特許第6898413号(P6898413)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6898413接続体の製造方法、異方性接合フィルム、接続体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6898413
(24)【登録日】2021年6月14日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】接続体の製造方法、異方性接合フィルム、接続体
(51)【国際特許分類】
   H01R 11/01 20060101AFI20210628BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20210628BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20210628BHJP
   H05K 3/32 20060101ALI20210628BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20210628BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20210628BHJP
   B23K 35/26 20060101ALN20210628BHJP
   C22C 12/00 20060101ALN20210628BHJP
【FI】
   H01R11/01 501C
   H01R43/00 B
   H01L21/60 311Q
   H05K3/32 B
   H01B1/22 D
   H01L33/62
   !B23K35/26 310C
   !C22C12/00
【請求項の数】20
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2019-194479(P2019-194479)
(22)【出願日】2019年10月25日
(65)【公開番号】特開2020-77870(P2020-77870A)
(43)【公開日】2020年5月21日
【審査請求日】2021年3月11日
(31)【優先権主張番号】特願2018-206058(P2018-206058)
(32)【優先日】2018年10月31日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113424
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 信博
(74)【代理人】
【識別番号】100185845
【弁理士】
【氏名又は名称】穂谷野 聡
(72)【発明者】
【氏名】石松 朋之
(72)【発明者】
【氏名】阿部 智幸
(72)【発明者】
【氏名】青木 正治
【審査官】 高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−140366(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/020764(WO,A1)
【文献】 特開2007−157820(JP,A)
【文献】 特開2007−232627(JP,A)
【文献】 特開2011−231146(JP,A)
【文献】 特開2017−97974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H01R11/00−11/32
H01R43/00−43/02
H01B 1/22
H01L 33/62
H05K 3/32
B23K 35/26
C22C 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
常温で固形であり、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定されたメルトフローレートが10g/10min以上である熱可塑性樹脂、固形ラジカル重合性樹脂、及び固形エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種の固形樹脂と、はんだ粒子と、フラックス化合物とを含有する異方性接合材料を、第1の電子部品の電極と第2の電子部品の電極との間に前記はんだ粒子の平均粒径の50%以上300%以下の厚みで介在させ、
前記第1の電子部品の電極と前記第2の電子部品の電極とを無荷重で加熱接合させる接続体の製造方法。
【請求項2】
前記異方性接合材料が、前記はんだ粒子の平均粒径の50%以上300%以下の厚みを有する異方性接合フィルムである請求項1記載の接続体の製造方法。
【請求項3】
前記第2の電子部品が、基板であり、
前記基板上に前記異方性接合フィルムをラミネートし、前記異方性接合フィルム上に複数の前記第1の電子部品を搭載し、加熱接合させる請求項2記載の接続体の製造方法。
【請求項4】
前記フラックス化合物が、カルボン酸である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の接続体の製造方法。
【請求項5】
前記フラックス化合物が、カルボキシル基がアルキルビニルエーテルでブロック化されたブロック化カルボン酸である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の接続体の製造方法。
【請求項6】
常温で固形であり、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定されたメルトフローレートが10g/10min以上である熱可塑性樹脂、固形ラジカル重合性樹脂、及び固形エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種の固形樹脂と、はんだ粒子と、フラックス化合物とを含有し、
厚みが、前記はんだ粒子の平均粒径の50%以上300%以下である異方性接合材料。
【請求項7】
前記フラックス化合物が、カルボン酸である請求項6記載の異方性接合材料。
【請求項8】
前記フラックス化合物が、カルボキシル基がアルキルビニルエーテルでブロック化されたブロック化カルボン酸である請求項6記載の異方性接合材料。
【請求項9】
常温で液状の液状ラジカル重合性樹脂と、重合開始剤とをさらに含有する請求項6乃至8のいずれか1項に記載の異方性接合材料。
【請求項10】
常温で液状エポキシ樹脂と、硬化剤とをさらに含有する請求項6乃至8のいずれか1項に記載の異方性接合材料。
【請求項11】
前記硬化剤が、カルボン酸、又はカルボキシル基がアルキルビニルエーテルでブロック化されたブロック化カルボン酸である請求項10記載の異方性接合材料。
【請求項12】
請求項6乃至11のいずれか1項に記載の異方性接合材料がフィルム状である異方性接合フィルム。
【請求項13】
請求項6乃至11のいずれか1項に記載の異方性接合材料、又は請求項12に記載の異方性接合フィルムを用いて、第1の電子部品の電極と第2の電子部品の電極とが接合されてなる接続体。
【請求項14】
常温で固形であり、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定されたメルトフローレートが10g/10min以上である熱可塑性樹脂、固形ラジカル重合性樹脂、及び固形エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種の固形樹脂と、はんだ粒子と、フラックス化合物とを含有する異方性接合材料を、第1の電子部品の電極と第2の電子部品の電極との間に前記はんだ粒子の平均粒径の50%以上300%以下の厚みで介在させ、
加熱により前記固形樹脂を溶融させ、前記第1の電子部品又は前記第2の電子部品の自重によりはんだ粒子を電極間に挟持させ、前記はんだ粒子の溶融温度以上の本加熱により前記はんだ粒子を溶融させ、冷却により前記第1の電子部品の電極と前記第2の電子部品の電極とを接合させる接続体の製造方法。
【請求項15】
前記異方性接合材料における前記はんだ粒子の配合量が、40wt%以上60wt%以下である請求項14記載の接続体の製造方法。
【請求項16】
前記異方性接合材料が、前記はんだ粒子の平均粒径の90%以上150%以下の厚みを有する異方性接合フィルムである請求項14又は15記載の接続体の製造方法。
【請求項17】
常温で固形であり、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定されたメルトフローレートが10g/10min以上である熱可塑性樹脂、固形ラジカル重合性樹脂、及び固形エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種の固形樹脂と、はんだ粒子と、フラックス化合物とを含有し、
厚みが、前記はんだ粒子の平均粒径の50%以上300%以下であり、
前記はんだ粒子の配合量が、40wt%以上60wt%以下である異方性接合材料。
【請求項18】
前記はんだ粒子の平均粒径の90%以上150%以下の厚みを有する請求項17記載の異方性接合材料。
【請求項19】
前記厚みが、前記はんだ粒子の平均粒径の200%以下である請求項6記載の異方性接合材料。
【請求項20】
前記厚みが、前記はんだ粒子の平均粒径の150%以下である請求項6記載の異方性接合材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(Light Emitting Diode)等の半導体チップ(素子)を実装する接続体の製造方法、異方性接合フィルム、接続体に関する。
【背景技術】
【0002】
LED等の半導体チップ(素子)を実装する方法の一つとして、フリップチップ実装が挙げられる。フリップチップ実装は、ワイヤーボンディングに比べて実装面積を小さくすることができ、小型、薄型の半導体チップを実装することができる。
【0003】
