特許第6897768号(P6897768)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6897768
(24)【登録日】2021年6月14日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】ショット処理装置
(51)【国際特許分類】
   B24C 3/20 20060101AFI20210628BHJP
   B24C 9/00 20060101ALI20210628BHJP
   B24C 5/04 20060101ALI20210628BHJP
   B24C 3/22 20060101ALI20210628BHJP
   B23Q 39/04 20060101ALI20210628BHJP
   G01N 27/72 20060101ALI20210628BHJP
【FI】
   B24C3/20
   B24C9/00 Z
   B24C9/00 G
   B24C5/04 B
   B24C3/22
   B23Q39/04 A
   G01N27/72
【請求項の数】13
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2019-526653(P2019-526653)
(86)(22)【出願日】2018年5月8日
(86)【国際出願番号】JP2018017788
(87)【国際公開番号】WO2019003647
(87)【国際公開日】20190103
【審査請求日】2020年5月8日
(31)【優先権主張番号】特願2017-129166(P2017-129166)
(32)【優先日】2017年6月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100171583
【弁理士】
【氏名又は名称】梅景 篤
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 将克
(72)【発明者】
【氏名】神山 拓哉
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/198844(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/136737(WO,A1)
【文献】 特開平2−306875(JP,A)
【文献】 特開平4−66863(JP,A)
【文献】 特表2006−512215(JP,A)
【文献】 特開2016−43429(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/121632(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24C 3/00 − 3/34
B24C 5/04
B24C 9/00
G01N 27/72
B23Q 17/00
B23Q 39/00 − 41/08
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネットと、
前記キャビネットの内部に設けられた複数の室と、
前記キャビネットの内部に設けられ、上下方向に沿って延びる第一回転軸の周りの第一回転方向に回転可能な回転テーブルと、
前記回転テーブルの上面において周方向に間隔をあけて配置され、被処理対象物が載せられて保持される複数の載置テーブルと、
投射材を投射する投射機と、
前記被処理対象物の表面特性を検査する第一検査検出器と、
を備え、
前記複数の室は、前記第一回転軸の周りに並設されており、
前記複数の室は、投射材が被処理対象物に投射される投射室と、前記投射室よりも前記第一回転方向における下流に設けられた第一検査室と、を含み、
前記投射機は、前記複数の載置テーブルのうち前記投射室の内部に進入した第一載置テーブルの上に保持された被処理対象物に向けて投射材を投射し、
前記第一検査検出器は、前記複数の載置テーブルのうち前記第一検査室の内部に進入した第二載置テーブルの上方に昇降可能に配置され、前記第二載置テーブルの上に保持された被処理対象物の表面特性を検査する、ショット処理装置。
【請求項2】
前記被処理対象物の表面特性を検査する第二検査検出器をさらに備え、
前記複数の室は、前記投射室よりも前記第一回転方向における上流に設けられた第二検査室をさらに含み、
前記第二検査検出器は、前記複数の載置テーブルのうち前記第二検査室の内部に進入した第三載置テーブルの上方に昇降可能に配置されて前記第三載置テーブルの上に保持された被処理対象物の表面特性を検査する、請求項1に記載のショット処理装置。
【請求項3】
前記第一検査室に設けられ、前記第二載置テーブルの上に保持された前記被処理対象物に向けて気体の吹き付けが可能な吹付装置をさらに備える、請求項1又は請求項2に記載のショット処理装置。
【請求項4】
前記吹付装置は、前記第一検査検出器に向けて気体の吹き付けが可能な位置に設置されている、請求項3に記載のショット処理装置。
【請求項5】
前記キャビネットの中の粉塵を含む空気を吸引する集塵機をさらに備える、請求項3又は請求項4に記載のショット処理装置。
【請求項6】
前記第一検査検出器と前記第一検査検出器に接続されたアダプタとを一体的に昇降する昇降機構をさらに備える、請求項1又は請求項2に記載のショット処理装置。
【請求項7】
前記第一検査検出器と前記第一検査検出器に接続されたアダプタとを一体的に昇降する昇降機構をさらに備える、請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載のショット処理装置。
【請求項8】
前記アダプタは、前記回転テーブルの上方で前記第一回転軸の側に配置されている、請求項7に記載のショット処理装置。
【請求項9】
前記吹付装置は、平面視で前記回転テーブルの外側に配置されている、請求項8に記載のショット処理装置。
【請求項10】
前記吹付装置のノズルは、前記アダプタに固定されている、請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載のショット処理装置。
【請求項11】
前記キャビネットの外側に設定された検査エリアから、載置位置に被処理対象物を搬送する搬送装置と、
前記検査エリアに配置された被処理対象物の表面の残留応力を測定する残留応力測定装置と、
をさらに備え、
前記複数の室は、被処理対象物を前記キャビネットに搬入するための搬入室をさらに含み、
前記載置位置は、前記複数の載置テーブルのうち、前記搬入室に位置する第四載置テーブル上の位置であり、
前記第一検査検出器は、被処理対象物の電磁気特性を検出する、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のショット処理装置。
【請求項12】
前記キャビネットの内部に搬入される前の被処理対象物が載せられる第一載置部と、
前記キャビネットの内部から搬出された被処理対象物が載せられる第二載置部と、
をさらに備え、
前記複数の室は、被処理対象物を前記キャビネットから搬出するための搬出室をさらに含み、
前記搬送装置は、被処理対象物を前記第一載置部から前記キャビネットの内部に搬入して前記第四載置テーブルに載せると共に、前記第一検査検出器によって電磁気特性の検査が行われた被処理対象物を前記複数の載置テーブルのうちの前記搬出室に位置する第五載置テーブルから搬出して前記第二載置部に載せ、
前記残留応力測定装置は、前記第一載置部に載せられた被処理対象物の表面の残留応力を測定する第一残留応力測定装置と、前記第二載置部に載せられた被処理対象物の表面の残留応力を測定する第二残留応力測定装置と、を含む、請求項11に記載のショット処理装置。
【請求項13】
前記複数の載置テーブルのそれぞれは、前記第一回転軸と平行な第二回転軸の周りに回転可能である、請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載のショット処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ショット処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1の第2実施形態には、検査検出器が処理室(投射室)内に内蔵された表面処理装置(ショット処理装置)が開示されている。簡単に説明すると、この表面処理装置では、検査検出器は、シリンダの駆動によって、被検体であるギヤを評価する位置に移動可能であり、検査検出器の外側には、ショットピーニング処理時に検査検出器を保護するための検出器防護パネルが設けられている。検出器防護パネルは、検査検出器の側面を覆うように設けられた固定パネルと、検査検出器の下面を覆うように設けられた可動パネルとからなる。可動パネルは、シリンダの駆動によって、固定パネル側の一端を回動中心として回動可能であり、ショットピーニング処理時には検査検出器の下方を閉塞する位置に配置され、ショットピーニング処理後の検査時には検査検出器の下方を開放する位置に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5877505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記先行技術の表面処理装置では、一個のギヤを処理室に搬入してから加工(ショットピーニング処理)及び検査をして搬出するまでの間、他のギヤを搬入出、加工及び検査することができないので、サイクルタイムの点で不利である。また、上記先行技術の表面処理装置では、検査検出器に加えて、当該検査検出器を保護するための検出器防護パネル及び当該検出器防護パネルの可動パネルを回動させるための機構を処理室内に設ける必要があるので、処理室内の構造が複雑化してしまう。
