特許第6898669号(P6898669)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6898669
(24)【登録日】2021年6月15日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】多軸工作物搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 25/02 20060101AFI20210628BHJP
   B25J 9/06 20060101ALI20210628BHJP
【FI】
   B65G25/02 A
   B25J9/06 A
【請求項の数】15
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2019-182510(P2019-182510)
(22)【出願日】2019年10月2日
(62)【分割の表示】特願2016-556249(P2016-556249)の分割
【原出願日】2014年11月26日
(65)【公開番号】特開2020-33188(P2020-33188A)
(43)【公開日】2020年3月5日
【審査請求日】2019年10月30日
(31)【優先権主張番号】62/041,348
(32)【優先日】2014年8月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/909,759
(32)【優先日】2013年11月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519037658
【氏名又は名称】ディボティクス アイピー,リミティッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Diebotics IP,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー リチャード ローニアー
【審査官】 板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−058933(JP,A)
【文献】 特開昭62−034757(JP,A)
【文献】 米国特許第06431755(US,B1)
【文献】 米国特許第05562196(US,A)
【文献】 特開2005−118887(JP,A)
【文献】 特開2006−281269(JP,A)
【文献】 特開2011−031287(JP,A)
【文献】 特開平01−113146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 25/00−25/12
B25J 1/00−21/02
B21D 43/05
B30B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作物搬送装置であって、
a.ね細長の工作物係合構造体と、
b.互いにほぼ平行に配置された一対の第一ロボットアームであって、各第一ロボットアームは、第一端部と第二端部とを有し、前記第一端部は、一対の第一ロボットアームをほぼ横切る方向に延びる前記概ね細長の工作物係合構造体に接続されている、第一ロボットアームと、
c.前記第一ロボットアームの少なくとも一つと前記概ね細長の工作物係合構造体とに連結された、第一モータと、
d.互いにほぼ平行に配置された一対の第二ロボットアームであって、各第二ロボットアームは、前記第一ロボットアームの前記第二端部に連結される、第二ロボットアームと、
e.前記第一ロボットアームの少なくとも一つと前記第二ロボットアームの少なくとも一つとに連結された第二モータと、
f.前記第一ロボットアームの少なくとも一つと、前記第二ロボットアームの少なくとも一つと、前記概ね細長の工作物係合構造体とを支持し、工作物搬送装置を構造体に装着するための、支柱、クロス部材、または両方であるベースと、
g.前記ベースと前記第二ロボットアームの少なくとも一つとに連結された第三モータと、
を含む工作物搬送装置において、
前記第一モータは、前記概ね細長の工作物係合構造体の所望の向きを維持するために操作され、
前記第二および第三モータは、前記少なくとも一つの第一および第二ロボットアームの一方または両方によって、前記概ね細長の工作物係合構造体を昇降させ、前記概ね細長の工作物係合構造体を前後方向に移動させるために、同期して操作される、
工作物搬送装置。
【請求項2】
前記構造体は、プレスである、請求項1に記載の工作物搬送装置。
【請求項3】
前記プレスは、前記プレスの両側に設けられた前記工作物搬送装置の二つ以上を含む、請求項1または2に記載の工作物搬送装置。
【請求項4】
サイクロイド歯車アセンブリが、前記ロボットアームの一つ以上の中に収容される、請求項1〜3の何れか一項に記載の工作物搬送装置。
【請求項5】
記概ね細長の工作物係合構造体に連結された線形作動モータをさらに備える、請求項1〜4の何れか一項に記載の工作物搬送装置。
【請求項6】
前記構造体に対して縦方向または横方向に線形移動を提供するように前記線形作動モータが作動する、請求項5に記載の工作物搬送装置。
【請求項7】
前記線形作動モータは、前記第一ロボットアームの少なくとも一つ、前記第二ロボットアームの少なくとも一つ、またはその両方に対して横方向に線形運動を提供するように作動する、請求項5または6に記載の工作物搬送装置。
【請求項8】
記概ね細長の工作物係合構造体は、前記一対の第二ロボットアームを概ね横断する方向に延びる、請求項1〜7の何れか一項に記載の工作物搬送装置。
【請求項9】
前記第二ロボットアームの少なくとも一つは、前記第一および第二モータに関連する2つの開口部を含む、請求項1〜8の何れか一項に記載の工作物搬送装置。
【請求項10】
前記第一モータは、前記工作物係合構造体を所望の位置に保持するリストモータである、請求項1〜9の何れか一項に記載の工作物搬送装置。
【請求項11】
前記第三モータは、前記ベースの固定位置に取り付けられ、前記ベースは、支柱、クロス部材、またはその両方である、請求項1〜10の何れか一項に記載の工作物搬送装置。
【請求項12】
前記一対の第一ロボットアームが接続シャフトによって連結され、前記一対の第二ロボットアームが接続シャフトによって連結される、またはその両方である、請求項1〜11の何れか一項に記載の工作物搬送装置。
