特許第6898340号(P6898340)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許68983404−((6−(2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1,1−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)プロピル)ピリジン−3−イル)オキシ)ベンゾニトリル及び調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6898340
(24)【登録日】2021年6月14日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】4−((6−(2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1,1−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)プロピル)ピリジン−3−イル)オキシ)ベンゾニトリル及び調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/06 20060101AFI20210628BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALN20210628BHJP
   A61P 31/10 20060101ALN20210628BHJP
【FI】
   C07D401/06
   !A61K31/4439
   !A61P31/10
【請求項の数】28
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-545131(P2018-545131)
(86)(22)【出願日】2016年11月17日
(65)【公表番号】特表2018-538366(P2018-538366A)
(43)【公表日】2018年12月27日
(86)【国際出願番号】US2016062485
(87)【国際公開番号】WO2017087643
(87)【国際公開日】20170526
【審査請求日】2019年11月8日
(31)【優先権主張番号】62/256,531
(32)【優先日】2015年11月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501035309
【氏名又は名称】コルテバ アグリサイエンス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チャン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・ハオ
(72)【発明者】
【氏名】サラ・ライアン
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・ホワイトカー
【審査官】 二星 陽帥
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/143188(WO,A1)
【文献】 特開平05−009183(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/143192(WO,A1)
【文献】 特開2003−096084(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/150947(WO,A1)
【文献】 特開平02−243673(JP,A)
【文献】 特開平03−072468(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/000826(WO,A1)
【文献】 国際公開第98/032744(WO,A1)
【文献】 米国特許第05710280(US,A)
【文献】 特開平10−158167(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/037534(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/049304(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/007910(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/193974(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 401/06
A61K 31/4439
A61P 31/10
CAplus/REGISTRY/CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
の化合物の製造方法であって、式II:
【化2】
の化合物を、
ハロゲン化トリアルキルスルホキソニウム、及び塩基と接触させて、式IIの前記化合物を中間体(Ia):
【化3】
に変換し、この中間体を単離することなく、次いで1H−1,2,4−トリアゾールを添加して接触させる工程を含む方法。
【請求項2】
前記ハロゲン化トリアルキルスルホキソニウムが、ヨウ化トリメチルスルホキソニウム、臭化トリメチルスルホキソニウム、及び塩化トリメチルスルホキソニウムのうち一つである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記塩基が、金属炭酸塩、金属アルコキシド、及び金属重炭酸塩を含む群から選択できる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記塩基が、炭酸カリウムまたはナトリウムtert−ブトキシドである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、スルホラン、テトラヒドロフラン(THF)、水、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、及びこれらの混合物を含む群から選択される溶媒をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
THF、水、DMSO、及びこれらの混合物を含む群から選択される溶媒をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記接触が、−20℃から100℃で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記接触が、20℃から80℃で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
式III:
【化4】
の化合物を、
