(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
貯水槽(61)と、原水改質部と駆動制御部を収容して前記貯水槽(61)を上部に保持する駆動部筐体(70)で構成され、原水を改質して生物等の生存に好適な活性水を製造するための水処理装置であって、
前記貯水槽(61)は、底部に落水口(66)と揚水口(67)が形成されてなり、一端に前記揚水口(67)と接続する入水口(51in)を有し、他端が前記貯水槽(61)内に開口して吐水する如く設置された吐水口(51op)を形成した中空柱状ケース(52E)で構成されたサブ改質コア(63)と、前記入水口(51in)と前記揚水口(67)を連通させるサブ連絡管(65n+2)を収容してなり、
前記駆動部筐体(70)は、複数本のメイン改質コア(64a〜n)と循環ポンプ装置(62)を収容してなり、
前記駆動部筐体(70)に収容された前記メイン改質コア(64a〜n)は、その各上流側である一端に入水口(51in)を有し、下流側である他端に出水口(51out)を形成した中空柱状ケース(52M)で構成され、複数本の前記メイン改質コア(64a〜n)を前記循環ポンプ装置(62)によって循環される水流の上流側から下流側に順に接続するメイン連絡管(65a〜n)と、前記貯水槽(61)に収容されたサブ連絡管(65n+2)と前記サブ改質コア(63)と前記貯水槽(61)を前記循環ポンプ装置(62)に接続するミドル連絡管(65n+1)とで循環路を形成してなり、
前記貯水槽(61)内に収容される水を前記循環路で循環させることにより前記貯水槽(61)に貯留される水を生物の生存に好適な活性水とすることを特徴とする水処理装置。
前記メイン改質コア(64a〜n)は、中空柱状ケース(52M)内の一端及び開口した他端の近傍に多数の細孔を穿設した篩板(55a、b)を有し、前記篩板(55a、b)の間に複数の改質素片配列物(21a〜n)を直列に収納してなり、
前記サブ改質コア(63)は、中空柱状ケース(52E)内の一端及び他端の各近傍に多数の細孔を穿設した篩板(55a、b)を有し、前記篩板(55a、b)の間に複数の改質素片配列物(21a〜n)を直列に収納し、前記中空柱状ケース(52E)の前記他端が前記貯水槽(61)に貯留される水中に開口していることを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
前記メイン改質コア(64a〜n)及び前記サブ改質コア(63)を構成する前記改質素片配列物(21)は、正六角柱状の表面(2)と底面(3)に直角な中心軸に沿って貫通した円形穴(4)を有し、前記円形穴(4)の内周面に該内周面を一周以上周回する螺旋溝(5)が形成されたオーステナイト系ステンレス鋼又はマルテンサイト系ステンレス鋼の何れかを材質として加熱処理を施した多数の改質素片(1)からなり、
前記改質素片(1)の多数個を、該改質素片(1)の各中心軸(7)が相互に平行になるように配列し、その配列を保持して構成されたものであることを特徴とする請求項2に記載の水処理装置。
前記改質素片配列物(21)を構成する該複数の改質素片(1)の前記中心軸(7)を、前記メイン改質コア(64a〜n)と前記サブ改質コア(63)を構成する前記中空柱状ケース(52M、52E)の入水口(51in)から流入し、出水口(51out)又は吐水口(51op)から流出する水の流線方向に略一致させて設置されたことを特徴とする請求項3に記載の水処理装置。
前記貯水槽(61)に水位検出センサ(73)を設置し、前記貯水槽(61)を含む前記循環路の何れかに循環水の酸化還元電位を検出するORPセンサ(85)と循環水の温度を計測する温度センサ(86)を備え、
前記水位検出センサ(73)及び/又は前記ORPセンサ(85)の検出信号に基づいて前記貯水槽(61)への給水を制御し、前記循環ポンプ装置(62)の稼働を制御する制御部(79)を具備したことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の水処理装置。
【背景技術】
【0002】
少なくとも地球上に存在する動物あるいは植物と称する殆どの生物は、その生命活動を継続するために絶対的に水を必要とする。人間の生存環境のみに限定しても、水は必須要素である。このような水は、生物それぞれの生存環境がより快適になるような最適品質であることが望ましい。
【0003】
