(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
1.構成
1−1.エレベータシステムの概要
図1は、実施形態に係るエレベータシステムを模式的に示した図である。本実施形態に係るエレベータシステムは、A号機、B号機、C号機、D号機の4台のダブルデッキエレベータ60A,60B,60C,60Dを有する。また、A号機、B号機、C号機、D号機は、それぞれ上かご及び下かごを有する。各ダブルデッキエレベータの上かご及び下かごは、1つの昇降路内で上下に重ねて配置される。各エレベータの上かごと下かごは、互いに結合され、昇降路内で一体的に移動する。
【0011】
図1では、一例として、B1階〜11階を有するビルを例示する。B1階と3階の間には、2つのロビー階として、上ロビー階と下ロビー階がある。下ロビー階はビルの1階に相当し、上ロビー階はビルの2階に相当する。下ロビー階には、地上へつながる出入口が設けられている。上ロビー階と下ロビー階は、例えばエスカレータや階段を利用して移動することができる。なお、上ロビー階及び下ロビー階のそれぞれを、全階床へ向かうことができる乗場としてもよいし、上ロビー階については偶数階(あるいは奇数階)へ向かうときの乗場とし、下ロビー階については奇数階(あるいは偶数階)へ向かうときの乗場としてもよい。後者の場合、上ロビー階及び下ロビー階あるいはその近傍に、下かご及び上かごの行先階を案内する案内表示を設けてもよい。
【0012】
本実施形態では、ダブルデッキエレベータの運転方式として、「シングル運転方式」、「セミダブル運転方式」、「ダブル運転方式」がある。シングル運転方式とは、上かごを使用せずに下かごのみを使用する運転である。セミダブル運転方式とは、上ロビー階から出発する場合は偶数階のみに停止し、下ロビー階から出発する場合は奇数階のみに停止し、B1階および3階〜11階の通常階から出発する場合は、任意の階に停止可能とする運転方式である。ダブル運転方式とは、上ロビー階から出発する場合は偶数階のみに停止し、下ロビー階から出発する場合は奇数階にのみ停止し、偶数階から出発する場合は他の偶数階及び上ロビー階のみに停止し、奇数階から出発する場合は他の奇数階及び下ロビー階にのみ停止可能とする運転方式である。
【0013】
本実施形態では主に、セミダブル運転方式を対象としている。
【0014】
図2は、各階のエレベータ乗場を模式的に示した図である。
図3は、行先階登録装置の外観を模式的に示した図である。本実施形態に係るエレベータシステムは、乗場行先階登録方式を採用しており、ビルの各階のエレベータ乗場には、乗客による行先階の登録を受け付ける行先階登録装置30が設けられている。エレベータシステムは、受け付けた行先階を、複数台のダブルデッキエレベータ60A〜60Dの上かご及び下かごのうちのいずれかのかごに割り当て、
図3に例示するように、行先階登録装置30の表示部34に、登録された行先階と、当該行先階を割り当てた号機名を表示する。
図3では、登録された行先階がロビー階である場合に上ロビー階とA号機に割り当てた例を示している。また、
図2に示すように、各階のエレベータ乗場のエレベータ乗車用のドアDrの近傍には、それぞれ、号機名を記載した号機名表示板が設けられている。
【0015】
なお、以下では、説明の簡素化のため、ダブルデッキエレベータ60A〜60Dを区別せずに「ダブルデッキエレベータ60」という場合がある。
【0016】
1−2.ダブルデッキエレベータの群管理システムの構成
1−2−1.概要
本実施形態に係るダブルデッキエレベータの群管理システムの構成を説明する。
図4は、エレベータシステムの電気的構成を示したブロック図である。群管理システムは、前述のように行先階登録方式を採用しており、ダブルデッキエレベータ60A〜60Dの走行を統合的に制御する。群管理システムは、群管理制御装置10、複数台の行先階登録装置30、複数台の号機制御装置20を有する。号機制御装置20は、かご毎に設けられている。群管理システムは、本発明のエレベータの運行制御システムの一例である。
【0017】