1−ブロモ−2,4−ジフルオロベンゼンと金属または有機金属試薬とを混合することにより形成される混合物、及び酸と接触させて、式IIの化合物を調製する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、トルエン、ジオキサン、メチルt−ブチルエーテル、及びこれらの混合物を含む群から選択される非プロトン性溶媒をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記金属がマグネシウムであり、前記有機金属試薬がアルキルリチウムまたはハロゲン化アルキルマグネシウムである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記アルキルリチウムがn−ブチルリチウムであり、前記ハロゲン化アルキルマグネシウムが塩化イソプロピルマグネシウムである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記接触が、−80℃から50℃の間で実施される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記酸が、HCl、HBr、H2SO4、H3PO4、HNO3、酢酸、及びトリフルオロ酢酸を含む群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
式IV:
【化5】
の化合物を、エチル2−ブロモ−2,2−ジフルオロアセテート及び金属と接触させて、式IIIの化合物を調製する工程をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記金属が銅である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
DMSO、DMF、THF、NMP、およびこれらの混合物を含む群から選択される溶媒をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記接触が、20℃と100℃との間で実施される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
式V:
【化6】
の化合物を、4−フルオロベンゾニトリルまたは4−ニトロベンゾニトリル、および塩基と接触させて、式IVの化合物を調製する工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記塩基が、炭酸セシウムおよび炭酸カリウムから選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
式Vの化合物を、4−フルオロベンゾニトリルまたは4−ニトロベンゾニトリル、および塩基と接触させる前記工程が、さらに溶媒を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記溶媒が、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、およびこれらの混合物を含む群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
式Vの化合物を4−フルオロベンゾニトリルまたは4−ニトロベンゾニトリルおよび塩基と接触させる前記工程を、20℃と120℃の間で実施する、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
式VI:
【化7】
の化合物を、マグネシウム−ハロゲン交換試薬、ホウ酸エステル、および酸化剤と接触させて、式Vの化合物を調製する工程をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記マグネシウム−ハロゲン交換試薬が、塩化イソ−プロピルマグネシウムである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ホウ酸エステルが、B(OMe)3、B(OEt)3およびB(Oi−Pr)3を含む群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記酸化剤が、過酸化水素、過酢酸、および過酸化水素と酢酸との混合物を含む群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
THF、2−メチルテトラヒドロフラン、メチルt−ブチルエーテル、ジオキサン、およびこれらの混合物を含む群から選択される溶媒をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、参照によりその全体を本明細書中に援用することとする、2015年11月17日に出願された米国仮出願第62/256,531号に対する優先権を主張する。
【0002】
本明細書に提供されるのは、4-((6-(2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシ-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリルおよび調製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
米国特許出願第13/527,387号、同第13/527,426号、および同第13/528,283号には、とりわけ所定の金属酵素阻害剤化合物および殺菌剤としてのこれらの使用が記載されている。各出願の開示は、参照により明示的に本明細書中に組み込まれる。これらの特許出願の各々は、金属酵素阻害性殺菌剤を生成するための様々な経路を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願第13/527,387号
【特許文献2】米国特許出願第13/527,426号
【特許文献3】米国特許出願第13/528,283号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、改善された時間およびコスト効率を提供する試薬および/または化学中間体の使用によって、金属酵素阻害性殺真菌剤および関連化合物の製造のための、より直接的かつ効率的な方法を提供することは有益であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に提供されるのは、化合物4-((6-(2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシ-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(I)およびその調製方法である。一実施形態では、本明細書中に提供されるのは、式I:
【化1】
の化合物の調製方法であって、式II:
【化2】
の化合物を、ハロゲン化トリアルキルスルホキソニウム、塩基、及び1H-1,2,4-トリアゾールと接触させる工程を含む方法である。
【0007】
別の実施態様では、式IIの化合物は、式III:
【化3】
の化合物を、1-ブロモ-2,4-ジフルオロベンゼンと金属または有機金属試薬とを混合することにより形成される混合物、及び酸と接触させることによって、調製しうる。
【0008】
別の実施態様では、式IIIの化合物は、式IV:
【化4】
の化合物を、エチル2-ブロモ-2,2-ジフルオロアセテート及び金属と接触させることによって、調製しうる。
【0009】
別の実施態様では、式IVの化合物は、式V:
【化5】
の化合物を、4-フルオロベンゾニトリルまたは4-ニトロベンゾニトリル、および塩基と接触させることによって、調製しうる。
【0010】
別の実施態様では、式Vの化合物は、式VI:
【化8】
の化合物を、マグネシウム−ハロゲン交換試薬、ホウ酸エステル、および酸化剤と接触させることによって、調製しうる。
【0011】
「ヒドロキシル」なる用語は、-OH置換基を指す。