【0005】
本開示は、装置内に検査検出器を内蔵する構成を有しながら、サイクルタイムを短縮することができると共に投射室内の構造の複雑化を回避することができるショット処理装置を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係るショット処理装置は、キャビネットと、キャビネットの内部に設けられた複数の室と、キャビネットの内部に設けられ、上下方向に沿って延びる第一回転軸の周りの第一回転方向に回転可能な回転テーブルと、回転テーブルの上面において周方向に間隔をあけて配置され、被処理対象物が載せられて保持される複数の載置テーブルと、投射材を投射する投射機と、被処理対象物の表面特性を検査する第一検査検出器と、を備える。複数の室は、第一回転軸の周りに並設されている。複数の室は、投射材が被処理対象物に投射される投射室と、投射室よりも第一回転方向における下流に設けられた第一検査室と、を含む。投射機は、複数の載置テーブルのうち投射室の内部に進入した第一載置テーブルの上に保持された被処理対象物に向けて投射材を投射する。第一検査検出器は、複数の載置テーブルのうち第一検査室の内部に進入した第二載置テーブルの上方に昇降可能に配置され、第二載置テーブルの上に保持された被処理対象物の表面特性を検査する。
【0007】
上記構成によれば、キャビネットの内部には、複数の室が、上下方向に沿って延びる第一回転軸の周りに並設されると共に、第一回転軸の周りに回転可能な回転テーブルが設けられている。回転テーブルの上面において周方向に間隔をあけて配置された複数の載置テーブルには、被処理対象物が載せられて保持される。複数の載置テーブルのうち投射室の内部に進入した第一載置テーブルの上に保持された被処理対象物に向けて投射機が投射材を投射する。
【0008】
ここで、第一検査検出器は、投射室よりも第一回転方向における下流に設けられた第一検査室の内部に進入した第二載置テーブルの上方に昇降可能に配置され、第二載置テーブルの上に保持された被処理対象物の表面特性を検査する。
【0009】
以上により、一個の被処理対象物をいずれかの載置テーブル上に搬入してから投射処理及び検査を行って、当該載置テーブルから搬出するまでの間、他の被処理対象物を搬入出、投射処理及び検査することができる。また、被処理対象物の表面特性の検査は、投射室以外の第一検査室で行われるので、投射室内の構造を複雑化する必要もない。
【0010】
一実施形態のショット処理装置は、被処理対象物の表面特性を検査する第二検査検出器をさらに備えてもよい。複数の室は、投射室よりも第一回転方向における上流に設けられた第二検査室をさらに含んでもよい。第二検査検出器は、複数の載置テーブルのうち第二検査室の内部に進入した第三載置テーブルの上方に昇降可能に配置されて第三載置テーブルの上に保持された被処理対象物の表面特性を検査してもよい。
【0011】
上記構成によれば、第二検査検出器は、第二検査室の内部に進入した第三載置テーブルの上に保持された被処理対象物の表面特性を検査する。第二検査室は、投射室よりも第一回転方向における上流に設けられているので、投射される前の状態の被処理対象物の表面特性を検査することができる。
【0012】
一実施形態のショット処理装置は、第一検査室に設けられ、第二載置テーブルの上に保持された被処理対象物に向けて気体の吹き付けが可能な吹付装置をさらに備えてもよい。
【0013】
上記構成によれば、被処理対象物に投射材及び粉塵が付着していても、吹付装置から被処理対象物に気体を吹き付けることで、当該投射材及び粉塵を吹き飛ばすことができるので、被処理対象物の表面特性を高精度に検査することができる。
【0014】
一実施形態のショット処理装置では、吹付装置は、第一検査検出器に向けて気体の吹き付けが可能な位置に設置されてもよい。
【0015】
上記構成によれば、第一検査検出器に粉塵が付着していても、吹付装置から気体を吹き付けることにより粉塵を吹き飛ばすことができるので、第一検査検出器に粉塵が溜まるのを防止又は効果的に抑制することができる。その結果、第一検査検出器は、検査精度が良い状態(初期状態と概ね同様の状態)に保たれるので、被処理対象物の表面特性を一層高精度に検査することができる。
【0016】
一実施形態のショット処理装置は、キャビネットの中の粉塵を含む空気を吸引する集塵機をさらに備えてもよい。
【0017】
上記構成によれば、吹付装置による気体の吹き付けによって粉塵等が被処理対象物から吹き飛ばされ、吹き飛ばされた粉塵等は、空気と共に集塵機によって吸引される。このため、被処理対象物の表面特性をより一層高精度に検査することができる。
【0018】
一実施形態のショット処理装置は、第一検査検出器と第一検査検出器に接続されたアダプタとを一体的に昇降する昇降機構をさらに備えてもよい。
【0019】
上記構成によれば、第一検査検出器とアダプタとが一体的に昇降するので、簡易な構成で第一検査検出器の検出性能を維持することができる。
【0020】
一実施形態のショット処理装置では、アダプタは、回転テーブルの上方で第一回転軸の側に配置されてもよい。
【0021】
上記構成によれば、アダプタは、回転テーブルの上方で第一回転軸の側に配置されているので、例えば、第一検査室の内面側のメンテナンスがしやすい。
【0022】
一実施形態のショット処理装置では、吹付装置は、平面視で回転テーブルの外側に配置されてもよい。
【0023】
上記構成によれば、アダプタが回転テーブルの上方で第一回転軸の側に配置されているのに対して、吹付装置は、平面視で回転テーブルの外側に配置されている。このため、吹付装置によって吹き出された気体がアダプタによって進路妨害されてしまうのを防ぐことができる。
【0024】
一実施形態のショット処理装置では、吹付装置のノズルは、アダプタに固定されてもよい。
【0025】
上記構成によれば、吹付装置のノズルはアダプタと一体的に昇降するので、第一検査室内の空間を有効に利用することができる。
【0026】
一実施形態のショット処理装置は、キャビネットの外側に設定された検査エリアから載置位置に被処理対象物を搬送する搬送装置と、検査エリアに配置された被処理対象物の表面の残留応力を測定する残留応力測定装置と、をさらに備えてもよい。複数の室は、被処理対象物をキャビネットに搬入するための搬入室をさらに含んでもよい。載置位置は、複数の載置テーブルのうち、搬入室に位置する第四載置テーブル上の位置であってもよい。第一検査検出器は、被処理対象物の電磁気特性を検出してもよい。
【0027】
上記構成によれば、搬送装置は、キャビネットの外側に設定された検査エリアから、搬入室に位置する第四載置テーブルの上の載置位置に被処理対象物を搬送し、残留応力測定装置は、検査エリアに配置された被処理対象物の表面の残留応力を測定する。これに対して、第一検査検出器は、被処理対象物の電磁気特性を検出する。このため、被処理対象物の電磁気特性を検出することができると共に被処理対象物の表面の残留応力を測定することができる。
【0028】
一実施形態のショット処理装置は、キャビネットの内部に搬入される前の被処理対象物が載せられる第一載置部と、キャビネットの内部から搬出された被処理対象物が載せられる第二載置部と、をさらに備えてもよい。複数の室は、被処理対象物をキャビネットから搬出するための搬出室をさらに含んでもよい。搬送装置は、被処理対象物を第一載置部からキャビネットの内部に搬入して第四載置テーブルに載せると共に、第一検査検出器によって電磁気特性の検査が行われた被処理対象物を複数の載置テーブルのうちの搬出室に位置する第五載置テーブルから搬出して第二載置部に載せてもよい。残留応力測定装置は、第一載置部に載せられた被処理対象物の表面の残留応力を測定する第一残留応力測定装置と、第二載置部に載せられた被処理対象物の表面の残留応力を測定する第二残留応力測定装置と、を含む。
【0029】
上記構成によれば、キャビネットの内部に搬入される前の被処理対象物の表面の残留応力が測定される。また、キャビネットから搬出された被処理対象物の表面の残留応力が測定される。このため、投射される前後の状態の被処理対象物の表面の残留応力を測定することができる。
【0030】
一実施形態のショット処理装置では、複数の載置テーブルのそれぞれは、第一回転軸と平行な第二回転軸の周りに回転可能であってもよい。
【発明の効果】
【0031】
本開示のショット処理装置によれば、装置内に検査検出器を内蔵する構成を有しながら、サイクルタイムを短縮することができると共に投射室内の構造の複雑化を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、一実施形態に係るショットピーニング装置を示す右側面図である。
図2図2は、一実施形態に係るショットピーニング装置を示す正面図である。
図3図3は、一実施形態に係るショットピーニング装置を示す平面図である。
図4図4は、一実施形態に係るショットピーニング装置を示す左側面図である(ダクトの図示を省略する。)。
図5図5は、図1の5−5線に沿った拡大断面図である。
