特許第6898658号(P6898658)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6898658
(24)【登録日】2021年6月15日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】車両の運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20210628BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20210628BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20210628BHJP
   B60W 30/14 20060101ALI20210628BHJP
   B60W 40/04 20060101ALI20210628BHJP
   B60W 40/068 20120101ALI20210628BHJP
   B60W 40/072 20120101ALI20210628BHJP
   B60K 31/02 20060101ALI20210628BHJP
【FI】
   G08G1/16 E
   G08G1/09 F
   B60T7/12 C
   B60W30/14
   B60W40/04
   B60W40/068
   B60W40/072
   B60K31/02 Z
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-112850(P2018-112850)
(22)【出願日】2018年6月13日
(65)【公開番号】特開2019-215730(P2019-215730A)
(43)【公開日】2019年12月19日
【審査請求日】2019年3月28日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】溝口 雅人
(72)【発明者】
【氏名】小山 哉
【審査官】 武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−101599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
B60K 31/02
B60T 7/12
B60W 30/14
B60W 40/04
B60W 40/068
B60W 40/072
G08G 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両に搭載した自律センサを用いて自車走行路の前方環境を認識する第1の前方環境認識手段と、
外部通信により車外から受信した情報に基づいて自車走行路の前方環境を認識する第2の前方環境認識手段と、
前記第1の前方環境認識手段によって先行車が認識されているとき、前記先行車に基づいて、前記自車両の車速を目標車速に一致させる目標位置である制御目標位置を設定し、前記制御目標位置に基づく第1のブレーキ制御を行う第1のブレーキ制御手段と、
前記第2の前方環境認識手段のみによって前記先行車が認識されているとき、前記先行車に基づいて設定される前記制御目標位置を前記自車両を起点として遠方に補正した制御目標補正位置を設定し、前記第1の前方環境認識手段によって前記先行車が認識されるまでの間、前記制御目標補正位置に基づく予備的な第2のブレーキ制御を行う第2のブレーキ制御手段と、を備えたことを特徴とする車両の運転支援装置。
【請求項2】
前記第2のブレーキ制御手段は、自車両から前記制御目標位置までの道のり距離を制御用車間距離として設定し、前記制御用車間距離が、自車両と前記先行車との相対速度に基づいて算出される制御開始距離未満となったとき、前記制御目標補正位置に対する前記第2のブレーキ制御を開始することを特徴とする請求項1に記載の車両の運転支援装置。
【請求項3】
前記第2のブレーキ制御手段は、自車両から前記制御目標補正位置までの道のり距離を制御用車間距離として設定し、前記制御用車間距離が、自車両と前記先行車との相対速度に基づいて算出される制御開始距離未満となったとき、前記制御目標補正位置に対する前記第2のブレーキ制御を開始することを特徴とする請求項1に記載の車両の運転支援装置。
【請求項4】
前記制御目標位置を補正して前記制御目標補正位置を設定するための補正値は、天候に応じて可変であり、晴天時以外の前記補正値が前記晴天時の前記補正値よりも相対的に小さいことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の車両の運転支援装置。
【請求項5】
前記制御目標位置を補正して前記制御目標補正位置を設定するための補正値は、路面状況に応じて可変であり、雪路での前記補正値がドライ路面での前記補正値よりも相対的に小さいことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の車両の運転支援装置。
【請求項6】
前記制御目標位置を補正して前記制御目標補正位置を設定するための補正値は、時間帯に応じて可変であり、日没から日の出までの前記補正値が日の出から日没までの前記補正値よりも相対的に小さいことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の車両の運転支援装置。
【請求項7】
