(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6898488
(24)【登録日】2021年6月14日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】光学積層体の搬送装置及び搬送方法
(51)【国際特許分類】
B65H 5/06 20060101AFI20210628BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20210628BHJP
B65H 5/02 20060101ALI20210628BHJP
B65G 43/08 20060101ALI20210628BHJP
【FI】
B65H5/06 M
G02B5/30
B65H5/06 D
B65H5/02 K
B65H5/02 M
B65G43/08 B
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-47557(P2020-47557)
(22)【出願日】2020年3月18日
【審査請求日】2021年1月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】特許業務法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宗本 順二
(72)【発明者】
【氏名】吉原 直隆
【審査官】
沖 大樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭61−287643(JP,A)
【文献】
特開2013−010635(JP,A)
【文献】
特開2017−088376(JP,A)
【文献】
特開2017−145102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/02
B65H 5/06
B65H 5/22
B65H 29/12−29/24
B65H 29/32
B65H 35/00−35/10
B65G 43/00−43/10
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形に切断され、マトリクス状に配列された、粘着剤層を備える複数の光学積層体をその対向する一対の切断面が搬送方向と平行になるように搬送する搬送装置であって、
前記光学積層体の搬送方向上流側に配置され、載置された前記光学積層体を搬送する上流側コンベアと、
前記光学積層体の搬送方向下流側に配置され、載置された前記光学積層体を搬送する下流側コンベアと、
前記上流側コンベアに対向して配置され、前記光学積層体を前記上流側コンベアとの間で挟んで搬送する上流側搬送ローラと、
前記下流側コンベアに対向して配置され、前記光学積層体を前記下流側コンベアとの間で挟んで搬送する下流側搬送ローラと、
前記光学積層体の搬送方向における前記上流側コンベアと前記下流側コンベアとの間に配置され、前記光学積層体を挟んで搬送する中間搬送ローラと、を備え、
前記上流側搬送ローラと、前記中間搬送ローラとは、前記光学積層体の搬送方向に直交する方向について、前記光学積層体の搬送方向に直交する方向の寸法に対応するピッチで千鳥状に配置され、
前記上流側搬送ローラ及び前記上流側コンベアによる前記光学積層体の搬送速度をV1、前記中間搬送ローラによる前記光学積層体の搬送速度をV2、前記下流側搬送ローラ及び前記下流側コンベアによる前記光学積層体の搬送速度をV3とすると、以下の式(1)、式(2)及び式(3)を満足する、
光学積層体の搬送装置。
V1<V2 ・・・(1)
V1<V3 ・・・(2)
V2=V3 ・・・(3)
【請求項2】
前記上流側搬送ローラと前記下流側搬送ローラとは、前記光学積層体の搬送方向について、前記光学積層体の搬送方向の寸法以上に離間して配置されている、
請求項1に記載の光学積層体の搬送装置。
【請求項3】
矩形に切断され、マトリクス状に配列された、粘着剤層を備える複数の光学積層体をその対向する一対の切断面が搬送方向と平行になるように搬送する搬送方法であって、
前記光学積層体の搬送方向上流側に配置された上流側コンベアと、前記上流側コンベアに対向して配置された上流側搬送ローラとの間で前記光学積層体を挟んで搬送する工程と、
前記光学積層体の搬送方向下流側に配置された下流側コンベアと、前記下流側コンベアに対向して配置された下流側搬送ローラとの間で前記光学積層体を挟んで搬送する工程と、
前記光学積層体の搬送方向における前記上流側コンベアと前記下流側コンベアとの間に配置された中間搬送ローラで前記光学積層体を挟んで搬送する工程と、を含み、
前記上流側搬送ローラと、前記中間搬送ローラとを、前記光学積層体の搬送方向に直交する方向について、前記光学積層体の搬送方向に直交する方向の寸法に対応するピッチで千鳥状に配置し、
前記上流側搬送ローラ及び前記上流側コンベアによる前記光学積層体の搬送速度をV1、前記中間搬送ローラによる前記光学積層体の搬送速度をV2、前記下流側搬送ローラ及び前記下流側コンベアによる前記光学積層体の搬送速度をV3とすると、以下の式(1)、式(2)及び式(3)を満足する、
光学積層体の搬送方法。
