(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6898644
(24)【登録日】2021年6月15日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】ピロー包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 57/00 20060101AFI20210628BHJP
B65B 9/06 20120101ALI20210628BHJP
【FI】
B65B57/00 C
B65B9/06
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-162652(P2017-162652)
(22)【出願日】2017年8月25日
(65)【公開番号】特開2019-38588(P2019-38588A)
(43)【公開日】2019年3月14日
【審査請求日】2019年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】関 浩典
【審査官】
長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−082495(JP,A)
【文献】
特開2014−218297(JP,A)
【文献】
特開昭62−260637(JP,A)
【文献】
特開2005−153051(JP,A)
【文献】
特開平07−275942(JP,A)
【文献】
特開2012−116500(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/150763(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 57/00
B65B 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピロー包装機の製袋器の設置領域にエリアセンサーを配置し、
前記エリアセンサーの検知エリアは、製袋器の搬入口の上流側空間への進入を検知するように設定し、
前記製袋器への搬入側で製品の上方を覆う面を検知エリアとする第二エリアセンサーを有することを特徴とするピロー包装機。
【請求項2】
前記エリアセンサーの前記検知エリアは、前記製袋器へ製品を供給する製品搬送供給装置の搬出端側から前記製袋器までの間を含むことを特徴とする請求項1に記載のピロー包装機。
【請求項3】
前記エリアセンサーは、前記製袋器に対し前記ピロー包装機の手前側の上下方向の平面内を検知エリアとする第一エリアセンサーを有することを特徴とする請求項1または2に記載のピロー包装機。
【請求項4】
前記第二エリアセンサーの検知エリアの面は、前記第一エリアセンサーの検知エリアの上下方向の範囲内に配置されることを特徴とする請求項3に記載のピロー包装機。
【請求項5】
前記製袋器の下流側に配置された装置を覆うカバーを備え、
前記第一エリアセンサーの検知エリアは、前記製袋器の下流側から前記カバー側までを含むことを特徴とする請求項3または4に記載のピロー包装機。
【請求項6】
前記第二エリアセンサーは、前記製袋器へ供給するフィルムが掛け渡されるローラのうち、前記製袋器の直前に配置されるテンションローラを支持するテンションアームに取り付けられることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のピロー包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピロー包装機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
包装機の一形態であるピロー包装機は、以下のような構成を備える。ピロー包装機は、原反ロールに巻き取られた帯状フィルムを連続して製袋器に供給し、その製袋器を通過させる際に筒状に製袋する。そして、製袋器の下流側に配置されたセンターシール装置は、製袋器を通して筒状に製袋されて重ね合わされたフィルム重合端をシールする。このシールにより筒状フィルムが形成される。また、この製袋器の上流側には製品搬送供給装置を配置し、その製品搬送供給装置から所定間隔毎に搬送される製品が、製袋器内に供給される。これにより、製品が製袋器内を通過すると、筒状フィルム内に所定間隔毎に収納されることになり、その製品は筒状フィルムとともに搬送される。そして、ピロー包装機の搬出側に配置されたトップシール装置にて、筒状フィルムを所定間隔毎に横方向に横断するようにシール・カットすることにより、製品を内包するピロー包装体が製造される。
【0003】
