部分で構成されるブラシ下部が、前記レールの上面に接触するように配置され、前記ブラシ下部の回転軌跡には、上下方向視で前記レールの前記上面と重なる第1領域と上下方向視で前記レールの前記上面と重ならない第2領域とが含まれ、前記接触部は、前記第2領域における前記ブラシの回転方向の下流側端部において前記ブラシ下部に接触し、前記第2領域における前記ブラシの回転方向の上流側端部において前記ブラシ下部と接触しないように設けられている、点にある。
【0007】
これらの特徴構成によれば、この構成によれば、ブラシ下部は回転することで、ブラシ下部の少なくとも一部が、第1領域から第2領域に移動した後、第2領域から第1領域に移動するように回転する。このようにブラシ下部が回転することで、レールの上面における横方向の端部も含めてレールの上面に存在する塵埃をレールから掃き出すことができる。また、ブラシ下部における第2領域に存在する部分に接触部が接触することで、ブラシ下部に付着している塵埃をブラシ下部から落とすことができる。このように、この構成によれば、レールの上面を適切に清掃でき、また、ブラシ下部に付着した塵埃をブラシ下部から落とすことができるため、長期間に亘って継続的にレールの上面の清掃を行うことが可能な台車を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】物品搬送車の側面図
図2】物品搬送車の正面図
図3】清掃装置の斜視図
図4】受取部の平面図
図5】清掃装置の背面図
図6】回転軌跡の平面図
図7】別実施形態(1)のブラシの平面図
図8】別実施形態(2)のブラシの平面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.実施形態
台車としての物品搬送台車を備えた物品搬送設備の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、物品搬送設備は、レールに相当する走行レール2と、台車としての物品搬送車3と、を備えている。物品搬送車3は、走行レール2に沿って走行して物品Wを搬送する。尚、本実施形態では、半導体基板を収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)を物品Wとしている。
【0010】
以下、上下方向Z視で走行レール2の長手方向に沿う方向を前後方向Xと称し、上下方向Z視で前後方向Xに対して直交する方向を横幅方向Yと称して説明する。また、前後方向Xの一方側を前後方向第1側X1と称し、その反対側を前後方向第2側X2と称する。また、横幅方向Yの一方側を横幅方向第1側Y1と称し、その反対側を横幅方向第2側Y2と称する。尚、図1に白抜きの矢印で示すように、物品搬送車3は、前後方向第2側X2から前後方向第1側X1に向けて走行する。
【0011】
図2に示すように、走行レール2は、吊り下げ部材5により天井から吊り下げ支持されており、第1レール部2Aと第2レール部2Bとを備えている。これら第1レール部2Aと第2レール部2Bとは、上下方向Zに見て横幅方向Yに一定間隔で互いに平行に配置されている。第1レール部2Aは、第2レール部2Bに対して横幅方向第1側Y1に位置している。本実施形態では、前後方向第2側X2から前後方向第1側X1に見て、第1レール部2Aは第2レール部2Bに対して右側に位置し、第2レール部2Bは第1レール部2Aに対して左側に位置している。第1レール部2Aは、第1レール部2Aにおける横幅方向第1側Y1の端部に吊り下げ部材5が連結されている。第2レール部2Bは、第2レール部2Bにおける横幅方向第2側Y2の端部に吊り下げ部材5が連結されている。尚、走行レール2が、レールに相当する。
【0012】
図1及び図2に示すように、物品搬送車3は、走行レール2上をその走行レール2に沿って走行する走行部9と、走行レール2の下方に位置して走行部9に吊り下げ支持された本体部10と、を備えている。本体部10には、物品Wを吊り下げ状態で支持する支持装置10Aや、支持装置10Aを上下方向Zに移動させる昇降装置10Bが備えられている。
【0013】
走行部9は、第1走行装置9Aと、この第1走行装置9Aに対して前後方向第2側X2に位置する第2走行装置9Bと、を有している。