しかしながら、地球上に存在する水(以下、原水とも言う)には必ずしも生物の生存に適した属性を常に備えているとは限らない。ここで言う生物の生存に適した属性とは、その生命体の生命維持のために個体に対して直接的作用する性能と、その生存環境に作用する間接的な性能であり、物理的、化学的及び人の感性に作用する好ましい性質を意味する。この意味では、むしろ、原水はそのままでは生存に好適な属性を有している場合は少ない。
【0004】
従来から、逆浸透膜を通して原水の不純物を除去し、あるいはミネラル成分の添加や除去など、物理的、化学的に人の生活における使用あるいは特定分野の使用に好適な属性を付与した処理水を得る方法や装置は既知である。この種の従来技術を開示したものとしては、例えば、特許文献1、特許文献2あるいは特許文献3などを挙げることができる。
【0005】
特許文献1は、原水に、基質としての分子状水素を含有させてなる水素溶存水と、前記水素溶存水に含有されて前記分子状水素を生成物としての原子状水素に分解する反応を触媒する貴金属コロイドとからなる抗酸化機能水を有効成分として含有し、副作用なしに薬理機能を発揮する薬理機能水を、疾患の予防及び/又は治療の用途に使用する薬理機能水とその用途を開示する。
【0006】
特許文献2は、水素溶存水に、水素酸化還元酵素又は貴金属コロイドである触媒を作用させる過程を通じて、該水素溶存水中に含まれる基質としての分子状水素を、生成物としての活性水素に分解する反応を促進させることにより、電子の欠乏に起因して酸化状態にあるか、又は酸化から防御したい抗酸化対象を、電子が充足された還元状態にすることができる抗酸化方法、抗酸化機能水及びその用途を開示する。
【0007】
特許文献3は、水素溶存水に触媒を作用させる過程を通じて、該水素溶存水中に含まれる基質としての分子状水素を、生成物としての活性水素に分解する反応を促進させることにより、電子の欠乏に起因して酸化状態にあるか、又は酸化から防御したい抗酸化対象を、電子が充足された還元状態にすることができる抗酸化方法を開示する。
【0008】
なお、特許文献4は、オーステナイト系ステンレス鋼又はマルテンサイト系ステンレス鋼からなる正六角柱状で貫通穴を有する素片を加熱処理した複数の素片配列物とした液体処理手段を開示しており、本発明に係る水処理装置の基本となる要素を開示したものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1乃至特許文献3に開示された水処理方法を汎用の水処理装置として実現するには、規模の大きい設備とコストが要求される。活性水は、家庭での日常的な消費や小規模な事業所、畜舎等で気軽にかつ低コスト利用できることが望ましい。そのためには、小型でメンテナンスが容易、かつ安価な装置が実現できることが最大の課題である。
【0011】
本発明の目的は、構成が簡単で取り扱いも容易な小型の活性水製造を可能とした水処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は、前記特許文献4に開示された素片(以下、改質素片)を集束した複数の素片配列物(以下では改質素片配列物と称する)を用いて簡易に活性水を製造できる水処理装置を構成した。
なお、ここで言う活性水とは、酸化還元電位(ORP:Oxidation-Reduction Potential)が低い(常温で200mV以下)の水を意味し、抗酸化性能を有する水である。このような水を活性水と称する。
【0013】
本発明に係る水処理装置の代表的構成例及び作用例を列挙すれば以下のとおりである。なお、下記では、発明の構成を明確に理解されるように、対応する実施例の図面に付した構成要素の符号をカッコ書きするが、本発明は該符号で示される構成に限定されるものではない。また、中空柱状ケースに複数の改質素片配列物を収納したものを“コア”と称することとする。
【0014】
本発明に係る水処理装置は、貯水槽(61)と、原水改質部と駆動制御部を収容して前記貯水槽(61)を上部に保持する駆動部筐体(70)で構成され、原水を改質して前記した生物の生存等に好適な活性水を製造するための水処理装置であって、
前記貯水槽(61)は、底部に落水口(66)と揚水口(67)が形成されてなり、一端に前記揚水口(67)と接続する入水口(51in)を有し、他端が前記貯水槽(61)内に開口して吐水する如く設置された吐水口(51op)を形成した中空柱状ケース(52E)で構成されたサブ改質コア(63)と、前記入水口と前記揚水口(67)を連通させるサブ連絡管(65n+2)を収容してなり、