しかしながら、フリップチップ実装は、加熱圧着するため、例えば、多数の半導体チップと大型基板とを接合する場合、非常に高い圧力が必要であったり、平行度のあたり調整が必要であったりし、量産性が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−102545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、はんだ粒子、熱硬化性樹脂バインダー及びフラックス成分を含有するはんだペーストを用い、リフローにより複数の部品を配線板等に一括して実装することが記載されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1のはんだペーストは、はんだ粒子を溶融一体化させるために、はんだ粒子が多量に含まれており、ファインピッチの電極を備える電子部品の接合は困難である。
【0007】
図8は、従来のはんだペーストを用いて作製したLED実装体において、LEDチップを引き剥がした後の基板側のはんだ接合状態を観察したときの顕微鏡写真である。図8に示すように、一般的なはんだペーストでは、はんだ粒子が溶融一体化するセルフアライメントが起きる場合、隣接する端子間にはんだ粒子が凝集してブリッジAが形成され、ショートが発生することがあった。
【0008】
本技術は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、ファインピッチの電極を備える電子部品を接合させることができる接続体の製造方法、異方性接合フィルム、接続体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本件発明者は、鋭意検討を行った結果、常温で固形であり、所定のメルトフローレートを有する固形樹脂を含有する異方性接合材料を用い、電極間の異方性接合材料の厚みをはんだ粒子の平均粒径に対し所定の値とすることにより、上述の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明に係る接続体の製造方法は、常温で固形であり、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定されたメルトフローレートが10g/10min以上である熱可塑性樹脂、固形ラジカル重合性樹脂、及び固形エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種の固形樹脂と、はんだ粒子と、フラックス化合物とを含有する異方性接合材料を、第1の電子部品の電極と第2の電子部品の電極との間に前記はんだ粒子の平均粒径の50%以上300%以下の厚みで介在させ、前記第1の電子部品の電極と前記第2の電子部品の電極とを無荷重で加熱接合させる。
【0011】
また、本発明に係る異方性接合フィルムは、常温で固形であり、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定されたメルトフローレートが10g/10min以上である熱可塑性樹脂、固形ラジカル重合性樹脂、及び固形エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種の固形樹脂と、はんだ粒子と、フラックス化合物とを含有し、厚みが、前記はんだ粒子の平均粒径の50%以上300%以下である。
【0012】
また、本発明に係る接続体は、上述の異方性接合フィルムを用いて、第1の電子部品の電極と第2の電子部品の電極とが接合されてなる
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、加熱により固形樹脂が溶融し、はんだ粒子が電極間に挟持されて溶融するため、ファインピッチの電極を備える電子部品を接合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、接合工程の一部を模式的に示す断面図である。
図2図2は、LED実装体の構成例を示す断面図である。
図3図3は、本技術を適用させた異方性接合フィルムの一部を模式的に示す断面図である。
図4図4は、実施例1−1のLEDチップを引き剥がした後の基板側のはんだ接合状態を観察したときの顕微鏡写真である。
図5図5は、比較例1−1のLEDチップを引き剥がした後の基板側のはんだ接合状態を観察したときの顕微鏡写真である。
図6図6は、比較例1−2のLEDチップを引き剥がした後の基板側のはんだ接合状態を観察したときの顕微鏡写真である。
図7図7は、比較例1−3のLEDチップを引き剥がした後の基板側のはんだ接合状態を観察したときの顕微鏡写真である。
図8図8は、従来のはんだペーストを用いて作製したLED実装体について、LEDチップを引き剥がした後の基板側のはんだ接合状態を観察したときの顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。
1.接続体の製造方法
2.異方性接合フィルム(異方性接合材料)
3.実施例
【0016】
<1.接続体の製造方法>
本実施の形態における接続体の製造方法は、常温で固形であり、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定されたメルトフローレートが10g/10min以上である熱可塑性樹脂、固形ラジカル重合性樹脂、及び固形エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種の固形樹脂と、はんだ粒子と、フラックス化合物とを含有する異方性接合材料を、第1の電子部品の電極と第2の電子部品の電極との間にはんだ粒子の平均粒径の50%以上300%以下の厚みで介在させ、第1の電子部品の電極と第2の電子部品の電極とを無荷重で加熱接合させるものである。
【0017】
本明細書において、メルトフローレートとは、JIS K7210:1999にて熱可塑性プラスチックのメルトフローレートの求め方に規定された、190℃、2.16kg荷重の条件で測定された値であり、メルトマスフローレイト(MFR)とも呼ぶ。また、常温とは、JISZ 8703で規定する20℃±15℃(5℃〜35℃)の範囲である。また、接続体とは、二つの材料または部材が電気的に接続されたものである。また、接合とは、二つの材料または部材をつなぎ合わせることである。また、無荷重とは、機械的な加圧がない状態をいう。
【0018】
また、平均粒径は、金属顕微鏡、光学顕微鏡、SEM(Scanning Electron Microscope)等の電子顕微鏡などを用いた観察画像において、N=50以上、好ましくはN=100以上、さらに好ましくはN=200以上で測定した粒子の長軸径の平均値であり、粒子が球形の場合は、粒子の直径の平均値である。また、観察画像を公知の画像解析ソフト(WinROOF、三谷商事(株))を用いて計測された測定値、画像型粒度分布測定装置(例として、FPIA−3000(マルバーン社))を用いて測定した測定値(N=1000以上)であってもよい。観察画像や画像型粒度分布測定装置から求めた平均粒径は、粒子の最大長の平均値とすることができる。なお、異方性接合材料を作製する際には、簡易的にレーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における頻度の累積が50%になる粒径(D50)、算術平均径(体積基準であることが好ましい)などのメーカー値を用いることができる。
【0019】
第1の電子部品としては、LED(Light Emitting Diode)、ドライバーIC(Integrated Circuit)等のチップ(素子)が好適であり、第2の電子部品としては、配線が設けられたものであれば特に限定はなく、第1の電子部品を搭載できる電極が設けられた基板(所謂、プリント配線板:PWB)として広義に定義できるものであればよい。例えば、リジット基板、ガラス基板、フレキシブル基板(FPC:Flexible Printed Circuits)、セラミック基板、プラスチック基板等の基板が挙げられる。第1の電子部品及び第2の電子部品にそれぞれに設けられた電極(電極配列、電極群)は、対向して異方性接続されるように設けられており、複数の第1の電子部品が一つの第2電子部品に搭載されるように電極(電極配列、電極群)が設けられていてもよい。第1の電子部品としては、LED(Light Emitting Diode)以外に、ドライバーIC(Integrated Circuit)等のチップ(例えば、半導体素子)、フレキシブル基板(FPC:Flexible Printed Circuits、樹脂成形された部品など、配線(導通材)が設けられたものでもよい。第2の電子部品としては、第1の電子部品の端子と少なくとも一部対応する端子が設けられたものであれば特に限定はなく、第1の電子部品を搭載できる電極が設けられた基板(所謂、プリント配線板:PWB)として広義に定義できるものであればよい。また、同じ部品を積層して接続してもよい。この積層の数は、接続に支障を来さなければ特に限定はない。異種部品の多数積層であっても同様である。第1の電子部品及び第2の電子部品にそれぞれに設けられた電極(電極配列、電極群)は、対向して異方性接続されるように設けられており、複数の第1の電子部品が一つの第2電子部品に搭載されるように電極(電極配列、電極群)が設けられていてもよい。なお、上記の電子部品は、リフロー工程における耐熱性を備えていることが望ましい。
【0020】
異方性接合材料は、常温で固形であり、MFRが10g/10min以上である熱可塑性樹脂、固形ラジカル重合性樹脂、及び固形エポキシ樹脂から選ばれる1種からなる固形樹脂と、はんだ粒子と、フラックス化合物とを含有する。フラックス化合物は、カルボン酸であることが好ましい。これにより、良好なはんだ接続を得ることができるとともに、エポキシ樹脂を配合した場合、エポキシ樹脂の硬化剤として機能させることができる。また、フラックス化合物は、カルボキシル基がアルキルビニルエーテルでブロック化されたブロック化カルボン酸であることが好ましい。これにより、フラックス効果、及び硬化剤機能が発揮される温度をコントロールすることができる。