図6図6は、図1の6−6線に沿った拡大断面図である。
図7図7は、図6の7−7線に沿った断面図である。
図8図8は、図3の8−8線に沿った拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本開示の一実施形態に係るショット処理装置としてのショットピーニング装置について図1図8を用いて説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは装置正面視の手前を示しており、矢印UPは上方を示しており、矢印LHは装置正面視の左側を示している。また、図5図8では、便宜上パネルの切断面を示すハッチングを省略している。
【0034】
(ショットピーニング装置の構成)
図1は、一実施形態に係るショットピーニング装置を示す右側面図である。図2は、一実施形態に係るショットピーニング装置を示す正面図である。図3は、一実施形態に係るショットピーニング装置を示す平面図である。図4は、一実施形態に係るショットピーニング装置を示す左側面図である。
【0035】
図1に示されるように、ショットピーニング装置10は、箱状に形成されたキャビネット12を備えている。図2に示されるように、キャビネット12には、投射材投入部14が設けられている。投射材投入部14の上部には、投射材の投入用の投入口が形成されている。投入口は、開閉可能に構成されている。キャビネット12には、その内部に被処理対象物を搬入出するための搬入出口16が形成されている。なお、ショットピーニング処理の被処理対象物としては、例えば歯車等の製品が用いられ得る。本実施形態では一例として、材質がSCM420(クロムモリブデン鋼)の浸炭焼入れ歯車が用いられる。被処理対象物の寸法は、一例として直径102mmで高さ30mmである。
【0036】
キャビネット12の右側には操作盤100が設けられている。制御盤は、操作盤100と、記憶部と、を含む。記憶部は、ショットピーニング装置10の制御処理のプログラムを記憶する。ショットピーニング装置10は、作業者による操作盤100の操作に応じてプログラムを実行して作動する。
【0037】
図5は、図1の5−5線に沿った拡大断面図である。図6は、図1の6−6線に沿った拡大断面図である。図5に示されるように、キャビネット12の内部には、複数の室が設けられている。複数の室は、搬入室20Aと、搬出室20Bと、検査室22A(第二検査室)と、検査室22B(第一検査室)と、投射室24Aと、投射室24Bと、を含む。キャビネット12の内部の後方には、二つの投射室24A,24Bが互いに隣り合うように設けられている。キャビネット12の内部の前方には、搬入室20A及び搬出室20Bが互いに隣り合うように設けられている。キャビネット12の内部には、搬入室20Aと投射室24Aとの間に検査室22Aが設けられると共に、投射室24Bと搬出室20Bとの間に検査室22Bが設けられている。
【0038】
搬入室20A、検査室22A、投射室24A、投射室24B、検査室22B、及び搬出室20Bは、その順で、上下方向に延びる回転軸41の周りに(周方向に)配列(並設)されている。搬入室20A、検査室22A、投射室24A、投射室24B、検査室22B及び搬出室20Bの各室は、壁板状の仕切部26によって仕切られている。各室は、ステーションと呼ばれる場合もある。言い換えれば、キャビネット12の内部には周方向に等分割されたマルチステーションが設定されている。
【0039】
搬入室20Aは、被処理対象物Wをキャビネット12に搬入するための室である。搬出室20Bは、被処理対象物Wをキャビネット12から搬出するための室である。検査室22Aは、ショットピーニング処理が行われる前の被処理対象物Wの表面特性を検査するための室である。検査室22Bは、ショットピーニング処理が行われた後の被処理対象物Wの表面特性を検査するための室である。投射室24A,24Bは、投射材が被処理対象物Wに投射される室である。キャビネット12の内部における下部には、被処理対象物Wが載置される製品載置部18が設けられている。製品載置部18については詳細後述する。
【0040】
ショットピーニング装置10は、キャビネット12の後方に設けられた一対の噴射装置(「空気式加速装置」ともいい、「エア式ショットピ−ニング機のユニット」として把握される要素である。)30を備えている。噴射装置30は、投射室24A及び投射室24Bのそれぞれに対応して一台ずつ計二台設けられている。二台の噴射装置30は配置位置を除いて同様の構成であるので、これらに付す符号は同一符号とする。噴射装置30は、ノズル30Aと、配管部30Bと、ミキシングバルブ30Cと、エア供給部30Dと、流量調整装置30Eと、カットゲート30Fと、加圧タンク30Gと、ショットゲート30Hと、投射材タンク30Iと、を備えている。
【0041】
各噴射装置30のノズル30Aは、キャビネット12の背面を挿通しており、ノズル30Aの先端はキャビネット12の内部に向けられている。噴射装置30は、投射材を含む圧縮空気をノズル30Aから噴射(広義には投射)して投射室24A,24Bに位置する被処理対象物Wに対して投射材を衝突させるように構成されている。なお、本実施形態では、投射材には、一例として、ビッカース硬さが700HVで、粒径が直径0.6mmのコンディションドカットワイヤーが用いられている。
【0042】
ノズル30Aは、図1に示される配管部30Bを介してミキシングバルブ30Cに接続されている。ミキシングバルブ30Cは、エア供給部30D(図中ではブロック化して図示)に接続されると共に、流量調整装置30E及びカットゲート30Fを順に介して加圧タンク30Gに接続されている。ミキシングバルブ30Cは、流量調整装置30Eから供給される投射材とエア供給部30Dから供給される圧縮空気とを混合する。加圧タンク30Gは、その上方に配置されるショットゲート30H等を介して投射材タンク30Iに接続されている。投射材タンク30Iは、ショットゲート30Hの上方に配置されている。
【0043】
一方、ショットピーニング装置10は、循環装置36を備えている。循環装置36は、噴射装置30のノズル30A(図5参照)から噴射された投射材を再び投射材タンク30Iへ搬送することで投射材を循環させるための装置である。循環装置36は、ホッパ36Aと、下部スクリューコンベヤ36Bと、バケットエレベータ36Cと、セパレータ36Dと、振動篩36Eと、駆動用モータ36Gと、を備えている。ホッパ36Aは、投射室24A,24B(図5参照)の下方において投射材を回収するための装置である。ホッパ36Aの下端には、下部スクリューコンベヤ36Bが設けられている。下部スクリューコンベヤ36Bは、駆動用モータ36Gに接続されている。
【0044】
下部スクリューコンベヤ36Bは、左右方向(図1の紙面に垂直な方向)を長手方向として水平に配置されている。下部スクリューコンベヤ36Bは、軸周りに回転することで、ホッパ36Aから流れ落ちた投射材を装置左側(図1の紙面奥側)に搬送するように構成されている。下部スクリューコンベヤ36Bの搬送下流側の端部は、バケットエレベータ36Cの下部収集部に臨む位置に配置されている。
【0045】
バケットエレベータ36Cは、公知であるため詳細説明を省略するが、一対のプーリ(図示省略)と、無端ベルト(図示省略)と、複数のバケット(図示省略)と、を備えている。一対のプーリは、ショットピーニング装置10の上部及び下部に配置されている。プーリはモータ駆動で回転可能に構成されている。無端ベルトは、一対のプーリに巻き掛けられている。複数のバケットは、無端ベルトに取り付けられている。この構成により、バケットエレベータ36Cは、装置下部に落下して下部スクリューコンベヤ36Bで回収された投射材をバケットで掬い上げると共に、プーリを回転させることで、バケット内の投射材等を装置下部から装置上部(キャビネット12の上方)へ搬送する。
【0046】
図3に示されるように、バケットエレベータ36Cの上端部には、配管を介して風選式のセパレータ36Dが接続されている。このセパレータ36Dには、バケットエレベータ36Cの上端部まで搬送された投射材が配管を介して流し込まれる。セパレータ36Dは、ダクト38E,38C2を介して集塵機38Aのエア吸引部(ブロワ)に接続されている。集塵機38Aは、投射材に混入した微粉等の異物(不純物)を回収するための装置である。セパレータ36Dは、集塵機38Aによりエアが吸引されることによって、投射材を分級する。セパレータ36Dは、投射材タンク30Iに連通しており、搬送された投射材のうち分級された適正な投射材のみを投射材タンク30Iへ流す。
【0047】
図4に示されるように、投射材タンク30Iには、配管部等を介して振動篩36Eが接続されている。振動篩36Eには、投射材タンク30Iの容量を超えた分の投射材が流される。振動篩36Eは、投射材を篩い分けるための金網部を備える。振動篩36Eは、当該金網部を振動させることで投射材を大きさに応じて篩い分け、適正な大きさの投射材のみをキャビネット12内に戻すように配置されている。
【0048】
一方、図1に示されるように、キャビネット12の前面寄りの上方には、外気取り込み用のベンチレータ38B(換気装置)が配置されている。キャビネット12の背面側(図5に示される投射室24Bの側)の上部に形成された吸出口12Eにはダクト38C1が接続されている。ショットピーニングによってキャビネット12の内部に発生した粉塵は、キャビネット12の吸出口12Eから吸引される。ダクト38C1とダクト38C2との間にはセトリングチャンバ(広義にはセパレータ)38Dが介在している。
