特許第6898312号(P6898312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6898312金属又は金属合金の型を冷却するシステム、及び、前記冷却システム及び少なくとも1つの金型を含む金型セット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6898312
(24)【登録日】2021年6月14日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】金属又は金属合金の型を冷却するシステム、及び、前記冷却システム及び少なくとも1つの金型を含む金型セット
(51)【国際特許分類】
   B22C 9/06 20060101AFI20210628BHJP
   B22D 17/22 20060101ALI20210628BHJP
【FI】
   B22C9/06 B
   B22D17/22 D
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-512329(P2018-512329)
(86)(22)【出願日】2016年8月26日
(65)【公表番号】特表2018-526224(P2018-526224A)
(43)【公表日】2018年9月13日
(86)【国際出願番号】IB2016055100
(87)【国際公開番号】WO2017037592
(87)【国際公開日】20170309
【審査請求日】2019年8月26日
(31)【優先権主張番号】202015000048083
(32)【優先日】2015年9月2日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】518071730
【氏名又は名称】アルフィ エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ペリッツォン,イレーネ
【審査官】 中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第104439163(CN,A)
【文献】 特開昭61−108462(JP,A)
【文献】 特開昭61−123457(JP,A)
【文献】 実開昭52−147922(JP,U)
【文献】 特開昭56−149502(JP,A)
【文献】 特開昭61−160695(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103658597(CN,A)
【文献】 中国実用新案第201791954(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 5/00− 9/30
B22D 15/00−17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属材料を含むように適合する成形空間(3)を定めるために共に連結することができる少なくとも2つの成形された半金型(2A、2B)を備えたタイプの金属又は金属合金の金型を冷却するシステムであって、
−第1の搬送部(S1)を有する、圧縮空気及び霧状にされた水を含む冷却用分散媒の主要な流れを移動させるための少なくとも1つの主導管(6)、及び、
−前記主導管(6)へ接続されそこから始まり、各々が前記主導管(6)の前記第1の搬送部(S1)より小さい第2の搬送部(S2)と、前記半金型(2A、2B)のうちの1つにおいて作られるダクト(5)の対応した溝(5’)に挿入される自由端(70)を備えている複数の第2の導管(7)、を含む冷却システムにおいて、
前記主導管(6)が、前記主導管(6)の端に閉鎖壁(65)を備える少なくとも1つの閉じた末端部(60)を備え、
前記閉じた末端部(60)は、3つ又はそれ以上の前記第2の導管(7)が放射状にかつ末梢的に接続され、前記冷却用分散媒と等しい二次的な流れを前記第2の導管(7)において分配し、前記自由端(70)を通じて前記半金型(2A、2B)の前記対応した前記溝(5’)にそれらを注入するために成形され、
前記主導管(6)の前記閉じた末端部(60)は、各々が前記閉じた末端部(60)に末梢的に固定された対応した前記第2の導管(7)が接続される第2の貫通孔(64)を備え、前記第2の貫通孔(64)が前記閉じた末端部(60)の横断面の外周に分配されて作られ、
前記第2の導管(7)は、前記主導管(6)の端の前記閉鎖壁(65)から2cm以内に近接して前記主導管(6)に接続され、