前記駆動部筐体(70)は、複数本のメイン改質コア(64a〜64n)と循環ポンプ装置(62)を収容してなる。
【0015】
前記駆動部筐体(70)に収容された前記メイン改質コア(64a〜64n)は、その各上流側である一端に入水口(51in)を有し、下流側である他端に出水口(51out)を形成した中空柱状ケース(52M)で構成され、複数本の前記メイン改質コア(64a〜64n)を前記循環ポンプ装置(62)によって循環される水流の上流側から下流側に順に接続するメイン連絡管(65a〜65n)と、前記貯水槽(61)に収容されたサブ連絡管(65n+2)と前記サブ改質コア(63)と前記貯水槽(61)を前記循環ポンプ装置(62)に接続するミドル連絡管(65n+1)とで循環路を形成してなり、
前記貯水槽内に収容される水を前記循環路で循環させることにより、結果的に前記貯水槽(61)に貯留される水を前記した生物の生存等に好適な活性水とする。
【0016】
前記主改質コア(64a〜64n)は、前記中空柱状ケース(52M)内の一端及び開口した他端の近傍に多数の細孔を穿設した篩板(55a、55b)を有し、前記篩板の間に複数の改質素片配列物(21a〜21n)を直列に収納してある。処理される水は入水口(51in)から流入し、篩板(55a)の細孔を通過した後、改質素片配列物(21a)に流入する。複数の改質素片配列物を通過した水は篩板(55b)の細孔を出て出水口(51out)から流出する。
【0017】
なお、
図2、3では、複数の改質素片配列物(21a〜21n)が中空柱状ケース(52M)内で離れた位置に収納されているように示してあるが、これは配置構成を明確にするためであり、複数の改質素片配列物(21a〜21n)は中空柱状ケース(52M)に軸方向に前後を接して配置されるのが好ましい。
【0018】
また、前記サブ改質コア(63)は、メイン改質コアと同様に、前記中空柱状ケース(52E)内の一端及び他端の各近傍に多数の細孔を穿設した篩板(55a、55b)を有し、前記篩板の間に複数の改質素片配列物(21a〜21m)を直列に収納し、前記中空柱状ケース(52E)の前記他端が前記貯水槽(61)に貯留される水中に開口している。
【0019】
前記メイン改質コア(64a〜64n)及び前記サブ改質コア(63)を構成する前記改質素片配列物(21a〜21m、21a〜21n)は、正六角柱状の表面(2)と底面(3)に直角な中心軸に沿って貫通した円形穴(4)を有し、前記円形穴(4)の内周面に該内周面を一周以上周回する螺旋溝(5)が形成されたオーステナイト系ステンレス鋼又はマルテンサイト系ステンレス鋼の何れかを材質として加熱処理を施した多数の改質素片(1)からなり、
前記改質素片の多数個を、該改質素片の各中心軸が相互に平行になるように配列し、その配列を保持して構成される。
【0020】
前記改質素片配列物(21a〜21m、21a〜21n)を構成する該複数の改質素片(1)の前記中心軸を、前記メインコア(64a〜64n)と前記サブコア(63)を構成する前記中空柱状ケース(52M、52E)の入水口(51in)から流入し、出水口(51out)又は吐水口(51op)から流出する水の流線方向に略一致して設置される。
【0021】
また、前記貯水槽(61)に水位検出センサ(73)を設置し、前記貯水槽(61)を含む前記循環路の何れかに循環水の酸化還元電位を検出するORP(Oxidation-Reduction Potential)センサ(85)と循環水の温度を計測する温度センサ(86)を備え、
前記水位検出センサ(73)及び/又は前記ORPセンサ(85)の検出信号に基づいて前記貯水槽(61)への給水を制御し、前記循環ポンプ装置(62)の稼働を制御する制御部(79)を具備した。
【0022】
前記複数の改質素片(1)が同一の形状、同一の大きさであり、該改質素片(1)の前記円形穴(4)は、該改質素片(1)の中心軸と一致する中心軸をもつ円柱状の穴であり、該複数の改質素片(1)の底面(3)が一の平面を形成するように配列され、かつ、該配列内で隣り合う改質素片(1)の側面を互いに近接させて配列した。
【0023】
前記複数の改質素片(1)は同心円状に配列され、かつ、該同心円状配列の最外周に位置する複数の改質素片(1)の中心軸が、該改質素片(1)の中心軸と直交する1の平面上の投影点(6)を結ぶ線が正六角形となるように配列した。
【0024】
