特許第6897817号(P6897817)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6897817
(24)【登録日】2021年6月14日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】ケーブル類保護案内装置
(51)【国際特許分類】
   H02G 11/00 20060101AFI20210628BHJP
   F16G 13/16 20060101ALI20210628BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20210628BHJP
【FI】
   H02G11/00
   F16G13/16
   H02G3/04 075
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-32938(P2020-32938)
(22)【出願日】2020年2月28日
【審査請求日】2020年10月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003355
【氏名又は名称】株式会社椿本チエイン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】忍 惠子
【審査官】 久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−89848(JP,A)
【文献】 特開2020−16279(JP,A)
【文献】 特開2018−184974(JP,A)
【文献】 特開2018−25214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 11/00
F16G 13/16
H02G 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリンクが連結軸を介して直列に回動可能に連結されることにより、ケーブル類を延ばされた状態にして収容可能な収容空間を形成する長尺の保護案内部と、
前記保護案内部が長さ方向の中途を湾曲させて形成する湾曲部分を変位させながら前記長さ方向の一端を一方向に沿って往復移動させるように前記保護案内部をガイドしながら往復移動するガイド部材と、
を備え、
前記ガイド部材は、前記一方向に沿って延びる直線溝部と、前記直線溝部の端部に湾曲形状をなして連結される湾曲溝部と、を有したガイド溝を備え、
前記リンクは、前記湾曲溝部の曲率中心から見て前記湾曲溝部よりも外側となる位置を前記湾曲溝部に沿って移動するリンク本体と、前記湾曲溝部に沿って移動するときに前記湾曲溝部と交差する方向に延びた姿勢となるように前記リンク本体から延設されたアームと、前記ガイド溝と係合するように前記アームの先端部に設けられた係合部と、を備え、
前記係合部は、前記リンク本体における複数の前記リンクの直列方向において一方側に位置する連結軸と他方側に位置する連結軸との中間位置よりも前記直列方向の一方側又は他方側に位置ずれしていることを特徴とするケーブル類保護案内装置。
【請求項2】
前記アームは、前記直列方向で一方側に位置する前記連結軸と他方側に位置する前記連結軸とを結ぶ直線に対して斜めに交差する方向に延びた姿勢となるように前記リンク本体から延設されていることを特徴とする請求項1に記載のケーブル類保護案内装置。
【請求項3】
前記アームは、その斜状をなす側辺に他の前記リンクにおける前記係合部の一部を側方から進入可能とする凹部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のケーブル類保護案内装置。
【請求項4】
前記リンク本体は、前記長さ方向と直交する幅方向に距離をおいて対向する複数のリンクプレートと、複数の前記リンクプレート同士を連結することで前記収容空間の底壁を構成する連結部を有し、前記連結部における少なくとも前記収容空間側の面は、前記湾曲溝部の外周形状に沿った円弧面状をなしていることを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載のケーブル類保護案内装置。
【請求項5】
前記リンク本体は、前記長さ方向と直交する幅方向に距離をおいて対向する複数のリンクプレートを有し、前記リンクプレートは、前記リンク本体の移動方向に沿う一対の端面のうち前記リンク本体が前記湾曲溝部に沿って移動するときに前記湾曲溝部の曲率中心に近い内周側を移動する内周側端面が、前記湾曲溝部の外周形状に沿った円弧面状をなしていることを特徴とする請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載のケーブル類保護案内装置。