−圧縮空気の気流(8)を供給する手段、
−水流(9)を供給する手段、及び、
−前記気流において前記水流を霧状にして、少なくとも1つの前記主導管(6)で供給される圧縮空気及び霧状にされた水の前記冷却用分散媒を作成するため、少なくとも1つの噴霧化ノズル(12)を含む、前記水流において前記水流を混合する手段(10)、を含むことにおいて特徴付けられる、冷却システム。
【請求項2】
前記閉じた末端部(60)は、2つの対向した横断壁(61、62)、及び、前記対向した横断壁(61、62)を接続するために配置される周囲壁(63)を有し、それとともに前記冷却用分散媒の分配室を区切る、拡大された多岐管の本体(60)によって得られ、前記対向した横断壁(61、62)の第1の横断壁(61)は、前記第1の横断壁(61)に対して中央に配置されて第1の貫通孔を通じて前記主導管(6)に接続され、前記周囲壁(63)は、対応した前記第2の導管(7)に各々接続される複数の第2の貫通孔(64)を備えることにおいて特徴付けられる、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記拡大された多岐管の本体(60)が、円筒状かつ円盤状の形状を有し、前記主導管(6)で水平に支持され、下部の中心の供給(4)を有する低圧の射出金型(2)の上部の半金型(2A)に中央に面することにおいて特徴付けられる、請求項2に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記拡大された多岐管の本体(60)の前記分配室が2つの前記対向した横断壁(61、62)の間の内部の距離に対応する高さを有し、前記第2の導管(7)は、前記拡大された多岐管の本体(60)の前記分配室の高さに等しい直径を有することにおいて特徴付けられる、請求項3に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記主導管(6)は、前記閉じた末端部(60)で前記第1の搬送部(S1)を有することにおいて特徴付けられる、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項6】
前記主導管(6)は、それぞれが1つの前記閉じた末端部(60)を備えている共通の供給部(6’)から少なくとも2つの分岐(6A、6B)へ分岐することにおいて特徴付けられる、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項7】
前記少なくとも2つの分岐(6A、6B)は水平に配置され、前記半金型の下部の中心の供給(4)に対して均等に分配された位置で低圧の射出金型(2)の前記下部の半金型(2B)に面するように配置されることにおいて特徴付けられる、請求項6に記載の冷却システム。
【請求項8】
前記少なくとも2つの分岐(6A、6B)は湾曲した延長部を有することにおいて特徴付けられる、請求項6に記載の冷却システム。
【請求項9】
2つ又はそれ以上の主導管(6)を含み、対応する前記圧縮空気の気流(8)を供給する手段、前記水流(9)を供給する手段、及び、前記混合手段(10)によって得られるその冷却用分散媒をそれぞれに供給することにおいて特徴付けられる、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項10】
前記第2の導管(7)は、前記半金型(2A、2B)において作られる前記溝の(500)へそれらの自由端(70)を導くような形状、保持手段を用いずに前記口と関連しているままの形状をとるために屈曲することにおいて特徴付けられる、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項11】
前記溝(5’)は閉じた穴によって構成されることにおいて特徴付けられる、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項12】
−請求項に記載の前記冷却システム(1)、及び、
−前記噴流を含むように成形空間(3)を定めるために共に連結することができる上部(2A)及び下部の(2B)半金型を含む少なくとも2つの成形された半金型(2A、2B)を備えた溶融金属又は溶融金属合金の低圧の噴流のための少なくとも1つの金型(2)、を含む金型セットであって、
