(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1部材と前記第2部材とは、前記第1部材と前記第2部材との接続方向から見て複数の前記第1連通孔と複数の前記第2連通孔とにより形成される複数の連通路の各々を仕切るように前記接続方向に沿って延びた仕切壁を介して接続されている、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の蓄電モジュール。
複数の前記第2開口端は、前記第1部材と前記第2部材との接続方向から見て前記積層体の積層方向に交差する方向に互いにずれて配置されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の蓄電モジュール。
電極板と、前記電極板の一方面に設けられた正極と、前記電極板の他方面に設けられた負極とをそれぞれ含む複数のバイポーラ電極を有する蓄電モジュールの製造方法であって、
複数の前記バイポーラ電極を積層して積層体を得る工程と、
前記電極板の縁部を保持し、前記積層体において隣り合う前記バイポーラ電極間の複数の内部空間の少なくとも一つと連通した開口が設けられた枠体を形成する工程と、
前記開口を介して前記複数の内部空間の各々と連通した複数の第1連通孔が設けられた第1部材を、前記枠体に取り付ける工程と、
複数の第2連通孔が設けられた第2部材と、複数の前記第2連通孔の前記第1連通孔に接続される側の第1開口端とは反対側の第2開口端を塞ぐ複数の弾性部材と、複数の前記弾性部材を前記第2部材に対して押圧する第3部材と、を有する圧力調整弁サブモジュールを準備する工程と、
前記第1連通孔と前記第2連通孔とが連通するように、前記第1部材と前記圧力調整弁サブモジュールの前記第2部材とを接合する工程と、
を含む、蓄電モジュールの製造方法。
前記準備する工程の後であり、かつ前記接合する工程の前に、前記第2連通孔の前記第1開口端から前記第2連通孔内に空気を送り込むことにより、前記圧力調整弁サブモジュールに含まれる複数の前記弾性部材の開弁圧を検査する工程を更に含み、
前記接合する工程において、前記第1部材と検査済みの前記圧力調整弁サブモジュールの前記第2部材とを接合する、
請求項14又は15に記載の蓄電モジュールの製造方法。
前記第1部材の前記第2部材に接続される側の側面には、前記第1部材と前記第2部材との接続方向から見て複数の前記第1連通孔の各々を仕切るように前記接続方向に沿って延びた第1接合用突起部が設けられており、
前記第2部材の前記第1部材に接続される側の側面には、前記第1接合用突起部に対応するように、前記接続方向から見て複数の前記第2連通孔の各々を仕切るように前記接続方向に沿って延びた第2接合用突起部が設けられており、
前記接合する工程において、前記第1接合用突起部の端部と前記第2接合用突起部の端部とを熱板溶着することにより、前記第1部材と前記第2部材とを接合する、
請求項14〜16のいずれか一項に記載の蓄電モジュールの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照しながら本開示の例が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。図面にはXYZ直交座標系が示される。
【0028】
[蓄電装置の構成]
図1は、蓄電モジュールを備える蓄電装置の一実施形態を示す概略断面図である。同図に示す蓄電装置10は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置10は、複数(本実施形態では3つ)の蓄電モジュール12を備えるが、単一の蓄電モジュール12を備えてもよい。蓄電モジュール12は例えばバイポーラ電池である。蓄電モジュール12は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池であるが、電気二重層キャパシタであってもよい。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
【0029】
複数の蓄電モジュール12は、例えば金属板等の導電板14を介して積層され得る。積層方向D1から見て、蓄電モジュール12及び導電板14は例えば矩形形状を有する。各蓄電モジュール12の詳細については後述する。導電板14は、蓄電モジュール12の積層方向D1(Z方向)において両端に位置する蓄電モジュール12の外側にもそれぞれ配置される。導電板14は、隣り合う蓄電モジュール12と電気的に接続される。これにより、複数の蓄電モジュール12が積層方向D1に直列に接続される。積層方向D1において、一端に位置する導電板14には正極端子24が接続されており、他端に位置する導電板14には負極端子26が接続されている。正極端子24は、接続される導電板14と一体であってもよい。負極端子26は、接続される導電板14と一体であってもよい。正極端子24及び負極端子26は、積層方向D1に交差する方向(X方向)に延在している。これらの正極端子24及び負極端子26により、蓄電装置10の充放電を実施できる。
【0030】
導電板14は、蓄電モジュール12において発生した熱を放出するための放熱板としても機能し得る。導電板14の内部に設けられた複数の空隙14aを空気等の冷媒が通過することにより、蓄電モジュール12からの熱を効率的に外部に放出できる。各空隙14aは例えば積層方向D1に交差する方向(Y方向)に延在する。積層方向D1から見て、導電板14は、蓄電モジュール12よりも小さいが、蓄電モジュール12と同じかそれより大きくてもよい。
【0031】
蓄電装置10は、交互に積層された蓄電モジュール12及び導電板14を積層方向D1に拘束する拘束部材16を備え得る。拘束部材16は、一対の拘束プレート16A,16Bと、拘束プレート16A,16B同士を連結する連結部材(ボルト18及びナット20)とを備える。各拘束プレート16A,16Bと導電板14との間には、例えば樹脂フィルム等の絶縁フィルム22が配置される。各拘束プレート16A,16Bは、例えば鉄等の金属によって構成されている。積層方向D1から見て、各拘束プレート16A,16B及び絶縁フィルム22は例えば矩形形状を有する。絶縁フィルム22は導電板14よりも大きくなっており、各拘束プレート16A,16Bは、蓄電モジュール12よりも大きくなっている。積層方向D1から見て、拘束プレート16Aの縁部には、ボルト18の軸部を挿通させる挿通孔H1が蓄電モジュール12よりも外側となる位置に設けられている。同様に、積層方向D1から見て、拘束プレート16Bの縁部には、ボルト18の軸部を挿通させる挿通孔H2が蓄電モジュール12よりも外側となる位置に設けられている。積層方向D1から見て各拘束プレート16A,16Bが矩形形状を有している場合、挿通孔H1及び挿通孔H2は、拘束プレート16A,16Bの角部に位置する。
【0032】
一方の拘束プレート16Aは、負極端子26に接続された導電板14に絶縁フィルム22を介して突き当てられ、他方の拘束プレート16Bは、正極端子24に接続された導電板14に絶縁フィルム22を介して突き当てられている。ボルト18は、例えば一方の拘束プレート16A側から他方の拘束プレート16B側に向かって挿通孔H1に通され、他方の拘束プレート16Bから突出するボルト18の先端には、ナット20が螺合されている。これにより、絶縁フィルム22、導電板14及び蓄電モジュール12が挟持されてユニット化されると共に、積層方向D1に拘束荷重が付加される。
【0033】
図2は、
図1の蓄電装置を構成する蓄電モジュールを示す概略断面図である。同図に示す蓄電モジュール12は、複数のバイポーラ電極(電極)32が積層された積層体30を備える。バイポーラ電極32の積層方向D1から見て積層体30は例えば矩形形状を有する。隣り合うバイポーラ電極32間にはセパレータ40が配置され得る。バイポーラ電極32は、電極板34と、電極板34の一方面に設けられた正極36と、電極板34の他方面に設けられた負極38とを含む。積層体30において、一のバイポーラ電極32の正極36は、セパレータ40を挟んで積層方向D1に隣り合う一方のバイポーラ電極32の負極38と対向し、一のバイポーラ電極32の負極38は、セパレータ40を挟んで積層方向D1に隣り合う他方のバイポーラ電極32の正極36と対向している。積層方向D1において、積層体30の一端には、内側面に負極38が配置された電極板34(負極側終端電極)が配置され、積層体30の他端には、内側面に正極36が配置された電極板34(正極側終端電極)が配置される。負極側終端電極の負極38は、セパレータ40を介して最上層のバイポーラ電極32の正極36と対向している。正極側終端電極の正極36は、セパレータ40を介して最下層のバイポーラ電極32の負極38と対向している。これら終端電極の電極板34はそれぞれ隣り合う導電板14(
図1参照)に接続される。
【0034】
