【実施例1】
【0011】
(ロータリ圧縮機の構成)
図1は、実施例1のロータリ圧縮機を示す縦断面図である。
図2は、実施例1のロータリ圧縮機の圧縮部を示す分解斜視図である。
【0012】
図1に示すように、ロータリ圧縮機1は、密閉された縦置き円筒状の圧縮機筐体10内の下部に配置された圧縮部12と、圧縮機筐体10内の上部に配置され、回転軸15を介して圧縮部12を駆動するモータ11と、圧縮機筐体10の外周面に固定された縦置き円筒状のアキュムレータ25と、を備えている。
【0013】
アキュムレータ25は、縦置き円筒状のアキュムレータ容器26と、アキュムレータ容器26の上部に接続された低圧導入管27と、を備える。アキュムレータ容器26は、上吸入管105及びL字状の低圧連絡管31Tを介して上シリンダ121Tの上シリンダ室130T(
図2参照)と接続され、下吸入管104及びL字状の低圧連絡管31Sを介して下シリンダ121Sの下シリンダ室130S(
図2参照)と接続されている。低圧導入管27は、アキュムレータ容器26の上部を貫通して設けられており、冷凍サイクルにおける低圧側に接続される。また、アキュムレータ容器26内には、低圧導入管27と低圧連絡管31T、31Sとの間に、低圧導入管27から供給される冷媒から異物を捕らえるフィルタ29が設けられている。アキュムレータ25は、分離したガス冷媒を、2つの低圧連絡管31T、31Sを通してアキュムレータ容器26から圧縮機筐体10へ送る。また、アキュムレータ容器26は、後述するアキュムレータホルダ50によって、圧縮機筐体10の外周面10aに固定されている。
【0014】
モータ11は、外側に配置されたステータ111と、内側に配置されたロータ112と、を備えている。ステータ111は、圧縮機筐体10の内周面に焼嵌め状態で固定されており、ロータ112は、回転軸15に焼嵌め状態で固定されている。
【0015】
回転軸15は、下偏心部152Sの下方の副軸部151が、下端板160Sに設けられた副軸受部161Sに回転自在に支持され、上偏心部152Tの上方の主軸部153が、上端板160Tに設けられた主軸受部161Tに回転自在に支持され、互いに180度の位相差をつけて設けられた上偏心部152T及び下偏心部152Sにそれぞれ上ピストン125T及び下ピストン125Sが支持されることによって、圧縮部12に対して回転自在に支持されると共に、回転によって上ピストン125T及び下ピストン125Sを、上シリンダ121Tの内周面137T、下シリンダ121Sの内周面137Sに沿ってそれぞれ公転運動させる。
【0016】
圧縮機筐体10の内部には、圧縮部12において摺動する上ピストン125T及び下ピストン125S等の摺動部の潤滑性を確保し、上圧縮室133T(
図2参照)及び下圧縮室133S(
図2参照)をシールするために、潤滑油18が圧縮部12をほぼ浸漬する量だけ封入されている。圧縮機筐体10の下側には、ロータリ圧縮機1全体を支持する複数の弾性支持部材(図示せず)を係止する取付脚310(
図1参照)が固定されている。
【0017】
図1に示すように、圧縮機筐体10には、冷媒を吐出する吐出部としての吐出管107が上部に設けられており、冷媒を吸入する吸入部としての上吸入管105及び下吸入管104が側面部に設けられている。圧縮部12は、上吸入管105及び下吸入管104から吸入された冷媒を圧縮し、吐出管107から吐出する。
図2に示すように、圧縮部12は、上から、内部に中空空間が形成された膨出部を有する上端板カバー170T、上端板160T、環状の上シリンダ121T、中間仕切板140、環状の下シリンダ121S、下端板160S及び平板状の下端板カバー170Sを積層して構成されている。圧縮部12全体は、上下から略同心円上に配置された複数の通しボルト174,175及び補助ボルト176によって固定されている。
【0018】