前記半金型(2A、2B)の各々は、複数の溝(5’)によって形成されたダクト(5)を備え、そこで、前記第2の導管(7)の前記自由端(70)が、前記溝(5’)の中で前記冷却用分散媒の前記二次的な流れを注入するために挿入され、その前記二次的な流れは前記溝(5’)の出口で外側の環境に放出されることにおいて特徴付けられる、金型セット。
【請求項13】
少なくとも1つの半金型(2A、2B)は複数のダクト(5)を含み、各々が、対応する別個の主導管(6)の前記第2の導管(7)に連結される複数の溝(5’)により形成されることにおいて特徴付けられる、請求項12に記載の金型セット。
【請求項14】
制御手段によって設定あるいはプログラムすることができる作動ステップにより、各々の別個の前記主導管(6)の差別化した供給を制御することができる論理制御ユニットを含むことにおいて特徴付けられる、請求項13に記載の金型セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれの独立請求項の前文による金属又は金属合金の型を冷却するシステム、及び、金型及び前記冷却システムを含む金型セットに関する。本発明の目的であるシステムは、従来、多くの様々な形状で金属又は金属合金の製品を作成するために採用されてきた金型を冷却するために都合よく使われることを目的とする。本発明のシステムは特に、低圧で射出ダイカストの金型に関連して使われることを目的とするものであるが、圧力ダイカストを備えるシステム及びシェル型鋳造を備えるシステムの両方で都合よく用いることができる。本発明はそれゆえに、一般に鋳物工場のシステム及び装置、又は、成形による金属又は金属合金の製品の製造の範囲に含まれる。
【背景技術】
【0002】
溶融した液体の塊から始まる金属製品を形成するための様々な技術が知られている。例えば、一般に鋼鉄の金型に溶融金属を落下させて提供される重力によって金型で鋳造成形する技術が公知である。金型又はシェルは、単一あるいは複数の分割表面を有する製品の場合、通常それぞれ2つの部品(半金型)又は複数の部品に分けられる。金型はまた、半金型と関連して動くコア又はタップのような追加の移動可能な要素を含むことができる。
【0003】
また、低圧において射出ダイカストで成形する技術も公知であり、そこで、加熱されたるつぼに含まれる溶融金属合金は、下部の半金型の下に一般に接続される垂直導管を通じて、通常、圧縮空気によって押される。圧力は、金型の合金の凝結のために必要な時間の間、維持される。金属合金は、鋳造の開始時は溶融した状態のままで垂直管に配置され、圧力の動作が中断するとるつぼに戻る。圧力ダイカストの場合、機械作業用の鋼鉄の輪郭(金型)が用いられ、そこで、溶融金属は、それに対して高速で(重力による鋳造のそれよりも100倍も速い)作用するピストンによって押される。
【0004】
2つの半金型によって(あるいは、金型ホルダ及びマトリックスによって)通常形成される金型を用い、一方が、システムの固定した耐荷構造に一体的に固定され、もう一方が、油圧ピストンで動くように駆動するために移動可能である、熱加圧室式タイプ(圧力ピストンは、溶融金属が含まれる金型の室にある)、又は、冷室式タイプ(ピストンは、るつぼから溶融金属の全ての分量を受容する)の圧力ダイカストの技術も公知である。2つの半金型は、通常トグルメカニズムにより閉じて係止される。圧力ダイカストの技術により、射出、凝結、及び、溶融金属噴流の成形は、よく知られるように簡単である。
【0005】
溶融した液体の状態から固体の状態へ金属又は金属合金を所望の形状に形成する様々な技術によって、主に、例えば鉄合金が処理された、アルミニウム合金、マグネシウム合金、亜鉛合金、青銅及び真鍮のような銅合金といった軽量合金の噴流を成形することが可能になる。重力噴流、低圧噴流又は圧力噴流(圧力ダイカスト)による上記の成形技術、あるいは、さらに一般的に金属又は金属合金でできている製品を得るために成形金型を用いる成形プロセスは、製品のための最適な機械的かつ美的特徴を保証するためにその成形プロセスの間、金型の温度を制御する課題に直面せざるを得ない。
【0006】
そのような目的のため、現在、金属合金の噴流を成形するための装置は、温度の有効かつ迅速な減少が噴流の凝結の間に必要とされる金型の領域において作られる(単純な閉じた穴によって順に構成される)ダクトを含む冷却システムを備えている。ダクト内では、例えば圧縮空気又は水であってもよい分散媒が通るようにされる。
【0007】