【0049】
セトリングチャンバ38Dは、吸引された粉塵を含む空気に分級流を生じさせ、吸引された空気中の粒子を分離する。セトリングチャンバ38Dは、バケットエレベータ36Cの下部に向かって延びる流路部に接続されている。セトリングチャンバ38Dで分離された投射材は、バケットエレベータ36Cの下端部に流されて再び利用される。図3に示されるように、ダクト38C2には集塵機38Aが接続されている。集塵機38Aは、ダクト38C1、セトリングチャンバ38D及びダクト38C2を介して、キャビネット12の中の粉塵を含む空気を吸引し、ダクト38C1、セトリングチャンバ38D及びダクト38C2を経た空気中の粉塵を濾過して空気のみを装置外に排出する。
【0050】
次に、図5に示される製品載置部18について説明する。
【0051】
製品載置部18は、円板状の大テーブル40(回転テーブル)と、複数(本実施形態では六個の)の小テーブル42(載置テーブル)と、を備えている。複数の小テーブル42は、大テーブル40の上面の外周側に、大テーブル40の周方向に一定間隔をあけて環状に配置されている。すなわち、製品載置部18は、所謂マルチテーブルの構造を有する。大テーブル40は、上下方向に沿って延びる回転軸41(第一回転軸)の周りに回転(公転)可能に構成されている。複数の小テーブル42の直径は、大テーブル40の直径よりも小さい。小テーブル42は、大テーブル40に回転(自転)可能に保持されている。小テーブル42には、被処理対象物Wが載せられて保持される。小テーブル42の回転軸43(第二回転軸)は、大テーブル40の回転軸41と平行に設定されている。
【0052】
複数の小テーブル42は、大テーブル40の回転に伴って、搬入室20A、検査室22A、投射室24A、投射室24B、検査室22B、及び搬出室20Bの順に、各ステーションを循環移動する。複数の小テーブル42のうち投射室24A,24Bの内部に進入した小テーブル42(第一載置テーブル)の上に保持された被処理対象物Wに向けて噴射装置30が投射材を投射する。なお、仕切部26には、大テーブル40の回転時に小テーブル42及び被処理対象物Wを通過させるための切欠部等が形成されている。また、キャビネット12において、大テーブル40の周囲に配置されるシート状の部位12Zには、投射材通過用の複数の孔部(図示省略)が貫通形成されている。
【0053】
図8は、図3の8−8線に沿った拡大断面図である。図8に示されるように、大テーブル40の回転軸41の下端部は軸受部46を介してベース部48上に配置されている。大テーブル40の回転軸41の上端部はカップリングを介して割出装置50(広義には「回転駆動機構」として把握される要素である。)に接続されている。
【0054】
割出装置50としては、公知の割出装置が適用されるため詳細図示を省略する。割出装置50は、大テーブル40をタクト送りするためのブレーキ付駆動モータと、大テーブル40を位置決めするための位置決めクランプと、当該位置決めクランプの作動用の位置決めシリンダと、を備えている。これにより、割出装置50は、小テーブル42の配置に応じて設定された回転角度(本実施形態では60°)刻みで大テーブル40を回転軸41周りに回転させる。すなわち、割出装置50は、小テーブル42の位置に応じた回転角度で大テーブル40をタクト送りさせて回転させる。割出装置50が大テーブル40を一時停止させた状態(公転停止位置にある状態)では、図5に示されるように、搬入室20A、検査室22A、投射室24A、投射室24B、検査室22B、及び搬出室20Bのそれぞれの所定位置に小テーブル42が1つずつ配置される。
【0055】
投射室24A,24Bの上部には、図8に示される押さえ機構52(押さえ治具)が設けられている。なお、図8では、投射室24Bに設けられた押さえ機構52を図示しているが、投射室24A(図5参照)にも押さえ機構52と同様の押さえ機構が設けられている。押さえ機構52は、小テーブル42上の被処理対象物Wを上方から押さえるための押さえ部54Aを備えている。押さえ部54Aは、複数のシャフトが直列的に連結された押さえ用シャフト54の下端部を構成している。押さえ用シャフト54の上端部は軸受56に支持されている。押さえ用シャフト54は、軸受56に対して上下方向に相対移動することができないが、軸受56に対して押さえ用シャフト54の軸周りに回転可能に構成されている。これにより、押さえ部54Aは、押さえ用シャフト54と共に上下方向に沿って延びる軸線周りに回転可能である。
【0056】
軸受56は、シリンダ機構58(「昇降機構」としても把握される要素である。)のロッド(図示省略)の下端部に設けられた連結部58Aに固定されている。シリンダ機構58としては、公知のシリンダ機構(一例として、後述するシリンダ機構78と実質的に同様の機構)が用いられる。シリンダ機構58のシリンダ部58Sは、キャビネット12の天井部に部材を介して取り付けられている。シリンダ機構58は、前記ロッドがシリンダ部58Sに対して進退することで、軸受56及び押さえ用シャフト54を上下方向に変位させる。シリンダ機構58の作動によって、押さえ部54Aは、被処理対象物Wを押さえる位置と、それよりも上方の退避位置と、の間で移動し得る。
【0057】
一方、押さえ用シャフト54の上端部の外周部には、ギヤ60Aが同軸的に固着されている。ギヤ60Aの下方には、ギヤ60Aに対して噛み合い可能(連結可能)なギヤ60Bが設けられている。ギヤ60Bは、ギヤ60Aと噛み合った状態(連結した状態)でギヤ60Aに回転駆動力を伝える。ギヤ60Aとギヤ60Bとは、シリンダ機構58の作動によって接離可能に構成されている。ギヤ60Aは、押さえ部54Aが被処理対象物Wを押さえる位置に達した場合にギヤ60Bと噛み合う位置に配置される。ギヤ60Bは、駆動力伝達機構を介して駆動モータ62(広義にはアクチュエータ)に接続されている。すなわち、駆動モータ62は、駆動力伝達機構を介してギヤ60Bを回転駆動させる。
【0058】
押さえ機構52では、作業者による操作盤100(図2参照)の操作に応じて、シリンダ機構58が作動することで、押さえ部54Aが下降して被処理対象物Wを押さえて固定する。押さえ部54Aが被処理対象物Wを押さえている状態では、押さえ用シャフト54に固着されたギヤ60Aがギヤ60Bと噛み合い、この状態で駆動モータ62が作動することで、駆動モータ62の駆動力がギヤ60B、ギヤ60A、及び押さえ用シャフト54を介して被処理対象物W及び小テーブル42に伝達され、被処理対象物W及び小テーブル42が予め設定された所定位置で回転する。なお、小テーブル42の回転数は、本実施形態では一例として40.9rpm/60Hzに設定されている。
【0059】
図7は、図6の7−7線に沿った断面図である。図6及び図7に示されるように、投射室24A,24Bに対して大テーブル40の回転方向(第一回転方向)の下流に位置する検査室22Bには、検査検出器72(第一検査検出器)及び吹付装置64が設けられている。検査検出器72は、検査プローブとも称される。すなわち、検査室22Bは、吹付装置64が設けられたエアブロー室を兼ねている。
【0060】
検査検出器72は、複数の小テーブル42のうち検査室22Bの内部に進入した小テーブル42(第二載置テーブル)の上方に昇降可能に配置されている。検査検出器72は、当該小テーブル42の上に保持された被処理対象物Wの表面特性を検査する。検査検出器72は、筒状に形成されている。検査検出器72は、被処理対象物Wの磁性評価用のコイルを備え、被処理対象物Wの電磁気特性を検出する。コイルは、被処理対象物Wに渦電流を励起する。
【0061】
図6及び図7に示される検査検出器72を備えた磁性評価装置70は、キャビネット12側に設置されている。磁性評価装置70は、渦電流を用いて被処理対象物Wにおける加工対象部の全体の表面層の状態を検査する。磁性評価装置70は、被処理対象物Wにおけるムラの有無及び金属組織の状態について磁性評価することによって、被処理対象物Wの合否を判定する。この磁性評価装置70は、検査検出器72に接続されたアダプタ74を備えている。アダプタ74は、交流電流を制御する機能を有すると共に、高い周波数の交流電力を検査検出器72のコイルに供給する。アダプタ74は、表示等の機能を有するパネル(図示省略)に配線(図示省略)を介して接続されている。磁性評価装置70は、交流電力が供給されている状態の検査検出器72による検出結果に基づいて、被処理対象物Wの表面状態を評価する。
【0062】
アダプタ74は、大テーブル40の上方で大テーブル40の回転軸41の側に配置され、検査検出器72と一体化されている。図7に示されるように、アダプタ74には、ブラケット76を介してシリンダ機構78(「昇降機構」としても把握される要素である。)のロッド部78Aが連結されている。ロッド部78Aは、検査検出器72の上方において上下方向を軸線方向として配置されている。ロッド部78Aの先端部(下端部)がブラケット76に固定されている。ロッド部78Aの基端部(上端部)はピストン部78Bに固定されている。ピストン部78Bは、シリンダ部78C内で空気圧(広義には流体圧)によって往復運動可能に構成されている。すなわち、検査検出器72とアダプタ74とは、シリンダ機構78のピストン部78Bが往復運動してロッド部78Aが伸縮することで、一体的に昇降するように構成されている。