蓄電モジュール12は、積層方向D1に延在する積層体30の側面30aにおいて電極板34の縁部34aを保持する枠体50を備える。枠体50は、積層方向D1から見て積層体30の周囲に設けられている。すなわち、枠体50は、積層体30の側面30aを取り囲むように構成されている。枠体50は、電極板34の縁部34aを保持する第1樹脂部52と、積層方向D1から見て第1樹脂部52の周囲に設けられる第2樹脂部54とを備え得る。
【0035】
枠体50の内壁を構成する第1樹脂部52は、各バイポーラ電極32の電極板34の一方面(正極36が形成される面)から縁部34aにおける電極板34の端面にわたって設けられている。積層方向D1から見て、各第1樹脂部52は、各バイポーラ電極32の電極板34の縁部34a全周にわたって設けられている。隣り合う第1樹脂部52同士は、各バイポーラ電極32の電極板34の他方面(負極38が形成される面)の外側に延在する面において当接している。その結果、第1樹脂部52には、各バイポーラ電極32の電極板34の縁部34aが埋没して保持されている。各バイポーラ電極32の電極板34の縁部34aと同様に、積層体30の両端に配置された電極板34の縁部34aも第1樹脂部52に埋没した状態で保持されている。これにより、積層方向D1に隣り合う電極板34,34間には、当該電極板34,34と第1樹脂部52とによって気密に仕切られた内部空間Vが形成されている。当該内部空間Vには、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液からなる電解液(不図示)が収容されている。
【0036】
枠体50の外壁を構成する第2樹脂部54は、積層方向D1を軸方向として延在する筒状部である。第2樹脂部54は、積層方向D1において積層体30の全長にわたって延在する。第2樹脂部54は、積層方向D1に延在する第1樹脂部52の外側面を覆っている。第2樹脂部54は、積層方向D1から見て内側において第1樹脂部52に溶着されている。
【0037】
電極板34は、例えばニッケルからなる矩形の金属箔である。電極板34の縁部34aは、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっており、当該未塗工領域が枠体50の内壁を構成する第1樹脂部52に埋没して保持される領域となっている。正極36を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。負極38を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。電極板34の他方面における負極38の形成領域は、電極板34の一方面における正極36の形成領域に対して一回り大きくなっている。
【0038】
セパレータ40は、例えばシート状に形成されている。セパレータ40を形成する材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン等からなる織布又は不織布等が例示される。また、セパレータ40は、フッ化ビニリデン樹脂化合物等で補強されたものであってもよい。なお、セパレータ40は、シート状に限られず、袋状のものを用いてもよい。
【0039】
枠体50(第1樹脂部52及び第2樹脂部54)は、例えば絶縁性の樹脂を用いた射出成形によって矩形の筒状に形成されている。枠体50を構成する樹脂材料としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等が挙げられる。
【0040】
図3は、
図2の蓄電モジュール12を示す概略斜視図である。
図4は、枠体50の開口50aに接続される圧力調整弁60の分解斜視図である。
図3及び
図4に示されるように、蓄電モジュール12の枠体50は、積層方向D1に延在する側面50sを有する。側面50sは積層方向D1から見て外側に位置する面である。よって、第2樹脂部54が枠体50の側面50sを有することになる。
【0041】
積層方向D1から見て枠体50の一辺を形成する一の側面50s(ここでは、枠体50の長手方向(X方向)を向く一の側面50s)には、複数(ここでは4つ)の開口50a(開口50a1〜50a4)が設けられている。各開口50aは、各内部空間Vに電解液を注入するための注液口として機能すると共に、電解液が注入された後は、圧力調整弁60の接続口として機能する。
【0042】
図4に示されるように、1つの開口50aは、第1樹脂部52に設けられた第1開口52aと、第2樹脂部54に設けられた第2開口54aとによって構成されている。各第1開口52aは、隣り合うバイポーラ電極32間の内部空間Vと連通している。第1樹脂部52には複数(ここでは6つ)の第1開口52aが設けられており、第2樹脂部54には、複数の第1開口52aを覆うように広がる単一の第2開口54aが設けられている。第1開口52aは各第1樹脂部52に設けられてもよいし、隣り合う第1樹脂部52間に設けられてもよい。各第1開口52a及び第2開口54aの形状は例えば矩形である。なお、本実施形態では、第2開口54aの上部に、圧力調整弁60のベース部材70が入り込むための切欠き部54bが形成されている。
【0043】
図5は、各開口50a1〜50a4を示す図(X方向から見た図)である。
図5では、第1樹脂部52の周囲の第2樹脂部54の図示を省略している。本実施形態では、蓄電モジュール12には、24個の内部空間Vが形成されており、1つの開口50aは、積層方向D1における高さ位置が4段ずつずれた6つの内部空間Vと連通している。各内部空間Vは、4つの開口50a1〜50a4のうちのいずれか1つと連通している。
図5に示されるように、1つの開口50aには、6つの第1開口52aが、枠体50の短手方向(Y方向)に2列に分かれて配置されている。各列には、3つの第1開口52aが積層方向D1(Z方向)に沿って配置されている。
【0044】
例えば、各開口50aにおける第1開口52aの配置は、連通した内部空間Vのセットを1段ずつずらすように構成され得る。以下の説明では、便宜上、24個の内部空間Vを識別するために、積層体30の他端(
図2の図示下側)から一端(
図2の図示上側)へと向かう順に、内部空間V1〜V24と表記する。
【0045】
図5の(A)に示されるように、開口50a1の第1列(図示左側の列。以下同じ。)には、内部空間V4,V12,V20と連通した第1開口52a4,52a12,52a20が設けられている。開口50a1の第2列(図示右側の列。以下同じ。)には、内部空間V8,V16,V24と連通した第1開口52a8,52a16,52a24が設けられている。
【0046】
図5の(B)に示されるように、開口50a2の第1列には、内部空間V3,V11,V19と連通した第1開口52a3,52a11,52a19が設けられている。開口50a2の第2列には、内部空間V7,V15,V23と連通した第1開口52a7,52a15,52a23が設けられている。
【0047】
図5の(C)に示されるように、開口50a3の第1列には、内部空間V2,V10,V18と連通した第1開口52a2,52a10,52a18が設けられている。開口50a3の第2列には、内部空間V6,V14,V22と連通した第1開口52a6,52a14,52a22が設けられている。
【0048】
図5の(D)に示されるように、開口50a4の第1列には、内部空間V1,V9,V17と連通した第1開口52a1,52a9,52a17が設けられている。開口50a4の第2列には、内部空間V5,V13,V21と連通した第1開口52a5,52a13,52a21が設けられている。
【0049】
上記のような第1開口52aの配置(すなわち、第1開口52a1〜52a24と内部空間V1〜V24との対応付け)によれば、全ての内部空間Vが互いに異なる第1開口52aに連通した構成が実現される。
【0050】
続いて、
図4及び
図6〜
図9を参照して、枠体50の開口50aに接続される圧力調整弁60の構成について説明する。
図6は、圧力調整弁60の構成を示す概略断面図である。
図6は、内部空間V12に対応する連通路(第1開口52a12、第1連通孔74、及び第2連通孔84により形成される連通路)の断面を含む断面図である。
図4及び
図6に示されるように、圧力調整弁60は、ベース部材70(第1部材)と、ケース部材80(第2部材)と、複数(ここでは6つ)の弁体90(弾性部材)と、カバー部材100(第3部材)とを有している。
【0051】
ベース部材70は、略直方体状の外形を有しており、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等によって形成されている。ベース部材70は、開口50aに接続される。X方向から見て、ベース部材70の下面及び両側面が、第2開口54aによって位置決めされる。ベース部材70は、例えば、側面71と第1樹脂部52との接触部分の一部または全部が溶着されることにより、開口50aに対して固定される。側面71と第1樹脂部52との溶着は、例えば熱板溶着、レーザ透過溶着、及び超音波溶着等により行われる。