前記制御目標位置を補正して前記制御目標補正位置を設定するための補正値は、自車走行路前方の曲率に応じて可変であり、曲率が大きくなるほど前記補正値が小さいことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の車両の運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両の前方に存在する先行車等に対して自動ブレーキ制御を行う車両の運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両においては、運転者の負担を軽減し、快適且つ安全に運転できるようにするための運転支援装置に関する技術が種々提案され、実用化されている。
【0003】
この種の運転支援装置では、車載のカメラやレーザ・レーダ等の自律センサを用いて車外環境情報を取得し、取得した車外環境情報等に基づいて先行車等を認識する。これにより、運転支援装置は、先行車に対する追従走行等を行うことが可能となっている。
【0004】
また、例えば、特許文献1に開示されているように、運転支援装置では、道路上に設けられたインフラシステム等との間で外部通信を行い、自律センサでは検出することが困難な先行車等(例えば、自車前方のカーブ上に存在する渋滞最後尾の先行車)の情報を予め取得することにより、警報タイミングを早め、障害物に対するスムーズな減速を実現する技術が開示されている。
【0005】
さらに、近年では、インフラシステム等との外部通信によって取得した先行車等の情報に基づき、自律センサによって先行車等が検出される前においても、警報制御のみならず予備的な自動ブレーキ制御等を行うことも検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−101599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、一般に、外部通信によって取得される先行車等の情報(外部通信情報)は、自律センサによって取得される先行車等の情報(自律センサ情報)に比べて検出精度が劣るため、実際の先行車等の位置や移動速度に対して大きな誤差が生じる場合がある。
【0008】
従って、例えば、外部通信情報に基づいて認識した先行車の位置が実際の先行車の位置よりも手前(自車両側)にある場合において、当該先行車に対する自動ブレーキ制御が開始されると、自律センサ情報に基づいて実際の先行車を認識した際には既に過剰な減速が行われている虞がある。そして、このような過剰な減速が行われた後に、制御対象が、外部通信情報に基づく先行車から自律センサ情報に基づく先行車に引き継がれると、自車両が一旦加速を行った後に再度減速を開始するなど、不要な加減速が行われてドライバに違和感を与える虞がある。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、車外との外部通信によって得られる情報に基づいて自動ブレーキ制御を開始する場合にも、ドライバに対して違和感のない適切な減速を実現することができる車両の運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様による車両の運転支援装置は、自車両に搭載した自律センサを用いて自車走行路の前方環境を認識する第1の前方環境認識手段と、外部通信により車外から受信した情報に基づいて自車走行路の前方環境を認識する第2の前方環境認識手段と、前記第1の前方環境認識手段によって先行車が認識されているとき、前記先行車に基づいて、前記自車両の車速を目標車速に一致させる目標位置である制御目標位置を設定し、前記制御目標位置に基づく第1のブレーキ制御を行う第1のブレーキ制御手段と、前記第2の前方環境認識手段のみによって前記先行車が認識されているとき、前記先行車に基づいて設定される前記制御目標位置を前記自車両を起点として遠方に補正した制御目標補正位置を設定し、前記第1の前方環境認識手段によって前記先行車が認識されるまでの間、前記制御目標補正位置に基づく予備的な第2のブレーキ制御を行う第2のブレーキ制御手段と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の車両の運転支援装置によれば、車外との外部通信によって得られる情報に基づいて自動ブレーキ制御を開始する場合にも、ドライバに対して違和感のない適切な減速を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】運転支援装置の概略構成図
図2】第2のブレーキ制御実行判定ルーチンを示すフローチャート
図3】第2のブレーキ制御ルーチンを示すフローチャート
図4】第1のブレーキ制御ルーチンを示すフローチャート
図5】天候に対する評価値を示すマップ
図6】路面に対する評価値を示すマップ
図7】時間に対する評価値を示すマップ
図8】カーブ曲率に対する評価値を示すマップ
図9】外部通信情報に基づく目標停止位置がカメラユニットの認識に基づく目標停止位置よりも近方に存在するときの自動ブレーキ制御による挙動を示す説明図
図10】外部通信情報に基づく目標停止位置がカメラユニットの認識に基づく目標停止位置よりも遠方に存在するときの自動ブレーキ制御による挙動を示す説明図
図11】先行車をカメラユニットで認識する前の自車両と先行車との関係を示す説明図
図12】先行車をカメラユニットで認識した際の自車両と先行車との関係を示す説明図
図13】変形例に係り、第2のブレーキ制御実行判定ルーチンを示すフローチャート
図14】同上、外部通信情報に基づく目標停止位置がカメラユニットの認識に基づく目標停止位置よりも近方に存在するときの自動ブレーキ制御による挙動を示す説明図
