特許第6898466号(P6898466)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6898466カラーコンタクトレンズ及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6898466
(24)【登録日】2021年6月14日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】カラーコンタクトレンズ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/04 20060101AFI20210628BHJP
   B29C 39/02 20060101ALI20210628BHJP
【FI】
   G02C7/04
   B29C39/02
【請求項の数】5
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-553066(P2019-553066)
(86)(22)【出願日】2017年4月13日
(65)【公表番号】特表2020-516927(P2020-516927A)
(43)【公表日】2020年6月11日
(86)【国際出願番号】IB2017052150
(87)【国際公開番号】WO2018189572
(87)【国際公開日】20181018
【審査請求日】2019年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】520000722
【氏名又は名称】アルコン インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】デイ,エレン・エー
【審査官】 吉川 陽吾
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−535702(JP,A)
【文献】 特開2013−250350(JP,A)
【文献】 特表2003−519407(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0203191(US,A1)
【文献】 特表2004−503815(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0181676(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーコンタクトレンズであって、第一の色の第一のプリント及び第二の色の第二のプリントを含み、
前記第一のプリントはグラデーションドットマトリクスの環状リングであり、前記第二のプリントはスペックルパターンの環状リングであり、
前記スペックルパターンの環状リングは環状に分散された規則的又は不規則的形状の集合を含み、前記規則的又は不規則的形状は多数の円形ドットからなり、
前記スペックルパターンの環状リングは平滑でない内側及び外側境界を有し、
前記第二のプリントは前記第一のプリントの内側に位置付けられ、前記第一の色及び前記第二の色は異なっているか、又は同じであり、
前記第一のプリント及び前記第二のプリントはコンタクトレンズの中心と同心であり、
第三の色の第三のプリントをさらに含み、
前記第三のプリントは、第一のチューリップの花のリングパターンであり、2つの要素を含む形状を有し、
第一の要素は、厚い中央部を有し、第一の端及び第二の端においてより薄い、ぜん虫のような形状であり、
第二の要素は前記第一の要素の鏡像であり、前記第一の要素の前記第一の端及び前記第二の要素の前記第一の端は集束して相互に接触し、
前記第一の要素の前記第二の端及び前記第二の要素の前記第二の端は発散し、
前記チューリップの花は環状に繰り返されて、集束点が内向きのリングを形成し、
前記第一の色、前記第二の色、及び前記第三の色は異なっているか、又は同じであり、
前記第一のプリント、前記第二のプリント、及び前記第三のプリントは前記コンタクトレンズの中心と同心である、
カラーコンタクトレンズ。
【請求項2】
前記第三のプリントは、青、グレー、黒、茶、青、ターコイズ、紫、青紫、青緑、橙、黄、とび色、及び緑からなる群から選択される色を有する、請求項に記載のカラーコンタクトレンズ。
【請求項3】
第四の色の第四のプリントをさらに含み、
前記第四のプリントは第二のチューリップの花のリングパターンであり、2つの要素を含む形状を有し、
第一の要素は、厚い中央部を有し、第一の端及び第二の端においてより薄い、ぜん虫のような形状であり、
第二の要素は前記第一の要素の鏡像であり、
前記第一の要素の前記第一の端及び前記第二の要素の前記第一の端は集束して相互に接触し、
前記第一の要素の前記第二の端及び前記第二の要素の前記第二の端は発散し、
前記チューリップの花は環状に繰り返されて、集束点が外向きのリングを形成し、
前記第一のチューリップの花のリングパターンの環状リング及び前記第二のチューリップの花のリングパターンは、同じ外径を有し、
前記第二のチューリップの花のリングパターンは前記第一のチューリップの花のリングパターンの内径と同じ又はそれより小さい内径を有し、
前記第一の色、前記第二の色、前記第三の色、及び前記第四の色は異なっているか、又は同じであり、
前記第一のプリント、前記第二のプリント、前記第三のプリント、及び前記第四のプリントは前記コンタクトレンズの中心と同心である、請求項に記載のカラーコンタクトレンズ。
【請求項4】
前記第四のプリントは、青、グレー、黒、茶、青、ターコイズ、紫、青紫、青緑、橙、黄、とび色、及び緑からなる群から選択される色を有する、請求項に記載のカラーコンタクトレンズ。
【請求項5】
前記第二のチューリップの花のリングパターンは、前記第一のチューリップの花のリングパターンの内径より小さい内径を有する、請求項に記載のカラーコンタクトレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装用者の目をより大きく、よりくっきりした輪郭に、より輝かせるようにし、その一方で目とシームレスに調和させることによって自然なままとすることのできるカラーコンタクトレンズに関する。本発明はまた、本発明のカラーコンタクトレンズのデザイン及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
美容の目的のために、1つ又は複数の着色剤がレンズ中に分散された、又はレンズ上に印刷されたカラーコンタクトレンズに対する需要が高い。これらのカラーコンタクトレンズは、目の自然な美しさを強調させたり、装用者の虹彩に固有のパターンを提供したり、美容以外のためのパターンを提供したりする。
【0003】
一般に、2種類のカラーコンタクトレンズがある。1つ目は基本的に透明な強調色を用いるコンタクトレンズであり、この場合、それを通して本来の虹彩の色は見えるようにできるものの、その本来の色との組合せにより新しい外観が生まれる。このような透明なカラーレンズは典型的に、明るい色の目(例えば、緑色)をわずかに異なる色相(例えば、青緑色)に変化させるために使用される。この分類のカラーレンズは、その下の濃い茶色の虹彩を青色に変化させることはできない場合がある。2つ目のカテゴリは、その連続的な不透明のパターンにより虹彩が完全に覆われるか、又はその間欠的な不透明のパターンにより虹彩が完全には覆われない不透明カラーレンズの分類である。不透明カラーコンタクトレンズは、装用者の目の色を実際上、実質的に変化させることができる。
【0004】
特定のコンタクトレンズの消費者は、自分の自然な目の色を大きく変化させずに目をよりよく見せることに関心を示した。消費者は、自分の目がより大きく、よりくっきりとした輪郭で、より輝いて見えるようにしながら、目とシームレスに調和させることによって自然なままにしたいと望んだ。しかしながら、これらの消費者は、自分がコンタクトレンズを使っていることを誰にも知られたくなく、何れのデザインも自然である必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、目をより大きく、強調されたコントラストでより目立つようにすると同時に、その下の装用者の本来の虹彩の構造及び色を保持することのできるカラーコンタクトレンズが依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はカラーコンタクトレンズを提供し、これは第一の色の第一のプリントと第二の色の第二のプリントとを含み、第一のプリントはグラデーションドットマトリクスの環状リングであり、第二のプリントはスペックルパターンの環状リングであり、スペックルパターンの環状リングはの集合のを含み、スペックルパターンの環状リングは環状に分散された規則的又は不規則的形状の集合を含み、規則的又は不規則的形状は多数の円形ドットからなり、スペックルパターンの環状リングは平滑でない内側及び外側境界を有し、第二のプリントは第一のプリントの内側に位置付けられ、第一の色と第二の色は異なっているか、又は同じであり、第一のプリントと第二のプリントはコンタクトレンズの中心と同心である。