第1走行装置9Aは、第1走行輪15A及び第2走行輪15Bの一対の走行輪15と、一対の走行輪15を横幅方向Yに沿う回転軸心周りに回転させる走行用モータ16と、を備えている。一対の走行輪15の夫々は、走行レール2の走行面Fを転動する。説明を加えると、一対の走行輪15は、第1走行輪15Aが第2走行輪15Bに対して横幅方向第1側Y1に位置するように、横幅方向Yに並んでいる。そして、第1走行輪15Aは、第1レール部2Aの走行面Fを転動し、第2走行輪15Bは、第2レール部2Bの走行面Fを転動する。尚、走行面Fは上方を向いており、この走行面Fが、走行輪15が転動すると共に後述するブラシ下部22A(図3参照)が接触するレールの上面に相当する。
【0014】
また、第1走行装置9Aには、上下方向Zに沿う上下軸心周りで回転自在な複数の案内輪17が備えられている。本実施形態では、複数の案内輪17として、第1レール部2Aに接触する一対の第1案内輪17Aと、第2レール部2Bに接触する一対の第2案内輪17Bと、がある。一対の第1案内輪17Aは、前後方向Xに並ぶ状態で第1走行装置9Aに備えられており、これら一対の第1案内輪17Aの夫々が、第1レール部2Aにおける横幅方向第2側Y2を向く側面(内側面)に横幅方向第2側Y2から接触する。また、一対の第2案内輪17Bは、前後方向Xに並ぶ状態で第1走行装置9Aに備えられており、これら一対の第2案内輪17Bの夫々が、第2レール部2Bにおける横幅方向第1側Y1を向く側面(内側面)に横幅方向第1側Y1から接触する。
【0015】
第2走行装置9Bには、第1走行装置9Aと同様に、一対の走行輪15、走行用モータ16、及び複数の案内輪17が備えられている。
【0016】
第1走行装置9A及び第2走行装置9Bには、走行輪15の下端より下方に突出する状態で連結軸19が備えられている。第1走行装置9Aの連結軸19と本体部10とは、上下方向Zに沿う軸心周りに回転自在に連結されている。第2走行装置9Bの連結軸19と本体部10とは、上下方向Zに沿う軸心周りに回転自在に連結されている。
【0017】
物品搬送車3は、第1走行装置9A及び第2走行装置9Bの夫々において、走行用モータ16により走行輪15が回転させ、複数の案内輪17が走行レール2により案内されることによって、走行レール2に沿って走行する。また、物品搬送車3は、第1走行装置9A及び第2走行装置9Bの夫々が本体部10に対して縦軸心周りに揺動することにより、走行レール2が上下方向Z視で円弧状に設置されている場合でもその走行レール2に沿って走行できるようになっている。
【0018】
図1及び図2に示すように、物品搬送車3には、走行レール2の走行面Fを清掃する清掃装置21が備えられている。清掃装置21は、第1レール部2Aと第2レール部2Bの夫々に対応して設置されている。また、本実施形態では、清掃装置21は第1走行装置9Aと第2走行装置9Bとの夫々に対応して設置されている。つまり、本実施形態では、第1レール部2A及び第1走行装置9Aに対応して設置される清掃装置21(図1において前後方向第1側X1に位置する清掃装置21であり、図2において横幅方向第1側Y1に位置する清掃装置21)と、第1レール部2A及び第2走行装置9Bに対応して設置される清掃装置21(図1において前後方向第2側X2に位置する清掃装置21)と、第2レール部2B及び第1走行装置9Aに対応して設置される清掃装置21(図2において横幅方向第2側Y2に位置する清掃装置21)と、第2レール部2B及び第2走行装置9Bに対応して設置される清掃装置21(図示せず)と、の4つの清掃装置21が物品搬送車3に備えられている。
【0019】
清掃装置21は、上下方向Zに沿う上下軸心周りで回転するブラシ22と、ブラシ22に接触する接触部23と、ブラシ22により掃かれた塵埃を受け取る受取部24と、走行輪15の回転をブラシ22に伝達してブラシ22を回転させる連動機構25と、を備えている。受取部24は、横幅方向Yにおいて第1レール部2Aと第2レール部2Bとの間に設置されており、上下方向Z視で案内輪17と重なっている。
【0020】
第1レール部2Aに対応して設置されている清掃装置21のブラシ22は、平面視で反時計周りに回転する。つまり、当該ブラシ22は、当該ブラシ22の回転軌跡Eの中心P2より前後方向第1側X1(物品搬送車3の前後方向における前側)の部分が、横幅方向Yにおいて第1レール部2Aに対して第2レール部2Bが存在する側(左側)に移動するように回転し、第1レール部2Aの走行面F上に存在している塵埃を受取部24に向けて掃き出す。第1レール部2Aに対応して設置されている清掃装置21のブラシ22は、前後方向X視で第1走行輪15Aと重なる位置に設置されている。