「ハロゲン」または「ハロ」なる用語は、F、Cl、BrおよびIとして定義される1つ以上のハロゲン原子を指す。
「有機金属」なる用語は、金属を含む有機化合物、特に、金属原子が炭素原子に直接結合している化合物を指す。
室温(RT)は、本明細書中では約20℃から約25℃と定義される。
【0012】
本明細書全体を通じて、式Iの化合物への言及は、光学異性体および塩もまた含むものと解釈される。具体的には、式Iの化合物がキラル炭素を含む場合、こうした化合物は、その光学異性体およびラセミ体を含むと理解される。例示的な塩には、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩などが含まれる。
【0013】
本明細書に開示される所定の化合物は、1つ以上の異性体として存在しうる。ある異性体が他の異性体よりも活性であってよいことは、当業者には理解されるであろう。本明細書に開示される構造は、明示のために1つの幾何学的形態でのみ描示されているが、当該分子のすべての幾何および互変異性形態を表すことが意図されている。
【0014】
以上に説明される実施形態は単に例示的なものであって、当業者は、通常の実験を用いるのみで、特定の方法、材料および手順の多数の均等物を認識し、または確認することができるであろう。こうした均等物はすべて、本発明の範囲内であるとみなされ、添付の特許請求の範囲によって包含される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここに、4-((6-(2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシ-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(I)が提供され、実施例1から5に示されるように、2,5-ジブロモピリジン(VI)から調製することができる。
【化7】
【実施例】
【0016】
(実施例1:6-ブロモピリジン-3-オール(V)の調製)
【化8】
【0017】
メカニカルスターラー、熱電対、および窒素注入口を備えた250mLの3つ口フラスコ中、窒素下にて、2,5-ジブロモピリジン(VI)(9.98g、42.1mmol)を53mLの無水THFに溶解させた。淡黄褐色の溶液が生成した。エーテル(23mL)中のi-PrMgClの2M溶液を、シリンジを介して3分間かけて添加した。このグリニャール溶液の約50%が添加された時点で、褐色懸濁液が形成された。i-PrMgClの添加により、36℃の発熱が引き起こされた。90分間に亘る撹拌の後、懸濁液を2℃に冷却し、純粋なホウ酸トリメチル(B(OMe)3)をシリンジで迅速に添加した。反応物が6℃に発熱し、氷浴は除去した。一晩撹拌した後に氷酢酸(3.79g)を加えたところ、全ての固体が溶解し、暗褐色の溶液が生成した。溶液を氷浴で冷却し、30%過酸化水素(酸化剤)5.25gを、反応温度が12℃を超えないように維持される速度で滴下した。反応混合物を90分間撹拌し、次いでジエチルエーテル(150mL)および水(100mL)を添加した。水性層を分離し、エーテルで抽出した(2×100mL)。合わせた有機層を100mLの10%重亜硫酸ナトリウム溶液で洗浄し、次いでブラインで洗浄した。抽出物を乾燥させ(MgSO4)、ロータリーエバポレーターで蒸発させて褐色油状物を得たが、これを静置したところ黄褐色固体を形成した(7.95g)。粗製生成物をCelite(登録商標)15gに吸着させ、220gのシリカカラムおよびヘキサン/EtOAc勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。フラクションを蒸発させて4.81gのオフホワイトの固体を得た(収率66%)。NMRスペクトルは、6-ブロモ-3-ピリジノールの基準試料のものと同一であった。1H NMR (DMSO-d6, 400 mHz) δ 10.24 (s, 1H), 7.94 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 7.42 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.17 (dd, J = 3.0, 8.6 Hz, 1H); 13C NMR (DMSO-d6, 101 MHz) δ 153.74, 138.13, 129.30, 128.14, 126.21.
【0018】
実施例1に例示される方法は、追加のグリニャール試薬、例えば、EtMgX、MeMgX、i−PrMgX、n−BuMgX、またはPhMgX(XはClまたはBrである)を用いて実施することができる。記載の方法はまた、グリニャール試薬、例えばn−BuMgXを用い、金属ハロゲン交換試薬、例えばn−BuLiの存在下で実施することができる。記載された方法はまた、別のホウ酸エステル、例えばB(OEt)3またはB(Oi−Pr)3を用いて実施することもできる。この方法において使用する溶媒は、THF、2−MeTHF、MTBE、およびジオキサンから選択されるものを含んでよい。
【0019】
実施例1に例示される方法で使用される酸化剤は、過酸化水素、過酢酸、および過酸化水素と酢酸との混合物を含む群から選択することができる。
【0020】
(実施例2:4-((6-ブロモピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(IV)の調製)
【化9】
【0021】
方法A:250mLのフラスコに、6-ブロモピリジン-3-オール(V)(10g、57.5mmol)、4-フルオロベンゾニトリル(8.35g、69.0mmol)、炭酸カリウム(15.89g、115mmol)、およびDMF(50mL)を仕込んだ。反応物を90℃で20時間加熱したところ、この時点でHPLC分析は反応が完了したことを示した。反応混合物を20℃まで放冷し、次いでさらに0℃にまで冷却した。内部温度を15℃未満に維持しつつ(水の添加中に発熱)、水(150mL)を添加した。得られた懸濁液を20℃で1時間撹拌し、濾過した。濾過ケークを水ですすぎ(2×25mL)、白色固体を得た。固体を95%エタノール(65mL)中に懸濁させ、75℃に加熱して透明な溶液を得た。1時間かけて20℃に放冷し、得られた白色懸濁液を20℃で2時間撹拌した。懸濁液を濾過し、この固体を95%エタノールですすいだ(2×10mL)。この固体を真空下で乾燥させて、所望の生成物を白色固体として得た(13.2g、収率83%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.22 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 7.73 - 7.63 (m, 2H), 7.53 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.33 - 7.23 (m, 1H), 7.14 - 7.00 (m, 2H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 160.13, 151.47, 142.54, 136.81, 134.47, 130.10, 129.12, 118.33, 118.23, 107.56; ESIMS: m/z 277.1 ([M+H]+).
