(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補給制御部は、予め定められている補給タイミングで、前記特定の現像部に対応する前記トナー補給部に前記第1トナー量に相当する量の前記補給用トナーを補給させ、前記残りの現像部に対応する前記トナー補給部に前記第2トナー量に相当する量の前記補給用トナーを補給させる、
請求項1に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の各実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0011】
[実施形態]
図1及び
図2において、矢印X、矢印Y及び矢印Zは、画像形成装置100の左右方向、前後方向及び上下方向を示す。以下、前記左右方向、前記前後方向及び前記上下方向を、左右方向X、前後方向Y及び上下方向Zと記す。
【0012】
図1において、画像形成装置100は、複写機、プリンタ、ファクシミリ又は複合機等である。前記複合機は、コピー機能、印刷機能及びファクス機能等を有する。画像形成装置100は、接続されるパーソナルコンピューター等から送られてくる画像データに基づき、電子写真方式及びタンデム方式により、カラー印刷を行う。前記カラー印刷は、前記画像データが表すフルカラー画像を印刷媒体PM1(例えば用紙)に印刷することである。
【0013】
具体的に、画像形成装置100は、複数色用の感光体ドラム1、帯電部2、現像部3及び一次転写部4と、露光部5と、中間転写体6と、二次転写部7と、定着部8と、を備える。前記複数色は、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックである。なお、
図1において、最も左側の感光体ドラム1はマゼンタ用である。最も左から2番目及び3番目の感光体ドラム1はシアン用及びイエロー用である。最も右側の感光体ドラム1はブラック用である。帯電部2、現像部3及び一次転写部4は、感光体ドラム1に対応して設けられ、感光体ドラム1の周囲に1つずつ配置される。
【0014】
各感光体ドラム1は、本発明における像担持体の一例であり、画像形成装置100の内部で左右方向Xに並置される。各感光体ドラム1は、前後方向Yに長い円柱状の形状を有する。各感光体ドラム1は、前記カラー印刷中、自身の軸を中心として第1回転方向RD1に、予め定められている一定の線速度LV1で回転する。
【0015】
各帯電部2は、対応する帯電領域と対向し、対応する感光体ドラム1の周面を一様に帯電させる。前記帯電領域は感光体ドラム1の下端近傍を含む領域である。
【0016】
露光部5は、画像形成装置100の内部において各帯電部2よりも下方に設けられる。露光部5は、前記画像データで変調された各色用の変調光を対応する感光体ドラム1の露光領域に照射する。これにより、複数の感光体ドラム1のそれぞれには、前記画像データに基づく複数色用の静電潜像が形成される。前記露光領域は、各感光体ドラム1において前記帯電領域よりも第1回転方向RD1の下流側の領域である。
【0017】
各現像部3には、対応色のトナー及びキャリアを含む現像剤が収容される。各現像部3は、自身に収容されている前記トナーを、対応する感光体ドラム1の現像領域DA1(
図2を参照)に供給する。これにより、各現像部3は、対応する感光体ドラム1に形成されている前記静電潜像を、対応色の前記トナーで現像する。その結果、各感光体ドラム1には対応色のトナー像が形成される。現像領域DA1は、各感光体ドラム1の前記露光領域よりも第1回転方向RD1の下流側の領域である。
【0018】
各一次転写部4は、対応する感光体ドラム1の一次転写領域と上方向において対向する。前記一次転写領域は、各感光体ドラム1において現像領域DA1(
図2を参照)よりも第1回転方向RD1の下流側の領域であり、各感光体ドラム1の上端を含む領域である。また、各一次転写部4と、対応する感光体ドラム1との間には、中間転写体6が介在する。前記感光体ドラム1に担持される前記トナー像は、対応する前記一次転写領域から中間転写体6上の同一エリアに転写される。これにより、中間転写体6には、前記複数色のトナー像が重ね合わせられた合成トナー像が形成される。