【0021】
また、第2レール部2Bに対応して設置されている清掃装置21のブラシ22は、平面視で時計周りに回転する。つまり、当該ブラシ22は、当該ブラシ22の回転軌跡Eの中心P2より前後方向第1側X1の部分が、横幅方向Yにおいて第2レール部2Bに対して第1レール部2Aが存在する側(右側)に移動するように回転し、第2レール部2Bの走行面F上に存在している塵埃を受取部24に向けて掃き出す。第1レール部2Aに対応して設置されている清掃装置21のブラシ22は、前後方向X視で第2走行輪15Bと重なる位置に設置されている。
【0022】
なお、図5に示すように、本実施形態では、ブラシ下部22Aが、前後方向X視で、第1走行輪15A又は第2走行輪15Bの横幅方向Yの一部と重複するように配置されているが、これに限らず、ブラシ下部22Aが、前後方向X視で、第1走行輪15A又は第2走行輪15Bの横幅方向Yの全体と重複するように配置されていても良いし、ブラシ下部22Aが、前後方向X視で、第1走行輪15A又は第2走行輪15Bと重複しないように配置されていても良い。
【0023】
第1走行装置9Aに対応して設置されている清掃装置21のブラシ22は、第1走行装置9Aに備えられている走行輪15に対して前後方向第1側X1に位置する。第2走行装置9Bに対応して設置されている清掃装置21のブラシ22は、第2走行装置9Bに備えられている走行輪15に対して前後方向第2側X2に位置する。
【0024】
図3及び図4に示す清掃装置21は、第1走行装置9A及び第1レール部2Aに対応して設置されている清掃装置21を示している。この清掃装置21のブラシ22は、走行輪15に対して前後方向第1側X1(物品搬送車3の走行方向に対して前側)に位置するように第1走行装置9Aに支持されている。また、この清掃装置21のブラシ22は、平面視で反時計回りに回転するように、連動機構25により走行輪15の回転軸である第1回転軸31と連動連結されている。以下、清掃装置21について、図3及び図4に示す清掃装置21を例に説明する。
【0025】
図3及び図4に示すように、連動機構25は、第1回転軸31に固定された第1歯車32と、ブラシ22の回転軸である第2回転軸33に固定され且つ第1歯車32に噛合する第2歯車34と、を有しており、複数の歯車によって走行輪15に連動してブラシ22を回転させるように構成されている。本実施形態では、第1歯車32及び第2歯車34として、はすば歯車が用いられている。尚、第1回転軸31及び第1歯車32は、横幅方向Yに沿う軸心周りに回転し、第2回転軸33及び第2歯車34は、上下方向Zに沿う軸心周り に回転する。
【0026】
図5に示すように、ブラシ22の毛先部分で構成されるブラシ下部22Aが、走行レール2の走行面Fに接触するように配置されている。本実施形態では、ブラシ22は、第2回転軸33の下端に固定された保持部36と、この保持部36から下方に向けて延びる姿勢で保持部36に取り付けられた毛部37とを備えている。そして、毛部37の下部が走行レール2の走行面Fに接触している。すなわち、この毛部37の下部がブラシ下部22Aに相当する。
【0027】
図4に示すように、ブラシ下部22Aは、上下方向Z視の形状が円形に形成されている。そして、本実施形態では、上下方向Z視において、ブラシ下部22Aの中心P1と第2回転軸33の回転軸心とが同じ位置になっており、ブラシ下部22Aの中心P1が、ブラシ下部22Aの回転軌跡Eの中心P2と同じ位置になっている。図6に示すように、ブラシ下部22Aの回転軌跡Eには、上下方向Z視で走行レール2の走行面Fと重なる第1領域E1と上下方向Z視で走行レール2の走行面Fと重ならない第2領域E2とが含まれている。そして、第2領域E2には、上下方向Z視で受取部24と重なる第3領域E3と、上下方向Z視で受取部24と重ならない第4領域E4とが含まれている。
【0028】
図3から図6に示すように、受取部24は、走行レール2に対して横幅方向第2側Y2に位置するように走行部9に固定されている。また、受取部24は、回転軌跡Eの第2領域E2を覆うように形成されている。本実施形態では、受取部24は、第2領域E2の前後方向Xの長さより長く形成され、且つ、第2領域E2の横幅方向Yの長さより長く形成されており、回転軌跡Eの第2領域E2の一部である第3領域E3の全体の下方を覆うように設置されている。
【0029】
