(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この移動ロープ連結器214は、その操作性を考慮して、通常、作業者Pの腰部に位置している。
図14(a)に示される様に、作業者Pが水平な姿勢で落下した場合に、
図14(b)に示される様に、移動ロープ連結器214が作業者Pの頭部側にスライドしないことがある。この場合、
図14(c)に示される様に、作業者Pは水平に近い姿勢になり得る。この様に吊り下げられた状態では、作業者Pが受ける負担は大きい。
【0006】
本発明の目的は、吊り下げられた状態で作業者が立ち姿勢に近い姿勢を保持できるハーネス型安全帯の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るハーネス型安全帯は、一対の肩ベルトと一対の腿ベルトとを形成する主ベルトを備えている。このハーネス型安全帯は、上記主ベルトに取り付けられるガイドベルトと、スライド環とを備えている。上記主ベルトは、装着する人の背中で交差する背交差部を形成している。上記ガイドベルトは、上記主ベルトの背後に配置されている。上記ガイドベルトに沿って、上記スライド環がスライド可能にされている。上記スライド環のスライド下端は、上記背交差部より下方であって装着する人の重心より上方に位置している。
【0008】
好ましくは、このハーネス型安全帯は、上記スライド環に上端部が連結された延長ベルトを備えている。
【0009】
好ましくは、上記延長ベルトは、ショックアブソーバーを備えている。
【0010】
好ましくは、このハーネス型安全帯は、上記延長ベルトの下端部に連結されている墜落防止機器を備えている。
【0011】
好ましくは、上記墜落防止機器は、装着する人の重心又は重心より下方に位置している。
【0012】
好ましくは、上記墜落防止機器は、主ベルトに仮固定されている。
【0013】
好ましくは、このハーネス型安全帯は、装着する人の腰に巻かれる胴ベルトを備えている。上記墜落防止機器は、上記胴ベルトに仮固定されている。
【0014】
好ましくは、上記墜落防止機器は、巻取器である。
【0015】
好ましくは、上記墜落防止機器は、移動ロープ連結器である。
【0016】
好ましくは、このハーネス型安全帯は、補強ベルトを備えている。上記ガイドベルトは、上記主ベルトに対向するガイド対向面を備えている。上記主ベルトは、上記ガイドベルトに対向する主対向面を備えている。
上記ガイドベルトの上端部と下端部との少なくとも一方において、上記ガイドベルトと上記主ベルトとが縫合されて縫合部を形成している。上記補強ベルトが上記縫合部に隣接して向かい合う上記ガイド対向面と上記主対向面との間に位置している。上記補強ベルトと上記主ベルトとは、縫合されて上記縫合部に隣接する第一補強縫合部を形成している。上記補強ベルトと上記ガイドベルトとは、縫合されて上記縫合部に隣接する第二補強縫合部を形成している。
【0017】
好ましくは、このハーネス型安全帯は、補強ベルトを備えている。上記ガイドベルトは、上記主ベルトに対向するガイド対向面を備えている。上記主ベルトは、上記ガイドベルトに対向する主対向面を備えている。
上記ガイドベルトの上端部と下端部との少なくとも一方において、上記ガイドベルトが折り返されて主部と折り返し部とが形成されている。上記主部に上記ガイド対向面が形成されている。上記折り返し部に上記ガイド対向面に対向する折り返し対向面が形成されている。上記折り返し部と上記主ベルトとが縫合されて縫合部を形成している。上記補強ベルトが上記主ベルト及び上記ガイドベルトの背後に位置している。上記補強ベルトと上記主ベルトとは、縫合されて上記縫合部に隣接する第一補強縫合部を形成している。上記補強ベルトと上記主部とは、縫合されて上記縫合部に隣接する第二補強縫合部を形成している。
【0018】
好ましくは、このハーネス型安全帯は、補強ガイドベルトを備えている。上記補強ガイドベルトは、上記主ベルトと上記ガイドベルトと間に位置して、上記ガイドベルトに沿って延びている。上記スライド環に上記ガイドベルトと共に上記補強ガイドベルトが通されている。上記スライド環は、上記ガイドベルトと上記補強ガイドベルトとに沿ってスライド可能にされている。
【0019】
好ましくは、このハーネス型安全帯は、上記延長ベルトの下端部に連結されるランヤードを備えている。
【0020】
好ましくは、このハーネス型安全帯は、上記スライド環に着脱可能に連結される墜落防止機器を備えている。
【0021】
好ましくは、上記スライド環は、上記主ベルトに仮固定されている。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るハーネス型安全帯では、スライド環のスライド下端は、背交差部より下方であって装着する人の重心より上方に位置している。これにより、落下時の姿勢に関わらず、スライド環は、ガイドベルトに沿って、上方に向かってスライドする。これにより、落下して吊り下げられた状態で人の姿勢は立ち姿勢に近い姿勢になる。このハーネス型安全帯は、吊り下げられた状態で人が受ける負担が軽減されている。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0025】
図1のハーネス型安全帯2(以下、安全帯2という)は、主ベルト4、留め具8、胸ベルト10、ガイドベルト12、スライド環14、延長ベルト15、墜落防止機器としての巻取器16、フック17、一対の主バックル18、胸バックル20及び一対の結束バンド21を備えている。