群管理システムを構成する各装置間は、情報伝送可能なネットワークNWを介して接続されている。ネットワークNWは、例えばEthernet(登録商標)等のLAN(Local Area Network)により構成され、各装置間での各種の情報の送受信は、TCP/IP等の各種のプロトコルにしたがって行われる。ネットワークNW上に接続されている前述の各装置は、装置間において、各装置が有する入出力インタフェースにより、TCP/IP等の各種のプロトコルにしたがった通信による信号伝送(情報伝送)が可能である。なお、群管理システムを構成する各装置間は、他の信号形式のネットワークや、専用の信号網を介して接続されてもよい。
【0018】
1−2−2.エレベータ
ダブルデッキエレベータ60A〜60Dの各々(各号機)は、上かご、下かご、巻上機(モータ)、釣合おもり等を有する。上かご及び下かご内には、それぞれ、行先階を表示する行先階インジケータが設けられている。巻上機は、上かごと下かごとで共通で設けられている。
【0019】
1−2−3.群管理制御装置
群管理制御装置10は、複数台のダブルデッキエレベータ60A〜60Dの走行を統合的に制御する装置である。
【0020】
群管理制御装置10は、コンピュータを利用して構成され、
図4に示すように、制御部11と、記憶部12と、入出力インタフェース13とを備える。
【0021】
記憶部12は、例えばRAM、ROM、HDD、SSD等を利用して構成され、プログラム、及び種々のデータを格納している。プログラムは、本実施形態の群管理制御装置10の各種機能を実現するためのプログラムを含む。
【0022】
制御部11は、例えばCPU、MPU等を利用して構成される。制御部11は、記憶部12から読み出した上記プログラムに基づいて種々のデータ等を利用して演算処理を行うことにより、群管理制御装置10における後述する各種の機能を実現する。
【0023】
入出力インタフェース13は、例えばLANアダプタ等を利用して構成される。入出力インタフェース13は、群管理制御装置10と、行先階登録装置30、及び号機制御装置20との間で各種信号を送受信するためのインタフェースである。入出力インタフェース13は、制御部11から出力される信号を所定の形式の信号に変換して行先階登録装置30、号機制御装置20に出力する。また、入出力インタフェース13は、行先階登録装置30、及び号機制御装置20から入力された信号を所定の形式の信号に変換して制御部11に出力する。
【0024】
1−2−4.行先階登録装置
図5は、行先階登録装置30の電気的構成を示すブロック図である。行先階登録装置30は、乗客による行先階の登録(入力)を受け付ける装置である。
【0025】
行先階登録装置30は、制御部31と、記憶部32と、入出力インタフェース33と、表示部34と、操作部35とを備える。
【0026】
記憶部32は、例えばRAM、ROM、HDD、SSD等を利用して構成され、プログラム、及び種々のデータを格納している。プログラムは、本実施形態の行先階登録装置30の各種機能を実現するためのプログラムを含む。
【0027】
制御部31は、例えばCPU、MPU等を利用して構成される。制御部31は、記憶部32から読み出した上記プログラムに基づいて種々のデータ等を利用して演算処理を行うことにより、行先階登録装置30における各種の機能を実現する。
【0028】
入出力インタフェース33は、例えばLANアダプタ等を利用して構成される。入出力インタフェース33は、行先階登録装置30と群管理制御装置10との間で各種信号を送受信するためのインタフェースである。入出力インタフェース33は、制御部31から出力された信号を所定の形式の信号に変換して群管理制御装置10に出力する。また、入出力インタフェース33は、群管理制御装置10から入力された信号を所定の形式の信号に変換して制御部31に出力する。
【0029】
操作部35は、乗客が行先階を入力するためのインタフェースである。操作部35は、操作部35の操作内容に対応する信号を制御部31に出力する。
【0030】
表示部34は、制御部31から出力される表示信号に基づく表示を行う。
【0031】