【0007】
他の態様において、本発明はカラーコンタクトレンズの製造方法を含み、これは、
プリフォームコンタクトレンズを提供するステップと、
第一の色の不透明カラードットの第一のプリントパターンをコンタクトレンズの前及び後面の少なくとも一方の表面に適用するステップであって、第一のプリントはグラデーションドットマトリクスの環状リングであるようなステップと、
第二の色の不透明カラードットの第二のプリントパターンをコンタクトレンズのその表面上に適用するステップであって、第二のプリントはスペックルパターンの環状リングであり、スペックルパターンの環状リングは、環状に分散された規則的又は不規則的形状の集合を含み、規則的又は不規則的形状は多数の円形ドットからなり、スペックルパターンの環状リングは平滑でない内側及び外側境界を有し、第二のプリントは第一のプリントの内側に位置付けられ、第一の色と第二の色は異なっているか、又は同じであり、第一のプリントと第二のプリントはコンタクトレンズの中心と同心であるようなステップと、
を含む。
【0008】
また別の態様において、本発明はカラーコンタクトレンズの製造方法を含み、これは、
(a)コンタクトレンズの前面を画定する第一の成形面を有する第一の金型半部分と、コンタクトレンズの後面を画定する第二の成形面を有する第二の金型半部分とを含む金型を提供するステップであって、第一及び第二の金型半部分は相互に受け合って、コンタクトレンズ形成キャビティが第一及び第二の成形面間に形成されるように構成されるようなステップと、
(b)パッド転写又はインクジェット印刷技術を使用することにより、第二の色の不透明カラードットの第二のプリントパターンをレンズ金型の成形面のうちの少なくとも一方に適用するステップであって、第二のプリントはスペックルパターンの環状リングであり、スペックルパターンの環状リングは環状に分散された規則的又は不規則的形状の集合を含み、規則的又は不規則的形状は多数の円形ドットからなり、スペックルパターンの環状リングは、平滑でない内側及び外側境界を有するようなステップと、
(c)パッド転写又はインクジェット印刷技術を使用することにより、第一の色の不透明カラードットの第一のプリントパターンを金型のその表面に適用するステップであって、第一のプリントはグラデーションドットマトリクスの環状リングであり、第二のプリントは第一のプリントの内側に位置付けられ、第一の色と第二の色は異なっているか、又は同じであり、第一のプリントと第二のプリントは、コンタクトレンズの中心と同心であるようなステップと、
を含む。
【0009】
本発明のこれら及びその他の態様は、下記のような図面に関して読まれる好ましい実施形態の以下の説明から明らかとなるであろう。当業者にとっては自明であるように、本開示の新規な概念の主旨と範囲から逸脱することなく、本発明の様々な変更と改良がなされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】先行技術のコンタクトレンズを示す。
図2】本発明による、グラデーションドットマトリクスの環状リングパターンである第一のプリントパターンを示す。
図3】スペックルパターンの環状リングパターンである第二のプリントバターンを示す。
図4】第一のチューリップの花のリングパターンである第三のプリントパターンを示す。
図5】第二のチューリップの花のリングパターンである第四のプリントパターンを示す。
図6】本発明による2つのプリントパターン(図2及び図3)を含むコンタクトレンズの例を示す。
図7】本発明による3つのプリントパターン(図2図3、及び図4)を含むコンタクトレンズの例を示す。
図8】本発明による4つのプリントパターン(図2図3図4、及び図5)を含むコンタクトレンズの第三の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで、本発明の実施形態について詳しく述べる。当業者にとっては、本発明の主旨と範囲から逸脱することなく、本発明において様々な改良及び変更を行えることが明らかであろう。例えば、1つの実施形態の一部として図示又は説明されている特徴は、他の実施形態で使用して、また別の実施形態とすることができる。それゆえ、本発明は、付属の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲に含まれるそのような改良及び変更も包含しようとするものである。本発明のその他の目的、特徴、及び態様は、以下の詳細な説明の中で開示されているか、又はそこから自明である。当業者であれば理解するように、本開示は例示的な実施形態の説明にすぎず、本発明のより広い態様を限定しようとするものではない。
【0012】
別段の定義がないかぎり、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術の当業者により一般的に理解されているものと同じ意味を有する。一般に、本明細書で使用されている専門語と検査手順は当技術分野でよく知られ、一般的に使用されている。これらの手順では、当技術分野及び様々な一般的引用において提供されるような従来の方法が使用される。ある用語が単数形で使用されている場合、発明者らはその用語の複数形も想定している。
【0013】
「コンタクトレンズ」は、装用者の眼の表面又はその中に設置できる物体を指す。コンタクトレンズは、患者の視力を矯正、改善し、又は変化させることができるが、それが当てはまらなくてもよい。コンタクトレンズは、当技術分野で知られている、又は今後開発される何れの適当な材料のものとすることもでき、ソフトレンズ、ハードレンズ、又はハイブリッドレンズとすることができる。コンタクトレンズは、何れかのカラーパターンを印刷する前に着色できる。コンタクトレンズは乾燥状態でも湿潤状態でもあり得る。「乾燥状態」とは、加水前の状態のソフトレンズ又は、保管若しくは使用状態にあるハードレンズの状態を指す。「湿潤状態」とは、加水状態のソフトレンズを指す。
【0014】
コンタクトレンズの「前(front又はanterior)面」とは、本明細書で使用されるかぎり、レンズのうち、装用中に目とは反対に向かう面を指す。典型的には実質的に凸状である前面は、レンズのフロントカーブとも呼ばれてよい。
【0015】
「後(rear又はposterior)面」とは、本明細書で使用されるかぎり、レンズのうち、装用中に目に向かう面を指す。典型的には実質的に凹状である後面は、レンズのベースカーブとも呼ばれてよい。
【0016】
「カラーコンタクトレンズ」とは、カラーイメージがその表面に印刷されたコンタクトレンズ(ハード又はソフト)を指す。カラーイメージは美容のためのパターン、例えば虹彩様のパターン、Wild Eye(商標)パターン、オーダメード(MTO:made−to−order)パターン、その他とすることができる。カラーイメージは、単色イメージとすることも、多色イメージとすることもできる。カラーイメージは好ましくはデジタルイメージであるが、アナログイメージとすることもできる。
【0017】
「目の色」という用語は、目の虹彩の色を指す。
【0018】
「通常の観察者」という用語は、本発明のレンズの装用者から約5フィート離れて立っている20/20の正常バージョンを有する人物を意味しようとするものである。
【0019】
「不透明でない」という用語は、本明細書で使用されるかぎり、透明若しくは半透明の色又は、レンズのうち、透明若しくは半透明の無色又は色付きの部分を説明しようとするものである。
【0020】
「着色コーティング」とは、物体表面上の、その中にカラーイメージが印刷されているコーティングを指す。
【0021】
「着色剤」とは、コンタクトレンズに色付きの要素のパターンを印刷するために使用される1種又は複数の染料若しくは1種又は複数の顔料又はそれらの混合物の何れかを意味する。
【0022】
「染料」とは、溶媒又は水に溶け、色を付与するために使用される物質を意味する。染料は典型的に不透明度が低く、ほぼ透明又は半透明である。染料は、コンタクトレンズの光学領域とコンタクトレンズの非光学領域の両方をカバーすることができる。
【0023】
「顔料」とは、それが溶解しない液体の中に分散している粉末状物質を意味する。顔料は、色を付与するために使用される。顔料は一般に、染料より不透明である。
【0024】