図1は、背面から見た安全帯2が示されている。この
図1の上下方向が安全帯2の上下方向であり、
図1の左右方向が安全帯2の左右方向である。
【0026】
図2は、安全帯2の一部が示された説明図である。
図2には、主ベルト4の一部と、留め具8と、ガイドベルト12と、スライド環14と、一対のバックル18の一部とが示されている。
【0027】
この主ベルト4は、肩腿掛けベルト4a、肩腿掛けベルト4b及び尻当てベルト6を備えている。一方の肩腿掛けベルト4aは、長手方向一端部22aから他端部24aまで延在している。この肩腿掛けベルト4aは、安全帯2の上方で折り返されている。折り返された一方は、左上から右下に向かって斜め下方に延在している。この斜め下方に向かって延在する肩腿掛けベルト4aは、安全帯2の中央上方で、他方の肩腿掛けベルト4bと交差している。
【0028】
図2に示される様に、この安全帯2の中央上方での交差により、肩腿掛けベルト4aと肩腿掛けベルト4bとは背交差部25を形成している。肩腿掛けベルト4aは、背交差部25から更に斜め下方に延在して一端部22aに至っている。肩腿掛けベルト4aは、一端部22aの近傍で他方の肩腿掛けベルト4bと交差している。この交差で側交差部26aが形成されている。この側交差部26aで、肩腿掛けベルト4aと肩腿掛けベルト4bとは縫合されている。
【0029】
安全帯2の上方で折り返された肩腿掛けベルト4aの他方は、下方に向かって延在する。この下方に向けって延在する他方は、安全帯2の上下方向において、中央より下方で、他方の肩腿掛けベルト4bと交差している。この交差により、側交差部26bが形成されている。この側交差部26bで、肩腿掛けベルト4aと肩腿掛けベルト4bとは縫合されている。
【0030】
図1に示される様に、肩腿掛けベルト4aの他方は、側交差部26bから更に下方に延在して、安全帯2の下方で折り返されている。折り返された肩腿掛けベルト4aは、上方に向かって延在している。肩腿掛けベルト4aの他端部24aは、他方の肩腿掛けベルト4bの一端部22bの近傍に位置している。この肩腿掛けベルト4aは、1本の帯状のベルトから形成されているが、2本以上の帯状のベルトが連結されて形成されてもよい。ここでは、一方の肩腿掛けベルト4aについて説明がされたが、他方の肩腿掛けベルト4bは、一方の肩腿掛けベルト4aと左右対称に形成されている。この肩腿掛けベルト4aと肩腿掛けベルト4bとは、一対の肩ベルト28及び腿ベルト29を形成している。
【0031】
図1において、尻当てベルト6は、安全帯2の上下方向下方で左右方向に延在している。尻当てベルト6の一端部は、肩腿掛けベルト4aと重ねられて縫合されている。この縫合により、縫合部27aが形成されている。尻当てベルト6の他端部は、肩腿掛けベルト4bと重ねられて縫合されている。この縫合により、縫合部27bが形成されている。
【0032】
留め具8は、ハーネス型安全帯2の中央上方の背交差部25で、肩腿掛けベルト4a及び肩腿掛けベルト4bに取り付けられている。留め具8には、肩腿掛けベルト4aと肩腿掛けベルト4bとが互いに交差して通されている。
【0033】
胸ベルト10は、左ベルト30a及び右ベルト30bを備えている。左ベルト30aの後端部は、肩腿掛けベルト4aに取り付けられている。左ベルト30aの後端部は、側交差部26bと肩腿掛けベルト4aの上方の折り返しとの間の位置で、肩腿掛けベルト4aに縫合されている。右ベルト30bの後端部は、肩腿掛けベルト4bに取り付けられている。右ベルト30bの後端部は、側交差部26aと肩腿掛けベルト4bの上方の折り返しとの間の位置で、肩腿掛けベルト4bに縫合されている。
【0034】
図2に示される様に、ガイドベルト12は、主ベルト4の背後に配置されている。ガイドベルト12は、その上端部12aから下端部12bまで、肩腿掛けベルト4bに沿って延びている。ガイドベルト12は、肩腿掛けベルト4bに取り付けられている。ガイドベルト12の上端部12aは、背交差部25と肩腿掛けベルト4bの上方の折り返しとの間の位置で、肩腿掛けベルト4bに縫合されている。ガイドベルト12の下端部12bは、背交差部25と側交差部26bとの間で、肩腿掛けベルト4bに縫合されている。このガイドベルト12は、背交差部25の背後に配置されている。ここでは、ガイドベルト12は肩腿掛けベルト4bに縫合によって取り付けられたが、ガイドベルト12は肩腿掛けベルト4bに取り付けられればよく、縫合に限られない。また、ガイドベルト12は肩腿掛けベルト4bに取り付けられたが、肩腿掛けベルト4aに取り付けられてもよい。
【0035】
図1の延長ベルト15は、ショックアブソーバー34を備えている。図示されないが、ショックアブソーバー34は、その上端部から下端部まで延びるベルト本体と、その上端部と下端部とを連結する二重ベルトとを備えている。この二重ベルトの長さはベルト本体のそれより短い。この二重ベルトは第一ベルト片と第二ベルト片とが織り糸で織り込まれて一体に形成されている。この二重ベルトがベルト本体と共に折り畳まれて樹脂製のカバーに収容されている。ショックアブソーバー34の上端部は、スライド環14に連結されている。ショックアブソーバー34の下端部に、巻取器16が連結されている。この延長ベルト15は、ショックアブソーバー34とショックアブソーバー34に連結された帯状のベルトとを備えていてもよい。また、延長ベルト15は、ショックアブソーバー34を含まずに、帯状のベルトであってもよい。
