(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記空気流路が、使用者が当該電子蒸気供給システムで吸引したときには、空気が前記空気流路を通り、前記温度センサの周囲の空気流を乱すように前記温度センサが隣接して取り付けられている前記壁の部分に向かう方向で、前記温度センサに向けられるように、及び、使用者が当該電子蒸気供給システムで吐出したときには、空気が前記空気流路を通り、前記温度センサの周囲の前記空気流を乱すように前記温度センサが隣接して取り付けられている前記壁の部分に向かう方向で、前記温度センサに向けられないように構成され、及び
前記コントローラが、前記温度センサの温度の検出された変化の量、又は前記温度センサの温度の検出された変化の割合のうちの一方が所定の閾値を超えたときだけ、電力が前記気化器に供給されて前記エアロゾル前駆材料が気化されるように構成され、又は、
前記空気流路が、使用者が当該電子蒸気供給システムで吐出したときには、空気が前記空気流路を通り、前記温度センサの周囲の空気流を乱すように前記温度センサが隣接して取り付けられている前記壁の部分に向かう方向で、前記温度センサに向けられるように、使用者が当該電子蒸気供給システムで吸引したときには、空気が前記空気流路を通り、前記温度センサの周囲の前記空気流を乱すように前記温度センサが隣接して取り付けられている前記壁の部分に向かう方向で、前記温度センサに向けられないように構成され、及び、
前記コントローラが、前記温度センサの温度の検出された変化の量、又は前記温度センサの温度の検出された変化の割合のうちの一方が所定の閾値を下回ったときだけ、電力が前記気化器に供給されて前記エアロゾル前駆材料が気化されるように構成されている、請求項1に記載の電子蒸気供給システム。
前記温度センサの前記温度の変化を最初に検出した場合、前記コントローラが、前記温度センサの前記温度の前記検出された変化の量、又は前記温度センサの前記温度の前記検出された変化の割合のうちの一方が決定されるまで、電力が前記気化器に供給されて前記エアロゾル前駆材料が気化されるように構成されている、請求項2又は3に記載の電子蒸気供給システム。
前記温度センサ及び別の温度センサのうちの一方が前記温度の変化を最初に検出した場合、前記コントローラが、前記温度センサ及び別の温度センサのうちの一方の前記温度の前記検出された変化の量、又は前記温度センサ及び別の温度センサのうちの一方の前記温度の前記検出された変化の割合のうちの一方が決定されるまで、電力が前記気化器に供給されて前記エアロゾル前駆材料が気化されるように構成されている、請求項3に記載の電子蒸気供給システム。
前記コントローラが、前記温度センサの前記温度の前記検出された変化の量、及び前記温度センサの前記温度の前記検出された変化の割合のうちの一方に基づいて、前記気化器に供給される電力の量を制御して前記エアロゾル前駆材料を気化するように構成されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の電子蒸気供給システム。
前記コントローラが、前記温度センサ及び別の温度センサのうちの一方の前記温度の前記検出された変化の量、及び前記温度センサ及び別の温度センサのうちの一方の前記温度の前記検出された変化の割合のうちの一方に基づいて、前記気化器に供給される電力の量を制御して前記エアロゾル前駆材料を気化するように構成されている、請求項3、5、6又は7に記載の電子蒸気供給システム。
前記コントローラが、当該電子蒸気供給システムの周囲温度の値に基づいて、前記気化器に供給される電力量をさらに制御するように構成されている、請求項10に記載の電子蒸気供給システム。
前記コントローラが、電力が前記温度センサに供給されて前記温度センサが加熱される前に、前記温度センサを使用して周囲温度を検出するように構成されている、請求項12に記載の電子蒸気供給システム。
前記コントローラが、当該電子蒸気供給システムの周囲温度の値に基づいて、前記気化器に供給される電力量をさらに制御するように構成されている、請求項11に記載の電子蒸気供給システム。
前記コントローラが、電力が前記温度センサ及び別の温度センサのうちの一方に供給されて前記温度センサが加熱される前に、前記温度センサ及び別の温度センサのうちの一方を使用して前記周囲温度を検出するように構成されている、請求項14に記載の電子蒸気供給システム。
前記コントローラが、電力が前記気化器に供給されて前記エアロゾル前駆材料が気化されることが中止されると、電力が前記温度センサに供給されて前記温度センサが所定の期間加熱されることが中止されるように構成されている、請求項1〜16のいずれか一項に記載の電子蒸気供給システム。
前記コントローラが、電力が前記気化器に供給されて前記エアロゾル前駆材料が気化されることが中止されると、電力が前記温度センサ及び別の温度センサのうちの一方に供給されて前記温度センサ及び別の温度センサのうちの一方が所定の期間加熱されることが中止されるように構成されている、請求項3、5、6、7、11、14又は15に記載の電子蒸気供給システム。
前記気化器が、使用者による吸引のために前記電源から電力を供給されて前記エアロゾル前駆材料を加熱し、以て気化させるヒータである、請求項1〜18のいずれか一項に記載の電子蒸気供給システム。
電子蒸気供給システムの使用者による吸引のためにエアロゾル前駆材料を気化する気化器と、前記気化器に電力を供給する電源と、使用者が前記電子蒸気供給システムで吸引又は吐出するときに空気が前記電子蒸気供給システムを通り抜けるのにたどる空気流路を画定する壁と、前記空気流路の前記壁の一部分に隣接する前記空気流路に取り付けられた温度センサとを備える電子蒸気供給システムを作動させる方法であって、
電力が前記温度センサに供給されて前記温度センサを加熱するステップと、
前記温度センサの温度の変化を検出することに応答して電力が前記気化器に供給されて前記エアロゾル前駆材料が気化されるステップと
を含み、
前記空気流路は、使用者による吸引又は吐出の間に、前記空気流路に沿って進む空気が、前記温度センサの周囲の空気流を乱すように前記温度センサが隣接して取り付けられている前記壁の部分に向かう方向で、前記温度センサに向けられるように配置されている、電子蒸気供給システムを動作させる方法。
【発明の概要】
【0005】
本技術は、電子蒸気供給システムに関し、この電子蒸気供給システムは、電子蒸気供給システムの使用者による吸引のためにエアロゾル前駆材料を気化する気化器と、気化器に電力を供給する電源と、使用者が電子蒸気供給システムで吸引又は吐出するときに空気が電子蒸気供給システムを通る空気流路を画定する壁と、空気流路の壁の一部分に隣接する空気流路に取り付けられた温度センサと、電力が温度センサに供給されて温度センサが加熱されるように、及び温度センサの温度の変化を検出することに応答して電力が気化器に供給されてエアロゾル前駆材料が気化されるように構成されたコントローラとを備え、空気流路は、使用者による吸引又は吐出の間に、空気流路に沿って進む空気が、温度センサの周囲の空気流を乱すように温度センサが隣接して取り付けられた壁の部分に向かう方向で温度センサに向けられるように配置されている。
【0006】
一実施形態では、空気流路は、使用者が電子蒸気供給システムで吸引したときには、空気が空気流路を通り、温度センサの周囲の空気流を乱すように温度センサが隣接して取り付けられた壁の部分に向かう方向で温度センサに向けられるように、及び、使用者が電子蒸気供給システムで吐出したときには、空気が空気流路を通り、温度センサの周囲の空気流を乱すように温度センサが隣接して取り付けられている壁の部分に向かう方向で温度センサに向けられないように構成され、コントローラは、温度センサの温度の検出された変化の量、又は温度センサの温度の検出された変化の割合のうちの一方が所定の閾値を超えたときだけ、電力が気化器に供給されてエアロゾル前駆材料が気化されるように構成され、又は、空気流路は、使用者が電子蒸気供給システムで吐出したときには、空気が空気流路を通り、温度センサの周囲の空気流を乱すように温度センサが隣接して取り付けられている壁の部分に向かう方向で温度センサに向けられるように、使用者が電子蒸気供給システムで吸引したときには、空気が空気流路を通り、温度センサの周囲の空気流を乱すように温度センサが隣接して取り付けられている壁の部分に向かう方向で温度センサに向けられないように構成され、コントローラは、温度センサの温度の検出された変化の量、又は温度センサの温度の検出された変化の割合のうちの一方が所定の閾値を下回ったときだけ、電力が気化器に供給されてエアロゾル前駆材料が気化されるように構成されている。
【0007】