【請求項6】
前記係合部は、前記湾曲溝部の曲率中心と前記直列方向で一方側に位置する前記連結軸の中心と他方側に位置する前記連結軸の中心とを結ぶ三角形状の領域の外側に中心が位置することを特徴とする請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載のケーブル類保護案内装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば工作機械等における移動体に給電や給液を行う可撓性のあるケーブルやホース等のケーブル類を収容状態にして移動体の移動に合わせて保護しながら案内するケーブル類保護案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のケーブル類保護案内装置として、例えば特許文献1に記載のケーブル類保護案内装置が知られている。この装置は、ケーブル類を延ばされた状態にして収容可能な収容空間を有する長尺の保護案内部と、その保護案内部が長さ方向の中途に形成される湾曲部分を変位させながら長さ方向の一端を一方向に沿って往復移動させるように保護案内部をガイドしながら往復移動するガイドレールと、を備える。
【0003】
ガイドレールは、保護案内部の一端が往復移動する一方向に沿って平行に延びる一対の直線溝部と、一方の直線溝部と他方の直線溝部との対向する端部同士をU字状に連結する湾曲溝部と、を有したガイド溝を備える。保護案内部は、直列に配置された複数のリンクが直列方向で隣り合うリンクの端部同士を回動可能に連結されることで構成されている。各リンクは、ガイド溝の湾曲溝部に沿って移動するときに湾曲溝部の外周側から内周側に向けて延びた姿勢となるアームと、ガイドレールのガイド溝と係合可能にアームの先端部に設けられたローラ等からなる係合部と、を備える。
【0004】
そして、保護案内部の一端には、工作機械等において往復移動する移動体が連結され、その移動体の移動に合わせて保護案内部の一端が移動する際には、保護案内部を構成する複数のリンクのアームの先端部に設けられた係合部がガイドレールのガイド溝の直線溝部及び湾曲溝部に沿って移動するようにガイドされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017−89848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のケーブル類保護案内装置では、そのコンパクト化を図るとき、ガイドレールのガイド溝における湾曲溝部の曲率半径を小さくすることがある。しかし、湾曲溝部の曲率半径を小さくすると、保護案内部を構成する複数のリンクのうち湾曲部分で隣り合う2つのリンクにおける各アームの先端部に設けられた係合部同士が曲率半径の小さな湾曲溝部内を移動するときに湾曲溝部内でぶつかり合い、装置の動作不良を招く虞があった。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置の動作不良を招くことなく、装置のコンパクト化を図ることができるケーブル類保護案内装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するケーブル類保護案内装置は、複数のリンクが連結軸を介して直列に回動可能に連結されることにより、ケーブル類を延ばされた状態にして収容可能な収容空間を形成する長尺の保護案内部と、前記保護案内部が長さ方向の中途を湾曲させて形成する湾曲部分を変位させながら前記長さ方向の一端を一方向に沿って往復移動させるように前記保護案内部をガイドしながら往復移動するガイド部材と、を備え、前記ガイド部材は、前記一方向に沿って延びる直線溝部と、前記直線溝部の端部に湾曲形状をなして連結される湾曲溝部と、を有したガイド溝を備え、前記リンクは、前記湾曲溝部の曲率中心から見て前記湾曲溝部よりも外側となる位置を前記湾曲溝部に沿って移動するリンク本体と、前記湾曲溝部に沿って移動するときに前記湾曲溝部と交差する方向に延びた姿勢となるように前記リンク本体から延設されたアームと、前記ガイド溝と係合するように前記アームの先端部に設けられた係合部と、を備え、前記係合部は、前記リンク本体における複数の前記リンクの直列方向において一方側に位置する連結軸と他方側に位置する連結軸との中間位置よりも前記直列方向の一方側又は他方側に位置ずれしている。
【0009】
この構成によれば、リンクの係合部が複数のリンクの直列方向で一方側に位置する連結軸と他方側に位置する連結軸との中間位置に位置している場合よりも、リンクの移動方向が直線溝部に沿う方向から湾曲溝部に沿う方向に変化したときに、湾曲溝部内で先行するリンクの係合部と後続のリンクの係合部とがぶつかり合う虞を低減できる。