改質素片(1)と改質素片配列物(21a〜21m、21a〜21n)については詳しく後述するが、前記同心円状配列の中心にある改質素片(1)の中心軸を略一致させて複数段上下に積重ねて配列し、前記改質素片(1)の材質をSUS304ステンレス鋼とした。また、前記改質素片(1)の前記加熱処理は、加熱温度が900℃〜1500℃であり、加熱時間が10分間〜120分間とした。
【発明の効果】
【0025】
上記構成とした本発明に係る水処理装置で処理した水(処理水:活性水)は人の飲料や調理用とすれば美味で健康的であり、飲料水としての用途以外の生活環境の水資源、畜舎や廃液等の臭気対策、医療機関でも有効である。例えば、抗菌性、抗ウイルス性、BOD対策、SS(水中懸濁物・浮遊物)対策、ノルマルヘキサン対策等の性能を属性として保持した活性ストリングを製造するための構成が簡単で取り扱いも容易な小型の活性水製造を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る水処理装置の実施の形態につき、実施例の図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
図1は本発明に係る水処理装置の一実施例における基本的な水循環系統を説明する模式図、
図2は
図1におけるメインコアの内部構造例を説明する一部破断した模式図、
図3は
図1におけるサブコアの内部構造例を説明する一部破断した模式図である。この水処理装置は、貯水槽61と、原水改質部と駆動制御部を収容して貯水槽61を上部に保持する駆動部筐体70で構成される。
【0029】
貯水槽61は、底部に落水口66と揚水口67が形成されている。そして、一端に揚水口67と接続する入水口51inを有し、他端が前記貯水槽内に開口して吐水する如く設置された吐水口51opを形成した中空柱状ケース52Eで構成された
図3に示すサブ改質コア63と、入水口51inと揚水口67を連通させるサブ連絡管65n+2を収容している。ソケット53は上流側の連絡管と接続する。
【0030】
また、駆動部筐体70には、複数本のメイン改質コア64a〜64nと循環ポンプ装置62が収容されている。符号73は水位センサ、69は活性水を利用するためのコック(水道栓)で、給水口68にとりつけてある。また、74は補水バルブ(好適には電磁バルブ)で、水道管(図示せず)に接続する。75は後述する表示部、76は同じく操作部、79は制御部を示す。
なお、貯水槽61の適宜の場所にORPセンサ(85)、温度センサ(86)が取り付け可能である。
【0031】
駆動部筐体70に収容されたメイン改質コア64a〜64nは、
図2に示したように、その各上流側である一端に入水口51inを有し、下流側である他端に出水口51outを形成した中空柱状ケース52Mで構成される。複数本の前記メイン改質コア64a〜64nを前記循環ポンプ装置62によって循環される水流の上流側から下流側に順に接続するメイン連絡管65a〜65nと、貯水槽61に収容されたサブ連絡管65n+2とサブ改質コア63と、貯水槽61を循環ポンプ装置62に接続するミドル連絡管65n+1とで循環路を形成している。そして、貯水槽61内に収容される原水又は一部処理水を上記の循環路で所定の回数循環させることにより貯水槽61に貯留される水が生物の生存等に好適な活性水となる。
【0032】
メイン改質コア64a〜64nは、
図2に示したように、SUSを好適とする中空柱状ケース52M内の一端及び開口した他端の近傍に多数の細孔を穿設した篩板55a、55bを有し、これらの篩板55a、55bの間に複数の改質素片配列物21a〜21nが直列に収納してある。処理される水は入水口51inから流入し、篩板55aの細孔を通過した後、改質素片配列物21aに流入する。複数の改質素片配列物を通過した水は篩板55bの細孔を出て出水口51outから流出する。
【0033】
なお、図では、複数の改質素片配列物21a〜21nが中空柱状ケース52M内で離れた位置に収納されているように示してあるが、これは配置構成を明確にするためであり、複数の改質素片配列物21a〜21nは中空柱状ケース52Mに軸方向に前後を接して配置されるのが好ましい。改質素片配列物21a〜21nは中空柱状ケース52Mに溶接点56で固定される。
【0034】
また、
図3に示したサブ改質コア63は、メイン改質コア64と同様に、中空柱状ケース52E内の一端及び他端の各近傍に多数の細孔を穿設した篩板55a、55bを有し、これらの篩板の間に複数の改質素片配列物21a〜21mを直列に収納し、前記中空柱状ケース(52E)の前記他端が前記貯水槽(61)に貯留される水中に開口している。