2つの異なる分散媒、すなわち水及び空気を用いる上記のタイプの成形技術の多くの用途においては、金型の最適の冷却を達成することができず、製品は、場合によっては、金型の異なる部品間で温度差を有するような極端に迅速な方法で冷却されて製品が引っ張られる又は金型の亀裂につながる結果になってしまう、あるいは、製造工程に否定的に影響を及ぼすほどのあまりに遅い速度で冷却される。更に詳細には、現在、軽金属合金、特にアルミニウム合金の成形は、通常、鋼鉄又は鋳鉄金型を、環境に分散するように同じ金型で作られるコイルに高圧で吹き入れられる圧縮空気による冷却システムと関連させることによって実行される。軽量合金、特にアルミニウム又はアルミニウム合金でできている大部分の製品は、実際には、上記の異なる成形技術に従って成形される溶融した材料の製造のために、そのような合金のインゴットを溶融させることから開始される。
【0008】
これらの成形技術によると、成形の各作業サイクルでは、‐例えば上記のようにアルミニウム又はアルミニウム合金によって構成される‐溶融金属は、金型へ約700℃で鋳造又は注入される。実際は、成形サイクル後の成形サイクルには、金型の温度の漸進性増加が存在し、それゆえに作業サイクル時間がますます長くなることが認められる。上記のような理由のため、この欠点を克服するために、過熱が大きい地点においてダクトが金型内で作られる。そのようなダクトは例えば閉じた穴の形であり、圧縮器によって供給される約5‐8barの圧縮空気の流れがここに注入される。そのような気流が、金型から熱を取り除いて、過熱を防ぐ。金型内部、及び、穴が作られる地点に空気を注入するために、冷却システムは、主要な管のそれより小さい部分を有する複数の二次管へ分岐して、金型自体の異なる穴に届くように(そのような二次管で)、金型内部に拡張される鉄又は鋼鉄のような金属でできている主要な管を一般に含むように形作られた管の配置を提供する。
【0009】
本明細書で指定されるタイプの空気冷却システムは、二次管の異なる長さ、及び、主要な管への連結の異なる位置のためにそれらが運搬する空気の量が異なるという欠点を有する。金型の異なる穴へ二次管によって運搬される圧縮空気の流れのこの不規則性は、金型の冷却の非均一性と関係して、たいてい結果的に、最終製品における欠陥の形成に関係する。そのような欠陥は亀裂、スリット、裂溝の形である、あるいは、内部の引張力のみであり、肉眼で見える又はX線で見えるだけである可能性がある。いずれにせよ、システムの二次管により誘発される冷却の非均一性が、製造工程において望まれていない廃棄物を生じさせる。加えて、品質の見地から、異なる領域を様々に冷却することで、1つの製品とその後に続く製品の間でさえも、材料の異なる縮み又は異なる内部引張力につながり、それに伴う特に機械的な特徴に関する製造の非均一性が生じる可能性がある。現在公知の空気冷却システムにおいては、異なる起源点が、異なる冷却効果を有する異なる流れが滲み出すことに関係するという課題を熟慮することなく、二次管は主導管から生じていて、最後には、上記の欠点を有する冷却の非均一性を引き起こしてしまう。
【0010】
公知のように、上記の水冷却システムは、圧力ダイカストプロセスのように、急速に大量の熱を取り除くのに必要であるところで、都合よく用いられる。この場合、実際には、凝結の間、溶融金属に動作する圧力に、金型との迅速な熱交換が関係する。従って、水冷却システムとこれらの圧力ダイカストタイプの金型との関連が通常提供され、そのような冷却システムは、順序正しい高速の全体的な冷却のために金型内で回路を有している。水冷却システムは閉じたタイプであり、もちろん金型の出口で過熱された蒸気を周囲の環境へ放つことができない。水は、石灰のカスがその動作に否定的に影響を及ぼすのを防ぐように通常、適切に処理される。更に詳細には、熱を除去する分散媒としての水は、空気を使用するよりも非常に有効であるが、水冷却システムの使用にはいくつかの欠点が伴う。第1の欠点は、金型本体において作られるダクト内での流体の通過によって生成される熱衝撃によって生じるものである。過剰な熱上昇の場合には、亀裂が金型に生成される危険性があり、それは修復不能なほど金型に損害を与える可能性がある。金型から分離した構成要素でできている水システムの場合、金型の中でさえも水損失の危険性を有する‐金型の適切な動作を危険にさらす可能性がある‐封止に関する課題が、その構成要素の接合領域で起こるかもしれない。加えて、金型又はそれに関連したシステムから出る加熱された水は、処理又は再利用のために最適に処理されなければならない。
【0011】
