【実施例】
【0080】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0081】
1.基材層が備える第2の層の構成の検討
1−1.原材料の準備
まず、各実施例および各比較例の保護フィルムの作製に使用した原料は以下の通りである。
【0082】
<ポリオレフィン>
融点が145℃のランダムポリプロピレン(MFR(加熱温度:230℃)=0.8g/10min)
融点が132℃のランダムポリプロピレン(MFR(加熱温度:230℃)=1.5g/10min)
融点が121℃の直鎖状低密度ポリエチレン(MFR(加熱温度:190℃)=2.5g/10min)
融点が121℃の直鎖状低密度ポリエチレン(MFR(加熱温度:190℃)=0.9g/10min)
融点が119℃の直鎖状低密度ポリエチレン(MFR(加熱温度:190℃)=4.0g/10min)
融点が114℃の直鎖状低密度ポリエチレン(MFR(加熱温度:190℃)=2.0g/10min)
融点が110℃の低密度ポリエチレン(MFR(加熱温度:190℃)=0.8g/10min)
融点が162℃のホモポリプロピレン(MFR(加熱温度:230℃)=0.5g/10min)
融点が158℃のホモポリプロピレン(MFR(加熱温度:230℃)=2.5g/10min)
融点が110℃の低密度ポリエチレン(MFR(加熱温度:190℃)=5.0g/10min)
融点が109℃の低密度ポリエチレン(MFR(加熱温度:190℃)=0.35g/10min)
【0083】
<エラストマー>
スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)(旭化成社製、「タフテックH1221」)
【0084】
1−2.保護フィルムの製造
(実施例1A)
[1A]まず、粘着層を形成するにあたり、SEBSと、融点が114℃の直鎖状低密度ポリエチレン(MFR(加熱温度:190℃)=2.0g/10min)とを、SEBSの含有量が10wt%となるように混練することで粘着層形成材料(樹脂組成物)を調製した。
【0085】
[2A]次に、調製した粘着層形成材料と、第2の層(中間層)形成材料として融点が121℃の直鎖状低密度ポリエチレン(MFR(加熱温度:190℃)=2.5g/10min)と、第1の層(最外層)形成材料として融点が162℃のホモポリプロピレン(MFR(加熱温度:230℃)=0.5g/10min)とを、それぞれ、3つの押し出し機に収納した。
【0086】
[3A]次に、3つの押し出し機から、これらを溶融状態としたものを押し出すことで、共押し出しTダイから、これらが層状に積層された溶融状態の積層体を得た後、この積層体を冷却することで、実施例1Aの保護フィルムを得た。
【0087】
(実施例2A〜実施例7A、比較例1A〜比較例4A)
前記工程[2A]において第2の層形成材料として用いたポリオレフィンの種類を、表1に示すように変更したこと以外は、前記実施例1Aと同様にして、実施例2A〜実施例7A、比較例1A〜比較例4Aの保護フィルムを得た。
【0088】
1−3.評価
各実施例および各比較例の保護フィルムを、以下の方法で評価した。
【0089】
<1>掴みシロの大きさの評価
まず、各実施例および各比較例の保護フィルムについて、それぞれ、偏光子を2枚のポリカーボネート基板(ポリカーボネート層)で挾持した構成をなす樹脂基板(住友ベークライト社製、「P1352」)の両面に、荷重0.5kg/cm
2の条件でロールを用いて圧着して、保護フィルムを貼付することで積層体を得た後、この積層体を厚さ方向に打ち抜くことで、積層体を平面視で円形状をなすもの(直径7.5cm)とした。
【0090】
次いで、円形状とされた積層体に対して、150℃の加熱下で、プレス成形により熱曲げ加工を施すことで、円形状の積層体を曲率半径Rが8.5cmの湾曲形状を有するものとした。
【0091】
そして、この熱曲げ加工が施された積層体における、掴みシロの長さL
1と、平面視における直径L
2とを測定して、(L
1/L
2)×100を求めた後、得られた(L
1/L
2)×100に基づいて、次のように評価した。
【0092】
◎:0.2%以上0.5%以下である。