【0035】
改質素片配列物21a〜21mは、メイン改質コア64の改質素片配列物21a〜21nと異なる数でよい。後述の具体化装置では、メインコアを2本、サブコアを1本とした循環路を設置している。
【0036】
ここで、
図4と
図5を用いて改質素片と改質素片配列物を説明する。メイン改質コア64(64a〜64n)及びサブ改質コア63(63a〜64m)を構成する改質素片配列物(21a〜21n、21a〜21m)は、
図4(a)及び(B)に示したように、正六角柱状の表面2と底面3に直角な中心軸に沿って貫通した円形穴4を有し、円形穴4の内周面に該内周面を一周以上周回する螺旋溝5が形成されたオーステナイト系ステンレス鋼又はマルテンサイト系ステンレス鋼の何れかを材質として加熱処理を施した多数の改質素片1からなる。この改質素片1の多数個を
図4(b)に示した改質素片の各中心軸7が相互に平行になるように配列し、その配列を保持して改質素片配列物を構成する(
図5)。
【0037】
改質素片配列物(21a〜21m、21a〜21n)を構成する該複数の改質素片1の中心軸を、メインコア64a〜64nとサブコア63を構成する中空柱状ケース52M、52Eの入水口51inから流入し、出水口51out又は吐水口51opから流出する水の流線方向に略一致させて設置する(
図2、
図3の矢印57参照)。
【0038】
図6は本発明に係る水処理装置の一実施例による活性水のORP測定例の説明図であり、
図5に示した改質素片配列物を中空柱状ケースの軸方向に4個収納した(4連)コアに原水として松江市水道水を用い、循環させた水に溶存する水素をORPとして測定した結果を示す。測定器は山形東亜DKK株式会社製の「YUSB−01OR」を使用した。
【0039】
図6のグラフは、測定期間は2016年5月27日14時7分32秒から2016年6月6日14時7分32秒まで、5時間ごとに測定した結果を示す。
この結果から、本発明に係る水処理装置で処理した活性水のORP値は10日間に渡って、150mVと200mVの間に収まっていることが判る。
【0040】
図7〜
図9は本発明に係る水処理装置を家庭用として具体化した水処理装置の一例を説明する正面図(
図7)、上面図(
図8)、側面図(
図9)である。
この水処理装置は、上部構造が貯水槽61、下部構造が駆動部筐体70であり、上下分割可能な構造としてある。
図1に示した落水口66、揚水口67、給水口68は着脱可能な接続構造となっている。しかし、これに限るものではなく、上下一体構造とすることもできる。これらの構造物はSUSで構成してある。
前記水処理装置において、例えば、メインコア64は2本、サブコア63は一本として構成し、メインコア64は改質素片を171個集束した改質素片配列物を10個収納したものを用い、サブコア63は改質素片を333個集束した改質素片配列物4個収納したものを使用しているが、特に限定されるものではなく、装置の大きさ等を考慮して、適宜設計変更が可能である。
【0041】
貯水槽61には、蓋81、把手82が取り付けてあり、把手82を持って駆動部筐体70から取り外して清掃等のメンテナンスに供することができる。
駆動部筐体70の正面には表示部75が設置されている。表示部75には本装置の稼働状態を示すLED表示などが取り付けてある。符号69は給水コック、77はコップ等の受け皿で、これは必須ではない。
【0042】
駆動部筐体70の何れかの側面には操作部76が設置されている。メインスイッチやタイマ設定、制御部79のプログラム設定等が行われるようになっている。駆動部筐体70の背面には補水バルブ(電磁バルブ)74、電源コード84の収納部などが設けられている。駆動部筐体70の主要内部にはメインコア収納部72、ポンプ収納部71、制御部などが収納されている。必要に応じて、底部にはキャスタ83が取り付けることができ、本装置の移動を容易にすることができる。
【0043】
図10は本発明に係る水処理装置の制御システム例の概略を説明する機能ブロック図で、制御部79には貯水槽61に取り付けられる水位センサ73、操作部76からの指令/設定データ、タイマ78からの入力、補水バルブ74の開閉動作信号、ポンプ収納部71に収納されるモータ・ポンプの駆動信号を入力する。
また、
図11に示したORP検出手段を構成するORPセンサ85の検出出力を温度センサ86の検出値で構成した校正回路87の出力を入力する。