【0052】
図7の(A)は、側面71を示す平面図であり、
図7の(B)は、ベース部材70の側面72(第1側面)を示す平面図である。側面72は、開口50a側とは反対側の側面であり、ケース部材80に対向している。
図6及び
図7に示されるように、ベース部材70には、側面71から側面72にかけて貫通する複数(ここでは6つ)の第1連通孔73〜78が設けられている。第1連通孔73〜78は、第1開口52a4,52a12,52a20,52a24,52a16,52a8と連通した連通孔である。第1連通孔76〜78の構成は、第1連通孔73〜75の構成と同様である。具体的には、第1連通孔76〜78は、側面71,72の中心を通り側面71,72に直交する軸Aに対して、第1連通孔73〜75と点対称に構成されている。したがって、以下では、第1連通孔73〜75について説明し、第1連通孔76〜78の説明を省略する。
【0053】
中段に位置する第1連通孔74は、X方向に沿って延びた直方体状に形成されている。
【0054】
下段に位置する第1連通孔73は、X方向に沿って延びた直方体状の連通部73bと、X方向に沿ってケース部材80に向かうにつれて上下幅(Z方向の幅)が大きくなるテーパ状に形成されたテーパ部73cと、を有する。テーパ部73cは、X方向に沿ってケース部材80に向かうにつれて第1連通孔73,74間の間隔が小さくなるように設けられている。連通部73bは、第1連通孔73の開口50a側の開口端73aから第1連通孔73の途中位置までの区間を形成しており、テーパ部73cは、当該途中位置から第1連通孔73のケース部材80側の開口端73dまでの区間を形成している。なお、テーパ部73cは、第1連通孔73とケース部材80に設けられた第2連通孔83とを連通させるための位置調整の役割を果たしている。
【0055】
上段に位置する第1連通孔75は、X方向に沿って延びた直方体状の連通部75bと、X方向に沿ってケース部材80に向かうにつれて上下幅(Z方向の幅)が大きくなるテーパ状に形成されたテーパ部75cと、を有する。テーパ部75cは、X方向に沿ってケース部材80に向かうにつれて第1連通孔74,75間の間隔が小さくなるように設けられている。連通部75bは、第1連通孔75の開口50a側の開口端75aから第1連通孔75の途中位置までの区間を形成しており、テーパ部75cは、当該途中位置から第1連通孔75のケース部材80側の開口端75dまでの区間を形成している。なお、テーパ部75cは、第1連通孔75とケース部材80に設けられた第2連通孔85とを連通させるための位置調整の役割を果たしている。
【0056】
第1連通孔73〜75の開口端73a〜75aは、X方向から見て、第1開口52a4,52a12,52a20を含む大きさに形成されている。開口端73a〜75aの上下幅d1は、いずれも同一である。
【0057】
開口50a1〜50a4における6つの第1開口52aの配置は、上述したように1段ずつずれている。このため、全ての開口50a1〜50a4に対して同一規格(共通形状)の圧力調整弁60を使用するためには、圧力調整弁60のベース部材70がどの開口50a1〜50a4に接続された場合にも、第1連通孔73〜78が、対応する第1開口52aと連通する必要がある。例えば、ベース部材70の第1連通孔73は、第1開口52a4に連通しているが、当該ベース部材70が開口50a2に接続された際には第1開口52a3に連通する必要があり、当該ベース部材70が開口50a3に接続された際には第1開口52a2に連通する必要があり、当該ベース部材70が開口50a4に接続された際には第1開口52a1に連通する必要がある。
【0058】
そこで、本実施形態では、開口端73a〜75aの上下幅d1は、積層体30において繰り返される構造1つ分の幅(すなわち、上述した1段分のずれ幅)と開口50aの数との乗算値以上に設定されている。本実施形態では、積層体30において繰り返される構造1つ分の幅は、1つの電極板34と1つの内部空間Vとを合わせた部分の積層方向D1の幅d2(
図2参照)である。すなわち、本実施形態では「d1≧d2×4」の関係が成立している。これにより、ベース部材70がどの開口50a1〜50a4に接続された場合にも、X方向から見て、各開口端73a〜75aの内側に、対応する第1開口52aが収まるようになっている。その結果、どの開口50a1〜50a4に対しても同一のベース部材70(すなわち、同一の圧力調整弁60)を使用することが可能となっている。これにより、必要となる部材の種類を減らすことができる。また、開口50a毎に異なる規格の圧力調整弁60を使用する必要がなくなるため、開口50aに対して適合しない規格の圧力調整弁60を接続してしまうといった誤組み付けの発生を防止することもできる。
【0059】
さらに、
図7の(A)に示されるように、複数の開口端73a〜78aは、側面71の中心を通り側面71に直交する軸Aに対して、点対称に配置されている。この構成によれば、軸Aに対して互いに反転関係にあるベース部材70の2つの状態(姿勢)のいずれにおいても、開口50aに対する複数の開口端の位置関係が同一となる。このため、上記2つの状態のいずれにおいても、ベース部材70を開口50aに正常に接続することができる。具体的には、ベース部材70を、
図7の(A)に示される状態から軸Aを回転軸として反転(180度回転)させても、当該ベース部材70を開口50a1に接続することができる。例えば、第1開口52a4と連通していた第1連通孔73は、上記反転後の状態においては、第1開口52a24に連通することになる。その結果、開口50aへのベース部材70の接続を容易に行うことが可能となる。また、開口50aに対して誤った向きでベース部材70を接続してしまうといった誤組み付けの発生を防止することもできる。
【0060】
図7の(B)に示されるように、ベース部材70の側面72には、ベース部材70とケース部材80との接続方向D2(すなわちX方向)から見て複数の第1連通孔73〜78の各々を仕切るように接続方向D2に沿って延びた第1接合用突起部72A,72Bが設けられている。
【0061】
第1接合用突起部72Aは、矩形状の各開口端73d〜75dのY方向に沿って延びた縁部に立設された4つの壁部72A1と、各開口端73d〜75dのZ方向に沿って延びた縁部に立設された2つの壁部72A2と、を有する。同様に、第1接合用突起部72Bは、矩形状の各開口端76d〜78dのY方向に沿って延びた縁部に立設された4つの壁部72B1と、各開口端76d〜78dのZ方向に沿って延びた縁部に立設された2つの壁部72B2と、を有する。
【0062】
また、側面72の四隅には、接続方向D2に延びた柱状の第1測定用突起部72Cが設けられている。第1測定用突起部72Cは、後述するケース部材80の第2接合用突起部81A,81B及び第2測定用突起部81Cと干渉しないように設けられている。すなわち、第1測定用突起部72Cは、接続方向D2から見て、第2接合用突起部81A,81B及び第2測定用突起部81Cと重ならない位置に設けられている。
【0063】
ケース部材80は、略直方体状の外形を有する箱状部材であり、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等によって形成されている。ケース部材80は、箱の底面に相当する側面81(第2側面)においてベース部材70の側面72に接合される。
図8は、ケース部材80の側面81を示す分解斜視図である。
図9の(A)は、側面81を示す平面図であり、
図9の(B)は、ケース部材80をカバー部材100側から見た平面図である。
【0064】
図8及び
図9に示されるように、ケース部材80には、側面81から内側面82(側面81を形成する側板の内側面)にかけて貫通する複数(ここでは6つ)の第2連通孔83〜88が設けられている。第2連通孔83〜88は、円柱状に形成されている。各第2連通孔83〜88は、対応する第1連通孔73〜78を介して、それぞれ1つの内部空間Vと連通している。
【0065】
図8及び
図9の(A)に示されるように、ケース部材80の側面81には、接続方向D2(X方向)から見て複数の第2連通孔83〜88の各々を仕切るように接続方向D2に沿って延びた第2接合用突起部81A,81Bが設けられている。
【0066】
第2接合用突起部81A,81Bは、第1接合用突起部72A,72Bに対応する形状を有しており、接続方向D2から見て第1接合用突起部72A,72Bと重なるように設けられている。すなわち、第2接合用突起部81Aは、4つの壁部72A1に対応する4つの壁部81A1と、2つの壁部72A2に対応する2つの壁部81A2と、を有する。同様に、第2接合用突起部81Bは、4つの壁部72B1に対応する4つの壁部81B1と、2つの壁部72B2に対応する2つの壁部81B2と、を有する。
【0067】