図15】同上、外部通信情報に基づく目標停止位置がカメラユニットの認識に基づく目標停止位置よりも遠方に存在するときの自動ブレーキ制御による挙動を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。図面は本発明の一実施形態に係り、図1は運転支援装置の概略構成図、図2は第2のブレーキ制御実行判定ルーチンを示すフローチャート、図3は第2のブレーキ制御ルーチンを示すフローチャート、図4は第2のブレーキ制御ルーチンを示すフローチャート、図5は天候に対する評価値を示すマップ、図6は路面に対する評価値を示すマップ、図7は時間に対する評価値を示すマップ、図8はカーブ曲率に対する評価値を示すマップ、図9外部通信情報に基づく目標停止位置がカメラユニットの認識に基づく目標停止位置よりも近方に存在するときの自動ブレーキ制御による挙動を示す説明図、図10は外部通信情報に基づく目標停止位置がカメラユニットの認識に基づく目標停止位置よりも遠方に存在するときの自動ブレーキ制御による挙動を示す説明図、図11は先行車をカメラユニットで認識する前の自車両と先行車との関係を示す説明図、図12は先行車をカメラユニットで認識した際の自車両と先行車との関係を示す説明図である。
【0014】
図1に示す運転支援装置5は、自動車等の車両(自車両)1に搭載されている。この運転支援装置5は、車外の走行環境を認識するための外部環境認識装置(センサユニット)として、ロケータユニット11及びカメラユニット21を有し、これら両ユニット11,21が互いに依存することのない完全独立の多重系を構成している。また、運転支援装置5は、走行制御手段としての走行制御ユニット(以下、「走行_ECU」と称す)22と、エンジン制御ユニット(以下、「E/G_ECU」と称す)23と、パワーステアリング制御ユニット(以下、「PS_ECU」と称す)24と、ブレーキ制御ユニット(以下、「BK_ECU」と称す)25と、を備え、これら各制御ユニット22〜25が、ロケータユニット11及びカメラユニット21とともに、CAN(Controller Area Network)等の車内通信回線10を介して接続されている。
【0015】
ロケータユニット11は、道路地図上の自車位置を推定するものであり、自車位置の推定等を行うロケータ演算部12と、記憶手段としての高精度道路地図データベース18と、を有している。
【0016】
このロケータ演算部12の入力側には、自車両1に作用する前後加速度を検出する前後加速度センサ13、前後左右各車輪の回転速度を検出する車輪速センサ14、自車両1の角速度或いは角加速度を検出するジャイロセンサ15、複数の測位衛星から発信される測位信号を受信するGNSS受信機16等、自車両1の位置(自車位置)を推定するに際し、必要とするセンサ類が接続されている。
【0017】
さらに、ロケータ演算部12の入力側には、車外との間で無線通信(外部通信)を行うための情報通信装置17が接続されている。
【0018】
ここで、情報通信装置17は、例えば、道路沿いに設置される車外のインフラ設備40(図11,12参照)との間で無線通信を行うことによって、道路上の規制情報や渋滞情報等の外部通信情報を取得する機能を有している。また、情報通信装置17は、例えば、他の車両との間で無線通信を行うことによって、周囲の車両の位置及び速度等の車両情報、他の車両の外部環境認識装置が認識した外部環境の情報等を取得する機能を有している。
【0019】
また、ロケータ演算部12には、高精度道路地図データベース18が接続されている。高精度道路地図データベース18はHDD等の大容量記憶媒体であり、高精度な道路地図情報(ダイナミックマップ)が記憶されている。この高精度道路地図情報は、自動運転を行う際に必要とする車線データ(車線幅データ、車線中央位置座標データ、車線の進行方位角データ、制限速度等)を保有しており、この車線データは、道路地図上の各車線に数メートル間隔で格納されている。
【0020】
ロケータ演算部12は、自車位置を推定する自車位置推定部12a、地図情報取得部12bを備えている。
【0021】
地図情報取得部12bは、例えばドライバが自動運転に際してセットした目的地に基づき、現在地から目的地までのルート地図情報を高精度道路地図データベース18に格納されている地図情報から取得し、取得したルート地図情報(ルート地図上の車線データ)を自車位置推定部12aへ送信する。自車位置推定部12aは、GNSS受信機16で受信した測位信号に基づき自車両1の位置座標を取得し、この位置座標をルート地図情報上にマップマッチングして、道路地図上の自車位置を推定すると共に走行車線を特定し、道路地図データに記憶されている走行車線中央の道路曲率を取得する。
【0022】
また、自車位置推定部12aは、トンネル内走行等のようにGNSS受信機16の感度低下により測位衛星からの有効な測位信号を受信することができない環境では、車輪速センサ14で検出した車輪速に基づき求めた車速、ジャイロセンサ15で検出した角速度、前後加速度センサ13で検出した前後加速度に基づいて自車位置を推定する自律航法に切換えて、道路地図上の自車位置を推定する。
【0023】
さらに、自車位置推定部12aは、自車位置の推定等の機能の他に、情報通信装置17により車外から受信した情報に基づいて、自車走行路の前方環境を認識する機能を有する。
【0024】