制御部79は、これらの信号やデータに基づいて予め設定されたアルゴリズムを実行して効率よく活性化された水を製造する。
【0044】
ORPセンサ85の検出出力は該水の温度で変化するので、温度センサ86のデータで校正する必要がある。温度センサ86の設置場所は貯水槽61の中にかぎるものではなく、循環路の何れかの場所でよい。制御部79は、水位検出センサ85及び/又は前記ORPセンサ85の検出信号に基づいて前記貯水槽61への給水を制御し、前記循環ポンプ装置62の稼働を制御し、同時に表示部75に所要の表示を行う。表示のみでなく、ブザーなどの他の報知手段を設けることも可能である。
【0045】
図7〜
図9に示した水処理装置の制御をすべて人手で行うものでは、上記した自動化のためのセンサ類、電磁バルブなどは不要である。
【0046】
なお、改質素片1の材質はSUS304ステンレス鋼とし、改質素片1の加熱処理は、加熱温度が900℃〜1500℃であり、加熱時間を10分間〜120分間としたものである。素片の加熱処理は、加熱温度が800℃以上で、加熱時間が5分間以上であれば液体変換能力、すなわち活性化能力を高めることができる。
【0047】
さらに詳しく説明すれば、改質素片1の加熱処理の温度は、通常800℃以上、好ましくは900℃〜1500℃、より好ましくは1000℃〜1200℃である。ただし、加熱処理は、素片1の材料の融点以下の温度で行わなければならない。加熱処理の時間は、通常は5分以上、好ましくは10分以上、より好ましくは10分から120分、もっとも好ましくは30分〜90分である。加熱処理の温度と時間の組合せは、温度を1000℃〜1200℃とし、加熱時間を30分〜90分とするのが好ましい。加熱後の冷却時間は特に制限はなく、自然放冷することができる。加熱処理後のステンレス鋼にパシペート処理(ステンレスの防錆処理)をしてもよい。
【0048】
なお、改質素片1の材質は、オーステナイト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、白金、金、銀、チタン、又は、ダイヤモンドから選ばれる。ここで、オーステナイト系ステンレス鋼とは、鉄72%、ニッケル8%、クロム18%とその他の金属元素の合金であり、SUS304、SUS316、SUS303、SUS301、SUS302、SUS201等が含まれる。
【0049】
マルテンサイト系ステンレス鋼とは、鉄85%、クロム13%とその他の金属元素の合金であり、SUS410、SUS416、SUS420J2等が含まれる。ダイヤモンドには天然ダイヤモンド、合成ダイヤモンドが含まれる。しかし、材料選択をコスト面からみれば、改質素片1の材質は、オーステナイト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、チタンが好ましく、オーステナイト系ステンレス鋼がより好ましい。その中でもSUS304が最も好ましい。
【0050】
また、改質素片1の大きさについて詳しく説明する。改質素片1の大きさに制限は無いが、正六角形の一辺(
図4(a)中の・は通常は10mm以下であり、好ましくは6mm以下、より好ましくは5mm以下とする。また、改質素片1の高さ(
図4(b)のh)にも特に制限はないが、通常高さhは、正六角形の一辺の長さ(
図4中の・)以下、好ましくはl×0.85以下が推奨される。
【0051】
改質素片1の円形穴(貫通穴)4の内周面に刻まれる螺旋溝5は、1周以上であれば溝の周回数に制限は無い。また、溝の深さについても特に制限はない。溝の形状はネジ山の形状で表現される。三角ネジ又は台形ネジ形状の溝を用いることができる。ここで、三角ネジにはネジ山の角度が60度、55度等の形状が含まれる。経済性、入手容易性から三角ネジが好ましい。
【0052】
次に、改質素片1の配列についてさらに説明する。本発明の素片配列物21(
図2、
図3)は、複数の改質素片1の中心軸7が相互に平行になるように配列したものである(
図5参照)。
すなわち、複数の改質素片1の底面3は、仮想的に共通の一平面と平行になる。また、複数の素片を段違い状に配列してもよく、改質素片1の底面3が仮想的な共通の一平面を形成するように配列してもよい。好ましい配列は、
図5に示したように複数の改質素片1の底面が仮想的な共通の一平面を形成する配列とすることである。
【0053】