「従来の又は非光沢性顔料」という用語は、本明細書で使用されるかぎり、散漫散乱の光学的原理に基づいて色を付与するあらゆる吸収顔料を説明しようとするものであり、その色はその形状に無関係である。何れの適当な非光沢性顔料も利用されてよいが、現在、非光沢性顔料は耐熱性、無毒性を有し、水溶液に溶けないことが好ましい。好ましい非光沢性顔料の例には、医療機器用として認められ、FDAが承認するあらゆる着色剤、例えばD&C Blue No.6、D&C Green No.6、D&C Violet No.2、カルバゾールバイオレット、特定の銅複合体、特定の酸化クロム、各種の酸化鉄、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、二酸化チタン等が含まれる。本発明に使用されてよい着色剤の一覧は、Marmiom DM Handbook of U.S.Colorantsを参照のこと。非光沢性顔料のより好ましい実施形態には、青色に関して、フタロシアニンブルー(ピグメントブルー15:3、C.I.74160)、コバルトブルー(ピグメントブルー36、C.I.77343)、TonerシアンBG(Clariant)、PermajetブルーB2G(Clariant)、緑色に関して、フタロシアニングリーン(ピグメントグリーン7、C.I.74260)及び三二酸化クロム、黄、赤、茶、及び黒色に関して、各種の酸化鉄、PR122、PY154、紫に関して、カルバゾールバイオレット、黒に関して、モノリスブラックC−K(CIBA Specialty Chemicals)が含まれるが、これらに限定されない(C.I.はカラーインデックス番号)。
【0025】
「光沢性」とは、真珠のような光沢を有する、物理的な外観が真珠に似ている、又は、輝いて若干反射性の外観を持つ色を有することを意味する。
【0026】
「光沢性顔料」とは、干渉(効果)顔料の分類を指し、これは、低屈折率材料の透明な薄い小平板(例えば、透明な雲母の小平板)を高屈折率材料(例えば、酸化金属、例えば酸化チタン又は酸化鉄)の光学的に薄いコーティングで被覆したものであり、主として光学的原理又は薄膜干渉に基づいて色を付与する。酸化金属の光学的に薄いコーティングは、酸化金属の1つ又は複数の薄い層で構成できる。小平板に塗布される光学的に薄いコーティングは干渉効果に寄与し、これによって外観は照明及び観察条件によって変化する。色はコーティングの厚さ、屈折率、及び照明角度により決まる。光学的に薄いコーティングはまた、金属酸化膜からの部分反射及び雲母の小平板を通した部分透過による鮮やかな、深い、つやつやした効果の要因でもある。この分類の顔料は、真珠のような光沢と玉虫色の効果を提供できる。
【0027】
酸化物コーティングを伴う雲母の小平板である光沢性顔料は、ニュージャージ州IselinのEnglehard Corp.により“Mearlin Pigment”系列の、例えば“Hi−Lite Interference Colors”、“Dynacolor Pearlescent Pigments”、“MagnaPearl”、“Flamenco”、及び“Celini Colors”等の名称で市販されている。光沢性着色剤のその他のメーカは、ジョージア州SavannahのKemira,Inc.(顔料の商標は“Flonac Lustre Colors”)及びニューヨーク州HawthorneのEM Industries,Inc.(顔料の商標は“Affair Lustre Pigments”)である。
【0028】
「光沢性の色の」という用語は、本明細書で使用されるかぎり、光沢性着色剤で着色された(すなわち、少なくとも1種の光沢性顔料を含む)カラーパターンの要素を説明しようとするものである。
【0029】
光沢性顔料の場合、処理中に小平板の破壊を最小限にし、十分な分散レベルを保持することが重要である。光沢性顔料は混合中に静かに扱う必要があり、これらは擦り砕いたり、又は長時間の混合、粉砕、又はせん断にさらしたりすべきではなく、それは、このような作業が顔料に損傷を与える可能性があるからである。粒径分布、形状、及び配向が最終的な外観に強い影響を与える。光沢性顔料の混合、高いせん断力を生じる混合、又は長時間にわたる処理は、これらの作業が酸化金属で被覆された層の剥離、小平板の破砕、小平板の凝集、及び小平板の圧縮につながる可能性があるため、避けるべきである。参加金属の剥離、圧縮、破砕、及び凝集により、光沢効果が低減するであろう。
【0030】
「光輝効果」という用語は、本明細書で使用されるかぎり、デザイン中の小さい要素と、パターンの残りの部分より明るい色であり得るインクとの組合せを使用することによる効果を説明しようとするものである。メタリック又は光沢性顔料は、その薄片の種類又は構造の性質によって、輝き、きらめき、又は明るさを付与し得る。それに加えて、輝き、きらめき、又は明るい外観はまた、パターンの他の部分と比較して、又は本来の虹彩と比較して、インクの色の明度及び/又は彩度を高めることによっても実現されてよい。CIELAB用語において、これは、プリントパターンの残りの部分及び/又は本来の虹彩のL又はCと比較して、輝き、きらめき、又は明るさの外観を与える対象とされる要素のより高いL(明度)及び/又はC(彩度)の値と等しいであろう。
【0031】
「不均一の、又はぎざぎざの、又は不規則の境界又は周縁」とは、本明細書で使用されるかぎり、その上の最も外側の位置が、相互に少なくとも約20%異なる半径方向距離(すなわち、レンズ中心からの距離)を有する境界又は周辺縁を指す。「均一な境界又は周縁」とは、本明細書で使用されるかぎり、その上の最も外側の位置が実質的に一定の半径方向距離(すなわち、レンズ中心からの距離)を有し、すなわち相互の差が20%未満である境界又は周縁を指す。
【0032】
「プリントカバレージ又はドットカバレージのパーセント」という用語は、領域内の総面積のうち、カラードットにより覆われる部分を指し、これはある面積上のピクセルを特定するためのAdobe Photoshopグラフィック画像編集ソフトウェア)を使って測定される。プリントカバレージのパーセントは次式で計算される。
プリントカバレージ%=[(ドットカバレージ面積のピクセル数)/(総面積のピクセル数)]×100
総面積=プリント面積+非プリント面積
【0033】
「ヒドロゲル」という用語は、平衡含水率が約10〜90パーセントの架橋ポリマを意味する。
【0034】
「レンズ形成材料」とは、熱又は化学線的に(すなわち、化学線により)硬化させて(すなわち、重合及び/又は架橋させて)、架橋ポリマを得ることのできる重合性組成物を指す。化学線の例は、UV照射、電磁放射(例えば、ガンマ線又はX線照射)、マイクロ波照射又はその他である。熱硬化又は化学線硬化法は、当業者の間でよく知られている。レンズ形成材料は当業者の間でよく知られており、例えばHEMAベースヒドロゲル又はシリコーンヒドロゲルである。
【0035】
「HEMAベースヒドロゲル」とは、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を含む重合可能組成物の共重合により得られるヒドロゲルを指す。
【0036】
「シリコーンヒドロゲル」とは、少なくとも1種のシリコーン含有モノマ又は少なくとも1種のシリコーン含有マクロマを含む重合可能組成物の共重合により得られるヒドロゲルを指す。
【0037】
「親水性」とは、本明細書で使用されるかぎり、より容易に結合する材料又はその部分を説明する。
【0038】
「カラーコンタクトレンズを製造するためのプリントオンモールドプロセス」とは、Rawlings et al.の米国特許第5,034,166号明細書(参照により本願に援用する)に記載されているカラーコンタクトレンズの成形プロセスを指す。
【0039】
本発明は、装用者の本来の目の色を強調し、それらをより目立つようにしながら、通常の観察者により認識される非常に自然な外観を提供するように設計されたカラーコンタクトレンズに関する。
【0040】
例えば、特定の、黒い目のコンタクトレンズ消費者は、その自然の目の色を大きく変化させずに、目を強調させることに関心を示している。彼らは自分の目を、より黒く見え、より目立ち、より大きく見え、より輝いて見えるようにしながら、目とシームレスに調和させることによって自然なままにしたいと望む。しかしながら、これらの消費者は、自分がコンタクトレンズを装用していることを誰にも知られたくなく、あらゆるデザインは自然である必要がある。薄い色の(すなわち、青又は緑色)及び中間の色の(すなわち、とび色又は淡褐色)のコンタクトレンズ消費者もまた、自分の目を、その本来の目の色を変えることなく、劇的に、ただし自然に強調することに同様の関心を示す。
【0041】