一実施形態では、電子蒸気供給システムは、空気流路の壁の別の部分に隣接する空気流路に取り付けられた別の温度センサを備え、空気流路は、使用者が電子蒸気供給システムで吐出したときには、空気が空気流路を通り、温度センサの周囲の空気流を乱すように温度センサが隣接して取り付けられている壁の部分に向かう方向で温度センサに向けられないように、及び、別の温度センサの周囲の空気流を乱すように別の温度センサが隣接して取り付けられている壁の別の部分に向かう方向で別の温度センサに向けられるように、さらに、使用者が電子蒸気供給システムで吸引したときには、空気が空気流路を通り、温度センサの周囲の空気流を乱すように温度センサが隣接して取り付けられている壁の部分に向かう方向で温度センサに向けられるように、及び、別の温度センサの周囲の空気流を乱すように別の温度センサが隣接して取り付けられている壁の別の部分に向かう方向で別の温度センサに向けられないように構成され、コントローラは、電力が別の温度センサに供給されて別の温度センサを加熱するように、さらに、温度センサの温度の検出された変化の量が別の温度センサの温度の検出された変化の量を超えたこと、又は温度センサの温度の検出された変化の割合が別の温度センサの温度の検出された変化の割合を超えたこと、のうちの一方のときだけ、電力が気化器に供給されてエアロゾル前駆材料が気化されるように構成されている。
【0008】
一実施形態では、温度センサの温度の変化を最初に検出した場合、コントローラは、温度センサの温度の検出された変化の量、又は温度センサの温度の検出された変化の割合のうちの一方が決定されるまで、電力が気化器に供給されてエアロゾル前駆材料が気化されるように構成されている。
【0009】
一実施形態では、温度センサ及び別の温度センサのうちの一方の温度の変化を最初に検出した場合、コントローラは、温度センサ及び別の温度センサのうちの一方の温度の検出された変化の量、又は温度センサ及び別の温度センサのうちの一方の温度の検出された変化の割合のうちの一方が決定されるまで、電力が気化器に供給されてエアロゾル前駆材料が気化されるように構成されている。
【0010】
一実施形態では、別の温度センサはサーミスタである。サーミスタは表面実装サーミスタとしてもよい。
【0011】
一実施形態では、温度センサはサーミスタである。サーミスタは表面実装サーミスタとしてもよい。
【0012】
一実施形態では、コントローラは、温度センサの温度の検出された変化の量、及び温度センサの温度の検出された変化の割合のうちの一方に基づいて、気化器に供給される電力の量を制御してエアロゾル前駆材料を気化するように構成されている。
【0013】
一実施形態では、コントローラは、温度センサ及び別の温度センサのうちの一方の温度の検出された変化の量、及び温度センサ及び別の温度センサのうちの一方の温度の検出された変化の割合のうちの一方に基づいて、気化器に供給される電力の量を制御してエアロゾル前駆材料を気化するように構成されている。
【0014】
一実施形態では、コントローラは、電子蒸気供給システムの周囲温度の値に基づいて、気化器に供給される電力量をさらに制御するように構成されている。
【0015】
一実施形態では、コントローラは、電力が温度センサに供給されて温度センサが加熱される前に、温度センサを使用して周囲温度を検出するように構成されている。
【0016】
一実施形態では、コントローラは、電子蒸気供給システムの周囲温度の値に基づいて、気化器に供給される電力量をさらに制御するように構成されている。
【0017】
一実施形態では、コントローラは、電力が温度センサ及び別の温度センサのうちの一方に供給されて温度センサが加熱される前に、温度センサ及び別の温度センサのうちの一方を使用して周囲温度を検出するように構成されている。
【0018】
一実施形態では、電子蒸気供給システムは、周囲温度を測定するように構成されている単独の周囲温度センサを備える。
【0019】
一実施形態では、コントローラは、電力が気化器に供給されてエアロゾル前駆材料が気化されることが中止されると、電力が温度センサに供給されて温度センサが所定の期間加熱されることが中止されるように構成されている。
【0020】
一実施形態では、コントローラは、電力が気化器に供給されてエアロゾル前駆材料が気化されることが中止されると、電力が温度センサ及び別の温度センサのうちの一方に供給されて温度センサ及び別の温度センサのうちの一方が所定の期間加熱されることが中止されるように構成されている。
【0021】
一実施形態では、気化器は、使用者による吸引のために電源から電力を供給されてエアロゾル前駆材料を加熱し気化させるヒータである。
【0022】
一実施形態では、エアロゾル前駆材料はニコチンを含む液体である。
【0023】
本技術は、電子蒸気供給システムの使用者による吸引のためにエアロゾル前駆材料を気化する気化器と、気化器に電力を供給する電源と、使用者が電子蒸気供給システムで吸引又は吐出するときに空気が電子蒸気供給システムを通り抜けるのにたどる空気流路を画定する壁と、空気流路の壁の一部分に隣接する空気流路に取り付けられた温度センサとを備える電子蒸気供給システムを動作させる方法を実現し、この方法は、電力が温度センサに供給されて温度センサを加熱するステップと、温度センサの温度の変化を検出することに応答して電力が気化器に供給されてエアロゾル前駆材料が気化されるステップとを含み、空気流路は、使用者による吸引又は吐出の間に、空気流路に沿って進む空気が、温度センサの周囲の空気流を乱すように温度センサが隣接して取り付けられている壁の部分に向かう方向で温度センサに向けられるように配置されている。
【0024】
本書に記載の手法は、以下に示されたような特定の実施形態に限定されるものではなく、本書に提示された特徴の任意の適切な組み合わせを含み、企図している。例えば、以下で説明する様々な特徴のうちの一つ以上を適宜含む、本書に記載の手法による電子蒸気供給システムが実現され得る。
【0025】
次に、本発明の様々な実施形態について、単なる例として以下の図面を参照して詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
上述したように、本開示はeシガレット等の電子蒸気供給システムに関する。以下の説明全体を通して、用語「eシガレット」が使用されるが、この用語は電子蒸気供給システムと互換的に使用され得る。
【0028】
図1は、本発明のいくつかの実施形態によるeシガレット10等の電子蒸気供給システムの概略図である(原寸に比例していない)。eシガレットは、実質的に円筒形であり、破線LAで示された長手方向軸線に沿って延びており、二つの主要コンポーネント、すなわち本体20及びカトマイザ30を備える。カトマイザは、エアロゾル前駆材料(ニコチンを含む液体等)のリザーバを収容する内部チャンバ、気化器(ヒータ等)、及びマウスピース35を含む。リザーバは、気化器へ送出される必要がある時まで液体を保持するための、発泡体基材又は他の構造物を備えることができる。或いは、リザーバは、液体を保持するための発泡体等の構造体を何も備えなくてもよく、その代わりに液体がリザーバ内に自由状態で保持されてもよい。気化器は液体を気化するためのものであり、カトマイザ30は、少量の液体をリザーバから、気化器上又は気化器に隣接する気化する場所まで移送するための、ウィック又は同様の機構をさらに含むことができる。以下ではヒータが、気化器の具体的な例として用いられる。しかし、気化器の他の形態(例えば、超音波を利用するもの等)も利用できることを理解されたい。
【0029】
本体20は、eシガレット10に電力を供給するための再充電可能な電池又はバッテリーと、eシガレットを全体的に制御するための回路基板とを含む。ヒータが回路基板によって制御された電力をバッテリーから受け取ると、ヒータは液体を気化させ、この蒸気が次にマウスピース35を通して使用者によって吸引される。
【0030】
本体20及びカトマイザ30は、
図1に示されるように、長手方向軸線LAに平行な方向に引き離すことによって互いに取外し可能であり、デバイス10が使用時にある場合、
図1に25A及び25Bとして概略的に示されている接続部によって、本体20とカトマイザ30の間の機械的及び電気的に接続されるよう互いに結合される。カトマイザ30に接続するために使用される本体20の電気コネクタ25Bは、本体20がカトマイザ30から取り外されているときに充電デバイス(図示せず)を接続するためのソケットとしても機能する。充電デバイスの他端は、eシガレット10の本体20の電池を再充電するためにUSBソケットに差し込むことができる。別の実施態様では、本体20の電気コネクタ25BとUSBソケットの間で直接接続するためのケーブルが提供されることがある。充電は、誘導無線充電等による別の手段によって行われることもある。
【0031】
eシガレット10は、空気入口用の一つ以上の孔を備える(