米国特許出願公開第2009/315231号明細書から公知であるのは、空気と水滴を混合させるためにスプレーによってそこに噴霧される水流を有し、冷却用分散媒として気流を使用する金型の冷却システムである。システムは、上記の混合物が流れるようにされる金型の溝を通じて到達するように提供される。その溝は、金型を冷却し熱を吸収して、大量の蒸気を作成する。混合物はそれからポンプによって出口で吸入され、そこで圧縮によって空気を水から分離し、ポンプに接続される排水管によって空にされる。
【0012】
この特許に記載されている冷却システムは実際には、欠点を有することがわかった。この特許においては、金型を通じて空気/蒸気流を循環させるため金型及び吸い上げポンプ内で適切な溝の配置を必要とし、また、ポンプにおけるその圧縮の後に液相の処理を必要とする。このシステムの第1の欠点は、金型において適切な導管を作成して、金型から出た冷却用混合物を処理する必要があるための高コスト及びその複雑さに存在する。このシステムの第2の欠点は、異なる溝においてその混合物の流れにおける均一性の保証が実際には提供されていないことで、金型の溝を流れる混合物の冷却動作がそれほど精密でないことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/315231号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
この状況において、本発明の基礎となる課題はそれゆえに、均等な方法で金型から熱を取り除くことができるような金属又は金属合金の金型を冷却するシステムを提供することによって、上記の従来技術の課題を取り除くことである。
【0015】
本発明の別の目的は、金型から最適な量の熱を取り除くことができるような金属又は金属合金の金型を冷却するシステムを提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、環境及び人間にとって完全に安全であるような金属又は金属合金の金型を冷却するシステムを提供することである。
【0017】
本発明の別の目的は、作成するのに単純かつ安価であり、作動中に完全に信頼できるような金属又は金属合金の金型を冷却するシステムを提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、金型を出た後、冷却用担体を処理するための高価な手段を必要としないような金属又は金属合金の金型を冷却するシステムを提供することである。
【0019】
本発明のまた別の目的は、異なる用途の設定において汎用的な方法で使うことができる、特に、既存の空冷システムと置換することができるような金属又は金属合金の金型を冷却するシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の目的による結果の技術的な特徴は、以下に示される請求項の内容において明確に見つけることができ、その利点は、本発明を単に例証し、制限する意図を有しないいくつかの実施態様のみを表す添付の図面を参照することで以下の詳細な説明においてより明らかになる。図面の説明は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明によるアセンブリを形成するために金型に接続された冷却システムの全体図を概略的に示すものである。
図2図2は、主導管の拡大された多岐管の本体を有する閉じた末端部と関連して、他の部品をよりよく示すためにいくつかの部品が取り除かれた本発明の冷却システムの第1の実施態様の拡大詳細図を示すものである。
図3図3は、主導管の閉じた末端部と関連して、他の部品をよりよく示すためにいくつかの部品が取り除かれた本発明の冷却システムの第2の実施態様の拡大詳細図を示すものである。
図4図4は、詳細に第2の導管が放射状に逸脱する閉じた末端部を特に見ることができるような、それに関連する冷却システムを有する金型と関連して、本発明のアセンブリの詳細を示すものである。
図5図5は、図3の第2の実施態様の主導管の閉じた末端部の概略図を示すものである。
図6図6は、金型の冷却溝への第2の導管の自由端の連結に関して、本発明のアセンブリの実施態様の概略図を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