【0036】
巻取器16は、ストラップ40及び巻取器本体42を備えている。巻取器本体42は、肩腿掛けベルト4bに仮固定されている。この巻取器本体42は、面ファスナーで、腿ベルト29に仮固定されている。この仮固定は面ファスナーに限られない。本発明では、通常の使用では固定された状態が維持され、人体に墜落阻止時に加わる力が作用したときに固定が解除されるようにされていることを仮固定と称する。例えば、この巻取器本体42の仮固定は、0.5kNの力が作用したときに固定が解除される。ストラップ40は、繰り出し及び巻き取り可能に巻取器本体42に収容されている。この巻取器16は、墜落防止機器としての例示であって、これに限定されない。
【0037】
フック17は、鉤型形状のフック本体17aと、フック本体17aの開口を開閉する外れ止め17bとを備えている。このフック本体17はストラップ40の先端部に連結されている。
【0038】
それぞれの主バックル18は、ソケット44及びタングプレート46を備えている。このタングプレート46は、ソケット44に着脱可能にされている。一方の主バックル18では、ソケット44は、肩腿掛けベルト4aの一端部22aに連結されている。タングプレート46は、肩腿掛けベルト4bの他端部24bに連結されている。この主バックル18によって、肩腿掛けベルト4aの一端部22aと肩腿掛けベルト4bの他端部24bとが連結及び連結解除可能にされている。同様に、他方の主バックル18によって、肩腿掛けベルト4bの一端部22bと肩腿掛けベルト4aの他端部24aとが連結及び連結解除可能にされている。
【0039】
胸バックル20は、パススルー本体48及び差し込みプレート50を備えている。この差し込みプレート50は、パススルー本体48に通されうる。このパススルー本体48と差し込みプレート50とは着脱可能に連結されうる。この胸バックス20は、所謂パススルーバックルと称される。パススルー本体48は、左ベルト30aの先端部に連結されている。差し込みプレート50は、右ベルト30bの先端部に連結されている。この胸バックル20によって、左ベルト30aの先端部と右ベルト30bの先端部とが連結及び連結解除可能にされている。
【0040】
それぞれの結束バンド21は、重ね合わされた肩腿掛けベルト4bとガイドベルト12とを仮固定している。この安全帯2では、一対の結束バンド21を備えているが、結束バンド21の数に特に制限はない。
【0041】
図2に示される様に、結束バンド21は、本体21a、端部21b及び端部21cを備えている。本体21aは、肩腿掛けベルト4bに取り付けられている。端部21b及び端部21cは、肩腿掛けベルト4bの長手方向に直交して互いに逆向きに延びている。
図1では、この端部21bと端部21cとは、ガイドベルト12の背後で重ね合わされている。この端部21bと端部21cとが面ファスナーで着脱可能に接着している。この様にして、この結束バンド21は、肩腿掛けベルト4bとガイドベルト12とを抱き込んで仮固定している。
【0042】
図3には、ガイドベルト12の下端部12bと肩腿掛けベルト4bとの縫合箇所の断面が示されている。肩腿掛けベルト4bは、ガイドベルト12に対向する主対向面31を備えている。ガイドベルト12は、肩腿掛けベルト4bに対向するガイド対向面32を備えている。この主対向面31とガイド対向面32とが互いに対向した状態で重ね合わされている。この状態で、肩腿掛けベルト4aとガイドベルト12とが縫合されている。この縫合によって、縫合部52が形成されている。
【0043】
この安全帯2は、一対の補強ベルト33を備えている。一方の補強ベルト33は、下端部12bの縫合部52の近傍に位置している。この補強ベルト33は、向かい合う主対向面31とガイド対向面32と間に位置している。補強ベルト33は、肩腿掛けベルト4bに重ね合わされる第一重合部33aと、ガイドベルト12に重ね合わされる第二重合部33bとを備えている。この第一重合部33aは、肩腿掛けベルト4bに縫合されている。この縫合によって、縫合部52に隣接する第一補強縫合部53が形成されている。第二重合部33bは、ガイドベルト12に縫合されている。この縫合によって、縫合部52に隣接する第二補強縫合部54が形成されている。図示されないが、ガイドベルト12の上端部12aは、下端部12bと同様に、肩腿掛けベルト4bに縫合されて、縫合部52を形成している。他方の補強ベルト33は、上端部12aの縫合部52に隣接する第一補強縫合部53と第二補強縫合部54とを形成している。
【0044】
スライド環14は、環状の形状を備えている。このスライド環14に、ガイドベルト12が通されている。スライド環14は、ガイドベルト12の上端部と下端部との間で、ガイドベルト12に沿ってスライド可能にされている。スライド環14は、ガイドベルト12と肩腿掛けベルト4bとの間に位置してスライドするスライド部14aを備えている。
【0045】
図2の点Gは、上下方向において、安全帯2を装着した人の重心位置を表している。点Sは、スライド環14のスライド下端を表している。点P1は、肩ベルト28の折り返し位置を表している。両矢印Hgは、重心位置Gから折り返し位置P1までの高さを表している。両矢印Hsは、スライド下端Sから折り返し位置P1までの高さを表している。この高さHg及び高さHsは、上下方向の直線距離として測定される。
【0046】
折り返し位置P1は、人が装着した状態で肩ベルト28の最も上方に位置する点として特定される。折り返し位置P1は、肩ベルト28の幅方向中央位置で特定される。スライド下端Sは、スライド部14aの軸線上の点であって、スライド部14aの幅方向中央に位置する点である。この安全帯2では、