ここで、自車位置推定部12aによって認識される前方環境情報には、自車走行路の前方の先行車等の情報が含まれる。すなわち、自車位置推定部12aは、例えば、インフラ設備40から受信した情報、或いは、他の車両から受信した情報のうちの少なくとも何れか一方の情報に基づいて、自車走行路の前方における先行車の有無、道路地図上における先行車の位置、及び、自車両1と先行車との相対速度等の各種情報を認識し、さらに、自車走行路の前方に渋滞が発生している場合には先行車が渋滞最後尾の車両であるか否か等を認識する。
【0025】
このように、本実施形態において、自車位置推定部12aは、情報通信装置17を用いた外部通信によって車外から受信した情報に基づき、自車走行路の前方環境を認識する第2の前方情報環境認識手段としての機能を実現する。
【0026】
カメラユニット21は、車室内前部の上部中央に固定されており、車幅方向中央を挟んで左右対称な位置に配設されているメインカメラ21a及びサブカメラ21bからなる車載カメラ(ステレオカメラ)と、画像処理ユニット(IPU)21c、及び走行環境認識部21dとを有している。
【0027】
IPU21cは、両カメラ21a,21bで撮像した自車両前方の前方走行環境画像情報を所定に画像処理し、対応する対象の位置のズレ量から求めた距離情報を含む前方走行環境画像情報(距離画像情報)を生成する。
【0028】
走行環境認識部21dは、IPU21cから受信した距離画像情報等に基づき、自車両1が走行する進行路(自車進行路)の左右を区画する区画線の道路曲率[1/m]、及び左右区画線間の幅(車幅)を求める。この道路曲率、及び車幅の求め方は種々知られているが、例えば、道路曲率は前方走行環境画像情報に基づき輝度差による二値化処理にて、左右の区画線を認識し、最小二乗法による曲線近似式等にて左右区画線の曲率を所定区間毎に求め、更に、両区画線間の曲率の差分から車幅を算出する。
【0029】
そして、この左右区画線の曲率と車線幅とに基づき車線中央の道路曲率(本実施形態では、これを「カメラ曲率」と称する)を求め、更に、車線中央を基準とする自車両1の横位置偏差、正確には、車線中央から自車両1の車幅方向中央までの距離(自車横位置偏差Xdiff)を算出する。
【0030】
また、走行環境認識部21dは、距離画像情報に対して所定のパターンマッチング等を行い、道路に沿って存在するガードレールや縁石、及び、立体物(種別、距離、速度、自車両との相対速度等)の認識を行う。
【0031】
この場合において、走行環境認識部21dは、自車走行路前方に存在する車両の立体物を先行車として認識し、自車走行路上における先行車の位置、及び、先行車との相対速度等の各種情報を認識する。
【0032】
このように、本実施形態において、走行環境認識部21dは、自車両1に搭載した自律センサであるステレオカメラを用いて自車走行路の前方環境を認識する第1の前方環境認識手段としての機能を実現する。
【0033】
ロケータ演算部12の自車位置推定部12aで推定した自車位置、カメラユニット21の走行環境認識部21dで求めた自車横位置偏差Xdiff及び立体物情報等は、走行_ECU22で読込まれる。
【0034】
走行_ECU22には、運転モードとして、手動運転モードと、第1の運転支援モードと、第2の運転支援モードと、が設定されている。
【0035】
ここで、手動運転モードは、例えば、ドライバによるステアリング操作、アクセル操作、及び、ブレーキ操作等の運転操作に従って、自車両1を走行させる運転モードである。
【0036】
また、第1の運転支援モード及び第2の運転支援モードは、例えば、E/G_ECU23、PS_ECU24、BK_ECU25等の制御を通じて、主として、先行車追従制御(Adaptive Cruise Control)と、車線維持(Lane Keep Assist)制御や車線逸脱防止(Lane Departure Prevention)制御とを組み合わせて行うことにより、目標進行路に沿って自車両1を自動走行(自動運転)させる運転モードである。
【0037】
これら第1,第2の運転支援モードでは、走行環境認識部21d等において自車進行路上の前方に先行車が認識されている場合には、例えば、先行車の走行軌跡等に基づいて目標進行路を設定し、自車両1を、車線を逸脱することなく先行車に対して自動追従(自動走行)させることが可能となっている。また、第1,第2の運転支援モードでは、先行車を認識しない場合には、例えば、自車進行路等に基づいて目標進行路を設定し、セット車速を目標車速として自車両1を自動走行させることが可能となっている。
【0038】
ここで、第1,第2の運転支援モードは、上述のように自車両1を自動走行させる自動運転のモードであるという点では基本的に共通しているが、第1の運転支援モードはドライバによるステアリングの保舵(把持)を前提とする運転モードであり、第2の運転支援モードはドライバによるステアリングの保舵を必要としない運転モードである。従って、第2の運転支援モードでは、目標進行路を設定不能となった場合等には、ドライバに運転操作を引き継ぐか(すなわち、手動運転モードに遷移するか)、または自車両1を路側帯等に自動的に停止させる回避制御が行われる。
【0039】
このように走行_ECU22に設定された各運転モードは、モード切換部30からの切換信号に基づいて選択的に実行可能となっている。
【0040】
モード切換部30には、例えば、カメラユニット21において推定した自車進行路に関する各種情報(カメラ曲率、自車横位置偏差等)、及び、ロケータユニット11において推定した道路地図上の自車位置等に関する各種情報が、走行_ECU22を介して入力される。このモード切換部30は、自車位置推定部12aで推定した自車位置の道路地図上の車線中央からの横位置と、走行環境認識部21dで求めた自車横位置とを常時比較する。そして、その差分(の絶対値)が予め設定した閾値を超えている場合、自車位置推定部12aで推定した自車位置と走行環境認識部21dで求めた自車横位置との何れかの信頼度が低下していると判定し、自動運転を行うためのシステム条件が成立していないと判断する。