図2に示すように、上シリンダ121Tには、円筒状の内周面137Tが形成されている。上シリンダ121Tの内周面137Tの内側には、上シリンダ121Tの内周面137の内径よりも小さい外径の上ピストン125Tが配置されており、内周面137Tと上ピストン125Tの外周面139Tとの間に、冷媒を吸入し圧縮して吐出する上圧縮室133Tが形成される。下シリンダ121Sには、円筒状の内周面137Sが形成されている。下シリンダ121Sの内周面137Sの内側には、下シリンダ121Sの内周面137Sの内径よりも小さい外径の下ピストン125Sが配置されており、内周面137Sと下ピストン125Sの外周面139Sとの間に、冷媒を吸入し圧縮して吐出する下圧縮室133Sが形成される。
【0019】
上シリンダ121Tは、円形状の外周部から、円筒状の内周面137Tの径方向に張り出した上側方突出部122Tを有する。上側方突出部122Tには、上シリンダ室130Tから放射状に外方へ延びる上ベーン溝128Tが設けられている。上ベーン溝128T内には、上ベーン127Tが摺動可能に配置されている。下シリンダ121Sは、円形状の外周部から、円筒状の内周面137Sの径方向に張り出した下側方突出部122Sを有する。下側方突出部122Sには、下シリンダ室130Sから放射状に外方へ延びる下ベーン溝128Sが設けられている。下ベーン溝128S内には、下ベーン127Sが摺動可能に配置されている。
【0020】
上シリンダ121Tには、外側面から上ベーン溝128Tと重なる位置に、上シリンダ室130Tに貫通しない深さで上スプリング穴124Tが設けられている。上スプリング穴124Tには上スプリング126Tが配置されている。下シリンダ121Sには、外側面から下ベーン溝128Sと重なる位置に、下シリンダ室130Sに貫通しない深さで下スプリング穴124Sが設けられている。下スプリング穴124Sには下スプリング126Sが配置されている。
【0021】
また、下シリンダ121Sには、下ベーン溝128Sの径方向外側と圧縮機筐体10内とを開口部で連通して圧縮機筐体10内の圧縮された冷媒を導入し、下ベーン127Sに冷媒の圧力により背圧をかける下圧力導入路129Sが形成されている。なお、圧縮機筐体10内の圧縮された冷媒は、下スプリング穴124Sからも導入される。また、上シリンダ121Tには、上ベーン溝128Tの径方向外側と圧縮機筐体10内とを開口部で連通して圧縮機筐体10内の圧縮された冷媒を導入し、上ベーン127Tに冷媒の圧力により背圧をかける上圧力導入路129Tが形成されている。なお、圧縮機筐体10内の圧縮された冷媒は、上スプリング穴124Tからも導入される。
【0022】
上シリンダ121Tの上側方突出部122Tには、上吸入管105と嵌合する貫通孔としての上吸入孔135Tが設けられている。下シリンダ121Sの下側方突出部122Sには、下吸入管104と嵌合する貫通孔としての下吸入孔135Sが設けられている。
【0023】
上シリンダ室130Tは、上下をそれぞれ上端板160T及び中間仕切板140で閉塞されている。下シリンダ室130Sは、上下をそれぞれ中間仕切板140及び下端板160Sで閉塞されている。
【0024】
上シリンダ室130Tは、上ベーン127Tが上スプリング126Tに押圧されて上ピストン125Tの外周面139Tに当接することによって、上吸入孔135Tに連通する上吸入室131Tと、上端板160Tに設けられた上吐出孔190Tに連通する上圧縮室133Tと、に区画される(
図3参照)。下シリンダ室130Sは、下ベーン127Sが下スプリング126Sに押圧されて下ピストン125Sの外周面139Sに当接することによって、下吸入孔135Sに連通する下吸入室131Sと、下端板160Sに設けられた下吐出孔190Sに連通する下圧縮室133Sと、に区画される(
図3参照)。
【0025】
