【実施例1】
【0016】
(実施例1の構成)
【0017】
図1は、本発明の実施例1におけるDC/DCコンバータの全体を示す概略の回路図である。
【0018】
DC/DCコンバータ1は、三相(例えば、U相、V相、W相)のDC入力電圧Viu,Viv,Viwをスイッチングして所定のDC出力電圧Vo及びDC出力電流Ioに変換する電力変換の主回路2と、この主回路2のスイッチング動作を制御する制御装置50と、により構成されている。
【0019】
主回路2は、三相のDC/AC変換回路10U,10V,10Wを備えている。三相のDC/AC変換回路10U,10V,10Wは、三相のDC入力電圧Viu,Viv,Viwをそれぞれスイッチングして三相のAC電圧に変換する回路であり、各相が同一の回路で構成されている。
【0020】
U相のDC/AC変換回路10Uは、複数のスイッチング駆動信号S11U,S12U,S13U,S14Uによりそれぞれオン/オフ動作する複数のスイッチング素子(例えば、FET)11U,12U,13U,14Uを有し、これらのFET11U,12U,13U,14Uがブリッジ接続されている。各FET11U,12U,13U,14Uのソース・ドレイン間には、ボディダイオードである寄生ダイオード15がそれぞれ逆並列に接続されている。
【0021】
同様に、V相のDC/AC変換回路10Vは、複数のスイッチング駆動信号S11V,S12V,S13V,S14Vによりそれぞれオン/オフ動作する複数のスイッチング素子(例えば、FET)11V,12V,13V,14Vを有し、これらのFET11V,12V,13V,14Vがブリッジ接続されている。各FET11V,12V,13V,14Vのソース・ドレイン間には、寄生ダイオード15がそれぞれ逆並列に接続されている。
【0022】
更に、W相のDC/AC変換回路10Wは、複数のスイッチング駆動信号S11W,S12W,S13W,S14Wによりそれぞれオン/オフ動作する複数のスイッチング素子(例えば、FET)11W,12W,13W,14Wを有し、これらのFET11W,12W,13W,14Wがブリッジ接続されている。各FET11W,12W,13W,14Wのソース・ドレイン間には、寄生ダイオード15がそれぞれ逆並列に接続されている。
【0023】
三相のDC/AC変換回路10U,10V,10Wの出力側には、三相の共振回路20U,20V,20Wが接続されている。三相の共振回路20U,20V,20Wは、三相のDC/AC変換回路10U,10V,10Wから出力される三相のAC電圧に共振して三相の共振電圧を生成する回路であり、各相が同一の回路で構成されている。
【0024】
U相の共振回路20Uは、共振コンデンサ21U、共振インダクタ22U、及び励磁インダクタ23Uを有する電流共振型回路により構成されている。共振コンデンサ21U、共振インダクタ22U、及び励磁インダクタ23Uは、FET11U及びFET12U間の接続点と、FET13U及びFET14U間の接続点と、の間に直列に接続されている。
【0025】
同様に、V相の共振回路20Vは、共振コンデンサ21V、共振インダクタ22V、及び励磁インダクタ23Vを有する電流共振型回路により構成されている。共振コンデンサ21V、共振インダクタ22V、及び励磁インダクタ23Vは、FET11V及びFET12V間の接続点と、FET13V及びFET14V間の接続点と、の間に直列に接続されている。
【0026】
更に、W相の共振回路20Wは、共振コンデンサ21W、共振インダクタ22W、及び励磁インダクタ23Wを有する電流共振型回路により構成されている。共振コンデンサ21W、共振インダクタ22W、及び励磁インダクタ23Wは、FET11W及びFET12W間の接続点と、FET13W及びFET14W間の接続点と、の間に直列に接続されている。
【0027】
三相の共振回路20U,20V,20Wの出力側には、三相の変圧器30U,30V,30Wが接続されている。三相の変圧器30U,30V,30Wは、三相の共振回路20U,20V,20Wから出力される三相の共振電圧を所定の電圧に変換して三相の変換電圧を出力するものであり、各相が同一の構成である。
【0028】
U相の変圧器30Uは、1次巻線31U及び2次巻線32Uを有している。1次巻線31Uの巻き初め側(