図1に図示せず)。これらの孔は、eシガレット10を通り抜けてマウスピース35に至る空気通路につながっている。使用者がマウスピース35を通して吸引すると、この空気通路に空気が、eシガレットの外側に適切に設置されている一つ以上の空気入口孔を通して引き込まれる。この空気流は、加熱可能温度センサ(以下で説明する)によって検出され、このセンサはヒータを作動させて、カートリッジからの液体を気化する。空気流は蒸気の中を通って一緒になり、この空気流と蒸気の合わさったものがマウスピース35を出て行って使用者によって吸引される。カトマイザ30は、液体の供給がなくなると本体20から取り外し、廃棄する(必要であれば別のカトマイザと取り替える)ことができる。
【0032】
図1に示されたeシガレット10は例として提示されており、様々な他の実施態様を採用できることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、カトマイザ30は二つの分離可能なコンポーネントとして、すなわち、液体リザーバ及びマウスピースを備えるカートリッジ(液体がリザーバからなくなったときに取り替えることができる)と、ヒータを備える気化器(一般的には保持される)として提供される。別の例として、充電機構は、自動車シガレットライタ等の追加又は代替の電源に接続することができる。
【0033】
図2は、本発明のいくつかの実施形態による、
図1のeシガレット10の本体20の概略(簡略)図である。
図2は全体として、eシガレット10の長手方向軸線LAを通る平面での断面図とみなすことができる。例えば配線及びより複雑な形状等の、本体の様々なコンポーネント及び細部は、図を分かりやすくするために
図2から省かれていることに留意されたい。
【0034】
本体20は、eシガレット10に電力供給するためのバッテリー又は電池210、並びに、eシガレット10を制御するための特定用途向け集積回路(ASIC)又はマイクロコントローラ等のチップ555を含む。ASIC555は、マウスピース35における吸引を検出するための加熱可能温度センサ215に取り付けられる(又は別法として、加熱可能温度センサ215をASIC555自体に設けることもできる)。
【0035】
本体20は、eシガレット10の遠い側の端部(遠位端)を封止及び保護するためのキャップ225をさらに含む。
【0036】
本体20の、キャップ225から反対の端部に、本体20をカトマイザ30に結合するためのコネクタ25Bがある。コネクタ25Bにより、本体20とカトマイザ30との間が機械的及び電気的に接続され得る。コネクタ25Bは、カトマイザ30との電気接続の一方の端子(正又は負)として機能するように金属製である(いくつかの実施形態では銀めっきされている)本体コネクタ240を含む。コネクタ25Bは、第1の端子すなわち本体コネクタ240と反対の極性の、カトマイザ30との電気接続用の第2の端子を形成する電気接点250をさらに含む。電気接点250は、コイルばね255に装着される。本体20がカトマイザ30に取り付けられるとき、カトマイザ30のコネクタ25Aは電気接点250を、コイルばねを軸線方向に、すなわち長手方向軸線LAと平行な(相互に揃った)方向に圧縮するようにして押す。ばね255の弾力性を考慮すると、この圧縮によりばね255が、伸長するように付勢され、これには電気接点250をカトマイザ30のコネクタ25Aに堅固に押し付ける効果があり、本体20とカトマイザ30の間の良好な電気接続性を確保する助けになる。本体コネクタ240と電気接点250は、これら二つの電気端子の間に良好な絶縁を得るために非導電体(プラスチック等)で作られた架台260によって分離されている。架台260は、コネクタ25Aと25Bの相互の機械的係合を助けるように形づくられている。
【0037】
図3は、本発明のいくつかの実施形態による、
図1のeシガレット10のカトマイザ30の概略図である。
図3は全体として、eシガレット10の長手方向軸線LAを通る平面での断面図とみなすことができる。例えば配線及びより複雑な形状等の、カトマイザ30の様々なコンポーネント及び細部は、図を分かりやすくするために
図3から省かれていることに留意されたい。
【0038】
カトマイザ30は、カトマイザ30の中心(長手方向)軸線に沿ってマウスピース35から、カトマイザ30を本体20に結合するためのコネクタ25Aまで延びる空気通路355を含む。液体のリザーバ360が空気通路355の周囲に設けられている。このリザーバ360は、例えば、液体に浸された綿又は発泡体を設置することによって実現することができる。カトマイザ30は、使用者がeシガレット10を吸引することに応答してリザーバ360からの液体を加熱し、空気通路355を流れてマウスピース端部35から出る蒸気を生成するためのヒータ365も含む。ヒータ365は、ライン366及び367を介して電力供給され、このラインは、本体20のバッテリー210の両極(正と負、又はその逆)にコネクタ25Aを介して接続される(電源ライン366及び367とコネクタ25Aの間の配線の詳細は
図3から省略されている)。
【0039】
コネクタ25Aは、銀めっきされてもよい、又は他の何か適切な金属若しくは導電材料で作られてもよい、内側電極375を含む。カトマイザ30が本体20に連結されると、内側電極375は本体20の電気接点250に接触して、カトマイザ30と本体20の間の第1の電気経路が形成される。特に、コネクタ25Aと25Bが係合されると、内側電極375は、コイルばね255を圧縮するように電気接点250を押して、内側電極375と電気接点250の間の良好な電気的接触を確保するのに役立つ。
【0040】
内側電極375は、プラスチック、ゴム、シリコーン、又は他の適切な材料で作ることができる絶縁リング372によって取り囲まれている。絶縁リングは、銀めっきされてもよい、又は他の何か適切な金属若しくは導電材料で作られてもよい、カトマイザコネクタ370によって取り囲まれている。カトマイザ30が本体20に連結されると、カトマイザコネクタ370は本体20の本体コネクタ240に接触して、カトマイザ30と本体20の間の第2の電気経路が形成される。言い換えると、内側電極375及びカトマイザコネクタ370は、本体20のバッテリー210からカトマイザ30のヒータ365まで、供給ライン366及び367を介して電力を必要に応じて供給するための正端子及び負端子(又はその逆)として機能する。
【0041】
カトマイザコネクタ370は、eシガレット10の長手方向軸線から離れる反対向きに延びる二つのラグすなわちタブ380A、380Bを備える。これらのタブは、カトマイザ30を本体20に連結する本体コネクタ240と共にバヨネット式の取付手段を形成するために使用される。このバヨネット式取付手段は、カトマイザ30と本体20の間に確実で堅牢な連結部を実現し、それによりカトマイザと本体が互いに固定位置に保持され、最小限のがたつき又は曲がりしかなく、偶発的な分離の可能性があるとしても非常に小さい。同時に、バヨネット式取付手段では、連結では挿入に続く回転によって、また分離では(逆方向の)回転に続く引き抜きによって、簡単で迅速な連結及び分離が実現する。別の実施形態では、スナップ式取付け又はねじ連結等の、異なる形態の連結部を本体20とカトマイザ30の間に使用できることを理解されたい。
【0042】
図2の実施形態では、本体20の外側ハウジング201は円筒管の形状を一般に有することに留意されたい。この外側ハウジング201は、例えば、紙又は同様のものからなる外側カバーを有する金属の内管を備えることができる。しかし、外側ハウジング201の外側形状/外形は本発明の重要な機能部ではなく、したがって、外側ハウジング201は円筒形、多角形等の任意の形態を採ってもよいことを理解されたい。
【0043】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による、
図1のeシガレット10の本体20の主要コンポーネントの概略図である。これらのコンポーネントは、本体20の中に設けられた回路基板(図示せず)に搭載することができるが、特定の構成に応じて、いくつかの実施形態では、代わりに一つ以上のコンポーネントが、回路基板と一緒に動作するように本体20に収容されてもよく、回路基板自体には物理的に搭載されない。
【0044】
本体20は、空気入口から空気出口へと(気化器へと)本体20を通り抜ける空気通路内に又はその空気通路に隣接して設置された加熱可能温度センサ215を含む。本体20は、出力デバイス558(光、音声又は触覚のフィードバックデバイス等)と、カトマイザ30又はUSB充電デバイスに接続するための電気ソケットすなわちコネクタ25Bとをさらに含む。
【0045】