図2に示すように、上端板160Tには、上端板160Tを貫通して上シリンダ121Tの上圧縮室133Tと連通する上吐出孔190Tが設けられ、上吐出孔190Tの出口側には、上吐出孔190Tの周囲に上弁座(図示せず)が形成されている。上端板160Tには、上吐出孔190Tの位置から上端板160Tの周方向に溝状に延びる上吐出弁収容凹部164Tが形成されている。
【0026】
上吐出弁収容凹部164Tには、後端部が上吐出弁収容凹部164T内に上リベット202Tにより固定され前部が上吐出孔190Tを開閉するリード弁型の上吐出弁200T及び後端部が上吐出弁200Tに重ねられて上吐出弁収容凹部164T内に上リベット202Tにより固定され前部が湾曲して(反って)いて上吐出弁200Tの開度を規制する上吐出弁押さえ201T全体が収容されている。
【0027】
下端板160Sには、下端板160Sを貫通して下シリンダ121Sの下圧縮室133Sと連通する下吐出孔190Sが設けられている。下端板160Sには、下吐出孔190Sの位置から下端板160Sの周方向に溝状に延びる下吐出弁収容凹部(図示せず)が形成されている。
【0028】
下吐出弁収容凹部には、後端部が下吐出弁収容凹部内に下リベット202Sにより固定され前部が下吐出孔190Sを開閉するリード弁型の下吐出弁200S及び後端部が下吐出弁200Sに重ねられて下吐出弁収容凹部内に下リベット202Sにより固定され前部が湾曲して(反って)いて下吐出弁200Sの開度を規制する下吐出弁押さえ201S全体が収容されている。
【0029】
互いに密着固定された上端板160Tと、膨出部を有する上端板カバー170Tとの間には、上端板カバー室180Tが形成される。互いに密着固定された下端板160Sと平板状の下端板カバー170Sとの間には、下端板カバー室180S(
図1参照)が形成される。下端板160S、下シリンダ121S、中間仕切板140、上端板160T及び上シリンダ121Tを貫通し下端板カバー室180Sと上端板カバー室180Tとを連通する冷媒通路孔136が設けられている。
【0030】
以下に、回転軸15の回転による冷媒の流れを説明する。上シリンダ室130T内において、回転軸15の回転によって、回転軸15の上偏心部152Tに嵌合された上ピストン125Tが、上シリンダ121Tの内周面137T(上シリンダ室130Tの外周面)に沿って公転することにより、上吸入室131Tが容積を拡大しながら上吸入管105から冷媒を吸入し、上圧縮室133Tが容積を縮小しながら冷媒を圧縮し、圧縮した冷媒の圧力が上吐出弁200Tの外側の上端板カバー室180Tの圧力よりも高くなると、上吐出弁200Tが開いて上圧縮室133Tから上端板カバー室180Tへ冷媒が吐出される。上端板カバー室180Tに吐出された冷媒は、上端板カバー170Tに設けられた上端板カバー吐出孔172T(
図1参照)から圧縮機筐体10内に吐出される。
【0031】
また、下シリンダ室130S内において、回転軸15の回転によって、回転軸15の下偏心部152Sに嵌合された下ピストン125Sが、下シリンダ121Sの内周面137S(下シリンダ室130Sの外周面)に沿って公転することにより、下吸入室131Sが容積を拡大しながら下吸入管104から冷媒を吸入し、下圧縮室133Sが容積を縮小しながら冷媒を圧縮し、圧縮した冷媒の圧力が下吐出弁200Sの外側の下端板カバー室180Sの圧力よりも高くなると、下吐出弁200Sが開いて下圧縮室133Sから下端板カバー室180Sへ冷媒が吐出される。下端板カバー室180Sに吐出された冷媒は、冷媒通路孔136及び上端板カバー室180Tを通って上端板カバー170Tに設けられた上端板カバー吐出孔172Tから圧縮機筐体10内に吐出される。
【0032】
圧縮機筐体10内に吐出された冷媒は、ステータ111外周に設けられた上下を連通する切欠き(図示せず)、又はステータ111の巻線部の隙間(図示せず)、又はステータ111とロータ112との隙間115(
図1参照)を通ってモータ11の上方に導かれ、圧縮機筐体10の上部に配置された吐出部としての吐出管107から吐出される。