図1中の黒丸点箇所)は、共振インダクタ20Uに接続され、その1次巻線31Uの巻き終わり側が、FET13U,14U間の接続点に接続されている。同様に、V相の変圧器30Vは、1次巻線31V及び2次巻線32Vを有し、その1次巻線31Vの巻き初め側が、共振インダクタ20Vに接続され、その1次巻線31Vの巻き終わり側が、FET13V,14V間の接続点に接続されている。更に、W相の変圧器30Wは、1次巻線31W及び2次巻線32Wを有し、その1次巻線31Wの巻き初め側が、共振インダクタ20Wに接続され、その1次巻線31Wの巻き終わり側が、FET13W,14W間の接続点に接続されている。
【0029】
三相の2次巻線32U,32V,32Wには、三相の整流回路40が接続されている。三相の整流回路40は、三相の変圧器30U,30V,30Wにより変換された三相の変換電圧を整流してDC出力電圧Vo及びDC出力電流Ioを負荷48へ出力する回路である。三相の整流回路40は、複数(例えば、6個)の整流素子(例えば、ダイオード41,42,43,44,45,46)がブリッジ接続された整流部と、この整流部の出力電圧及び出力電流を平滑する平滑部(例えば、平滑用コンデンサ47)と、により構成されている。
【0030】
制御装置50は、主回路2のスイッチング動作を制御するために、複数(例えば、12個)のスイッチング駆動信号S11U,S12U,S13U,S14U,S11V,S12V,S13V,S14V,S11W,S12W,S13W,S14Wをその主回路2中のFET11U,12U,13U,14U,11V,12V,13V,14V,11W,12W,13W,14Wのゲートへ供給する装置である。
【0031】
図2は、
図1のDC/DCコンバータ1における制御装置50を示す構成図である。
【0032】
制御装置50は、カウント値演算部51、比較部52、周波数制御部53、位相シフト制御部54、及びパルス駆動部55を有している。カウント値演算部51、比較部52、周波数制御部53、及び位相シフト制御部54は、プログラム制御可能な中央処理装置(CPU)を有するプロセッサ、又は、個別回路により構成されている。パルス駆動部55は、個別回路により構成されている。
【0033】
カウント値演算部51は、図示しない電流計測器により計測されたDC出力電流Ioをカウントし、このカウント値を演算して演算結果CVを求めるものである。カウント値演算部51は、計測されたDC出力電流Ioをデジタル信号の出力電流値IOに変換するアナログ/デジタル変換部(以下「A/D変換部」という。)51aと、その出力電流値IOを演算して演算結果CVを求める演算部51bと、を有し、この演算部51bの出力側に、比較部52が接続されている。比較部52は、演算結果CVと基準値RVとを比較し、演算結果CVが基準値RVよりも大きい時(CV≧RV)には第1比較結果CR1を周波数制御部53へ出力し、演算結果CVが基準値RVよりも小さい時(CV<RV)には第2比較結果CR2を位相シフト制御部54へ出力するものである。
【0034】
周波数制御部53は、第1比較結果CR1に基づき、DC/AC変換回路10U,10V,10Wにより変換された三相のAC電圧におけるU,V,W相間の位相差φを角度2π/3(=120°)に設定し、周波数制御により、整流回路40から所望のDC出力電流Ioが出力されるように、複数のスイッチング駆動信号S11U,S12U,S13U,S14U,S11V,S12V,S13V,S14V,S11W,S12W,S13W,S14Wのスイッチング周波数fを変化させるものである。周波数制御部53は、U,V,W相間の位相差φを角度2π/3(=120°)に設定する位相差設定部53aと、この出力側に接続された周波数変調(以下「PFM」という。)パルス生成部53bと、を有している。PFMパルス生成部53bは、周波数制御により、複数のスイッチング駆動信号S11U,S12U,S13U,S14U,S11V,S12V,S13V,S14V,S11W,S12W,S13W,S14Wのスイッチング周波数fを変調して、PFMパルスP1を生成するものであり、この出力側に、パルス駆動部55が接続されている。
【0035】