また、側面81の四隅には、接続方向D2に延びた柱状の第2測定用突起部81Cが設けられている。第2測定用突起部81Cは、第1接合用突起部72A,72B及び第1測定用突起部72Cと干渉しないように設けられている。すなわち、第2測定用突起部81Cは、接続方向D2から見て、第1接合用突起部72A,72B及び第1測定用突起部72Cと重ならない位置に設けられている。
【0068】
ベース部材70とケース部材80とは、第1接合用突起部72A,72Bの端部と第2接合用突起部81A,81Bの端部とを熱板溶着することにより、互いに接合されている。これにより、ベース部材70の側面72とケース部材80の側面81とは、接続方向D2から見て複数の第1連通孔73〜78と複数の第2連通孔83〜88とにより形成される複数の連通路の各々を仕切るように接続方向D2に沿って延びた仕切壁Wを介して接続されている。仕切壁Wは、第1接合用突起部72A,72Bと第2接合用突起部81A,81Bとが熱板溶着されることにより、側面72と側面81とを接続するように形成された壁部である。
【0069】
なお、上記熱板溶着において、第1接合用突起部72A,72Bの端部に対して平行となるように熱板が押し当てられる。この際、第1測定用突起部72Cの端部にも同様に熱板が押し当てられることにより、第1測定用突起部72Cの端部は、上記熱板溶着により溶融した後に固まった状態となっている。同様に、上記熱板溶着において、第2接合用突起部81A,81Bの端部に対して平行となるように熱板が押し当てられる。この際、第2測定用突起部81Cの端部にも同様に熱板が押し当てられることにより、第2測定用突起部81Cの端部は、上記熱板溶着により溶融した後に固まった状態となっている。
【0070】
図7の(B)及び
図9の(A)に示されるように、ベース部材70の側面72に設けられた複数の開口端73d〜78d、及びケース部材80の側面81に設けられた複数の開口端83a〜88a(第1開口端)はいずれも、軸Aに対して、点対称に配置されている。また、第1接合用突起部72A,72B及び第2接合用突起部81A,81Bも、軸Aに対して、点対称に配置されている。一方、第1測定用突起部72Cと第2測定用突起部81Cとは、軸Aに対して互いに点対称とはならないように配置されている。
図7の(B)に示されるように、本実施形態では、第1測定用突起部72Cは、側面72の四隅において、Z軸方向に沿った縁部(短辺側)に設けられている。一方、
図9の(A)に示されるように、本実施形態では、第2測定用突起部81Cは、側面81の四隅において、Y軸方向に沿った縁部(長辺側)に設けられている。このように、第1測定用突起部72Cと第2測定用突起部81Cとは、ベース部材70に対してケース部材80を上下反転(軸A周りに180度回転)させても、接続方向D2から見て互いに重ならないように配置されている。
【0071】
上記構成によれば、軸Aに対して互いに反転関係にあるベース部材70(又はケース部材80)の2つの状態(姿勢)のいずれにおいても、複数の開口端73d〜78dに対する複数の開口端83a〜88aの位置関係が同一となる。また、第1接合用突起部72A,72Bと第2接合用突起部81A,81Bとは、ベース部材70に対してケース部材80を軸A周りに反転させても、接続方向D2から見て互いに重なる。このため、上記2つの状態のいずれにおいても、ベース部材70にケース部材80を正常に接合することが可能となる。具体的には、ベース部材70に対してケース部材80を上下反転(軸A周りに180度回転)させても、ケース部材80をベース部材70に正常に接合することができる。その結果、ベース部材70へのケース部材80の接合を容易に行うことが可能となる。また、ベース部材70に対して誤った向きでケース部材80を接合してしまうといった誤組み付けの発生を防止することもできる。一方、第1測定用突起部72Cと第2測定用突起部81Cとは、ベース部材70に対してケース部材80を軸A周りに反転させても、接続方向D2から見て互いに重ならない。すなわち、ベース部材70に対してケース部材80を互いに反転関係にあるいずれの向きで接合したとしても、第1測定用突起部72Cと第2測定用突起部81Cとが互いに干渉することがない。このため、第1測定用突起部72C及び第2測定用突起部81Cの長さに基づいて、熱板溶着が適切になされたか否かを確認できる。
【0072】
図4及び
図9の(B)に示されるように、ケース部材80の内側には、第2連通孔83〜88の内側の開口端83b〜88b(開口端83a〜88aとは反対側の第2開口端)の各々を包囲すると共に各開口端83b〜88bを塞ぐための弁体90を収容する筒状部89が設けられている。弁体90は、例えばゴム等の弾性部材によって円柱状に形成されている。弁体90は、筒状部89に収容された状態において、接続方向D2に沿って延びている。筒状部89は、弁体90の形状に合わせて略円筒状に形成されている。なお、本実施形態では、複数の開口端83b〜88bの各々に対応する複数の筒状部89は互いに連結している(一部を他の筒状部89と共有している)が、互いに分離していてもよい。
【0073】
各筒状部89に収容された弁体90は、各開口端83b〜88bを塞ぐように配置されている。具体的には、各開口端83b〜88bは、弁体90側に盛り上がった盛り上がり形状をなしている。このような盛り上がり形状を有する各開口端83b〜88bに弁体90が押し当てられることにより、各開口端83b〜88bは塞がれている。
【0074】
筒状部89の内径は、弁体90の直径よりも大きくされている。また、筒状部89の内側面には、弁体90の側面90aに当接し、弁体90を筒状部89に対して固定するための複数の突起部89aが形成されている。各突起部89aは、X方向に沿って延びている。また、複数(ここでは6つ)の突起部89aは、X方向から見て等間隔(筒状部89の中心軸周りに60度間隔)に設けられている。弁体90の側面90aが6つの突起部89aに支持されることにより、弁体90の側面90aと筒状部89の内側面との間に、突起部89aの大きさに応じた隙間Gが設けられている(
図6参照)。
【0075】
カバー部材100は、ケース部材80の開口80aを塞ぐように、ケース部材80の端部80bに接合される板状部材である。ケース部材80とカバー部材100とは、複数の弁体90が収容される収容空間Sが形成されるように、互いに接続されている。カバー部材100は、複数の弁体90を各開口端83b〜88bに押し当てるように、接続方向D2に沿って複数の弁体90をケース部材80に対して押圧する押圧部材としても機能する。カバー部材100は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等によって形成されている。カバー部材100をケース部材80の端部80bに接合する方法は特に限定されないが、例えばレーザ溶着、熱板溶着、及びボルト等の締結部材を用いた締結等を用い得る。例えば、レーザ溶着を用いる場合には、カバー部材100をレーザ透過性樹脂で形成すると共にケース部材80をレーザ吸収性樹脂で形成し、レーザをカバー部材100側から照射することにより、ケース部材80におけるカバー部材100との境界部分を溶融させて接合することができる。
【0076】
カバー部材100によってケース部材80に対して押圧された状態の弁体90の圧縮率は、例えば第2連通孔83〜88内の圧力(すなわち、第2連通孔83〜88に連通された各内部空間V内の圧力)が予め定められた設定値以上となった場合に、弁体90による開口端83b〜88bの閉塞が解除されるように予め調整されている。
【0077】
続いて、内部空間Vの圧力調整の仕組みについて説明する。ここでは、
図6に示される開口端84bに着目し、対応する内部空間V12の圧力調整の仕組みについて説明を行う。第2連通孔84は、第1連通孔74及び第1開口52a12を介して、対応する内部空間V12と連通している。このため、弁体90の開口端83bを塞ぐ部分には、内部空間V12と同等の圧力がかかることになる。上述の通り、弁体90による開口端84bの閉塞の解除は、対応する内部空間V12内の圧力が予め定められた設定値以上となった場合に行われるように、弁体90の圧縮率が規定されている。このため、対応する内部空間V12内の圧力が設定値未満である場合には、
図6に示されるように、開口端84bが弁体90によって塞がれた閉弁状態が維持される。
【0078】
一方、内部空間V12内の圧力が上昇して設定値以上となった場合には、弁体90の一部(具体的には、開口端84bを塞ぐ部分及びその周辺部分)が開口端84bから離間するように変形し、開口端84bの閉塞が解除された開弁状態となる。その結果、閉塞が解除された開口端84bから内部空間V12内のガスが放出される。その後、内部空間V12内の圧力が設定値未満となった場合には、弁体90が元の状態に戻ることにより、当該開口端84bが再び閉弁状態(