【0021】
また、異方性接合材料の樹脂フロー量は、1.3〜2.5であってもよく、1.3未満とすることが好ましい場合がある。樹脂フロー量がこれらの値となることにより、後述するように無荷重で加熱接合させることができる。樹脂フロー量は、特開2016−178225号公報に記載の測定方法に準じて測定することができる。先ず、異方性接合フィルムを2.0mm幅にカットし、カット済みの異方性接合フィルムをノンアルカリガラス(厚み0.7μm)で挟み、リフロー工程に通す。これは接続に使用する条件と同様にすればよい。そして、リフロー前後の樹脂広がり量を測定し、加圧後の異方性接合フィルムの幅の最大値Bを加圧前の幅A(=2.0mm)で除算した値を樹脂フロー量とすることができる。また、ノンアルカリガラスで挟まずに、異方性接合材料を載置してリフロー工程に通し、上記の数値となることがより好ましい。異方性接合材料の樹脂フロー量が小さい場合、リフロー工程において無荷重では樹脂溶融が進行せず、はんだ粒子と電極間の挟持に支障を来す虞が生じる。本技術では、バインダー樹脂の加熱硬化時に荷重をかけないため、荷重をかける(一般的な異方性接続のようにツールで押圧する)ことを前提にしたバインダー樹脂の設計よりも溶融性を高くすることが望ましい。
【0022】
異方性接合材料は、フィルム状の異方性接合フィルム、又はペースト状の異方性接合ペーストのいずれであってもよい。また、異方性接合ペーストを接続時にフィルム状にしても、部品を搭載することでフィルムに近い形態としてもよい。
【0023】
異方性接合ペーストの場合、基板上に所定量を均一に塗布することができればよく、例えば、ディスペンス、スタンピング、スクリーン印刷等の塗布方法を用いることができ、必要に応じて乾燥させてもよい。異方性接合フィルムの場合、フィルム厚により異方性接合材料の量を均一化することができるだけでなく、基板上に一括ラミネートすることができ、タクトを短縮することができるため特に好ましい。また、予めフィルム状とすることで取り扱い易いので作業効率も高くすることが期待できる。
【0024】
第1の電子部品の電極と第2の電子部品の電極との間の異方性接合材料の厚みの下限は、はんだ粒子の平均粒径の50%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。異方性接合材料の厚みが薄すぎると、はんだ粒子の電極間への挟持が容易になるが、フィルム状にする際の難易度が高くなる虞がある。また、第1の電子部品の電極と第2の電子部品の電極との間の異方性接合材料の厚みの上限は、はんだ粒子の平均粒径の300%以下、好ましくは200%以下、より好ましくは150%以下である。異方性接合材料の厚みが厚すぎると接合に支障を来たす虞がある。
【0025】
以下、接続体の製造方法の具体例として、LED実装体の製造方法について説明する。LED実装体の製造方法は、はんだ粒子の平均粒径の50%以上300%以下の厚みを有する異方性接合材料を基板上に設ける工程と、LED素子を異方性接合材料上に搭載する搭載工程と、LED素子の電極と基板の電極とを無荷重で加熱接合させる接合工程とを有する。
【0026】
異方性接合材料を設ける工程は、異方性接合ペーストを接続前に基板上にフィルム状にする工程であってもよく、従来の異方性導電フィルムで用いられているように、異方性接合フィルムを基板上に低温低圧で貼着する仮貼り工程であってもよく、異方性接合フィルムを基板上にラミネートするラミネート工程であってもよい。
【0027】
異方性接合材料を設ける工程が仮貼り工程の場合、公知の使用条件で基板上に異方性接合フィルムを設けることができる。この場合、従前の装置からツールの変更といった最低限の変更だけですむため、経済的なメリットが得られる。
【0028】
異方性接合材料を設ける工程がラミネート工程の場合、例えば、加圧式ラミネータを用いて異方性接合フィルムを基板上にラミネートする。ラミネート温度は、好ましくは40℃以上160℃以下、より好ましくは50℃以上140℃以下、さらに好ましくは60℃以上120℃以下である。また、ラミネート圧力は、好ましくは0.1MPa以上10MPa以下、より好ましくは0.5MPa以上5MPa以下、さらに好ましくは1MPa以上3MPa以下である。また、ラミネート時間は、好ましくは0.1sec以上10sec以下、好ましくは0.5sec以上8sec以下、さらに好ましくは1sec以上5sec以下である。また、真空加圧式ラミネートであってもよい。従来の異方性導電フィルムが加熱加圧ツールを用いた仮貼りであると、フィルムの幅がツール幅の制約を受けるが、ラミネート工程の場合、加熱加圧ツールを用いないため、比較的広い幅を一括で搭載できるようになることが期待できる。また、一つの基板に対して一つの異方性接合フィルムをラミネートしてもよい。これにより、加熱圧着ツールの上下動と異方性接合フィルムの搬送とを複数回することがないため、異方性接合材料を設ける工程の時間を短縮することができる。
【0029】
搭載工程では、例えば複数のLED素子を異方性接合フィルム上に配置し、搭載する。本技術では、はんだ粒子によるセルフアライメントが期待できないため、搭載工程では、LED素子を正確にアライメントすることが好ましい。各LED素子は、例えば、片面に第1導電型電極と第2導電型電極とを有し、第1導電型電極及び第2導電型電極に対応する基板30の電極上に配置される。
【0030】
なお、前述の異方性導電接合材料を設ける工程において、LED素子の電極と基板の電極との間の異方性接合材料の厚みを、はんだ粒子の平均粒径に近似させることとしたが、これに限られず、搭載工程において、加圧(例えば、仮圧着)により異方性接合材料の厚みをはんだ粒子の平均粒径に近似させてもよい。この加圧工程は、例えば、第2の電子部品に載置されている第1の電子部品側から加圧することにより、LED素子の電極と基板の電極との間の異方性接合材料の厚みを、はんだ粒子の平均粒径に近似させる。ここで、異方性接合材料の厚みが大きすぎると、加圧に支障をきたす虞があるため、上述の上限の厚みとすることが好ましいともいえる。平均粒径に近似とは、この加圧工程を経ると理論上、はんだ粒子の最大径が異方性接続材料の厚みとなるため、異方性接続材料の厚みは、はんだ粒子の最大径と同等と考えてもよく、厚みバラツキを考慮するなら、はんだ粒子の最大径の130%以下、好ましくは120%以下としてもよい。また、加圧工程の圧力の下限は、好ましくは0.2MPa以上、より好ましくは0.4MPa以上であり、また、加圧工程の圧力の上限は、2.0MPa以下でもよく、好ましくは1.0MPa以下、より好ましくは0.8MPa以下である。上限および下限は、装置の仕様によって変動することがあるため、樹脂をはんだ粒子径まで押し込む目的が達成できれば、上の数値範囲に限定されるものではない。この加圧(仮圧着)工程は、はんだ粒子を溶融させず、電極とはんだ粒子の距離を近づけるために行うものである。
【0031】
図1は、接合工程の一部を模式的に示す断面図である。接合工程では、LED素子10の電極11,12と基板20の電極21,21とを無荷重で加熱接合させる。機械的な加圧をせずに無荷重で加熱接合させる方法としては、大気圧リフロー、真空リフロー、大気圧オーブン、オートクレーブ(加圧オーブン)等が挙げられ、これらの中でも、接合部に内包する気泡を排除することができる真空リフロー、オートクレーブ等を用いることが好ましい。無荷重であることで、一般的な加熱加圧ツールを用いた異方性導電接続と比べて、不要な樹脂流動が発生しないことから、気泡の巻き込みも抑制される効果が期待できる。
【0032】
加熱により固形樹脂が溶融し、LED素子10の自重によりはんだ粒子31が電極間に挟持され、はんだ溶融温度以上である本加熱によりはんだ粒子31が溶融し、はんだが電極に濡れ広がり、冷却によりLED素子10の電極と基板20の電極とが接合される。接合工程では、一例として好ましくは200℃以上300℃以下の温度、より好ましくは220℃以上290℃以下の温度、さらに好ましくは240℃以上280℃以下の温度で本加熱する。これにより、LED素子10の電極と基板20の電極とが接合されるため、優れた導通性、放熱性、及び接着性を得ることができる。接合工程では、無荷重であることから、はんだ粒子の移動量が小さくなり、はんだ粒子の捕捉効率は高いことが予想される。また、はんだ粒子の含有量は、セルフアライメントが期待できない程度であり、接合工程において、異方性接合フィルムに含有されている多数のはんだ粒子は一体とならないため、一つの電極内に複数のはんだ接合箇所が存在する。ここで、はんだ接合とは、対向した電子部品のそれぞれの電極を、はんだを溶融させて繋ぐことをいう。
【0033】
図2は、LED実装体の構成例を示す断面図である。このLED実装体は、LED素子10と基板20とを、固形樹脂にはんだ粒子31が分散された異方性接合フィルムを用いて接続されたものである。すなわち、LED実装体は、LED素子10と、基板20と、半田粒子31とを有し、LED素子10の電極11,12と基板20の電極21,22とを接続してなる異方性接合膜32とを備え、LED素子10の電極11,12と基板20の電極21,22とが、はんだ接合部33によって接合されてなり、固形樹脂が、LED素子10と基板20との間に充填されてなるものである。
【0034】
LED素子10は、第1導電型電極11及び第2導電型電極12を備え、第1導電型電極11と第2導電型電極12との間に電圧を印加すると、素子内の活性層にキャリアが集中し、再結合することにより発光が生じる。第1導電型電極11と第2導電型電極12とのスペース間の距離は、素子サイズにより、例えば100μm以上200μm以下であるもの、100μm以上50μm以下であるもの、20μm以上50μm以下であるものがある。LED素子10としては、特に限定されないが、例えば、400nm−500nmのピーク波長を有する青色LED等を好適に用いることができる。
【0035】