位相シフト制御部54は、第2比較結果CR2に基づき、複数のスイッチング駆動信号S11U,S12U,S13U,S14U,S11V,S12V,S13V,S14V,S11W,S12W,S13W,S14Wのスイッチング周波数fの値を、最大値の最大スイッチング周波数fmaxに固定(即ち、設定)し、位相シフト制御により、整流回路40から所望のDC出力電流Ioが出力されるように、U,V,W相間の位相差φを変化させるものである。位相シフト制御部54は、スイッチング駆動信号S11U,S12U,S13U,S14U,S11V,S12V,S13V,S14V,S11W,S12W,S13W,S14Wのスイッチング周波数fを最大周波数fmaxに設定する周波数設定部54aと、この出力側に接続された位相シフト制御パルス生成部54bと、を有している。位相シフト制御パルス生成部54bは、位相シフト制御により、U,V,W相間の位相差φを変化させて位相シフト制御パルスP2を生成するものであり、この出力側に、パルス駆動部55が接続されている。
【0036】
パルス駆動部55は、PFMパルスP1又は位相シフト制御パルスP2を駆動してスイッチング駆動信号S11U,S12U,S13U,S14U,S11V,S12V,S13V,S14V,S11W,S12W,S13W,S14Wを生成するものであり、トランジスタ等の個別回路により構成されている。
【0037】
(電圧が変動しない負荷への電力供給の動作)
【0038】
図1のDC/DCコンバータ1において、負荷48として、電圧が変動しない機器を用いた場合の動作を説明する。
【0039】
例えば、定電圧のDC出力電圧Voを負荷48へ供給する場合、制御装置50内の周波数制御部53は、各U,V,W相間の位相差φを120°に設定し、周波数制御により、PFMパルスP1を生成し、このPFMパルスP1をパルス駆動部55へ出力する。周波数制御では、定電圧出力を行うために、DC出力電圧Voが目標電圧Vthよりも低くなれば、その誤差電圧ΔV(=Vth−Vo)が零になるように、フィードバック制御により、スイッチング周波数fを下げてDC出力電圧Voを高くし、DC出力電圧Voが目標電圧Vthよりも高くなれば、その誤差電圧ΔV(=Vth−Vo)が零になるように、フィードバック制御により、スイッチング周波数fを上げてDC出力電圧Voを低くする、ような周波数変調を行ってPFMパルスP1を生成する。パルス駆動部55は、PFMパルスP1を駆動してスイッチング駆動信号S11U,S12U,S13U,S14U,S11V,S12V,S13V,S14V,S11W,S12W,S13W,S14Wを生成し、U,V,W相のDC/AC変換回路10U,10V,10W内のFET11U,12U,13U,14U,11V,12V,13V,14V,11W,12W,13W,14Wの各ゲートへ与える。
【0040】
U相のDC/AC変換回路10Uでは、スイッチング駆動信号S11U,S12U,S13U,S14Uにより、FET11U,14UとFET12U,13Uとが所定のデッドタイムをおいて交互にオン/オフ動作する。V相のDC/AC変換回路10Vでは、スイッチング駆動信号S11V,S12V,S13V,S14Vにより、FET11V,14VとFET12V,14Vとが、U相から120°遅れて、所定のデッドタイムをおいて交互にオン/オフ動作する。更に、W相のDC/AC変換回路10Wでは、スイッチング駆動信号S11W,S12W,S13W,S14Wにより、FET11W,14WとFET12W,13Wとが、V相から120°遅れて、所定のデッドタイムをおいて交互にオン/オフ動作する。
【0041】
U相のDC/AC変換回路10Uにおいて、FET11U,14Uがオン状態、FET12U,13Uがオフ状態になると、U相のDC入力電圧Viuにより、FET11U→共振コンデンサ21U→共振インダクタ22U→励磁インダクタ23U及び変圧器30Uの1次巻線31U→FET14U→DC入力電圧Viu、の経路で電源電流が流れる。所定のデッドタイムをおいて、FET12U,13Uがオン状態、FET11U,14Uがオフ状態なると、DC入力電圧Viuにより、FET13U→励磁インダクタ23U及び変圧器30Uの1次巻線31U→共振インダクタ22U→共振コンデンサ21U→FET12U→DC入力電圧Viu、の経路で電源電流が流れる。これにより、DC入力電圧ViuがDC/AC変換回路10Uのスイッチング動作によってAC電圧に変換される。