【0063】
シリンダ部78Cは、エア方向制御機器(電磁弁等)80を介してエア供給源82と接続されている。エア方向制御機器80は、制御部84に接続されている。制御部84は、前述した制御盤に設けられた機能部であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)等を有する電子回路を備えている。制御部84は、エア方向制御機器80を制御することで、ピストン部78Bの変位を制御し得る。作業者による操作盤100(図2参照)の操作に応じて、ピストン部78Bが下降して検査検出器72が被処理対象物Wの設置面まで下降すると、検査検出器72は、被処理対象物Wを囲むように配置されると共にその位置でショットピーニング処理後の被処理対象物Wの電磁気特性を検出する。磁性評価装置70は、電磁気特性の検出結果に基づいて被処理対象物Wの状態を評価(判定)する。
【0064】
図6に示されるように、吹付装置64は、検査室22Bにおいて平面視で大テーブル40の外側(大テーブル40に対してその半径方向外側)に配置されている。吹付装置64の複数のノズル64Aは、キャビネット12に固定されて小テーブル42の停止位置の上方へ向けられている。ノズル64Aは、本実施形態では一例として斜め下方に向けられている。ノズル64Aは、各々図示しないダクトに接続されており、ダクトは、図示しない圧縮空気供給部に接続されている。これらにより、吹付装置64は、複数の小テーブル42のうち検査室22Bの内部に進入した小テーブル42の上に保持された被処理対象物Wに向けて気体を吹き付けることが可能である。吹付装置64は、下降位置(検査位置)に位置する検査検出器72に向けて気体を吹き付けることが可能な位置に設定されている。
【0065】
吹付装置64は、制御部84に接続されている。制御部84は、一例として、図7に示されるシリンダ機構78により検査検出器72が下降している間及び検査検出器72が検査位置に配置されてから所定時間の間(検査検出器72が被処理対象物Wの検査を開始する前まで)、吹付装置64が気体の吹き付けを実行するように、吹付装置64の吹き付けタイミングを制御している。
【0066】
一方、図6に示されるように、投射室24A,24Bに対して大テーブル40の回転方向の上流に位置する検査室22Aには、検査検出器92(第二検査検出器)が設けられている。検査検出器92は、検査プローブとも称される。すなわち、本実施形態のショットピーニング装置10では、キャビネット12の中に計二個の検査検出器(検査検出器72及び検査検出器92)が設けられている。検査検出器92は、複数の小テーブル42のうち検査室22Aの内部に進入した小テーブル42(第三載置テーブル)の上方に昇降可能に配置されている。検査検出器92は、当該小テーブル42の上に保持された被処理対象物Wの表面特性を検査する。検査検出器92は、筒状に形成されている。検査検出器92は、被処理対象物Wの磁性評価用のコイルを備え、被処理対象物Wの電磁気特性を検出する。コイルは、被処理対象物Wに渦電流を励起する。
【0067】
図6及び図7に示される検査検出器92を備えた磁性評価装置90は、検査検出器92に接続されたアダプタ94を備えている。アダプタ94は、交流電流を制御する機能を有すると共に、高い周波数の交流電力を検査検出器92のコイルに供給する。アダプタ94は、表示等の機能を有するパネル(図示省略)に配線(図示省略)を介して接続されている。
【0068】
この検査室22Aに設けられた磁性評価装置90は、検査室22Bに設けられた磁性評価装置70と同様の装置構成を有している。なお、磁性評価装置70及び磁性評価装置90は、広義には「非破壊検査装置」として把握される。磁性評価装置70及び磁性評価装置90は、被処理対象物Wの処理全面を前工程との対比で相対評価することが可能である。
【0069】
アダプタ94は、大テーブル40の上方で大テーブル40の回転軸41の側に配置され、検査検出器92と一体化されている。検査検出器92とアダプタ94とは、一体的に昇降するように構成されている。図7に示されるように、アダプタ94には、ブラケット176を介してシリンダ機構178のロッド部178Aが連結されている。なお、検査検出器92及びアダプタ94を昇降させるための構成は、検査検出器72及びアダプタ74を昇降させるための構成と同様の構成である。このため、検査検出器92及びアダプタ94を昇降させるための各構成要素については、検査検出器72及びアダプタ74を昇降させるための各構成要素の符号の先頭に「1」を付した符号を図中に示すと共に、それらの説明を省略する。
【0070】
エア方向制御機器180は、制御部84に接続されている。制御部84は、エア方向制御機器180を制御することで、ピストン部178Bの変位を制御し得る。作業者による操作盤100(図2参照)の操作に応じて、ピストン部178Bが下降して検査検出器92が被処理対象物Wの設置面まで下降すると、検査検出器92は、被処理対象物Wを囲むように配置されると共にその位置でショットピーニング処理前の被処理対象物Wの電磁気特性を検出する。磁性評価装置90は、電磁気特性の検出結果に基づいて被処理対象物Wの状態を評価(判定)する。
【0071】
一方、図3に示されるように、キャビネット12に対してその搬入出側(図中左側)には、装置左側(図中上側)に位置決め装置(第一位置決めユニット)106が設置されると共に、装置右側(図中下側)に位置決め装置(第二位置決めユニット)126が設置されている。位置決め装置106には、載置部108が設けられている。載置部108には、キャビネット12の内部に搬入される前の被処理対象物Wが載せられる。載置部108は、キャビネット12の外側に設定された検査エリア107に設けられている。位置決め装置106は、載置部108の上に載せられた被処理対象物Wを所定位置に位置決めする機能を有している。一方、位置決め装置126には、載置部128が設けられている。載置部128には、キャビネット12の内部から搬出された被処理対象物Wが載せられる。載置部128は、キャビネット12の外側に設定された検査エリア127に設けられている。位置決め装置126は、載置部128の上に載せられた被処理対象物Wを所定位置に位置決めする機能を有している。
【0072】
載置部108の前方(図中左側)には搬入コンベヤ102(広義には搬送機構)が設置されている。載置部128の前方には搬出コンベヤ122(広義には搬送機構)が設置されている。搬入コンベヤ102及び搬出コンベヤ122は、装置左右方向に間隔をあけて直列的に配置され、それぞれの上に載せられた被処理対象物Wを装置左側から装置右側へ搬送する。搬入コンベヤ102の上方には、図1に示されるコードリーダー104が設けられている。
【0073】
コードリーダー104は、搬入コンベヤ102の搬送方向中間部に対応して設けられている。コードリーダー104は、搬入コンベヤ102の上に載せられた被処理対象物Wの情報を読み取る。補足すると、例えば被処理対象物Wに対してレーザマーカーで予め製品識別用のマーキング(打刻)がされている場合にそのマーキングの情報を図1に示されるコードリーダー104が読み取る。なお、コードリーダー104は設けられなくてもよい。搬出コンベヤ122の上方にコードリーダー104(図1参照)と同様のコードリーダーが設けられてもよい。
【0074】
搬入コンベヤ102の前方(図中左側)には搬入側NGシュート112が設置されている。搬出コンベヤ122の前方(図中左側)には搬出側NGシュート132が設置されている。さらに、搬入コンベヤ102と搬出コンベヤ122との間には、搬送装置としての搬送ロボット114が設置されている。
【0075】
図1に示されるように、搬送ロボット114は、6軸ロボットであり、被処理対象物Wの搬送用に用いられる。搬送ロボット114は、被処理対象物Wを把持する把持部114Aと、把持部114Aを移動させるためのアーム114Bと、を含む。搬送ロボット114としては、公知構成の搬送ロボットが適用可能であるため、搬送ロボット114の構成についての詳細説明を省略する。搬送ロボット114は、被処理対象物Wを、検査エリア(検査エリア107及び検査エリア127)と、搬入出側(搬入室20A及び搬出室20B)の小テーブル42上の載置位置と、の間で搬送する他、被処理対象物Wの種々の搬送を行う。以下、具体的に説明する。
【0076】
搬送ロボット114は、搬入コンベヤ102の搬送方向の下流に位置する所定位置102Aに配置された被処理対象物Wを載置部108の上まで搬送することが可能である。搬送ロボット114は、被処理対象物を載置部108からキャビネット12の内部に搬入して搬入室20Aに位置する小テーブル42(第四載置テーブル)に載せることができると共に、被処理対象物Wを載置部108から搬入側NGシュート112の中に搬送することができる。搬送ロボット114は、検査検出器92,72によって電磁気特性を検出する検査が行われた被処理対象物Wを搬出室20Bに位置する小テーブル42(第五載置テーブル)から搬出して載置部128に載せることが可能である。搬送ロボット114は、被処理対象物Wを載置部128から搬出コンベヤ122の搬送方向の上流端まで搬送することができると共に、被処理対象物Wを載置部128から搬出側NGシュート132の中に搬送することができる。
【0077】