一つの改質素片配列物に使用される複数の素片は、外形寸法が異なる複数の改質素片、外形寸法は同じで穴の大きさが異なる複数の改質素片、外形寸法と穴の大きさが同じで螺旋溝の形状が異なる複数の改質素片、同一大きさで同一形状の複数の改質素片、の何れであってもよく、好ましいものは同一大きさ、同一形状の複数の改質素片である。
【0054】
また、複数の改質素片1を、互いに距離をおいて配列すること、あるいは互いに近接又は接して配列することができる。好ましい配列は、互いに近接した配列であり、より好ましい配列は、互いに接触する配列である。その配列形状はランダム配列、格子状配列、同心円状配列など任意の配列形状とすることができる。
【0055】
図5では改質素片1を7個使用したが、さらに外周に沿って増やすことができ、その場合に使用する改質片の数は、19個、37個、61個、91個、127個・・・・となる。また、同心円配列には、最内周部分に3個の改質素片を置き、外周の改質素片の中心を結ぶ線が正三角形となる配列も含まれる。好ましい配列は、正六角形配列(Ortho-Hexagonal Arrangement:OHA)である。
【0056】
改質素片配列物21は、以上のように一段に配列した改質素片1により構成されるが、これを複数段上下に積重ねて1の素片配列物21とすることができる。
この積重ねの配列に特に制限はなく、上記した一段の配列を適宜積重ねることができる。好ましい積重ね配列は、一段の配列がOHAであり、このOHAをその中心点を上下方向に一致させて積重ねる配列である。
【0057】
つまり、各段の中心に置かれた改質素片1の中心軸7が仮想的な1の直線を形成する配列である。ここで、素片の配列を保持する構造として、箱の中に少しの隙間を空けて素片を保持する構造を採用すれば、中心軸7が形成する仮想的な直線は、略1の直線となる。
【0058】
この好ましい積重ね配列には、OHAの正六角形を上下に一致させる配列と、該正六角形が回転した状態で積重ねられる配列が含まれる。最も好ましい積重ね配列はOHAの正六角形を上下に一致させる配列である。
【0059】
配列を保持するには、種々の公知の構造や方法が使用できる。例えば、正六角柱状の箱の中に前記配列となるように改質素片1を入れ上下を蓋状のもので止める構造、箱(形状を問わない)の中に改質素片1を配列し、隙間部分には充填材を充填し、改質素片1の上下左右を圧迫して固定する構造、複数の改質素片1をボルトに固定しこれを結束具で固定する構造、基板の上に改質素片1を接着材などで固定する方法、改質素片1同士を接着材などで固定する方法などがある。
改質素片1を箱に詰める構造を採用する場合には、箱と素片の間に少し隙間があってもよい。また、隙間が無くてもよい。少し隙間があると素片を箱に詰める作業が容易になる。
【0060】
素片配列物21は、配列を保持した構造そのままで使用することができ、また、さらに容器に入れて使用することもできる。容器の材質は、特に制限はなく、例えば金属製、合成樹脂製、ガラス製、木製などの容器を使用することができる。成型加工が容易、経年変化が少ないなどの理由で、金属製が好ましく、錆びにくいことからステンレス鋼がより好ましく、入手が容易な点からSUS304が特に好ましい。さらに、容器は密閉にしてもよく、また、内部が外部に開放されていてもよい。埃を避ける点で密閉にすることが好ましい。
【0061】
本発明の水処理装置の例において、上部構造の貯水槽61にサブ改質コア63を収容し、下部構造の駆動部筐体70にメイン改質コア64a〜64nを収容し、これらを前述したようにメイン連絡管65a〜65n、サブ連絡管65n+2、ミドル連絡管65n+1を介して循環ポンプ装置62と接続し、循環路を形成させ、該循環路を所定回数循環するよう制御部79で循環ポンプ装置62を制御する構成とすることで、簡単に活性水を製造する循環システムを形成することができる。
例えば、循環ポンプ装置62を、循環路を1時間あたり500回循環するように制御部79で制御し、あわせて該循環ポンプ装置62を3時間駆動するようタイマー78をセットすると、3時間1500回循環した高回転の良好な活性水が簡単に製造できる。
また、制御部79で循環ポンプ装置62を制御し、循環速度や回数、時間を調整することで、使用用途や飲料する人の体質に適した活性水を製造することができる。
【0062】
以上説明した本発明に係る水処理装置により、構成が簡単で取り扱いも容易な小型の活性水製造を可能とした水処理装置を提供することができる。
なお、本発明は、水道水の処理に限定されるものではなく、所謂井戸水、河川水等の水、自然界に存在する液体(油性流体など)の改質にも適用できる。