【0022】
方法B:250mLの丸底フラスコに、6-ブロモピリジン-3-オール(V)(10g、57.5mmol)、4-ニトロベンゾニトリル(8.94g、60.3mmol)、炭酸カリウム(15.9g、114.9mmol)、およびDMF(30mL)を仕込んだ。反応物を90℃で18時間加熱したところ、その時点でのHPLC分析は反応の完了を示した。反応物を20℃に放冷し、50℃未満にて水(90mL)で希釈した。得られた懸濁液を1時間撹拌し、濾過した。濾過ケークを水ですすぎ(2×50mL)、オフホワイトの固体を得た。得られた固体をEtOH(40mL)中に懸濁させ、75℃に加熱して透明な溶液を得た。2時間かけて20℃まで放冷し、この温度で1時間撹拌した。得られた懸濁液を濾過し、濾過ケークをEtOHですすいだ(2×10mL)。濾過ケークを乾燥させ、所望の生成物を白色固体として得た(12.9g、収率82%);mp: 116〜119 °C. 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.22 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 7.67 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.53 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.29 (dd, J = 8.7, 2.9 Hz, 1H), 7.07 (d, J = 8.8 Hz, 2H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 160.13, 151.47, 142.55, 136.81, 134.48, 130.13, 129.13, 118.34, 107.55. ESIMS: m/z 277.0 ([M+H]+)。
【0023】
実施例2に例示される方法は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルホルムアミド(DMF)、およびN-メチル-2-ピロリドン(NMP)のうちの1つ以上から選択される溶媒中で実施することができる。この方法で使用される塩基は、炭酸カリウムおよび炭酸セシウムなどの金属炭酸塩、NaHなどの金属水素化物、NaOHおよびKOHなどの金属水酸化物、および金属重炭酸塩を含み得る。
【0024】
実施例2に例示される方法は、ほぼ室温から約120℃で実施することができる。
【0025】
(実施例3:エチル2-(5-(4-シアノフェノキシ)ピリジン-2-イル)-2,2-ジフルオロアセテート(III)の調製)
【化10】
【0026】
方法A:エチル2-ブロモ-2,2-ジフルオロアセテート(12.27mL、94mmol)及び銅粉末(14から25μm、9.60g、151mmol)を、4-((6-ブロモピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(IV)(20g、72.0mmol)のDMF(140mL)中の溶液に、窒素下で加えた。得られた褐色懸濁液を、窒素下にて60℃で18時間加熱したところ、この時点でのHPLC分析は反応が完了したことを示した。混合物を20℃に冷却し、MTBE(280mL)を添加した。得られた混合物を10分間撹拌し、Celite(登録商標)パッドで濾過した。Celite(登録商標)パッドをMTBEですすいだ(2×140mL)。濾液を飽和NH4Cl(200mL)、ブライン(3×140mL)、および水(2×140mL)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過して濃縮し、粗製生成物を、次の工程で直接使用するために十分な純度の淡褐色油状物(21g、92%)として得た。この粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(10から20%EtOAc/ヘキサン)によりさらに精製して、所望の生成物を白色固体として得た(16g、収率70%);mp 45〜48 °C. 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.44 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.79 (dd, J = 8.6, 0.7 Hz, 1H), 7.73 - 7.66 (m, 2H), 7.49 (dd, J = 8.6, 2.7 Hz, 1H), 7.14 - 7.08 (m, 2H), 4.40 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 1.36 (t, J = 7.1 Hz, 3H); ESIMS m/z 319.1 ([M+H]+)。
【0027】
方法B:15Lのジャケット付き反応器に、4-((6-ブロモピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(IV)(900g、3173mmol)、エチル2-ブロモ-2,2-ジフルオロアセテート(541mL、4125mmol)、銅(423g、6664mmol)、およびDMSO(4500mL)を窒素下で添加して、褐色の懸濁液を得た。反応物を40℃で8時間加熱したところ、その時点でHPLC分析は反応の完了を示した。これを20℃に放冷し、MTBE(4000mL)を加えた。混合物を30分間撹拌し、Celite(登録商標)パッドで濾過した。フィルターパッドをMTBEですすぎ(2×1000mL)、合わせた濾液をブラインですすいだ(3×2000mL)。第1の水性層をMTBE(2×1000mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和NH4Cl溶液(2×2000mL)およびブライン(3×2000mL)で洗浄し、濃縮して所望の生成物を褐色油状物として得た(1030g、収率96%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.44 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.79 (dd, J = 8.6, 0.7 Hz, 1H), 7.73 - 7.66 (m, 2H), 7.49 (dd, J = 8.6, 2.7 Hz, 1H), 7.14 - 7.08 (m, 2H), 4.40 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 1.36 (t, J = 7.1 Hz, 3H).