基板20は、基材上にLED素子10の第1導電型電極11及び第2導電型電極12に対応する位置にそれぞれ第1の電極21及び第2の電極22を有する。基板20としては、プリント配線板、ガラス基板、フレキシブル基板、セラミック基板、プラスチック基板等が挙げられる。プリント配線板の電極高さは、例えば10μm以上40μm以下であり、ガラス基板の電極高さは、例えば3μm以下であり、フレキシブル基板の電極高さは、例えば5μm以上20μm以下である。
【0036】
異方性接合膜32は、接合工程後に異方性接合材料が膜状となったものであり、LED素子10の電極11,12と基板20の電極21,22とをはんだ接合部33にて金属接合するとともに、LED素子10と基板20との間に異方性接合材料を充填してなる。
【0037】
図2に示すように、LED実装体は、LED素子10の端子(電極11,12)と、基板20の端子(電極21,22)とがはんだ接合部33により金属結合しており、LED素子20と基板30との間に固形樹脂が充填されてなる。これにより、LED素子10と基板20との間への水分等の侵入を防止することができる。
【0038】
<2.異方性接合フィルム(異方性接合材料)>
図3は、本技術を適用させた異方性接合フィルムの一部を模式的に示す断面図である。図3に示すように、異方性接合フィルム30は、固形樹脂と、はんだ粒子31と、フラックス化合物とを含有する。また、異方性導電フィルム30には、必要に応じて、第1の面に第1のフィルムが貼付され、第2の面に第2のフィルムが貼付されてもよい。なお、異方性接合フィルムは、異方性接合材料をフィルム状に形成したものである。
【0039】
フィルム厚みの下限は、はんだ粒子の平均粒径の50%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。フィルム厚みが薄すぎると、はんだ粒子の電極間への挟持が容易になるが、フィルム状にする際の難易度が高くなる虞がある。また、フィルム厚みの上限は、はんだ粒子の平均粒径の300%以下、好ましくは200%以下、より好ましくは150%以下である。フィルム厚みが厚すぎると接合に支障を来たす虞がある。フィルム厚みは、1μm以下、好ましくは0.1μm以下を測定できる公知のマイクロメータやデジタルシックネスゲージ(例えば、株式会社ミツトヨ:MDE−25M、最小表示量0.0001mm)を用いて測定することができる。フィルム厚みは、10箇所以上を測定し、平均して求めればよい。但し、粒子径よりもフィルム厚みが薄い場合には、接触式の厚み測定器は適さないので、レーザー変位計(例えば、株式会社キーエンス、分光干渉変位タイプSI−Tシリーズなど)を用いることが好ましい。ここで、フィルム厚みとは、樹脂層のみの厚みであり、粒子径は含まない。
【0040】
[固形樹脂]
固形樹脂は、常温で固形であり、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定されたMFRが10g/10min以上である。MFRの上限は、好ましくは5000g/10min以下、より好ましくは4000g/10min以下、さらに好ましくは3000g/10min以下である。MFRが大き過ぎると、第1の電子部品と第2の電子部品との間への固形樹脂の充填が困難となる。
【0041】
熱可塑性樹脂は、常温で固形であり、上記MFRを満たせば、特に限定されるものではなく、例えば、エチレン酢ビニル共重合樹脂、エチレンアクリル酸共重合樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等であってもよい。固形樹脂が熱可塑性樹脂である場合、ホットメルトにより第1の電子部品の電極と第2の電子部品の電極とが金属接合するため、十分な接合強度を得ることができる。また、熱可塑性樹脂は、反応を伴わないため、ポットライフを気にする必要がなく(製品ライフが硬化性樹脂及び硬化剤(反応開始剤)を用いるものに比べて長くなる)、取り扱いが容易になる。また、熱可塑性樹脂は、常温で固体であるため、使用時に樹脂は溶融しないが、溶融してしまう場合は、フィラーを含有させ、溶融を防ぐようにしてもよい。
【0042】
固形ラジカル重合成樹脂は、常温で固形であり、上記MFRを満たし、分子内に1つ以上の不飽和二重結合を有するラジカル重合性樹脂であれば、特に限定されるものではなく、例えば、不飽和ポリエステル(ビニルエステルとも呼ぶ)、エポキシ変性やウレタン変性の(メタ)アクリレート等であってもよい。これにより、フィルム形状を維持することができる。
【0043】
固形エポキシ樹脂は、常温で固形であり、上記MFRを満たし、分子内に1つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であれば、特に限定されるものではなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等であってもよい。これにより、フィルム形状を維持することができる。
【0044】
また、異方性接合フィルムは、常温で液状の液状ラジカル重合性樹脂と、重合開始剤とをさらに含有してもよい。液状ラジカル重合性樹脂は、常温で液状であれば、特に限定されるものではなく、例えば、アクリレート、メタクリレート、不飽和ポリエステル等であってもよく、ウレタン変性されていても構わない。液状ラジカル重合性樹脂を用いることにより、異方性接合フィルムにタック性を付与することができ、被着体へのラミネート性が向上すだけでなく、実装時のバインダー全体の流動性を向上させることができる。
【0045】
液状ラジカル重合性樹脂の配合量は、固形樹脂100質量部に対し、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは70質量部以下である。液状ラジカル重合性樹脂の配合量が多くなると、フィルム形状を維持することが困難となる。
【0046】
重合開始剤は、ジアシルパーオキサイド等の有機過酸化物であることが好ましい。また、重合開始剤の反応開始温度は、はんだ粒子の融点よりも高いことが好ましい。これにより、固形樹脂の流動後に硬化が開始されるため、良好なはんだ接合を得ることができる。
【0047】
また、異方性接合フィルムは、常温で液状エポキシ樹脂と、硬化剤とをさらに含有してもよい。液状エポキシ樹脂は、常温で液状であれば、特に限定されるものではなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等であってもよく、ウレタン変性のエポキシ樹脂であっても構わない。
【0048】
液状エポキシ樹脂の配合量は、固形樹脂100質量部に対し、好ましくは160質量部以下、より好ましくは100質量部以下、さらに好ましくは70質量部以下である。液状エポキシ樹脂の配合量が多くなると、フィルム形状を維持することが困難となる。
【0049】
硬化剤は、熱で硬化が開始する熱硬化剤であれば、特に限定されるものではなく、例えば、アミン、イミダゾール等のアニオン系硬化剤、スルホニウム塩等のカチオン系硬化剤が挙げられる。また、硬化剤は、フィルム化させる際に使用される溶剤に対して耐性が得られるようにマイクロカプセル化されていてもよい。
【0050】
また、硬化剤は、カルボン酸、又はカルボキシル基がアルキルビニルエーテルでブロック化されたブロック化カルボン酸であってもよい。すなわち、硬化剤は、フラックス化合物であってもよい。
【0051】
[はんだ粒子]
はんだ粒子は、異方性接合フィルム中にランダムに混練りされて分散されていてもよく、平面視で配置されていてもよい。異方性接合フィルムの平面視におけるはんだ粒子全体の配置は、規則的配置でもランダム配置でもよい。規則的配置の態様としては、正方格子、六方格子、斜方格子、長方格子等の格子配列を挙げることができ、特に制約はない。また、ランダム配置の態様としては、フィルムの平面視にて各はんだ粒子が互いに接触することなく存在し、フィルム厚方向にもはんだ粒子が互いに重なることなく存在していることが好ましい。また、異方性接合フィルム中のはんだ粒子の全個数の95%以上が、他のはんだ粒子と非接触であり、独立していることが好ましい。これは公知の金属顕微鏡や光学顕微鏡を用いて、フィルム平面視における1mm以上の面積を任意に5箇所以上抜き取って、はんだ粒子を200個以上、好ましくは1000個以上を観察して確認することができる。また、はんだ粒子が異方性接合フィルム中に平面視で配置されている場合において、はんだ粒子がフィルム厚方向の同じ位置に揃っていてもよい。
【0052】
また、はんだ粒子は、複数個が凝集した凝集体として配置されていてもよい。この場合、異方性接合フィルムの平面視における凝集体の配置は、前述のはんだ粒子の配置と同様に、規則的配置でもランダム配置でもよい。また、フィルムの平面視にて各凝集体が互いに接触することなく存在し、フィルム厚方向にも凝集体が互いに重なることなく存在していることが好ましい。凝集体の個々のはんだ粒子の平均粒径は、前述した平均粒径と同様に計測することができる。
【0053】
はんだ粒子の平均粒径は、好ましくは被着体である半導体素子の電極のスペース間の距離の1/3以下であり、より好ましくは1/4以下であり、さらに好ましくは1/5以下である。はんだ粒子の平均粒径が半導体素子の電極のスペース間の距離の1/3よりも大きくなると、ショートが発生する可能性が高くなる。具体的なはんだ粒子の粒子径としては、好ましくは1μm以上30μm以下である。平均粒径が1μmより小さいと電極部と良好なはんだ接合状態を得ることができず、信頼性が悪化する傾向にある。また、フィルムの塗布厚みを一定にするためには、はんだ粒子の平均粒径の下限は、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上である。また、はんだ粒子の平均粒径が30μm以上になるとファインピッチ接続が困難となる。はんだ粒子の平均粒径の上限は30μm以下であり、好ましくは25μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。接続対象によっては、はんだ粒子の平均粒径の上限は15μm以下とすることが望ましい。また、複数のはんだ粒子が凝集した凝集体である場合、凝集体の大きさを前述のはんだ粒子の平均粒径と同等にしてもよい。凝集体とする場合は、はんだ粒子の平均粒径を上述の値より小さくしてもよい。個々のはんだ粒子の大きさは、電子顕微鏡で観察して求めることができる。