マイクロコントローラ(例えば、ASIC)555は、eシガレット10の他の電気/電子コンポーネントのそれぞれの動作を制御し、CPU550を含む。CPU550及び他の電気/電子コンポーネントの動作は一般に、CPU(又は他のコンポーネント)で実行するソフトウェアプログラムによって少なくとも部分的に制御される。このようなソフトウェアプログラムは、ROM等の不揮発性メモリに記憶することができ、このメモリは、マイクロコントローラ555の中に一体化すること、又は別個のコンポーネントとして設けることができる。CPUは、要望があればROMにアクセスして個々のソフトウェアプログラムをロードし実行することができる。マイクロコントローラ555は、必要に応じて他の電気/電子コンポーネントと通信するための適切な通信インターフェース(及び制御ソフトウェア)も含む。
【0046】
CPUは、バッテリー低下警告等の、eシガレット内の状況又は状態を表す様々な出力を生成するように出力デバイス558を制御する。様々な状態又は状況を知らせるための様々な信号が、様々なピッチ及び/又は持続期間の光、振動、音又はビープを利用することによって、及び/又は複数のこのような光、振動、ビープ又は音を形成することによって得られることができる。
【0047】
前述のように、製造するのに安価で、それにもかかわらず確実に動作する気化器作動機構をeシガレットに設けることが望ましい。これを念頭に置いて、本技術は、一つの電子蒸気供給システム(eシガレット10等)を実現し、このシステムは、電子蒸気供給システムの使用者による吸引のためにエアロゾル前駆材料(ニコチン液等)を気化する気化器(ヒータ365等)と、気化器に電力を供給する電源(例えば、電池210等の電池又はバッテリーを含む)と、使用者が電子蒸気供給システムで吸引又は吐出するときに空気が電子蒸気供給システムを通り抜けるのにたどる空気流路を画定する壁と、空気流路の壁の一部分に隣接する空気流路内に取り付けられた温度センサ(温度センサ215等)と、コントローラ(マイクロコントローラ555等)とを備える。コントローラは、電力が温度センサに供給されて温度センサを加熱するように、及び温度センサの温度の変化を検出することに応答して電力が気化器に供給されてエアロゾル前駆材料が気化されるように構成される。一つの例では、検出された温度変化、又は検出された温度変化の割合が所定の最小閾値を超えたときに電力が気化器に供給される。空気流路は、使用者による吸引又は吐出の間に、空気流路に沿って進む空気が、温度センサの周囲の空気流を乱すように温度センサが隣接して取り付けられた壁の部分に向かう方向で温度センサに向けられるように配置される。空気流路に沿って進む空気が、温度センサが隣接して取り付けられた壁の部分に向かう方向で温度センサに向けられるので、空気流は温度センサの周囲で乱され(そのため、より多くの空気分子が温度センサの表面に当たることが可能になる)、以て温度センサは、空気流によって生じたその温度変化に対する応答性が高くなる。
【0048】
したがって、本技術の一つの実施形態によれば、気化器を作動させるために、使用者が電子蒸気供給システムで吸引したときに空気が引き込まれてたどる空気流路に温度センサが取り付けられる。温度センサは周囲温度よりも高く加熱されているので、吸引中に空気が電子蒸気供給システムに引き込まれて通るときに(空気は周囲温度で電子蒸気供給システムに入る)、熱が温度センサから奪われる。これにより温度センサの温度は、その加熱された値に対して低下することになる。気化器は次に、この温度低下の検出に応答して作動される。加熱可能サーミスタ等の加熱可能温度センサは低コストで入手可能であり、そのためeシガレットの製造コストが低減する。さらに、温度センサは、空気流路を画定する壁の一部分に隣り合う空気流路内に取り付けられ、また空気流路は、使用者による吸引中に空気流路を通して引き込まれた空気が、温度センサの周囲の空気流を乱すように、温度センサが隣接して取り付けられている壁の部分に向かう方向で温度センサに向けられるよう配置されているので、温度変化を検出する際の温度センサの感度が確実に改善される。これにより、使用者が電子蒸気供給システムで吸引することに応答して気化器の作動が確実に機能することが可能になる。
【0049】
本技術の背後の原理の実証について
図5を参照してより詳細に説明するが、図は、eシガレット10の空気流路に沿った加熱可能温度センサ215の位置を概略的に示し、流路が矢印600で示されている。使用者がマウスピース35を吸引すると、空気がeシガレットのカトマイザ30の入口602からeシガレットに入り、矢印600の方向にeシガレットの本体20に流れ込み、チャネル603に達する。加熱可能温度センサ215は、チャネル603の中に配置されている。この場合、温度センサ215は加熱可能サーミスタであり、空気はチャネル603を通ってチャネル604から外へヒータ365及びマウスピース35に向かって流れ、サーミスタの加熱温度が低下する。この温度低下が、マイクロコントローラ555によって検出可能なサーミスタの電気パラメータの変化を引き起こし、したがって、この検出された変化(温度低下を示す)に応答して、マイクロコントローラ555は電力がヒータ365に供給されるようにする。
図5の例では、サーミスタ215は、マイクロコントローラ555を備えるプリント回路基板(PCB)601に取り付けられる。PCB601は、封止部605(例えば、シリコーン等の弾性材料で作られている)を備え、封止部605がチャネル603の端部を封止するように配置され、それにより、吸引された空気がチャネル604を通ってヒータ365及びマウスピース365に向けられる。
【0050】
図6Aは
図5の拡大部分を概略的に示し、サーミスタ215、封止部605、PCB601、並びにチャネル603及び604が示されている。この実施形態では、これらのコンポーネントはeシガレットの本体20の中に備えられる。サーミスタ215をチャネル603に図示のように配置することによって(サーミスタ215は、PCB601に取り付けられPCBから延びる接続要素606によってチャネル603に配置されており、そのためサーミスタ215はチャネル603の内壁706に接触しない)、チャネル603を流れる空気と接触するサーミスタ215の表面積が増大されることが図で分かる。
【0051】
図6Bは、サーミスタ215及び封止部605を備えるPCB601を示す。eシガレットの製造時に、PCB601、サーミスタ215及び封止部605をあらかじめ一緒に組み合わせてeシガレットの本体20に挿入することができる。これは、複雑さの少ない(したがって低コストの)製法である。
【0052】
この場合、サーミスタ215はガラスビーズ型サーミスタである。しかし、表面実装サーミスタ等の、別のタイプのサーミスタも使用できることを理解されたい。このような構成が
図6Cに示されており、二つの表面実装サーミスタ215A及び215BがPCB601上に設けられている(前述の他のすべてのコンポーネントは同じままである)。この場合、本技術と共に使用される加熱可能温度センサは、表面実装サーミスタのうちの第1のもの(例えば、マイクロコントローラ555の制御のもとで加熱される、215A)であるのに対し、表面実装サーミスタのうちの第2のもの(例えば、215B)は、周囲温度を測定するのに使用するものである(したがって、マイクロコントローラ555の制御のもとで加熱されない)。周囲温度を測定する目的については後述する。別の実施形態では、一つしか表面実装サーミスタが使用されないことがあり、この表面実装サーミスタは前述の加熱可能温度センサであることを理解されたい。少なくとも一つの表面実装サーミスタを使用することにより、高速温度応答、並びに複数の表面実装サーミスタ(
図6Cに示す)が空気流の中に好適に配置されることが可能になることに留意されたい。さらに、表面実装サーミスタのコストは低い。
【0053】
本技術が説明通りに実行されるように(例えば、
図5の構成によって実現されるように)するために、加熱可能サーミスタ以外の加熱可能温度センサが利用されてもよいことを理解されたい。特に、(a)マイクロプロセッサ555が、周囲温度より高い温度に加熱可能温度センサを加熱するように電力が加熱可能温度センサに供給されるようにすることができ、且つ(b)加熱可能温度センサが、使用者がeシガレット10を吸引したときに検出されるべきその加熱温度に関連して、温度の変化に対する感度が十分である限り、その加熱可能温度センサは本技術と共に使用することができる。このような代替の加熱可能温度センサは非加熱可能温度センサを含むことができ、電気ヒータがその非加熱可能温度センサに取り付けられ熱的に接触する(したがって、全体として加熱可能温度センサを形成する)。しかし、加熱可能なサーミスタが、本技術を実施するための適切な選択肢であることが多い。
【0054】