【0028】
実施例3に例示される方法は、DMSO、DMF、THF、およびNMPの1つまたは複数から選択される溶媒中で、銅などの金属を用いて実施することができる。
実施例3に例示される方法は、ほぼ室温から約100℃で実施することができる。
【0029】
(実施例4:4-((6-(2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,1-ジフルオロ-2-オキソエチル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(II)の調製)
【化11】
【0030】
方法A:THF(250mL)中のMgターニング(3.47g、143mmol)の懸濁液を窒素下で35℃に加熱した。1-ブロモ-2,4-ジフルオロベンゼン(1mL、8.85mmol)の一部を反応器に加え、得られた混合物を35℃で30分間加熱して反応を開始させた。反応混合物を30℃に冷却し、残りの1-ブロモ-2,4-ジフルオロベンゼン(16.4mL、145.15mmol)を28℃から32℃で30分間かけて反応器に加えた。反応物を30℃で2時間撹拌したところ、この時点でMgの完全な消費が観察された。反応物を0℃未満に冷却し、エチル2-(5-(4-シアノフェノキシ)ピリジン-2-イル)-2,2-ジフルオロアセテート(III)(35g、110mmol)のTHF(100mL)中の溶液を5℃未満で30分かけて添加した。反応物を0℃で1時間撹拌し、10℃未満で2NのHCl溶液(150mL)中にクエンチした(pH=1から2)。反応物を20℃で18時間撹拌し、この時点でのHPLC分析は、依然として約10%のヘミケタール中間体(IIa)が残っていることを示した。これを30℃でさらに5時間攪拌し、この時点でのHPLC分析は、ヘミケタール(IIa)中間体が完全に消費されたことを示した。層を分離し、水性層をEtOAc(100mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO3水溶液(100mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して淡黄褐色固体(45.6g)を得た。固体を60℃にてEtOAc(60mL)に溶解させ、ヘプタン(100mL)を加えた。混合物を播種し、20℃にて18時間撹拌して懸濁液を得た。懸濁液を濾過し、固体を乾燥させて、所望の生成物を白色固体(25.5g)として得た。濾液を濃縮し、MTBE(50mL)およびヘプタン(100mL)から再結晶させて、乾燥後に淡褐色の固体(14.1g)を得た。合計の収率は90%であった。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.37 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.08 (td, J = 8.4, 6.4 Hz, 1H), 7.87 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.75 - 7.66 (m, 2H), 7.54 (dd, J = 8.6, 2.8 Hz, 1H), 7.17 - 7.08 (m, 2H), 7.01 (dddd, J = 8.6, 7.6, 2.5, 0.9 Hz, 1H), 6.84 (ddd, J = 11.0, 8.6, 2.4 Hz, 1H); ESIMS m/z 387.0 ([M+H]+).
【0031】
方法B:THF(6000mL)中のMgターニング(107g、4.3mol)の懸濁液を窒素下で35℃に加熱した。1-ブロモ-2,4-ジフルオロベンゼン(32mL、0.28mol)の一部を35℃で反応器に加え、得られた混合物を35℃で30分間加熱して反応を開始させた。反応混合物を15℃に冷却し、残りの1-ブロモ-2,4-ジフルオロベンゼン(500mL、4.45mol)を80分間かけて15から20℃で反応器に加えた。反応物を20℃で1時間撹拌し、-20℃に冷却した。エチル2-(5-(4-シアノフェノキシ)ピリジン-2-イル)-2,2-ジフルオロアセテート(III)(1052g、3.07mol)のTHF(100mL)中の溶液を-5℃未満で40分間かけて加えた。容器および添加漏斗をTHF(200mL)ですすぎ、すすぎ溶剤を反応物に添加した。反応物を-20℃で2時間撹拌し、10℃未満で4NのHCl溶液(1500mL)中にクエンチした。反応物が20℃に温まるに任せ、16時間撹拌したところ、この時点でのHPLC分析は反応が完了したことを示した。層を分離し、水性層をMTBEで抽出した(3×400mL)。合わせた有機層を飽和NaHCO3溶液(2×1000mL)、ブライン(2×1000mL)、および水(1000mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ、濾過し、濃縮して、褐色固体(1264g)を得た。得られた固体を3:1のヘプタン/MTBE(1000mL)中に懸濁させ、60℃で1時間加熱した。得られた懸濁液を周囲温度に冷却し、濾過した。固体を3:1のヘプタン/MTBE(1000mL)中に懸濁させ、60℃で1時間加熱した。得られた懸濁液を周囲温度に冷却し、濾過して、所望の生成物を、乾燥後の黄褐色固体として得た(1080g、収率86%)。単離された生成物の分析は、従前に得られた試料のものと一致していた。
【0032】
実施例4に例示される方法(方法AおよびB)は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,2-ジメトキシエタン(DME)、トルエン、ジオキサン、およびメチルt-ブチルエーテル(MTBE)の1つ以上から選択される非プロトン性溶媒である溶媒中で実施することができる。
【0033】
実施例4に例示される方法(方法AおよびB)は、アリールグリニャール、または2,4-ジフルオロ-1-ブロモベンゼンとマグネシウムの1つとの反応によって形成されるアリールリチウム試薬、n-ブチルリチウムなどのアルキルリチウム試薬、または塩化イソプロピルマグネシウムなどのグリニャール試薬のいずれかである有機金属試薬を用いて実施することができる。
【0034】
実施例4に例示される方法(方法AおよびB)は、約-80℃から約50℃の間で実施することができる。
【0035】
式IIaのヘミケタールは、所定の反応条件下で式IIの化合物を調製する方法(例えば、方法C参照)において、中間体として単離することができる。式IIaのヘミケタールへの酸の添加(例えば、方法D参照)またはその高温での加熱(例えば、方法E参照)により、式IIの所望の生成物への変換がもたらされる。
【0036】
実施例4に例示された方法(方法AからD)での使用に適した酸は、HCl、HBr、H2SO4、H3PO4、HNO3、酢酸、トリフルオロ酢酸、およびこれらの混合物を含み得る。
【0037】
方法C:4-((6-(2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-エトキシ-1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシエチル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(IIa)の調製
【化12】
【0038】