例えば特許文献1に図示されているように、この種のピロー包装機では、従来からセンターシール装置やトップシール装置の周囲を覆うように開閉するカバーを設ける。このカバー開けた状態で各シール装置の調整を行ったり、包装用のフィルムを各シール装置内を通過させて初期セットしたりする。そして、ピロー包装機が稼働して包装処理を開始する場合、当該カバー閉じた状態で行う。これにより、作業者が、誤って回転等の動きがある機械や、高温に加熱されるヒータなどに接触する事故の発生を未然に防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−97834
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従前から製袋器の周りについては、上述した開閉するカバーで覆うような安全対策がとられていない。これは、従前から製袋器の周辺では、シール装置の周辺に比べて危険度が低く、そもそも安全対策を施す必要性がないと考えられていたためである。
【0006】
また、仮に特許文献1等に開示された開閉するカバーで覆うようにした場合、製袋器の上方には、原反ロールの支持機構が配置されるとともに、原反ロールから連続して繰り出される帯状フィルムの搬送経路を決定する各種のローラが複数配置されているため、それら全体を覆う大きなカバーが必要になり、装置が大型化する。
【0007】
さらに、ピロー包装機を稼働するに先立ち、原反ロールから繰り出した帯状フィルムを複数のローラに掛け渡した後、製袋器にセットする必要がある。さらには、包装体の種類ごとに製袋器に対する帯状フィルムの供給角度等を調整するため、製袋器の斜め上方所定位置に配置したテンションローラの高さ・角度等を変更する調整する必要がある。係る調整作業を行うためにカバーを開くことになるが、大きなカバー全体を開閉するのは、煩雑であるとともに開閉するためのカバーの移動空間を周囲に確保する必要があるので難しい。そこで例えば全面の一部に開閉する扉を設け、その扉を開いた状態で上記の調整作業を行うことになる。すると、テンションローラの上下の位置の調整作業や、複数のローラに対してフィルムを掛け渡して製袋器へ導くフィルム通し作業など、調整作業のために必要な空間の広がりが大きく、扉以外の開閉しない壁の部分が邪魔になり、安全対策をとりにくいという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明のピロー包装機は、(1)ピロー包装機の製袋器の設置領域にエリアセンサーを配置し、前記エリアセンサーの検知エリアは、製袋器の搬入口の上流側空間への進入を検知するように設定し
、前記製袋器への搬入側で製品の上方を覆う面を検知エリアとする第二エリアセンサーを有するようにした。
【0009】
このようにすると、ピロー包装機の周囲に存在する作業員等が、誤って手・腕等の身体の一部を製袋器の搬入口の上流側空間に進入しようとすると、エリアセンサーがそれを検知する。よって、例えばそのエリアセンサーから出力される検知信号に基づきピロー包装機の動作を停止するなど危険回避処理を行うことで、作業員等の身体の一部が例えば製袋器内に巻き込まれて進入してしまうおそれ等を回避できる。
【0010】
さらに、エリアセンサーを用いて監視しているので、監視停止時には検知エリアの両端に配置された一対のセンサー部が存在するが検知エリア内は何ら存在しない状態になる。そこで、例えば、包装処理開始前に帯状フィルムを所定の経路で各ローラ等に掛け渡すフィルム通し作業や、帯状フィルムの製袋器への進入角度の調整作業等を行うための作業空間が確保でき、当該作業が容易に行えるのでよい。
また、製袋器の搬入側上方から下方に向かって手・腕等を伸ばし、例えば包装物搬送供給装置から搬出され、製袋器に供給される製品に接触しようとしたり、製品を手で供給しようとしたりしようとする事態が生じる前に、第二エリアセンサーにより当該事態の発生の前の動作を検出することができる。
また第二エリアセンサーは、製品の上方をガードすることができ、例えばその検知エリアの高さを可能な限り製品に近づけることができ、製品の上方のスペースを作業スペースとして確保することができる。覆う面は、実施形態では水平面としているが、傾斜面でも良い。水平面の方が短い範囲で製品・フィルムの搬送方向に広い範囲をカバーできるのでよい。
【0011】
(2)
前記エリアセンサーの前記検知エリアは、前記製袋器へ製品を供給する製品搬送供給装置の搬出端側から前記製袋器までの間を含むとよい。このようにすると、製品搬送供給装置から搬出されて製袋器に供給される製品の搬送エリアに、誤って手・腕等の身体の一部が進入するのを事前に検知することができ、例えば身体の一部が製品やそれを搬送するための手段に巻き込まれて製袋器内に進入してしまうおそれ等を回避できるのでよい。
【0012】
(3)前記エリアセンサーは、前記製袋器に対し前記ピロー包装機の手前側の上下方向の平面内を検知エリアとする第一エリアセンサ
ーを有するとよい。一般に、作業員等はピロー包装機の手前側に位置しているため、当該手前側から奥側に向かって手・腕等を伸ばすことが多いので、第一エリアセンサーを配置することで係る行為に対して有効に機能できる