このような美容効果(すなわち、装用者の目の色を強調し、それらをより目立たせながら、非常に自然な外観を提供する)は、コンタクトレンズにカラーデザインを設けて、装用者の目、特にその角膜輪部のコントラストを強調することによって実現できることが発見された。このデザインは、従来の手段を通じてコンタクトレンズ表面に印刷することにより適用できる。本発明は、この色を目に提供しながら装用者の本来の目の色と調和させる特定のデザインと色を例示している。本明細書に記載の発明は、一連のリングを相互に重ねて所望の効果を提供するものである。この第一のプリント層は、下にある角膜輪部と虹彩の構造が見えるようなグラデーションドットマトリクスの拡散パターンである。本発明の第一のプリントのデザインは、特に第一のプリントが第二のプリントの上に重ねられたときに、自然な見え方のパターンと装用者の本来の目との高いコントラストという両方の属性を提供するのに役立つ。第一のプリントは、下にある虹彩で反射した光の一部を遮断して、本来の目とうまく調和されるようにする。第二のプリントは、スペックルパターンの環状リングであり、スペックルパターンの環状リングは、環状に分散された不規則なスペックル形状の集合を含み、スペックル形状は多数の小さいドットからなり、スペックルパターンの環状リングは平滑でない内側及び外側境界を有する。
【0042】
第二のプリントは、第一のプリントの内側に位置付けられ、円形の境界が第一及び第二のプリントを区別し、円形の境界は一様又はぎざぎざであり、第一の色と第二の色は異なっているか、又は同じであり、第一のプリントと円形の境界はコンタクトレンズの中心と同心である。スペックル環状リングパターンの幅は、グラデーションドットマトリクスの環状リングの幅の約30〜90%である。スペックルパターンの環状リングの第二のプリントは、グラデーションドットマトリクスの環状リングの第一のプリントを強調できる。スペックルパターンの環状リングはグラデーションドットマトリクスの環状リングと重ねられ、スペックルパターンの内径はグラデーションドットリングの内径より小さく、リングの中心は相互に同心である。グラデーションドットマトリクスパターンの強調された環状リングは、グラデーションドットマトリクスパターンの強調されていない環状リングよりさらに魅力的なデザインを提供し、ずっと大きく、より目立つ目に見える。
【0043】
重ね合わせられた2層は所望のカラーデザインを提供し、これは1層だけの場合より装用者の本来の角膜輪部を覆い、目の色を強調する。目の上に載せられると、パターンは魅力的なデザインを提供し、より大きく、より目立つ目に見える。また、このような美容効果(すなわち、装用者の目の色を強調し、それらをより目立たせながら、非常に自然な外観を提供する)は、黒い目のほか、他の多くの目の色を有するコンタクトレンズ装用者にとって特に効果があることが発見された。より大きい外観は、デザインパターンの大きさを大きくして、その結果として、最終的なレンズ上のパターンがより大きくなり、それによって虹彩がより大きい、目の上の所望の外観が実現されるようにすることによって作られる。本特許出願のこの第一のプリントパターンは、本来の虹彩の外側部分(本来の瞳孔領域の外側)、本来の角膜輪部、及び本来の強膜のうち本来の虹彩のすぐ外側の部分を覆うようにしようとされる。したがって、本特許出願によれば、より大きな外観は、グラデーションドットマトリクスの環状リングの第一のプリントパターンの大きさを大きくすることによって作られ、スペックルパターンの環状リングの第二のプリントにより強調される。さらに、第三の色の第三のプリントをさらに含む上述のコンタクトレンズは、本来の黒い目に明るさ及び深さを与えることが発見された。同じ、又は追加された色、色相、及び濃淡により、さらに深さが増し、それによって微妙な変化を生じさせ、レンズを装用する黒い目の人物の虹彩の色を強調し、その一方で、非常に自然な外観を付与することのできるコンタクトレンズを提供する。本願によれば、第三のプリントは第一のチューリップの花のリングパターンであり、第三のプリントの外径は第二のプリントのそれと同じかそれより小さく、第三のプリントの内径は第二のプリントのそれより小さく、1つのチューリップの花は、2つの要素を含む形状であり、すなわち第一の要素は中心がより厚く、より薄い第一の端と第二の端を有するぜん虫のような形状であり、第二の要素は第一の要素の鏡像で、第一の要素の第一の端と第二の要素の第一の端が集束して相互に接触し、第一の要素の第二の端と第二の要素の第二の端は発散し、チューリップの花は環状に繰り返されて集束点が内向きのリングを形成し、第一の色、第二の色、及び第三の色は異なっているか、又は同じであり、第一のプリント、第二のプリント、及び第三のプリントはコンタクトレンズの中心と同心である。
【0044】
さらに、上記のコンタクトレンズは第四の色の第四のプリントをさらに含むことが発見され、第四のプリントは第二のチューリップの花のリングのパターンであり、第二のチューリップの花のリングは、チューリップの花を環状に繰り返して、発散点が内向きの(瞳孔に向かう)リングを形成することによって形成される。第四のプリントは環状のチューリップの花を有して発散点が内向き(瞳孔に向かう)のリングを形成し、第三のプリントは環状のチューリップの花を有し、集束点が内向き(瞳孔に向かう)のリングを形成する。第三のプリントパターンと第四のプリントパターンはずれているため、同じ又は追加された色を強調して、より自然に見えるためのコンタクトレンズパターンを付与し、さらなる深さを追加するための余地が得られる。
【0045】
本特許出願によれば、輝き、きらめき、又は明るさは、デザイン内の小さい要素と、パターンの残りの部分より明るい可能性があるインクとの組合せを使用することによって目に付与されてよい。メタリック又は光沢性顔料は、その薄片の種類又は構造の性質により輝き、きらめき、又は明るさを付与し得るが、輝き、きらめき、又は明るい外観は、パターンの他の部分と比較して、又は本来の虹彩と比較して、インクの色の明度及び/又は彩度を増大させることによっても実現され得る。CIELAB用語において、これは、プリントパターンの残りの部分及び/又は本来の虹彩のL又はCと比較して、輝き、きらめき、又は明るさの外観を与える対象とされる要素のより高いL(明度)及び/又はC(彩度)の値と等しいであろう。
【0046】
CIELAB色空間では、Lの値は黒から白の範囲のグレイスケールと比較した色の明示を指す。Cは色の彩度、すなわち色のグレイスケールからのずれを指す。これは色の飽和度と類似しているが、厳密には同じでない。色相角h°は色の色相を指し、これは基本色の名前、すなわち赤、橙、黄、緑、青、紫と考えることができる。
【0047】
コンタクトレンズに輝き、きらめき、又は明るさを付与するために、所期の要素は美容レンズにおいて使用されるその他の色より10〜90L単位だけ高くすべきであるか、又は所期の要素のCは美容レンズで使用されるその他の色より10〜90C単位だけ高くすべきである。理想的には、LとCのどちらも、美容レンズで使用されるその他の色の色より10〜90単位だけ高くすべきである。
【0048】
例えば、黒い外側リングと、目に調和させようとされる幾つかの茶色のスペックルパターン要素とを有するプリントパターンは、橙又は黄色であってよい小さい炎の形状の幾つかの斑点も含んでいてよく、雲母等の光沢性顔料を含んでいても、いなくてもよい。橙又は黄色は、その性質から茶色よりL及びCの値が高く、それは、茶色は彩度の低い橙色と考えられ、それ自体の色相とは考えられないからである。この例において、橙及び黄色はそのレンズで使用される黒及び茶色より少なくとも10L及び/又はC単位だけ高いであろう。
【0049】
輝きを付与するための要素の色相は、そのプリントパターンの残りの部分のインクと同様であっても、そうでなくてもよい。例えば、L及びC単位がより低い青い要素は、この、本来は茶色及び黒の美容レンズに使用されてよい。
【0050】
1つの態様において、本発明はカラーコンタクトレンズを提供し、これは、第一の色の第一のプリントと第二の色の第二のプリントを含み、第一のプリントはグラデーションドットマトリクスの環状リングであり、第二のプリントはスペックルパターンの環状リングであり、スペックルパターンの環状リングは〜の集合の〜を含み、スペックルパターンの環状リングは環状に分散された規則的又は不規則的形状の集合を含み、規則的又は不規則的形状は、多数の円形のドットからなり、スペックルパターンの環状リングは平滑でない内側及び外側境界を含み、第二のプリントは第一のプリントの内側に位置付けられ、第一の色と第二の色は異なるか、又は同じであり、第一のプリントと第二のプリントはコンタクトレンズの中心と同心である。
【0051】
当業界で知られているように、色は一般に、主として相互に関係する以下の用語、すなわち、色相、彩度、強度、飽和度、輝度、明るさ、値、及び不透明度により説明される。
【0052】