THF(25mL)中のMgターニング(0.458g、18.85mmol)の懸濁液を窒素下で35℃に加熱した。1-ブロモ-2,4-ジフルオロベンゼンの一部(0.25mL、2.99mmol)を反応器に加え、得られた混合物を35℃で30分間加熱して反応を開始させた。反応混合物を30℃に冷却し、残りの1-ブロモ-2,4-ジフルオロベンゼン(1.46mL、17.43mmol)を35℃未満で反応器に添加した。反応物を30℃で2時間撹拌したところ、この時点でMgの完全な消費が観察された。反応物を0℃未満に冷却し、THF(25ml)中のエチル2-(5-(4-シアノフェノキシ)ピリジン-2-イル)-2,2-ジフルオロアセテート(II)(5.0g、15.71mmol)の溶液を、5℃未満で添加した。反応物を0℃で1時間撹拌し、10℃未満で2NのHCl溶液(24mL)中にクエンチした。反応混合物を水(30mL)で希釈し、EtOAc(50mL)で抽出した。有機層を濃縮して半固体を得た。粗製生成物を加熱しながらEtOAc(5mL)に溶解させ、ヘプタン(40mL)を15分間かけて添加して黄色懸濁液を得た。混合物を20℃で1時間撹拌し、濾過した。固形物をヘプタン(2×10mL)ですすぎ、風乾させて所望の生成物を黄色固体として得た(5.1g、収率75%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.43 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.89 - 7.77 (m, 2H), 7.75 - 7.67 (m, 2H), 7.59 - 7.49 (m, 1H), 7.25 (s, 1H), 7.17 - 7.10 (m, 2H), 6.95 (tdd, J = 8.7, 2.6, 0.9 Hz, 1H), 6.85 (ddd, J = 11.4, 8.9, 2.6 Hz, 1H), 3.66 (dq, J = 9.6, 7.1 Hz, 1H), 3.33 (dq, J = 9.6, 7.0 Hz, 1H), 1.04 (t, J = 7.1 Hz, 3H); ESIMS m/z 433.1 ([M+H]+).
【0039】
方法D:4-((6-(2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,1-ジフルオロ-2-オキソエチル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(II)の調製
【化13】
【0040】
4-((6-(2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-エトキシ-1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシエチル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(IIa)(200mg、0.463mmol)の試料を2NのHCl(1mL)およびTHF(2mL)に溶解させ、20℃で18時間撹拌した。これをNaHCO3でpH6から7に中和し、EtOAcで抽出した。有機層を濃縮乾固させて、所望の生成物を黄色油状物として得た。単離された生成物の分析データは、従前に得られた試料のものと一致していた。
【0041】
方法E:4-((6-(2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,1-ジフルオロ-2-オキソエチル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(I)の調製
【化14】
【0042】
4-((6-(2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-エトキシ-1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシエチル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(IIa)の試料(8.8g、20.35mmol)を、トルエン(30mL)中に懸濁させ、105℃で8時間に亘り加熱した。これを20℃に冷却し、減圧下で濃縮して黄色油状物を得た。残渣をEtOAc(8mL)に溶解させ、ヘプタン(64mL)を加えた。混合物を2時間撹拌し、濾過した。濾過ケークをヘプタンですすぎ(2×20mL)、乾燥させて淡黄色固体を得た(5.8g、収率74%)。単離された生成物(II)の分析データは、従前に得られた試料のものと一致していた。
【0043】
(実施例5:4-((6-(2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシ-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(I)の調製
【化15】
【0044】
方法A:炭酸カリウム(32.6g、236mmol)を、5℃未満にてNMP(190mL)中のヨウ化トリメチルスルホキソニウム
(26.5g、118mmol)の懸濁液中に仕込み、反応物を20℃で2時間撹拌して白色懸濁液を得た。4-((6-(2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,1-ジフルオロ-2-オキソエチル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(II)(38g、94mmol)を一度に加え、反応物をN2下で35℃にて18時間撹拌したところ、この時点でのHPLC分析は、出発物質がエポキシド中間体(Ia)に完全に変換されたことを示した。1H-1,2,4-トリアゾール(8.56g、123mmol)を添加し、反応物を60℃で18時間撹拌したところ、この時点でのHPLC分析からは、約10%のエポキシド中間体(Ia)が残っていることが示された。反応物を80℃でさらに1時間撹拌したところ、この時点でのHPLC分析は反応の完了を示した。混合物を20℃に放冷し、氷水(1200mL)中に注いだ。得られた懸濁液を濾過し、固体をDCM(1200mL)に溶解させた。溶液をブライン(2×300mL)で洗浄し、有機層を約200mLまで濃縮した。得られた溶液を、カラムクロマトグラフィー(シリカ750g)により、溶離液としてEtOAc/ヘキサンを用いて精製し、所望の生成物を淡黄色泡沫として得た(39.2g、収率85%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.36 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.15 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 7.74 (s, 1H), 7.73 - 7.67 (m, 2H), 7.58 (dd, J = 8.7, 0.6 Hz, 1H), 7.51 - 7.44 (m, 1H), 7.42 (dd, J = 8.7, 2.8 Hz, 1H), 7.15 - 7.03 (m, 2H), 6.81 - 6.68 (m, 2H), 6.27 (s, 1H), 5.40 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 4.93 - 4.82 (m, 1H); ESIMS m/z 470.0 ([M+H]+).