図3に示される様に、スライド下端Sは、縫合部52によって、重心Gより上方に位置するように、されている。
【0047】
図4(a)には、この安全帯2を装着した起立姿勢の作業者Pが示されている。一対の肩ベルト28は、作業者Pの腕が通されて、肩に掛けられている。一対の腿ベルト29は、作業者Pの足が通されて、腿周りに掛けられている。前述の折り返し位置P1、スライド下端S、高さHg及び高さHsは、作業者Pが安全帯2を装着した状態で測定される。これらの測定は、
図4(a)に示される様な起立姿勢において測定される。
【0048】
図4(a)では、フック17が構造物Bに係止されている。作業者Pは、構造物Bにフック17をスライドさせて、構造物Bに沿って移動しうる。作業者Pは巻取器16を操作して、ストラップ40を繰り出す。これにより、構造物Bから離れた場所でも、作業者Pは安全に作業しうる。
【0049】
図4(b)には、作業者Pが水平な姿勢で落下する様子が示されている。
図4(b)の矢印Fpは、作業者Pの体の移動向きを表している。矢印Fbは、延長ベルト15の移動向きを表している。矢印Fpの向きに落下する作業者Pの体重で腿ベルト29から巻取器本体42が外れている。延長ベルト15は、スライド環14と共に、回動している。
図4(b)では、スライド環14とフック17との間の部分が、作業者Pと建造物Bとの間で張られている。
図4(b)において、作業者Pの重心Gは、スライド環14より足側に位置している。
【0050】
図5(a)では、足側が下方になる向きに、作業者Pの身体が回動する。このとき、スライド環14は、ガイドベルト12に沿って頭部側にスライドする。スライド環14は、結束バンド21の仮固定を解除しながら(
図1及び
図2参照)、頭部側に更にスライドする。作業者Pの姿勢は、
図5(a)から
図5(b)に移行し、更に
図6に移行して、スライド環14のスライドが停止する。
【0051】
図5(b)では、作業者Pの重心Gが、スライド環14の下方に位置する状態を表している。この作業者Pの落下によって、スライド環14とフック17との間の部分に大きな衝撃荷重が作用する。この衝撃荷重によって、ショックアブソーバー34の二重ベルトの第一ベルト片と第二ベルト片との織り糸が切断される。この切断によって、二重ベルトは、第一ベルト片と第二ベルト片とに乖離する。この織り糸の切断によって、衝撃荷重が緩和される。
【0052】
図6には、ショックアブソーバー34が作用した後の状態が示されている。このショックアブソーバー34の作用によって、作業者Pが受ける負担が軽減される。
図6では、作業者Pの姿勢は、立ち姿勢に近い姿勢になっている。これにより、吊り下げられた状態で作業者Pが受ける負担が軽減されている。
【0053】
この安全帯2では、スライド環14のスライド下端Sが作業者Pの重心Gより上方の頭部側に位置している。これにより、落下するときの作業者Pの姿勢に関わらず、作業者Pの姿勢は、立ち姿勢に近い姿勢になる。この安全帯2は、吊り下げられた状態で作業者Pが受ける負担が軽減される。
【0054】
この安全帯2では、作業者Pの姿勢を確実に立ち姿勢に近い姿勢にする観点から、折り返し位置P1からスライド下端までの高さHsは、好ましくは53cm以下であり、更に好ましくは50cm以下であり、特に好ましくは47cm以下である。
【0055】
この安全帯2では、巻取器本体42からスライド環14までの長さは、巻取器本体42から留め具8までの長さに比べて短い。この安全帯2では、スライド環14が、スライド下端Sから留め具8の近傍までスライドする。留め具8と巻取器本体42とを延長ベルト15で連結した安全帯に比べて、安全帯2では落下距離が短い。この安全帯2は、落下距離も比較的に短くできる。
【0056】
更に、この安全帯2はスライド環14と共に延長ベルト15を備えている。この延長ベルト15を備えているので、スライド環14が重心Gより上方に位置しながら、巻取器16は作業者Pが操作し易く、且つ作業を阻害しない位置に配置しうる。例えば、巻取器16は作業者Pの腰部側面に配置しうる。これにより、巻取器16の目視確認が容易にされ、また、その操作が容易にされている。この操作性の観点から、この安全帯2では、巻取器16は重心G又は重心Gより下方に位置させることが好ましい。この安全帯2は、吊り下げられた作業者Pの負担を軽減すると共に、操作性に優れている。
【0057】
この安全帯2では、巻取器16は、腿ベルト29に仮固定されていたが、必ずしもこれに限定されない。この巻取器16は、作業中において作業者Pが操作し易い位置にあればよい。従って、この巻取器16が重心Gより高い位置に仮固定されてもよい。更には、この巻取器16が、固定されることなく、延長ベルト15に吊り下げられていてもよい。
【0058】
更に、ガイドベルト12と肩腿掛けベルト4bとは、結束バンド21によって仮固定されている。これにより、通常の使用時には、結束バンド21は、スライド環14のずれ止めとして機能する。この安全帯2では、巻取器16が固定されていなくても、通常の使用時に巻取器16が上方にずれ上がることが抑制されている。
【0059】