表示部34及び操作部35は、例えば液晶ディスプレイパネルや有機ELディスプレイパネルを利用したタッチパネル式表示装置により一体的に構成されている。なお、表示部34と操作部35とは、異なる部品を利用して別々に構成されてもよい。また、操作部35は、ハードウェア式のテンキー等により構成されてもよい。
【0032】
図3には、10階に設けられた行先階登録装置30の表示部34および操作部35を例示している。
図3に示すように、操作部35には、複数の指定ボタンとして、複数の通常階ボタン36と、1つのロビーボタン38とが設けられている。複数の通常階ボタン36は、各通常階を行先階として登録するためのボタンである。ロビーボタン38は、上ロビー階と下ロビー階を行先階として登録するためのボタンである。ロビーボタン38は、上ロビー階と下ロビー階の両方に対応する1つの共通ボタンとして共通化されている。このようなロビーボタン38を設けることで、上ロビー階に停止するか下ロビー階に停止するかを、利用者ではなく、各ダブルデッキエレベータ60の運行情報等に基づいてエレベータシステムが決定することができる。詳細については後述する。
【0033】
1−2−5.号機制御装置
図6は、号機制御装置20の電気的構成を示すブロック図である。号機制御装置20は、各号機毎に設けられている。各号機の号機制御装置20は互いに同一の構成を有する。号機制御装置20は、群管理制御装置10からの制御信号にしたがって、対応する号機の巻上機(モータ)等の動作を制御することにより、対応する号機全体の上昇、下降、停止等を制御する。また、号機制御装置20の各々は、対応する号機の位置、走行方向、ドアの開閉状態、かご荷重等を検知して、検知した情報を示す信号を群管理制御装置10に出力する。
【0034】
図6は、号機制御装置20の電気的構成を示すブロック図である。号機制御装置20は、制御部21と、記憶部22と、入出力インタフェース23と、を備える。
【0035】
記憶部22は、例えばRAM、ROM、HDD、SSD等を利用して構成され、プログラム、及び種々のデータを格納している。プログラムは、本実施形態の号機制御装置20の各種機能を実現するためのプログラムを含む。
【0036】
制御部21は、例えばCPU、MPU等を利用して構成される。制御部21は、記憶部22から読み出した上記プログラムに基づいて種々のデータ等を利用して演算処理を行うことにより、号機制御装置20における後述する各種の機能を実現する。
【0037】
入出力インタフェース23は、例えばLANアダプタ等を利用して構成される。入出力インタフェース23は、号機制御装置20と群管理制御装置10及びドア制御装置40との間で各種信号を送受信するためのインタフェースである。入出力インタフェース23は、制御部21から出力された信号を所定の形式の信号に変換して群管理制御装置10及びドア制御装置40に出力する。また、入出力インタフェース23は、群管理制御装置10及びドア制御装置40から入力された信号を所定の形式の信号に変換して制御部21に出力する。
【0038】
1−2−6.ドア制御装置
ドア制御装置40は、各かごに設けられている。各かごのドア制御装置40は互いに同一の構成を有する。ドア制御装置40は、号機制御装置20からの制御信号にしたがって、対応するかごのドアモータ等の動作を制御することにより、対応するかごのドア(かごドア)の開閉を制御する。ドア制御装置40は、号機制御装置20同様のハードウェアを利用して構成できる。
【0039】
2.動作
2−1.行先階登録装置の動作
行先階登録装置30は、操作部35において、乗客による行先階の登録操作を受け付ける。行先階登録装置30の制御部31は、乗客により登録された行先階を示す行先階情報と、その行先階を登録する操作が行われた行先階登録装置30の設置階を示す出発階情報と、当該行先階登録装置30を識別する識別情報とを含む割当依頼信号を生成する。行先階登録装置30の制御部31は、生成した割当依頼信号を、群管理制御装置10に出力する。
【0040】