【0019】
中間転写体6は、無端状ベルトであって、駆動ローラー6A及び従動ローラー6Bに張架される。駆動ローラー6Aが第2回転方向RD2に回転することにより、中間転写体6が回転し、従動ローラー6Bは従動回転する。また、中間転写体6は、各一次転写部4と各感光体ドラム1との間を走行方向TD1に駆動される。これにより、中間転写体6は、前記合成トナー像を担持しながら後述の二次転写領域に向けて搬送する。
【0020】
駆動ローラー6A及び二次転写部7は前記左右方向において対向する。駆動ローラー6Aと二次転写部7との間には中間転写体6が介在する。中間転写体6と二次転写部7との間の前記二次転写領域には、前記合成トナー像と、予め定められているサイズを有する印刷媒体PM1が搬送されてくる。前記二次転写領域において、前記合成トナー像は中間転写体6から印刷媒体PM1へと転写される。前記二次転写領域から送り出された印刷媒体PM1は定着部8に送り込まれる。定着部8は、前記合成トナー像を印刷媒体PM1に定着させて送り出す。印刷媒体PM1は、画像形成装置100の外部にカラー印刷物として排出される。
【0021】
画像形成装置100はさらに、複数のトナー補給部9をさらに備える。複数のトナー補給部9は、画像形成装置100の内部において中間転写体6よりも上方向に、複数の現像部3に対応して設けられる。各トナー補給部9には、対応する現像部3に補給される補給用トナーが収容されている。各トナー補給部9の底部には排出口9Aが設けられる。各排出口9Aは、対応する現像部3と補給経路9Bにより流体連通可能に接続される。なお、
図1では、都合上、補給経路9Bの下流側の部分の図示は省略されている。
【0022】
また、各排出口9Aには排出スクリュー9Cが設けられる。各排出スクリュー9Cには、モーター、ギヤ及びベルト等を含む第1駆動力伝達部9D(
図3を参照)が機械的に接続される。各排出スクリュー9Cは、対応する第1駆動力伝達部9Dにより与えられる駆動力により回転する。その結果、各排出口9Aからは、対応する排出スクリュー9Cの回転量に相当する量の前記トナーが対応する補給経路9Bに排出される。
【0023】
各補給経路9Bの内部には搬送スクリュー9Eが設けられる。各搬送スクリュー9Eには、第1駆動力伝達部9D(
図3を参照)が機械的に接続される。各搬送スクリュー9Eは、対応する第1駆動力伝達部9Dにより与えられる駆動力により回転し、対応する補給経路9B内の前記補給用トナーを下流側へと搬送する。前記補給用トナーは、補給経路9Bの下流端から現像部3に送り込まれる。上記の通り、複数のトナー補給部9は、対応する現像部3に前記補給用トナーを補給可能に構成される。
【0024】
次に、
図2を参照して、各現像部3の詳細な構成について説明する。
【0025】
図2において、各現像部3は、筐体31と、現像剤収容部32と、第1回転軸33、第2回転軸34、現像ローラー35及び信号出力部36等と、を備える。
【0026】
各筐体31は、前後方向Yに長い箱状の形状を有し、対応する感光体ドラム1における現像領域DA1に沿って配置される。各筐体31の内部には、現像剤収容部32と、第1回転軸33、第2回転軸34及び現像ローラー35が設けられる。
【0027】
各現像剤収容部32は、対応する筐体31の底部に形成される。各現像剤収容部32には、前記対応色のトナーと、キャリアとを含む前記現像剤が収容される。各現像剤収容部32は、対応する筐体31の底部から突出する仕切部材31Aにより、第1収容室32Aと、第2収容室32Bとに仕切られる。
【0028】
各第1収容室32Aは、対応する現像領域DA1に対して第2収容室32Bよりも左方向に設けられる。第1収容室32A及び第2収容室32Bの各々は、前後方向Yに長く且つ下方向に窪んだ溝状の形状を有する。第1収容室32A及び第2収容室32Bの各々には、対応する感光体ドラム1に供給される前記現像剤が収容される。
【0029】