この安全帯2では、ガイドベルト12の上端部12aは、背交差部25の上方で肩腿掛けベルト4bに連結されている。これにより、スライド環14は、作業者Pが吊り下げられた状態で、作業者Pの背中上部後方に位置する。これにより、作業者Pは立ち姿勢に近い姿勢を維持し易い。この上端部12aは背交差部25と肩腿掛けベルト4bの上方の折り返しとの間に位置しているので、スライド環14は作業者Pの背後に止まる。これにより、作業者Pは僅かに前傾した安定した姿勢を維持できる。
【0060】
この安全帯2では、ガイドベルト12の下端部12bは、作業者Pの重心Gより上方で肩腿掛けベルト4bに取り付けられている。このガイドベルト12の下端部12bの取り付けによって、スライド環14のスライド下端Sは、確実に、作業者Pの重心Gより上方に位置させられる。
【0061】
スライド下端Sの位置の規制方法は、安全帯2が装着された状態において、スライド環14のスライド下端Sが作業者Pの重心Gより上方に位置していればよく、この安全帯2の形態に限られない。例えば、結束バンド21によってスライド環14のスライド下端Sの位置が規制されてもよい。更には、延長ベルト15がスライド環14の質量で屈曲しない剛性を備えてもよい。延長ベルト15が十分な剛性を備えることで、巻取器16の仮固定によって、スライド環14のスライド下端Sの位置が規制されうる。
【0062】
この安全帯2は、スライド環14と巻取器16と間に、ショックアブソーバー34が連結されている。このショックアブソーバー34は、作業者Pが落下する際に作業者Pが受ける衝撃を緩和する。更に、このショックアブソーバー34は、ガイドベルト12に作用する衝撃を緩和する。この安全帯2は、安全性に優れている。
【0063】
図3に示される様に、この安全帯2では、ガイドベルト12と肩腿掛けベルト4bとの縫合部52に隣接して、補強ベルト33が取り付けられている。補強ベルト33によって、第一補強縫合部53及び第二補強縫合部54が形成されている。この安全帯2では、作業者Pが落下するときに、スライドするスライド環14によってガイドベルト12に大きな力が作用する。このスライド環14によって、ガイドベルト12を肩腿掛けベルト4bから剥がす向きの力がガイドベルト12に作用する。このとき、第一補強縫合部53及び第二補強縫合部54は、ガイドベルト12が肩腿掛けベルト4bから剥がれる向きにずれることを阻止する。この補強ベルト33を備えることで、ガイドベルト12は肩腿掛けベルト4bに強固に固定されている。この安全帯2は、安全性に優れている。
【0064】
図7には、他の実施形態に係るハーネス型安全帯62(以下、安全帯62という)の一部が示されている。ここでは、安全帯62について、安全帯2と異なる構成について説明がされ、安全帯2と同様の構成の説明が省略される。また、安全帯2と同様の構成については、同様の符号が使用される。
【0065】
この安全帯62は、安全帯2の補強ベルト33に代えて、補強ガイドベルト64を備えている。この補強ベルト33に代えて補強ガイドベルト64を備える他は、安全帯62は安全帯2と同様の構成を備えている。
【0066】
この安全帯62では、補強ガイドベルト64は、ガイドベルト12に沿って重ね合わされている。補強ガイドベルト64は、向かい合うガイドベルト12と肩腿掛けベルト4bとの間でガイドベルト12に沿って延びている。この補強ガイドベルト64は、縫合部52に隣接する第一重合部64a及び第二重合部64bを備えている。この第一重合部64aは、縫合部52に隣接して、肩腿掛けベルト4bに縫合されている。この縫合によって、第一補強縫合部65が形成されている。この第二重合部64bは、縫合部52に隣接して、ガイドベルト12に縫合されている。この縫合によって、第二補強縫合部66が形成されている。図示されないが、ガイドベルト12の上端部12aでも、下端部12bでの縫合と同様に、ガイドベルト12、肩腿掛けベルト4b及び補強ガイドベルト64が縫合されている。
【0067】
この安全帯62では、補強ベルト33と同様に、ガイドベルト12と肩腿掛けベルト4bとの固定が、補強ガイドベルト64によって補強されている。また、この安全帯62では、ガイドベルト12及び補強ガイドベルト64がスライド環14に通される。スライド環14は、補強ガイドベルト64に接触してスライドする。この補強ガイドベルト64は、スライド環14のスライドからガイドベルト12を保護する。この安全帯64は、安全性に優れている。この補強ガイドベルト64では、その端部が第一重合部64aを形成しているが、これに限られない。この補強ガイドベルト64は、ガイドベルト12のガイド対向面32と肩腿掛けベルト4bの主対向面31とに沿って延在する環状の形状を備えていてもよい。
【0068】
図8には、更に他の実施形態に係るハーネス型安全帯72(以下、安全帯72という)が示されている。ここでも、安全帯72について、安全帯2と異なる構成について説明がされ、安全帯2と同様の構成の説明が省略される。また、安全帯2と同様の構成については、同様の符号が使用される。
【0069】
この安全帯72は、胴ベルト74及び一対の留め具76を備えている。この安全帯72では、安全帯2の側交差部26a及び側交差部26bの位置に、留め具76が配置されている。この胴ベルト74は、安全帯72を装着する作業者Pの腰周りに装着されるベルトである。
【0070】
肩腿掛けベルト4aは、左上から右下に向かって斜め下方に延在している。この斜め下方に向かって延在する肩腿掛けベルト4aは、一端部22aの近傍で肩腿掛けベルト4bと交差している。この交差によって、側交差部77aが形成されている。一方の留め具76は、この交差部77aに取り付けられている。この留め具76には、肩腿掛けベルト4aと肩腿掛けベルト4bとが互いに交差して通されている。同様にして、右上から左下に向かって斜め下方に延在する肩腿掛けベルト4bは、一端部22bの近傍で肩腿掛けベルト4aと交差している。この交差によって、側交差部77bが形成されている。他方の留め具76は、この側交差部77bに取り付けられている。