図6に示される状態)となる。以上の開閉動作により、圧力調整弁60は、内部空間V12内の圧力を適切に調整することができる。他の開口端83b,85b〜88bに対応する内部空間Vの圧力調整の仕組みも、上述した仕組みと同様である。
【0079】
上述した通り、弁体90は、筒状部89の内側面と弁体90との間に隙間Gが設けられるようにして、筒状部89に対して固定されている。これにより、内部空間V(ここでは一例として内部空間V12)内の圧力上昇に応じて、第2連通孔84の開口端84bを塞ぐ弁体90が開口端84bから離れた際に、内部空間V12内のガスを弁体90と筒状部89との間の隙間Gに適切に逃すことができる。
【0080】
また、筒状部89のカバー部材100側の端面89bは、カバー部材100から離間している。これにより、上述した開弁状態において弁体90と筒状部89との間の隙間Gに逃げたガスを、さらに筒状部89の端面89bとカバー部材100との間の収容空間Sに適切に逃すことができる。
【0081】
また、カバー部材100において接続方向D2から見て複数の弁体90と重ならない位置に、収容空間Sと外部空間とを連通した排気口100a(
図4の例では2つの排気口100a)が設けられている。これにより、第1連通孔73〜78及び第2連通孔83〜88を介して内部空間Vから放出されたガスを、収容空間Sに溜めることなく、排気口100aを介して外部空間に適切に排出することができる。特に、カバー部材100に排気口100aが設けられていることにより、収容空間S内のガス(比較的高温のガス)を蓄電モジュール12本体からなるべく遠ざける方向(接続方向D2に沿った方向)に排出することができる。これにより、圧力調整弁60から排出されるガスが蓄電モジュール12に悪影響を与えることを効果的に抑制することができる。
【0082】
以上説明したように、本実施形態の蓄電モジュール12は、電極板34と、電極板34の一方面に設けられた正極36と、電極板34の他方面に設けられた負極38とを含むバイポーラ電極32が積層された積層体30と、電極板34の縁部34aを保持し、積層体30において隣り合うバイポーラ電極32間の複数の内部空間Vと連通した開口50aが設けられた枠体50と、開口50aに接続される圧力調整弁60と、を備える。圧力調整弁60は、開口50aを介して複数の内部空間Vと連通した複数の第1連通孔73〜78が設けられ、かつ開口50aに接続されるベース部材70と、複数の第1連通孔73〜78と連通した複数の第2連通孔83〜88が設けられ、かつベース部材70の側面72に接合されるケース部材80と、複数の第2連通孔83〜88の開口端83b〜88bを塞ぐ複数の弁体90と、複数の弁体90を複数の開口端83b〜88bに押し当てるように、接続方向D2に沿って、複数の弁体90をケース部材80に対して押圧するカバー部材100と、を有する。
【0083】
この蓄電モジュール12には、複数(本実施形態では6つ)の内部空間Vの各々と連通した複数の連通孔(第1連通孔73〜78及び第2連通孔83〜88)の出口側の開口端83b〜88bを塞ぐ複数の弁体90を有する圧力調整弁60が設けられている。すなわち、バイポーラ電極32の積層体30の複数の内部空間Vの圧力調整を行うために、当該複数の内部空間Vに対して共通化された1つの圧力調整弁60が設けられている。これにより、バイポーラ電極32間の複数の内部空間Vの圧力調整を行うための構成の簡素化を図ることができる。
【0084】
また、蓄電モジュール12は、複数(本実施形態では4つ)の圧力調整弁60を備える。枠体50には、複数の圧力調整弁60が接続される複数(4つ)の開口50a(50a1〜50a4)が設けられている。複数の開口50aは、開口50a毎に互いに異なる内部空間Vと連通している。このように、枠体50に開口50aを複数設けることにより、開口50aを1つだけ設ける場合と比較して、1つの開口50aに連通させる内部空間Vの数(すなわち、1つの圧力調整弁60で圧力調整を行う対象となる内部空間Vの数であり、1つの圧力調整弁60に設ける必要のある連通孔の数)を減らすことができる。これにより、圧力調整弁60の1つの第1連通孔の断面積及び1つの第2連通孔の断面積を大きくすることができ、これらの連通孔内の空気の流通を円滑にすることができる。
【0085】
また、ベース部材70とケース部材80とは、複数の第1連通孔73〜78と複数の第2連通孔83〜88とにより形成される複数の連通路の各々を仕切るように接続方向D2に沿って延びた仕切壁Wを介して接続されている。仮に、ベース部材70の側面71とケース部材80の側面81とを溶着により面接合した場合、溶融したベース部材70又はケース部材80によって第1連通孔73〜78と第2連通孔83〜88との継ぎ目部分が閉塞するおそれがある。一方、上記のように仕切壁Wを介してベース部材70とケース部材80とが接合される構成(例えば熱板溶着により溶着される構成)によれば、ベース部材70とケース部材80との接合によって上記継ぎ目部分が閉塞するおそれを低減することができる。
【0086】
また、側面72には、接続方向D2から見て複数の第1連通孔73〜78の各々を仕切るように接続方向D2に沿って延びた第1接合用突起部72A,72Bと、接続方向D2に沿って延びた第1測定用突起部72Cと、が設けられている。側面81には、第1接合用突起部72A,72Bに対応するように、接続方向D2から見て複数の第2連通孔83〜88の各々を仕切るように接続方向D2に沿って延びた第2接合用突起部81A,81Bと、接続方向D2から見て第1測定用突起部72Cと重ならないように接続方向D2に沿って延びた第2測定用突起部81Cと、が設けられている。第1接合用突起部72A,72Bと第2接合用突起部81A,81Bとは、熱板溶着により接合されている。第1測定用突起部72Cの端部及び第2測定用突起部81Cの端部は、上記熱板溶着により溶融した後に固まった状態となっている。
【0087】
この構成では、第1測定用突起部72Cと第2測定用突起部81Cとが、接続方向D2から見て互いに重ならないように設けられている。このため、第1測定用突起部72Cの接続方向D2の長さcは、熱板に接触して端部が溶融した後の第1接合用突起部72A,72Bの接続方向D2の長さ(第1接合用突起部72A,72Bと第2接合用突起部81A,81Bとを互いに突き当てて押し込む前の長さ)と等しくなっている。同様に、第2測定用突起部81Cの接続方向D2の長さdは、熱板に接触して端部が溶融した後の第2接合用突起部81A,81Bの接続方向D2の長さ(第1接合用突起部72A,72Bと第2接合用突起部81A,81Bとを互いに突き当てて押し込む前の長さ)と等しくなっている。したがって、この蓄電モジュール12によれば、熱板溶着前の第1接合用突起部72A,72Bの接続方向の長さa、熱板溶着前の第2接合用突起部81A,81Bの接続方向の長さb、第1測定用突起部72Cの上記長さc、第2測定用突起部81Cの上記長さd、及び側面72と側面81との接続方向D2の間隔eとに基づいて、第1接合用突起部72A,72Bの溶融量(=a−c)、第2接合用突起部81A,81Bの溶融量(=b−d)、及びベース部材70とケース部材80との間の押し込み量(=c+d−e)を算出することができる。これにより、熱板溶着により互いに接合されたベース部材70及びケース部材80を有する圧力調整弁60を備える構成において、上述のように算出される各部(第1接合用突起部72A,72B及び第2接合用突起部81A,81B)の溶融量及び押し込み量に基づいて、熱板溶着が適切になされたか否かを容易に確認できる。
【0088】
また、側面72には、複数の第1測定用突起部72Cが設けられている。特に本実施形態では、4つの第1測定用突起部72Cが、側面72の四隅に設けられている。この場合、複数の第1測定用突起部72Cの接続方向D2の長さのばらつきの有無及び度合い等に基づいて、第1接合用突起部72A,72B及び第1測定用突起部72Cを熱板に接触させた際の熱板と側面72との平行度を確認できる。すなわち、熱板が適切な姿勢(側面72に平行となる姿勢)で第1接合用突起部72A,72B及び第1測定用突起部72Cに押し当てられたか否かを確認できる。
【0089】
また、側面81には、複数の第2測定用突起部81Cが設けられている。特に本実施形態では、4つの第2測定用突起部81Cが、側面81の四隅に設けられている。この場合、複数の第2測定用突起部81Cの接続方向D2の長さのばらつきの有無及び度合い等に基づいて、第2接合用突起部81A,81B及び第2測定用突起部81Cを熱板に接触させた際の熱板と側面81との平行度を確認できる。すなわち、熱板が適切な姿勢(側面81に平行となる姿勢)で第2接合用突起部81A,81B及び第2測定用突起部81Cに押し当てられたか否かを確認できる。
【0090】