また、第1収容室32A及び第2収容室32Bの各々は、前後方向Yにおける両端部において連通する。各筐体31において第1収容室32Aの前端寄りの部分の上方には、前記対応色の補給トナーの補給口31Bが形成される。各補給口31Bには、対応する補給経路9Bの下流端が流体連通可能に接続される。
【0030】
各第1回転軸33は、前後方向Yに長い棒状の形状を有し、対応する第1収容室32Aに回転可能に架け渡される。具体的に、各第1回転軸33における前端近傍の部分及び後端近傍の部分は、対応する第1収容室32Aの前壁及び後壁に回転可能に支持される。各第1回転軸33には、対応する第2駆動力伝達部3Aから駆動力が与えられる。なお、各第2駆動力伝達部3Aは、モーター及びギヤ等を含む。各第1回転軸33は、自身に与えられる前記駆動力により第3回転方向RD3に回転数NR1で回転する。第3回転方向RD3は、正面視で反時計回りの方向である。回転数NR1は、予め定められ、感光体ドラム1に1つの前記静電潜像が形成されるのに要する時間あたりに各第1回転軸33が回転する回数であり、例えば10回である。
【0031】
各第1回転軸33には、第1螺旋羽根33A及びシート状羽根33Bが一体に設けられる。各第1螺旋羽根33Aは、対応する第1回転軸33の回転により第3回転方向RD3に回転して、第1収容室32A内に収容される前記現像剤を撹拌しつつ第1搬送方向CD1に搬送する。第1搬送方向CD1は、画像形成装置100の前方から後方に向かう方向である。
【0032】
各シート状羽根33Bは、対応する第1回転軸33において、対応する補給口31Bよりもさらに前端寄りの部分に設けられる。各シート状羽根33Bは、対応する第1回転軸33において対応する信号出力部36の上方に設けられる。各シート状羽根33Bは、PETフィルム等の可撓性材料で作製される。各シート状羽根33Bは、対応する第1回転軸33の回転中心から遠ざかる遠心方向に沿って突出する。また、シート状羽根33Bにおいて前記遠心方向の先端は、対応する第1回転軸33の回転中、対応する信号出力部36に達する。
【0033】
各シート状羽根33Bは、対応する第1回転軸33及び第1螺旋羽根33Aとともに、回転数NR1で第3回転方向RD3へ回転し、対応する第1収容室32A内の前記現像剤を対応する信号出力部36上に集める。なお、各シート状羽根33Bは、信号出力部36の上面を清掃するスクレーパーとしての機能を有していてもよい。
【0034】
各第2回転軸34は、前後方向Yに長い棒状の形状を有し、対応する第2収容室32Bに回転可能に架け渡される。各第2回転軸34には、対応する第2駆動力伝達部3Aにより与えられる駆動力が与えられる。これにより、各第2回転軸34は、第4回転方向RD4に回転数NR1で回転する。第4回転方向RD4は例えば第3回転方向RD3とは逆向きである。なお、
図3では、都合上、第2回転軸34の図示は省略されている。
【0035】
各第2回転軸34には、第2螺旋羽根34Aが一体に設けられる。各第2螺旋羽根34Aは、対応する第2回転軸34の回転により第4回転方向RD4に回転して、第2収容室32B内に収容される前記現像剤を撹拌しつつ第2搬送方向CD2に搬送する。第2搬送方向CD2は、第1搬送方向CD1とは逆向きである。
【0036】
各第1収容室32Aと、対応する第2収容室32Bは、それぞれの下流端において互いに連通する。前記現像剤は、各第1収容室32Aの下流端まで搬送された後、対応する第2収容室32Bに移動し、各第2収容室32Bの下流端まで搬送された後、対応する第1収容室32Aに移動する。
【0037】
各現像ローラー35は、前後方向Yに長い円筒形状を有する磁気ローラーである。各現像ローラー35は、対応する第2駆動力伝達部3Aにより与えられる駆動力により、第3回転方向RD3と同方向の第5回転方向RD5に回転する。なお、
図3では、都合上、現像ローラー35の図示は省略されている。各現像ローラー35は、回転することにより、対応する第2収容室32B内の前記現像剤を吸着し担持する。各現像ローラー35は、前記現像剤を担持しつつ対応する現像領域DA1に搬送する。前記現像剤は、各現像ローラー35から対応する現像領域DA1に移動し、対応する感光体ドラム1に形成されている静電潜像に付着する。これにより、各静電潜像は現像され、各感光体ドラム1には、対応色のトナー像が形成される。