V1<V2 ・・・(1)
V1<V3 ・・・(2)
V2=V3 ・・・(3)
【請求項4】
前記光学積層体に偏光フィルムが含まれる、
請求項3に記載の光学積層体の搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、矩形に切断され、マトリクス状に配列された、粘着剤層を備える複数の光学積層体をその対向する一対の切断面が搬送方向と平行になるように搬送する搬送装置及び搬送方法に関する。特に、本発明は、搬送方向に光学積層体を容易に分離することが可能であると共に、搬送方向と平行な光学積層体の切断面を容易に分離することが可能な搬送装置及び搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置や有機EL表示装置等の画像表示装置等には、偏光フィルムや位相差フィルム等の複数の光学フィルムと粘着剤層とを備える光学積層体が用いられている。
光学積層体は、通常、長尺帯状の原反フィルムを長手方向に搬送しながら、順次各種の処理を施すことで製造される。そして、例えば、ロール状に巻回された長尺帯状の光学積層体を巻き出して搬送しながら、用途に応じた寸法を有する複数の光学積層体に切断する。或いは、長尺帯状の光学積層体から大型の光学積層体を切り出した後、この大型の光学積層体を用途に応じた寸法を有する複数の光学積層体に切断する場合もある。
切断された複数の光学積層体は、通常、コンベアを備えた搬送装置によって搬送され、コンベアの搬送方向下流端から重力落下させて回収される。
【0003】
上記のような搬送装置として、例えば、特許文献1に記載の搬送装置が提案されている。特許文献1に記載の搬送装置は、切断された複数の偏光フィルムの搬送方向上流側に配置され、載置された複数の偏光フィルムを搬送する上流側コンベアと、複数の偏光フィルムの搬送方向下流側に配置され、載置された複数の偏光フィルムを搬送する下流側コンベアと、を備える。そして、上流側コンベアによる偏光フィルムの搬送速度よりも、下流側コンベアによる偏光フィルムの搬送速度を大きくすることで、複数の偏光フィルムを互いに分離する構成である。
特許文献1に記載のように、偏光フィルムの切断方向と搬送方向とが一致しない(偏光フィルムの切断面が搬送方向と平行ではない)場合には、特許文献1に記載の搬送装置によって、比較的容易に偏光フィルムを分離することができ、分離された偏光フィルムを問題なく回収できると考えられる。
なお、上記のように、上流側の搬送速度よりも下流側の搬送速度を大きくすることで、複数の物品を分離する技術は、特許文献2、3に記載のように、光学フィルムの分野に限らず、様々な分野で用いられている。
【0004】
しかしながら、矩形に切断され、マトリクス状に配列された、粘着剤層を備える複数の光学積層体をその対向する一対の切断面が搬送方向と平行になるように搬送する搬送装置の場合には、上記のように、上流側の搬送速度よりも下流側の搬送速度を大きくすることで、光学積層体を搬送方向に分離できても(搬送方向に直交する光学積層体の切断面を分離できても)、搬送方向と平行な光学積層体の切断面を分離できない場合がある。
【0005】
図3は、従来の搬送装置の概略構成例を模式的に示す図である。
図3(a)は平面図であり、
図3(b)は
図3(a)のCC端面図である。なお、
図3では、上流側コンベア1の上流側部分と、下流側コンベア2の下流側部分との図示を省略している。
図3に示すように、従来の搬送装置200は、矩形(
図3に示す例では長辺及び短辺を有する長方形)に切断され、マトリクス状に配列された、粘着剤層を備える複数の光学積層体Fをその対向する一対の切断面が搬送方向と平行になるように搬送する搬送装置である。
図3に示す例では、光学積層体Fを長辺方向に(
図3の左側から右側に向けて)搬送している。
【0006】
搬送装置200は、光学積層体Fの搬送方向上流側(
図3の左側)に配置され、載置された光学積層体Fを搬送する上流側コンベア1と、光学積層体Fの搬送方向下流側(
図3の右側)に配置され、載置された光学積層体Fを搬送する下流側コンベア2と、を備える。
図3に示す例では、上流側コンベア1は、上流側回転体(図示せず)と、下流側回転体11と、上流側回転体と下流側回転体11とに掛け渡された無端ベルト12と、を備えるベルトコンベアである。下流側コンベア2も同様に、上流側回転体21と、下流側回転体(図示せず)と、上流側回転体21と下流側回転体とに掛け渡された無端ベルト22と、を備えるベルトコンベアである。そして、上流側コンベア1による光学積層体Fの搬送速度(下流側回転体11の周速に相当)をV1、下流側コンベア2による光学積層体の搬送速度(上流側回転体21の周速に相当)をV3とすると、V1<V3を満足するように設定されている。
【0007】
この搬送装置200によれば、上流側の搬送速度V1よりも下流側の搬送速度V3を大きくすることで、下流側コンベア2に到達した光学積層体Fと、上流側コンベア1に載置されたままの光学積層体Fとの間に位置する切断面、すなわち、搬送方向に直交する切断面(
図3に示す例では光学積層体Fの短辺方向に延びる切断面)に引張力が作用することになる。したがい、仮にこの切断面が粘着剤層を介して付着していたとしても、引張力によって付着状態が解除され、