【0045】
方法B:100mLの3つ口丸底フラスコに、ヨウ化トリメチルスルホキソニウム(0.356g、1.618mmol)およびNMP(5mL)を仕込んだ。NaOt-Bu(0.143g、1.488mmol)を25℃未満で添加し、反応物を20℃で1時間撹拌した。反応物を-15℃未満に冷却し、4-((6-(2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,1-ジフルオロ-2-オキソエチル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(II)(0.5g、1.294mmol)を添加した。反応物を-10℃未満で1時間撹拌し、その後のHPLC分析は、出発物質がエポキシド中間体(Ia)に完全に変換されたことを示した。1H-1,2,4-トリアゾール(0.103g、1.488mmol)およびNaOt-Bu(0.143g、1.488mmol)を加え、反応物を40℃で6時間加熱した。反応物を20℃に冷却し、水(20mL)を添加した。混合物をEtOAc(2×20mL)で抽出した。有機物を濃縮乾固させ、カラムクロマトグラフィー(シリカ40g、5カラム体積に亘って0から60%EtOAc/ヘキサン、5体積を保持)により精製した。純粋な生成物を含有するフラクションを濃縮して、無色油状物を得た(400mg、収率66%)。分析データは、従前に得られた試料のものと一致していた。
【0046】
方法C:100mLの3つ口丸底フラスコに、臭化トリメチルスルホキソニウム(0.560g、3.24mmol)およびNMP(5mL)を仕込んだ。K2CO3(1.073g、7.77mmol)を25℃未満で添加し、反応物を20℃で1時間撹拌した。4-((6-(2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,1-ジフルオロ-2-オキソエチル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(II)(1.0g、2.59mmol)を添加し、反応物を20℃で18時間撹拌した後、HPLC分析は反応が不完全であることを示した。これをさらに35℃で4時間攪拌した後には、HPLC分析は出発物質が消費されたことを示した。1H-1,2,4-トリアゾール(0.215,3.11mmol)を添加し、反応物を20℃で18時間撹拌し、この時点でのHPLC分析は反応が不完全であることを示した。さらに35℃で4時間加熱し、20℃に冷却した。水(20mL)を加えて、反応混合物を30分間撹拌し、ゴム状沈殿物を得て、これを溶媒をデカントすることにより単離した。粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ40g、10分間に亘って0から50%EtOAc/ヘキサン、15分間保持)で精製した。純粋な生成物を含むフラクションを濃縮して白色泡沫を得た(0.89g、収率73%)。分析データは、従前に得られた試料のものと一致していた。
【0047】
方法D:100mLの3つ口丸底フラスコに塩化トリメチルスルホキソニウム(0.832g、6.48mmol)およびNMP(10mL)を仕込んだ。K2CO3(2.146g、15.554mmol)を25℃未満で添加し、反応物を20℃で1時間撹拌した。4-((6-(2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,1-ジフルオロ-2-オキソエチル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(II)(2.0g、5.18mmol)を加え、反応物を20℃で18時間撹拌した後のHPLC分析により、出発物質が完全に消費されたことが示された。1H-1,2,4-トリアゾール(0.43g、6.11mmol)を添加し、反応物を20℃で18時間撹拌し、この時点でのHPLC分析は反応が完了したことを示した。水(25mL)を加え、反応混合物を30分間撹拌してゴム状沈殿物を得て、これを溶媒をデカントすることにより単離した。粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ80g、10分間に亘って0から50%EtOAc/ヘキサン、15分間保持)で精製した。純粋な生成物を含むフラクションを濃縮して白色泡沫を得た(1.5g、収率62%)。分析データは、従前に得られた試料のものと一致していた。
【0048】
方法E:ジャケットを25℃に設定した250mLのジャケット付き反応器に、臭化トリメチルスルホキソニウム(6.16g、35.6mmol)、炭酸カリウム(11.18g、81mmol)、およびDMSO(37.5mL)を加えた。スラリーを30分間撹拌した後、4-((6-(2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,1-ジフルオロ-2-オキソエチル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(II)(12.5g、32.4mmol)を添加し、ジャケットを55℃に加熱した。1時間後、1H-1,2,4-トリアゾール(2.458g、35.6mmol)を加え、混合物を55℃で5時間撹拌した。ジャケットを25℃に下げて、125mLのMTBEを反応物に加えた後、125mLの水を添加した。混合物を30分間激しく撹拌した後、静置した。水性層を除去し、125mLの水を有機層に加え、2つを15分間混合した。25mLのMTBEおよび10mLの飽和ブラインを加え、層を2分間混合した後に、沈降させた。水性層を反応器から取り出した。反応器に蒸留ヘッドを取り付け、ジャケットを65℃に設定した。