【0042】
変換されたAC電圧により、共振回路20Uが共振して共振電圧が生成され、変圧器30Uの1次巻線31Uに印加される。すると、変圧器30の2次巻線32Uに所定の変換電圧が誘起される。誘起された変換電圧は、整流回路40内の複数のダイオード41−46によって整流された後、平滑用コンデンサ47によって平滑され、DC出力電圧Voが負荷48へ供給される。
【0043】
同様に、U相から120°遅れてV相のDC/AC変換回路10Vがスイッチング動作を行い、V相のDC入力電圧VivがAC電圧に変換される。変換されたAC電圧により、共振回路20Vが共振して共振電圧が生成される。生成された共振電圧は、変圧器30Vによって所定の電圧に変換され、整流回路40内の複数のダイオード41−46によって整流された後、平滑用コンデンサ47によって平滑され、DC出力電圧Voが負荷48へ供給される。
【0044】
更に、V相から120°遅れてW相のDC/AC変換回路10Wがスイッチング動作を行い、W相のDC入力電圧ViwがAC電圧に変換される。変換されたAC電圧により、共振回路20Wが共振して共振電圧が生成される。生成された共振電圧は、変圧器30Wによって所定の電圧に変換され、整流回路40内の複数のダイオード41−46によって整流された後、平滑用コンデンサ47によって平滑され、DC出力電圧Voが負荷48へ供給される。
【0045】
(電圧が変動する負荷への電力供給の動作)
【0046】
図1の負荷48として、電圧が変動する機器(例えば、バッテリー)を急速充電するために、DC/DCコンバータ1をEV急速充電器として使用する場合の動作を説明する。
【0047】
図3は、本発明の実施例1におけるEV急速充電器の出力特性を示す図であり、従来の
図6中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0048】
図3において、横軸はDC出力電流Io、縦軸はDC出力電圧Voである。この
図3では、
図6において、基準値RVとなるLLC制御限界の境界線BLが付加されており、その他の箇所は
図6と同一である。本実施例1のDC/DCコンバータ1では、出力可能電力範囲Parにおいて、基準値RVとなる境界線BLを超える領域では、周波数制御CFが行われ、その基準値RVとなる境界線BL以下の領域では、位相シフト制御CΦが行われる。
【0049】
図4は、
図2の制御装置50の動作を示すフローチャートである。
【0050】
図5は、
図1中のFET11U,12U,13U,14U,11V,12V,13V,14V,11W,12W,13W,14Wにおけるオン/オフ動作のタイミングチャートである。
【0051】
図4のフローチャートにおいて、以下のステップST1,ST2,ST3,ST4,ST5,ST6,ST7により、負荷48であるバッテリーの急速充電が行われる。
【0052】
先ず、
図1のDC/DCコンバータ1における制御装置50の動作が開始すると、ステップST1へ進む。ステップST1において、図示しない電流計測器によってDC出力電流Ioが計測され、カウント値演算部51内のA/D変換部51aによってデジタル信号の出力電流値IOに変換される。変換された出力電流値IOは、カウント値演算部51内の演算部51bによってカウントされ、そのカウント値が演算されて演算結果CVが求められ、ステップST2へ進む。
【0053】
ステップST2において、比較部52は、カウント値の演算結果CVを
図3中の境界線BLである基準値RVと比較し、演算結果CVが基準値RVよりも大きい場合(CV≧RV)には、第1比較結果CR1を周波数制御部53へ出力してステップST3へ進み、演算結果CVが基準値RVよりも小さい場合(CV<RV)には、第2比較結果CR2を位相シフト制御部54へ出力してステップST5へ進む。
【0054】
ステップST3において、周波数制御部53内の位相差設定部53aは、U相に対してV相の位相差φを120°、更に、U相に対してW相の位相差φを240°、にそれぞれ設定する、つまり、各U,V,W相間の位相差φを120°に設定し、ステップST4へ進む。