【0010】
上記ケーブル類保護案内装置において、前記アームは、前記直列方向で一方側に位置する前記連結軸と他方側に位置する前記連結軸とを結ぶ直線に対して斜めに交差する方向に延びた姿勢となるように前記リンク本体から延設されていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、直列方向で一方側の連結軸と他方側の連結軸とを結ぶ直線に対して直交する方向に延びたアームの先端部に係合部を設ける場合に比して、一方側の連結軸と他方側の連結軸とを結ぶ直線と直交する方向において、装置のコンパクト化を容易に図ることができる。
【0012】
上記ケーブル類保護案内装置において、前記アームは、その斜状をなす側辺に他の前記リンクにおける前記係合部の一部を側方から進入可能とする凹部が形成されていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、曲率半径の小さい湾曲溝部を各リンクの係合部が連続して移動するときに移動方向で隣り合う一方のリンクの係合部が他方のリンクのアームにぶつかりそうになった場合でも、一方のリンクの係合部は他方のリンクのアームの凹部にクリアランスを有して進入させることで衝突が回避される。そのため、移動方向で隣り合うリンク同士の係合部とアームが接触することを回避できる。
【0014】
上記ケーブル類保護案内装置において、前記リンク本体は、前記長さ方向と直交する幅方向に距離をおいて対向する複数のリンクプレートと、複数の前記リンクプレート同士を連結することで前記収容空間の底壁を構成する連結部を有し、前記連結部における少なくとも前記収容空間側の面は、前記湾曲溝部の外周形状に沿った円弧面状をなしていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、連結部における収容空間側の面が平面形状である場合とは異なり、保護案内部が湾曲部分を形成したときに直列に連なる複数のリンクの連結部によって形成される収容空間の底壁にエッジが形成されにくい。したがって、長尺のケーブル類において保護案内部の湾曲部分の収容空間内に位置している部分が、収容空間の底壁を構成する連結部との摺接で摩耗する虞を低減できる。
【0016】
上記ケーブル類保護案内装置において、前記リンク本体は、前記長さ方向と直交する幅方向に距離をおいて対向する複数のリンクプレートを有し、前記リンクプレートは、前記リンク本体の移動方向に沿う一対の端面のうち前記リンク本体が前記湾曲溝部に沿って移動するときに前記湾曲溝部の曲率中心に近い内周側を移動する内周側端面が、前記湾曲溝部の外周形状に沿った円弧面状をなしていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、リンクプレートの端面のうちでリンク本体が湾曲溝部に沿って移動するときに湾曲溝部の曲率中心に近い内周側を移動する内周側端面が平面状である場合に比して、リンク本体が湾曲溝部に沿って移動するときの移動軌跡の曲率半径を小さくできる結果、ケーブル類保護案内装置11のコンパクト化に貢献できる。
【0018】
上記ケーブル類保護案内装置において、前記係合部は、前記湾曲溝部の曲率中心と前記直列方向で一方側に位置する前記連結軸の中心と他方側に位置する前記連結軸の中心とを結ぶ三角形状の領域の外側に中心が位置することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、リンクの移動方向が直線溝部に沿う方向から湾曲溝部に沿う方向に変化したときに、湾曲溝部内で先行するリンクの係合部と後続のリンクの係合部とがぶつかり合う虞をより一層低減できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、装置の動作不良を招くことなく、装置のコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施形態のケーブル類保護案内装置が前進限位置にあるときの状態を示す斜視図。
図2】ケーブル類保護案内装置の一部を分解して示す斜視図。
図3】リンクの分解斜視図。
図4】ケーブル類保護案内装置の一部を拡大して示す側面図。
図5】ケーブル類保護案内装置が後進限位置にあるときの状態を示す斜視図。
図6】比較例のリンクにおける係合部の位置関係を簡略化して示す側面図。
図7】本実施形態のリンクにおける係合部の位置関係を簡略化して示す側面図。
図8】比較例のケーブル類保護案内装置の一部を示す側面図。