。一方、ピロー包装機の奥側には、各種の制御盤その他の壁面・ボックス等が存在しており、包装処理中のピロー包装機に対し、作業員が奥側から手前に向けて手等を伸ばすようなことは通常起こらない。そこで、少なくとも第一エリアセンサーと第二エリアセンサーを配置することで効率よく監視をすることができるので良い
。上下方向の平面は、実施形態では垂直平面としているが、傾斜面としても良い。垂直平面の方が、短い範囲で上下方向の広い範囲をカバーできるのでよい
。
【0013】
(4)前記第二エリアセンサーの検知エリアの面は、前記第一エリアセンサーの検知エリアの上下方向の範囲内に配置されるようにするとよい。このようにすると、第一エリアセンサーの検知エリアの上端のさらに上方から斜め下方に向けて手・腕等を差し入れようとしても、係る行為を第二エリアセンサーにより確実に検知できるので良い。
【0014】
(5)前記製袋器の下流側に配置された装置を覆うカバーを備え、前記第一エリアセンサーの検知エリアは、前記製袋器の下流側から前記カバー側までを含むようにするとよい。このようにすると、製袋器から当該装置に至る広範囲にわたり、安全対策が施されるので良い。装置は、実施形態では抑えベルト装置に対応する。カバーは、製袋器の下流側であって、例えば実施形態のようにカバーが複数有する場合、製袋器側にあるカバーが対応する。
【0015】
(6)前記第二エリアセンサーは、前記製袋器へ供給するフィルムが掛け渡されるローラのうち、前記製袋器の直前に配置されるテンションローラを支持するテンションアームに取り付けられるようにするとよい。このようにすると、ピロー包装機の本体側に第二エリアセンサーを取り付けるための部材がないので作業がし易く、設計するうえでもテンションローラやテンションアームがセンサーブラケット35に干渉しないよう考慮する必要がないのでよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、製袋器周りの安全対策を確保しつつ、包装処理を行っていない状態では、エリアセンサーの動作をOFFにすることで、製袋器周りで作業空間を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係るピロー包装機の好適な一例を示す斜視図(その1)である。
【
図2】本発明に係るピロー包装機の好適な一例を示す斜視図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0019】
本実施形態のピロー包装機は、上流側から製品搬送供給装置11,包装機本体12の順に配置され、さらにそれらの上方にフィルム供給装置13を備えて構成される。製品搬送供給装置11は、製品1を一定間隔毎に搬送するとともに、次段の包装機本体12に順次供給するフィンガーコンベア装置から形成されている。すなわち、前後に配置されたスプロケット間に掛け渡されたエンドレスチェーン5に対し、一定間隔で押送フィンガー6を取り付けて構成される。押送フィンガー6は、左右に配置された受け板7間に形成された隙間7aから、上方に突出する。そして、前後の押送フィンガー6間の受け板7の上に製品1を供給することにより、その製品1を押送フィンガー6のフィンガーピッチで搬送する。
【0020】
フィルム供給装置13は、製品1を包み込む包装フィルムとなる帯状フィルム14を連続して包装機本体12に供給するためのものである。このフィルム供給装置13は、帯状フィルム14をロール状に巻き取った原反ロール15を支持する支持軸16を備える。支持軸16は、ピロー包装機の奥側に起立配置されたボックス22に対し、片持ち支持状で軸受け支持される。さらにフィルム供給装置13は、原反ロール15から連続して引き出された帯状フィルム14を所定の搬送経路で搬送し、包装機本体12の搬入部位に導くためのローラ17を備える。このローラ17は、帯状フィルムに対して駆動を掛ける駆動ローラや、テンションを掛けるテンションローラや、帯状フィルム14の搬送方向を変更したり搬送をガイドしたりするフリーローラなどがある。さらに、それら複数のローラのうち、フィルムの搬送方向の最下流、すなわち包装機本体12への直前には、テンションローラ18が配置される。このテンションローラ18は、帯状フィルム14の搬送方向の左右両側に配置されたテンションアーム19に支持されている。さらに、テンションローラ18は、テンションアーム19の長手方向に形成されたガイド孔19aに沿って移動可能となる。すなわち、テンションローラ18の一端側、例えばピロー包装機の手前側に装着したハンドル20を操作して締めるとテンションローラ18はテンションアーム19に対して固定され、ハンドル20を操作して緩めるとテンションローラ18はガイド孔19aに沿って移動可能になる。さらにテンションアーム19は、その上端にて、固定プレート21に対して所定角度範囲で回転可能な状態で取り付けられ、所望の角度で保持可能な構成にしている。また、固定プレート21には、上述した各種のローラ17が軸受支持される。
【0021】