【0071】
胴ベルト74は、ベルト本体78及びバックル80を備えている。バックル80は、ベルト本体78の一端に連結されたソケット82と、ベルト本体78の他端に連結されたタング84とを備えている。ベルト本体78は、一対の留め具76に通されている。この胴ベルト74は、一対の留め具76に取り付けられている。この胴ベルト74は、主ベルト4と連結されている。このソケット82とタング84は、連結及び連結解除可能にされている。
【0072】
この安全帯72では、巻取器本体42は、ベルト本体78に仮固定されている。図示されないが、この巻取器本体42に、結束バンド21と同様の結束バンドが取り付けられている。この結束バンドによって、巻取器本体42は、ベルト本体78に取り付けられている。この安全帯72では、巻取器本体42がベルト本体78に仮固定されているので、作業者Pは巻取器16の操作を容易にできる。
【0073】
この胴ベルト74は、作業者Pの腰骨の位置に装着される。ここでいう腰骨は、腸骨で前方にとがった部分である上前腸骨棘を指す。作業者Pの高さ方向において、この上前腸骨棘の位置は、一般に身長の54.5%の高さにある。一方、重心Gの位置は、一般に身長の55%の高さにある。この胴ベルト74は、作業者Pの重心Gより僅かに低い位置で、作業者Pに装着される。この安全帯72では、このベルト本体78の高さは、側交差部77bの高さと略等しい。
【0074】
図9には、移動ロープ連結器92が例示されている。前述の安全帯2では、巻取器16を備える形態で説明がされたが、墜落防止機器はこれに限られない。本発明では、例えば移動ロープ連結器92等、作業者Pを命綱に連結して墜落事故を防止する機器を、墜落防止機器と称する。
【0075】
この移動ロープ連結器92は、連結器本体94及び結束バンド96を備えている。連結器本体94は、安全帯72の巻取器16に代えて、ショックアブソーバー34に連結される。
【0076】
結束バンド96は、本体96a、端部96b及び端部96cを備えている。本体96aは、連結器本体94に取り付けられている。端部96bは本体96aの上端から延びている。端部96cは本体96aの下端から延びている。この端部96b及び端部96cは、本体96aとの間に例えばベルト本体78を挟み込む。ベルト本体78を挟み込んだ状態で、端部96bと端部96cとが重ね合わされる。この重ね合わされた端部96bと端部96cとが面ファスナーで接着及び接着解除可能にされる。この様にして、この連結器本体94は、ベルト本体78に仮固定されうる。
【0077】
この連結器本体94に、命綱としての移動ロープRの連結金具98が連結される。連結器本体94は、連結金具98の連結部を2箇所備えている。移動ロープRは、作業者Pが移動する範囲に間隔を空けて設置されている。この移動ロープRの後端は建造物などに連結されている。作業者Pは移動する際に、移動方向の移動ロープRの連結金具98を連結器本体94の一方の連結部に連結する。一方の連結部に連結金具98が連結された後に、他方の連結部の連結金具98の連結が解除される。この連結器本体94は、作業中、常に、少なくとも1本の移動ロープRが連結された状態を維持する。この移動ロープ連結器92を使用することで、作業者Pが命綱に連結されていない状態で移動することが防止される。
【0078】
この連結器本体94が例えば胴ベルト74に取り付けられる。これにより、移動ロープRの着脱が容易にできる。また、作業者Pが落下した場合には、スライド環14のスライド下端Sが作業者Pの重心Gより上方に位置しているので、作業者Pの姿勢は、立ち姿勢に近い姿勢になる。ここでは安全帯72を例に説明がされたが、移動ロープ連結器92は、安全帯2の巻取器16に代えて、使用されてもよい。
【0079】
図10には、更に他の実施形態に係るハーネス型安全帯102(以下、安全帯102という)が示されている。ここでも、安全帯102について、安全帯2と異なる構成について説明がされ、安全帯2と同様の構成の説明が省略される。また、安全帯2と同様の構成については、同様の符号が使用される。
【0080】
この安全帯102は、安全帯2のスライド環14、延長ベルト15、巻取器16及びフック17に代えて、スライド環104及びランヤード106を備えている。
【0081】
このスライド環104は、スライド環本体107及び連結環108を備えている。スライド環本体107にガイドベルト12が通されている。スライド環104は、ガイドベルト12に沿ってスライド可能にされている。連結環108は、スライド環本体107と一体に形成されている。このスライド環104は、主ベルト4に仮固定されている。スライド環104は、例えば、結束バンド21と同様の結束バンドによって仮固定されている。
【0082】
ランヤード106は、フック110、ロープ112及び連結フック114を備えている。フック110は、鉤型形状のフック本体110aと、フック本体110aの開口を開閉する外れ止め110bとを備えている。このフック本体110aはロープ112の先端部に連結されている。連結フック114は、ロープ112の後端部に連結されている。連結フック114は、着脱可能に、スライド環104の連結環108に連結される。