【0038】
各信号出力部36は、現像部3のそれぞれに対応して設けられる。各信号出力部36は、対応する第1収容室32Aの底部において、対応するシート状羽根33Bの下方に配置される。各信号出力部36は、対応する第1収容室32Aに露出する検知面36Aと、センサー回路36Bと、を含む。
【0039】
各センサー回路36Bは、コルピッツ発振回路等を含む透磁率センサーであり、対応する検知面36Aの下方に設けられる。各センサー回路36Bは濃度信号DS1を出力する。濃度信号DS1は、対応する現像部3に収容される前記現像剤における前記トナーの濃度を表す。具体的に、濃度信号DS1の周波数は、検知面36A上に存在する前記現像剤に含まれる前記キャリアと前記トナーとの割合に応じて周波数が変化する。
【0040】
なお、以下の説明では、イエローのトナーが収容される現像部3に対応する信号出力部36は信号出力部36Yと記載される場合がある(
図4を参照)。同様に、マゼンタ、シアン及びブラックのトナーが収容される現像部3に対応する信号出力部36は信号出力部36M,36C,36Kと記載される場合がある。また、信号出力部36Yから出力される濃度信号DS1は濃度信号DS1Yと記載される場合がある。同様に、信号出力部36M、信号出力部36C、及び信号出力部36Kから出力される濃度信号DS1は濃度信号DS1M、濃度信号DS1C、及び濃度信号DS1Bと記載される場合がある。
【0041】
各シート状羽根33Bが1回転する間(即ち、1回転周期の間)に、各シート状羽根33Bの先端部が対応する検知面36A上を通過する第1時間帯がある。前記第1時間帯では、前記第1時間帯以外の第2時間帯と比較して、相対的に多くの前記現像剤が対応する検知面36A上に対応するシート状羽根33Bにより集められる。したがって、各濃度信号DS1の周波数は、対応するシート状羽根33Bが1回転する間に変化する。具体的に、各濃度信号DS1の周波数は、前記トナー濃度が小さくなるほど低くなる。それ故、シート状羽根33Bの回転周期における濃度信号DS1の最低周波数が予め定められている基準周波数以下である場合、現像剤収容部32における前記トナー濃度が予め定められている基準濃度よりも小さくなっているとみなすことができる。
【0042】
図3において、画像形成装置100は、信号選択部10と、制御部11と、をさらに備える。
【0043】
信号選択部10は、各信号出力部36と、制御部11との間に電気的に接続されるスイッチである。信号選択部10には、複数の濃度信号DS1が入力される。信号選択部10にはさらに、制御部11から出力される制御信号CS1が入力される。信号選択部10は、制御信号CS1により、前記カラー印刷中に予め定められている測定時間MT1が経過するたびに、入力された複数の濃度信号DS1を1つずつ予め定められている順序に従って順次選択し制御部11に出力する。前記順序において、濃度信号DS1Yには最初の順番が割り当てられる。また、濃度信号DS1M、濃度信号DS1C、濃度信号DS1Bには2番目、3番目、4番目の順番が割り当てられる。測定時間MT1は、本実施形態では、制御部11が制御信号CS1を出力してから、1つの前記静電潜像の現像が終了するまでに要する時間である。換言すると、測定時間MT1は、各第1回転軸33が10回転するのに要する時間である。複数の濃度信号DS1は、
図4に示されるように、測定時間MT1毎に、前記順番で時系列に配列されて信号選択部10から出力される。具体的に、複数の濃度信号DS1は、濃度信号DS1Y、濃度信号DS1M、濃度信号DS1C及び濃度信号DS1Bの順で信号選択部10から繰り返し出力される。
【0044】
なお、複数のシート状羽根33Bが前記カラー印刷の開始時に突出する遠心方向は、
図3に示されるように互いに異なっていてもよい。
【0045】