また、行先階登録装置30の制御部31は、上述の割当依頼信号に対する応答として、群管理制御装置10から、割当号機及び割当かごを含む割当情報を受信すると、乗客によって登録された行先階と、割当情報が示す割当号機の情報とを、表示部34に表示させる。これにより、行先階登録装置30は、登録された行先階が割り当てられた割当号機の情報を乗客に報知する。また、登録された行先階がロビー階である場合には、上ロビー階と下ロビー階のいずれが行先階として選択されたかを乗客に報知する。
【0041】
2−2.群管理制御装置の動作
群管理制御装置10は、行先階登録装置30で登録された行先階を、複数台のダブルデッキエレベータ60A〜60Dの上かご及び下かごのうちのいずれかのかごに割り当てる。
【0042】
具体的に、群管理制御装置10の制御部11は、割当依頼信号を、行先階登録装置30から入出力インタフェース13を介して受信すると、かご割当処理を開始する。割当依頼信号は、行先階登録装置30で登録された行先階を、複数台のダブルデッキエレベータ60A〜60Dの上かご及び下かごのうちのいずれかのかごに割り当てることを要求する信号である。割当依頼信号は、乗客によって登録された行先階を示す行先階を示す行先階情報と、当該行先階の登録操作が行われた階(出発階)を示す出発階情報と、当該行先階の登録が行われた行先階登録装置30を識別する識別情報とを含む。制御部11は、受信した割当依頼信号が示す行先階を、各ダブルデッキエレベータ60の運行情報等に基づいて、ダブルデッキエレベータ60A〜60Dの上かご及び下かごのうちのいずれかに割り当てる。また、受信した割当依頼信号が示す行先階がロビー階である場合には、制御部11は、各ダブルデッキエレベータ60の運行情報等に基づいて、上ロビー階と下ロビー階のいずれかを行先階とするかを決定する。
【0043】
制御部11は、割り当てたかご(割当かご)に対応する号機制御装置20に、新規行先階呼びの出発階から行先階への走行を指示する制御信号を出力する。
【0044】
以下、本実施形態のダブルデッキエレベータの群管理システムの動作についてより詳しく説明する。
【0045】
2−3.ダブルデッキエレベータの群管理システムの具体的動作
【0046】
2−3−1.行先階登録装置の具体的動作
ロビーボタン38が押された場合の行先階登録装置30の動作について説明する。
図7は、行先階登録装置30の動作の一例を示したフローチャートである。ここでは、ロビーボタン38が押された場合の動作のみ説明する。
【0047】
行先階登録装置30は、ロビーボタン38が押されたか否かを判断する(S11)。具体的には、行先階登録装置30の制御部31が、ロビーボタン38が押されたことによる信号を操作部35から受信した場合に、ロビーボタン38が押されたと判断する。
【0048】
ロビーボタン38が押されていない場合(S11でNO)、行先階登録装置30は、ステップS11を再度実行する。
【0049】
これに対し、ロビーボタン38が押された場合(S11でYES)、行先階登録装置30は、群管理制御装置10に、出発階、行先階を含む情報(割当依頼信号)を送信する(S12)。ロビーボタン38が押された場合の行先階はロビー階に設定される。群管理制御装置10は、割当依頼信号に基づいて割当かご決定処理を行い、その割当結果を行先階登録装置30に送信する。群管理制御装置10による割当かご決定処理については、
図8を参照して後述する。
【0050】
行先階登録装置30は、群管理制御装置10から割当結果を受信したか否かを判断する(S13)。
【0051】
群管理制御装置10から割当結果を受信していない場合(S13でNO)、行先階登録装置30は、ステップS13を再度実行する。
【0052】
これに対し、群管理制御装置10から割当結果を受信した場合(S13でYES)、行先階登録装置30は、表示部34に「割当号機」と「割当ロビー階」を所定時間表示する(
図3参照)。所定時間は、利用者が「割当号機」と「割当ロビー階」を視認可能な程度の長さの時間であり、例えば5秒である。割当号機とは、A号機〜D号機の中から群管理制御装置10により割り当てられた号機である。割当ロビー階とは、上ロビー階と下ロビー階の中から群管理制御装置10により割り当てられたロビー階である。
【0053】
2−3−2.群管理制御装置の具体的動作
群管理制御装置10により行われる割当かご決定処理について説明する。