【0041】
また、モード切換部30の入力側には、各種スイッチ・センサ類として、ドライバが自動運転(運転支援制御)のオン/オフ切換を行う自動運転スイッチ31と、ドライバがステアリングを保舵(把持)しているときオンするハンドルタッチセンサ32と、ドライバによる運転操作量としての操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ33と、ドライバによる運転操作量としてのブレーキ踏込量を検出するブレーキセンサ34と、が接続されている。
【0042】
そして、モード切換部30は、上述のシステム条件の成否についての判定結果、及び、各種スイッチ・センサ類からの入力情報に基づき、走行_ECU22において実行される運転モードの切換制御を行う。
【0043】
E/G_ECU23の出力側には、スロットルアクチュエータ26が接続されている。このスロットルアクチュエータ26は、エンジンのスロットルボディに設けられている電子制御スロットルのスロットル弁を開閉動作させるものであり、E/G_ECU23からの駆動信号によりスロットル弁を開閉動作させて吸入空気流量を調整することで、所望のエンジン出力を発生させる。
【0044】
PS_ECU24の出力側には、電動パワステモータ27が接続されている。この電動パワステモータ27はステアリング機構にモータの回転力で操舵トルクを付与するものであり、自動運転では、PS_ECU24からの駆動信号により電動パワステモータ27を制御動作させることで、現在の走行車線の走行を維持させる車線維持制御、及び自車両1を隣接車線へ移動させる車線変更制御(追越制御等のための車線変更制御)が実行される。
【0045】
BK_ECU25の出力側には、ブレーキアクチュエータ28が接続されている。このブレーキアクチュエータ28は、各車輪に設けられているブレーキホイールシリンダに対して供給するブレーキ油圧を調整するもので、BK_ECU25からの駆動信号によりブレーキアクチュエータ28が駆動されると、ブレーキホイールシリンダにより各車輪に対してブレーキ力が発生し、強制的に減速される。
【0046】
このような運転支援装置5において、走行_ECU22は、自動運転における運転支援制御の一環として、E/G_ECU22によるスロットルアクチュエータ26の制御を通じたブレーキ制御(エンジンブレーキ制御)や、BK_ECU25によるブレーキアクチュエータ28の制御を通じたブレーキ制御等により、先行車等に対する自動ブレーキ制御を行う。
【0047】
この自動ブレーキ制御は、基本的には、走行環境認識部21dにおいて認識した先行車等を制御対象とするブレーキ制御(第1のブレーキ制御)によって実現される。
【0048】
この第1のブレーキ制御では、走行_ECU22は、例えば、走行環境認識部21dにおいて自車走行路の前方に先行車が認識されているとき、当該先行車に基づいて制御目標位置を設定し、この制御目標位置に基づくブレーキ制御を行う。この場合において、制御目標位置としては、例えば、現在認識されている先行車の位置よりも設定距離(予め設定された停止余裕距離)だけ後方に補正した位置(すなわち、自車両側に補正した位置)が設定される。
【0049】
その一方で、走行_ECU22は、ステレオカメラ等の自律センサを用いた走行環境認識部21dでの前方環境の認識では先行車等を早期に認識することが困難な場合に、自車位置推定部12aにおいて認識した先行車等を制御対象とするブレーキ制御(第2のブレーキ制御)を行う。
【0050】
すなわち、走行_ECU22は、自車位置推定部12aにおいてのみ先行車を認識しているとき、走行環境認識部21dにおいて先行車が認識されるまでの間、自車位置推定部12aにおいて認識した先行車を制御対象として、第1のブレーキ制御に先立つ予備的なブレーキ制御(第2のブレーキ制御)を行うことが可能となっている。
【0051】
この第2のブレーキ制御では、走行_ECU22は、自車位置推定部12aにおいて自車走行路の前方に先行車が認識されているとき、当該先行車に基づいて制御目標位置を設定し、さらに、所定の補正値を用いて制御目標位置を自車両1よりも遠方に補正した制御目標補正位置を設定する。そして、走行_ECU22は、第2のブレーキ制御として、制御目標補正位置に基づくブレーキ制御を行う。
【0052】
このように、本実施形態において、走行_ECU22は、E/G_ECU23及びBK_ECU25等とともに、第1のブレーキ制御手段及び第2のブレーキ制御手段としての機能を実現する。
【0053】
次に、走行_ECU22において行われる第2のブレーキ制御の実行判定について、図2に示す第2のブレーキ制御実行判定ルーチンに従って説明する。このルーチンは設定時間毎に繰り返し実行されるものであり、ルーチンがスタートすると、走行_ECU22は、先ず、ステップS101において、現在、ブレーキ制御がオンされているか否か、すなわち、第1のブレーキ制御、或いは、第2のブレーキ制御のうちの何れかがオンされているか否かを調べる。
【0054】
そして、ステップS101において、現在、ブレーキ制御がオンされていると判断した場合、走行_ECU22は、そのままルーチンを抜ける。
【0055】
一方、ステップS101において、現在、ブレーキ制御がオフされていると判断した場合、走行_ECU22は、ステップS102に進む。