図3に示すように、下流側コンベア2に到達した光学積層体Fと、上流側コンベア1に載置されたままの光学積層体Fとは、搬送方向に分離して搬送されることになる。
しかしながら、搬送方向について同一の位置に配列された複数(
図3に示す例では4枚)の光学積層体Fには、上流側の搬送速度V1よりも下流側の搬送速度V3を大きくしても、搬送速度の差が生じない。したがい、搬送方向と平行な切断面(
図3に示す例では光学積層体Fの長辺方向に延びる切断面)には力が作用せず、この切断面が粘着剤層を介して付着している場合には、
図3に示すように、搬送方向と平行な切断面を分離して搬送できない。
光学積層体Fの搬送方向と平行な切断面を分離できなければ、下流側コンベア2の搬送方向下流端から光学積層体Fを重力落下させて回収する際に、搬送方向に直交する方向について同一の位置に配列された複数の光学積層体Fが纏まって落下する。これにより、光学積層体Fの回収に不都合が生じる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国特許公開第10−2009−0067615号公報
【特許文献2】特開2019−116382号公報
【特許文献3】特開2019−93524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、矩形に切断され、マトリクス状に配列された、粘着剤層を備える複数の光学積層体をその対向する一対の切断面が搬送方向と平行になるように搬送する搬送装置及び搬送方法であって、搬送方向に光学積層体を容易に分離することが可能であると共に、搬送方向と平行な光学積層体の切断面を容易に分離することが可能な搬送装置及び搬送方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明は、矩形に切断され、マトリクス状に配列された、粘着剤層を備える複数の光学積層体をその対向する一対の切断面が搬送方向と平行になるように搬送する搬送装置であって、前記光学積層体の搬送方向上流側に配置され、載置された前記光学積層体を搬送する上流側コンベアと、前記光学積層体の搬送方向下流側に配置され、載置された前記光学積層体を搬送する下流側コンベアと、前記上流側コンベアに対向して配置され、前記光学積層体を前記上流側コンベアとの間で挟んで搬送する上流側搬送ローラと、前記下流側コンベアに対向して配置され、前記光学積層体を前記下流側コンベアとの間で挟んで搬送する下流側搬送ローラと、前記光学積層体の搬送方向における前記上流側コンベアと前記下流側コンベアとの間に配置され、前記光学積層体を挟んで搬送する中間搬送ローラと、を備え、前記上流側搬送ローラと、前記中間搬送ローラとは、前記光学積層体の搬送方向に直交する方向について、前記光学積層体の搬送方向に直交する方向の寸法に対応するピッチで千鳥状に配置され、前記上流側搬送ローラ及び前記上流側コンベアによる前記光学積層体の搬送速度をV1、前記中間搬送ローラによる前記光学積層体の搬送速度をV2、前記下流側搬送ローラ及び前記下流側コンベアによる前記光学積層体の搬送速度をV3とすると、以下の式(1)、式(2)及び式(3)を満足する、光学積層体の搬送装置を提供する。
V1<V2 ・・・(1)
V1<V3 ・・・(2)
V2=V3 ・・・(3)
【0011】
本発明に係る光学積層体の搬送装置は、光学積層体を上流側コンベアとの間で挟んで搬送する上流側搬送ローラと、光学積層体を下流側コンベアとの間で挟んで搬送する下流側搬送ローラと、上流側コンベアと下流側コンベアとの間に配置され、光学積層体を挟んで搬送する中間搬送ローラと、を備える。そして、上流側搬送ローラと、中間搬送ローラとは、光学積層体の搬送方向に直交する方向について、光学積層体の搬送方向に直交する方向の寸法に対応するピッチで千鳥状に配置されている。したがい、マトリクス状に配列された複数の光学積層体を搬送方向に直交する方向に見た場合、上流側搬送ローラと上流側コンベアとの間に挟まれて搬送される光学積層体(以下、これを適宜「第1光学積層体」という)と、中間搬送ローラに挟まれて搬送される光学積層体(以下、これを適宜「第2光学積層体」という)とが交互に存在することになる。
【0012】
第1光学積層体は、その先端(搬送方向下流側の端)が上流側搬送ローラと上流側コンベアとの間に挟まれて搬送された後、先端が下流側搬送ローラと下流側コンベアとの間に挟まれて搬送されることになる。本発明に係る搬送装置において、上流側搬送ローラ及び上流側コンベアによる光学積層体の搬送速度V1<下流側搬送ローラ及び下流側コンベアによる光学積層体の搬送速度V3であるため、第1光学積層体は、先端が下流側搬送ローラと下流側コンベアとの間に挟まれた以降に高速に搬送され、この高速に搬送される第1光学積層体とこれよりも上流側に位置する第1光学積層体との間に位置し搬送方向に直交する切断面に引張力が作用することになる。したがい、仮にこの切断面が粘着剤層を介して付着していたとしても、引張力によって付着状態が解除され、第1光学積層体は、搬送方向に分離して搬送されることになる。