「異なる色」という用語は、2つの色が色相、彩度、強度、飽和度、輝度、明るさ、値、及び不透明度のうちの少なくとも1つにおいて異なることを説明しようとするものである。「前記第一の色とは異なる第二の色」という用語(又はこれと同様の文言)は、本明細書で使用されるかぎり、両方の色が完全に異なる色、例えば青ととび色であるか、又は両方の色が同じ色相であるが異なる明るさ、値を有する、例えばライトブルーとダークブルーであることを意味しようとするものである。
【0053】
「グラデーションドットマトリクスの環状リング」という用語は、プリント濃度を増大させることによって、局所的なカラードットカバレージを環状リングの半径方向に(中心から縁に向かって)徐々に大きくすることを意味しようとするものである。例えば、環状リングの外周縁の付近の領域内で印刷されるカラードットの数が多くなると、環状リングの外周縁は環状リングの内周縁より濃く見える。代替的に、各ドットの中心間の間隔を一定にして、環状リングの外周縁の付近の領域内のカラードットの大きさを大きくすると、環状リングの外周縁は環状リングの内周縁より濃く見える。代替的に、プリント濃度は、プリント領域を除去することによって、例えば高いプリント濃度領域からプリントを除去することによって(すなわち、円形の空白)低下させることができる。環状リングの内周縁は、カラーレンズの中心に最も近い縁と呼ばれる。環状リングの外周縁は、カラーレンズの中心から最も遠い縁と呼ばれる。代替的に、グラデーションドットマトリクスは、一定のドット密度で構成できる。
【0054】
プリントカラードット又は空白領域は、円形、楕円形、三角形、正方形、六角形、長尺状等、規則的又は不規則的な何れの形状を有することもできる。すべてのカラードット又は空白領域は、同様の形状を有することも、異なる形状を有することもできる。好ましくは、すべてのプリントドット又は空白領域は、実質的に同じ形状を有する。さらに好ましくは、すべてのドット又は空白領域は円形の形状を有する。
【0055】
ドットの大きさの範囲は好ましくは、0.01〜約0.5mmである。ドット間の間隔は好ましくは、0.01〜約0.3mmである。また、除去されるプリント領域は、0.01〜約0.3mmの円(すなわち、円形の空白)であり、間隔は0.01〜0.3mmである。
【0056】
図1は、例として先行技術のコンタクトレンズを示す。これは、レンズの中央の不透明でない瞳孔セクション20と、瞳孔セクションを取り囲む環状虹彩セクション21とを有する。親水性レンズの場合、透明な周辺セクション22が虹彩セクション21を取り囲む。色付きの不透明な間欠的パターンは、図1に示されるように、環状セクション21の全体にわたって位置付けられる。このパターンにより、瞳孔セクションの、パターンの隙間内の実質的部分は不透明でないまま残る。虹彩セクション21の不透明でない領域は、図1においては白く見える。
【0057】
図2は、例としてグラデーションドットマトリクスの環状リングからなる「第一のプリントパターン」を概略的に示す。ドット、好ましくは不透明のドットは、規則的又は不規則的な、円形、楕円形、三角形、正方形、六角形、長尺状等、何れの形状を有することもできる。すべてのドットは同様の形状を有することも、異なる形状を有することもできる。好ましくは、すべてのドットは実質的に同様の形状を有する。さらに好ましくは、すべてのドットは円形の形状を有する。第一のプリントパターンは、レンズの中心と同心であり、実質的に一様な外周縁と実質的に一様な内周縁を有する。第一のプリントの外周縁の直径は約12.5mm〜約15mmであり、第一のプリンとの幅は約0.8mm〜約3.5mm、好ましくは約2.0mm〜約3.0mmである。第一のプリントは、多くの色、例えば黒、青、グレー、茶、ライトブルー、ターコイズ、紫、ダークバイオレット、青緑、黄、又は緑とすることができる。第一のプリントのための好ましい色は黒又は茶である。
【0058】
図3は「第二のプリントパターン」を示しており、これはスペックルパターンの環状リングである。本願によれば、スペックルパターンの環状リングは、環状に分散された、円形、長円形、三角形、正方形、六角形、長尺状等の規則的又は不規則的形状の集合からなり、規則的又は不規則的形状は多数の円形のドットからなる。本発明によれば、多数の円形ドットとは、4〜2500、好ましくは10〜1500、より好ましくは15〜500、さらにより好ましくは20〜300の円形ドットを指す。スペックル環状リングパターンの幅は、グラデーションドットマトリクスの環状リングの幅の約30〜90%である。
【0059】
図4は、本発明によるチューリップの花のパターンである「第三のプリントパターン」を示しており、第三のパターンは第一のチューリップの花のリングパターンであり、2つの要素を含む形状を有し、第一の要素は、より厚い中央部を有し、第一の端と第二の端においてより薄い、ぜん虫のような形状であり、第二の要素は第一の要素の鏡像であり、第一の要素の第一の端と第二の要素の第一の端は集束して相互に接触し、第一の要素の第二の端と第二の要素の第二の端は発散し、チューリップの花は環状に繰り返されて、集束点が内向きのリングを形成して、U字型の盃の形状を作る。
【0060】
第三の要素は、第一の要素を小さくしたものであり、U字型の盃の中に設置され、少なくとも片側で接触する。
【0061】
本発明によれば、チューリップの花の形状は、3つすべての要素を含んでいても、又は任意選択により最初の2つの要素のみを含んでいてもよい。この形状は環状に繰り返されて、集束点が内向きのリングが形成される。
【0062】
図5は、本発明による第二のチューリップの花のパターンである「第四のプリントパターン」を示す。第二のチューリップの花のパターンもまた、チューリップの花の形状からなり、これは環状リングに沿って繰り返されている。第二のチューリップの花の形状は、図3に示される第一のチューリップの花の形状と同じであるが、以下の点が異なる:1)チューリップの花の形状は環状に繰り返されて、集束点がコンタクトレンズパターンの中心に向かう内向きのリングが形成され、2)チューリップの花の形状はより小さいか、又はより大きい。
【0063】
図6は、図2のグラデーションドットマトリクスの環状リングと図3のスペックルパターンの環状リングとの組合せである、強調された外側リングパターンを形成する2つのプリントパターンを含むコンタクトレンズの例を示す。スペックルパターンの環状リングの内径はグラデーションドットマトリクスの環状リングの内径より小さく、リングの中心は相互に同心である。このスペックルパターンの環状リングは、本来の虹彩とよりよく調和する。
【0064】
図7は、本発明による3つのプリントパターン(図2図3、及び図4)を含むコンタクトレンズの例を示す。図7のデザインは3プリントパターンであり、一番上のパターンは、濃い、輪郭のくっきりした外側リングであり、これは特に虹彩の直径の見た目を増大させることが意図される。グラデーションドットパターン(図2)に、スペックルパターンの環状リング(図3)が重ねられる。スペックルパターンの環状リングは、環状に分散された規則的又は不規則的形状の集合を含み、規則的又は不規則的形状は多数の円形のドットからなる。スペックルパターンの環状リングは、平滑でない内側及び外側境界を有する。本発明によれば、スペックル環状リングパターンの幅は、グラデーションドットマトリクスの環状リングの幅の約30〜90%、好ましくは約35〜80%、より好ましくは40〜70%である。層を別々に評価すると、スペックルパターンの内径はグラデーションドットリングの内径より小さく、リングの中心は相互に同心である。このスペックルパターンは、本来の虹彩とよりよく調和する。強調された外側リングパターンを形成するパターンの組合せは、図6に示されている。
【0065】
図8は、本発明による4つのプリントパターン(図2図3図4、及び図5)を含むコンタクトレンズの第三の例を示す。図8は4プリントパターンであり、一番上のパターンは、濃い、輪郭のくっきりとした外側リングであり、これは特に虹彩の直径の見た目を増大させることが意図される。第四の層は、第一のチューリップのリングのパターンと比較して、異なる方法で環状リングに沿って繰り返され、同様のチューリップの花の形状からなる第二のチューリップの花のリングパターンである。
【0066】
第二のチューリップの花のリングパターンもまた、2つの要素を含む形状を有し、第一の要素は、より厚い中央部を有し、第一の端と第二の端においてより薄い、ぜん虫の形状であり、第二の要素は第一の要素の鏡像であり、第一の要素の第一の端と第二の要素の第一の端は集束して相互に触れ、第一の要素の第二の端と第二の要素の第二の端は発散し、チューリップの花は環状に繰り返されて、発散点が内向きの(瞳孔に向かう)リングを形成し、U字型の盃の形状ができる。
【0067】