【0083】
この安全帯102では、スライド環104の連結環108に、命綱としてのランヤード106が連結される。この安全帯102では、スライド環104は、本発明の墜落防止機器としての機能を兼ね備えている。
【0084】
この安全帯102では、スライド環104がガイドベルト12にスライド可能にされている。通常の作業中に、スライド環104は、背交差部25より下方にあって、重心Gより上方に位置している。この安全帯102では、上下方向において、スライド環104は、背交差部25より重心Gに近い位置に、具体的には腰部近傍に位置している。これにより、作業者Pは、安全帯102を装着した状態で、ランヤード106と連結環108とを比較的容易に着脱しうる。また、作業者Pが落下したときには、スライド環104が上方にスライドする。これにより、吊り下げられた作業者Pは、立ち姿勢に近い姿勢を保持できる。
【0085】
図11には、更に他の実施形態に係るハーネス型安全帯122(以下、安全帯122という)が示されている。ここでも、安全帯122について、安全帯2と異なる構成について説明がされ、安全帯2と同様の構成の説明が省略される。また、安全帯2と同様の構成については、同様の符号が使用される。また、安全帯102と同様の構成については、同様の符号が使用される。
【0086】
この安全帯122は、安全帯2の延長ベルト15、巻取器16及びフック17に代えて、延長ベルト124、連結環126及びランヤード106を備えている。
【0087】
延長ベルト124は、ショックアブソーバー128を備えている。延長ベルト124の上端部124aと下端部124bとはショックアブソーバー128を介して連結されている。この上端部124aは、スライド環14に連結されている。下端部124bは、連結環126に連結されている。図示されないが、延長ベルト124の下端部124bは、肩腿掛けベルト4bに仮固定されている。これにより、連結環126は、肩腿掛けベルト4bに仮固定されている。この連結環126が、直に肩腿掛けベルト4bに仮固定されてもよい。
【0088】
ランヤード106は、安全帯102と同様に、フック110、ロープ112及び連結フック114を備えている。連結フック114は、着脱可能に、連結環126に連結される。この安全帯122では、連結環126に、命綱としてのランヤード106が連結される。この安全帯122では、連結環126は、本発明に墜落防止機器としての機能を備えている。
【0089】
この安全帯122では、延長ベルト124を備えているので、安全帯102より更に、ランヤード106の着脱が容易にされている。また、作業者Pが落下したときには、ショックアブソーバー128に作用によって、作業者Pが受ける衝撃が緩和されている。
【0090】
図12には、更に他の実施形態に係るハーネス型安全帯142(以下、安全帯142という)が示されている。ここでも、安全帯142について、安全帯72と異なる構成について説明がされ、安全帯72と同様の構成の説明が省略される。また、安全帯72と同様の構成については、同様の符号が使用される。
【0091】
この安全帯142は、安全帯72の主ベルト4、留め具8、胴ベルト74及び一対の留め具76に代えて、主ベルト144、留め具146、胴ベルト148及び一対の留め具150を備えている。
【0092】
主ベルト144は、一対の肩腿掛けベルト152a及び152bと、一対の腿掛けベルト154a及び154bとを備えている。一方の肩腿掛けベルト152aは、長手方向一端部156aから他端部158aまで延在している。この肩腿掛けベルト152aは、安全帯142の上方で折り返されている。折り返された一方は、左上から右下に向かって斜め下方に延在している。この斜め下方に向かって延在する肩腿掛けベルト152aは、安全帯142の中央上方で、他方の肩腿掛けベルト152bと交差している。
【0093】
この安全帯142の中央上方での交差により、肩腿掛けベルト152aと肩腿掛けベルト152bとは背交差部160を形成している。肩腿掛けベルト152aは、背交差部160から更に斜め下方に延在して一端部156aに至っている。肩腿掛けベルト152aは、一端部156aの近傍で他方の肩腿掛けベルト152bと交差している。この交差で側交差部162aが形成されている。
【0094】
安全帯142の上方で折り返された肩腿掛けベルト152aの他方は、下方に向かって延在する。この下方に向けって延在する他方は、安全帯142の上下方向において、中央より下方で、他方の肩腿掛けベルト152bと交差している。この交差により、側交差部162bが形成されている。肩腿掛けベルト152aの他方は、側交差部162bから更に下方に延在して、他端部158aに至っている。
【0095】
ここでは、一方の肩腿掛けベルト152aについて説明がされたが、他方の肩腿掛けベルト152bは、一方の肩腿掛けベルト152aと左右対称に形成されている。
【0096】
一方の腿掛けベルト154aに、肩腿掛けベルト152aの他端部158aと肩腿掛けベルト152bの一端部156bとが取り付けられている。この安全帯142では、腿掛けベルト154aに、他端部158aと一端部156bとが縫合されている。この腿掛けベルト154aは、作業者Pの左腿周りに装着されうる。同様に、腿掛けベルト154bに、肩腿掛けベルト152aの一端部156aと肩腿掛けベルト152bの他端部158bとが取り付けられている。この腿掛けベルト154bは、作業者Pの右腿周りに装着されうる。この肩腿掛けベルト152a、肩腿掛けベルト152b、腿掛けベルト154a及び腿掛けベルト154bは、一対の肩ベルト164及び一対の腿ベルト166を形成している。