図9】本実施形態のケーブル類保護案内装置の一部を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、ケーブル類保護案内装置の一実施形態について、図を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、ケーブル類保護案内装置11は、その長さ方向Xに沿って移動する長尺の保護案内部12と、その保護案内部12をガイドするガイド部材13と、を備えている。保護案内部12は、その長さ方向Xの中途に湾曲部分Wが形成されるように屈曲状態にして配置される。ガイド部材13は、保護案内部12が湾曲部分Wを変位させながら長さ方向Xの一端を一方向に沿って往復移動させるように、その保護案内部12をガイドしながら往復移動する。
【0023】
保護案内部12は、直列に配置された複数のリンク14が直列方向で隣り合う両リンク14の端部同士を連結軸15により回動可能に連結されることで長尺に形成されており、長尺のケーブル類TKを延ばされた状態にして収容可能な収容空間SKを内部に有する。保護案内部12の長さ方向Xの一端は、工作機械等が有する図示略の移動体に連結具16を介して連結され、移動体と共に一方向に往復移動する。その一方、保護案内部12の長さ方向Xの他端は、装置本体の所定箇所に固定具17を介して移動不能に固定される。
【0024】
ガイド部材13は、保護案内部12の長さ方向Xの一端が往復移動する一方向と水平面で直交する幅方向Yに離れて対向する一対の矩形状の板材で構成されている。ガイド部材13の長手方向における複数箇所には貫通穴18が形成されている。そして、幅方向Yで対をなす両ガイド部材13の貫通穴18に対して連結ブロック19の両端部に形成された嵌合凸部20が嵌合されることで、一対のガイド部材13は幅方向Yに所定距離をおいて対向するように組み付けられる。
【0025】
一対のガイド部材13において互いに対向する内面側には、ガイド溝21が形成されている。ガイド溝21は、保護案内部12の長さ方向Xの一端が往復移動する一方向に沿って平行に延びるように長さ方向X及び幅方向Yの双方と直交する高さ方向Zに所定の距離だけ離れて対をなす上側及び下側の直線溝部21a,21bと、両直線溝部21a,21bの端部同士をU字状に連結する湾曲溝部21cと、を有する。ガイド溝21の湾曲溝部21cは、直線溝部21a,21bの長手方向において、保護案内部12が長さ方向Xの中途を湾曲させて湾曲部分Wを形成する側の端部同士を連結する。
【0026】
ケーブル類TKとしては、例えば、工作機械等における図示略の移動体に給電や信号の伝送を行う電気ケーブルや光ファイバーケーブル、移動体に気体(例えば、空気など)や液体(例えば、水や油など)などを供給するホース、フレキシブルに屈曲可能な長尺状の多関節部材などが挙げられる。すなわち、ケーブル類TKは、保護案内部12の収容空間SK内に保護案内部12の長さ方向Xに沿うように延ばされた状態で収容可能な可撓性を有する長尺の部材であればよい。
【0027】
図3に示すように、リンク14は、例えば合成樹脂材料によって形成され、保護案内部12の長さ方向Xと直交する幅方向Yにおいて対向する一対のリンクプレート22と、両リンクプレート22をその長さ方向Xの中間で且つ図3では高さ方向Zの下端となる位置で連結する板状の連結部23と、を含んでなるリンク本体24を備えている。図2に示すように、リンク本体24は、保護案内部12がガイド部材13にガイドされて長さ方向Xに移動するとき、湾曲溝部21cの曲率中心Cから見て湾曲溝部21cよりも外側となる位置を湾曲溝部21cに沿って移動する。リンク本体24における両リンクプレート22の長さ方向Xの中間で且つ図3では高さ方向Zの上端となる位置には、長さ方向Xに沿う棒状の取付部25が各々形成されている。そして、幅方向Yで対をなす両取付部25には幅方向Yに沿う帯板状の連結部材26の両端部が着脱可能に取り付けられ、その取付状態で両リンクプレート22の上端同士を連結する。
【0028】
図2及び図3に示すように、リンク14におけるリンク本体24の連結部23は、保護案内部12の移動に伴い、そのリンク14が保護案内部12における湾曲部分Wの一部を構成することになったときには、その湾曲部分Wの内周側に位置して収容空間SKの湾曲した底壁を構成する。この場合、連結部23は、その断面形状が保護案内部12における湾曲部分Wの湾曲形状に沿う円弧形状をしている。換言すると、リンク14におけるリンク本体24の連結部23は、少なくとも収容空間SK側の面がガイド部材13のガイド溝21における湾曲溝部21cの外周形状に沿った円弧面状に形成されており、湾曲部分Wにおける湾曲した収容空間SKの底面形状を滑らかな円弧面状にする。