図3に示すように、本実施形態に係る受取部24は、上下方向Z視で矩形状の底部41と、その底部41の周縁を形成する4辺に立設された第1壁部42、第2壁部43、第3壁部44及び第4壁部45と、を備えている。第1壁部42及び第2壁部43は、前後方向Xに沿って配置されており、第1壁部42は、第2壁部43に対して横幅方向第1側Y1に位置している。また、第3壁部44及び第4壁部45は、横幅方向Yに沿って配置されており、第3壁部44は、第4壁部45に対して前後方向第1側X1に位置している。そして、第1壁部42は、走行レール2の側面に沿って配置されるレール側壁部に相当する。このように、受取部24は、走行レール2の側面に沿って配置されるレール側壁部を備えている。
【0030】
図6に示すように、第1壁部42は、第2領域E2の前後方向第1側X1の端部より前後方向第1側X1まで延在すると共に、第2領域E2の前後方向第2側X2の端部より前後方向第2側X2まで延在している。そして、第1壁部42のうち、前後方向Xにおいて回転軌跡Eの中心P2より前後方向第2側X2にある部分を第1部分42Aとし、回転軌跡Eの中心P2より前後方向第1側X1にある部分を第2部分42Bとして、第1部分42Aは、第2部分42Bに比べて高く形成されている。尚、本例では、第2壁部43、第3壁部44及び第4壁部45は、第1部分42Aと同じ高さに形成されている。
【0031】
図3及び図5に示すように、底部41は、走行面Fより低い位置にある。また、第1壁部42の第1部分42Aの上端は、ブラシ下部22Aの下端より高い位置となるように配置されている。すなわち、第1壁部42の第1部分42Aがブラシ下部22Aに接触するように第1部分42Aの高さが設定されている。これに対して、第1壁部42の第2部分42Bの上端は、ブラシ下部22Aの下端より低い位置となるように配置されている。すなわち、第1壁部42の第2部分42Bがブラシ下部22Aに接触しないように第2部分42Bの高さが設定されている。本例では、第1壁部42の第1部分42Aの上端は、走行面Fより高い位置に配置され、第1壁部42の第2部分42Bの上端は、走行面Fより低い位置に配置されている。
【0032】
図3図4及び図6に示すように、接触部23は、第1壁部42の上端部のうちの、第2領域E2におけるブラシ回転方向の下流側端部に対応する部分に形成されており、第2領域E2においてブラシ下部22Aに接触するように設けられている。つまり、第1壁部42の第1部分42Aにおける上下方向Z視で第2領域E2と重なる部分は、その上端部がブラシ下部22Aに接触すると共に、第2領域E2におけるブラシ回転方向の下流側端部に位置している。この第1部分42Aにおける上下方向Z視で第2領域E2と重なる部分の上端部により、接触部23が構成されている。
【0033】
上記のとおり、本実施形態では、第1壁部42のうち、前後方向Xにおいて回転軌跡Eの中心P2より前後方向第2側X2にある部分を第1部分42Aとし、当該第1部分42Aにおける上下方向Z視で第2領域E2と重なる部分の上端部により接触部23を構成している。そのため、接触部23は、前後方向Xにおいて回転軌跡Eの中心P2から回転軌跡Eの外側縁部まで存在していると共に、横幅方向Yにおいて受取部24の横幅方向第1側Y1の端に位置している。従って、接触部23は、回転軌跡Eの径方向中央部から回転軌跡Eの径方向外側縁部までの全域で、ブラシ下部22Aに接触するように形成されている。
【0034】
なお、図示の例では、図6に示すように、回転軌跡Eの径方向中央部において、回転軌跡Eの中心P2と接触部23との間に隙間が形成されている。そのため、回転軌跡Eの径方向中央部における当該隙間に相当する部分については、接触部23はブラシ下部22Aに接触しない。つまり、接触部23は、回転軌跡Eの径方向中央部における上述した隙間を除く、回転軌跡Eの径方向中央部から回転軌跡Eの径方向外側縁部までの全域で、ブラシ下部22Aに接触する。そして、ブラシ下部22Aにおける第3領域E3を通過する部分については、その全体が接触部23に接触する。なお、回転軌跡Eの径方向中央部に、このような接触部23が接触しない隙間が形成される場合であっても、ブラシ下部22Aの径方向中央部には塵埃が比較的付着し難いため、大きな問題は生じない。また、ブラシ下部22Aの全体に毛部37を設けるのではなく、ブラシ下部22Aにおける、このような接触部23に接触しない部分には毛部37を設けない構成としても好適である。
【0035】