【0056】
ステップS101からステップS102に進むと、走行_ECU22は、情報通信装置17を用いた車外通信に基づき、自車位置推定部12aによって先行車が認識されているか否かを調べる。
【0057】
そして、ステップS102において、自車位置推定部12aによって先行車が認識されていないと判定した場合、走行_ECU22は、そのままルーチンを抜ける。
【0058】
一方、ステップS102において、自車位置推定部12aによって先行車が認識されていると判定した場合、走行_ECU22は、ステップS103に進む。
【0059】
ステップS102からステップS103に進むと、走行_ECU22は、車載カメラからの情報に基づき、先行車が走行環境認識部21dによって認識されているか否かを調べる。
【0060】
そして、ステップS103において、先行車が走行環境認識部21dによって認識されていると判定した場合、走行_ECU22は、そのままルーチンを抜ける。
【0061】
一方、ステップS103において、先行車が走行環境認識部21dによって認識されていないと判定した場合、すなわち、自車位置推定部12aによってのみ先行車が認識されていると判定した場合、走行_ECU22は、ステップS104に進む。
【0062】
ステップS103からステップS104に進むと、走行_ECU22は、自車位置推定部12aによって認識されている先行車の位置を、予め設定されている停止余裕距離だけ先行車の後方(自車両側)に補正した位置を、ブレーキ制御の制御目標位置として算出する(図11参照)。
【0063】
続くステップS105において、走行_ECU22は、制御目標位置を補正するための補正値を、例えば、以下の(1)式により算出する。
【0064】
補正値=ベース値×(評価値1+評価値2+・・・+評価値N)÷N …(1)
【0065】
ここで、評価値1〜評価値Nは、自車両1の各種走行条件に応じて可変な値である。
【0066】
評価値のうちの一つとして、走行_ECU22は、例えば、天候に応じて可変な評価値を設定する。すなわち、走行_ECU22は、天候に基づく評価値として、例えば、図5に示すように、予め設定されたマップ等に基づき、晴天時以外の評価値が、晴天時の評価値よりも相対的に小さくなる評価値を設定する。なお、この場合の天候は、例えば、情報通信装置17を用いた外部通信によって得られる情報、ワイパの動作状況、走行環境認識部21dにおいて認識した前方環境等を総合的に勘案して判断される。
【0067】
また、評価値のうちの一つとして、走行_ECU22は、路面状況に応じて可変な評価値を設定する。すなわち、走行_ECU22は、路面状況に基づく評価値として、雪路での評価値が、ドライ路面での評価値よりも相対的に小さくなる評価値を設定する。なお、この場合の路面状況は、例えば、情報通信装置17を用いた外部通信によって得られる情報、走行環境認識部21dにおいて認識した前方環境等を総合的に勘案して判断される。
【0068】
また、評価値のうちの一つとして、走行_ECU22は、時間帯に応じて可変な評価値を設定する。すなわち、走行_ECU22は、日没〜日の出までの時間帯の評価値が、日の出〜日没までの時間帯の評価値よりも相対的に小さくなる評価値を設定する。なお、この場合の時間帯は、例えば、情報通信装置17を用いた外部通信によって得られる情報等を勘案して判断される。
【0069】
また、評価値のうちの一つとして、走行_ECU22は、自車走行路前方の曲率に応じて可変な評価値を設定する。すなわち、走行_ECU22は、曲率が大きくなるほど補正値が小さくなる評価値を設定する。なお、この場合の曲率は、例えば、地図情報取得部12bが高精度道路地図データベース18から読み出した地図情報に基づいて判断される。
【0070】
ステップS105からステップS106に進むと、走行_ECU22は、ステップS104において算出した制御目標位置を、ステップS105において算出した補正値で補正することにより、制御目標補正位置を算出する。
【0071】
すなわち、ステップS106において、走行_EUC22は、制御目標位置を、補正値だけ自車両1よりも遠方(すなわち、先行車の前方)に補正した位置を、制御目標補正位置として算出する(図11参照)。
【0072】
ステップS106からステップS107に進むと、走行_ECU22は、ステップS104において算出した制御目標位置に基づいて、第2のブレーキ制御を開始するか否かを判定するための制御用車間距離を算出する。
【0073】
すなわち、ステップS107において、走行_ECU22は、自車両1から制御目標位置までの距離(道のり距離)を制御用車間距離として算出する。
【0074】
ステップS107からステップS108に進むと、走行_ECU22は、制御用車間距離に対する閾値である制御開始距離を算出する。すなわち、走行_ECU22は、例えば、予め設定されたマップ等を参照し、自車両1と先行車との相対速度等に基づいて制御開始距離を算出する。
【0075】
ステップS108からステップS109に進むと、走行_ECU22は、制御用車間距離が制御開始距離未満であるか否かを調べる。
【0076】
そして、ステップS109において、制御用車間距離が制御開始距離以上であると判定した場合、走行_ECU22は、そのままルーチンを抜ける。
【0077】
一方、ステップS109において、制御用車間距離が制御開始距離未満であると判定した場合、走行_ECU22は、ステップS110に進み、第2のブレーキ制御をオンさせた後、ルーチンを抜ける。
【0078】