第三の要素は、第一の要素を小さくしたものであり、U字型の盃の中に配置され、少なくとも片側で接触する。
【0068】
この形状は3つすべての要素を含んでいても、又は任意選択により最初の2つの要素のみを含んでいてもよい。この形状は環状に繰り返されて、図4に示されるような第一のチューリップの花のプリントパターンの場合、集束点が内向き(瞳孔に向かう)のリングが形成される。他のパターン層はこの形状を利用し、同じく環状に繰り返されてリングを形成するが、図5に示される第二のチューリップの花のプリントパターンの場合、発散点が内向きである(瞳孔に向かう)。
【0069】
4つのパターンの組合せにより、外側層と本来の虹彩の両方と調和する太く、濃い外側リングとレース状の構造が得られ、その太く、長い波がランダムに重なって、カバレージのない領域と、両方の層が重なる領域とがあり、これは本来の虹彩とよく調和し、レンズの外観に深さ、きらめき、又は輝きを提供し得るデザインを実現する。
【0070】
4つのパターンの組合せは図8に示されている。このデザインでは、第一のチューリップの花のようなプリントパターンは強調された外側リングプリントパターンの直径の約85%〜95%である。それに加えて、第二のチューリップの花のプリントパターンは強調された外側リングプリントパターンの直径の約80%〜95%である。
【0071】
目の表面に載せられると、本発明によるパターンは魅力的なデザインを提供し、より大きく、より目立つ目に見える。
【0072】
カラーコンタクトレンズは、プリフォームコンタクトレンズにインクを直接塗布することによって製作できる。本発明による好ましいコンタクトレンズへのインク塗布方法は、インク、好ましくは水性インクを用いた印刷、例えばパッド転写印刷及び/又はインクジェット印刷による。
【0073】
インクは典型的に、少なくとも1種の着色剤、バインダポリマ、及び溶媒を含む。インクは任意選択により、架橋剤、保水剤、表面活性剤、モノマ、重合開始剤、抗菌剤、酸化防止剤、anti−kogating剤、及び当業界で知られているその他の添加剤を含むことができる。
【0074】
着色剤は、少なくとも1種の染料又は、好ましくは1種の顔料を含む。本発明では、従来の、及び/又は光沢性顔料を使用できる。
【0075】
溶媒は、水(水性インク)又は他の何れの適当な有機溶媒(有機溶媒系インク)とすることもできる。本発明のインクにバインダを溶解させて、着色剤の安定化を助けることができるかぎり、何れの適当な既知の溶媒でも使用できる。好ましい溶媒の例には、水、又は水と1種又は複数のコソルベントとの混合物が含まれる。代替的に、アルコール、グリコール、ケトン、エステル、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、及びシクロヘキサノン等の有機溶媒を使用できる。
【0076】
「バインダポリマ」とは、当業界でその用語が知られているように、架橋剤により架橋可能であるか、又は化学薬品若しくは物理的手段(例えば、水分、加熱、UV照射その他)により開始されるとコンタクトレンズ上に着色剤を捕捉若しくは結合することが可能な架橋ポリマを指す。
【0077】
架橋基という用語は、本明細書において広い意味で使用され、例えば、当業者の間でよく知られている官能基及び光架橋又は熱架橋基を包含しようとするものである。2つの適合する架橋基が、例えば酸化還元条件、脱水縮合条件、添加条件、置換(又は転置)条件、フリーラジカル重合条件、2+2環化付加条件、Diels−Alder反応条件、ROMP(環開メタセシス重合)条件、加硫条件、カチオン架橋条件、及びエポキシ硬化条件等の既知の反応条件下で共有結合又はリンケージを形成できることは当業界で知られている。例えば、アミノ基はアルデヒドと共有結合可能であり(アルデヒド基とアミノ基から形成されるシッフ塩基はさらに還元されてよい)、ヒドロキシル基とアミノ基はカルボキシル基と共有結合可能であり、カルボキシル基とスルホ基はヒドロキシル基と共有結合可能であり、メルカプト基はアミノ基と共有結合可能であり、又は炭素−炭素二重結合は別の炭素−炭素二重結合と共有結合可能である。2種類の架橋基間で形成される例示的な共有結合又はリンケージには、アルカン(炭素−炭素単結合)、アルケン(炭素−炭素二重結合)、エステル、エーテル、アセタール、ケタール、ビニルエーテル、カルバミン酸塩、尿素、アミン、アミド、エナミン、アミン、オキシム、アミジン、イミノエステル、カーボネート、オルソエステル、ホスホン酸、ホスフィナート、スルホン酸、スルフィナート、硫化物、硫酸塩、ジスルフィド、スルフィンアミド、スルフォンアミド、チオエステル、アリル、シラン、シロキサン、ヘテロ環、チオカルボナート、チオカルバメート、及びホスホンアミドが含まれるが、これらに限定されない。
【0078】
例示的な架橋基には、ヒドロキシル基、アミン基、アミド基、スルフヒドリル基、−COOR(RとR’は水素又はC〜Cアルキル基である)、ハライド(塩化物、臭化物、ヨウ化物)、塩化アクリル、イソチオシアネート、イソシアネート、モノクロロトリアジン、ジクロロトリアジン、モノ若しくはジハロゲン置換ピリジン、モノ若しくはジハロゲン置換ジアジン、ホスホラミダイト、マレイミド、アジリジン、ハロゲン化スルホニル、ヒドロキシスクシミドエステル、ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル、イミドエステル、ヒドラジン、アキシトラニトロフェニル基、アジド、3−(2−ピリジルジチオ)プロプリオンアミド、グリオキサール、アルデヒド、エポキシ、オレフィン性不飽和ラジカルが含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
インク中のバインダポリマは、レンズ材料と適合可能な何れのポリマとすることもできる。バインダポリマは、ビニルアルコール、ビニルブチラール、ビニルアセテート、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸及びメタクリル酸のヒドロキシC〜Cアルキルエステル、アクリル酸及びメタクリル酸のアミノC〜Cアルキルエステル、アクリル酸及びメタクリル酸のグリセロールエステル、ビニルピロリドン、塩化ビニル、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアクリルアミド、その他を含むモノマの重合により調製できる。これらの異なるモノマの混合物を作り、各種のコポリマを形成できる。その他のポリマには、各種のセルロース樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリユリア、又は少なくとも1種の架橋基を有するポリアミドが含まれる。好ましくは、結合ポリマの調製に使用されるモノマは、レンズを製作するために使用されるモノマのためのそれと同じである。
【0080】
本発明のカラーレンズを印刷するためのインクは、何れの既知の適当な方法に従っても調製できる。例えば、まず、結合ポリマと溶媒の溶液が調製され、この溶液が着色剤を含有するペーストと混合されて、インクが形成される。
【0081】
パッド転写印刷は当業界でよく知られている(例えば、参照によってその全体が本願に援用される、Spivackの米国特許第3,536,386号明細書、Knappの同第4,582,402号明細書及び同第4,704,017号明細書、Rawlings et al.の同第5,034,166号明細書を参照のこと)。この印刷の典型的な例は次の通りである。イメージを金属にエッチングしてクリシェを形成する。クリシェをプリンタ内にセットする。プリンタにセットしたら、クリシェに開放型インクウェルドクタリングシステム又は、イメージに沿ってスライドする閉鎖型インクカップの何れかによって、インクをクリシェに供給する。次に、シリコーン製パッドでクリシェからインクの塗られたイメージを拾い上げ、イメージをコンタクトレンズに転写する。シリコーンパッドは、弾力性が変化し得るシリコーン含有材料からなる。シリコーン材料の特性により、インクはパッドに一時的に付着して、コンタクトレンズ又は金型と接触するとパッドから完全に離れる。適当なパッド転写印刷構造には、それらが当業界で知られているように、タンポ型印刷構造(Tampo vario 90/130)、ゴム製スタンプ、シンブル、ドクタブレード、直接印刷、又は転写印刷が含まれるが、これらに限定されない。
【0082】
本発明では、既知の何れの適当なシリコーンパッドも使用できる。シリコーンパッドは市販されている。しかしながら、異なるパッドにより異なる印刷品質を提供できる。当業者であれば、あるインクに対してどのようにパッドを選択すべきかわかるであろう。
【0083】