図8は、群管理制御装置10により行われる割当かご決定処理の一例を示したフローチャートである。ここでは、行先階登録装置30でロビーボタン38が押された場合の群管理制御装置10の動作のみ説明する。
【0054】
群管理制御装置10は、ロビーボタン38が押されたことを示す割当依頼信号を受信したか否かを判断する(S15)。群管理制御装置10は、行先階がロビー階に設定された割当依頼信号を行先階登録装置30から受信した場合、ロビーボタン38が押された信号を受信したと判断する。
【0055】
ロビーボタン38が押されたことを示す割当依頼信号を受信していない場合(S15でNO)、群管理制御装置10は、ステップS15を再度実行する。
【0056】
これに対し、ロビーボタン38が押されたことを示す割当依頼信号を受信した場合(S15でYES)、群管理制御装置10は、号機番号carとして1を設定し、最大割当評価値Emaxを初期化して0に設定する(S16)。号機番号carが1の場合はA号機を意味し、号機番号carが2の場合はB号機を意味し、号機番号carが3の場合はC号機を意味し、号機番号carが4の場合はD号機を意味する。
【0057】
群管理制御装置10は、ロビー階lbとして下ロビー階を設定する(S17)。
【0058】
群管理制御装置10は、かごcageとして下かごを設定する(S18)。
【0059】
群管理制御装置10は、割当評価値E(car,cage,lb)を初期化する(S19)。具体的には、群管理制御装置10は、割当評価値E(car,cage,lb)に0を設定する。
【0060】
群管理制御装置10は、号機番号carの基準割当評価値Acalcを計算し、割当評価値E(car,cage,lb)に基準割当評価値Acalcを加算する(S20)。基準割当評価値Acalcの計算方法としては、最適な割当かごを決定するための公知の割当方法などを利用することができる。例えば、全号機及び全呼びについての待ち時間の総和やサービス完了時間の総和が最も少なくなる割当方法を利用することができる。本実施形態では、割当かごとして最適であるほど、基準割当評価値Acalcが大きくなる計算方法を用いている。
【0061】
群管理制御装置10は、割当評価値E(car,cage,lb)が最大割当評価値Emaxよりも大きいか否かを判断する(S21)。
【0062】
割当評価値E(car,cage,lb)が最大割当評価値Emaxよりも大きい場合(S21でYES)、群管理制御装置10は、現在処理中の割当パターン(car,cage,lbの組み合わせ)を最適な割当パターンとして記憶する(S22)。具体的には、最適号機best_carとして号機番号carを設定し、最適ロビー階best_lbとしてロビー階lbを設定し、最適かごbest_cageとしてかごcageを設定し、最大割当評価値Emaxに割当評価値E(car,cage,lb)を代入する。
【0063】
これに対し、割当評価値E(car,cage,lb)が最大割当評価値Emaxよりも大きくない場合(S21でNO)、群管理制御装置10は、後述するステップS23を実行する。すなわち、割当評価値E(car,cage,lb)が最大割当評価値Emaxよりも大きくない場合は、ステップS22をスキップすることで、直前のステップS22の処理で設定された割当パターンを保持する。
【0064】
群管理制御装置10は、かごcageとして下かごが設定されているか否かを判断する(S23)。
【0065】
かごcageとして下かごが設定されている場合(S23でYES)、群管理制御装置10は、かごcageとして上かごを設定し(S24)、ステップS19に戻る。つまり、下かごに対して実行したステップS19以降の処理を上かごに対しても同様に実行する。
【0066】
かごcageとして下かごが設定されていない場合(S23でNO)、群管理制御装置10は、ロビー階lbとして下ロビー階が設定されているか否かを判断する(S25)。
【0067】
ロビー階lbとして下ロビー階が設定されている場合(S25でYES)、群管理制御装置10は、ロビー階lbとして上ロビー階を設定し(S26)、ステップS18に戻る。すなわち、下ロビー階に対して実行したS18以降の処理を上ロビー階に対しても同様に実行する。