サーミスタは、温度による抵抗変化が大きいことが知られている。したがって、加熱可能なサーミスタが加熱可能温度センサ215として本技術と共に使用される場合、吸引された空気流によるサーミスタの加熱温度の小さな低下でさえも、抵抗の変化(又は、サーミスタ電流、計算されたサーミスタ温度、若しくは、冷却を補償するための、及びサーミスタの温度がその元の加熱温度に戻ることを補償するための、サーミスタに供給される追加の電力等の抵抗に関連する別の電気パラメータの変化)により検出可能である。加熱可能サーミスタを加熱するために供給される電力が多ければ多いほど、吸引される空気流による加熱可能サーミスタの冷却に応答する所与の信号出力が大きくなる(したがって、温度変化に対してサーミスタがより高感度になる)ことに留意されたい。しかし、加熱可能サーミスタを加熱するためにより多くの電力を供給すると、バッテリー/電池210の寿命も減少する。したがって、加熱可能サーミスタに供給される電力は、これらの制約事項を考慮に入れて適切に決定される必要がある。
【0055】
加熱されるサーミスタの温度は、次式によって近似される。
T
H=T
0+V
2/KR
ここで、T
Hは加熱されたサーミスタの温度であり、T
0は周囲温度であり(下記のように測定)、Kは熱放散定数であり、Vはサーミスタの両端に加わる電圧であり、Rはサーミスタ抵抗である(V及びRは、サーミスタ215の電気パラメータとして、例えばマイクロコントローラ555によって測定可能である)。吸引中にサーミスタを覆う空気が流れる間、サーミスタは冷却されてT
Hが低下することを理解されたい。この温度の低下は、対応するRの(増加)変化(T
0、K及びVがすべて固定されたままになるので)、又はRに関連する(したがってT
Hに関連する)別のパラメータ(サーミスタ電流I=V/R等)を検出することで、マイクロコントローラ555によって検出することができる。或いは、マイクロコントローラは、冷却効果を補償するために、またT
Hを一定に維持しようとするために、Vを高める(したがって、サーミスタ215に供給される電力を増大させる)ことができる。
【0056】
一般には、マイクロコントローラ555は、サーミスタ215の加熱温度に関連したパラメータ(R、I、V、さらにはT
H自体等)の検出された変化の量と、第1の加熱可能温度センサの加熱温度に関連したパラメータの検出された変化の割合とのうちの一方に基づいて、ヒータ365に供給される電力量を制御できることを理解されたい。第1の例では、マイクロコントローラ555は、サーミスタ215の加熱温度に関連したパラメータの検出された変化の量、又はサーミスタ215の加熱温度に関連したパラメータの検出された変化の割合のうちの一方が所定の最小閾値を超えたときに、電力がヒータ365に供給されるようにするだけである。このことにより、使用者吸引の結果として生じたのではないサーミスタ215の加熱温度の小さい偶発的な変化で電力がヒータ365に供給されることがないことが確実になり、バッテリー寿命が保全され使用者安全の改善が実現する。第2の例(第1の例に加えて、すなわち、サーミスタ加熱温度に関連するパラメータの変化又は変化の割合が所定の閾値を超えた後にのみ、実施することができる)では、マイクロコントローラにより、ヒータ365に供給されるべき電力量が、所与の時間におけるサーミスタ加熱温度に関連したパラメータの検出された変化又は変化の割合に応じてリアルタイムで調整されるようになり得る。このことは、液体(又は他のエアロゾル前駆材料)気化の量が調整されることを可能にし、そのため、例えば、使用者による強い吸引の結果として生じる大きい(急な)温度の変化により、ヒータ365に供給される電力が(したがって液体の蒸発が)、使用者による弱い吸引(必要とする液体蒸発が少ない)の結果として生じる小さい(あまり急ではない)温度変化と比較して、大きくなる。サーミスタ加熱温度に関連するパラメータの検出された変化又は変化の割合と、ヒータ365に供給される電力量との間の適切な任意の関係が、eシガレットの所望の特性に応じて、マイクロコントローラ555の適切な構成によって、本技術と共に使用され得ることを理解されたい。
【0057】
別の例では、マイクロコントローラ555を、eシガレットを通り抜けて流れる空気の体積(したがって、ヒータ365に供給されるべき適切な電力量であり、大きい体積では多くの電力が供給され、小さい体積では少ない電力が供給される)をサーミスタの加熱温度T
Hの検出された変化と関連付ける、空気流モデルを用いて構成することができる。所与の空気の体積に対してヒータ365に供給される電力量は、T
0が変化するにつれて空気密度が変化するので、T
0に応じて再較正されることがある(T
0は、サーミスタ215があるチャネル603に入る空気の温度に等しい)。例えば、低いT
0では空気密度が高く、したがって、ヒータ365に供給される電力量を低減させることが適切であり得(密度の高い空気流により、所与のヒータ電力入力に対するエアロゾル輸送のレベルが高くなるため)、高いT
0では、空気密度が低く、したがって、ヒータ365に供給される電力量を増大させることが適切であり得る(希薄な空気流により、所与のヒータ電力入力に対するエアロゾル輸送のレベルが低くなるため)。T
0は、eシガレットが置かれている環境の温度によって変化し、したがって、この再較正が行われるためには測定される必要があることを理解されたい。(a)温度T
Hの変化と空気流モデルを画定する吸引空気流体積との間の関係、及び/又は(b)ヒータ365に供給される電力量と所与の環境温度T
0における空気吸引空気流体積との間の関係は、eシガレット10の所望の特性に応じて多くの異なる可能な形を取り得ることも理解されたい。
【0058】
別の加熱可能温度センサが使用される場合(例えば、
図8A及び
図8Bを参照して説明する別の温度センサ800等)、マイクロコントローラ555は、別の温度センサの加熱温度に関連したパラメータ(別の温度センサがサーミスタである場合、R、I、V、さらにはT
H自体等)の検出された変化の量と、別の温度センサの加熱温度に関連したパラメータの検出された変化の割合とのうちの一方に基づいて、ヒータ365に供給される電力量を制御できることを理解されたい(温度センサ215の加熱温度に関連したパラメータの検出された変化の量と、温度センサ215の加熱温度に関連したパラメータの検出された変化の割合とのうちの一方に基づいて、ヒータ365に供給される電力量を制御する代わりに、又はそれに加えて)。上述の諸例は、この場合では別の温度センサに適用することができる。特に、(a)別の温度センサの加熱温度に関連したパラメータの検出された変化の量、又は別の温度センサの加熱温度に関連したパラメータの検出された変化の割合のうちの一方が所定の閾値を超えたときに、電力がヒータ365に供給されるようにするだけのこと、(b)ヒータ365に供給されるべき電力量が、所与の時間における別の温度センサに関連したパラメータの検出された変化又は変化の割合に応じてリアルタイムで調整されるようにすること、及び(c)空気流モデルに基づいてヒータ365に供給されるべき電力量を制御すること、という上述の例のうちの一つ以上が別の温度センサに適用され得る。したがって、第1の温度センサ及び第2の温度センサを、吸引と吐出の空気流を区別できるようにeシガレット10の空気流路に沿って別々の位置に配置することがあっても(例えば、
図8A及び
図8Bの、第1の温度センサの一例であるサーミスタ215、及び第2の温度センサの一例であるサーミスタ800を再度参照)、ヒータ365に電力を供給するかどうか、及び/又はどれだけの電力がヒータ365に供給されるべきかを決定するのに、空気流を、これらのセンサの一方又は両方を使用して監視することができる。
【0059】
一つの例では、マイクロコントローラ555は、電力がサーミスタに供給されてサーミスタが加熱される前に、サーミスタ215を使用して周囲温度を検出する。別の加熱可能温度センサが使用される場合(例えば、
図8A及び
図8Bを参照して説明した別の温度センサ800等)、マイクロコントローラ555は、電力がこの第2の加熱可能センサに供給されるようにする前に、この第2の加熱可能センサを使用して周囲温度T
0を検出できることも考えられる。どちらの構成でも、周囲温度T
0が測定されるようにするための何らかの追加のサーミスタ又は他の温度センサがeシガレット10に含まれる必要性が回避されるので、eシガレットを製造する複雑さ(したがって、コスト)が低減する。しかし、別の例では、eシガレット10は、マイクロコントローラ555が周囲温度を継続して測定するように構成するための追加の非加熱周囲温度センサ(第2のサーミスタ215B等)を備える。これにより、所与の空気流体積に対してヒータ365に供給される電力量が、eシガレットの使用中に、周囲温度T
0の変化に応答して継続的に再較正されることが可能になり、それにより、周囲温度T