○:0.1%以上0.2%未満、または、0.5%超1.0%以下である。
×:0.1%未満、または、1.0%超である。
【0093】
<2>掴みシロ同士の接合の有無の評価
まず、各実施例および各比較例の保護フィルムについて、それぞれ、偏光子を2枚のポリカーボネート基板(ポリカーボネート層)で挾持した構成をなす樹脂基板(住友ベークライト社製、「P1352」)の両面に、荷重0.5kg/cm
2の条件でロールを用いて圧着して、保護フィルムを貼付することで積層体を得た後、この積層体を厚さ方向に打ち抜くことで、積層体を平面視で円形状をなすもの(直径7.5cm)とした。
【0094】
次いで、円形状とされた積層体に対して、150℃の加熱下で、プレス成形により熱曲げ加工を施すことで、円形状の積層体を曲率半径Rが8.5cmの湾曲形状を有するものとした。
【0095】
そして、この熱曲げ加工が施された積層体における、2つの掴みシロ同士の接合の有無を観察し、その観察結果に基づいて、次のように評価した。
【0096】
◎:2つの掴みシロ同士間において、明らかに接合が認められず、
保護フィルムを剥離させる際に、掴みシロとして容易に用い得る。
○:2つの掴みシロ同士間において、若干の接合が認められるものの、
保護フィルムを剥離させる際に、掴みシロとして比較的容易に用い得る。
×:2つの掴みシロ同士間において、明らかな接合が認められ、
保護フィルムを剥離させる際に、掴みシロとして用いることができない。
【0097】
<3>熱曲げ加工後の樹脂基板の外観の評価
まず、各実施例および各比較例の保護フィルムについて、それぞれ、偏光子を2枚のポリカーボネート基板(ポリカーボネート層)で挾持した構成をなす樹脂基板(住友ベークライト社製、「P1352」)の両面に、荷重0.5kg/cm
2の条件でロールを用いて圧着して、保護フィルムを貼付することで積層体を得た後、この積層体を厚さ方向に打ち抜くことで、積層体を平面視で円形状をなすもの(直径7.5cm)とした。
【0098】
次いで、円形状とされた積層体に対して、150℃の加熱下で、プレス成形により熱曲げ加工を施すことで、円形状の積層体を曲率半径Rが8.5cmの湾曲形状を有するものとした。その後、熱曲げ加工が施された積層体から保護フィルムを剥離させた。
【0099】
そして、保護フィルムが剥離された、熱曲げ加工後の樹脂基板における表面の外観に基づいて、次のように評価した。
【0100】
◎:金型の転写が全く無く成型前同等の平滑性である。
○:金型の転写が若干発生しているが実使用上問題ない程度である。
×:金型の転写による凹凸が顕著で実使用できない程度である。
【0101】
<4>金型剥離性の評価
まず、各実施例および各比較例の保護フィルムについて、それぞれ、偏光子を2枚のポリカーボネート基板(ポリカーボネート層)で挾持した構成をなす樹脂基板(住友ベークライト社製、「P1352」)の両面に、荷重0.5kg/cm
2の条件でロールを用いて圧着して、保護フィルムを貼付することで積層体を得た後、この積層体を厚さ方向に打ち抜くことで、積層体を平面視で円形状をなすもの(直径7.5cm)とした。
【0102】
次いで、円形状とされた積層体に対して、150℃の加熱下で、プレス成形により熱曲げ加工を施すことで、円形状の積層体を曲率半径Rが8.5cmの湾曲形状を有するものとした。
【0103】
そして、この熱曲げ加工が施された積層体のプレス成形に用いた金型からの剥離性に基づいて、次のように評価した。
【0104】
◎:容易に剥離できる。
○:若干の密着があるが剥離可能な程度である。
×:密着して剥離できない。
【0105】
以上のようにして得られた各実施例および各比較例の保護フィルムにおける評価結果を、それぞれ、下記の表1に示す。
【0106】
【表1】
【0107】
表1に示したように、各実施例における保護フィルムでは、第2の層の融点が150℃未満であり、かつ、第2の層が含有する熱可塑性樹脂のMFRが0.5g/10min以上4.0g/10min以下に設定されることで、掴みシロの指標である(L
1/L