82gの溶媒を常圧塔頂蒸留し(atmospherically distilled overhead)(約115mL)、次いでメタノール(53g、約70mL)を添加した。塔頂温度が65℃になるまで蒸留を続け、合計130gの溶媒を塔頂蒸留した(約110gのMTBEおよび約20gのMeOH;33gのメタノールが反応器中に残留)。ジャケットを60℃に冷却し、水(3.4g)を滴下した。次いで、混合物に化合物Iを播種した。追加の水(3.2g)をゆっくり加えて、より多くの固体を沈殿させた。スラリーを4時間かけて20℃に冷却した。20℃で1時間撹拌した後、固体をろ過により単離し、反応容器を母液で洗浄して固形物を除去した。この固形物を、2:1のメタノール/水(w/w)で洗浄した(2×10mL)。固形物を空気乾燥させて恒量とし、4-((6-(2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシ-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(I)(10.08g、20.40mmol、収率63.0%)を黄褐色固体として得た。分析データは、従前に得られた試料のものと一致していた。
【0049】
方法F:25℃に設定した250mLのジャケット付き反応器に、臭化トリメチルスルホキソニウム(6.16g、35.6mmol)、炭酸カリウム(11.18g、81mmol)、THF(62.6mL)および水(12.51mL)を加えた。このスラリーを25℃で15分間撹拌し、次いで4-((6-(2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,1-ジフルオロ-2-オキソエチル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(II)(12.5g、32.4mmol)を加え、混合物を60℃で一晩撹拌した。ジャケットを25℃に冷却し、水(37.5mL)を加え、層を5分間混合した。水性層を反応器から取り出した。有機層を85℃のジャケットで常圧蒸留した。40mLを塔頂蒸留した後、37.5mLのDMSOを添加した。蒸留を継続したところ、溶媒がさらに5mLのみ塔頂から得られた。ジャケットを55℃に冷却したところ、反応混合物中に約20mLのTHFが残った。炭酸カリウム(11.18g、81mmol)、続いて1H-1,2,4-トリアゾール(2.458g、35.6mmol)を添加した。反応物を55℃で5時間攪拌し、次いでMTBE(125mL)および水(125mL)を加え、15分間混合した。層を分離した。有機層を水125mLおよびブライン20mLの混合物で洗浄した。ジャケット付き反応器に残った有機層を常圧蒸留した。67gの溶媒を塔頂蒸留した後、55.7gのメタノールを加え、さらに47gの溶媒が塔頂から得られるまで蒸留を続けた。暗褐色の溶液を60℃に冷却し、次に水3.02gをゆっくり加え、混合物に播種した。追加の8.5gの水を添加して約3:1のメタノール/水(w/w)を得た。混合物を2時間かけて20℃に冷却し、スラリーを20℃で一晩保持した。形成された固形物を濾過により単離し、反応器を母液で洗浄した。固形物を3:1のメタノール/水(w/w)(20g)で洗浄し、空気乾燥して恒量とし、4-((6-(2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシ-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(I)(11.62g、24.76mmol、収率77%)を黄褐色固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ8.47 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.36 (s, 1H), 7.99 - 7.89 (m, 2H), 7.71 (s, 1H), 7.69 (dd, J = 8.7, 2.8 Hz, 1H), 7.51 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.30 - 7.19 (m, 3H), 7.13 (ddd, J = 12.0, 9.2, 2.6 Hz, 1H), 7.05 (s, 1H), 6.88 (td, J = 8.5, 2.6 Hz, 1H), 5.35 (d, J = 14.6 Hz, 1H), 4.83 (d, J = 14.6 Hz, 1H). 19F NMR (376 MHz, DMSO-d6) δ-102.83 (td, J = 22.5, 21.9, 9.2 Hz), -107.66 (dd, J = 21.7, 13.5 Hz), -110.46 (d, J = 9.4 Hz). ESIMS m/z 470.2 [(M+H)+].
【0050】
実施例5に例示される方法は、約-20℃から約100℃、または約20℃から約80℃の範囲の温度で実施することができる。
【0051】
実施例5に例示される方法で使用してよい溶媒は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、スルホラン、水、およびN-メチル-2-ピロリドン(NMP)のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0052】
実施例5に例示される方法で使用してよい塩基は、金属炭酸塩、例えば炭酸カリウムおよび炭酸ナトリウム、金属アルコキシド、例えばカリウムtert-ブトキシド、あるいは金属重炭酸塩、例えば重炭酸ナトリウムおよびカリウムを含むことができる。