【0068】
ロビー階lbとして下ロビー階が設定されていない場合(S25でNO)、群管理制御装置10は、号機番号carに1を加算する(S27)。つまり、ステップS25の判断においてロビー階lbとして上ロビー階が設定されている場合には、号機番号carの下ロビー階と上ロビー階が順次ロビー階として設定された上で、号機番号carに関するステップS26までの処理が完了したことになるので、号機番号carに1を加算して、残りの号機に関する処理を行う。
【0069】
群管理制御装置10は、号機番号carがダブルデッキエレベータ60A〜60Dの台数以下であるか否かを判断する(S28)。
【0070】
号機番号carが台数以下である場合(S28でYES)、群管理制御装置10は、ステップS17に戻って、残りの号機に関してS17以降の処理を実行する。本実施形態では、ダブルデッキエレベータ60A〜60Dの台数は4であるため、号機番号carが2〜4に関して、S17以降の処理が繰り返される。
【0071】
このようにして、いずれの号機番号carに対しても、上かごおよび下かごとの組合せ並びに上ロビー階および下ロビー階との組合せに関する割当評価値E(car,cage,lb)がそれぞれ計算される。計算された割当評価値E(car,cage,lb)が、記憶されている最大割当評価値Emaxよりも大きい場合には、その割当評価値E(car,cage,lb)に対応する割当パターンを最適な割当パターンとして、号機番号car、かごcageおよびロビー階lbが記憶され、更新されていく。
【0072】
号機番号carが台数以下でない場合(S28でNO)、群管理制御装置10は、ステップS29を実行する。本実施形態では、ダブルデッキエレベータ60A〜60Dの台数は4であるため、号機番号carが5になると、号機番号carが台数以下でないと判断される。
【0073】
群管理制御装置10は、割当依頼信号の送信元の行先階登録装置30に、最適号機best_car、最適ロビー階best_lb、最適かごbest_cageを含む情報を送信する(S29)。
【0074】
当該情報を受信した行先階登録装置30は、前述したように、表示部34に、最適号機best_carを「割当号機」として表示し、最適ロビー階best_lbを「割当ロビー階」として所定時間表示する(S14)。所定時間は、前述したように例えば5秒である。
【0075】
図7、
図8のフローチャートでは、行先階登録装置30でロビーボタン38が押された場合の行先階登録装置30及び群管理制御装置10の動作を示したが、行先階登録装置30で通常階ボタン36が押された場合には、例えば以下の処理が行われる。具体的には、通常階ボタン36が押された場合には、行先階登録装置30は、群管理制御装置10に、出発階と、押された通常階ボタン36に対応する行先階を含む情報(割当依頼信号)を送信する。群管理制御装置10は、行先階登録装置30から、通常階ボタン36に対応する行先階を含む割当依頼信号を受信すると、ロビーボタン38が押されたときとは異なり、通常階ボタン36に対応する行先階のみに関して全号機の全かごについて基準割当評価値Acalc及び割当評価値E(car,cage)を求める。そして、割当評価値E(car,cage)が最大のかごを割当かごとして決定し、行先階登録装置30に最適号機best_car、最適かごbest_cageを含む割当結果の情報を送信する。行先階登録装置30は、群管理制御装置10から割当結果を受信すると、表示部34に「割当号機」を所定時間表示する。
【0076】
3.作用
図9、
図10、
図11は、本実施形態のダブルデッキエレベータの群管理システムの作用を説明した図である。
【0077】
図9は、ロビーボタン38が押された場合の本実施形態の割当方法による割当パターンを説明した図である。本実施形態の割当方法では、ロビーボタン38が押された場合、押された時点の運行状況に応じた割当評価値E(car,cage,lb)に基づいて、(1)「上ロビー階」と「上かご」、(2)「上ロビー階」と「下かご」、(3)「下ロビー階」と「下かご」、(4)「下ロビー階」と「上かご」の4種類の最適ロビー階best_lbと最適かごbest_cageの組み合わせの中から1種類の組み合わせが選択される。