制御部11は、CPU、不揮発性メモリー及びRAM等を含む。なお、制御部11は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はDSP(Digital Signal Processor)などの電子回路であってもよい。前記CPUは、前記不揮発性メモリーに予め格納されているプログラムを、RAMを作業領域として使いながら実行する。これにより、前記CPUは画像形成装置100による前記カラー印刷中に画像形成装置100を統括的に制御する。
【0046】
制御部11は、前記プログラムを実行することにより、トナー量測定部11A、トナー量推定部11B及び補給制御部11Cとして機能する。
【0047】
トナー量測定部11Aは、複数の現像部3のうち、測定時間MT1(
図4を参照)に信号出力部36から出力される濃度信号DS1に対応する特定の現像部が現像で用いた第1トナー量を、同測定時間MT1に入力される前記濃度信号に基づき測定する。
【0048】
トナー量推定部11Bは、前記画像データに基づいて、複数の現像部3のうち少なくとも前記特定の現像部を除く残りの現像部が現像で用いる第2トナー量を推定する。
【0049】
補給制御部11Cは、前記特定の現像部に対応するトナー補給部9に前記第1トナー量に相当する量の前記補給用トナーを補給させ、前記残りの現像部に対応するトナー補給部9に前記第2トナー量に相当する量の前記補給用トナーを補給させる。
【0050】
また、補給制御部11Cは、予め定められている補給タイミングで、前記特定の現像部に対応するトナー補給部9に前記第1トナー量に相当する量の前記補給用トナーを補給させ、前記残りの現像部に対応するトナー補給部9に前記第2トナー量に相当する量の前記補給用トナーを補給させる。
【0051】
また、前記補給タイミングは、複数の現像部3における前記現像が終了した後のタイミングとすることが考えられる。
【0052】
以下、
図5を参照して、画像形成装置100における各部の動作及び処理を、より詳細に説明する。
【0053】
制御部11は、前記画像データを受け取ると、
図5に示す前記カラー印刷を開始する。
【0054】
まず、制御部11は、トナー量推定部11Bとして機能する。トナー量推定部11Bは、受け取った前記画像データに基づいて、複数の現像部3のそれぞれが前記カラー印刷中に1つの静電潜像を現像する際に用いるトナー量を第2トナー量として推定する(ステップS1)。換言すると、前記第2トナー量は、前記複数色毎で且つ前記静電潜像毎に推定される。
【0055】
具体的に、トナー量推定部11Bは、前記画像データに基づきドットカウント数を、感光体ドラム1のそれぞれに形成される静電潜像毎に求める。前記ドットカウント数は、露光部5からの変調光により感光体ドラム1のそれぞれに1つの静電潜像を形成する際に形成されるドット数である。次に、トナー量推定部11Bは、前記ドットカウント数のそれぞれに相当するトナー量を前記第2トナー量として求める。
【0056】
次に、制御部11は、前記カラー印刷を開始するために、画像形成装置100の各部を動作させ始める(ステップS2)。これにより、画像形成装置100では、前記画像データに基づく静電潜像が印刷媒体PM1単位で形成され始める。特に、制御部11は、ステップS2において、第2駆動力伝達部3Aのそれぞれに第2駆動信号DS22を与える。第2駆動力伝達部3Aのそれぞれは、対応する現像部3に含まれる第1回転軸33、第2回転軸34及び現像ローラー35を回転させる。具体的に、現像ローラー35は、第5回転方向RD5に回転する。第1回転軸33は回転数NR1で第3回転方向RD3に回転する。第2回転軸34は回転数NR1で第4回転方向RD4に回転する。
【0057】
制御部11は、ステップS3において、前記複数色のうち、次の順番が割り当てられている濃度信号DS1を選択させるために制御信号CS1を信号選択部10に与える。なお、初回のステップS3では濃度信号DS1Yが選択される。以降、2回目、3回目及び4回目のステップS3では、濃度信号DS1M,DS1C,DS1Kが選択される。これにより、信号選択部10は、入力された複数の濃度信号DS1のうち、制御部11からの制御信号CS1に従って濃度信号DS1を選択し制御部11に出力する(ステップS3)。
【0058】