添付の図面に関して、参照番号1は、特に溶融金属又は溶融金属の合金の低圧の噴流による射出のタイプの番号2で示される金型へ単一のアセンブリにおいて接続される金属の金型を冷却するシステムの例を全体的に示すものである。都合よく、溶融金属合金は、例えば約700℃の溶融相で使用可能であるアルミニウム合金のような軽量合金である。添付の図の例に示される金型2は、明示された様に、好ましくは低圧のタイプのものであるが、本特許の保護範囲から逸脱することのない、例えば重力タイプ又は圧力ダイカストタイプのような異なるタイプのものであってもよい。金型2は、少なくとも2つの成形された半金型を含み、片方が上部の2Aで、もう片方が下部の2Bであり、溶融された金属材料を含むように適応する成形空間3を共に定めるために、互いに緊密に、密封して封止されるように結合することができる。
【0023】
公知の方法では、金型2はまた、‐半金型と共に‐成形空間3を定めることに貢献する側面の閉止部を提供することができる。都合よく鋼鉄又は鋳鉄でできている金型2は、例えば、下部の半金型2Bの下に中央に配置される垂直供給管4によって、るつぼから始まり、大量の溶融金属又は溶融金属合金が供給される。少なくとも1つの半金型、及び、都合よく2A、2Bの半金型の両方は、都合よく半金型内部で作られる閉じた穴によって得られ、球面キャップとして好ましくは形成される閉止底部を備えた複数の溝5’により形成されたダクト5を備えている。各々の半金型2A、2Bにおいて、以下に示すように、定められた複数のダクト5であってもよい複数のダクト5を定めることができ、それは、以下のように異なる主導管から別々の冷却用担体の流れを異なる時間に受容する余地を有することができる。更に詳細には、冷却システムは、冷却用分散媒の対応した主要な流れを運搬するように適応する少なくとも1つの主導管6を含む。各々のダクト5は、対応した主導管6から冷却用担体の流れを受容する一群の溝又は穴5’によって構成される。そのような冷却用担体は、圧縮空気及び霧状にした水の混合物によって得られる。
【0024】
第1の搬送部S1を有する上記の主導管6は、冷却される半金型2A、2Bの同じ主導管6から拡張されて、そこから生じる複数の第2の導管7に油圧的に接続される。第2の導管7は各々、半金型2A、2Bにおいて作られる対応した溝5’に挿入される余地がある自由端70を備えていて、主導管の第1の搬送部S1より小さい第2の搬送部S2を有する。それゆえに、各々の第2の導管7によって運搬される圧縮空気及び冷却用担体の霧状にされた水の混合物は、第2の導管7の端70を通じて、半金型2A、2Bの溝5’に注入される。そのような溝5’は都合よく閉じた穴5’の形であるので、穴5’の底部に届く混合物は、半金型2A、2Bの外側の表面上の穴5’の開口部500から出るために戻る。同じ主導管6に接続された第2の導管7の両方は、等しい第2の部分S2を有する。主導管6及び第2の導管7は、金型2により伝えられる高温に抵抗しなければならないので、金属材料(例えば鉄又は鋼鉄)でできている。第2の導管7は、それらの自由端70が半金型2A、2Bにおいて作られる溝5’の開口部500に容易に届くことを可能にするために所望の形状になるように曲げることができ、保持手段を用いなくてもそれと関連したままとなる。上記の冷却用担体を作成するために、システムは、少なくとも1つの圧縮空気の気流8を供給する手段、例えば、そこから1つ以上の供給用導管が上記の少なくとも1つの圧縮空気のために逸脱する圧縮器を含む手段;少なくとも1つの水流9を供給する手段、例えば、そこから1つ以上の供給用導管が上記の少なくとも1つの水流のために逸脱する水路を含む手段;及び、水流を水流に混合する手段10を含む。そのような混合手段10は、そこから圧縮空気及び水の対応した流れを受容するために水の導管及び圧縮空気の導管に接続される少なくとも1つの三方向コネクタ11、及び、気流の水流を霧状にして、圧縮空気及び霧状にされた水の上記の冷却用担体を作成するための噴霧化ノズル12を含む。そのような三方向コネクタ11は、対応した主導管6へ供給するものである。
【0025】
上記のように、対応した三方向コネクタ11によって各々供給される複数の主導管6が存在することができ、それによって、それぞれの供給手段8、9の圧縮空気及び水の対応した導管は収束する。本発明の基礎となる考えによると、主導管6は少なくとも1つの閉じた末端部60を備えていて、それによって、上記の第2の導管7のうちの3つ又はそれ以上は、放射状にかつ末梢的に接続される。本発明によると、上記の閉じた末端部60は第2の導管7において、それらの自由端70を通じてそれらを半金型2A、2Bのダクト5の対応した溝5’に注入することによって冷却用分散媒の本質的に等しい二次的な流れを分配するように形成される。主導管6の閉じた末端部60への第2の導管7の連結は、上記の閉じた末端部60における穴であって、全て同じ閉じた末端部60(以下に示される両方の実施態様において)の横断面の外周に分配されて位置している穴のために作成される。換言すれば、全ての第2の導管7は、第2の導管7の空気及び霧状にされた水滴の流れの同一の流入を保証するために、同じ高さで主導管6から逸脱する。上に説明したように、第2の導管7は、主導管6の端の閉鎖壁65に関して同じ高さで主導管6に接続される。