【0029】
図3及び図4に示すように、リンクプレート22は、保護案内部12の長さ方向Xを長手方向とする板材であって、その長手方向の一方側の外側面には、幅方向Yの板厚を略半分にする外側段差面部27が幅方向Yから見て円形状をなすように形成されている。その結果、リンクプレート22の長手方向の一方側の外側面には、幅方向Yから見たとき長手方向の一方側に凹円弧形状となる円弧面28が、円形状をなす外側段差面部27の周縁の一部により形成される。そして、その外側段差面部27の中心位置に直列方向で隣り合うリンク14の端部同士を回動可能に連結するための前述した連結軸15が略円柱状の凸部として形成されている。なお、図4においては、図面理解の便宜上、一対のガイド部材13のうち図4の奥行方向で手前側に配置されるガイド部材13の図示を省略している。
【0030】
一方、リンクプレート22の長手方向の他方側の内側面には、幅方向Yの板厚を略半分にする内側段差面部29が幅方向Yから見て円形状をなすように形成されている。その結果、リンクプレート22の長手方向の他方側の内側面には、幅方向Yから見たとき長手方向の他方側に凹円弧形状となる円弧面30が、円形状をなす内側段差面部29の周縁の一部により形成される。そして、その内側段差面部29の中心位置に、隣り合う他のリンク14のリンクプレート22における一方側の外側段差面部27の連結軸15を相対回動可能に挿嵌させる貫通孔31が形成されている。
【0031】
また、リンクプレート22は、保護案内部12が往復移動するときのリンク本体24の移動方向でもあるリンクプレート22の長手方向に沿う一対の端面のうちリンク本体24が湾曲溝部21cに沿って移動するときに湾曲溝部21cの曲率中心Cに近い内周側を移動する内周側端面22aが、湾曲溝部21cの外周形状に沿った円弧面状をなしている。
【0032】
また、リンクプレート22の長手方向の一方側の端面において短手方向となる高さ方向Zで外側段差面部27の頂部の直上となる位置には、一方側ストッパー面32が、連結軸15の軸線と外側段差面部27の頂部とを含んで構成される仮想平面に沿うように形成されている。その一方、リンクプレート22の長手方向の他方側の端面において短手方向となる高さ方向Zで内側段差面部29の頂部の直上となる位置には、他方側ストッパー面33が、貫通孔31の軸線と内側段差面部29の頂部とを含んで構成される仮想平面に沿うように形成されている。これらの一方側ストッパー面32と他方側ストッパー面33は、保護案内部12を構成する複数のリンク14がガイド部材13の直線溝部21a,21bに沿って移動するときに互いに当接し、保護案内部12を一方向に沿った直線姿勢にする。その一方、保護案内部12を構成する複数のリンク14がガイド部材13の湾曲溝部21cに沿って移動するときには、一方側ストッパー面32と他方側ストッパー面33とが連結軸15の周方向に離間し、保護案内部12を湾曲した湾曲姿勢にする。
【0033】
図3及び図4に示すように、リンク14におけるリンク本体24の連結部23からは、幅方向Yにおいて一対のリンクプレート22の内側で対向する一対のアーム34が、湾曲溝部21cに沿って移動するときにリンク本体24側から湾曲溝部21cと交差する方向に延びた姿勢となるように延設されている。すなわち、アーム34は、保護案内部12を構成する複数のリンク14の直列方向で一方側に位置する連結軸15と他方側に位置する連結軸15とを結ぶ直線Lに対して斜めに交差する方向に延びた姿勢となるようにリンク本体24から延設されている。アーム34の先端部には、ガイド溝21の溝幅よりも直径が若干小さいローラ35が係合部の一例として回動可能に設けられ、アーム34の斜状をなす側辺には直列方向で隣り合う他のリンク14におけるローラ35の一部及びアーム34の一部を側方から進入可能とする凹部36が形成されている。
【0034】
ケーブル類保護案内装置11を側面から見た場合、ローラ35は、リンク本体24における複数のリンク14の直列方向で一方側に位置する連結軸15と他方側に位置する連結軸15との中間位置CPよりも直列方向の一方側又は他方側に位置ずれしている。図4においては、複数のリンク14の直列方向で左側を一方側とした場合の右側である他方側にローラ35は位置ずれしている。また、ローラ35は、湾曲溝部21cの曲率中心Cと、複数のリンク14の直列方向で一方側に位置する連結軸15の中心と、他方側に位置する連結軸15の中心と、の3点を結ぶ三角形状の領域Aの外側に、ローラ35の中心が位置するように設けられている。
【0035】
次に、本実施形態の作用について説明する。