このように構成された清掃装置21は、物品搬送車3が走行するに伴ってブラシ22が上下方向Zに沿う軸心周りに回転して、ブラシ下部22Aの前後方向第1側X1の部分により走行面F上に存在する塵埃を横幅方向第2側Y2に掃き出し、その塵埃を受取部24により受け取ることができる。そして、ブラシ下部22Aにおける第2領域E2に位置する部分に接触部23が接触することで、ブラシ下部22Aに付着している塵埃を受取部24上に落とすことができる。
【0036】
2.その他の実施形態
次に、台車のその他の実施形態について説明する。
【0037】
(1)上記実施形態では、上下方向Z視において、ブラシ下部22Aの中心P1を、ブラシ下部22Aの回転軌跡Eの中心P2と同じ位置としたが、図7に示すように、上下方向Z視において、ブラシ下部22Aの中心P1を、ブラシ下部22Aの回転軌跡Eの中心P2に対して偏心させてもよい。
【0038】
(2)上記実施形態では、ブラシ下部22Aの回転軌跡Eの中心P2が、上下方向Z視で走行レール2の走行面Fと重複する位置にある構成を例として説明したが、これには限定されない。ブラシ下部22Aの回転軌跡Eの中心P2が、上下方向Z視で走行レール2の走行面Fと重複しない位置、すなわち、回転軌跡Eの第2領域E2内に配置された構成としても良い。或いは、ブラシ下部22Aの回転軌跡Eの中心P2が、上下方向Z視で走行レール2の走行面Fの縁部、すなわち、回転軌跡Eの第1領域E1と第2領域E2との境界部に配置された構成としても良い。
【0039】
(3)上記実施形態では、ブラシ下部22Aの上下方向Z視の形状を円形としたが、ブラシ下部22Aの上下方向Z視の形状は適宜変更してもよい。具体的には、例えば、図8に示すように、ブラシ下部22Aの上下方向Z視の形状を矩形状に形成してもよい。この場合において、第2回転軸33(回転軌跡Eの中心P2)は、図8に示すように長方形状のブラシ下部22Aの長辺方向における一方の端部に配置しても良いし、図示とは異なり、長方形状のブラシ下部22Aの長辺方向における中央部に配置しても良い。
【0040】
(4)上記実施形態では、受取部24を、平面視矩形状に形成すると共に第1壁部42の上端部に接触部23を形成したが、受取部24の形状は適宜変更してもよい。具体的には、例えば、受取部24の平面視形状を台形や半円形状等の矩形状以外の形状としてもよい。また、例えば、第1壁部42における第1壁部分42A高さを走行面Fより低くしてブラシ下部22Aに接触しないようにし、第1壁部42の上端部に接触部23を形成しないようにしてもよい。尚、第1壁部42に接触部23を形成しない場合は、受取部24の底部41に接触部23を立設する等、接触部23を別途設けてもよい。
【0041】
(5)上記実施形態では、連動機構25を、複数のギヤにより構成したが、連動機構25を、回転体(例えばプーリ)とその回転体に巻回した索条体(例えばベルト)とにより構成する等、他の機構を用いて構成してもよい。
【0042】
(6)上記実施形態では、接触部23を、回転軌跡Eの径方向中央部から回転軌跡Eの径方向外側縁部までの全域で、ブラシ下部22Aに接触するように形成したが、接触部23がブラシ下部22Aに接触する範囲は適宜変更してもよい。具体的には、例えば、回転軌跡Eの外側縁部にのみにおいて、接触部23がブラシ下部22Aに接触するように接触部23を形成してもよい。
【0043】
(7)上記実施形態では、台車が、物品Wを搬送可能な物品搬送車3であって、レールの上面の清掃と物品Wの搬送との双方を行える構成を例として説明したが、台車の構成はこれに限定されない。例えば、台車が、レールの上面の清掃と物品Wの搬送とのうちレールの上面の清掃のみを行う清掃用台車であってもよい。
【0044】
(8)上記実施形態では、第1走行装置9Aと第2走行装置9Bとの夫々に清掃装置21を設置したが、第1走行装置9Aと第2走行装置9Bとのいずれか一方にのみ清掃装置21を備えてもよい。
【0045】
(9)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0046】
3.上記実施形態の概要
以下、上記において説明した台車の概要について説明する。
【0047】