次のステップS4において、制御部11は、トナー量測定部11Aとして機能する。制御部11は、内部に備えるタイマーカウンター(図示せず)を用いて、入力された濃度信号DS1の周波数を動作クロックに従ってカウントする。濃度信号DS1の周波数のそれぞれは前記RAMに記憶される(ステップS4)。
【0059】
次に、制御部11は、複数の現像部3のそれぞれが1つの前記静電潜像を現像し終えたか否かを判定する(ステップS5)。制御部11は、前記静電潜像の現像が終了していないと判定する場合(ステップS5でNO)、処理をステップS4に戻す。一方、制御部11は、前記静電潜像の現像が終了したと判定する場合(ステップS5でYES)、測定時間MT1が終了したとみなし、処理をステップS6に進める。
【0060】
ステップS6の開始時点で、前記RAMには、濃度信号DS1の周波数が複数個記憶されている。具体的に、前記RAMに記憶される周波数は、ステップS3で選択され且つ今回の測定時間MT1(
図4を参照)の間に制御部11に入力された濃度信号DS1の周波数である。制御部11は、ステップS6において、トナー量測定部11Aとして機能する。制御部11は、前記RAMに記憶される周波数に基づいて、今回の測定時間MT1に入力された濃度信号DS1に対応する現像部3(即ち、前記特定の現像部)が現像で用いた前記第1トナー量を測定する(ステップS6)。具体的に、制御部11は、前記RAM内に記憶されている周波数の中から、前記測定時間MT1における最初及び最後の前記回転周期における最低周波数を取得する。制御部11は、前記最初の回転周期における最低周波数と、前記最後の回転周期における最低周波数との差から、前記特定の現像部が現像で用いた第1トナー量を求めることができる。他にも、今回の測定時間MT1で求められた全ての周波数の平均値から第1トナー量が求められてもよい。
【0061】
次のステップS7では、制御部11は、トナー量推定部11Bとして機能する。制御部11は、ステップS1で推定された前記第2トナー量の中から、複数の現像部3のうち前記特定の現像部を除く残りの現像部に対応する前記第2トナー量を取得する(ステップS7)。
【0062】
次のステップS8において、制御部11は補給制御部11Cとして機能する。また、ステップS8の実行タイミングが本発明における補給タイミングに相当する。具体的に、制御部11は、ステップS6で得られた前記第1トナー量に基づき、前記特定の現像部に対応する第1駆動力伝達部9Dに第1駆動信号DS21を与える。第1駆動力伝達部9Dは、第1駆動信号DS21が自身に与えられると、対応するトナー補給部9に設けられる排出スクリュー9C(
図1を参照)を回転駆動させる。これにより、対応するトナー補給部9の排出口9Aからは、前記第1トナー量に相当する量の前記補給用トナーが排出口9A(
図1を参照)から補給経路9Bに排出される。第1駆動力伝達部9Dはさらに、対応するトナー補給部9に設けられている搬送スクリュー9Eを回転駆動させる。これにより、前記補給用トナーは補給経路9B内を下流に向けて搬送され、特定の現像部の補給口31Bから第1収容室32Aに流入する。
【0063】
制御部11は、取得した前記第2トナー量に基づき、前記残りの現像部に対応する第1駆動力伝達部9Dに第1駆動信号DS21を与える。第1駆動力伝達部9Dは、第1駆動信号DS21に基づき、対応するトナー補給部9の排出スクリュー9C(
図1を参照)を回転駆動させる。第1駆動力伝達部9Dはさらに、対応するトナー補給部9に設けられている搬送スクリュー9Eを回転駆動させる。その結果、対応するトナー補給部9の排出口9Aからは、前記第2トナー量に相当する量の前記補給用トナーが排出口9A(
図1を参照)から補給経路9Bに排出され、最終的に、前記残りの現像部の各々に補給される。
【0064】
次に、制御部11は、前記カラー印刷を終了するか否かを判定する(ステップS9)。換言すると、制御部11は、複数の感光体ドラム1に次の静電潜像が形成されるか否かを判定する。制御部11は、前記カラー印刷を終了すると判定する場合(ステップS9でYES)、
図5の処理を終了する。一方、制御部11は、前記カラー印刷を終了しないと判定する場合(ステップS9でNO)、即ち前記別の静電潜像が形成されると判定する場合、処理をステップS3に戻す。