位置決め装置106の近傍には残留応力測定装置110(第一残留応力測定装置)が設けられている。残留応力測定装置110は、検査エリア107の載置部108の所定位置に載置された被処理対象物Wの表面の残留応力を測定する。位置決め装置126の近傍には残留応力測定装置130(第二残留応力測定装置)が設けられている。残留応力測定装置130は、検査エリア127の載置部128の所定位置に載置された被処理対象物Wの表面の残留応力を測定する。なお、残留応力測定装置110及び残留応力測定装置130は、広義には「非破壊検査装置」として把握される要素である。また、残留応力測定装置110及び残留応力測定装置130としては、一例として、特開2017−009356号公報に開示される残留応力測定装置が適用されており、その構成は前記公報で公知であるため詳細説明を省略する。
【0078】
ここで、搬送ロボット114は、残留応力測定装置110で測定された応力値に対して残留応力測定装置110に設けられた判定部(図示省略)が合格の判定をした場合、載置部108の上の被処理対象物Wを搬入室20Aの小テーブル42に載せるように設定されている。搬送ロボット114は、残留応力測定装置110で測定された応力値に対して残留応力測定装置110に設けられた判定部(図示省略)が不合格の判定をした場合には、載置部108の上の被処理対象物Wを搬入側NGシュート112の中に搬送するように設定されている。
【0079】
搬送ロボット114は、残留応力測定装置130で測定された応力値に対して残留応力測定装置130に設けられた判定部(図示省略)が合格の判定をしかつ検査室22Bの検査検出器72の検出結果に基づいて磁性評価装置70が合格の判定をした場合、載置部128の上の被処理対象物Wを搬出コンベヤ122の搬送方向の上流端に搬送するように設定されている。搬送ロボット114は、残留応力測定装置130で測定された応力値に対して残留応力測定装置130に設けられた判定部(図示省略)が行った判定及び検査検出器72の検出結果に基づいて磁性評価装置70が行った判定の少なくとも一方が不合格の判定である場合、載置部128の上の被処理対象物を搬出側NGシュート132の中に搬送するように設定されている。
【0080】
(ショットピーニング装置の動作等)
次に、上記構成を有するショットピーニング装置10を用いた一連の処理及びショットピーニング装置10の動作について説明する。
【0081】
まず、事前準備として、投射材が作業者により投射材投入部14に投入される。また、起動準備として、操作盤100が作業者により操作され、操作に応じて、集塵機38A、バケットエレベータ36C及び下部スクリューコンベヤ36Bが起動される。するとバケットエレベータ36Cにより投射材が装置上部に搬送され、バケットエレベータ36Cから投げ出された投射材が装置上部の投射材タンク30Iに溜まる。その際、破砕した投射材及び基準より小さい投射材は、集塵機38Aにより吸引され、セパレータ36D(図3参照)で分級される。また、投射材タンク30Iの容量以上の投射材は、振動篩36Eに供給され、振動篩36Eの金網部の網目よりも大きい投射材はバケットエレベータ36Cの下端部に戻される。
【0082】
上記の事前準備及び起動準備の後、被処理対象物Wが作業者(又はロボット)により搬入コンベヤ102に設置される。被処理対象物Wが搬送されている途中にコードリーダー104(図1参照)によって被処理対象物Wのマーキングの情報が読み取られる。そして、被処理対象物Wが搬入コンベヤ102で搬送方向下流側の所定位置まで搬送されると、被処理対象物Wは、搬送ロボット114により位置決め装置106の載置部108まで搬送される。
【0083】
被処理対象物Wは、位置決め装置106により位置決めされた後、残留応力測定装置110により残留応力(応力値)が測定される。残留応力測定装置110で測定された応力値に対して残留応力測定装置110に設けられた判定部(図示省略)で合格の判定がなされた場合、被処理対象物Wは、搬送ロボット114により搬入室20Aの小テーブル42に載置される。これに対して、残留応力測定装置110で測定された応力値に対して残留応力測定装置110に設けられた判定部(図示省略)で不合格の判定がなされた場合には、被処理対象物Wは、搬送ロボット114により搬入側NGシュート112に搬送される。
【0084】
次に、操作盤100が作業者により操作され、操作に応じて大テーブル40がタクト運転にて60°回転されることで、搬入室20Aに配置されていた小テーブル42が被処理対象物Wを載せた状態を維持しながら検査室22Aに移動する。続いて、操作盤100(図2参照、以下、操作盤の参照図面の記載は適宜省略する)が作業者により操作され、操作に応じてシリンダ機構178が作動することで、筒状の検査検出器92が被処理対象物Wの外周を囲む位置まで下降する。そして、検査検出器92がショットピーニング処理前の被処理対象物Wの電磁気特性を検出し、その検出結果に基づいて磁性評価装置90がその被処理対象物Wの表面の状態を磁性評価して被処理対象物Wの合否を判定する。検査室22Aでの検査が終了したら、操作盤100が作業者により操作され、操作に応じて、シリンダ機構178が作動することで検査検出器92が被処理対象物Wよりも上方に上昇する。そして、大テーブル40がタクト運転にて60°回転され、検査室22Aに配置されていた小テーブル42が被処理対象物Wを載せた状態を維持しながら投射室24Aに移動する。
【0085】
次に、作業者による操作盤100の操作に応じて、被処理対象物Wが回転されながらショットピーニング処理がなされる(詳細後述)。続いて作業者による操作盤100の操作に応じて、大テーブル40がタクト運転にて60°回転され、投射室24Aに配置されていた小テーブル42が被処理対象物Wを載せた状態を維持しながら投射室24Bに移動する。そして、作業者による操作盤100の操作に応じて、被処理対象物Wが回転されながらショットピーニング処理がなされる(詳細後述)。
【0086】
ここで、被処理対象物Wが回転されながらショットピーニング処理が行われる工程について図8等を参照しながら説明する。なお、図8には、投射室24Bが示され、投射室24A(図5参照)は示されていないが、投射室24Aにおいても、投射室24Bと同様の機構によって同様の処理が行われる。このため、投射室24Aでの処理についての詳細説明を省略する。なお、投射室24Aに設けられる機構と、投射室24Bに設けられる機構とは、同様の機構ではあるが、別々に設けられている。
【0087】
図8に示される状態で、操作盤100が作業者により操作され、操作に応じてシリンダ機構58が作動することで、押さえ部54Aが下降し、下降した押さえ部54Aが被処理対象物Wを固定する。このとき、押さえ用シャフト54に固着されたギヤ60Aがギヤ60Bと連結されることで、駆動モータ62の駆動力が押さえ用シャフト54に伝達され、その結果、被処理対象物W及び小テーブル42が回転軸43(図5参照)周りに回転する。
【0088】
次に、操作盤100が作業者により操作され、操作に応じてショットゲート30Hが開かれ、加圧タンク30G内に投射材が供給される。加圧タンク30G内に投射材が十分溜まったところで、操作盤100が作業者により操作され、操作に応じてショットゲート30Hが閉じられて加圧タンク30G内が加圧される。そして、加圧タンク30Gが十分に加圧されたら、操作盤100が作業者により操作され、操作に応じて、エア供給部30Dから圧縮空気(エア)がミキシングバルブ30Cを通過して配管部30B内を流れると共に、加圧タンク30Gの下のカットゲート30Fが開かれ、流量調整装置30Eの流路が開けられる。これにより、投射材が加圧タンク30Gからカットゲート30F、及び流量調整装置30Eを通ってミキシングバルブ30Cへ流される。そして、投射材は、ミキシングバルブ30Cを流れる圧縮空気に乗って(空気圧により)加速され、配管部30Bを通り、ノズル30Aから被処理対象物Wへ向けて噴射(投射)される。これにより、被処理対象物Wへのショットピーニング処理が行われる。
【0089】
なお、ノズル30Aから被処理対象物Wに投射された投射材は、キャビネット12において大テーブル40の周囲に配置されるシート状の部位12Zに貫通形成された孔部(図示省略)を通り、ホッパ36Aを介して下部スクリューコンベヤ36Bに供給される。その後、投射材は、下部スクリューコンベヤ36Bによりバケットエレベータ36Cの下部に搬送される。
【0090】
所定時間(本実施形態では一例として30秒)投射材を投射した後、操作盤100が作業者により操作され、操作に応じてシリンダ機構58が作動することで、押さえ部54Aが上昇し、被処理対象物Wの押さえが解除される。
【0091】
投射室24Bでの処理作業が終了したら、操作盤100が作業者により操作され、操作に応じて大テーブル40がタクト運転にて60°回転され、投射室24Bに配置されていた小テーブル42が被処理対象物Wを載せた状態を維持しながら検査室22Bに移動する。続いて、操作盤100が作業者により操作され、操作に応じて、検査室22Bに配置された小テーブル42の上に保持された被処理対象物Wに向けて吹付装置64が気体を吹き付けると共に、シリンダ機構78が作動することで、筒状の検査検出器72が被処理対象物Wの外周を囲む位置まで下降する。その後、吹付装置64による気体の吹き付けが停止されて検査検出器72がショットピーニング処理後の被処理対象物Wの電磁気特性を検出する。そして、その検出結果に基づいて磁性評価装置70がその被処理対象物Wの表面の状態を磁性評価して被処理対象物Wの合否を判定する。検査室22Bでの検査が終了したら、操作盤100が作業者により操作され、操作に応じて、シリンダ機構78が作動することで検査検出器72が被処理対象物Wよりも上方に上昇する。そして、大テーブル40がタクト運転にて60°回転され、検査室22Bに配置されていた小テーブル42が被処理対象物Wを載せた状態を維持しながら搬出室20Bに移動する。