【0097】
留め具146は、背交差部160に位置している。留め具146に、交差する肩腿掛けベルト152aと152bとが通されている。一方の留め具150は、側交差部162aに位置している。一方の留め具150に、交差する肩腿掛けベルト152aと152bとが通されている。他方の留め具150は、側交差部162bに位置している。他方の留め具150に、交差する肩腿掛けベルト152aと152bとが通されている。
【0098】
胴ベルト148は、安全帯142を装着する作業者Pの腰周りに装着されるベルトである。胴ベルト148は、ベルト本体168及びバックル170を備えている。バックル170は、ベルト本体168の一端に連結されている。ベルト本体168は、一対の留め具150に通されている。この胴ベルト148は、一対の留め具150に取り付けられている。この胴ベルト148は、主ベルト144と連結されている。ベルト本体168の他端がバックル170に通されて、ベルト本体168の一端と他端とが連結及び連結解除可能にされている。
【0099】
この安全帯142では、巻取器本体42は、ベルト本体168に仮固定されている。巻取器本体42がベルト本体168に仮固定されているので、作業者Pは巻取器16の操作を容易にできる。この安全帯142では、主ベルト144は一対の側交差部162a及び162bを備えているが、一対の側交差部162a及び162bを備えていなくてもよい。肩腿掛けベルト152aと肩腿掛けベルト152bとがそれぞれ別々に胴ベルト148に連結されていてもよい。
【0100】
図13(a)から
図13(c)には、更に他の実施形態に係るハーネス型安全帯172、ハーネス型安全帯174及びハーネス型安全帯176の一部が示されている。ここでは、それぞれについて、安全帯2と異なる構成について説明がされ、安全帯2と同様の構成の説明が省略される。また、安全帯2と同様の構成については、同様の符号が使用される。
【0101】
図13(a)には、ハーネス型安全帯172(以下、安全帯172という)の一部が示されている。この安全帯172は、安全帯2のガイドベルト12に代えて、ガイドベルト178を備えている。このガイドベルト178は折り返されて第一ガイドベルト178aと第二ガイドベルト178bとが形成されている。第二ガイドベルト178bは、第一ガイドベルト178aと肩腿掛けベルト4bとの間に位置して、第一ガイドベルト178aに沿って延びている。この安全帯172では、第二ガイドベルト178bがガイド対向面32を形成している。
【0102】
安全帯172では、第一ガイドベルト178aと第二ガイドベルト178bと肩腿掛けベルト4bとが重ね合わされて縫合されて、縫合部180を形成している。補強ベルト33は、主対向面31とガイド対向面32との間に位置している。補強ベルト33と肩腿掛けベルト4bとが縫合されて第一補強縫合部182を形成している。第一ガイドベルト178aと第二ガイドベルト178bと補強ベルト33とが重ね合わされて縫合されて、第二補強縫合部184を形成している。この安全帯172では、第一補強縫合部182と第二補強縫合部184とが、縫合部180を補強している。
【0103】
図13(b)には、ハーネス型安全帯174(以下、安全帯174という)の一部が示されている。この安全帯174は、補強ベルト33に代えて、補強ベルト186を備えている。この安全帯174では、ガイドベルト12は、折り返されている。この折り返しにより、主部188と折り返し部190とが形成されている。この主部188にガイド対向面32が形成されて、この折り返し部190にガイド対向面32に対向する折り返し対向面191が形成されている。
【0104】
安全帯174では、補強ベルト186は、肩腿掛けベルト4bとガイドベルト12の背後に位置している。折り返し部190と肩腿掛けベルト4bとが重ね合わされて縫合されて、縫合部192を形成している。補強ベルト186と肩腿掛けベルト4bとが縫合されて第一補強縫合部194を形成している。主部188と補強ベルト186とが重ね合わされて縫合されて、第二補強縫合部196を形成している。この安全帯174では、第一補強縫合部194と第二補強縫合部196とが、縫合部192を補強している。
【0105】
図13(c)には、ハーネス型安全帯176(以下、安全帯176という)の一部が示されている。この安全帯176では、肩腿掛けベルト4bが折り返されている。この折り返しにより、肩腿掛け主部198と肩腿掛け折り返し部200とが形成されている。ガイドベルト12は、折り返されている。この折り返しにより、主部188と折り返し部190とが形成されている。この主部188にガイド対向面32が形成されて、この折り返し部190にガイド対向面32に対向する折り返し対向面191が形成されている。
【0106】
安全帯176では、肩腿掛け折り返し部200は、肩腿掛けベルト4bとガイドベルト12の背後に位置している。ガイドベルト12の折り返し部190と肩腿掛けベルト4bとが重ね合わされて縫合されて、縫合部192を形成している。肩腿掛け折り返し部200と肩腿掛け主部198とが縫合されて第一補強縫合部202を形成している。肩腿掛け折り返し部200とガイドベルト12の主部188とが重ね合わされて縫合されて、第二補強縫合部204を形成している。この安全帯176では、肩腿掛け折り返し部200が補強ベルトとして機能している。