また、複数の開口端83b〜88bは、接続方向D2から見て積層方向D1に交差する方向に互いにずれて配置されている。本実施形態では、例えば積層方向D1が上下方向(鉛直方向)となるように蓄電装置10が配置されることが考えられる。この場合、圧力調整弁の開弁時において、内部のガスと共に電解液が開口端83b〜88bから排出され得る。このとき、複数の開口端同士が積層方向D1に沿って同一直線上に配置されているとすると、上側に配置された開口端、及び下側に配置された開口端から同時に排出された電解液同士が繋がって液絡する可能性がある。本実施形態では、複数の開口端83b〜88bがY方向に互いにずれて配置されている。すなわち、複数の開口端83b〜88bは、積層方向D1に沿って同一直線上に配置されていない。これにより、開口端83b〜88b同士における液絡が抑制される。なお、本実施形態では、開口端83b〜88bをそれぞれ包囲して接続方向D2に沿って延びる複数の筒状部89もY方向に互いにずれて配置されている。この場合、開口端83b〜88bから排出された電解液は、例えば、筒状部89の端部からケース部材80内に滴下され得るので、開口端83b〜88b同士における液絡がさらに抑制される。
【0091】
[蓄電装置の製造方法]
以下、
図1に示される蓄電装置10の製造方法(蓄電モジュール12の製造方法を含む)の一例を説明する。
【0092】
(積層工程)
まず、例えばセパレータ40を介してバイポーラ電極32を積層して積層体30を得る。本実施形態では、積層工程前に、各バイポーラ電極32の電極板34の縁部34aに第1樹脂部52が例えば射出成形等により形成されている。積層工程により、
図2に示される構成のうち第2樹脂部54を除いた構成が得られる。
【0093】
(枠体形成工程)
次に、第2樹脂部54を例えば射出成形により形成する。その結果、
図2及び
図3に示されるように、第1樹脂部52及び第2樹脂部54を有する枠体50が形成される。なお、本実施形態では積層工程前に枠体50の一部である第1樹脂部52を形成し、積層工程後に枠体50の残部である第2樹脂部54を形成しているが、積層工程後に枠体50の一部である第1樹脂部52を形成してもよい。
【0094】
(ベース部材接続工程)
次に、ベース部材70を開口50aに接続する。上述した通り、例えば、ベース部材70の側面71と第1樹脂部52との接触部分の一部または全部を溶着することにより、ベース部材70を開口50aに対して固定する。側面71と第1樹脂部52との溶着は、例えば熱板溶着、レーザ透過溶着、及び超音波溶着等により行われる。これにより、開口50aに対してベース部材70が固定される。
【0095】
(電解液注入工程)
次に、ベース部材70に設けられた複数の第1連通孔73〜78を介して、複数の内部空間V(本実施形態では、当該ベース部材70が接続された開口50aに連通した6つの内部空間V)の各々に電解液を注入する。第1連通孔73〜78毎に液量を管理しながら注液を行うことにより、内部空間V毎の液量を管理することができる。また、電解液の注入前に、蓄電モジュール12内の各内部空間Vが確実にシールされていることを検査するために、複数の第1連通孔73〜78を介して、各内部空間Vに対する真空引き(空気を抜き取る作業)が実施されてもよい。これにより、電解液の注液の前に、各内部空間Vの気密性を検査することができる。なお、ベース部材70を介した電解液の注入は、専用の治具等を用いて行われてもよい。
【0096】
(準備工程)
次に、ケース部材80と、複数の弁体90と、カバー部材100とからなるユニットである圧力調整弁サブモジュールSM(
図8参照)を準備する。圧力調整弁サブモジュールSMは、ケース部材80の内側に設けられた各筒状部89に弁体90を収容した後に、カバー部材100をケース部材80に組み付けることにより形成される。
【0097】
(検査工程)
次に、準備工程で準備された圧力調整弁サブモジュールSMを検査する。これにより、圧力調整弁60としての機能が正常に発揮されるか否かを事前に確認できる。具体的には、ケース部材80に設けられた各第2連通孔83〜88の開口端83a〜88aから各第2連通孔83〜88内に空気を送り込むことにより、圧力調整弁サブモジュールSMの動作を検査する。より具体的には、圧力調整弁サブモジュールSMに含まれる複数の弁体90の開弁圧が正常であるか否かが検査される。各開口端83a〜88aから各第2連通孔83〜88内に空気を送り込む操作は、例えば専用の治具等を用いて行われてもよい。検査工程では、弁体90による開口端83b〜88bの閉塞が解除されるときの圧力値が第2連通孔83〜88毎に確認される。そして、当該圧力値と予め設定された圧力値とが比較される。例えば当該圧力値と予め設定された圧力値との誤差が許容誤差以下であれば、弁体90の開弁圧は正常であると判定される。一方、上記誤差が許容誤差よりも大きい場合には、弁体90の開弁圧は異常であると判定される。上記検査により、全ての第2連通孔83〜88に対して弁体90の開弁圧が正常であると判定された場合には、検査された圧力調整弁サブモジュールSMは正常と判定される。一方、少なくとも一つの第2連通孔83〜88に対して弁体90の開弁圧が異常であると判定された場合には、検査された圧力調整弁サブモジュールSMは異常と判定される。
【0098】
(接合工程)
次に、複数の第1連通孔73〜78と複数の第2連通孔83〜88とが互いに連通するように、ベース部材70と検査工程において正常と判定された検査済みの圧力調整弁サブモジュールSMのケース部材80とを接合する。上述した通り、当該接合は、ベース部材70の側面72に設けられた第1接合用突起部72A,72Bとケース部材80の側面81に設けられた第2接合用突起部81A,81Bとの熱板溶着により行われる。
【0099】
図10を参照して、接合工程について説明する。
図10は、接合工程における手順を概略的に示した図である。まず、熱板HPが用意される(
図10の(A))。続いて、第1接合用突起部72A,72B、第2接合用突起部81A,81B、第1測定用突起部72C、及び第2測定用突起部81Cの各々の端部に熱板HPを接触させる(
図10の(B))。これにより、第1接合用突起部72A,72B、第2接合用突起部81A,81B、第1測定用突起部72C、及び第2測定用突起部81Cの各々の端部は、溶融した状態となる。また、各突起部の接続方向D2の長さは、各突起部の端部が溶融した分だけ短くなる。なお、熱板HPを接触させる前の状態において、第1測定用突起部72Cの接続方向D2の長さは、第1接合用突起部72A,72Bの接続方向D2の長さaと等しくされている。同様に、熱板HPを接触させる前の状態において、第2測定用突起部81Cの接続方向D2の長さは、第2接合用突起部81A,81Bの接続方向D2の長さbと等しくされている。
【0100】
続いて、第1接合用突起部72A,72Bの溶融した端部と第2接合用突起部81A,81Bの溶融した端部とを互いに突き当てることにより、第1接合用突起部72A,72Bと第2接合用突起部81A,81Bとを接合する。このようにして第1接合用突起部72A,72Bと第2接合用突起部81A,81Bとが熱板溶着されることにより、側面72と側面81とを接続する仕切壁Wが形成される(
図10の(C))。
【0101】
その後、
図1に示されるように、導電板14を介して複数の蓄電モジュール12を積層する。積層方向D1の両端に位置する導電板14にはそれぞれ正極端子24及び負極端子26が予め接続されている。その後、積層方向D1の両端に、絶縁フィルム22を介して一対の拘束プレート16A,16Bをそれぞれ配置する。その後、ボルト18の軸部を拘束プレート16Aの挿通孔H1に挿入し、拘束プレート16Bの挿通孔H2に挿入する。その後、拘束プレート16Bから突出したボルト18の先端に、ナット20を螺合する。このようにして
図1に示される蓄電装置10が製造される。
【0102】
以上説明したように、本実施形態の蓄電モジュールの製造方法は、積層工程と、枠体形成工程と、ベース部材接続工程と、準備工程と、接合工程と、を含む。この製造方法では、積層体30及び枠体50にベース部材70が接続されてなる部材に対して、圧力調整弁サブモジュールSMを接合することにより、積層体30の複数の内部空間Vに対して共通化された1つの圧力調整弁60を容易に実装することができる。したがって、上記製造方法によれば、バイポーラ電極32間の複数の内部空間Vの圧力調整を行うための構成を簡素化した上で、当該構成を備える蓄電モジュール12の製造工程を簡素化できる。
【0103】
また、上記製造方法は、接続工程の後であり、かつ接合工程の前に、複数の第1連通孔73〜78を介して複数の内部空間Vに電解液を注入する電解液注入工程を更に含む。電解液注入工程において、ベース部材70に設けられた複数の第1連通孔73〜78を利用することにより、積層体30の各内部空間Vへの電解液の注入を容易に行うことができる。
【0104】