一方、第2光学積層体は、その先端が中間搬送ローラに挟まれて搬送された後、先端が下流側搬送ローラと下流側コンベアとの間に挟まれて搬送されることになる。本発明に係る搬送装置において、上流側コンベアによる光学積層体の搬送速度V1<中間搬送ローラによる光学積層体の搬送速度V2であると共に、前述のように、V1<V3である。このため、第2光学積層体は、先端が中間搬送ローラに挟まれた以降に高速に搬送され、この高速に搬送される第2光学積層体とこれよりも上流側に位置する第2光学積層体との間に位置し搬送方向に直交する切断面に引張力が作用することになる。したがい、仮にこの切断面が粘着剤層を介して付着していたとしても、引張力によって付着状態が解除され、第2光学積層体は、搬送方向に分離して搬送されることになる。
【0013】
また、第1光学積層体は、先端が下流側搬送ローラと下流側コンベアとの間に挟まれた以降に高速に搬送されるのに対して、第2光学積層体は、先端が下流側搬送ローラ及び下流側コンベアよりも上流側に位置する中間搬送ローラに挟まれた以降に高速に搬送されることになる。すなわち、第2光学積層体の方が早いタイミングで高速に搬送されるため、互いに隣接する第1光学積層体と第2光学積層体との間の切断面(搬送方向と平行な切断面)にせん断力が作用することになる。したがい、仮にこの切断面が粘着剤層を介して付着していたとしても、せん断力によって付着状態が解除され、第1光学積層体と第2光学積層体とは、搬送方向と平行な切断面が分離して搬送されることになる。
【0014】
さらに、本発明に係る光学積層体の搬送装置によれば、1枚の第2光学積層体が、中間搬送ローラに挟まれると同時に、下流側搬送ローラと下流側コンベアとの間に挟まれて搬送される状態になったとしても、中間搬送ローラによる第2光学積層体の搬送速度V2と、下流側搬送ローラ及び下流側コンベアによる第2光学積層体の搬送速度V3とが等しいため、上記の状態で1枚の第2光学積層体に搬送方向の引張力が作用しない。このため、第2光学積層体の光学特性等に悪影響を与えないという利点が得られる。
【0015】
なお、本発明において、「矩形」とは、必ずしも完全な矩形(長方形、正方形)である場合に限らず、矩形に近似される形状も含む概念である。例えば、光学積層体の用途に応じて、何れかの角部を面取りしたり、何れかの辺に凹部を設けた形状も、本発明における「矩形」の概念に含まれる。
また、本発明において、「マトリクス状に配列された」とは、複数の矩形の光学積層体に切断した直後においてマトリクス状に配列されている(隣接する光学積層体が搬送方向及び搬送方向に直交する方向に一直線状に配列されている)状態であることを意味する。
また、本発明において、「対向する一対の切断面が搬送方向と平行になる」とは、光学積層体の対向する一対の切断面と搬送方向との成す角度が厳密に0°である場合に限らず、0±5°の範囲を包含する概念である。
さらに、本発明において、「光学積層体の搬送方向に直交する方向の寸法に対応するピッチ」とは、光学積層体の搬送方向に直交する方向の寸法(例えば、短辺の長さ)に厳密に合致する場合に限らない概念である。光学積層体の搬送方向に直交する方向に隣接する光学積層体のうち、一方の光学積層体(第1光学積層体)は、先端が上流側搬送ローラと上流側コンベアとの間に挟まれて搬送された後、先端が下流側搬送ローラと下流側コンベアとの間に挟まれて搬送され、他方の光学積層体(第2光学積層体)は、その先端が中間搬送ローラに挟まれて搬送された後、先端が下流側搬送ローラと下流側コンベアとの間に挟まれて搬送されるという条件を満たす限り、光学積層体の搬送方向に直交する方向の寸法から外れたピッチも含む概念である。
【0016】
好ましくは、前記上流側搬送ローラと前記下流側搬送ローラとは、前記光学積層体の搬送方向について、前記光学積層体の搬送方向の寸法以上に離間して配置されている。
【0017】
上記の好ましい構成によれば、1枚の第1光学積層体が、上流側搬送ローラと上流側コンベアとの間に挟まれると同時に、下流側搬送ローラと下流側コンベアとの間に挟まれて搬送される状態にならない、又はその状態になったとしても一瞬である。したがい、1枚の第1光学積層体に搬送方向の引張力が作用しない。このため、第1光学積層体の光学特性等に悪影響を与えないという利点が得られる。
【0018】
また、前記課題を解決するため、本発明は、矩形に切断され、マトリクス状に配列された、粘着剤層を備える複数の光学積層体をその対向する一対の切断面が搬送方向と平行になるように搬送する搬送方法であって、前記光学積層体の搬送方向上流側に配置された上流側コンベアと、前記上流側コンベアに対向して配置された上流側搬送ローラとの間で前記光学積層体を挟んで搬送する工程と、前記光学積層体の搬送方向下流側に配置された下流側コンベアと、前記下流側コンベアに対向して配置された下流側搬送ローラとの間で前記光学積層体を挟んで搬送する工程と、前記光学積層体の搬送方向における前記上流側コンベアと前記下流側コンベアとの間に配置された中間搬送ローラで前記光学積層体を挟んで搬送する工程と、を含み、前記上流側搬送ローラと、前記中間搬送ローラとを、前記光学積層体の搬送方向に直交する方向について、前記光学積層体の搬送方向に直交する方向の寸法に対応するピッチで千鳥状に配置し、前記上流側搬送ローラ及び前記上流側コンベアによる前記光学積層体の搬送速度をV1、前記中間搬送ローラによる前記光学積層体の搬送速度をV2、前記下流側搬送ローラ及び前記下流側コンベアによる前記光学積層体の搬送速度をV3とすると、以下の式(1)、式(2)及び式(3)を満足する、光学積層体の搬送方法としても提供される。