さて、ケーブル類保護案内装置11は、保護案内部12の一端が工作機械等の移動体と共に長さ方向Xに往復移動すると、保護案内部12の他端は移動不能とされているため、保護案内部12の湾曲部分Wを変位させながら、保護案内部12を長さ方向Xに往復移動させる。例えば、ケーブル類保護案内装置11は、保護案内部12及びガイド部材13が図1に示す位置状態から図5に示す位置状態となるように、保護案内部12の一端を移動させる。
【0036】
図5に示すように、ケーブル類保護案内装置11は、保護案内部12の一端がガイド部材13の長手方向で湾曲溝部21cが設けられている端部側に位置するとき、保護案内部12の一端がそれ以上は湾曲溝部21cが位置する側への移動を制限される後進限位置の位置状態にある。その一方、ケーブル類保護案内装置11は、図1に示すように、保護案内部12の一端がガイド部材13の長手方向で湾曲溝部21cが設けられていない側の端部付近に位置するとき、保護案内部12の一端がそれ以上は湾曲溝部21cから離れる側への移動を制限される前進限位置の位置状態にある。すなわち、ケーブル類保護案内装置11は、図1に示す前進限位置と図5に示す後進限位置との間で、保護案内部12を往復移動させる。
【0037】
そして、このように保護案内部12の一端が往復移動すると、保護案内部12の収容空間SKに延ばされた状態で収容されているケーブル類TKが往復移動する保護案内部12により保護されながら移動方向及び変位方向を案内される。このとき、ケーブル類保護案内装置11では、保護案内部12の湾曲部分Wの往復移動に伴って、直列に連結されている複数のリンク14がガイド溝21の直線溝部21a,21bに沿う直線姿勢と湾曲溝部21cに沿う湾曲姿勢との間で繰り返し回動される。
【0038】
また、ケーブル類保護案内装置11では、保護案内部12が長さ方向Xに往復移動するとき、保護案内部12を構成する複数のリンク14の各ローラ35が、ガイド部材13のガイド溝21に沿って転動する。そして、ケーブル類保護案内装置11が前進限位置から後進限位置へ移動する場合には、ガイド溝21における上側の直線溝部21aに位置する複数のローラ35が、上側の直線溝部21aから湾曲溝部21cを経由して下側の直線溝部21bへと順次に転がりながら移動する。このとき、各ローラ35は、湾曲溝部21cの外周側の内面を後進限位置側に向けて押圧するため、このときの各ローラ35の押圧力によってガイド部材13が後進限位置側に向けて移動される。つまり、ガイド部材13は保護案内部12の後進限位置側への移動に伴って後進限位置側へ移動する。
【0039】
一方、ケーブル類保護案内装置11が後進限位置から前進限位置へ移動する場合には、ガイド溝21における下側の直線溝部21bに位置する複数のローラ35が、下側の直線溝部21bから湾曲溝部21cを経由して上側の直線溝部21aへと順次に転がりながら移動する。このとき、各ローラ35は、湾曲溝部21cの内周側の内面を前進限位置側に向けて押圧するため、このときの各ローラ35の押圧力によってガイド部材13が前進限位置側に向けて移動される。つまり、ガイド部材13は保護案内部12の前進限位置側への移動に伴って前進限位置側へ移動する。
【0040】
以上のように、保護案内部12が長さ方向Xの中途の湾曲部分Wを変位させながら長さ方向Xの一端を移動させたとき、保護案内部12を構成する複数のリンク14のうちで、移動方向が直線溝部21a,21bに沿う方向から湾曲溝部21cに沿う方向に変化して湾曲部分を構成するようになったリンク14では、次のような現象が生じる。すなわち、そのリンク14において、ローラ35は、その時点で係合している湾曲溝部21cに沿う方向以外への変位が制約されるものの、リンク14の移動方向で隣り合うリンク本体24同士を回動可能に連結する連結軸15は、湾曲溝部21cとは係合していないため、湾曲溝部21cに沿う方向以外への変位が許容される。
【0041】
図6及び図7に示すように、例えば、ローラ35が上側の直線溝部21aから湾曲溝部21cに移動したリンク14における移動方向で後側と前側の両連結軸15A,15Bのうち、後側の連結軸15Aは、直列方向で後続の他のリンク14に押されて湾曲溝部21cと交差する方向で湾曲溝部21cの曲率中心Cから遠ざかる方向へ僅かに変位する。すなわち、後側の連結軸15Aは、図6及び図7において太い矢印D1で示す方向へ僅かに変位する。
【0042】
すると、この後側の連結軸15Aの変位に連動して、前側の連結軸15Bが、湾曲溝部21cと交差する方向で湾曲溝部21cの曲率中心Cに近づく方向へ僅かに変位する。すなわち、前側の連結軸15Bは、図6及び図7において太い矢印D2で示す方向へ僅かに変位する。換言すると、移動方向が上側の直線溝部21aに沿う方向から湾曲溝部21cに沿う方向に変化して湾曲部分Wを構成するようになったリンク14のことを方向変位のリンク14と称した場合、その方向変位のリンク14のリンク本体24は、移動方向の後側の部分が湾曲溝部21cと交差する方向で外方側に変位する。その一方、方向変位のリンク14のリンク本体24は、移動方向の前側の部分が湾曲溝部21cと交差する方向で内方側に変位する。