0がたびたび変化する場合のより適切な気化の制御が実現される。
【0060】
前述のように、本技術の一実施形態では、温度センサ215は、空気流路を画定する壁の一部分に隣接する空気流路内に取り付けられる。空気流路は、使用者による吸引の間に空気流路を通して引き込まれた空気が、温度センサの周囲の空気流を乱すように、温度センサが隣接して取り付けられている壁の部分に向かう方向で温度センサに向けられるように配置される。この配置は、電子蒸気供給システムで吸引する使用者によって生じる空気流による温度センサの加熱温度の変化を検出する際の、温度センサの感度を改善する。このような構成は
図7Aに示されている。
【0061】
図7Aは、一実施形態による、加熱可能温度センサ215があるチャネル603の断面を示す。この例では、加熱可能温度センサ215の他にチャネル603は、空気が通る空気チャネル603の(線A−Aに平行な面の)断面の一部をふさぐバリア部700A及び700Bも備える。チャネル306内のバリア部700A及び700Bのそれぞれの外面は、バリア部700Aによって覆われていないチャネル306の内壁706の一部分と共に、吸引及び吐出の間に空気が通る空気流路を画定する壁を形成する。
図7Aで、チャネル603は円筒形管である。第1のバリア部700Aも円筒形であり、チャネル603の内壁706の内側に嵌合するように寸法設定されており、それにより空気は、チャネル603の内壁706と第1のバリア部の外壁707との間を流れることができない。第1のバリア部700Aは、例えば摩擦嵌合によって、又は接着剤によってチャネル603の中に固定することができる。第1のバリア部700Aは中心孔701を備える。したがって、チャネル603を流れる空気は、この中心孔701を通って流れなければならない。第2のバリア部700Bは、吸引空気が流れる間に空気が中心孔701を出て行く第1のバリア部700Aの側面に、第1のバリア部700Aから特定の距離で配置された円板である。第2のバリア部700Bは、線A−Aに平行な面と平行になるように配置されており、それにより線A−Aと平行な断面を通して見たときに、中心孔701と完全に重なり合う。第2のバリア部700Bは、線A−Aと平行なチャネル603の断面よりも小さい半径を有し、それにより環状の隙間702が、第2のバリア部700Bの環状の縁部708とチャネル603の内壁706との間に形成される。したがって、チャネル603を流れる空気は、隙間702を通って流れなければならない。加熱可能温度センサ215は、中心孔701の出口に面し中心孔701の出口と一致する、第2のバリア部700Bの側面に固定される(接着剤等によって)。したがって、吸引の間に中心孔701を出て行く空気は(
図7Aに矢印703で示されているように)、加熱可能温度センサ215に誘導される。言い換えると、空気は、温度センサ215の周囲の空気流を乱すように温度センサ215が隣接して取り付けられている、チャネル306を通る空気流路を画定する壁の部分に向かう方向で温度センサ215に向けられる(この場合、温度センサ215が隣接して取り付けられている壁の部分は、温度センサが固定されている第2のバリア部700Bの一部分である)。吸引された空気は次に、隙間702を通り、ヒータ365及びマウスピース35に向かってチャネル604(
図7Aに図示せず)に入る。
【0062】
加えて、
図7Aに示される空気流路構成は、使用者が電子蒸気供給システムで吐出したときには、空気が空気流路を通り、温度センサの周囲の空気流を乱すように温度センサが隣接して取り付けられている壁の部分に向かう方向で温度センサに向けられないようなものである。このような構成が、吸引ではなく吐出の間の空気流を示していることを除いて
図7Aと厳密に同じである
図7Bに示されている。この図では、吐出の間に中心孔701に入る空気が(
図7Bに矢印704で示されているように)、加熱可能温度センサ215に向けられていないことが図で分かる。吐出された空気は次に、空気がeシガレット10を出る入口602に向かって、中心孔701を通り抜ける。
【0063】
図7A及び
図7Bに示された構成では、第2のバリア部700Bを、例えば
図6Aに示された接続要素606と同様の、PCB601(
図7A又は
図7Bには示されていない)に取り付けられた、且つそこから延びる接続要素によってチャネル603内に固定することができる。吐出の間には空気が温度センサ215に向けられないので(吸引の間とは異なり)、吐出の間に温度センサ215から奪われる熱量は、吸引の間に温度センサ215から奪われる熱量と比較して低減される(温度センサの表面に当たる分子が少ないため)。これにより、温度センサ215の加熱温度の検出可能な低下が、吐出の間には吸引と比較して小さくなる(あまり急速ではなくなる)。したがって、吸引(ヒータ365が作動されなければならないとき)と吐出(ヒータ365が作動されてはならないとき)が、この加熱温度の変化の差により区別可能になる。したがって、マイクロコントローラ555は、加熱可能温度センサの加熱温度に関連したパラメータ(加熱可能温度センサ215が加熱可能サーミスタである場合、R、I、V、さらには加熱温度T
H自体等)の検出された変化の量、又は第1の加熱可能温度センサの加熱温度に関連したパラメータの検出された変化の割合のうちの一方が所定の閾値を超えたときだけ、電力がヒータ365に供給されるようにし、この所定の閾値は、吸引(吐出ではない)の間だけ電力がヒータ365に供給されるように選ばれる。吐出の間(液体が気化される必要がないとき、したがって、ヒータ365が作動されなくてもよいとき)にヒータ365に電力が供給されないようにすることは、eシガレット10の電力消費を低減させ、意図しないヒータ365の作動を防止するのに役立つ(そのため、使用者の安全性が向上する)。
【0064】
一代替形態では、
図7A及び
図7Bの構成は、吸引と吐出で逆になる。このような実施形態では、
図7Aは吐出と関連があり(そのため、矢印703で示された空気流は吸引ではなく吐出と関連する)、
図7Bは吸引と関連がある(そのため、矢印704で示された空気流は吐出ではなく吸引と関連する)。このような構成は、第1のバリア部700Aと第2のバリア部700Bの位置をチャネル603内で逆にすることによって実現することができる(そのため、第1のバリア部700A及び第2のバリア部700Bからなる構成は、
図7A及び
図7Bに示された構成と比較して、チャネル603内で上下が逆に見える)。この場合、第2のバリア部700Bは、チャネル603の床部607に取り付けられた、且つそこから延びる接続要素によって、チャネル603内に固定することができる。この場合、空気は、(吸引ではなく)吐出の間に中心孔701を出て、加熱可能温度センサ215に向けられる。言い換えると、空気は、温度センサ215の周囲の空気流を乱すように、温度センサ215が隣接して取り付けられている、チャネル306を通る空気流路を画定する壁の部分に向かう方向で温度センサ215に向けられる(この場合、温度センサ215が隣接して取り付けられている壁の部分もまた、温度センサが固定されている第2のバリア部700Bの一部分である)。吐出された空気は次に、空気がeシガレット10を出る入口602に向かって、隙間702を通る。加えて、使用者が電子蒸気供給システムで吸引したときに、空気は空気流路を通り、温度センサの周囲の空気流を乱すように、温度センサが隣接して取り付けられている壁の部分に向かう方向では温度センサに向けられない。この場合、空気は、吸引の間に中心孔701に入り、加熱可能温度センサ215には向けられない。吸引された空気は次に、中心孔701を通って進み、ヒータ365及びマウスピース35に向かってチャネル604(
図7Aに図示せず)に入る。
【0065】
この代替実施形態では、吸引の間に空気が温度センサ215に向けられていないので(吐出の間とは異なり)、吸引の間に温度センサ215から奪われる熱量は、吐出の間に温度センサ215から奪われる熱量と比較して低減される。これにより、温度センサ215の加熱温度の検出可能な低下が、吸引の間には吐出と比較して小さくなる(あまり急速ではなくなる)。したがって、吸引(ヒータ365が作動されなければならないとき)と吐出(ヒータ365が作動されてはならないとき)が、この加熱温度の変化の差により区別可能になる。したがって、マイクロコントローラ555は、加熱可能温度センサの加熱温度に関連したパラメータ(加熱可能温度センサ215が加熱可能サーミスタである場合、R、I、V、さらには加熱温度T