【0054】
はんだ粒子は、例えばJIS Z 3282−1999に規定されている、Sn−Pb系、Pb−Sn−Sb系、Sn−Sb系、Sn−Pb−Bi系、Bi−Sn系、Sn−Cu系、Sn−Pb−Cu系、Sn−In系、Sn−Ag系、Sn−Pb−Ag系、Pb−Ag系などから、電極材料や接続条件などに応じて適宜選択することができる。はんだ粒子の融点は、好ましくは110℃以上180℃以下、より好ましくは120℃以上160℃以下、さらに好ましくは130℃以上150℃以下である。また、はんだ粒子は、表面を活性化させる目的でフラックス化合物が直接表面に結合されていても構わない。表面を活性化させることで電極部との金属結合を促進することができる。
【0055】
はんだ粒子の配合量の質量比範囲の下限は、好ましくは20wt%以上、より好ましくは30wt%以上、さらに好ましくは40wt%以上であり、はんだ粒子の配合量の質量比範囲の下限は、好ましくは80wt%以下、より好ましくは70wt%以下、さらに好ましくは60wt%以下である。また、はんだ粒子の配合量の体積比範囲の下限は、好ましくは5vol%以上、より好ましくは10vol%以上、さらに好ましくは15vol%以上であり、はんだ粒子の配合量の体積比範囲の上限は、好ましくは30vol%以下、より好ましくは25vol%以下、さらに好ましくは20vol%以下である。はんだ粒子の配合量は、前述の質量比範囲又は体積比範囲を満たすことにより、優れた導通性、放熱性、及び接着性を得ることができる。はんだ粒子がバインダー中に存在する場合には、体積比を用いてもよく、異方性導電接合材料を製造する場合(はんだ粒子がバインダーに存在する前)には、質量比を用いてもよい。質量比は、配合物の比重や配合比などから体積比に変換することができる。はんだ粒子の配合量が少なすぎると優れた導通性、放熱性、及び接着性が得られなくなり、配合量が多すぎると異方性が損なわれ、優れた導通信頼性が得られなくなる。
【0056】
[フラックス化合物]
フラックス化合物は、電極表面の異物や酸化膜を取り除いたり、電極表面の酸化を防止したり、溶融はんだの表面張力を低下させたりする。フラックス化合物としては、例えば、レブリン酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸等のカルボン酸を用いることが好ましい。これにより、良好なはんだ接続を得ることができるとともに、エポキシ樹脂を配合した場合、エポキシ樹脂の硬化剤として機能させることができる。
【0057】
また、フラックス化合物として、カルボキシル基がアルキルビニルエーテルでブロック化されたブロック化カルボン酸を用いることが好ましい。これにより、フラックス効果、及び硬化剤機能が発揮される温度をコントロールすることができる。また、樹脂に対する溶解性が向上するため、フィルム化する際の混合・塗布ムラを改善することができる。また、ブロック化が解除される解離温度は、はんだ粒子の融点以上であることが好ましい。これにより、良好なはんだ接続を得ることができるとともに、エポキシ樹脂を配合した場合、エポキシ樹脂の流動後に硬化が開始されるため、良好なはんだ接合を得ることができる。
【0058】
[他の添加剤]
異方性接合フィルムには、上述した固形樹脂、はんだ粒子、及びフラックス化合物に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で種々の添加剤を配合することができる。例えば、異方性接合フィルムは、無機フィラー、有機フィラー、金属フィラー、カップリング剤、レベリング剤、安定剤、チクソ剤等を含有しても構わない。無機フィラー、有機フィラー、及び金属フィラーの粒子径は、接続安定性の観点から、はんだ粒子の平均粒径よりも小さく、例えば、10−1000nmのナノフィラー、1−10μmのマイクロフィラー等が用いられる。
【0059】
無機フィラーとしては、シリカ、酸化アルミ、水酸化アルミ、酸化チタン、水酸化アルミニム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、酸化亜鉛、ゼオライト等が挙げられ、吸湿信頼性の向上を目的にシリカを添加したり、光反射の向上を目的に酸化チタンを添加したり、酸による腐食防止を目的に水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等を添加しても構わない。
【0060】
有機フィラーとしては、アクリル系樹脂、カーボン、コアシェル粒子等が挙げられ、有機フィラーの添加により、ブロッキング防止、光散乱等の効果を得ることができる。
【0061】
金属フィラーとしては、Ni、Cu、Ag、Auが挙げられ、これらの合金でも構わない。例えば、Cuフィラーは、酸と錯体を形成するため電極等の腐食を防止することができる。なお、金属フィラーは、導通に寄与しても寄与しなくもよく、金属フィラーの配合量は、はんだ粒子を含めて、ショートしない程度に調整すればよい。
【0062】
また、上述の異方性接合フィルムは、例えば、固形樹脂、はんだ粒子、及びフラックス化合物を溶剤中で混合し、この混合物を、バーコーターにより、剥離処理フィルム上に所定厚みとなるように塗布した後、乾燥させて溶媒を揮発させることにより得ることができる。また、はんだ粒子の分散性を高くするために、溶媒を含んだ状態で高シェアをかけることが好ましい。例えば、公知のバッチ式遊星攪拌装置を用いることができる。真空環境下で行えるものであってもよい。また、異方性接合フィルムの残溶剤量は、好ましくは2%以下、より好ましくは1%以下である。
【実施例】
【0063】
<3.1 第1の実施例>
第1の実施例では、熱可塑性樹脂を含有する異方性接合フィルムを用いてLED実装体を作製し、LED実装体の順電圧、ダイシェア強度、及び接合状態について評価した。
【0064】
[固形樹脂のメルトフローレートの測定]
JIS K7210:1999の塑性プラスチックのメルトフローレートの求め方に従い、メルトフローレート測定装置(品名:メルトインデックサG-02、東洋精機製作所社製)を用いて温度190℃,荷重2.16kgの条件で熱可塑性樹脂A−Eのメルトフローレートを測定した。
A:ポリエステル樹脂、プリマロイA1500(三菱ケミカル(株))、MFR=11g/10min
B:エチレン酢ビニル共重合樹脂、エバフレックスEV205WR(三井デュポンケミカル(株))、MFR=800g/10min
C:エチレンアクリル酸共重合樹脂、ニュクレルN1050H(デュポン(株))、MFR=500g/10min
D:ポリアミド樹脂、Griltex D1666A(EMS GRIVORY(株))、MFR=130g/10min
E:フェノキシ樹脂、フェノトートYP70(新日鉄住金化学(株))、MFR=1g/10min
【0065】
[LED実装体の作製]
LEDチップ(デクセリアルズ評価用LEDチップ、サイズ45mil、If=350mA、Vf=3.1V、Au−Snパッド、パッドサイズ300μm×800μmのP電極とN電極がそれぞれ設けられており、パッド間距離(P電極とN電極間距離)150μm)と、基板(デクセリアルズ評価用セラミック基板、18μm厚Cuパターン、Ni−Auメッキ、パターン間(スペース)50μm)とを準備した。異方性接合フィルムを80℃−2MPa−3secの条件で基板上にラミネートし、LEDチップをアライメント搭載した後、リフロー(ピーク温度260℃)によりLEDチップを実装した。
【0066】
[順電圧の測定]
定格電流であるIf=350mAを基板のパターンを介してLEDチップに流し、LEDチップの順電圧値Vfを測定した。電圧オーバーで読み取れない場合を「OPEN」とした。
【0067】
[ダイシェア強度の測定]
ボンディングテスター(品番:PTR−1100、レスカ社製)を用いて、測定速度20μm/secでLEDチップのダイシェア強度を測定した。
【0068】
[接合状態の観察]
ダイシェア強度を測定した後、すなわちLEDチップを引き剥がした後の基板側のはんだ接合状態を光学顕微鏡にて観察した。
【0069】
[フィルム厚みの測定]
フィルム厚みは、デジタルマイクロメータを用いて、10箇所以上測定し、その平均をフィルム厚みとした。
【0070】
<実施例1−1>
表1に示すように、熱可塑性樹脂A、フラックス化合物(グルタル酸(1,3−プロパンジカルボン酸)、和光純薬(株))、はんだ粒子(42Sn−58Bi、Type6 、融点139℃、平均粒子径10μm、三井金属(株))、酸化チタン(平均粒子径0.21μm、CR−60、石原産業(株))を所定の質量部で配合し、異方性接合フィルムを作製した。
【0071】
熱可塑性樹脂A、フラックス化合物、及び酸化チタンを混合溶解したトルエン溶液中にはんだ粒子を分散させた後、ギャップコーターにて、トルエン乾燥後の厚みが20μmになるよう剥離PET(PET−02−BU、四国トーセロ(株))上に塗布して作製した。トルエン乾燥は80℃−10minの条件で行った。乾燥後のフィルム厚みの測定値は20μmであった。
【0072】
表1に、異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体の順電圧、及びダイシェア強度の測定結果を示す。順電圧が3.1V、ダイシェア強度が40N/chipであった。
【0073】
図4は、実施例1−1のLEDチップを引き剥がした後の基板側のはんだ接合状態を観察したときの顕微鏡写真である。はんだがLEDチップ側及び基板側に濡れ広がっており、良好なはんだ接合状態であった。また、一つの電極内に複数のはんだ接合箇所が存在することが確認できた。
【0074】
<実施例1−2>