【0092】
続いて、被処理対象物Wは、搬送ロボット114(図3参照)により搬出室20Bの小テーブル42から位置決め装置126の載置部128に搬送される。被処理対象物Wは、位置決め装置126により位置決めされた後、残留応力測定装置130により残留応力(応力値)が測定される。
【0093】
そして、搬送ロボット114は、残留応力測定装置130で測定された応力値に対して残留応力測定装置130に設けられた判定部(図示省略)が合格の判定をしかつ検査室22Bの検査検出器72の検出結果に基づいて磁性評価装置70が合格の判定をした場合、載置部128の上の被処理対象物Wを搬出コンベヤ122の搬送方向における上流端に搬送する。また、搬送ロボット114は、残留応力測定装置130で測定された応力値に対して残留応力測定装置130に設けられた判定部(図示省略)がした判定及び検査室22Bの検査検出器72の検出結果に基づいて磁性評価装置70がした判定の少なくとも一方が不合格の判定である場合、載置部128の上の被処理対象物Wを搬出側NGシュート132の中に搬送する。一方、搬出コンベヤ122の搬送方向における上流端に搬送された被処理対象物Wは、搬出コンベヤ122で搬送される。
【0094】
ショットピーニング装置10の作動を停止する際には、操作盤100が作業者により操作され、操作に応じて集塵機38A、下部スクリューコンベヤ36B及びバケットエレベータ36Cの各モータが停止される。なお、ショットピーニング装置10の作動中において、投射材が不足した際には、作業者により投射材が投射材投入部14から補給される。
【0095】
なお、本実施形態では、一例として、作業者が操作盤100を逐次操作してショットピーニング装置10を作動させているが、ショットピーニング装置10は、自動運転により上述のように作動するように構成されてもよい。すなわち、例えば、ショットピーニング装置10は、操作盤100を含んで構成された制御盤に、上述の一連の動作を順番に実行していくためのシーケンス制御回路が組み込まれ、そのシーケンスに沿ってショットピーニング装置10が作動するように構成されてもよい。そのような構成で自動運転を行う場合には、例えば、操作盤100の自動運転のボタンが作業者により押され、その操作に応じて自動運転の信号がシーケンス制御回路に入力されることで、シーケンス制御回路から各駆動部に動作指令が送信され、自動運転が行われる。
【0096】
(実施形態の作用・効果)
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
【0097】
本実施形態のショットピーニング装置10では、投射室24A,24Bに対して大テーブル40の回転方向における上流に位置する検査室22Aに検査検出器92が設けられると共に、投射室24A,24Bに対して大テーブル40の回転方向における下流に位置する検査室22Bに検査検出器72が設けられている。検査検出器92は、検査室22Aの内部に進入した小テーブル42の上方に昇降可能に配置され、検査検出器72は、検査室22Bの内部に進入した小テーブル42の上方に昇降可能に配置される。そして、検査検出器92及び検査検出器72は、小テーブル42の上に保持された被処理対象物Wの表面特性を検査する。
【0098】
以上により、一個の被処理対象物Wをいずれかの小テーブル42上に搬入してから投射処理(加工)及び検査をして当該小テーブル42から搬出するまでの間、他の被処理対象物Wを搬入出、投射処理(加工)及び検査することができる。また、被処理対象物Wの表面特性の検査は、投射室24A,24B以外の室でなされるので、投射室24A,24B内の構造を複雑化する必要もない。
【0099】
以上説明したように、本実施形態のショットピーニング装置10によれば、装置内に検査検出器72,92を内蔵する構成を有しながら、サイクルタイムを短縮することができると共に投射室24A,24B内の構造の複雑化を回避することができる。
【0100】
また、本実施形態では、ショットピーニング処理後の状態の被処理対象物Wの表面特性を検査すること(つまりショットピーニング処理後の品質チェック)ができるだけでなく、ショットピーニング処理前の状態の被処理対象物Wの表面特性も検査すること(つまりショットピーニング処理前の品質チェック)ができる。これにより、前工程で不具合があったのか否かが判別できるようになり、不良の原因追究が容易となる。また、本実施形態では、ショットピーニング処理の処理前後について被処理対象物Wの全数検査がなされているので、ショットピーニング処理の処理前後における経時変化の傾向が分析でき、ショットピーニング装置10の不具合(例えば不良、及び消耗等)を確認することができる。
【0101】
また、本実施形態では、検査室22Bがエアブロー室を兼ねている。すなわち、検査室22Bには、検査検出器72及び吹付装置64が設けられると共に、吹付装置64は、検査室22Bの内部に進入した小テーブル42の上に保持された被処理対象物Wに向けて気体を吹き付けることが可能である。このため、被処理対象物Wに投射材及び粉塵が付着していても、検査検出器72を被処理対象物Wの上方に退避させた状態で吹付装置64から被処理対象物Wに気体を吹き付けることで、当該投射材や粉塵を吹き飛ばす(取り除く)ことができる。これにより、被処理対象物Wの表面特性を高精度に検査することができる。
【0102】
また、本実施形態では、吹付装置64は、下降した状態の検査検出器72に向けて気体の吹き付けが可能な位置に設定されている。このため、検査検出器72に粉塵が付着していても、吹付装置64からの気体の吹き付けで当該粉塵を吹き飛ばす(取り除く)ことができる。これにより、検査検出器72に粉塵が溜まるのを防止又は効果的に抑制することができる。その結果、検査検出器72は、検査精度が良い状態(初期状態と概ね同様の状態)に保たれるので、被処理対象物Wの表面特性を一層高精度に検査することができる。
【0103】
また、本実施形態では、集塵機38Aがキャビネット12の中の粉塵を含む空気を吸引する。このため、検査室22Bで吹付装置64による気体の吹き付けによって粉塵等が被処理対象物Wから吹き飛ばされると、検査室22Bで吹き飛ばされた(舞い上がった)粉塵等は、投射室24Bを経由して、ダクト38C1、セトリングチャンバ38D及びダクト38C2を介して、空気と共に集塵機38Aによって吸引される。このため、被処理対象物Wの表面特性をより一層高精度に検査することができる。ちなみに、集塵機38Aとキャビネット12とを連結するダクトがキャビネット12において投射室以外の室の上側に接続されていると、集塵機38Aによる吸引時には、前記ダクトが接続された室に、投射室内の気体が流れ込んで(混入して)しまうおそれがある。しかしながら、本実施形態の構成ではそのようなことも生じない。
【0104】
また、本実施形態では、図7に示されるように、検査検出器72,92とアダプタ74,94とが一体的に昇降するので、簡易な構成で検査検出器72,92の検出性能を維持することができる。補足すると、例えば本実施形態の場合、検査検出器72,92とアダプタ74,94とが一体化されていて検査検出器72,92とアダプタ74,94との距離が短い。このため、アダプタ74,94からの高い周波数の交流電力を良好に検査検出器72,92のコイルに供給することができるので、簡易な構成で検査検出器72,92の検出性能を維持することができる。
【0105】
また、本実施形態では、アダプタ74,94は、大テーブル40の上方で大テーブル40の回転軸41の近傍に配置されるので、検査室22Bの内面側及び検査室22Aの内面側の各メンテナンスがしやすい。
【0106】
また、本実施形態では、検査室22Bにおいて、アダプタ74が大テーブル40の上方で回転軸41の近傍に配置されているのに対して、吹付装置64は、平面視で大テーブル40の外側に配置されている。このため、吹付装置64によって吹き出された気体がアダプタ74によって進路妨害されてしまうのを防ぐことができる。
【0107】
また、本実施形態では、載置部108には、キャビネット12の内部に搬入される前の被処理対象物Wが載せられる。そして、載置部108の所定位置に載せられた被処理対象物Wの表面の残留応力を残留応力測定装置110が測定する。また、搬送ロボット114は、被処理対象物Wを載置部108からキャビネット12の内部に搬入して小テーブル42(図5参照)に載せると共に、検査検出器72,92(図6参照)によって表面特性が検査された被処理対象物Wをキャビネット12の内部の小テーブル42(図5参照)から搬出して載置部128に載せる。そして、載置部128の所定位置に載せられた被処理対象物Wの表面の残留応力を残留応力測定装置130が測定する。これに対して、検査検出器72,92は、被処理対象物Wの電磁気特性を検出する。
【0108】
このため、被処理対象物Wについて、ショットピーニング処理の前後で被処理対象物Wの電磁気特性を検出することができると共に、ショットピーニング処理の前後で被処理対象物Wの表面の残留応力を測定することができる。