V1<V2 ・・・(1)
V1<V3 ・・・(2)
V2=V3 ・・・(3)
【0019】
本発明に係る光学積層体の搬送方法は、例えば、前記光学積層体に偏光フィルムが含まれる場合に好適に用いられる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、搬送方向に光学積層体を容易に分離することが可能であると共に、搬送方向と平行な光学積層体の切断面を容易に分離することが可能である。したがい、分離された光学積層体を問題なく回収可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る搬送装置で搬送される光学積層体の概略構成例を示す断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る搬送装置の概略構成例を模式的に示す図である。
【
図3】従来の搬送装置の概略構成例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明の一実施形態に係る光学積層体の搬送装置(以下、適宜、単に「搬送装置」という)について説明する。
【0023】
<光学積層体の構成例>
図1は、本実施形態に係る搬送装置で搬送される光学積層体Fの概略構成例を示す断面図である。なお、
図1は、参考的に表したものであり、図に表された部材などの寸法、縮尺及び形状は、実際のものとは異なっている場合があることに留意されたい。他の図についても同様である。
図1に示す光学積層体Fは、偏光フィルム6を含む光学積層体である。具体的には、光学積層体Fは、偏光フィルム6と、粘着剤層7と、剥離ライナー8とがこの順に積層された構成である。偏光フィルム6は、偏光子61と、その両面に接着剤層(図示せず)を介して貼り合わせられた保護フィルム62、63と、を備える構成である。
【0024】
偏光子61は、例えば、親水性ポリマーフィルムに、膨潤処理、染色処理、架橋処理、延伸処理、乾燥処理等の公知の各種処理を施すことによって製造される。
親水性ポリマーフィルムとしては、特に限定されず、従来公知のフィルムを使用できる。具体的には、親水性ポリマーフィルムとしては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系フィルム、これらの部分ケン化フィルムなどが挙げられる。また、これらの他にも、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物などのポリエン配向フィルム、延伸配向されたポリビニレン系フィルムなども使用できる。これらの中でも、特に二色性物質による染色性に優れることから、PVA系ポリマーフィルムが好ましい。
偏光子61の厚みは特に制限されず、目的に応じて適切な厚みを採用できる。偏光子61の厚みは、代表的には、1〜80μm程度である。一態様においては、偏光子61の厚みは、好ましくは30μm以下である。
【0025】
保護フィルム62、63としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れるものを用いるのが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)などのスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどが挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系又はノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミドなどのアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、又は上記ポリマーのブレンド物なども保護フィルム62、63を形成するポリマーの例として挙げられる。
保護フィルム62、63は、例えば、保護フィルム62、63及び/又は偏光子61の貼り合わせ面に活性エネルギー線硬化型接着剤を塗工した後、偏光子61の両面に貼り合わせ、接着剤層に活性エネルギー線を照射して硬化させた後に乾燥させることで、偏光子61に積層される。
【0026】
粘着剤層7を形成する粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン粘着剤、シリコーン粘着剤などが用いられる。
剥離ライナー8としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート離型フィルムが用いられる。
【0027】
以上の構成を有する光学積層体Fは、使用の際には、剥離ライナー8が剥がされ、粘着剤層7を介して液晶表示装置の液晶セル等に貼り付けられる。
なお、
図1では、光学積層体Fが偏光フィルム6を含む光学積層体である場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではなく、位相差フィルムを含む光学積層体など、粘着剤層7を備える限りにおいて、種々の光学積層体に適用可能である。