H自体等)の検出された変化の量、又は第1の加熱可能温度センサの加熱温度に関連したパラメータの検出された変化の割合のうちの一方が所定の閾値未満のときだけ、電力がヒータ365に供給されるようにし、この所定の閾値は、吸引(吐出ではない)の間だけ電力がヒータ365に供給されるように選ばれる。吐出の間(液体が気化される必要がないとき、したがって、ヒータ365が作動されなくてもよいとき)にヒータ365に電力が供給されないようにすることは、eシガレット10の電力消費を低減させ、意図しないヒータ365の作動を防止するのに役立つ(そのため、使用者の安全性が向上する)。この方法は、リード弁(等)を使用するような他の流れ制御の方法と組み合わせることもできる。このような他の方法を使用すると、吐出方向の空気流を防止する助けになるので、吸引と吐出の空気流の間での曖昧さがさらに軽減される。
【0066】
別の実施形態では、eシガレット10は、別の加熱可能温度センサ800を備えることもできる(
図8A及び
図8B参照)。この場合、別の温度センサ800は、空気流路の壁の別の一部分に隣接する空気流路内に取り付けられる。空気流路は、使用者がeシガレット10を吸引したときに、空気が空気流路を通り、第1の温度センサ215又は800の周囲の空気流を乱すように第1の温度センサ215又は800が隣接して取り付けられている壁の部分に向かう方向で、温度センサ215及び800のうちの第1のものに向けられるよう構成されている。空気はまた、温度センサ215及び800のうちの別の第2のものの周囲の空気流を乱すようにその第2の温度センサ215又は800が隣接して取り付けられている壁の部分に向かう方向では、その第2の温度センサ215及び800に向けられない。空気流路は、使用者がeシガレット10で吐出したときに、空気が空気流路を通り、第2の温度センサの周囲の空気流を乱すように第2の温度センサ215又は800が隣接して取り付けられている壁の部分に向かう方向で、第2の温度センサ215及び800に向けられるようにさらに構成される。空気はまた、温度センサ215及び800のうちの第1のものの周囲の空気流を乱すようにその第1の温度センサ215又は800が隣接して取り付けられている壁の部分に向かう方向では、第1の温度センサ215及び800には向けられない。第2の加熱可能温度センサ800は、例えば同じ電気的特性を有してもよく、第1の加熱可能温度センサ215について前述したのと同様にeシガレット10に実装されてもよい。特に、マイクロコントローラ555は、電力が供給されて第2の加熱可能温度センサ800が加熱されるようにすることができ、第2の加熱可能温度センサ800は、例えば、マイクロコントローラ555によって検出可能な一つ以上の電気パラメータ(R、I又はV等)を有する加熱可能サーミスタとすることができる(前述の通り)。
【0067】
このような実施形態を
図8A及び
図8Bを参照して例示する。吸引の間(
図8Aに示す)、空気は温度センサ215に向けられているが温度センサ800には向けられていない(そのため、吸引の間、温度センサ215の表面には空気分子が温度センサ800の表面よりも多く当たる)。したがって、温度センサ215から奪われる熱量は、温度センサ800から奪われる熱量よりも多く、そのため、温度センサ215の検出可能な加熱温度の低下が温度センサ800のものよりも大きくなる(急速になる)。一方、吐出の間は(
図8Bに示す)、空気は温度センサ800に向けられているが温度センサ215には向けられていない(そのため、吸引の間、温度センサ800の表面には空気分子が温度センサ125の表面よりも多く当たる)。したがって、温度センサ800から奪われる熱量は、温度センサ215から奪われる熱量よりも多く、そのため、温度センサ800の検出可能な加熱温度の低下が温度センサ215のものよりも大きくなる(急速になる)。したがって、吸引(ヒータ365が作動されなければならないとき)と吐出(ヒータ365が作動されてはならないとき)が、温度センサ215と800の加熱温度の変化の相対的な差により区別可能になる。したがって、マイクロコントローラ555は、温度センサ215の加熱温度に関連したパラメータ(加熱可能温度センサ215及び800が加熱可能サーミスタである場合、R、I、V、さらには加熱温度T
H自体等)の検出された変化の量が、温度センサ800のそのパラメータの検出された変化の量を超えるか、又は温度センサ215の加熱温度に関連したパラメータの検出された変化の割合が、温度センサ800のそのパラメータの検出された変化の割合を超えるかの一方のときだけ、電力がヒータ365に供給されるようにする。こうすると、電力が(吐出ではなく)吸引の間にだけヒータ365に供給されることが確実になる。さらに、吐出の間(エアロゾル前駆材料が気化される必要がないとき、したがって、ヒータ365が作動されなくてもよいとき)にはヒータ365に電力が供給されないようにすることは、eシガレット10の電力消費を低減させ、意図しないヒータ365の作動を防止するのに役立つ(そのため、使用者の安全性が向上する)。
【0068】
前述のように、この実施形態によって吸引と吐出が区別されることを可能にする例示的な構成が、
図8A(吸引を示す)及び
図8B(吐出を示す)に概略的に示されている。これらの図は、内部に温度センサ215及び800が設置されているチャネル603の断面を示す。この例では、加熱可能温度センサ215及び800の他にチャネル603は、空気が通る空気チャネル603の(線A−Aに平行な面の)断面の一部をそれぞれがふさぐ、複数のバリア部700Cも備える(この場合には三つのバリア部が示されている)。チャネル306内のバリア部700Cのそれぞれの外面は、バリア部700Cによって覆われていないチャネル306の内壁706の一部分と共に、吸引及び吐出の間に空気が通る空気流路を画定する壁を形成する。
【0069】
図8A及び
図8Bで、チャネル603は円筒形管である。バリア部700Cのそれぞれも円筒形であり、チャネル603の内壁706の内側に嵌合するように寸法設定されており、それにより、各バリア部700Cの切り欠き部803を除いて、空気はチャネル603の内壁706と各バリア部700Cの外壁804との間を流れることができない。各バリア部700Cを、例えば摩擦嵌合によって、又は接着剤によってチャネル603の中に固定することができる。したがって、吸引/吐出の間、空気は、チャネル603を通って流れるためには、各バリア部700Cの切欠き部803を通って流れなければならない。バリア部700Cの切欠き部803の相対的な位置は、空気が流れなければならないU形サブチャネル802がチャネル603と共に形成されるような位置である。温度センサ215及び800のそれぞれは、(接着剤等によって)U形サブチャネル802のベースの対向端部の、チャネル603の内壁706の上に固定される(U形チャネル802のベースは
図8A及び
図8Bに点線807で示されている)。したがって温度センサ215及び800は、空気流路を画定する壁のそれぞれの部分に隣接して取り付けられることを理解されたい。吸引の間(
図8A)、空気は入口602からU形サブチャネル802の中へ流れ、ここで空気は、矢印805Aの方向に沿って温度センサ215に向けられ、矢印805Bの方向に加熱可能温度センサ800から離れてヒータ365及びマウスピース35へ向かって出る。したがって空気は、吸引の間、温度センサ215に向けられているが温度センサ800には向けられていない。より詳細には、空気は、温度センサ215の周囲の空気流を乱すように温度センサ215が隣接して取り付けられている壁の部分に向かう方向で温度センサ215に向けられ、温度センサ800の周囲の空気流を乱すように温度センサ800が隣接して取り付けられている壁の部分に向かう方向では温度センサ800に向けられない。一方、吐出の間(
図8B)、空気は入口マウスピース35からU形サブチャネル802の中へ流れ、ここで空気は、矢印806Bの方向に沿って加熱可能温度センサ800に向けられ、矢印806Aの方向に加熱可能温度センサ215から離れて入口602へ向かって出る。したがって空気は、吐出の間、温度センサ800に向けられているが温度センサ215には向けられていない。より詳細には、空気は、温度センサ800の周囲の空気流を乱すように、温度センサ800が隣接して取り付けられている壁の部分に向かう方向で温度センサ800に向けられ、温度センサ215の周囲の空気流を乱すように温度センサ215が隣接して取り付けられている壁の部分に向かう方向では温度センサ215に向けられない。
【0070】
単一の加熱可能温度センサ215ではなく二つの加熱可能温度センサ215及び800が上述のように使用される場合に、加熱された温度センサのそれぞれの温度の検出された相対的な変化に基づいて空気流の方向(吸引又は吐出)を検出できることは、加熱可能温度センサのそれぞれに供給される電力量を、単一の加熱可能温度センサが使用されている状態と比較して低減できることを意味することに留意されたい。したがって、eシガレット10の電力消費をこのようにして低減することが可能である。
【0071】
図7A及び
図7Bと