また、帯状フィルム14に対して駆動をかける駆動ローラに替えて、支持軸16に駆動モータ(例えばサーボモータ等の速度制御可能なモータ)の出力を連係し、原反ロール15の回転速度を適宜制御しながら一定速度で帯状フィルムを包装機本体12に供給するようにしてもよい。
【0022】
包装機本体12は、搬入側に製袋器23を備え、フィルム供給装置13から供給される帯状フィルム14を製袋器23に通過させることにより、帯状フィルムを筒状に製袋する。そして、帯状フィルムの両側端は、製袋器23の下方に突出した状態で両側端同士が重ね合わされる。製品搬送供給装置11から順次搬出される製品1は、製袋器23内に供給される。これにより、筒状に製袋される帯状フィルム内に製品1が所定間隔ごとに供給されることになり、以後、その製品1は筒状に製袋された帯状フィルム内に内包された状態のまま、当該フィルムとともに搬送される。
【0023】
包装機本体12は、製袋器23の下流側に、製袋器23を通過して製袋された帯状フィルムの両側縁を重ね合わせた部位をセンターシールするためのセンターシール装置24と、そのセンターシールされた筒状フィルムの所定位置(製品の存在しない部分)を横方向にシール・カットするトップシール装置25等を備える。これにより、筒状フィルムの先端部分(先頭の製品を内包する部分)が分離され、製品が内包される包装体が製造される。この包装体は、図示省略する搬送コンベアにより搬出される。センターシール装置24とトップシール装置25の間には、下搬送ベルトが配置される。この下搬送ベルトは、製品1を内包する筒状フィルムの搬送路を構成する。さらに、この下搬送ベルトの上方には、抑えベルト装置28が設置される。抑えベルト装置28の抑えベルト28aの上流側端は製袋器23の搬出側端近傍に位置し、抑えベルト28aの下流側端はトップシール装置25の上流側の直近に位置する。抑えベルト28aと下搬送ベルトとの間で筒状フィルムを挟み込み、製品1が上方に持ち上がるのを抑制し、水平状態を保持しながら搬送できるようにしている。
【0024】
そして、抑えベルト装置28の一部(下流側)の周囲・上方空間を覆うように第一カバー26が配置される。また、トップシール装置25の周囲・上方空間を覆うように第二カバー27が配置される。第一カバー26,第二カバー27は、ともにピロー包装機の稼働中は、図示した閉じた状態を維持し、作業員等が誤ってシール装置等に接触するのを阻止している。一方、包装処理に先立ち行う初期設定や、メンテナンス等を行う場合、第一カバー26及びまたは第二カバー27を開いて処理する。上述したピロー包装機の基本構成は、従来のものと同様であるためその詳細な説明を省略する。また、上記の例示したもの以外にも各種のピロー包装機を用いると良い。
【0025】
本実施形態では、製袋器23の設置領域内の所定位置にエリアセンサーを設けた。所定位置は、ピロー包装機の稼働中において、作業員等の周囲に居る人が、手・腕その他の身体の一部を製袋器23付近に接近するような動作を行う場合に通過するエリアを検知エリアに設定する。本実施形態では、製袋器23に対しピロー包装機の手前側の垂直面内を検知エリアとする第一エリアセンサー31と、製袋器23への搬入側上方の水平面内を検知エリアとする第二エリアセンサー32を有する。
【0026】
第一エリアセンサー31は、一対のセンサー部31a,31aをピロー包装機の手前側であって、製袋器23を通過した筒状フィルム・製品1の搬送方向に沿って前後の所定位置に起立配置し、その一対のセンサー部31a,31aとの間で挟まれた空間が検知エリアとなる。一方のセンサー部31aは、製品搬送供給装置11の搬出端近傍に起立配置し、他方のセンサー部31aは第一カバー26の近傍に起立配置する。センサー部31aは、一方が投光部となり、他方部が受光部となる。投光部から出射された光が受光部で受信される。両者間に物体が存在すると、遮光されて受光部に受光されず、当該物体を検知する。これにより、製品搬送供給装置11の搬出端近傍から、第一カバー26の直前までのピロー包装機の正面側が、第一エリアセンサー31の検知エリア33となる。よって、当該区間におけるピロー包装機の手前側にいる作業員等が、例えば手を伸ばして製袋器23の上方等に手をかざそうとすると、第一エリアセンサー31は、検知信号を出力する。
【0027】
第二エリアセンサー32は、一対のセンサー部32a,32aを、製袋器23の搬入口よりも上流側の、製袋器23の上面よりも上方側であって、製品の搬送方向の左右両側に対向配置し、その一対のセンサー部32a,32aの間で挟まれた空間が検知エリアとなる。それらセンサー部32a,32aは、搬送方向に沿って延びるように配置される。センサー部32aは、一方が投光部となり、他方部が受光部となる。投光部から出射された光が受光部で受信される。両者間に物体が存在すると、遮光されて受光部に受光されず、当該物体を検知する。これにより、第二エリアセンサー32の検知エリア34は、製袋器23の搬入口の上流側であって、製袋器23の上よりも上方所定高さ位置における水平平面となる。さらに本実施形態では、第二エリアセンサー32の検知エリア34は、テンションローラ18から製袋器23に至る帯状フィルム14の搬送経路よりも上流側に位置し、当該帯状フィルム14は第二エリアセンサー32の検知エリア34に入らないようにしている。さらに本実施形態では、第二エリアセンサー32は、テンションアーム19の下端にセンサーブラケット35を介して連結する。