【0026】
上記したように、第2の導管7の自由端70は、半金型2A、2Bにおいて作られる溝5’の開口部500と関連し、上記の自由端70を上記の開口部500に機械的に接続するために適応する保持手段を用いずともここに配置されたままにすることができる。それでもやはり、都合よく、溝5’の開口部500と関連して第2の導管7を堅固に自由端70に保持するように金型2に冷却システムを拘束するために機械的な固定手段が提供される(図示せず)。例えば、そのような固定手段は、金型2に固定するブラケットを提供することができ、その閉じた末端部60の近くに配置される部分を把持する、あるいは直接同じ閉じた末端部60を把持することによって、主導管6を(そのような金型に関して)支持するように適応する。
【0027】
図3の実施態様によると、閉じた末端部60は、単に閉鎖壁65によって終端する主導管6の不変の直径を維持することによって得られる。都合よく、主導管6は、上記の閉じた末端部60で終端し、屈曲部又はコネクタのために主導管6の残りの部分に関して異なる配向を備えている配向部600を含む。そのような配向部600により、関係した半金型2A、2Bと閉じた末端部60のより良好な取り付けが可能になる。主導管上で円周上に接続される第2の導管7は都合よく、閉鎖壁65から近接して(2cm以内に)逸脱する。第2の導管7は、都合よく円周上に等距離的にそのような閉鎖壁65に近接して放射状にかつ末梢的に開始される。そのような目的のため、主導管6の閉じた末端部60は、例えば溶接によって主導管6に固定された対応した第2の導管7と各々連絡する第2の貫通孔64を備えている。
【0028】
図2の実施態様によると、主導管6の外周のために十分な数の第2の導管7と連結が可能でない場合には、2つの対向する横方向の円形の壁61、62、及び、これらの対向する壁61、62を接続するために配置されてそれとともに分散媒の分配室を区切る周囲のコネクタ壁63を備えている特に円筒状の形状を有する拡大された多岐管の本体によって、都合よく閉じた末端部60を得ることができる。更に詳細には、第1の横断壁61は、例えば溶接80によって主導管6に接続され、そのような目的のために、特に、同じ第1の横断壁61に関して中間に配置され、一方で、第2の横断壁62が分配室のための閉鎖キャップとして作用するそのような主導管6と連絡する第1の貫通孔を備えている。
【0029】
周囲の壁63は、(上記の実施態様で示されたものと類似して)複数の第2の貫通孔64を備えていて、各々が、規則的な間隔で都合よく円周上に分配される対応した第2の導管7に接続される。またこの場合、第2の貫通孔64での周囲の壁63への第2の導管7の機械的な連結は、溶接81によって得られる。
【0030】
上記の拡大された多岐管の本体60はそれゆえに、放射状に本体から逸脱する第2の導管7に類似した流れにおいて冷却用担体の最適な分配を可能にするように適応する、本質的に円筒状かつ円盤状の形状を都合よく有する。空気/霧状にされた水の冷却用担体の分配は、第2の導管7の直径に本質的に等しい2つの対向する横方向の円形の壁61、62間の内部の距離に対応する高さを有する拡大された多岐管の本体60の分配室によって改善することが確認された。上記の拡大された多岐管の本体60はそれゆえに、関係した主導管6によって、特に低圧の射出金型2の上部の半金型2Aに中央で面するように都合よく水平に支持される。
【0031】
確かに、そのような金型2は通常、下部の半金型2Bの下で中央に配置される溶融金属のための垂直供給管4を有するので、上記の拡大された多岐管の本体60を上部の半金型の中央に載置することは可能である。そのような上記の拡大された多岐管の本体60は、しかしながら、下部の垂直供給管4の存在のために、下部の半金型2Bに面しかつ中央に載置することができない。
【0032】