2)×100の大きさが、0.1%以上1.0%以下の範囲に設定され、さらに、2つの掴みシロ同士間における接合が認められず、これらの掴みシロを、前記工程[4]において、保護フィルムを剥離させる際の掴みシロとして利用することができ、保護フィルムの剥離を容易に実施し得ることが判った。また、熱曲げ加工後の樹脂基板の表面に金型表面形状の転写による凹凸が認められず、優れた外観性をもって樹脂基板を熱曲げ加工し得ることが明らかとなった。
【0108】
また、各実施例における保護フィルムでは、第1の層の融点が150℃以上に設定されることで、前記工程[3]の熱曲げ加工の後に、成形型に保護フィルムが接着することなく、優れた剥離性をもって熱曲げされた積層体を剥離させ得ることが判った。
【0109】
これに対して、第2の層の融点が150℃以上である各比較例における保護フィルムでは、(L
1/L
2)×100の大きさが、0.1%未満となり、形成された掴みシロを、前記工程[4]において、保護フィルムを剥離させる際の掴みシロとして利用することができない結果を示した。さらに、第2の層が含有する熱可塑性樹脂のMFRが0.5g/10min未満、または、4.0g/10min超である各比較例における保護フィルムでは、掴みシロの指標である(L
1/L
2)×100の大きさが、0.1%未満、または、掴みシロが形成されたとしても2つの掴みシロ同士間において明らかな接合が認められたことから、形成された掴みシロを、前記工程[4]において、保護フィルムを剥離させる際の掴みシロとして利用することができない結果を示した。
【0110】
2.粘着層に含まれるエラストマーの種類の検討
2−1.原材料の準備
まず、各実施例の保護フィルムの作製に使用した原料は以下の通りである。
【0111】
<ポリオレフィン>
融点が162℃のホモポリプロピレン(MFR(加熱温度:230℃)=0.5g/10min)
融点が121℃の直鎖状低密度ポリエチレン(MFR(加熱温度:190℃)=2.5g/10min)
融点が114℃の直鎖状低密度ポリエチレン(MFR(加熱温度:190℃)=2.0g/10min)
【0112】
<エラストマー>
スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)
スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)
α−オレフィン/ポリプロピレン共重合体エラストマー
【0113】
2−2.保護フィルムの製造
(実施例1B)
[1B]まず、粘着層を形成するにあたり、SEBSと融点が114℃の直鎖状低密度ポリエチレンとを、SEBSの含有量が10wt%となるように混練することで粘着層形成材料(樹脂組成物)を調製した。
【0114】
[2B]次に、調製した粘着層形成材料と、第2の層(中間層)形成材料として融点が121℃の直鎖状低密度ポリエチレンと、第1の層(最外層)形成材料として融点が162℃のホモポリプロピレンとを、それぞれ、3つの押し出し機に収納した。
【0115】
[3B]次に、3つの押し出し機から、これらを溶融状態としたものを押し出すことで、共押し出しTダイから、これらが層状に積層された溶融状態の積層体を得た後、この積層体を冷却することで、実施例1Bの保護フィルムを得た。
【0116】
(実施例2B)
前記工程[1B]において、SEBSに代えて、SIBSを用いたこと以外は、前記実施例1Bと同様にして、実施例2Bの保護フィルムを得た。
【0117】
(実施例3B)
前記工程[1B]において、SEBSに代えて、α−オレフィン/ポリプロピレン共重合体エラストマーを用いたこと以外は、前記実施例1Bと同様にして、実施例3Bの保護フィルムを得た。
【0118】
2−3.評価
各実施例の保護フィルムを、以下の方法で評価した。
【0119】
<1>熱曲げ前の密着性評価
まず、各実施例の保護フィルムについて、それぞれ、偏光子を2枚のポリカーボネート基板(ポリカーボネート層)で挾持した構成をなす樹脂基板(住友ベークライト社製、「P1352」)の両面に、荷重0.5kg/cm
2の条件でロールを用いて圧着することで、保護フィルムを貼付することで積層体を得た。
【0120】
次いで、JIS C−6481:1996に準拠してポリカーボネート基板と保護フィルムとの間のピール強度を測定した。そして、得られたピール強度に基づいて、次のように評価した。