【0028】
次に上述した実施形態の作用について説明する。例えば、作業員等が稼働中のピロー包装機の周囲に居た場合において、テンションローラ18から製袋器23に向けて移動する帯状フィルム14に作業員の手などが触れた場合、帯状フィルム14の移動に巻き込まれ、そのまま帯状フィルム14とともに製袋器23内へ入り込んでしまうおそれがある。また、製品搬送供給装置11の搬出端近傍では、押送フィンガー6が製品1を押送し、製袋器23内に順次供給するが、このとき、例えば搬出端近傍で押送される製品1に手等が触れると、押送フィンガー6によって製品1とともに製袋器23内に押し込まれ、製袋器23と押送フィンガー6の間に挟まれてしまうおそれがある。また、例えば、製品搬送供給装置11の搬出端近傍において押送フィンガー6間に製品1が供給されていない部分に手等が触れると、後続の押送フィンガー6に接触し、そのまま押送されて製袋器23と押送フィンガー6の間に挟まれてしまうおそれがある。さらにまた、製袋器23の通過後のフィルムの通りを整えようとして抑えベルト28aに指を巻き込んでしまったり、抑えベルト28aと下搬送ベルトとの間に指を挟んでしまったりするおそれもある。
【0029】
上述した本実施形態のピロー包装機は、製袋器23の周辺に、第一エリアセンサー31,第二エリアセンサー32を配置したので、ピロー包装機の包装処理の運転中にそれらエリアセンサーを動作させておくと、例えば、製袋器23の搬入口の上流側の上方空間の帯状フィルム14に触れるように、ピロー包装機の手前側から奥側に向かって手を入れるような動作を行ったり、製品搬送供給装置11の搬出端近傍を移動する製品1等に触れるように、ピロー包装機の手前側から奥側に向かって手を入れるような動作を行ったり、製袋器23の下流側を移動する筒状フィルム等に触れるように、ピロー包装機の手前側から奥側に向かって手を入れるような動作を行ったりした場合、いずれも第一エリアセンサー31の検知エリアを手・腕等が横切ることになり、第一エリアセンサー31は、検知信号を出力する。
【0030】
また、例えば、製袋器23の上流側・製品搬送供給装置11の搬出端近傍の上方から当該搬出端近傍を移動し、製袋器23に供給される製品1あるいはそれを押送する押送フィンガー6に対し、作業員が上方から下方に向かって手を入れるような動作を行ったりした場合、第二エリアセンサー32の検知エリアを手・腕等が横切ることになり、第二エリアセンサー32は、検知信号を出力する。
【0031】
これにより、製袋器23の周辺に対して作業員等が手等を触れようとした場合、第一エリアセンサー31か第二エリアセンサー32の少なくとも一方が当該手等を検出することができる。そして、係る検知信号に基づき、例えばピロー包装機を一時停止するなどして安全対策を施す。
【0032】
一方、包装処理開始前に帯状フィルム14を各ローラ17・テンションローラ18に掛け渡すフィルム通し作業や、テンションローラ18のテンションアーム19に対する相対位置・テンションアーム19の角度の調整を行う場合、第一エリアセンサー31と第二エリアセンサー32の検知処理を停止し、その停止した状態で各種処理を実行する。すると、第一エリアセンサー31と第二エリアセンサー32の監視動作が停止しているので、検知エリアには何ら存在しない状態になり作業スペースが確保され、上述したフィルム通し作業や調整作業等を容易に行えるのでよい。
【0033】
上述した実施形態では、エリアセンサーとして第一エリアセンサー31と第二エリアセンサー32の2つ設けたが、本発明はこれに限ることはなく、3つ以上としても良いし、1つとしても良い。但し、実施形態のように2つ配置するのが、効率よく広範囲をカバーできるのでよい。
【0034】
上述した実施形態では、フィルム供給装置が製袋器の上方側に位置し、フィルムの重合端が下側に位置するタイプの横ピロー包装機について適用した例を示したが、フィルム供給装置が製袋器の下方に位置しフィルム重合端が製袋器の上側に形成される逆ピロー包装機に適用しても良い。但し、実施形態のように通常のピロー包装機の方が、製袋器の上方にフィルム供給装置が配置されており、本発明の課題が顕著に現れるのでより好ましい。
【0035】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0036】
1 :製品
11 :製品搬送供給装置
12 :包装機本体
13 :フィルム供給装置
14 :帯状フィルム
18 :テンションローラ
19 :テンションアーム
23 :製袋器
24 :センターシール装置
25 :トップシール装置
26 :第一カバー
27 :第二カバー
31 :第一エリアセンサー
31a :センサー部
32 :第二エリアセンサー
32a :センサー部