この場合、都合よく、主導管6は、共通の供給部6’から少なくとも2つの分岐6A、6Bに分岐し、上記のようにより多い数の第2の導管7の連結を可能にするために、同じ主導管6の最終的な部分、あるいは、拡大された多岐管の本体60によって表すことができる対応した閉じた末端部60をその端でそれぞれが備えている。主導管6の2つの分岐6A、6Bは好ましくは水平に配置され、特に上記の低圧の射出金型2の下部の半金型2Bに面する余地があり、金型の垂直供給管4に対して、直径に沿って対向する位置に配置される。2つ以上の分岐6A、6Bが主導管6から生じているものが用いられている場合には、分岐は、半金型2Bの下部の中央の供給に対して均等に分配された位置において閉じた末端部で配置される。主導管6の分岐6A、6Bは、それらの閉じた末端部60から逸脱する第2の導管7の均等な分配を維持しようするため、例えば湾曲した延長部で金型2の周りを包む。
【0033】
本発明の冷却システム1の重要な特徴によると、金型2を越えた冷却システムの継続が提供されないために、第2の導管7の自由端70から半金型2A、2Bの溝5’に導入された冷却用分散媒の流れは、同じ半金型2A、2Bの溝5’の出口で再び入ることはない。代わりに、冷却用分散媒の環境への直接的な導入が提供されている。各々の冷却用担体の流れと関連した少量の蒸気は、安全性にも環境にもいかなる問題を与えることはない。
【0034】
好ましくは、上記のように、冷却システム1は、複数の主導管6を有する2つの半金型2A、2Bが各々供給され、その閉じた末端部60で複数の第2の導管7を各々担持して、論理制御ユニット(図示せず)によって、例えば特にソレノイドバルブ又は空気式バルブで構成される単一の主導管6の制御手段を駆動することで、金型2の作業サイクルの異なる時間でも単一の主要な流れを制御するように駆動可能である。
【0035】
また、本発明の目的を形成するものは、特にここまで記載のタイプの冷却システム1と同様に金型2を含む金型セットであり、記載の単純性のために、上で使用された同じ参照番号及び名称は、以下に継続される。金型2は、特に溶融金属又は溶融金属合金の低圧の噴流のためのものであり、いずれにせよ、上記のように、すなわち、溶融金属噴流を含むように適応する成形空間を共に定めるように共に連結することができる片方が上部の2Aで、もう片方が下部の2Bであるように形成される、少なくとも2つの半金型2A、2Bを備えている。
【0036】
本発明の基礎となる考えによると、各々の半金型2A、2Bは、複数の内部溝5’によって形成されるダクト5を備えていて、そこで、同じ溝5’中に冷却用分散媒の二次的な流れを注入するために第2の導管7の自由端70が挿入される。加えて、本発明の基礎となる考えによると、冷却用担体の流れのそのような二次的な流れは、溝5’の出口で外側の環境に放出される、すなわち、それらは冷却システム1に再び入ることはない。好ましくは、少なくとも1つの半金型、好ましくは半金型2A、2Bの各々は複数のダクト5を含み、各々が複数の内部溝5’によって形成される。より明確には、各々のダクト5は、穴5’の群で得ることができる。各々のダクト5は、対応した主導管6から冷却用担体の流れを受容して、それを通じてその第2の導管7が、上記のダクト5の単一の溝5’にそれを伝達する。
【0037】
論理制御ユニットは好ましくは、特に制御バルブによって構成される制御手段によって設定あるいはプログラムすることができる作動ステップにより、金型2の作業サイクルの異なる時間での各々の別個の主導管6の差別化した供給を制御する。各々の半金型2A、2Bのダクト5の溝5’は、外側の環境の方への出口で冷却用担体と交差するのと同様に第2の導管7と交差する半金型2A、2Bの外側の表面上で開口部500を備えた閉じた穴によって明示されたように都合よく得られる。そのような目的のため、特に環状の空間700が、第2の導管7の自由端70と半金型2A、2Bの穴5’の開口部500の間に残される(図6を参照のこと)。
【0038】
別途、本発明の好適ではない実施態様によれば、対応したダクト5の溝5’は、出口孔と分離して、第2の導管7の自由端70と関連した入口孔を有することができる。
【0039】
もちろん、その実用的な成果において、冷却システム1及びそのセットはまた、本発明の保護範囲から逸脱することなく上記に説明されたものとは異なる形状及び構成を取ることができる。加えて、全ての詳細は、技術的に同等の要素と置き換えられてもよく、サイズ、形状及び使用される材料は、必要条件に応じていかなるタイプのものであってもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6