【0121】
◎:0.10N/25mm以上1.5N/25mm以下である。
○:0.05N/25mm以上0.10N/mm未満、または、
1.5N/25mm超3.0N/25mm以下である。
×:0.05N/25mm未満、または、3.0N/25mm超である。
【0122】
<2>熱曲げ後の糊残り評価
まず、各実施例の保護フィルムについて、それぞれ、偏光子を2枚のポリカーボネート基板(ポリカーボネート層)で挾持した構成をなす樹脂基板(住友ベークライト社製、「P1352」)の両面に、荷重0.5kg/cm
2の条件でロールを用いて圧着することで、保護フィルムを貼付することで積層体を得た。
【0123】
次いで、温度150℃の加熱温度で加熱しつつ、積層体を真空成形により熱曲げした後に、ポリカーボネート基板から保護フィルムを剥離させ、その後、ポリカーボネート基板における糊残りの有無を観察した。そして、糊残りの有無の観察結果に基づいて、次のように評価した。
【0124】
◎:糊残りが全く認められない。
○:若干の糊残りが認められる。
×:明らかな糊残りが認められる。
【0125】
以上のようにして得られた各実施例の保護フィルムにおける評価結果を、それぞれ、下記の表2に示す。
【0126】
【表2】
【0127】
表2に示したように、各実施例における保護フィルムにおいて、粘着層をエラストマーを含むものとすることで、熱曲げした後のポリカーボネート基板と保護フィルムとの積層体において、ポリカーボネート基板から保護フィルムを、ポリカーボネート基板に糊残りを認めることなく、剥離し得る結果を示した。
【0128】
3.粘着層に含まれるポリオレフィンの融点の検討
3−1.原材料の準備
まず、各実施例の保護フィルムの作製に使用した原料は以下の通りである。
【0129】
<ポリオレフィン>
融点が132℃のランダムポリプロピレン(MFR(加熱温度:230℃)=1.5g/10min)
融点が121℃の直鎖状低密度ポリエチレン(MFR(加熱温度:190℃)=2.5g/10min)
融点が121℃の直鎖状低密度ポリエチレン(MFR(加熱温度:190℃)=0.9g/10min)
融点が114℃の直鎖状低密度ポリエチレン(MFR(加熱温度:190℃)=2.0g/10min)
融点が110℃の低密度ポリエチレン(MFR(加熱温度:190℃)=0.8g/10min)
融点が162℃のホモポリプロピレン(MFR(加熱温度:230℃)=0.5g/10min)
【0130】
<エラストマー>
スチレン含有量が12wt%のスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)
【0131】
3−2.保護フィルムの製造
(実施例1C)
[1C]まず、粘着層を形成するにあたり、スチレン含有量が12wt%のSEBSと融点が114℃の直鎖状低密度ポリエチレンとを、SEBSの含有量が10wt%となるように混練することで粘着層形成材料(樹脂組成物)を調製した。
【0132】
[2C]次に、調製した粘着層形成材料と、第2の層(中間層)形成材料として融点が121℃の直鎖状低密度ポリエチレンと、第1の層(最外層)形成材料として融点が162℃のホモポリプロピレンとを、それぞれ、3つの押し出し機に収納した。
【0133】
[3C]次に、3つの押し出し機から、これらを溶融状態としたものを押し出すことで、共押し出しTダイから、これらが層状に積層された溶融状態の積層体を得た後、この積層体を冷却することで、実施例1Cの保護フィルムを得た。
【0134】
(実施例2C〜実施例5C)
前記工程[1C]において調製する粘着層形成材料に含まれるポリオレフィンの種類を、それぞれ、表3に示すように変更したこと以外は、前記実施例1Cと同様にして、実施例2C〜実施例5Cの保護フィルムを得た。
【0135】
3−3.評価
各実施例の保護フィルムを、以下の方法で評価した。
【0136】
<1>熱履歴を経る前の密着強度評価
まず、各実施例の保護フィルムについて、それぞれ、偏光子を2枚のポリカーボネート基板(ポリカーボネート層)で挾持した構成をなす樹脂基板(住友ベークライト社製、「P1352」)の両面に、荷重0.5kg/cm