【0078】
すなわち、本実施形態の割当方法によれば、ロビーボタン38が押された際の停止形態として、(1)「上ロビー階」と「上かご」、(3)「下ロビー階」と「下かご」という通常の組合せの停止形態に加えて、(2)「上ロビー階」と「下かご」、(4)「下ロビー階」と「上かご」という組合せの停止形態が実現可能である。このように群管理制御装置10が、
図9に示すような4つの停止形態の中から割当評価値E(car,cage,lb)に基づいて停止形態を選択することで、運行状況に応じた最適な1つの停止形態が選択される。そのため、利用者が行先階として上ロビー階と下ロビーを指定可能な場合と比べて、上かごと下かごの乗車率の偏りや、停止回数や、待ち時間やサービス完了時間などを減らすことができ、サービス性能および輸送能力を向上させることができる。
【0079】
図10は、A号機〜D号機の全てにおいて、下かごが上ロビー階に停止し、上かごが3階に停止している例を示す。下方向の3階への利用が増えた場合には、
図10に示す停止形態が輸送性能を向上させることがある。例えば、3階にレストランが入居しているとすると、昼食時に当該レストランへ向かう利用者と、外で食事するためにロビー階へ向かう利用者が同程度となる場合がある。このような状況において3階よりも上の階でロビーボタン38が押された場合、本実施形態では、割当評価値E(car,cage,lb)に基づいて、3階と上ロビー階とに1回の停止で応答することができる
図10に示す停止形態が選択されやすくなる。この停止形態では、ロビーボタン38を押した利用者の行先階は上ロビー階となる。
【0080】
図11は、A号機〜D号機の全てにおいて、上かごが下ロビー階に停止、下かごがB1階に停止している例を示す。下方向のB1階への利用が増えた場合には、
図11に示す停止形態が輸送能力を向上させることがある。例えば、B1階が地下鉄の駅と直結しているとすると、退勤時に、地下鉄利用のためB1階に向かう利用者と、地上階(1階)から帰宅するためロビー階へ向かう利用者が同程度となる場合がある。このような状況において3階よりも上の階でロビーボタン38が押された場合、本実施形態では、割当評価値E(car,cage,lb)に基づいて、B1階と下ロビー階とに1回の停止で応答することができる
図11に示す停止形態が選択されやすくなる。この停止形態では、ロビーボタン38を押した利用者の行先階は下ロビー階となる。
【0081】
図10、
図11では、A号機〜D号機の全てが同じ停止形態である場合を示したが、これは一例であり、A号機〜D号機の全てを同じ停止形態でさせるべきことを意味するものではない。
【0082】
4.まとめ
本実施形態のダブルデッキエレベータの群管理システムは、
それぞれ2個のかごを有する複数台のダブルデッキエレベータ60A〜60Dのいずれかのかごに、利用者により乗車前に登録された行先階呼びの割当てを行う群管理システムであって、
各利用者による行先階の指定操作を受け付ける複数の指定ボタンを有する行先階登録装置30と、
利用者毎に、指定ボタンで指定された行先階をいずれかのダブルデッキエレベータ60A〜60Dのいずれかのかごに割り当てる群管理制御装置10(制御装置の一例)と、を備え、
複数の指定ボタンのうち、上下に隣接する上ロビー階及び下ロビー階を指定するためのボタンが1つのロビーボタン38(共通ボタンの一例)に共通化され、
群管理制御装置10は、
ロビーボタン38に対して指定操作があった場合、かご毎に、行先階が上ロビー階であるときと、行先階が下ロビー階であるときとの両方について、割当評価値Eを求め、
求めた割当評価値Eのうち最適割当てを示す割当評価値を有するかごに行先階呼びを割当て、
上ロビー階及び下ロビー階のうち最適割当てを示す割当評価値が得られたロビー階を行先階呼びの行先階として設定する。
【0083】