【0033】
(ロータリ圧縮機の特徴的な構成)
次に、実施例1のロータリ圧縮機1の特徴的な構成について説明する。実施例1の特徴には、アキュムレータ25を圧縮機筐体10に固定する取付け構造が含まれる。
図3は、実施例1のロータリ圧縮機1の要部を示す平面図である。
図4は、実施例1のロータリ圧縮機1におけるアキュムレータホルダを示す斜視図である。
【0034】
図3及び
図4に示すように、実施例1のロータリ圧縮機1は、アキュムレータ25のアキュムレータ容器26を圧縮機筐体10に固定するための取付け部材としてのアキュムレータホルダ50を備える。本実施例1において、圧縮機筐体10及びアキュムレータ25のアキュムレータ容器26は、鋼板等の金属材料によって形成されている。
【0035】
アキュムレータホルダ50は、圧縮機筐体10及びアキュムレータ容器26をそれぞれ挟み込むように取り付けられる一組の取付け片50Aを有する。一組の取付け片50Aは、樹脂材料のみによって同一形状に形成されている。各取付け片50Aは、圧縮機筐体10の外周面10aに接する一端部51aと、アキュムレータ25の外周面25aに接する他端部51bと、を有しており、一端部51aと他端部51bとが交差する断面L字状に形成されている。
【0036】
各取付け片50Aは、一端部51aに、圧縮機筐体10の外周面10aに接合された第1接合部J1が設けられており、他端部51bに、アキュムレータ25の外周面25aに接合された第2接合部J2が設けられている。
【0037】
取付け片50Aの一端部51aは、圧縮機筐体10の外周面10aに重ねられて、一端部51a側から圧縮機筐体10側に向かってレーザが照射されることで、樹脂製の取付け片50Aと金属製の圧縮機筐体10とが接合されている。同様に、取付け片50Aの他端部51bは、アキュムレータ容器26の外周面26aに重ねられて、他端部51b側からアキュムレータ容器26側に向かってレーザが照射されることで、樹脂製の取付け片50Aと金属製のアキュムレータ容器26とが接合されている。つまり、第1接合部J1及び第2接合部J2は、樹脂材料側から金属材料側に向かってレーザが照射されることで接合部Jが形成されている。また、第1接合部J1及び第2接合部J2は、例えば、圧縮機筐体10における上下方向(回転軸15の軸方向)に延びるライン状に形成されている。
【0038】
取付け片50Aの一端部51aと圧縮機筐体10、取付け片50Aの他端部51bとアキュムレータ容器26をそれぞれレーザ接合によって適正に接合するために、取付け片50Aを形成する樹脂材料としては、熱可塑性樹脂材料が用いられており、圧縮機筐体10及びアキュムレータ容器26を形成する金属材料との反応性を有する官能基を有することが好ましい。このような樹脂材料としては、例えば、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)が用いられる。
【0039】
また、取付け片50Aを形成する樹脂材料としては、例えば、ポリエーテルニトリル(PEN)等のスーパーエンジニアリングプラスチックを用いることが好ましい。これにより、取付け片50Aは、第1接合部J1及び第2接合部J2以外の部分の機械的強度、圧縮機筐体10及びアキュムレータ容器26に対する耐熱性を適正に確保することが可能になる。
【0040】
また、取付け片50Aを形成する樹脂材料としては、取付け片50Aによる制振性を高めるために、振動減衰剤を含有する樹脂材料が用いられてもよい。このような振動減衰剤としては、例えば、N−ジシクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(DCHBSA)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)等が用いられる。
【0041】