【0043】
その結果、そのようにリンク本体24における移動方向の後側の部分と前側の部分とが互いに逆方向に変位して姿勢が傾動した方向変位のリンク14におけるローラ35は、湾曲溝部21c内を後続のリンク14のローラ35に近づく方向へ僅かに変位する。すなわち、方向変位のリンク14におけるローラ35は、図6及び図7において太い矢印D3で示す方向へ、湾曲溝部21cに沿って僅かに変位する。
【0044】
この場合、図8に示す比較例のように、リンク14のローラ35がリンク14の直列方向で一方側の連結軸15と他方側の連結軸15との中間位置CPに位置していると、装置のコンパクト化を図るべく湾曲溝部21cの曲率半径Rを小さくしたときに、次のような問題が生じやすかった。すなわち、図8に示すように、湾曲溝部21c内を後続のリンク14のローラ35Aに近づく方向へ方向変位による傾動で変位した先行のリンク14のローラ35Bが、後続のリンク14のローラ35Aとぶつかり、その移動を停止させることで、装置の動作不良を招く虞があった。
【0045】
これに対し、図9に示すように、本実施形態では、リンク14のローラ35の位置が、移動方向の前側と後側に位置する一対の連結軸15の中間位置CPから前側又は後側に位置ずれしている。そのため、湾曲溝部21cを先行するリンク14のローラ35が湾曲溝部21c内を後続のリンク14のローラ35に近づく方向へ僅かに変位した場合にも、先行のリンク14のローラ35と後続のリンク14のローラ35とがぶつかり合う虞が低減される。
【0046】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)リンク14のローラ35が移動方向の前側の連結軸15と後側の連結軸15との中間位置CPに位置する場合よりも、リンク14の移動方向が直線溝部21a,21bから湾曲溝部21cに沿う方向に変化したときに、湾曲溝部21c内で先行するリンク14のローラ35と後続のリンク14のローラ35とがぶつかり合う虞を低減できる。
【0047】
(2)直列方向で一方側の連結軸15と他方側の連結軸15とを結ぶ直線Lに対して直交する方向に延びたアーム34の先端部にローラ35を設ける場合に比して、一方側の連結軸15と他方側の連結軸15とを結ぶ直線Lと直交する方向において、装置のコンパクト化を容易に図ることができる。
【0048】
(3)曲率半径Rの小さい湾曲溝部21cを各リンク14のローラ35が連続して移動する際に移動方向で隣り合う一方のリンク14のローラ35が他方のリンク14のアーム34にぶつかりそうになった場合でも、一方のリンク14のローラ35は他方のリンク14のアーム34の凹部36にクリアランスを有して進入させることで衝突が回避される。そのため、移動方向で隣り合うリンク14同士のローラ35とアーム34が接触することを回避できる。
【0049】
(4)連結部23における収容空間SK側の面が平面形状である場合とは異なり、保護案内部12が湾曲部分Wを形成したときに直列に連なる複数のリンク14の連結部23によって形成される収容空間SKの底壁にエッジが形成されにくい。したがって、長尺のケーブル類TKにおいて保護案内部12の湾曲部分Wの収容空間SK内に位置している部分が、収容空間SKの底壁を構成する連結部23との摺接で摩耗する虞を低減できる。
【0050】
(5)リンクプレート22の端面のうちでリンク本体24が湾曲溝部21cに沿って移動するときに湾曲溝部21cの曲率中心Cに近い内周側を移動する内周側端面22aが平面状である場合に比して、リンク本体24が湾曲溝部21cに沿って移動するときの移動軌跡の曲率半径を小さくできる。その結果、ケーブル類保護案内装置11のコンパクト化に貢献できる。
【0051】
(6)特に、本実施形態では、ローラ35の中心が、湾曲溝部21cの曲率中心Cとリンク14の直列方向で一方側の連結軸15の中心と他方側の連結軸15Aの中心との3点を結ぶ三角形状の領域Aの外側に位置している。そのため、リンク14の移動方向が直線溝部21a,21bに沿う方向から湾曲溝部21cに沿う方向に変化したときに、湾曲溝部21c内で先行するリンク14のローラ35と後続のリンク14のローラ35とがぶつかり合う虞をより一層低減できる。
【0052】