クリシェは、セラミック又は金属(例えば、スチール)で製造できる。クリシェがスチール製である場合、バッファ(例えば、リン酸)を添加することにより、水性インクのpHを中和することが望ましいであろう(例えば、pH6.8〜7.8に調整した)。イメージは、当業者の間で知られている何れの方法によってもクリシェにエッチングでき、これは例えば化学的エッチング又はレーザアブレーションその他による。また、使用後に当業者の間で知られている標準的な洗浄法、例えば溶剤への浸漬、超音波処理、又は機械的アブレーションを使ってクリシェを洗浄することも望ましい。
【0084】
レンズの前(凸状)又は後(凹状)面の何れかが印刷されるが、現在のところ、前面への印刷が好ましいと理解されたい。
【0085】
インクジェット印刷プロセスを使ったレンズの印刷は、米国特許出願公開第2001/0050753号明細書、同第2001/0085934号明細書、同第2003/0119943号明細書、及び同第2003/0184710号明細書に記載されており、これらの全体を参照によって本願に援用する。
【0086】
好ましい実施形態によれば、カラーコンタクトレンズは、少なくともレンズのカラー領域を覆う透明コーティングをさらに含んでいてもよい。透明コーティングは、何れの着色剤も含まない透明な重合可能溶液の層を、カラープリントを有するレンズ表面に適用し、その後、透明な重合可能溶液の層を重合することによって、カラー領域に形成できる。透明コーティングは、着色剤の浸出を最小化し得、装用者の着け心地を改善し得る。
【0087】
代替的に、本発明のカラーコンタクトレンズは、Rawlings et al.の米国特許第5,034,166号明細書(参照により援用する)に記載されているものと同様のプリントオンモールドプロセスにより製作できる。インクは、まず、パッド転写印刷(若しくは、パッド印刷)又はインクジェット印刷を使って一方又は両方の金型部分の成形面上に塗布してカラーコーティングを形成する(カラーイメージを伴う)。カラーコーティングは、コンタクトレンズの後(凹状)面を画定する成形面にも、又はコンタクトレンズの前面を画定する成形面にも、又は両方の金型部分にも塗布できる。好ましくは、カラーコーティング(カラーイメージを伴う)は、コンタクトレンズの前面を画定する成形面に塗布される。
【0088】
任意選択により、パッド転写印刷によりインクを塗布する前に、転移可能コーティングを金型の成形面に塗布できる。転移コーティングは、金型の成形面から外して、金型で成型されるコンタクトレンズの本体と一体化できるコーティングを説明しようとするものである。転移可能コーティングは、金型の成形面に何れの適当な技術によっても塗布でき、これは例えば、スプレー、印刷、スワビング、又は浸漬法である。転移可能コーティングは、重合成分を含み、何れの着色剤も含まない溶液から形成できる。例えば、実質的に均一な厚さ(200マイクロメートル未満)の転移可能コーティングは、使用されることになるインクの成分(着色剤を含まない)を有する溶液又は使用されることになるプレポリマ若しくはレンズ形成材料の溶液を成形面にスプレーすることにより形成できる。この転移可能コーティングは任意選択により、乾燥又は硬化によって転移可能透明フィルム(顔料は含まないが、任意選択により反応性染料等の染料を含む)を形成できる。すると、1つ又は複数のカラーパターンを、この転移可能コーティング又はフィルムの下に印刷できる。印刷の前に転移可能コーティングを適用することにより、印刷されたカラーパターンが、転移可能コーティングから得られたフィルムのすぐ下に埋め込まれたカラーレンズを製作できる。このようなレンズは、より快適な装用感が得られ、カラーレンズからの着色剤の浸出がはるかに生じにくい。
【0089】
本発明のインクを金型の成形面に印刷した後、印刷されたインクはUV又はその他の化学線により硬化させて、本発明によるカラーフィルムを形成できる。印刷されたインクは、その後のレンズ成形材料の充填から得られるカラーコーティングのパターンの精細度の損失が最小限となる程度まで化学線により硬化させることが望ましい。
【0090】
コンタクトレンズを製作するためのレンズ金型は、当業者の間でよく知られており、例えば注型成型又はスピンキャストで使用される。例えば、金型(注型成型のため)は一般に、少なくとも2つの金型セクション(又は部)又は金型半部分、すなわち第一及び第二の金型半部分を含む。第一の金型半部分は、第一の成形(又は光学)面を画定し、第二の金型半部分は第二の成形(又は光学)面を画定する。第一及び第二の金型半部分は、相互に受け合い、レンズ形成キャビティが第一の成形面と第二の成形面との間に形成されるように構成される。金型半部分の成形面は金型のキャビティ形成面であり、レンズ形成材料と直接接触する。
【0091】
コンタクトレンズを注型成型するための金型セクションの製造方法は、一般に当業者の間でよく知られている。本発明のプロセスは、何れの特定の金型形成方法にも限定されない。実際に、本発明では何れの金型形成方法も使用できる。第一及び第二の金型半部分は、様々な技術、例えば射出成型又は旋盤加工で形成できる。金型半部分を形成するのに適したプロセスの例は、Schadの米国特許第4,444,711号明細書、Boehm et al.の同第4,460,534号明細書、Morrillの同第5,843,346号明細書、及びBoneberger et al.の同第5,894,002号明細書において開示されており、これらもまた参照によって本願に援用する。
【0092】
コンタクトレンズ製造用の金型を作るためには、当業界で知られている事実上すべての材料を使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、PMMA、Topas(登録商標)COCグレード8007−S10(ドイツのフランクフルト及びニュージャージ州SummitのTicona GmbHが販売するエチレンとノルボルネンの透明アモルファスコポリマ)、その他のポリマ材料を使用できる。石英ガラスやサファイヤ等、UV光を透過させるその他の材料も使用できる。
【0093】
本発明では何れのレンズ形成材料でも使用でき、現時点では本発明のこの態様の重要部分とはみなされない。コンタクトレンズの製造に適したレンズ形成材料は、多くの発行済み米国特許により示されており、当業者には馴染みがある。好ましいレンズ形成材料は、ヒドロゲルを形成できる。レンズ形成材料は、1種又は複数のプレポリマ、任意選択により1種又は複数のビニル性モノマ及び/又はマクロマを含むことができ、また、任意選択により、各種の成分、例えば光重合開始剤、視認性着色剤、フィラ、その他をさらに含むことができる。本発明では何れのシリコーン含有プレポリマ又は何れのシリコーンフリープレポリマも使用できると理解すべきである。
【0094】
好ましいレンズ形成材料群は、前述のような水溶性及び/又は溶融可能プレポリマである。レンズ形成材料が主として、好ましくは実質的に純粋な形態の(例えば、限外ろ過により純化された)1種又は複数のプレポリマを含むことが有利であろう。したがって、化学線による架橋/重合の後、コンタクトレンズには実践上、比重合成分の複雑な抽出等のその後の純化が不要であり得る。さらに、架橋/重合は、溶剤を使用せずに、又は水溶液中で行われてよいため、その後の溶媒交換又は加水ステップを必要としない。
【0095】
当業者であれば、レンズ形成キャビティ内でレンズ形成材料を化学線又は熱により硬化させてコンタクトレンズを形成する方法がよくわかる。
【0096】
好ましい実施形態において、レンズ形成材料が溶液、溶媒不使用液体、又は任意選択により他の成分も存在する1種又は複数のプレポリマの溶融物である場合、再使用可能な金型が使用され、レンズ形成材料は、化学線が空間的に限定される条件下での化学線により硬化されて、カラーコンタクトレンズが形成される。好ましい再使用可能金型の例は、1994年7月14日出願の米国特許出願第08/274,942号明細書、2003年12月10日出願の同第10/732,566号明細書、2003年11月25日出願の同第10/721,913号明細書、及び米国特許第6,627,124号明細書において開示されており、これらの全体を参照によって援用する。
【0097】
この場合、レンズ形成材料は2つの金型半部分からなる金型に注入され、2つの金型半部分は相互に接触していないが、それらの間に配置された環状デザインの細いギャップを有する。ギャップは金型キャビティとつながり、それによって余剰のレンズ材料はギャップの中へと流れることができる。1回のみ使用できるポリプロピレン金型の代わりに、再使用可能な石英、ガラス、又はサファイヤ製金型を使用することが可能であり、これは、レンズ製造後に、これらの金型を水又は適当な溶剤を使って迅速に洗浄、乾燥し、架橋されないプレポリマ及びその他の残留物を有効に取り除くことができるからである。再使用可能金型もまた、ドイツのフランクフルト及びニュージャージ州SummitのTicona GmbHが販売するTopas(登録商標)COCグレード8007−S10(エチレンとノルボルネンの透明アモルファスコポリマ)から製作できる。金型半部分は製造しようとするレンズの領域、すなわちキャビティ又は実際の成形面では相互に接触しないため、接触による損傷が排除される。これにより、金型の長い使用可能期間が確保され、その結果、特に、製造しようとするコンタクトレンズの再現性も確実に高くなる。