【0028】
<搬送装置の構成>
図2は、本実施形態に係る搬送装置の概略構成例を模式的に示す図である。
図2(a)は平面図であり、
図2(b)は
図2(a)のAA端面図であり、
図2(c)は
図2(a)のBB端面図である。なお、
図2では、上流側コンベア1の上流側部分と、下流側コンベア2の下流側部分との図示を省略している。また、上流側搬送ローラ3、下流側搬送ローラ4及び中間搬送ローラ5の回転軸の図示を省略している。また、
図2(b)において、実際には上部搬送ローラ52は存在しないが、参考のために、上部搬送ローラ52に対応する位置を破線で図示している。さらに、
図2(c)において、実際には上流側搬送ローラ3は存在しないが、参考のために、上流側搬送ローラ3に対応する位置を破線で図示している。
図2に示すように、本実施形態に係る搬送装置100は、
図3を参照して説明した従来の搬送装置200と同様に、矩形(
図2に示す例では長辺及び短辺を有する長方形)に切断され、マトリクス状に配列された、粘着剤層7(
図1参照)を備える複数の光学積層体Fをその対向する一対の切断面が搬送方向と平行になるように搬送する搬送装置である。
図2に示す例では、光学積層体Fを長辺方向に(
図2の左側から右側に向けて)搬送している。なお、複数の光学積層体Fがマトリクス状に配列されているとは、複数の矩形の光学積層体Fに切断した直後においてマトリクス状に配列されている(隣接する光学積層体Fが搬送方向及び搬送方向に直交する方向に一直線状に配列されている)状態であることを意味する。
【0029】
本実施形態に係る搬送装置100は、従来の搬送装置200と同様に、上流側コンベア1と、下流側コンベア2と、を備えている。また、本実施形態に係る搬送装置100は、従来の搬送装置200と異なり、上流側搬送ローラ3と、下流側搬送ローラ4と、中間搬送ローラ5と、を更に備えている。
【0030】
上流側コンベア1は、光学積層体Fの搬送方向上流側(
図2の左側)に配置され、載置された光学積層体Fを搬送するように動作する。本実施形態の上流側コンベア1は、上流側回転体(図示せず)と、下流側回転体11と、上流側回転体と下流側回転体11とに掛け渡された無端ベルト12と、を備えるベルトコンベアである。無端ベルト12の搬送方向に直交する方向の寸法は、マトリクス状に配列された複数の光学積層体F全体の搬送方向に直交する方向の寸法L0以上になっている。これにより、全ての光学積層体Fが上流側コンベア1で搬送されることになる。ただし、本発明はこれに限るものではなく、上流側コンベア1として、ローラコンベアなど他のコンベアを用いることも可能である。
【0031】
下流側コンベア2は、光学積層体Fの搬送方向下流側(
図2の右側)に配置され、載置された光学積層体Fを搬送するように動作する。本実施形態の下流側コンベア2は、上流側回転体21と、下流側回転体(図示せず)と、上流側回転体21と下流側回転体とに掛け渡された無端ベルト22と、を備えるベルトコンベアである。無端ベルト22の搬送方向に直交する方向の寸法は、マトリクス状に配列された複数の光学積層体F全体の搬送方向に直交する方向の寸法L0以上になっている。これにより、全ての光学積層体Fが下流側コンベア2で搬送されることになる。ただし、本発明はこれに限るものではなく、下流側コンベア2として、ローラコンベアなど他のコンベアを用いることも可能である。
【0032】
上流側搬送ローラ3は、上流側コンベア1に対向して配置されている。具体的には、本実施形態の上流側搬送ローラ3は、上流側コンベア1が備える下流側回転体11の上方に対向して配置されている。そして、上流側搬送ローラ3と上流側コンベア1が備える無端ベルト12との間の隙間の大きさが光学積層体Fの厚みと同等に(同一又は若干小さく)設定されている。これにより、上流側搬送ローラ3は、光学積層体Fを上流側コンベア1との間で挟んで搬送することになる。
なお、上流側搬送ローラ3は、回転モータ等の駆動源によって駆動される駆動ローラであってもよいし、単に回転するだけの従動ローラであってもよい。
【0033】
下流側搬送ローラ4は、下流側コンベア2に対向して配置されている。具体的には、本実施形態の下流側搬送ローラ4は、下流側コンベア2が備える上流側回転体21の上方に対向して配置されている。そして、下流側搬送ローラ4と下流側コンベア2が備える無端ベルト22との間の隙間の大きさが光学積層体Fの厚みと同等に(同一又は若干小さく)設定されている。これにより、下流側搬送ローラ4は、光学積層体Fを下流側コンベア2との間で挟んで搬送することになる。また、下流側搬送ローラ4の回転軸方向(
図2(a)の上下方向)の長さは、マトリクス状に配列された複数の光学積層体F全体の搬送方向に直交する方向の寸法L0以上になっている。これにより、全ての光学積層体Fが下流側搬送ローラ4と下流側コンベア2との間で挟まれて搬送されることになる。
なお、下流側搬送ローラ3は、回転モータ等の駆動源によって駆動される駆動ローラであってもよいし、単に回転するだけの従動ローラであってもよい。
【0034】