アキュムレータホルダ50の取付け片50Aは、少なくとも一部が樹脂材料によって形成さればよく、例えば、一端部51aが金属材料によって形成されると共に、他端部51bが樹脂材料によって形成されてもよい。この場合、金属製の一端部51aと、樹脂製の他端部51bは、例えば、インサート成型によって一体成形されてもよい。このような取付け片50Aは、一端部51aの第1接合部J1がスポット溶接によって接合され、他端部51bの第2接合部J2がレーザ接合によって接合される。
【0042】
なお、実施例1における取付け片50Aの他端部51bは、レーザ接合によってアキュムレータ容器26に接合された第2接合部J2を有するが、第2接合部J2を有する構造に限定されない。図示しないが、取付け片50Aの他端部51bは、第2接合部J2の代わりに、例えば、固定バンドを用いてアキュムレータ容器26を保持してもよい。この場合、固定バンドは、アキュムレータ容器26の周方向に沿って掛け渡され、一組の取付け片50Aの各他端部51bに、固定バンドの両端がそれぞれ固定される(
図5参照)。
【0043】
(実施例1の効果)
実施例1のロータリ圧縮機1は、圧縮機筐体10及びアキュムレータ容器26が金属材料によって形成されており、アキュムレータホルダ50が、少なくとも一部が樹脂材料によって形成されて圧縮機筐体10の外周面10aに接合された第1接合部J1を有する。一般に、樹脂材料の縦弾性係数は金属材料の縦弾性係数の1/100未満であり、金属材料と比べて振動を伝え難い。このため、本実施例1によれば、アキュムレータ容器26を圧縮機筐体10に固定するために、制振性が高い樹脂材料によって形成されたアキュムレータホルダ50を用いることが可能になり、金属材料によって形成された取付け金具を備える構造と比べて、ロータリ圧縮機1の振動の発生を抑えて、振動に伴う騒音を減らすことができる。
【0044】
実施例1におけるアキュムレータホルダ50は、樹脂材料のみによって形成されてもよい。この場合、アキュムレータホルダ50は、アキュムレータ容器26の外周面26aに接合された第2接合部J2を有する。これにより、アキュムレータホルダ50を、制振性が高い樹脂材料のみで形成することが可能になり、ロータリ圧縮機1の振動の発生を更に抑えて、振動に伴う騒音を更に減らすことができる。
【0045】
また、実施例1におけるアキュムレータホルダ50は、一組の取付け片50Aを有しており、一組の取付け片50Aの各々において、一端部51aに第1接合部J1が設けられると共に他端部51bに第2接合部J2が設けられる。これにより、樹脂製のアキュムレータホルダ50と金属製の圧縮機筐体10との第1接合部J1、樹脂製のアキュムレータホルダ50と金属製のアキュムレータ容器26との第2接合部J2が、例えば、レーザ接合されることにより、第1接合部J1及び第2接合部J2の接合強度が適正に確保されるので、アキュムレータ25の取付け構造の機械的強度を確保できる。
【0046】
以下、他の実施例について図面を参照して説明する。実施例2は、アキュムレータホルダの構造が、実施例1と異なる。このため、実施例2において、実施例1と同一の構成部材には、実施例1と同一の符号を付して説明を省略し、アキュムレータホルダについて説明する。
【実施例2】
【0047】
図5は、実施例2のロータリ圧縮機の要部を示す平面図である。
図6は、実施例2のロータリ圧縮機におけるアキュムレータホルダを示す斜視図である。
【0048】
図5及び
図6に示すように、実施例2のロータリ圧縮機は、アキュムレータ25を圧縮機筐体10に固定するための取付け部材としてのアキュムレータホルダ60を備える。アキュムレータホルダ60は、金属材料によって形成された第1取付け片60Aと、樹脂材料によって形成された一組の第2取付け片60Bと、を有する。第1取付け片60Aと第2取付け片60Bは、例えば、インサート成型によって一体成形されている。
【0049】