【0098】
コンタクトレンズの2つの反対の面(前面と後面)は2つ成形面により画定され、縁部は金型の壁ではなく、化学線照射の空間限定により画定される。典型的に、2つの成形面と、空間限定の十分に定められた周辺境界により区切られる領域内のレンズ形成材料だけが架橋され、それに対して、空間限定の周辺境界の外、及びそのすぐ周辺の任意のレンズ形成材料は架橋されず、それによってコンタクトレンズの縁部は平滑であり、化学線の空間限界の寸法と形状が精密に再現されるはずである。このようなコンタクトレンズ製造方法は、1994年7月14日出願の米国特許出願第08/274,942号明細書、2003年12月10日出願の同第10/732,566号明細書、2003年11月25日出願の同第10/721,913号明細書、及び米国特許第6,627,124号明細書に記載されており、これらの全体を参照により援用する。
【0099】
化学線の空間限定(又はエネルギー衝突の空間的制限)は、1994年7月14日出願の米国特許出願第08/274,942号明細書及び米国特許第6,627,124号明細書(その全体を参照により本願に援用する)に示されているような、使用されるエネルギーの特定の形態に対して少なくとも部分的に不透過性の金型用マスキングにより、又は2003年12月10日出願の米国特許出願第10/732,566号明細書、2003年11月25日出願の同第10/721,913号明細書、及び米国特許第6,627,124号明細書(その全体を参照により本願に援用する)に示されているような、少なくとも片側において架橋させるためのエネルギー形態に対する透過性が高く、そのエネルギーに対して不透過性又は透過性の低い金型パーツを有する金型により実現可能である。架橋に使用されるエネルギーは、放射エネルギー、特にUV光、ガンマ線、電子線、又は熱線であり、放射エネルギーは好ましくは、一方で良好な制限、他方でエネルギーの十分な利用を達成するために、実質的に平行なビームの形態である。
【0100】
本発明のインクは、金型からコンタクトレンズへのカラーコーティングの良好な転移可能性と、成形されたレンズとの良好な接着性とを有するべきであると理解すべきである。その結果として得られるカラーコンタクトレンズは、カラーフィルムを含む表面上で基本的に平滑で連続的である。
【0101】
良好な転移可能性と接着性はほとんど、金型内でのレンズ形成材料の硬化中の相互貫入編目構造の形成から得られ得る。本発明を何れの特定のメカニズム又は理論にも限定することなく、本発明のインクバインダはヒドロゲルレンズのレンズ材料と相互貫入網目構造(IPN:interpenetrating nertwork)を形成できると考えられる。IPN形成による本発明のインクのレンズへの接着には、レンズポリマ内の反応性官能基の存在を必要としない。レンズ形成材料は、カラーフィルム中に架橋バインダポリマがあると架橋結合してIPNを形成する。バインダポリマ中の一部の(残留)エチレン不飽和基は、カラーフィルム形成のためのカラーコーティングの硬化中に消費されない場合があることがわかっている。これらの残留エチレン不飽和基には、金型中のレンズ形成材料の硬化中に架橋反応が起こり、バインダポリマがレンズ材料と結合され得る。
【0102】
レンズとインクとの接着は、バインダポリマとレンズポリマとの間の直接結合(結合形成)により強化できることもわかっている。例えば、求核基を含むバインダポリマは、エポキシ、無水塩、アルキルハライド、及びイソシアネート等の求電子基を含むレンズポリマと反応することができる。代替的に、インクバインダポリマ中に求電子基及びレンズポリマ中に求核基を含めることにより、インクをレンズに結合できる。硬化性インクはまた、求核及び求電子官能性の両方をバインダポリマ含めることによっても製作できる。
【0103】
他の態様において、本発明はカラーコンタクトレンズの製造方法を包含し、これは、
(a)プリフォームコンタクトレンズを提供するステップと、
(b)第一の色の不透明カラードットの第一のプリントパターンを、コンタクトレンズの前及び後面の少なくとも一方の表面に適用するステップであって、第一のプリントはグラデーションドットマトリクスの環状リングであるようなステップと、
(c)第二の色の不透明カラードットの第二のプリントパターンをコンタクトレンズの表面に適用するステップであって、第二のプリントはスペックルパターンの環状リングであり、スペックルパターンの環状リングは、環状に分散された不規則なスペックル形状の集合を含み、スペックル形状は多数の小さいドットからなり、スペックルバターンの環状リングは平滑でない内側及び外側境界を有し、第二のプリントは第一のプリントの内部に位置付けられ、第一の色と第二の色は違うか、又は同じであり、第一のプリントと第二のプリントはコンタクトレンズの中心と同心であるようなステップと、
を含む。
【0104】
また別の態様において、本発明は、カラーコンタクトレンズの製造方法を包含し、これは、
(a)コンタクトレンズの前面を画定する第一の成形面を有する第一の金型半部分と、コンタクトンレズの後面を画定する第二の成形面を有する第二の金型半部分とを含む金型を提供するステップであって、第一及び第二の金型半部分は、相互に受け合い、第一及び第二の成形面間にコンタクトレンズ形成キャビティが形成されるように構成されるようなステップと、
(b)パッド転写又はインクジェット印刷技術を使用することにより、第二の色の不透明のカラードットの第二のプリントパターンをレンズ金型の成形面の少なくとも一方に適用するステップであって、第二のプリントはスペックルパターンの環状リングであり、スペックルパターの環状リングは環状に分散された不規則なスペックル形状の集合を含み、スペックル形状は多数の小さいドットからなり、スペックルパターンの環状リングは平滑でない内側及び外側境界を含むようなステップと、
(c)パッド転写又はインクジェット印刷技術を使用することにより、第一の色の不透明のカラードットの第一のプリントパターンを金型の表面に適用するステップであって、第一のプリントはグラデーションドットマトリクスの環状リングであり、第二のプリントは第一のプリントの中に位置付けられ、第一の色と第二の色は異なっているか、又は同じであり、第一のプリントと第二のプリントはコンタクトレンズの中心と同心であるようなステップと、
を含む。
【0105】
何れのレンズ形成材料で製作された何れの既知の適当なレンズも、本発明を実施するために使用できる。好ましくは、ヒドロゲルレンズ又はシリコーン含有ヒトロゲルレンズが、本発明を実施するために使用される。好ましいレンズの例には、Loshaekの米国特許第4,668,240号明細書(その全体を参照により本願に援用する)に記載されているレンズ、米国特許第5,583,163号明細書及び同第6,303,687号明細書(その全体を参照により援用する)に記載されているような水溶性架橋ポリ(ビニルアルコール)プレポリマから製作されるレンズ、米国特許第6,479,587号明細書(その全体を参照によって本願に援用する)及び、2003年11月25日に出願された、“Crosslinkable polyurea prepolymers”と題する、本願と同時係属中の米国特許出願第60/525,100号明細書(その全体を参照によって本願に援用する)に記載されている水溶性架橋ポリユリアプレポリマから製作されるレンズ、その他が含まれるが、これらに限定されない。何れの市販のレンズ、例えばFOCUS DAILIES(登録商標)、ACUVUE(登録商標)等も本発明を実施するために使用できると理解されたい。
【0106】
本発明の各種の実施形態は具体的な用語、装置、及び方法を使って説明されているが、これらの説明は例示を目的としているにすぎない。使用されている単語は、限定ではなく説明の単語である。当業者により、以下の特許請求の範囲に記載されている本発明の主旨と範囲から逸脱せずに変更及び改変が加えられてよいと理解すべきである。さらに、各種の実施形態の態様は全体的にも部分的にも相互に交換されてよいと理解すべきである。したがって、付属の特許請求の範囲の主旨と範囲は、その中に含まれる好ましい態様の説明に限定されるべきではない。
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