2の条件でロールを用いて圧着することで、保護フィルムを貼付することで積層体を得た。
【0137】
次いで、温度50℃、時間12hrの条件で保管した後に、JIS C−6481:1996に準拠してポリカーボネート基板と保護フィルムとの間のピール強度T
1を測定した。
【0138】
<2>熱履歴を経た後の密着強度評価
まず、各実施例の保護フィルムについて、それぞれ、偏光子を2枚のポリカーボネート基板(ポリカーボネート層)で挾持した構成をなす樹脂基板(住友ベークライト社製、「P1352」)の両面に、荷重0.5kg/cm
2の条件でロールを用いて圧着することで、保護フィルムを貼付することで積層体を得た。
【0139】
次いで、温度150℃、時間5minの条件で保管した後に、JIS C−6481:1996に準拠してポリカーボネート基板と保護フィルムとの間のピール強度T
2を測定した。
【0140】
<3>掴みシロの大きさの評価
まず、各実施例の保護フィルムについて、それぞれ、偏光子を2枚のポリカーボネート基板(ポリカーボネート層)で挾持した構成をなす樹脂基板(住友ベークライト社製、「P1352」)の両面に、荷重0.5kg/cm
2の条件でロールを用いて圧着して、保護フィルムを貼付することで積層体を得た後、この積層体を厚さ方向に打ち抜くことで、積層体を平面視で円形状をなすもの(直径7.5cm)とした。
【0141】
次いで、円形状とされた積層体に対して、150℃の加熱下で、プレス成形により熱曲げ加工を施すことで、円形状の積層体を曲率半径Rが8.5cmの湾曲形状を有するものとした。
【0142】
そして、この熱曲げ加工が施された積層体における、掴みシロの長さL
1と、平面視における直径L
2とを測定して、(L
1/L
2)×100を求めた後、得られた(L
1/L
2)×100に基づいて、次のように評価した。
【0143】
◎:0.2%以上0.5%以下である。
○:0.1%以上0.2%未満、または、0.5%超1.0%以下である。
×:0.1%未満、または、1.0%超である。
【0144】
<4>掴みシロ同士の接合の有無の評価
まず、各実施例の保護フィルムについて、それぞれ、偏光子を2枚のポリカーボネート基板(ポリカーボネート層)で挾持した構成をなす樹脂基板(住友ベークライト社製、「P1352」)の両面に、荷重0.5kg/cm
2の条件でロールを用いて圧着して、保護フィルムを貼付することで積層体を得た後、この積層体を厚さ方向に打ち抜くことで、積層体を平面視で円形状をなすもの(直径7.5cm)とした。
【0145】
次いで、円形状とされた積層体に対して、150℃の加熱下で、プレス成形により熱曲げ加工を施すことで、円形状の積層体を曲率半径Rが8.5cmの湾曲形状を有するものとした。
【0146】
そして、この熱曲げ加工が施された積層体における、2つの掴みシロ同士の接合の有無を観察し、その観察結果に基づいて、次のように評価した。
【0147】
◎:2つの掴みシロ同士間において、明らかに接合が認めらず、
保護フィルムを剥離させる際に、掴みシロとして容易に用い得る。
○:2つの掴みシロ同士間において、若干の接合が認められるものの、
保護フィルムを剥離させる際に、掴みシロとして比較的容易に用い得る。
×:2つの掴みシロ同士間において、明らかな接合が認められ、
保護フィルムを剥離させる際に、掴みシロとして用いることができない。
【0148】
以上のようにして得られた各実施例の保護フィルムにおける評価結果を、それぞれ、下記の表3に示す。
【0149】
【表3】
【0150】
表3に示したように、各実施例における保護フィルムでは、融点が150℃未満の熱可塑性樹脂が粘着層に含まれることで、ピール強度T
1、および、ピール強度T
2ともに0.05N/25mm以上3.0N/25mm以下の範囲内に設定され、前記工程[2]および前記工程[3]における樹脂基板の打ち抜きおよび熱曲げを、樹脂基板から保護フィルムを剥離させることなく実施することができ、かつ、前記工程[3]における熱曲げによる熱履歴を保護フィルムが経たとしても、前記工程[4]における樹脂基板からの保護フィルムの剥離を実施することができる程度に、保護フィルムが樹脂基板に貼付されていることが判った。