【0065】
信号選択部10は、複数の濃度信号DS1を1つずつ順番に選択し出力する。それゆえ、信号選択部10から出力される濃度信号DS1に基づき、複数の現像部3の各々が現像で用いるトナー量が求められると仮定すると、前記複数のトナー量は互いに異なる時間に出力された濃度信号DS1に基づく値となる。そのため、補給制御部11Cが前記補給タイミングで複数の現像部3へのトナー補給を行うよう複数のトナー補給部9を制御する場合、複数の現像部3におけるトナー濃度を一定に維持することが難しくなる。
【0066】
それに対し、前記実施形態では、トナー量測定部11Aは、前記特定の現像部が現像で用いた第1トナー量を、測定時間MT1に入力される濃度信号DS1に基づき測定する。トナー量推定部11Bは、前記画像データに基づいて、前記残りの現像部が現像で用いる第2トナー量を推定する。換言すると、トナー量推定部11Bは、前記残りの現像部が現像で用いた第2トナー量を濃度信号DS1に基づき測定しない。補給制御部11Cは、前記特定の現像部に対応するトナー補給部9に前記第1トナー量に相当する量の前記補給用トナーを補給させるとともに、前記残りの現像部に対応するトナー補給部9に前記第2トナー量に相当する量の前記補給用トナーを補給させる。したがって、信号選択部10が複数の前記濃度信号DS1を1つずつ順次選択し出力する場合であっても、複数の現像部3の各々におけるトナー濃度を容易に維持することが可能な画像形成装置100を提供することが可能となる。
【0067】
また、補給制御部11Cは、前記補給タイミング(即ち、複数の現像部3のそれぞれで1つの静電潜像の現像が終了した後)で、前記特定の現像部に対応するトナー補給部9と、前記残りの現像部に対応するトナー補給部9に前記補給用トナーを補給させる。これにより、複数の静電潜像の現像が行われている間に、複数の現像部3に収容されるトナー量が少なくなりすぎることを防止することができる。その結果、複数の感光体ドラム1に形成されるトナー像の画質低下を防止することができる。
【0068】
なお、前記補給タイミングは、複数の現像部3のそれぞれで1つの静電潜像の現像が終了した後に限らず、複数の現像部3のそれぞれで1つの静電潜像の現像している最中において予め定められたタイミングとすることも考えられる。
【0069】
また、トナー量推定部11Bは、ステップS1において、全ての現像部3の第2トナー量を推定し、ステップS7で前記残りの現像部の第2トナー量を取得していた。しかし、これに限らず、トナー量推定部11Bは、ステップS1を実行せずに、ステップS7において、前記画像データに基づいて、前記残りの現像部が前記カラー印刷中に1つの静電潜像を現像する際に用いたトナー量を第2トナー量として推定しても構わない。
[変形例]
【0070】
以下、前記実施形態の変形例について説明する。なお、以下に説明する変形例において、前記実施形態と同様の構成及びステップについて同一参照符号及びステップ番号を付与し、それぞれの説明を控える。
【0071】
図3において、トナー量推定部11Bは、複数の現像部3が対応する感光体ドラム1に形成される静電潜像を現像する前に、前記画像データに基づいて、複数の現像部3が現像で用いる前記第2トナー量を推定してもよい。この場合、制御部11は、前記プログラムを実行することにより、判定部11Dとしてさらに機能する。
【0072】
判定部11Dは、トナー量推定部11Bによる推定された前記第2トナー量のうち、最大値を有する特定の第2トナー量が予め定められている基準値以上か否かを判定する。
【0073】
信号選択部10は、前記特定の第2トナー量が前記基準値未満であると判定部11Dにより判定される場合に、複数の信号出力部36から入力される複数の濃度信号DS1の中から、予め定められている順番に従う濃度信号DS1を第1濃度信号として選択して出力する。信号選択部10は、前記特定の第2トナー量が前記基準値以上であると判定部11Dにより判定される場合に、複数の信号出力部36から入力される複数の濃度信号DS1の中から、前記特定のトナー量に対応する濃度信号DS1を第2濃度信号として選択して出力する。