次に、走行_ECU22において実行される第2のブレーキ制御について、図3に示す第2のブレーキ制御ルーチンのフローチャートに従って説明する。このルーチンは、設定時間毎に繰り返し実行されるものであり、ルーチンがスタートすると、走行_ECU22は、先ず、ステップS201において、現在、第2のブレーキ制御がオンされているか否かを調べる。すなわち、走行_ECU22は、ステップS201において第2のブレーキ制御がオンされ、且つ、当該第2のブレーキ制御のオン状態が維持されているか否かを調べる。
【0079】
そして、ステップS201において、現在、第2のブレーキ制御がオフされていると判定した場合、走行_ECU22は、そのままルーチンを抜ける。
【0080】
一方、ステップS201において、現在、第2のブレーキ制御がオンされていると判定した場合、走行_ECU22は、ステップS202に進み、制御目標補正位置に対する第2のブレーキ制御を行う。
【0081】
すなわち、例えば、図9,10に示すように、走行_ECU22は、先行車の車速を目標車速とし、自車両1が制御目標補正位置に到達するタイミングにおいて自車速が目標車速に一致するよう、自車両1を一定の減速度にて減速させるためのブレーキ制御を行う。
【0082】
このように、第2のブレーキ制御では、制御目標位置に代えて、制御目標補正位置をターゲットとしたブレーキ制御が行われる。なお、図9,10では、先行車が渋滞等によって停止(目標車速=0)している状態を例示している。
【0083】
ステップS202からステップS203に進むと、走行_ECU22は、ステップS205までの処理により、現在設定されている制御目標位置及び制御目標補正位置を更新する。
【0084】
すなわち、走行_ECU22は、上述のステップS104の処理と同様の処理により、制御目標位置を算出する。
【0085】
続くステップS204において、走行_ECU22は、上述のステップS105と同様の処理により、補正値を算出する。
【0086】
そして、ステップS204からステップS205に進むと、走行_ECU22は、上述のステップS106と同様の処理により、制御目標補正位置を算出する。
【0087】
ステップS205からステップS206に進むと、走行_ECU22は、車載カメラからの情報に基づき、走行環境認識部21dによって先行車が認識されたか否かを調べる。
【0088】
そして、ステップS206において、走行環境認識部21dによって先行車が認識されたと判定した場合、走行_ECU22は、ステップS208に進む。
【0089】
一方、ステップS206において、走行環境認識部21dによって先行車が認識されていないと判定した場合、走行ECU22は、ステップS207に進む。
【0090】
ステップS206からステップS207に進むと、走行_ECU22は、自車両1が制御目標位置に到達したか否かを調べる。
【0091】
そして、ステップS207において、自車両1が制御目標位置に到達していないと判定した場合、走行_ECU22は、そのままルーチンを抜ける。
【0092】
一方、ステップS207において、自車両1が制御目標位置に到達したと判定した場合、走行_ECU22は、ステップS208に進む。
【0093】
ステップS206、或いは、ステップS207からステップS208に進むと、走行_ECU22は、第2のブレーキ制御をオフした後、ルーチンを抜ける。
【0094】
次に、走行_ECU22において実行される第1のブレーキ制御について、図4に示す第1のブレーキ制御ルーチンのフローチャートに従って説明する。このルーチンは、設定時間毎に繰り返し実行されるものであり、ルーチンがスタートすると、走行_ECU22は、先ず、ステップS301において、現在、車載カメラからの情報に基づき、走行環境認識部21dによって先行車が認識されているか否かを調べる。
【0095】
そして、ステップS301において、走行環境認識部21dによって先行車が認識されていないと判定した場合、走行_ECU22は、ステップS310に進む。
【0096】
一方、ステップS301において、走行環境認識部21dによって先行車が認識されていると判定した場合、走行_ECU22は、ステップS302に進み、認識されている先行車に基づく制御目標位置を算出する(図12参照)。ここで、この制御目標位置の算出は、上述のステップS104と同様の処理により行われるものであるが、本ステップにおいては、自車位置推定部12aにおいて認識された先行車ではなく、走行環境認識部21dにおいて認識された先行車に基づいて行われる。
【0097】
ステップS302からステップS303に進むと、走行_ECU22は、現在、第1のブレーキ制御がオンされているか否かを調べる。
【0098】
そして、ステップS303において、第1のブレーキ制御がオンされていると判定した場合、走行_ECU22は、ステップS308に進む。
【0099】
一方、ステップS304において、第1のブレーキ制御がオフされていると判定した場合、走行_ECU22は、ステップS304に進み、上述のステップS107と同様の処理により、制御用車間距離を算出する。
【0100】
ステップS304からステップS305に進むと、走行_ECU22は、上述のステップS108と同様の処理により、制御開始距離を算出する。
【0101】
そして、ステップS305からステップS306に進むと、走行_ECU22は、制御用車間距離が制御開始距離未満であるか否かを調べる。
【0102】
そして、ステップS306において、制御用車間距離が制御開始距離以上であると判定した場合、走行_ECU22は、ステップS310に進む。
【0103】