表1に示すように、熱可塑性樹脂Aに代えて熱可塑性樹脂Bを用いた以外は、実施例1−1と同様に異方性接合フィルムを作製した。異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧が3.0V、ダイシェア強度が45N/chipであった。
【0075】
<実施例1−3>
表1に示すように、熱可塑性樹脂Aに代えて熱可塑性樹脂Cを用いた以外は、実施例1−1と同様に異方性接合フィルムを作製した。異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧が3.0V、ダイシェア強度が43N/chipであった。
【0076】
<実施例1−4>
表1に示すように、熱可塑性樹脂Aに代えて熱可塑性樹脂Dを用いた以外は、実施例1−1と同様に異方性接合フィルムを作製した。異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧が3.0V、ダイシェア強度が46N/chipであった。
【0077】
<実施例1−5>
表1に示すように、異方性接合フィルムの厚みを30μmとした以外は、実施例1−1と同様に異方性接合フィルムを作製した。異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧が3.1V、ダイシェア強度が47N/chipであった。
【0078】
<比較例1−1>
表1に示すように、熱可塑性樹脂Aに代えて熱可塑性樹脂Eを用いた以外は、実施例1−1と同様に異方性接合フィルムを作製した。異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧がオープンとなり、ダイシェア強度が19N/chipであった。
【0079】
図5は、比較例1−1のLEDチップを引き剥がした後の基板側のはんだ接合状態を観察したときの顕微鏡写真である。熱可塑性樹脂Eのメルトフローレートが1g/10minであるため、樹脂がほとんど流動せず、はんだ粒子がLEDチップのパッドや基板のパターンに接触せず溶融しなかった。
【0080】
<比較例1−2>
表1に示すように、フラックス化合物を配合しなかった以外は、実施例1−1と同様に異方性接合フィルムを作製した。異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧がオープンとなり、ダイシェア強度が18N/chipであった。
【0081】
図6は、比較例1−2のLEDチップを引き剥がした後の基板側のはんだ接合状態を観察したときの顕微鏡写真である。フラックス化合物が配合されていないため、はんだ粒子が溶融しなかった。
【0082】
<比較例1−3>
表1に示すように、異方性接合フィルムの厚みを40μmとした以外は、実施例1−1と同様に異方性接合フィルムを作製した。異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧がオープンとなり、ダイシェア強度が25N/chipであった。
【0083】
図7は、比較例1−3のLEDチップを引き剥がした後の基板側のはんだ接合状態を観察したときの顕微鏡写真である。異方性接合フィルムの厚みが40μmと厚いため、はんだ粒子の電極間への挟持が不十分で、はんだ接合が不十分となり、はんだ粒子の濡れ広がりがLEDチップ側のみの箇所と基板側のみの箇所が見られた。
【0084】
【表1】
【0085】
比較例1−1では、メルトフローレートが1g/10minである熱可塑性樹脂Eを用いたため、樹脂の流動性が悪く、はんだ粒子が溶融せず、被着体の電極と接合しなかった。このため、順電圧を測定することができなかった。また、樹脂が十分に流動しておらず、はんだ接合も形成されていなためLEDチップの密着性が弱く、ダイシェア強度が低い結果となった。
【0086】
比較例1−2では、フラックス化合物を配合していないため、はんだ粒子が溶融せず、順電圧を測定することができなかった。
【0087】
比較例1−3では、はんだ粒子の平均粒子径10μmに対し、4倍厚みの40μm厚みの異方性接合フィルムを用いたため、はんだ接合が形成されず、順電圧を測定することができなかった。また、ダイシェア強度も低い結果となった。
【0088】
一方、実施例1−1〜実施例1−5では、メルトフローレートが1g/10min以上である熱可塑性樹脂A−Dを用い、はんだ粒子の平均粒子径10μmに対し、2−3倍厚みの20−30μm厚みの異方性接合フィルムを用いたため、樹脂が溶融・流動し、はんだ粒子により被着体の電極間ではんだ接合し、定格電圧3.1Vに近い値を得ることができた。また、ダイシェア強度も良好な結果となった。
【0089】
<3.2 第2の実施例>
第2の実施例では、ラジカル重合性樹脂を含有する異方性接合フィルムを用いてLED実装体を作製し、LED実装体の順電圧、絶縁性及びダイシェア強度ついて評価した。LED実装体の作製、LED実装体の順電圧、及びダイシェ強度の測定は、第1の実施例と同様のため、ここでは説明を省略する。
【0090】
[固形樹脂のメルトフローレートの測定]
JIS K7210:1999の塑性プラスチックのメルトフローレートの求め方に従い、メルトフローレート測定装置(品名:メルトインデックサG-02、東洋精機製作所社製)を用いて温度190℃,荷重2.16kgの条件で熱可塑性樹脂A−C,E及び固形ラジカル重合性樹脂のメルトフローレートを測定した。
A:ポリエステル樹脂、プリマロイA1500(三菱ケミカル(株))、MFR=11g/10min
B:エチレン酢ビニル共重合樹脂、エバフレックスEV205WR(三井デュポンケミカル(株))、MFR=800g/10min
C:エチレンアクリル酸共重合樹脂、ニュクレルN1050H(デュポン(株))、MFR=500g/10min
E:フェノキシ樹脂、フェノトートYP70(新日鉄住金化学(株))、MFR=1g/10min
固形ラジカル重合性樹脂:ビニルエステル樹脂、リポキシVR−90、昭和電工(株)、MFR=100g/10min
【0091】
[絶縁性の評価]
基板のパターンを介してLEDチップに逆電流0.1μAを流し、電流が流れない場合の評価を「OK」とし、電流が流れた場合の評価を「NG」とした。
【0092】
<実施例2−1>
表2に示すように、熱可塑性樹脂A、液状ラジカル重合性樹脂(水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、エポライト4000、共栄社化学(株))、開始剤(ジアシルパーオキサイド、パーヘキサ25B、日油(株))、フラックス化合物A(グルタル酸(1,3−プロパンジカルボン酸)、和光純薬(株))、はんだ粒子(42Sn−58Bi、Type6 、融点139℃、平均粒子径10μm、三井金属(株))、酸化チタン(平均粒子径0.21μm、CR−60、石原産業(株))を所定の質量部で配合し、異方性接合フィルムを作製した。
【0093】
熱可塑性樹脂A、及び液状ラジカル重合性樹脂をトルエンで混合溶解させ、その中にフラックス化合物A、及び酸化チタンを投入し、3本ロール(ギャップ10μmで3回パス)で分散させた後、開始剤とはんだ粒子を分散させることで樹脂溶液を得た。この樹脂溶液をギャップコーターにて、トルエン乾燥後の厚みが20μmになるよう剥離PET(PET−02−BU、四国トーセロ(株))上に塗布して作製した。トルエン乾燥は80℃−10minの条件で行った。
【0094】
表2に示すように、異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧が3.1V、絶縁性がOK、ダイシェア強度が42N/chipであった。
【0095】
<実施例2−2>
表2に示すように、熱可塑性樹脂Aに代えて熱可塑性樹脂Bを用いた以外は、実施例2−1と同様に異方性接合フィルムを作製した。異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧が3.0V、絶縁性がOK、ダイシェア強度が46N/chipであった。
【0096】
<実施例2−3>
表2に示すように、熱可塑性樹脂Aに代えて熱可塑性樹脂Cを用いた以外は、実施例2−1と同様に異方性接合フィルムを作製した。異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧が3.0V、絶縁性がOK、ダイシェア強度が41N/chipであった。
【0097】
<実施例2−4>
表2に示すように、熱可塑性樹脂Aに代えて固形ラジカル重合性樹脂を用いた以外は、実施例2−1と同様に異方性接合フィルムを作製した。異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧が3.0V、絶縁性がOK、ダイシェア強度が47N/chipであった。
【0098】
<実施例2−5>
表2に示すように、フラックス化合物Aに代えてフラックス化合物B(ブロック化カルボン酸、サンタシッドG、日油(株))を用いた以外は、実施例2−1と同様に異方性接合フィルムを作製した。異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧が3.0V、絶縁性がOK、ダイシェア強度が46N/chipであった。
【0099】
<実施例2−6>
表2に示すように、異方性接合フィルムの厚みを30μmとした以外は、実施例2−1と同様に異方性接合フィルムを作製した。異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧が3.1V、絶縁性がOK、ダイシェア強度が49N/chipであった。
【0100】
<比較例2−1>
表2に示すように、熱可塑性樹脂Eを反応性希釈剤(テトラヒドロフルフリルアクリレート、ビスコート♯150、大阪有機化学工業(株))で溶解させたのちラジカル重合性樹脂、開始剤、フラックス化合物A、酸化チタン、及びはんだ粒子を混合分散させることで異方性接合ペーストを作成した。
【0101】