図8A及び
図8Bに示された空気流路は例示的な空気流路にすぎないこと、並びに同様な効果が得られる他の空気流路幾何形状も使用できることを理解されたい。このような流路幾何形状には、空気濃縮器、空気デフレクタ、フラップ、体積変更のような、空気流を誘導するための任意の適切な手段を用いることができる。
【0072】
一実施形態では、加熱可能温度センサ215及び/又は800の加熱温度に関連したパラメータ(加熱可能温度センサ215が加熱可能サーミスタである場合、R、I、V、さらには加熱温度T
H自体等)の変化を最初に検出すると、マイクロコントローラ555は、加熱可能温度センサ215及び/又は800の加熱温度に関連したパラメータの検出された変化の量、又は加熱可能温度センサ215及び/又は800の加熱温度に関連したパラメータの検出された変化の割合の一方が決定されるまで、電力がヒータ365に供給されるように構成される。これにより、ヒータ365の加熱が、加熱可能温度センサ215及び/又は800の加熱温度変化の検出が実行されるべきかどうか(これは例えば、前述の構成によって決定される)に関して確証される前に、初期化される。ヒータ365が作動されていなければならないと決定された場合(例えば、加熱可能温度センサ215の加熱温度の低下/低下の割合が所定の閾値を超える、若しくは下回る場合、又は温度センサ215及び800のうちの第1のものの加熱温度の低下/低下の割合が、温度センサ215及び800のうちの第2の別のものの加熱温度の低下/低下の割合を超える場合)、マイクロコントローラ555は引き続き、電力がヒータ365に供給されるようにする。一方、ヒータ365が作動されていてはならないと決定された場合(例えば、加熱可能温度センサ215の加熱温度の低下/低下の割合が所定の閾値を超えない、若しくは下回らない場合、又は温度センサ215及び800のうちの第1のものの加熱温度の低下/低下の割合が、温度センサ215及び800のうちの第2の別のものの加熱温度の低下/低下の割合を超えない場合)、マイクロコントローラ555は、ヒータ365に電力が供給されるのが中止されるようにする。このような構成により、本当の吸引が行われたことをマイクロコントローラ555が計算するのを使用者が待たなくてもよいので、本当の吸引の間のヒータ365の応答時間が速くなる。同時に、ヒータ365の(例えば、吐出の間の)誤作動が迅速に修正されるので、浪費されるバッテリー電力と、ヒータが意図せずに長時間作動される危険とが低減する。
【0073】
一実施形態では、eシガレット10が最初にオンにされると、マイクロコントローラ555はすぐに、電力が加熱可能温度センサ215及び/又は800に供給されて加熱可能センサをその加熱温度まで加熱するようにすることに留意されたい。こうすることで、マイクロコントローラ555が、使用者の最初の「パフ」(吸引)を可能な限り早く検出する用意ができていることが確実になる。さらに、別の実施形態では、マイクロコントローラ555は、ヒータ365に電力が供給されるのが中止されると(例えば、マイクロコントローラ555が、加熱可能温度センサ215及び/又は800の温度がその加熱値まで冷却期間の後に戻って、吸引の終わりを示唆することを検出するときに行われるように)、eシガレット10の電力消費を低減させるために、加熱可能温度センサ215及び/又は800に電力が供給されるのが所定の期間中止されるようにする。この所定の期間は、eシガレット10での使用者の複数回のパフの間の典型的な期間に基づいて決定される。例えば、所定の期間は、典型的なパフ期間の半分(例えば、典型的な1パフの期間が30秒である場合には15秒)になるように決定することができる。
【0074】
図9A〜
図9Cは、本技術の実験的実証の結果を示す。この場合には、ガラスビーズ加熱可能サーミスタが加熱可能温度センサ215として使用され、また、
図7A及び
図7Bに示されたものと類似している流れ幾何形状が使用された。サーミスタは、25℃で100オームであり、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせ(マイクロコントローラ555を形成する)が、サーミスタに25mWの一定電力を供給するために使用された。
図9A〜
図9Cのそれぞれは、時間(秒)に対するサーミスタ抵抗(オーム)を示す。ソフトウェアは、開始についても実行についても最適化されていなかったことにより、グラフのそれぞれで開始/安定化時間がわずかに異なっていることに留意されたい。しかし、それにもかかわらず、これらの実験結果は本技術を適切に実証している。
図9Aは、開始/安定化時に(すなわち、電力がサーミスタに最初に供給されたとき、及び、ある特定の期間の後にサーミスタの抵抗がほぼ一定の値に安定化したときに)測定されたサーミスタ抵抗を示す。
図9Aの例では、電力レベルは、安定化温度に速く達することを可能にするために、100mWになるように最初に制御されたことに留意されたい。次に電力レベルは、25mWになるように制御された。
図9Bは、吸引及び吐出の操作の間に一定の空気の流れ(25mL/s)がサーミスタの上に通されときに測定されたサーミスタ抵抗を示す。上述の空気流路幾何形状の故に、吸引操作と吐出操作がサーミスタの抵抗の変化によって区別可能であることが図で分かる。
図9Cはやはり、吸引及び吐出の操作の間に一定の空気の流れ(25mL/s)がサーミスタの上に通されたときに測定されたサーミスタ抵抗を示す。しかし今度は、サーミスタの温度検知面がエポキシ樹脂の層で覆われている。このような構成は、吸引及び吐出の操作のそれぞれに伴うサーミスタ抵抗の変化に影響を及ぼすことが図で分かる。特に、変化の大きさが、特に吐出操作では低減される(吐出操作には、ここでは非常に小さい抵抗の変化が伴う)。サーミスタの様々な特性(温度検知面のコーティング等)は、本技術の有効性を改善するために、必要に応じて調整できることを理解されたい。
【0075】
図10は、本技術の一実施形態による処理を示す流れ図である。処理はマイクロコントローラ555によって実行される。処理はステップ1000から開始する。ステップ1001で、マイクロコントローラ555は、電力が温度センサ215に供給されて温度センサ215を加熱するようにする。ステップ1002で、温度センサ215の加熱温度に関連したパラメータ(温度センサ215が加熱可能サーミスタである場合、R、I、V、さらには加熱温度T
H自体等)の所定の変化が生じたかどうかが判定される。この所定の変化は、例えば、前述のパラメータの変化量又は変化の割合でもよい。所定の変化が生じたことが検出されない場合、ステップ1002が繰り返される。一方、所定の変化が生じたことが検出された場合、処理はステップ1003へ進み、ここでマイクロコントローラ555は、電力が気化器(記載の実施形態では、ヒータ365)に供給されるようにする。次に、処理はステップ1004で終了する。
【0076】
本書に記載の手法は、例えば、米国特許出願公開第2011/0226236号に記載の吸引器のタイプを含む、また、電子気化器を同様に含む非燃焼加熱式デバイス(これは、次に加熱されるか蒸気が供給されて所望の蒸気が生成される、何らかの植物物質又は抽出物、例えばタバコ葉を含むことができる)も含む、ある範囲の電子蒸気供給システムに拡大適用することができる。一般に、本技術は、製剤、典型的にはニコチン及び多くの場合に香味料を含む原料液体のリザーバのような任意のエアロゾル前駆材料若しくはエアロゾル供給源、又は、使用者による吸引のための、例えば噴霧化/熱による気化を通してエアロゾルが生成されるタバコ由来製品のような固体材料と共に使用するように構成された電子蒸気供給システムに適用できることに留意されたい。
【0077】
様々な問題に対処し、技術を進歩させるために、本開示の全体は例示によって、特許請求された本発明を実践できる、また優れた電子蒸気供給システムを実現できる様々な実施形態を示す。本開示の利点及び特徴は、諸実施形態の単なる代表例であり、網羅的及び/又は排他的なものではない。これらの利点及び特徴は、特許請求された特徴を理解することを助け教示するためにだけ提示されている。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって定義される本開示に対する限定、又は他特許請求の範囲の等価物に対する限定と解釈されるべきものではないこと、並びに、本開示の範囲及び/又は趣旨から逸脱することなく他の実施形態を利用することができ、また修正を加えることができることを理解されたい。様々な実施形態は、開示された要素、コンポーネント、特徴、部材、ステップ、手段等の様々な組み合わせを適切に備えるか、これらから成るか、これらから本質的に成ることができる。加えて、本開示は、現在は特許請求されていない、しかし将来は特許請求される可能性がある、他の発明を含む。