【0055】
ステップST4において、周波数制御部53内のPFMパルス生成部53bは、周波数制御CFによってPFMパルスP1を生成し、このPFMパルスP1をパルス駆動部55へ出力する。周波数制御CFでは、例えば、定電流出力を行うために、DC出力電流Ioが目標電流Ithよりも小さくなれば、その誤差電流ΔI(=Ith−Io)が零になるように、フィードバック制御により、スイッチング周波数fを上げてDC出力電流Ioを大きくし、DC出力電流Ioが目標電流Ithよりも大きくなれば、その誤差電流ΔI(=Ith−Io)が零になるように、フィードバック制御により、スイッチング周波数fを下げてDC出力電流Ioを小さくする、ような周波数変調を行ってPFMパルスP1を生成する。
【0056】
パルス駆動部55は、PFMパルスP1を駆動してスイッチング駆動信号S11U,S12U,S13U,S14U,S11V,S12V,S13V,S14V,S11W,S12W,S13W,S14Wを生成し、U,V,W相のDC/AC変換回路10U,10V,10W内のFET11U,12U,13U,14U,11V,12V,13V,14V,11W,12W,13W,14Wの各ゲートへ与える。すると、
図5に示すタイミングにて、U相のFET11U,14UとFET12U,13Uとが所定のデッドタイムをおいて交互にオン/オフ動作する。V相のFET11V,14VとFET12V,14Vとは、U相から120°遅れて、所定のデッドタイムをおいて交互にオン/オフ動作する。更に、W相のFET11W,14WとFET12W,13Wとは、V相から120°遅れて、所定のデッドタイムをおいて交互にオン/オフ動作する。
【0057】
これにより、U相のDC/AC変換回路10Uがスイッチング動作を行い、U相のDC入力電圧ViuがAC電圧に変換される。変換されたAC電圧により、共振回路20Uが共振して共振電圧が生成される。生成された共振電圧は、変圧器30Uによって所定の電圧に変換され、整流回路40によって整流及び平滑されてDC出力電流Ioが生成される。
【0058】
同様に、U相から120°遅れてV相のDC/AC変換回路10Vがスイッチング動作を行い、V相のDC入力電圧VivがAC電圧に変換される。変換されたAC電圧により、共振回路20Vが共振して共振電圧が生成される。生成された共振電圧は、変圧器30Vによって所定の電圧に変換され、整流回路40によって整流及び平滑されてDC出力電流Ioが生成される。更に、V相から120°遅れてW相のDC/AC変換回路10Wがスイッチング動作を行い、W相のDC入力電圧ViwがAC電圧に変換される。変換されたAC電圧により、共振回路20Wが共振して共振電圧が生成される。生成された共振電圧は、変圧器30Wによって所定の電圧に変換され、整流回路40によって整流及び平滑されてDC出力電流Ioが生成される。このようにして生成されたDC出力電流Ioにより、負荷48であるバッテリーが急速充電されていき、ステップST7へ進む。
【0059】
ステップST7において、制御装置50内の図示しない充電終了判定部は、バッテリー充電終了の要求があったか否かの判定を行い、バッテリー充電終了の要求が有る時には(Yes)、動作を終了し、バッテリー充電終了の要求が無い時には(No)、ステップST1に戻って上記のステップST1−ST7を繰り返す。
【0060】
ステップST2において、演算結果CVが基準値RVよりも小さい場合(CV<RV)には、第2比較結果CR2が位相シフト制御部54へ出力されてステップST5へ進む。ステップST5において、位相シフト制御部54内の周波数設定部54aは、スイッチング周波数fを最大周波数fmaxの値に設定し、ステップST6へ進む。
【0061】
ステップST6において、位相シフト制御部54内の位相シフト制御パルス生成部54bは、
図5中の矢印で示すように、位相シフト制御CΦにより、各U,V,W相間の位相差φを変化(即ち、シフト)させるような、位相シフト制御パルスP2を生成し、この位相シフト制御パルスP2をパルス駆動部55へ出力する。ステップST3では、各U,V,W相間の位相差φが120°に設定されているが、ステップST6では、その位相差φを変化させている。