台車は、レールに沿って走行し、上下方向に沿う上下軸心周りで回転するブラシと、前記ブラシに接触する接触部と、を備え、前記ブラシの毛先部分で構成されるブラシ下部が、前記レールの上面に接触するように配置され、前記ブラシ下部の回転軌跡には、上下方向視で前記レールの前記上面と重なる第1領域と上下方向視で前記レールの前記上面と重ならない第2領域とが含まれ、前記接触部は、前記第2領域における前記ブラシの回転方向の下流側端部において前記ブラシ下部に接触し、前記第2領域における前記ブラシの回転方向の上流側端部において前記ブラシ下部と接触しないように設けられている。
【0048】
この構成によれば、ブラシ下部は回転することで、ブラシ下部の少なくとも一部が、第1領域から第2領域に移動した後、第2領域から第1領域に移動するように回転する。このようにブラシ下部が回転することで、レールの上面における横方向の端部も含めてレールの上面に存在する塵埃をレールから掃き出すことができる。また、ブラシ下部における第2領域に存在する部分に接触部が接触することで、ブラシ下部に付着している塵埃をブラシ下部から落とすことができる。このように、この構成によれば、レールの上面を適切に清掃でき、また、ブラシ下部に付着した塵埃をブラシ下部から落とすことができるため、長期間に亘って継続的にレールの上面の清掃を行うことが可能な台車を実現することができる。
【0049】
更に、この構成によれば、ブラシ下部が第1領域から第2領域に移動するように回転してレールの上面の塵埃を掃き出す動作が接触部により妨げられることがないため、レールの上面の塵埃を効率的に掃き出すことができる。また、この構成によれば、ブラシ下部に付着していた塵埃が第2領域において自重でブラシ下部から落ちた後、第2領域の下流側端部においてブラシ下部に接触部が接触する。つまり、比較的塵埃の付着が少ない状態でブラシ下部に接触部を接触させて、自重ではブラシ下部から落ちなかった塵埃を接触部により落とすことができる。従って、ブラシ下部に付着した塵埃を効率よくブラシ下部から落とすことができる。
【0051】
また、前記接触部は、前記回転軌跡の径方向中央部から前記回転軌跡の径方向外側縁部までの全域で、前記ブラシ下部に接触するように形成されていると好適である。
【0052】
この構成によれば、ブラシ下部に対して接触部が広範囲に接触するため、ブラシ下部に付着している塵埃をブラシ下部から効果的に落とすことができる。
【0053】
また、前記回転軌跡の前記第2領域を覆うように形成された箱状の受取部を更に備えると好適である。
【0054】
この構成によれば、ブラシによって第1領域から第2領域に向けて掃き出された塵埃を受取部によって受け取ることができる。従って、レールの上面から掃き出された塵埃が周辺に飛散することを抑制できる。
【0055】
また、前記受取部は、前記レールの側面に沿って配置されるレール側壁部を備え、前記接触部は、前記レール側壁部の上端部のうちの、前記第2領域における前記ブラシの回転方向の下流側端部に対応する部分に形成されていると好適である。
【0056】
この構成によれば、受取部のレール側壁部における上端部の一部により接触部が形成されている。そのため、接触部を別途備える必要がなく、台車の構成の簡素化を図ることができる。
【0057】
また、前記レールの前記上面を転動する走行輪と、前記走行輪の回転を前記ブラシに伝達して前記ブラシを回転させる連動機構と、を更に備えていると好適である。
【0058】
この構成によれば、走行輪の回転を連動機構によりブラシに伝達することで、ブラシを回転させるための専用の駆動部を別途備えることなく、ブラシを上下軸心周りで回転させることができる。
【0059】
また、前記ブラシ下部は、前記上下方向視の形状が円形に形成され、前記ブラシ下部の中心が、前記ブラシ下部の前記回転軌跡の中心から偏心していると好適である。
【0060】
この構成によれば、上下方向視のブラシ下部の大きさに比べて、ブラシ下部の回転軌跡を大きくできるため、ブラシによってレールの上面における比較的広い面積を清掃できる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本開示に係る技術は、レールに沿って走行する台車に利用することができる。
【符号の説明】
【0062】
2:走行レール(レール)
3:物品搬送車(台車)
15:走行輪
22:ブラシ
22A:ブラシ下部
23:接触部
24:受取部
25:連動機構
42:第1壁部(レール側壁部)
E:回転軌跡
E1:第1領域
E2:第2領域
F:走行面(上面)
P1:ブラシ下部の中心
P2:回転軌跡の中心
Z:上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8