中間搬送ローラ5は、光学積層体Fの搬送方向における上流側コンベア1と下流側コンベア2との間に配置されている。中間搬送ローラ5は、下部搬送ローラ51と、下部搬送ローラ51の上方に対向して配置された上部搬送ローラ52と、から構成されている。
下部搬送ローラ51の回転軸方向(
図2(a)の上下方向)の長さは、マトリクス状に配列された複数の光学積層体F全体の搬送方向に直交する方向の寸法L0以上になっている。これにより、全ての光学積層体Fが下部搬送ローラ51上を通過して搬送されることになる。このため、上流側コンベア1と下流コンベア2との間で、光学積層体Fが落下したり搬送が不安定になるおそれがない。しかしながら、本発明は必ずしもこれに限るものではなく、上部搬送ローラ52の下方に対向する位置にのみ、上部搬送ローラ52と同等の長さを有する下部搬送ローラ51を上部搬送ローラ52と同数備えた構成を採用することも可能である。
上部搬送ローラ52と下部搬送ローラ51との間の隙間の大きさは、光学積層体Fの厚みと同等に(同一又は若干小さく)設定されている。換言すれば、上部搬送ローラ52及び下部搬送ローラ51はニップローラを構成している。これにより、上部搬送ローラ52の下方を通過する光学積層体F(第2光学積層体F2)は、中間搬送ローラ5(上部搬送ローラ52及び下部搬送ローラ51)に挟まれて搬送されることになる。
なお、下部搬送ローラ51及び上部搬送ローラ52のうち、少なくともいずれか一方は回転モータ等の駆動源によって駆動される駆動ローラである。
【0035】
上流側搬送ローラ3と、中間搬送ローラ5とは、光学積層体Fの搬送方向に直交する方向について、光学積層体Fの搬送方向に直交する方向の寸法に対応するピッチPで千鳥状に配置されている。具体的には、上流側搬送ローラ3と、中間搬送ローラ5を構成する上部搬送ローラ52とが、光学積層体Fの搬送方向に直交する方向について、光学積層体Fの搬送方向に直交する方向の寸法に対応するピッチPで千鳥状に配置されている。
本実施形態では、ピッチPは、光学積層体Fの搬送方向に直交する方向の寸法(本実施形態では短辺の長さW)に合致している(すなわち、P=W)。しかしながら、ピッチPは、光学積層体Fの搬送方向に直交する方向の寸法Wに厳密に合致する場合に限らない。光学積層体Fの搬送方向に直交する方向に隣接する光学積層体Fのうち、一方の光学積層体F(第1光学積層体F1)は、先端(搬送方向下流側の端)が上流側搬送ローラ3と上流側コンベア1との間に挟まれて搬送された後、先端が下流側搬送ローラ4と下流側コンベア2との間に挟まれて搬送され、他方の光学積層体F(第2光学積層体F2)は、その先端が中間搬送ローラ5に挟まれて搬送された後、先端が下流側搬送ローラ4と下流側コンベア2との間に挟まれて搬送されるという条件を満たす限り、光学積層体Fの搬送方向に直交する方向の寸法Wから外れたピッチPも含まれる。また、本実施形態では、何れのピッチPも同じ値(
図2(a)に示す3つのピッチPが同じ値)であるが、必ずしも同じ値である必要はなく、上記の条件を満たす限り、異なる値に設定することも可能である。
【0036】
そして、上流側搬送ローラ3及び上流側コンベア1による光学積層体Fの搬送速度(上流側搬送ローラ3及び下流側回転体11の周速に相当)をV1、中間搬送ローラ5による光学積層体Fの搬送速度(下部搬送ローラ51及び上部搬送ローラ52の周速に相当)をV2、下流側搬送ローラ4及び下流側コンベア2による光学積層体Fの搬送速度(下流側搬送ローラ4及び上流側回転体21の周速に相当)をV3とすると、以下の式(1)、式(2)及び式(3)を満足するように設定されている。
V1<V2 ・・・(1)
V1<V3 ・・・(2)
V2=V3 ・・・(3)
好ましくは、搬送速度V2は、搬送速度V1の2倍以上6倍以下に設定される。同様に、好ましくは、搬送速度V3は、搬送速度V1の2倍以上6倍以下に設定される。
【0037】
また、本実施形態では、好ましい構成として、上流側搬送ローラ3と下流側搬送ローラ4とが、光学積層体Fの搬送方向について、光学積層体Fの搬送方向の寸法(本実施形態では長辺の長さL)よりも離間して配置されている。すなわち、上流側搬送ローラ3と下流側搬送ローラ4との離間距離(各ローラ3、4の中心軸間の距離)LLが光学積層体Fの搬送方向の寸法Lよりも大きく設定されている。具体的には、上流側搬送ローラ3と下流側搬送ローラ4との離間距離LLが光学積層体Fの搬送方向の寸法Lよりも若干大きく設定されている。
【0038】
以上に説明した構成を有する搬送装置100によれば、マトリクス状に配列された複数の光学積層体Fを搬送方向に直交する方向に見た場合、上流側搬送ローラ3と上流側コンベア1との間に挟まれて搬送される光学積層体F(第1光学積層体F1)と、中間搬送ローラ5に挟まれて搬送される光学積層体F(第2光学積層体F2)とが交互に存在することになる。