一方、ステップS306において、制御用車間距離が制御開始距離未満であると判定した場合、走行_ECU22は、ステップS307に進み、第1のブレーキ制御をオンさせた後、ステップS308に進む。
【0104】
ステップS303、或いは、ステップS307からステップS308に進むと、走行_ECU22は、制御目標位置に対する第1のブレーキ制御を行う。
【0105】
すなわち、例えば、図9.10に示すように、走行_ECU22は、現在の先行車の車速を目標車速とし、自車両1が制御目標位置に到達するタイミングにて自車速が目標車速に一致するよう、自車両1を一定の減速度にて減速させるためのブレーキ制御を行う。
【0106】
そして、ステップS308からステップS309に進むと、走行_ECU22は、第1のブレーキ制御に対する解除条件が成立しているか否かを調べる。ここで、ステップS309における解除条件が成立する場合とは、例えば、自車両1が制御目標位置に到達した場合等である。
【0107】
そして、ステップS309において、制御解除条件が成立しないと判定した場合、走行_ECU22は、そのまま、ルーチンを抜ける。
【0108】
一方、ステップS309において、制御解除条件が成立すると判定した場合、走行_ECU22は、ステップS310に進む。
【0109】
ステップS301、ステップS306、或いは、ステップS309からステップS310に進むと、走行_ECU22は、第1のブレーキ制御がオンされている場合には当該第1のブレーキ制御をオフした後、ルーチンを抜ける。
【0110】
このような実施形態によれば、カメラユニットからの情報に基づき走行環境認識部21dによって先行車が認識されているとき、当該先行車に基づいて制御目標位置を設定し、制御目標位置に基づく第1のブレーキ制御を行う運転支援装置5において、外部通信により車外から受信した情報に基づいて自車位置推定部12aのみによって先行車が認識されているとき、当該先行車に基づいて設定される制御目標位置を自車両1よりも遠方に補正した制御目標補正位置を設定し、第1のブレーキ制御が行われるまでの間、制御目標補正位置に基づく第2のブレーキ制御を行うことにより、車外との外部通信によって得られる情報に基づいて自動ブレーキ制御を開始する場合にも、ドライバに対して違和感のない適切な減速を実現することができる。
【0111】
すなわち、第2のブレーキ制御を行う際には、外部通信情報に基づく先行車から算出した制御目標位置を所定の補正値だけ自車両1よりも遠方に補正した制御目標補正位置を算出し、この制御目標補正位置をターゲットとしたブレーキ制御を行うことにより(図9,10中の実線参照)、制御目標位置に基づくブレーキ制御(図9,10中の一点鎖線参照)よりも緩やかな減速を行うことができる。
【0112】
従って、外部通信情報に基づく先行車が実際の先行車(カメラユニットに基づいて認識される先行車)よりも遠方に認識された場合(図10参照)は勿論のこと、外部通信情報に基づく先行車が実際の先行車(カメラユニットに基づいて認識される先行車)よりも手前に認識された場合にも、第2のブレーキ制御による過剰な減速を防止することができ、第2のブレーキ制御から第1のブレーキ制御に引き継いだ際にも、再加速(図9中の一点鎖線参照)等を行うことなく、違和感のない減速を実現することができる。
【0113】
この場合において、制御目標位置を補正するための補正値を、天候、路面状況、時間帯、及び、自車走行路前方の曲率等の走行環境に応じて可変設定し、走行環境が悪化するほど補正値を小さく設定することにより、仮に、外部通信情報に基づく先行車が実際の先行車(カメラユニットに基づいて認識される先行車)よりも遠方に認識された場合(図10参照)にも、スリップ等を発生させることなく、第1のブレーキ制御による減速を的確に実現することができる。
【0114】
ここで、例えば、図13に示すように、上述のステップS107における制御用車間距離の算出を、制御目標位置に代えて、制御目標補正位置に基づいて行うことも可能である。このような算出を行うことにより、例えば、図14,15に示すように、制御目標位置に基づいて制御用車間距離を算出した場合に比べ、第2のブレーキ制御の開始タイミングを遅らせることができる。従って、結果として、第2のブレーキ制御から第1のブレーキ制御に引き継ぐまでの間に過剰な減速が行われることを防止することができる。
【0115】
なお、本発明は、以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲内である。
【符号の説明】
【0116】
1 … 運転支援装置
10 … 車内通信回線
11 … ロケータユニット
12 … ロケータ演算部
12a … 自車位置推定部
12b … 地図情報取得部
13 … 前後加速度センサ
14 … 車輪速センサ
15 … ジャイロセンサ
16 … GNSS受信機
17 … 情報通信装置
18 … 高精度道路地図データベース
21 … カメラユニット
21a … メインカメラ
21b … サブカメラ
21d … 走行環境認識部
22 … 走行_ECU
23 … E/G_ECU
24 … PS_ECU
25 … BK_ECU
26 … スロットルアクチュエータ
27 … 電動パワステモータ
28 … ブレーキアクチュエータ
30 … モード切換部
31 … 自動運転スイッチ
32 … ハンドルタッチセンサ
33 … 操舵トルクセンサ
34 … ブレーキセンサ
40 … インフラ設備
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図15