LEDチップ(デクセリアルズ評価用LEDチップ、サイズ45mil、If=350mA、Vf=3.1V、Au−Snパッド、パッドサイズ300μm×800μm、パッド間距離200μm)と、基板(デクセリアルズ評価用セラミック基板、18μm厚Cuパターン、Ni−Auメッキ、パターン間(スペース)50μm)とを準備した。異方性接合ペーストを厚み30μmのマスクを使用して基板上に塗布し、LEDチップをアライメント搭載した後、リフロー(ピーク温度260℃)によりLEDチップを実装した。
【0102】
表2に示すように、異方性接合ペーストを用いて作製したLED実装体は、順電圧が3.0V、絶縁性がNG、ダイシェア強度が45N/chipであった。
【0103】
<比較例2−2>
表2に示すように、熱可塑性樹脂Aに代えて熱可塑性樹脂Eを用いた以外は、実施例2−1と同様に異方性接合フィルムを作製した。異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧がOPEN、絶縁性がOK、ダイシェア強度が19N/chipであった。
【0104】
<比較例2−3>
表2に示すように、フラックス化合物を配合しなかったこと以外は、実施例2−1と同様に異方性接合フィルムを作製した。異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧がOPEN、絶縁性がOK、ダイシェア強度が19N/chipであった。
【0105】
<比較例2−4>
表2に示すように、異方性接合フィルムの厚みを40μmとした以外は、実施例2−1と同様に異方性接合フィルムを作製した。異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧がOPEN、絶縁性がOK、ダイシェア強度が26N/chipであった。
【0106】
【表2】
【0107】
比較例2−1では、メルトフローレートが1g/10minである熱可塑性樹脂Eを用い、ペースト状の異方性接合材料を塗布したため、基板の隣接する端子間ではんだ接合によるショートが発生した。
【0108】
比較例2−2では、メルトフローレートが1g/10minである熱可塑性樹脂Eを用いたため、樹脂の流動性が悪く、はんだ粒子が溶融せず、被着体の電極と接合しなかった。このため、順電圧を測定することができなかった。また、樹脂が十分に流動しておらず、はんだ接合も形成されていなためLEDチップの密着性が弱く、ダイシェア強度が低い結果となった。
【0109】
比較例2−3では、フラックス化合物を配合していないため、はんだ粒子が溶融せず、順電圧を測定することができなかった。
【0110】
比較例2−4では、はんだ粒子の平均粒子径10μmに対し、4倍厚みの40μm厚みの異方性接合フィルムを用いたため、はんだ接合が形成されず、順電圧を測定することができなかった。また、ダイシェア強度も低い結果となった。
【0111】
一方、実施例2−1〜実施例2−5では、メルトフローレートが1g/10min以上である熱可塑性樹脂A−Dを用い、はんだ粒子の平均粒子径10μmに対し、2−3倍厚みの20−30μm厚みの異方性接合フィルムを用いたため、樹脂が溶融・流動し、はんだ粒子により被着体の電極間ではんだ接合し、定格電圧3.1Vに近い値を得ることができた。また、ダイシェア強度も良好な結果となった。
【0112】
<3.3 第3の実施例>
第3の実施例では、エポキシ樹脂を含有する異方性接合フィルムを用いてLED実装体を作製し、LED実装体の順電圧、絶縁性及びダイシェア強度ついて評価した。LED実装体の作製、LED実装体の順電圧、及びダイシェ強度の測定は、第1の実施例と同様のため、LED実装体の絶縁性の評価は、第2の実施例と同様のため、ここでは説明を省略する。
【0113】
[固形樹脂のメルトフローレートの測定]
JIS K7210:1999の塑性プラスチックのメルトフローレートの求め方に従い、メルトフローレート測定装置(品名:メルトインデックサG-02、東洋精機製作所社製)を用いて温度190℃,荷重2.16kgの条件で熱可塑性樹脂A−C,E及び固形エポキシ樹脂のメルトフローレートを測定した。
A:ポリエステル樹脂、プリマロイA1500(三菱ケミカル(株))、MFR=11g/10min
B:エチレン酢ビニル共重合樹脂、エバフレックスEV205WR(三井デュポンケミカル(株))、MFR=800g/10min
C:エチレンアクリル酸共重合樹脂、ニュクレルN1050H(デュポン(株))、MFR=500g/10min
E:フェノキシ樹脂、フェノトートYP70(新日鉄住金化学(株))、MFR=1g/10min
固形エポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、1001、三菱化学(株)、MFR=2600g/10min
【0114】
<実施例3−1>
表3に示すように、熱可塑性樹脂A、液状エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、YL980、三菱化学(株))、硬化剤A(アニオン硬化剤、マイクロカプセル型イミダゾール硬化剤、HX3941HP、旭化成(株))、フラックス化合物A(グルタル酸(1,3−プロパンジカルボン酸)、和光純薬(株))、はんだ粒子(42Sn−58Bi、Type6 、融点139℃、平均粒子径10μm、三井金属(株))、酸化チタン(平均粒子径0.21μm、CR−60、石原産業(株))を所定の質量部で配合し、異方性接合フィルムを作製した。
【0115】
熱可塑性樹脂A、及び液状エポキシ樹脂をトルエンで混合溶解させ、その中にフラックス化合物A、及び酸化チタンを投入し、3本ロール(ギャップ10μmで3回パス)で分散させた後、硬化剤Aとはんだ粒子を分散させることで樹脂溶液を得た。この樹脂溶液をギャップコーターにて、トルエン乾燥後の厚みが20μmになるよう剥離PET(PET−02−BU、四国トーセロ(株))上に塗布して作製した。トルエン乾燥は80℃−10minの条件で行った。
【0116】
表3に示すように、異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧が3.1V、絶縁性がOK、ダイシェア強度が43N/chipであった。
【0117】
<実施例3−2>
表3に示すように、熱可塑性樹脂Aに代えて熱可塑性樹脂Bを用いた以外は、実施例3−1と同様に異方性接合フィルムを作製した。異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧が3.0V、絶縁性がOK、ダイシェア強度が46N/chipであった。
【0118】
<実施例3−3>
表3に示すように、熱可塑性樹脂Aに代えて熱可塑性樹脂Cを用いた以外は、実施例3−1と同様に異方性接合フィルムを作製した。異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧が3.0V、絶縁性がOK、ダイシェア強度が41N/chipであった。
【0119】
<実施例3−4>
表3に示すように、熱可塑性樹脂Aに代えて固形エポキシ樹脂を用いた以外は、実施例3−1と同様に異方性接合フィルムを作製した。異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧が3.0V、絶縁性がOK、ダイシェア強度が47N/chipであった。
【0120】
<実施例3−5>
表3に示すように、硬化剤Aに代えて硬化剤B(カチオン硬化剤、スルホニウム塩、サンエイドSI−80L、三新化学社製)を用い、液状エポキシ樹脂の配合比を調整した以外は、実施例3−1と同様に異方性接合フィルムを作製した。異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧が3.0V、絶縁性がOK、ダイシェア強度が46N/chipであった。
【0121】
<実施例3−6>
表3に示すように、フラックス化合物Aに代えてフラックス化合物B(ブロック化カルボン酸、サンタシッドG、日油(株))を用いた以外は、実施例3−1と同様に異方性接合フィルムを作製した。異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧が3.0V、絶縁性がOK、ダイシェア強度が44N/chipであった。
【0122】
<実施例3−7>
表3に示すように、異方性接合フィルムの厚みを30μmとした以外は、実施例3−1と同様に異方性接合フィルムを作製した。異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧が3.1V、絶縁性がOK、ダイシェア強度が49N/chipであった。
【0123】
<比較例3−1>
表3に示すように、液状エポキシ樹脂、硬化剤A、フラックス化合物A、酸化チタン、及びはんだ粒子を混合分散させることで異方性接合ペーストを作成した。
【0124】
LEDチップ(デクセリアルズ評価用LEDチップ、サイズ45mil、If=350mA、Vf=3.1V、Au−Snパッド、パッドサイズ300μm×800μm、パッド間距離200μm)と、基板(デクセリアルズ評価用セラミック基板、18μm厚Cuパターン、Ni−Auメッキ、パターン間(スペース)50μm)とを準備した。異方性接合ペーストを厚み30μmのマスクを使用して基板上に塗布し、LEDチップをアライメント搭載した後、リフロー(ピーク温度260℃)によりLEDチップを実装した。
【0125】
表3に示すように、異方性接合ペーストを用いて作製したLED実装体は、順電圧が3.0V、絶縁性がNG、ダイシェア強度が45N/chipであった。
【0126】
<比較例3−2>
表2に示すように、熱可塑性樹脂Aに代えて熱可塑性樹脂Eを用いた以外は、実施例3−1と同様に異方性接合フィルムを作製した。異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧がOPEN、絶縁性がOK、ダイシェア強度が19N/chipであった。
【0127】
<比較例3−3>