【0062】
位相シフト制御CΦでは、例えば、低電圧の大電流出力を行うために、DC出力電流Ioが目標電流Ithよりも小さくなれば、その誤差電流ΔI(=Ith−Io)が零になるように、フィードバック制御により、各U,V,W相間の位相差φを120°よりも小さくしてDC出力電流Ioを大きくし、DC出力電流Ioが目標電流Ithよりも大きくなれば、その誤差電流ΔI(=Ith−Io)が零になるように、フィードバック制御により、各U,V,W相間の位相差φを大きくしてDC出力電流Ioを小さくする、ような位相シフトを行って位相シフト制御パルスP2を生成する。
【0063】
パルス駆動部55は、位相シフト制御パルスP2を駆動してスイッチング駆動信号S11U,S12U,S13U,S14U,S11V,S12V,S13V,S14V,S11W,S12W,S13W,S14Wを生成し、U,V,W相のDC/AC変換回路10U,10V,10W内のFET11U,12U,13U,14U,11V,12V,13V,14V,11W,12W,13W,14Wの各ゲートへ与える。すると、
図5の矢印で示すタイミングにて、U相のFET11U,14UとFET12U,13Uとが所定のデッドタイムをおいて交互にオン/オフ動作する。V相のFET11V,14VとFET12V,14Vとは、U相から変化後の位相差φ(<120°)遅れて、所定のデッドタイムをおいて交互にオン/オフ動作する。更に、W相のFET11W,14WとFET12W,13Wとは、V相から変化後の位相差φ(<120°)遅れて、所定のデッドタイムをおいて交互にオン/オフ動作する。
【0064】
これにより、各相のDC入力電圧Viu,Viv,ViwがAC電圧に変換される。変換された各相のAC電圧により、共振回路20U,20V,20Wが共振して共振電圧が生成される。生成された各相の共振電圧は、変圧器30U,30V,30Wによって所定の電圧に変換され、整流回路40によって整流及び平滑されてDC出力電流Ioが生成される。生成されたDC出力電流Ioにより、バッテリーが急速充電されていき、ステップST7へ進む。
【0065】
ステップST7において、制御装置50内の図示しない充電終了判定部は、バッテリー充電終了の要求があったか否かの判定を行い、バッテリー充電終了の要求が有る時には(Yes)、動作を終了し、バッテリー充電終了の要求が無い時には(No)、ステップST1に戻って上記のステップST1,ST2,ST5,ST6,ST7を繰り返す。
【0066】
(実施例1の効果)
【0067】
本実施例1におけるDC/DCコンバータ1の制御装置50によれば、例えば、負荷48であるバッテリーを急速充電する場合、周波数制御によってDC出力電流Ioをバッテリーへ供給し、基準値RVとなる制御困難な境界線BL以下の電力供給領域になると、位相シフト制御CΦに切り替えて、DC出力電流Ioをバッテリーへ供給する構成になっている。そのため、無効電流を抑制した低損失のDC/DCコンバータ1を実現できる。
【0068】
(変形例)
【0069】
本発明は、上記実施例1に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)、(b)のようなものがある。
【0070】
(a)
図1のDC/DCコンバータ1における主回路2は、他の回路構成に変更しても良い。例えば、各FET11U,12U,13U,14U,11V,12V,13V,14V,11W,12W,13W,14Wは、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等の他のスイッチング素子に置き換えても良い。共振回路20U,20V,20Wは、他の回路構成に変更しても良い。例えば、共振インダクタ21U,21V,21Wに代えて、変圧器30U,30V,30Wの漏れインピーダンスを利用しても良い。又、整流回路40を構成している複数のダイオード41−46は、スイッチ素子等の他の整流素子に置き換えても良い。
【0071】
(b) 3相のDC/AC変換回路10U,10V,10Wは、これに代えて、6個のスイッチング素子を有するフルブリッジ型の1つのDC/AC変換回路に置き換えても良い。