第1光学積層体F1は、その先端が上流側搬送ローラ3と上流側コンベア1との間に挟まれて搬送された後、先端が下流側搬送ローラ4と下流側コンベア2との間に挟まれて搬送されることになる。本実施形態に係る搬送装置100は、前述の式(2)を満足する。すなわち、上流側搬送ローラ3及び上流側コンベア1による光学積層体Fの搬送速度V1<下流側搬送ローラ4及び下流側コンベア2による光学積層体Fの搬送速度V3である。このため、第1光学積層体F1は、先端が下流側搬送ローラ4と下流側コンベア2との間に挟まれた以降に高速に搬送され、この高速に搬送される第1光学積層体F1とこれよりも上流側に位置する第1光学積層体F1との間に位置し搬送方向に直交する切断面(本実施形態では短辺方向に延びる切断面)に引張力が作用することになる。したがい、仮にこの切断面が粘着剤層7を介して付着していたとしても、引張力によって付着状態が解除され、第1光学積層体F1は、搬送方向に分離して搬送されることになる。
一方、第2光学積層体F2は、その先端が中間搬送ローラ5に挟まれて搬送された後、先端が下流側搬送ローラ4と下流側コンベア2との間に挟まれて搬送されることになる。本実施形態に係る搬送装置100は、前述の式(1)を満足する。すなわち、上流側コンベア1による光学積層体Fの搬送速度V1<中間搬送ローラ5による光学積層体Fの搬送速度V2であると共に、前述のように、V1<V3である。このため、第2光学積層体F2は、先端が中間搬送ローラ5に挟まれた以降に高速に搬送され、この高速に搬送される第2光学積層体F2とこれよりも上流側に位置する第2光学積層体F2との間に位置し搬送方向に直交する切断面(本実施形態では短辺方向に延びる切断面)に引張力が作用することになる。したがい、仮にこの切断面が粘着剤層7を介して付着していたとしても、引張力によって付着状態が解除され、第2光学積層体F2は、搬送方向に分離して搬送されることになる。
【0039】
また、第1光学積層体F1は、先端が下流側搬送ローラ4と下流側コンベア2との間に挟まれた以降に高速に搬送されるのに対して、第2光学積層体F2は、先端が下流側搬送ローラ4及び下流側コンベア2よりも上流側に位置する中間搬送ローラ5に挟まれた以降に高速に搬送されることになる。すなわち、第2光学積層体F2の方が早いタイミングで高速に搬送されるため、互いに隣接する第1光学積層体F1と第2光学積層体F2との間の切断面(搬送方向と平行な切断面、本実施形態では長辺方向に延びる切断面)にせん断力が作用することになる。したがい、仮にこの切断面が粘着剤層7を介して付着していたとしても、第1光学積層体F1と第2光学積層体F2とは、搬送方向と平行な切断面が分離して搬送されることになる。
【0040】
さらに、本実施形態に係る搬送装置100は、前述の式(3)を満足する。すなわち、中間搬送ローラ5による第2光学積層体F2の搬送速度V2と、下流側搬送ローラ4及び下流側コンベア2による第2光学積層体F2の搬送速度V3とが等しい。したがい、1枚の第2光学積層体F2が、中間搬送ローラ5に挟まれると同時に、下流側搬送ローラ4と下流側コンベア2との間に挟まれて搬送される状態になったとしても、この状態で1枚の第2光学積層体F2に搬送方向の引張力が作用しない。このため、第2光学積層体F2の光学特性等に悪影響を与えないという利点が得られる。
【0041】
以上のように、本実施形態に係る搬送装置100によれば、搬送方向に光学積層体Fを容易に分離することが可能であると共に、搬送方向と平行な光学積層体Fの切断面を容易に分離することが可能である。したがい、分離された光学積層体Fを問題なく回収可能である。回収方法としては、特に限定されるものではないが、従来と同様に、下流側コンベア2の搬送方向下流端から光学積層体Fを重力落下させて回収する方法を採用可能である。
【0042】
また、本実施形態に係る搬送装置100は、好ましい構成として、前述のように、上流側搬送ローラ3と下流側搬送ローラ4との離間距離LLが光学積層体Fの搬送方向の寸法Lよりも大きく設定されている。このため、1枚の第1光学積層体F1が、上流側搬送ローラ3と上流側コンベア1との間に挟まれると同時に、下流側搬送ローラ4と下流側コンベア2との間に挟まれて搬送される状態にならない、又はその状態になったとしても一瞬である。したがい、1枚の第1光学積層体F1に搬送方向の引張力が作用しない。このため、第1光学積層体F1の光学特性等に悪影響を与えないという利点が得られる。
【符号の説明】
【0043】
1・・・上流側コンベア
2・・・下流側コンベア
3・・・上流側搬送ローラ
4・・・下流側搬送ローラ
5・・・中間搬送ローラ
100、200・・・搬送装置
F・・・光学積層体
W・・・光学積層体の搬送方向に直交する方向の寸法
P・・・ピッチ
【要約】
【課題】搬送方向及び搬送方向に直交する方向に光学積層体を容易に分離することが可能な搬送装置等を提供する。
【解決手段】本発明に係る搬送装置100は、光学積層体Fの搬送方向上流側に配置されて光学積層体Fを低速搬送する上流側コンベア1と、搬送方向下流側に配置されて光学積層体Fを高速搬送する下流側コンベア2と、光学積層体Fを上流側コンベア1との間で挟んで搬送する上流側搬送ローラ3と、光学積層体Fを下流側コンベア2との間で挟んで搬送する下流側搬送ローラ4と、上流側コンベア1と下流側コンベア2との間に配置され、光学積層体Fを挟んで高速搬送する中間搬送ローラ5と、を備える。上流側搬送ローラ3と、中間搬送ローラ5とは、光学積層体Fの搬送方向に直交する方向について、光学積層体Fの搬送方向に直交する方向の寸法Wに対応するピッチPで千鳥状に配置される。
【選択図】
図2