表3に示すように、フラックス化合物を配合しなかったこと以外は、実施例3−1と同様に異方性接合フィルムを作製した。異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧がOPEN、絶縁性がOK、ダイシェア強度が19N/chipであった。
【0128】
<比較例3−4>
表3に示すように、異方性接合フィルムの厚みを40μmとした以外は、実施例3−1と同様に異方性接合フィルムを作製した。異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧がOPEN、絶縁性がOK、ダイシェア強度が26N/chipであった。
【0129】
【表3】
【0130】
比較例3−1では、液状エポキシ樹脂を用い、ペースト状の異方性接合材料を塗布したため、基板の隣接する端子間ではんだ接合によるショートが発生した。
【0131】
比較例3−2では、メルトフローレートが1g/10minである熱可塑性樹脂Eを用いたため、樹脂の流動性が悪く、はんだ粒子が溶融せず、被着体の電極と接合しなかった。このため、順電圧を測定することができなかった。また、樹脂が十分に流動しておらず、はんだ接合も形成されていなためLEDチップの密着性が弱く、ダイシェア強度が低い結果となった。
【0132】
比較例3−3では、フラックス化合物を配合していないため、はんだ粒子が溶融せず、順電圧を測定することができなかった。
【0133】
比較例3−4では、はんだ粒子の平均粒子径10μmに対し、4倍厚みの40μm厚みの異方性接合フィルムを用いたため、はんだ接合が形成されず、順電圧を測定することができなかった。また、ダイシェア強度も低い結果となった。
【0134】
一方、実施例3−1〜実施例3−7では、メルトフローレートが1g/10min以上である熱可塑性樹脂A−Dを用い、はんだ粒子の平均粒子径10μmに対し、2−3倍厚みの20−30μm厚みの異方性接合フィルムを用いたため、樹脂が溶融・流動し、はんだ粒子により被着体の電極間ではんだ接合し、定格電圧3.1Vに近い値を得ることができた。また、ダイシェア強度も良好な結果となった。また、実施例3−6のビニルエーテルでカルボキシル基をブロックしたブロック化フラックス化合物を用いても、良好な結果を得ることができた。
【0135】
<3.4 第4の実施例>
第4の実施例では、フラックス化合物としてカルボン酸を含有する異方性接合フィルムを用いてLED実装体を作製し、LED実装体の順電圧、絶縁性及びダイシェア強度ついて評価した。LED実装体の作製、LED実装体の順電圧、及びダイシェア強度の測定は、第1の実施例と同様のため、LED実装体の絶縁性の評価は、第2の実施例と同様のため、ここでは説明を省略する。
【0136】
[固形樹脂のメルトフローレートの測定]
JIS K7210:1999の塑性プラスチックのメルトフローレートの求め方に従い、メルトフローレート測定装置(品名:メルトインデックサG-02、東洋精機製作所社製)を用いて温度190℃,荷重2.16kgの条件で熱可塑性樹脂A,E及び固形エポキシ樹脂のメルトフローレートを測定した。
A:ポリエステル樹脂、プリマロイA1500(三菱ケミカル(株))、MFR=11g/10min
E:フェノキシ樹脂、フェノトートYP70(新日鉄住金化学(株))、MFR=1g/10min
固形エポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、1001、三菱化学(株)、MFR=2600g/10min
【0137】
<実施例4−1>
表4に示すように、熱可塑性樹脂A、液状エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、YL980、三菱化学(株))、フラックス化合物A(グルタル酸(1,3−プロパンジカルボン酸)、和光純薬(株))、はんだ粒子(42Sn−58Bi、Type6 、融点139℃、平均粒子径10μm、三井金属(株))、酸化チタン(平均粒子径0.21μm、CR−60、石原産業(株))を所定の質量部で配合し、異方性接合フィルムを作製した。
【0138】
熱可塑性樹脂A、及び液状エポキシ樹脂をトルエンで混合溶解させ、その中にフラックス化合物A、及び酸化チタンを投入し、3本ロール(ギャップ10μmで3回パス)で分散させた後、はんだ粒子を分散させることで樹脂溶液を得た。この樹脂溶液をギャップコーターにて、トルエン乾燥後の厚みが20μmになるよう剥離PET(PET−02−BU、四国トーセロ(株))上に塗布して作製した。トルエン乾燥は80℃−10minの条件で行った。
【0139】
表4に示すように、異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧が3.1V、絶縁性がOK、ダイシェア強度が44N/chipであった。
【0140】
<実施例4−2>
表4に示すように、熱可塑性樹脂Aに代えて固形エポキシ樹脂を用いた以外は、実施例4−1と同様に異方性接合フィルムを作製した。異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧が3.1V、絶縁性がOK、ダイシェア強度が45N/chipであった。
【0141】
<実施例4−3>
表4に示すように、フラックス化合物Aに代えてフラックス化合物B(ブロック化カルボン酸、サンタシッドG、日油(株))を用いた以外は、実施例4−1と同様に異方性接合フィルムを作製した。異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧が3.0V、絶縁性がOK、ダイシェア強度が44N/chipであった。
【0142】
<実施例4−4>
表4に示すように、異方性接合フィルムの厚みを30μmとした以外は、実施例4−1と同様に異方性接合フィルムを作製した。異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧が3.1V、絶縁性がOK、ダイシェア強度が48N/chipであった。
【0143】
<比較例4−1>
表4に示すように、液状エポキシ樹脂、硬化剤A、フラックス化合物B、酸化チタン、及びはんだ粒子を混合分散させることで異方性接合ペーストを作成した。
【0144】
LEDチップ(デクセリアルズ評価用LEDチップ、サイズ45mil、If=350mA、Vf=3.1V、Au−Snパッド、パッドサイズ300μm×800μm、パッド間距離200μm)と、基板(デクセリアルズ評価用セラミック基板、18μm厚Cuパターン、Ni−Auメッキ、パターン間(スペース)50μm)とを準備した。異方性接合ペーストを厚み30μmのマスクを使用して基板上に塗布し、LEDチップをアライメント搭載した後、リフロー(ピーク温度260℃)によりLEDチップを実装した。
【0145】
表4に示すように、異方性接合ペーストを用いて作製したLED実装体は、順電圧が3.0V、絶縁性がNG、ダイシェア強度が45N/chipであった。
【0146】
<比較例4−2>
表4に示すように、熱可塑性樹脂Aに代えて熱可塑性樹脂Eを用いた以外は、実施例4−1と同様に異方性接合フィルムを作製した。異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧がOPEN、絶縁性がOK、ダイシェア強度が19N/chipであった。
【0147】
<比較例4−3>
表4に示すように、フラックス化合物を配合しなかったこと以外は、実施例4−1と同様に異方性接合フィルムを作製した。異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧がOPEN、絶縁性がOK、ダイシェア強度が18N/chipであった。
【0148】
<比較例4−4>
表4に示すように、異方性接合フィルムの厚みを40μmとした以外は、実施例4−1と同様に異方性接合フィルムを作製した。異方性接合フィルムを用いて作製したLED実装体は、順電圧がOPEN、絶縁性がOK、ダイシェア強度が25N/chipであった。
【0149】
【表4】
【0150】
比較例4−1では、固形樹脂を配合せず、ペースト状の異方性接合材料を塗布したため、基板の隣接する端子間ではんだ接合によるショートが発生した。
【0151】
比較例4−2では、メルトフローレートが1g/10minである熱可塑性樹脂Eを用いたため、樹脂の流動性が悪く、はんだ粒子が溶融せず、被着体の電極と接合しなかった。このため、順電圧を測定することができなかった。また、樹脂が十分に流動しておらず、はんだ接合も形成されていなためLEDチップの密着性が弱く、ダイシェア強度が低い結果となった。
【0152】
比較例4−3では、フラックス化合物を配合していないため、はんだ粒子が溶融せず、順電圧を測定することができなかった。
【0153】
比較例4−4では、はんだ粒子の平均粒子径10μmに対し、4倍厚みの40μm厚みの異方性接合フィルムを用いたため、はんだ接合が形成されず、順電圧を測定することができなかった。また、ダイシェア強度も低い結果となった。
【0154】
一方、実施例4−1〜実施例4−4では、メルトフローレートが1g/10min以上である熱可塑性樹脂A又は固形エポキシ樹脂を用い、はんだ粒子の平均粒子径10μmに対し、2−3倍厚みの20−30μm厚みの異方性接合フィルムを用いたため、樹脂が溶融・流動し、はんだ粒子により被着体の電極間ではんだ接合し、定格電圧3.1Vに近い値を得ることができた。また、ダイシェア強度も良好な結果となった。また、実施例4−3では、硬化剤としてフラックス化合物を用いても、良好な結果を得ることができた。
【0155】
なお、上述の実施例では、フィルム状の異方性接合材料を用いたが、ペースト状の異方性接合材料を所定厚みに調整すれば、同様の結果が得られると考えられる。
【符号の説明】
【0156】
10 LED素子、11 第1導電型電極、12 第2導電型電極、20 基板、21 第1の電極、22 第2の電極、30 異方性接合フィルム、31 はんだ粒子、32 異方性導電膜、33 はんだ接合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8