【0109】
また、本実施形態では、被処理対象物Wの電磁気特性の検出(及びその磁性評価)も被処理対象物Wの表面の残留応力の測定(及びその評価)も非破壊検査で行われるので、全数検査が可能である。
【0110】
なお、本実施形態では、図8に示されるように、被処理対象物W及び小テーブル42を回転させるための駆動機構が押さえ機構52に設けられており、駆動モータ62等がキャビネット12の上方に配置されている。このため、大テーブル40の下方の有効スペースを広くすることが可能となると共に、駆動モータ62等に投射材が当たることがないので、駆動モータ62等が故障しにくく、更にはノズル30A、配管部30B、下部スクリューコンベヤ36B、及び駆動用モータ36G等のメンテナンスもしやすい。
【0111】
(実施形態の補足説明)
なお、上記実施形態の変形例として、図7に示されるように、吹付装置66のノズル66A(二点鎖線で図示)がアダプタ74に固定されていてもよい。吹付装置66は、検査室22Bの内部に進入した小テーブル42の上に保持された被処理対象物Wに向けて気体の吹き付けが可能である。このような変形例によれば、吹付装置66のノズル66Aはアダプタ74と一体的に昇降するので、検査室22B内の空間を有効に利用することができる。また、このような変形例では、例えば、検査検出器72を用いて被処理対象物Wを検査するために検査検出器72を下降させる際に、検査検出器72を下降の途中で一旦止めて吹付装置66のノズル66Aで被処理対象物Wに向けて気体を吹き付けてから、検査検出器72を検査位置まで下降させて検査検出器72で被処理対象物Wを検査してもよい。なお、上記変形例における吹付装置66は、上記実施形態の吹付装置64に代えて設けられてもよいし、上記実施形態の吹付装置64と併存させてもよい。上記変形例における吹付装置66を上記実施形態の吹付装置64と併存させた場合には、被処理対象物Wに付着した投射材及び粉塵を一層効果的に吹き飛ばすことができる。
【0112】
また、上記実施形態では、検査検出器72,92を昇降させるためのシリンダ機構78,178は、エアシリンダ機構である。シリンダ機構78,178は、このようなエアシリンダ機構に代えて、電動サーボモータを備えたサーボシリンダ機構(電動シリンダ機構)であってもよい。
【0113】
また、本実施形態では、検査検出器72,92は被処理対象物Wの磁性評価に用いられる。しかしながら、検査検出器72,92は、例えば、残留応力測定装置110及び残留応力測定装置130と同様の残留応力測定装置等のように、被処理対象物Wの磁性評価以外の表面特性検査に用いられてもよい。
【0114】
また、上記実施形態では、キャビネット12の内部に計6つの室と6つの小テーブル42が設けられている。上記実施形態の変形例として、搬入室20A及び搬出室20Bに代えて、被処理対象物Wが搬入出される搬入出室が設けられてもよい。また、検査室22Aと投射室24Aとは省略され得る。つまり、キャビネット12の内部には、計3つの室(搬入出室、投射室24B、及び検査室22B)が設けられてもよい。この場合、3つの小テーブル42が設けられてもよい。また、上記変形例に、検査室22Aが設けられてもよい。つまり、キャビネット12の内部に、計4つの室(搬入出室、検査室22A、投射室24B、及び検査室22B)が設けられてもよい。この場合、4つの小テーブル42が設けられてもよい。すなわち、キャビネット12の内部の室及び小テーブル42の数は、上記実施形態の例に限定されない。
【0115】
上記実施形態の他の変形例として、キャビネット12の内部の室の数は例えば8つであってもよい。例えば、キャビネット12の内部にさらに2つの検査室が設けられてもよい。2つの検査室には、検査検出器として残留応力測定装置110,130と同様の残留応力測定装置が設けられる。
【0116】
また、上記実施形態では、検査室22Bに検査検出器72及び吹付装置64が設けられ、検査室22Bがエアブロー室を兼ねている。検査室22Bに吹付装置64が設けられなくてもよい。
【0117】
また、上記実施形態では、検査検出器72,92とアダプタ74,94とが一体的に昇降するように構成されている。上記実施形態の変形例として、検査検出器72,92のみが昇降し、アダプタ74,94は、検査検出器72,92から離れた位置に配置されて昇降しないような構成も採り得る。補足すると、例えば、磁性評価装置(表面特性検査装置)が、検査検出器と、アダプタと、表示等の機能を有するパネルと、基準検出器と、を備えてもよい。この表面特性検査装置では、検査検出器と基準検出器とが一体的に昇降するように構成されてもよく、アダプタ及びパネルが検査検出器から離れた位置に配置されて昇降しなくてもよい。基準検出器は、検査検出器からの出力と比較する基準となる基準状態を検出する。なお、検査検出器と基準検出器とを含む表面特性検査装置は、例えば、特許第5877505号公報等で開示されている装置である。
【0118】
また、上記実施形態では、アダプタ74,94が大テーブル40の上方で大テーブル40の回転軸41の近傍に配置されている。上記実施形態の変形例として、検査検出器72,92に接続されたアダプタ74,94は、大テーブル40の上方で大テーブル40の回転軸41から離れた位置に配置されてもよい。
【0119】
また、上記実施形態では、吹付装置64は、平面視で大テーブル40の外側に配置されているが、吹付装置64は、平面視で大テーブル40の回転軸41の側に配置されてもよい。
【0120】
また、上記実施形態では、図8に示されるように、被処理対象物W及び小テーブル42を回転させるための駆動機構が押さえ機構52に設けられている。被処理対象物W及び小テーブル42を回転させるための駆動機構は、例えば、特開2012−101304号公報に開示された機構のように、小テーブル42の回転軸43に連結されてもよい。
【0121】
また、上記実施形態では、ショットピーニング装置10は、キャビネット12に対してその搬入出側に、載置部108、載置部128、搬送ロボット114、残留応力測定装置110及び残留応力測定装置130を含む構成部を備えるが、そのような構成部を備えていなくてもよい。また、上記実施形態の変形例として、ショットピーニング装置10は、載置部108及び残留応力測定装置110を備えなくてもよく、載置部128及び残留応力測定装置130を備えてもよい。また、ショットピーニング装置10は、載置部128及び残留応力測定装置130を備えなくてもよく、載置部108及び残留応力測定装置110を備えてもよい。また、上記実施形態の他の変形例として、一台の残留応力測定装置が、キャビネット12の内部に搬入される前の被処理対象物Wの表面の残留応力とキャビネット12の内部から搬出された被処理対象物Wの表面の残留応力との両方を測定してもよい。また、上記実施形態では、検査エリアが検査エリア107と検査エリア127とで構成されているが、一つの検査エリアで構成されてもよい。
【0122】
また、上記実施形態では、被処理対象物Wを所定位置に位置決めするための位置決め装置106,126が設けられている。上記実施形態の変形例として、搬送ロボット114が被処理対象物Wを所定位置に位置決めしてもよい。この場合、搬送ロボット114が被処理対象物Wを検査エリア107,127の載置部108,128の所定位置に載置してもよいし、搬送ロボット114が被処理対象物Wを保持しながら検査エリア107,127の所定位置に位置決めした状態を維持すると共にその状態で残留応力測定装置(残留応力測定装置110及び残留応力測定装置130)が被処理対象物Wの表面の残留応力を測定してもよい。
【0123】
また、上記実施形態では、ショット処理装置は、ショットピーニング装置10であるが、ショット処理装置は、例えば、ショットブラスト装置でもよいし、ショットピーニング装置とショットブラスト装置とを含む装置でもよい。
【0124】
また、上記実施形態では、投射機は、圧縮空気と共に投射材を圧送してノズル30Aから噴射するエアノズル式の噴射装置30であるが、投射機は、例えば、投射材を遠心力で加速して投射する遠心式の投射機等のような他の投射機であってもよい。
【0125】
なお、上記実施形態及び上述の変形例は、適宜組み合わされて実施可能である。
【0126】
以上、本開示の一例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0127】
10…ショットピーニング装置(ショット処理装置)、12…キャビネット、20A…搬入室(投射室以外の室)、20B…搬出室(投射室以外の室)、22A…検査室(投射室以外の室)、22B…検査室(投射室以外の室、エアブロー室)、24A…投射室、24B…投射室、30…噴射装置(投射機)、38A…集塵機、40…大テーブル(回転テーブル)、41…回転軸(第一回転軸)、42…小テーブル(載置テーブル)、43…回転軸(第二回転軸)、64…吹付装置、66…吹付装置、66A…ノズル、72…検査検出器、74…アダプタ、92…検査検出器、94…アダプタ、107…検査エリア(検査エリア)、108…載置部、110…残留応力測定装置(残留応力測定装置)、114…搬送ロボット(搬送装置)、127…検査エリア(検査エリア)、128…載置部、130…残留応力測定装置(残留応力測定装置)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8