第1取付け片60Aは、圧縮機筐体10の外周面10aに沿うように湾曲された断面円弧状に形成されている。第1取付け片60Aを形成する金属材料としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム等が用いられる。第1取付け片60Aは、圧縮機筐体10の外周面10aに接合された第1接合部J1を有する。第1接合部J1は、例えば、プロジェクション溶接によって、圧縮機筐体10の外周面10aに接合されている。第1接合部J1は、金属材料同士の溶接によって形成されているので、金属材料と樹脂材料とのレーザ接合に比べて、接合強度が高められる。なお、第1接合部J1としては、例えば、スポット溶接によって接合されてもよい。
【0050】
一組の第2取付け片60Bは、樹脂材料のみによって同一形状に形成されている。各第2取付け片60Bは、第1取付け片60Aに連結された一端部61aと、アキュムレータ25を支持する他端部61bと、を有しており、一端部61aと他端部61bとが交差する断面L字状に形成されている。各第2取付け片60Bは、圧縮機筐体10の周方向における第1取付け片60Aの両端に連結されている。
【0051】
一組の第2取付け片60Bの各他端部61bには、
図5に示すように、固定バンド63によってアキュムレータ容器26が固定されている。固定バンド63は、アキュムレータ容器26の周方向に沿って掛け渡されて、各他端部61bに、固定バンド63の両端がそれぞれ固定される。
図6に示すように、一方の第2取付け片60Bの他端部61bには、固定バンド63の一端部63aを引っ掛ける溝64が形成されている。他方の第2取付け片60Bの他端部61bには、固定バンド63の他端部63bをネジ66等によって固定する固定孔65が形成されている。固定バンド63は、例えば、ゴムや鋼板によって形成されている。
【0052】
第2取付け片60Bを形成する樹脂材料としては、例えば、ポリエーテルニトリル(PEN)等のスーパーエンジニアリングプラスチックを用いることが好ましい。これにより、第2取付け片60Bは、第1取付け片60Aから延びる部分の機械的強度、圧縮機筐体10及びアキュムレータ容器26に対する耐熱性を適正に確保することが可能になる。
【0053】
本実施例2では、アキュムレータホルダ60の第2取付け片60Bの他端部61bに、固定バンド63及びネジ66を用いてアキュムレータ容器26が固定されたが、この構造に限定されない。図示しないが、第2取付け片60Bの他端部61bは、レーザ接合によってアキュムレータ容器26の外周面26aに接合された第2接合部J2を有してもよい。この場合、実施例1におけるアキュムレータホルダ50と同様に、第2取付け片60Bの他端部61bは、アキュムレータ容器26の外周面26aに重ねられて、他端部61b側からアキュムレータ容器26側に向かってレーザが照射されることで、樹脂製の第2取付け片60Bと金属製のアキュムレータ容器26とが接合される。
【0054】
(実施例2の効果)
実施例2におけるアキュムレータホルダ60によれば、金属製の第1取付け片60Aが圧縮機筐体10の外周面10aと溶接によって接合された第1接合部J1を有することで、実施例1におけるアキュムレータホルダ50と比べて、圧縮機筐体10とアキュムレータホルダ60との接合強度を高めることができる。加えて、実施例2では、アキュムレータホルダ60の第2取付け片60Bに固定バンド63及びネジ66によってアキュムレータ容器26が支持されるので、第2取付け片60Bとアキュムレータ容器26とのレーザ接合工程を省くことができる。
【0055】
実施例2においても、実施例1と同様に、アキュムレータ容器26を圧縮機筐体10に固定するために、制振性が高い樹脂材料によって少なくとも一部が形成されたアキュムレータホルダ60を用いることが可能になり、ロータリ圧縮機1の振動の発生を抑えて、振動に伴う騒音を減らすことができる。