本実施形態のダブルデッキエレベータの群管理システムによれば、上ロビー階と下ロビー階を1つのロビーボタン38として共通化し、ロビーボタン38が押された場合には、行先階を上ロビー階とするか下ロビー階とするかを群管理制御装置10が決定する。行先階を上ロビー階とするか下ロビー階とするかを利用者ではなく群管理制御装置10が決定することで、利用者が決定する場合に比べて、上かごと下かごの乗車率の偏りを減らすことができ、ダブルデッキエレベータの輸送性能を向上させることができる。
【0084】
また、本実施形態のダブルデッキエレベータの群管理システムによれば、
行先階登録装置30は、
表示部34を有し、表示部34に、行先階呼びの行先階として群管理制御装置10により設定されたロビー階を表示する。
【0085】
本実施形態のダブルデッキエレベータの群管理システムによれば、ロビーボタン38を押した利用者が上ロビー階に到着するのか下ロビー階に到着するのかを確認することができ、利便性を向上させることができる。
【0086】
本実施形態の行先階登録装置30は、
それぞれ2個のかごを有する複数台のダブルデッキエレベータ60A〜60Dを管理する群管理制御装置10に利用者の行先階を乗車前に登録する行先階登録装置であって、
利用者による行先階の指定操作を受け付ける複数の指定ボタンを有する操作部35と、
所定の情報を表示する表示部34と、
操作部35および表示部34を制御する制御部31とを備え、
操作部35の指定ボタンは、上下に隣接する上ロビー階及び下ロビー階を指定するためのボタンとして共通化された1つのロビーボタン38(共通ボタンの一例)を有し、
制御部31は、ロビーボタン38に対して指定操作があった場合、複数台のダブルデッキエレベータ60A〜60Dのうち群管理制御装置10によって割り当てられたダブルデッキエレベータ60を示す表示と、上ロビー階及び下ロビー階のうち群管理制御装置10によって行先階として設定されたロビー階を示す表示とを表示部34に表示させる。
【0087】
本実施形態の行先階登録装置30によれば、上ロビー階と下ロビー階を1つのロビーボタン38として共通化し、ロビーボタン38が押された場合には、行先階を上ロビー階とするか下ロビー階とするかを群管理制御装置10が決定する。行先階を上ロビー階とするか下ロビー階とするかを利用者ではなく群管理制御装置10が決定することで、利用者が決定する場合に比べて、上かごと下かごの乗車率の偏りを減らすことができ、ダブルデッキエレベータの輸送性能を向上させることができる。また、ロビーボタン38が押された場合に、群管理制御装置10により行先階として設定されたロビー階を表示部34に表示させることで、利用者の利便性を向上させることができる。
【0088】
(その他の実施形態)
(i)前記実施形態では、
図3に示すように、表示部34に割当号機と割当ロビー階を表示する場合について説明したが、このような場合に限らない。例えば、
図12Aに示すように、割当号機と割当ロビー階に加えて、割当かごを表示してもよい。
図12Aに示す例では、割当号機、割当ロビー階、割当かごとして、「A号機」、「上ロビー階」、「上かご」が表示されている。あるいは、
図12Bに示すように、割当号機のみを表示してもよい。
図12Bに示す例では、割当号機として、「A号機」が表示されている。
【0089】
(ii)前記実施形態では、
図8に示すように、割当評価値Eが最大となる場合を最大割当評価値Emaxとし、最適な割当パターンとして記憶する場合について説明したが、このような場合に限らない。最大割当評価値Emaxの代わりに最小割当評価値Eminを採用し、割当評価値Eが最小となる場合を最小割当評価値Eminとし、最適な割当パターンとして記憶してもよい。
【0090】
(iii)前記実施形態では、制御部11、21、31は、CPU、MPU等を利用して構成され、記憶部12、22、32から読み出したプログラムに基づいて種々のデータ等を利用して演算処理を行うことにより、各種の機能を実現している。つまり、各制御部11、21、31は、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現されている。しかし、各制御部11、21、31は、例えば、ハードウェア(電子回路)のみ、FPGA、ASIC等を利用して構成してもよい。