なお、上記の実施形態は以下に示す変更例のように変更してもよい。また、実施形態に含まれる構成と下記変更例に含まれる構成とを任意に組み合わせてもよいし、下記変更例に含まれる構成同士を任意に組み合わせてもよい。
【0053】
・リンク14における係合部は、ガイド溝21の直線溝部21a,21b及び湾曲溝部21cに係合して移動可能な構成であれば、アーム34の先端部に回動可能に設けられるローラ35に限らない。例えば、その表面がガイド溝21に対して円滑に摺接可能である球体や円柱体がアーム34の先端部に一体形成されていてもよい。
【0054】
・例えば図7においてリンク14のローラ35の中心は、湾曲溝部21cの曲率中心Cとリンク14の直列方向で一方側の連結軸15の中心と他方側の連結軸15Aの中心との3点を結ぶ三角形状の領域Aの外側に必ずしも位置していなくてよい。例えばローラ35の中心は、図7における湾曲溝部21cの曲率中心Cと他方側の連結軸15Aの中心とを結ぶ辺を構成する直線上に位置していてもよい。
【0055】
・また、ローラ35の中心は、リンク14の直列方向で一方側の連結軸15と他方側の連結軸15との中間位置CPよりも一方側又は他方側に位置ずれしているのであれば、湾曲溝部21cの曲率中心Cとリンク14の直列方向で一方側の連結軸15の中心と他方側の連結軸15Aの中心との3点を結ぶ三角形状の領域Aの内側に位置していてもよい。
【0056】
・リンク14において一対のリンクプレート22の下端部間を連結し、保護案内部12の湾曲部分Wの内周側に位置して収容空間SKの底壁を構成する連結部23は、全体的な断面形状が湾曲部分Wの湾曲形状に沿う円弧形状をしていなくてもよい。すなわち、リンク14における連結部23は、少なくとも収容空間SK側の面がガイド部材13のガイド溝21における湾曲溝部21cの外周形状に沿った円弧面状に形成されていればよい。
【0057】
・リンク14において一対のリンクプレート22の下端部間を連結する連結部23は、一対のリンクプレート22と一体的に成型される構成でも、一対のリンクプレート22に固着される構成でもよく、更には、その連結部23の長さ方向の一端及び他端の少なくとも一方を、対応するリンクプレート22に対して着脱可能にしてもよい。
【0058】
・リンク14において一対のリンクプレート22の上端に設けられた取付部25に両端部を取り付けられることで両リンクプレート22の上端同士を連結する連結部材26は、その長さ方向の一端が、対応するリンクプレート22に対して着脱可能とされ、その長さ方向の他端が、対応するリンクプレート22に対して固定される構成でもよい。
【0059】
・リンク14において一対のリンクプレート22の上端同士を連結する連結部材26は、一対のリンクプレート22と一体的に成型される構成でも、一対のリンクプレート22の上端部に連結部材26の両端部が固着される構成でもよい。
【0060】
・リンク14において、斜状のアーム34の側辺には、必ずしも凹部36が形成されていなくてもよい。
・リンク14において、アーム34は、その先端部に設けられた係合部としてのローラ35を、リンク14の直列方向で一方側の連結軸15と他方側の連結軸15との中間位置CPよりも一方側又は他方側に位置ずれさせるのであれば、リンク本体24から必ずしも斜状に延設されていなくてよい。
【符号の説明】
【0061】
11…ケーブル類保護案内装置
12…保護案内部
13…ガイド部材
14…リンク
15,15A,15B…連結軸
21…ガイド溝
21a,21b…直線溝部
21c…湾曲溝部
22…リンクプレート
23…連結部
24…リンク本体
34…アーム
35,35A,35B…係合部の一例であるローラ
36…凹部
A…領域
C…曲率中心
CP…中間位置
L…直線
SK…収容空間
TK…ケーブル類
W…湾曲部分
X…長さ方向
Y…幅方向
【要約】
【課題】装置の動作不良を招くことなく、装置のコンパクト化を図ることができるケーブル類保護案内装置を提供する。
【解決手段】ケーブル類保護案内装置11は、複数のリンク14が直列に回動可能に連結されることでケーブル類を収容可能な収容空間を形成する保護案内部12と、保護案内部が湾曲部分Wを変位させながら移動するようにガイドしながら往復移動するガイド部材と、を備え、ガイド部材は、直線溝部21aと湾曲溝部21cとを有したガイド溝21を備え、リンクは、湾曲溝部に沿って移動するときに湾曲溝部と交差する方向に延びた姿勢となるアーム34と、ガイド溝と係合するようにアームの先端部に設けられたローラ35と、を備え、ローラは、リンクにおける直列方向の一方側の連結軸15と他方側の連結軸15との中間位置CPよりも一方側又は他方側に位置ずれしている。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9