【0074】
前記特定の現像部は、前記特定の第2トナー量が前記基準値未満である場合、複数の現像部3のうち、前記第1濃度信号に対応する現像部3である。また、前記特定の現像部は、前記特定の第2トナー量が前記基準値以上である場合、前記第2濃度信号に対応する現像部3である、
【0075】
以下、
図6を参照して、変形例に係る画像形成装置100の各部の動作及び処理を、より詳細に説明する。
【0076】
図6において、制御部11は、ステップS2の実行後に処理をステップS11に進める。制御部11は、ステップS11,S12において判定部11Dとして機能する。ステップS11において、制御部11は、ステップS1で得られた前記複数の第2トナー量の中から、複数の現像部3が今回の現像で用いる第2トナー量を選択する。制御部11はさらに、選択した第2トナー量の中から、最大値を有する第2トナー量を特定の第2トナー量として選択する(ステップS11)。
【0077】
次に、制御部11は、前記特定の第2トナー量が予め定められている基準値以上か否かを判定する(ステップS12)。前記基準値は、前記特定のトナー量に対応する現像部3が前記静電潜像の現像で多くのトナーを用いるか否かを示す基準値であり、画像形成装置100の設計段階に実験又はシミュレーションにより予め定められている。
【0078】
制御部11は、前記特定の第2トナー量が前記基準値以上でないと判定する場合(ステップS12でNO)、処理をステップS3に進める。一方、制御部11は、前記特定の第2トナー量が前記基準値以上であると判定する場合、処理をステップS13に進める。
【0079】
ステップS3において、前記順序に従って、次の順番が割り当てられている濃度信号DS1を前記第1濃度信号として選択させるために制御信号CS1を信号選択部10に与える。これにより、信号選択部10は、入力された複数の濃度信号DS1のうち、制御部11からの制御信号CS1に従って前記第1濃度信号を選択し制御部11に出力する(ステップS3)。
【0080】
制御部11は、ステップS13において、前記複数色のうち、前記特定の第2トナー量に対応する濃度信号DS1を前記第2濃度信号として選択させるために制御信号CS1を信号選択部10に与える。これにより、信号選択部10は、入力された複数の濃度信号DS1のうち、制御部11からの制御信号CS1に従って前記第2濃度信号を選択し制御部11に出力する(ステップS13)。その後、制御部11は、処理をステップS4に進める。
【0081】
ステップS4において、制御部11は、入力された濃度信号DS1(具体的に、前記第1濃度信号又は前記第2濃度信号)の周波数をカウントし前記RAMに記憶する(ステップS4)。その後、制御部11は、前記静電潜像の現像が終了したと判定する場合(ステップS5でYES)、前記特定の現像部が現像で用いた前記第1トナー量を測定する(ステップS6)。ここで、前記特定の現像部は、前記特定の第2トナー量が前記基準値未満である場合、複数の現像部3のうち、前記第1濃度信号に対応する現像部3である。また、前記特定の現像部は、前記特定の第2トナー量が前記基準値以上である場合、前記第2濃度信号に対応する現像部3である。
【0082】
制御部11は、ステップS6の後、ステップS7,S8を実行する。また、制御部11は、ステップS9で前記カラー印刷を終了しないと判定する場合(ステップS9でNO)、処理をステップS11に戻す。
【0083】
上記の通り、信号選択部10は、前記特定の第2トナー量が予め定められている基準値以上である場合に、制御信号CS1に基づき、最大値を有する特定の第2トナー量に対応する前記第2濃度信号を選択する。この場合、前記特定の現像部は、前記第2濃度信号に対応し、前記静電潜像の現像で多くのトナーを用いる現像部3となる。前記変形例では、このような特定の現像部3には、推定結果である前記第2トナー量ではなく、実測結果である前記第1トナー量に相当する量の前記補給用トナーが補給されるため、多くのトナーを現像で用いる特定の現像部3においても前記トナー濃度を一定に維持しやすくなる。