また、上記製造方法は、準備工程の後であり、かつ接合工程の前に、第2連通孔83〜88の開口端83a〜88aから第2連通孔83〜88内に空気を送り込むことにより、圧力調整弁サブモジュールSMの動作を検査する検査工程を更に含む。そして、接合工程において、ベース部材70と検査済みの圧力調整弁サブモジュールSMのケース部材80とが接合される。この場合、圧力調整弁サブモジュールSMをベース部材70に接合する前に、圧力調整弁サブモジュールSMに設けられた複数の第2連通孔83〜88を利用することにより、圧力調整弁サブモジュールSMの動作(例えば各弁体90の開弁圧等)の検査を行うことができる。その結果、最終的に製造される蓄電モジュール12の歩留まりを向上させることができる。
【0105】
また、上記製造方法では、接合工程において、第1接合用突起部72A,72Bの端部と第2接合用突起部81A,81Bの端部とを熱板溶着することにより、ベース部材70とケース部材80とが接合される。このような突起部同士の熱板溶着により、ベース部材70とケース部材80とを接合する際に、第1連通孔73〜78と第2連通孔83〜88との継ぎ目部分が閉塞するおそれを低減することができる。
【0106】
また、上記接合工程は、第1接合用突起部72A,72B、第2接合用突起部81A,81B、第1測定用突起部72C、及び第2測定用突起部81Cの各々の端部に熱板を接触させる工程(
図10の(B)参照)と、第1接合用突起部72A,72Bの溶融した端部と第2接合用突起部81A,81Bの溶融した端部とを互いに突き当てることにより、第1接合用突起部72A,72Bと第2接合用突起部81A,81Bとを接合する工程(
図10の(C)参照)と、を含む。この製造方法では、接続方向D2から見て互いに重ならないように設けられた第1測定用突起部72C及び第2測定用突起部81Cを有するベース部材70及びケース部材80が熱板溶着により接合される。これにより、熱板溶着後の第1測定用突起部72Cの接続方向D2の長さcは、熱板に接触して端部が溶融した後の第1接合用突起部72A,72Bの接続方向D2の長さ(第1接合用突起部72A,72Bと第2接合用突起部81A,81Bとを互いに突き当てて押し込む前の長さ)と等しくなる。また、熱板溶着後の第2測定用突起部81Cの接続方向D2の長さdは、熱板に接触して端部が溶融した後の第2接合用突起部81A,81Bの接続方向D2の長さ(第1接合用突起部72A,72Bと第2接合用突起部81A,81Bとを互いに突き当てて押し込む前の長さ)と等しくなる。したがって、この蓄電モジュール12の製造方法によれば、熱板溶着前の第1接合用突起部72A,72Bの接続方向D2の長さa、熱板溶着前の第2接合用突起部81A,81Bの接続方向D2の長さb、第1測定用突起部72Cの長さc、第2測定用突起部81Cの長さd、及び側面72と側面81との接続方向D2の間隔eとに基づいて、第1接合用突起部72A,72Bの溶融量(=a−c)、第2接合用突起部81A,81Bの溶融量(=b−d)、及びベース部材70とケース部材80との間の押し込み量(=c+d−e)を算出することが可能な蓄電モジュール12を得ることができる。これにより、熱板溶着により互いに接合されたベース部材70及びケース部材80を有する圧力調整弁60を備える構成において、上述のように算出される各部(第1接合用突起部72A,72B及び第2接合用突起部81A,81B)の溶融量及び押し込み量に基づいて、熱板溶着が適切になされたか否かを容易に確認できる。
【0107】
以上、本開示の好適な実施形態について詳細に説明されたが、本開示は上記実施形態に限定されない。例えば、圧力調整弁60において、第1測定用突起部72C及び第2測定用突起部81Cは省略されてもよい。また、本実施形態では、1つの弁体90が1つの開口端(開口端83b〜88bのいずれか)を塞ぐ構成とされているが、例えば板状の弁体を用いて、1つの弁体が複数の開口端を塞ぐ構成(すなわち、複数の開口端に対して1つの弁体が共通的に用いられる構成)が採用されてもよい。
【0108】
また、ケース部材80の開口80aを塞ぐ部材として、排気口100aが形成された板状のカバー部材100を例示したが、これに限定されない。以下、ケース部材80の開口80aを塞ぐ部材の他の例について説明する。以下、主として、上記実施形態と相違する点について説明し、同一又は対応する要素や部材については同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0109】
図11は、他の形態に係る圧力調整弁の構成を示す概略断面図である。
図11は、内部空間V12に対応する連通路(第1開口52a12、第1連通孔74、及び第2連通孔84により形成される連通路)の断面を含む断面図である。
図11に示されるように、圧力調整弁260は、ベース部材70と、ケース部材80と、複数の弁体90と、カバー部材200(第3部材)とを有している。
【0110】
カバー部材200は、カバー部材100と同様に、ケース部材80に接合される部材である。ケース部材80とカバー部材200とは、複数の弁体90が収容される収容空間Sが形成されるように、互いに接続されている。カバー部材200は、複数の弁体90を各開口端83b〜88bに押し当てるように、接続方向D2に沿って複数の弁体90をケース部材80に対して押圧する押圧部材としても機能する。
【0111】
図12は、カバー部材におけるケース部材側の側面を示す図である。カバー部材200は、板状をなす本体部201を有する。本体部201においてX方向から見て複数の弁体90と重ならない位置には、本体部201を貫通する排気口100aが設けられている。また、本体部201におけるケース部材80側の側面には、複数の弁体90をそれぞれ支持する複数の支持部205が設けられている。複数の支持部205は、複数の筒状部89にそれぞれ対向する位置に形成されている。弁体90は筒状部89及び支持部205によって支持される。支持部205は、弁体90の形状に合わせて筒形状(図示例では略円筒状)に形成されている。なお、本実施形態では、複数の支持部205は互いに連結している(一部をY方向に隣り合う他の支持部と共有している)が、互いに分離していてもよい。
【0112】
支持部205の内径は、弁体90の直径よりも大きくなっている。また、支持部205の内側面には、弁体90の側面90aに当接し、弁体90を支持部205に対して固定するための複数の突起部205aが形成されている。各突起部205aは、X方向に沿って延びている。また、複数(ここでは6つ)の突起部205aは、X方向から見て等間隔(支持部205の中心軸周りに60度間隔)に設けられている。弁体90の側面90aが6つの突起部205aに支持されることにより、弁体90の側面90aと支持部205の内側面との間には、突起部205aの大きさに応じた隙間が設けられ得る。
【0113】
例えば、圧力調整弁の製造時において、弁体がX方向に対して傾いた状態で組み付けられると、設定された開弁圧と異なる圧力で開弁される可能性がある。
図11、
図12に示す変形例では、弁体90を支持する支持部205がカバー部材200に形成されているので、弁体90がX方向に対して傾いた状態でカバー部材200に押圧されることが抑制される。これにより、設定された開弁圧と異なる圧力で開弁されることが抑制される。また、この構成では、支持部205が弁体90の側面90aを全周にわたって支持しているので、弁体90が傾くことをより確実に抑制できる。
【0114】
図13は、さらに他の形態に係る圧力調整弁の構成を示す概略断面図である。
図13は、内部空間V12に対応する連通路(第1開口52a12、第1連通孔74、及び第2連通孔84により形成される連通路)の断面を含む断面図である。
図13に示されるように、圧力調整弁360は、ベース部材70と、ケース部材80と、複数の弁体390(弾性部材)と、カバー部材300(第3部材)とを有している。
【0115】
弁体390は、例えばゴム等の弾性部材によって略円柱状に形成されている。弁体390は、筒状部89に収容された状態において、接続方向D2に沿って延びている。各筒状部89に収容された弁体390は、各開口端83b〜88bを塞ぐように配置されている。弁体390におけるカバー部材300側の面390bには、ケース部材80の開口端84b側に凹む穴390cが形成されている。穴390cは、X方向に沿って延びる円柱状をなしている。穴390cは、面390bの中心に形成されている。
【0116】
弁体390の直径は、筒状部89の内径よりも小さくなっている。弁体390が筒状部89に収容された状態において、弁体390の側面390aは筒状部89の突起部89aに当接されている。弁体390の側面390aが6つの突起部89aに支持されることにより、弁体390の側面390aと筒状部89の内側面との間に、突起部89aの大きさに応じた隙間Gが設けられている。
【0117】
カバー部材300は、カバー部材100と同様に、ケース部材80に接合される部材である。ケース部材80とカバー部材300とは、複数の弁体390が収容される収容空間Sが形成されるように、互いに接続されている。カバー部材300は、複数の弁体390を各開口端83b〜88bに押し当てるように、接続方向D2に沿って複数の弁体390をケース部材80に対して押圧する押圧部材としても機能する。カバー部材300は、板状をなす本体部301を有する。本体部301において接続方向D2から見て複数の弁体390と重ならない位置には、本体部301を貫通する排気口(
図13において不図示)が設けられている。また、本体部301におけるケース部材80側の側面には、複数の弁体390を支持する複数の支持部300aが設けられている。複数の支持部300aは、穴390cに嵌合される凸形状を有しており、複数の筒状部89にそれぞれ対向する位置に形成されている。支持部300aは、例えばX方向に沿って延びる円柱状をなしており、穴390cの内径と略同じ外径を有している。本実施形態では、筒状部89に支持された弁体390における穴390cに対向する位置に支持部300aが形成されている。
【0118】
図13に示す変形例では、カバー部材300に形成された支持部300aが弁体390に形成された穴390cに嵌合されることによって、カバー部材300が弁体390を支持し得る。これにより、弁体390がX方向に対して傾いた状態でカバー部材300に押圧されることが抑制される。また、この構成では、弁体90の側面90aを囲んで支持する形態に比べて、弁体90の圧縮時に支持部300aが弁体90から受ける負荷を小さくすることができる。
【0119】
上記実施形態では、枠体50に形成された接続部としての開口50aに圧力調整弁60のベース部材70が接合される例を示したが、これに限定されない。例えば、ベース部材(第1部材)は枠体に一体的に形成されていてもよい。すなわち、ベース部材は枠体の一部によって構成されていてもよい。以下、ベース部材が枠体に一体的に形成されている例について説明する。主として、上記実施形態と相違する点について説明し、同一又は対応する要素や部材については同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0120】
図14は、圧力調整弁を構成するベース部材が枠体に一体的に形成されている例を示す。
図14は、一部が断面によって示されている蓄電モジュール及び圧力調整弁の斜視図である。
図14に示す蓄電モジュール12では、第1樹脂部52と第2樹脂部470とによって、枠体450が構成されている。本変形例では、枠体450を構成する第2樹脂部470と、ケース部材480と、弁体90と、カバー部材490とによって圧力調整弁401が構成されている。枠体450は、上記実施形態における枠体50に相当する部材である。第2樹脂部470は、上記実施形態における第2樹脂部54の機能とベース部材70の機能との両方を備えている。ケース部材480は、上記実施形態におけるケース部材80に相当する部材である。カバー部材490は、上記実施形態におけるカバー部材100に相当する部材である。
【0121】
上述の通り、第1樹脂部52には、隣り合うバイポーラ電極32間の内部空間Vと連通している第1開口52aが設けられている。第2樹脂部470には、第1連通孔473〜478が設けられている。第1連通孔473〜478は、第2樹脂部470をX方向に貫通している。第1連通孔473〜478は、それぞれ対応する第1開口52aに接続されている。第1連通孔473〜478は、第1開口52aを介して、対応する内部空間Vに連通している。
【0122】
第1連通孔473〜478の各々は、Z方向から見て、第2樹脂部470の外側の側面470aに開口した開口端461を有している。開口端461は、内部空間Vに電解液を注入するための注液口として機能する。開口端461は、第2樹脂部470にケース部材480を取り付ける場合におけるケース部材480との接続口としても機能する。複数の第1連通孔の開口端461の形状は、例えば互いに一致している。第1連通孔473〜478には、Z方向における長さが開口端461に向かうにつれて長くなるテーパ部462が形成されている。開口端461の積層方向における幅d3は、内部空間Vの積層方向における幅d2(
図2参照)よりも長い。
【0123】
第2樹脂部470は、側面470aに設けられた複数の第1接合用突起部472を備えている。複数の第1接合用突起部472は、第2樹脂部470と一体的に形成されている。第1接合用突起部472は、側面470aにおいて開口端461に沿って枠状に設けられている。第1接合用突起部472は、開口端461を取り囲んでいる。第1接合用突起部472は、蓄電モジュール12とケース部材480とを接合している。
【0124】
ケース部材480は、例えばPP、PPS、変性PPE等の樹脂で形成されている。ケース部材480は、箱の底部に相当する壁部486を有している。壁部486には、カバー部材490側に向けて貫通した複数(ここでは6つ)の第2連通孔487が設けられている。これらの第2連通孔487は、対応する第1連通孔473〜478とそれぞれ連通される。第2連通孔487は、X軸方向に垂直な方向に切った断面で円形状を呈している。
【0125】
ケース部材480の壁部486には、枠状の第2接合用突起部488がそれぞれ設けられている。第2連通孔487は、第2接合用突起部488で囲まれた領域の内側に形成されている。第2接合用突起部488は、第1接合用突起部472と接合されることによって、蓄電モジュール12とケース部材480とを接合している。第2接合用突起部488は、例えば熱板溶着、レーザ透過溶着、超音波溶着等によって、第1接合用突起部472と接合されている。第2接合用突起部488は、第1接合用突起部472に対応する形状及び寸法を有している。この場合、テーパ部462は、上記実施形態におけるテーパ部73c等と同様に、第1連通孔473〜478とケース部材480に設けられた第2連通孔487とを連通させるための位置調整の役割を果たしている。
【0126】
ケース部材480は、
図14に示されるように、弁体90を収容する複数(ここでは6つ)の筒状部484aを形成する内壁部484を有している。内壁部484は、壁部486と一体化されている。筒状部484aは、X軸方向に垂直な方向に切った断面で円形状を呈している。筒状部484aは、第2連通孔487と連通可能となっている。弁体90は、第2連通孔487を塞ぐように筒状部484aに収容されている。弁体90は、第2連通孔487を開閉させる。弁体90の側面と内壁部484の内壁面との間には、隙間Gが設けられている。
【0127】
カバー部材490は、ケース部材480の開口を塞ぐ板状部材である。カバー部材490は、例えばPP、PPSまたは変性PPE等の樹脂で形成されている。カバー部材490は、ケース部材480の開口端面に熱溶着により接合されている。カバー部材490は、複数の弁体90をケース部材480の壁部486に押し付ける押圧部材としても機能する。ケース部材480の内壁部484とカバー部材490との間には、筒状部484aと連通した収容空間Sが設けられている。また、カバー部材490には、複数(ここでは2つ)の排気口490aが設けられている。排気口490aは、収容空間Sと連通されている。
【0128】
本変形例において、ケース部材480の第2連通孔487は、第2樹脂部470の第1連通孔473〜478及び第1樹脂部52の開口52aを通して蓄電モジュール12の内部空間Vと連通されている。内部空間Vの圧力が設定圧よりも低いときは、第2連通孔487が弁体90によって塞がれた閉弁状態に維持される。内部空間Vの圧力が上昇して設定圧以上になると、弁体90が壁部486から離間するように弾性変形し、第2連通孔487の閉塞が解除された開弁状態となる。その結果、内部空間Vからのガスが弁体90の外側面と内壁部484の内壁面との隙間G及び収容空間Sを通って排気口490aから排出される。
【0129】
本変形例では、枠体450を構成する第2樹脂部にベース部材70に相当する機能を有する第1連通孔473〜478及び第1接合用突起部472が一体的に形成されている。そのため、枠体とベース部材とを接合する工程を省くことができ、生産性の向上に寄与し得る。すなわち、本変形例では、枠体形成工程において、例えば射出成形により第2樹脂部470が形成される際に、第2樹脂部470の構造として第1連通孔473〜478及び第1接合用突起部472が形成される。この第1連通孔473〜478及び第1接合用突起部472がベース部材70に相当するため、上記実施形態におけるベース部材接続工程は必要無い。
【0130】
なお、以上説明した各例では、特に矛盾や問題がない限り、互いの構成を流用又は追加することができる。例えば、
図14に例示した圧力調整弁401において、ケース部材380に代えてケース部材80を採用し、ケース部材80に適合するように第1連通孔473〜478及び第1接合用突起部472の形状を変更してもよい。また、弁体90に代えて弁体390を採用してもよく、カバー部材490に代えてカバー部材200またはカバー部材300を採用してもよい。