【請求項13】
工作物を搬送するための、請求項1〜12の何れか一項に記載の工作物搬送装置の使用。
【請求項14】
前記工作物係合構造体の縦方向に平行である前記工作物搬送装置の縦軸と概ね平行でない方向には、前記工作物搬送装置のいずれの部品の移動も存在しない、請求項1〜13の何れか一項に記載の工作物搬送装置の使用。
【請求項15】
前記工作物搬送装置に沿って工作物を下流方向に前進させるための、請求項1〜14の何れか一項に記載の工作物搬送装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<出願日の利益の主張>
本出願は、いずれも参照により全体として本明細書に組み込まれる2013年11月27日に出願の米国特許出願第61/909,759号および2014年8月25日に出願の米国特許出願第62/041348号の出願日の利益を主張する。
【0002】
<技術分野>
本教示は、一般に、改良された工作物搬送装置に関し、特に、工作物係合構造体を制御する複数のサーボモータによって駆動される複数の機械的リンクを有する工作物搬送装置に関する。
【背景技術】
【0003】
様々な工作物操作システムにおいては、工作物に対して様々な操作を行うことができるように、一つのステーションから異なるステーションへ工作物を搬送する必要がある。工作物を搬送する一つのアプローチは、ウォーキングビーム装置を用いることである。工作物を搬送するには、線形運動作動方法を用いることができる。効率的でコンパクトであり、必要なメンテナンスが比較的少ない、改良された装置が現在必要とされている。効率的に制御および操作でき、工作物操作システムにおいて複数の工作物を複数のステーションに沿って前進させるために用いることができる改良された装置も現在必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本教示は、改良された工作物搬送装置を提供することによって、上述の必要の一つ以上を満たす。工作物搬送装置は、工作物支持構造体を上下ならびに概ね水平な方向に駆動するために一つ以上のロボットアームを有利に利用する。上向き、下向き、および/または水平方向の成分を組み合わせた移動経路を達成するために、一つ以上のロボットアームを用いることができる。ウォーキングビーム装置を作り出すために、一つ以上のロボットアームを用いることができる。
【0005】
本教示は工作物搬送装置を企図し、この工作物搬送装置は、少なくとも一つの概ね細長の工作物係合構造体と;第一端部と第二端部とを有する少なくとも一つの第一ロボットアームであって、第一端部は、少なくとも一つの概ね細長の工作物係合構造体に枢動可能に接続される、少なくとも一つの第一ロボットアームと;少なくとも一つの第一ロボットアームに第二端部で連結され、少なくとも一つのロボットアームを前後に概ね水平な方向に移動させるために適合された、第一モータと;第二モータと;第一端部と第二端部とを有する少なくとも一つの第二ロボットアームであって、少なくとも一つの第二ロボットアームの第一端部は、第二モータと操作駆動関係にあり、第二端部は、少なくとも一つの概ね細長の工作物係合構造体を昇降させるために少なくとも一つの概ね細長の工作物係合構造体に操作可能に連結された、少なくとも一つの第二ロボットアームと;第一および第二モータ、少なくとも一つの第一ロボットアーム、少なくとも一つの第二ロボットアーム、および少なくとも一つの概ね細長の工作物係合構造体を支持するための任意の支持構造体(例えばサブプレートまたはボルスタプレート)と、を含む。
【0006】
本教示は工作物搬送装置を企図し、この工作物搬送装置は、少なくとも一つの概ね細長の工作物係合構造体と;少なくとも一つの概ね細長の工作物係合構造体と連結された線形作動モータと;第一端部と第二端部とを有する少なくとも一つの第一ロボットアームであって、第一端部は、少なくとも一つの概ね細長の工作物係合構造体に接続されている、少なくとも一つの第一ロボットアームと;少なくとも一つの第一ロボットアームと少なくとも一つの概ね細長の工作物係合構造体とに連結された第一モータと;少なくとも一つの第一ロボットアームの第二端部と連結された少なくとも一つの第二ロボットアームと;少なくとも一つの第一ロボットアームと少なくとも一つの第二ロボットアームとに連結された第二モータと;少なくとも一つの第一ロボットアーム、少なくとも一つの第二ロボットアーム、および少なくとも一つの概ね細長の工作物係合構造体を支持し、装置を構造体に装着するためのベースと;ベースと少なくとも一つの第二ロボットアームとに連結された第三モータとを含み、線形作動モータは、構造体に対して縦方向または横方向に線形移動を提供するために操作され;第一モータは、少なくとも一つの概ね細長の工作物係合構造体の所望の向きを維持するために操作され;第二および第三モータは、少なくとも一つの第一および第二ロボットアームの一方または両方によって少なくとも一つの概ね細長の工作物係合構造体を昇降させ、少なくとも一つの概ね細長の工作物係合構造体を前後方向に移動させるために、同期して操作される。
【0007】
本教示は、一般に、ロボットアーム装備により少なくとも一つの概ね細長の工作物構造体を含む工作物搬送装置に関する。ロボットアーム装備は、二つ以上のロボットアームを含むことができ、各アームが、少なくとも一つのモータ(例えばサーボモータ)によって駆動されるように適合される。例えば、一対のロボットアーム(互いに装置の同じ側に位置してもよい)が、モータ(例えばサーボモータ)によって駆動されてもよい。モータは、少なくとも一つの第一および第二ロボットアームの一方または両方によって少なくとも一つの概ね細長の工作物係合構造体を昇降させ、少なくとも一つの概ね細長の工作物係合構造体を前後方向に移動させるために、同期して操作されうる。
【0008】
一つ以上のアームは、歯車減速機構(例えばサイクロイド歯車減速機構)によって駆動されることができる。歯車減速機構は、ロボットアームの一部として一体的に形成されてもよい。例えば、ロボットアームは、サイクロイド歯車による運動を促進する複数のコレクタピンを受け取る構造体を一体的に形成するように構成されてもよい。
【0009】
一般に、本教示は工作物搬送装置を含み、この工作物搬送装置は、少なくとも一つの工作物係合構造体と;工作物係合構造体に枢動可能に接続された少なくとも一つの第一ロボットアームと;第一ロボットアームに連結され、第一ロボットアームを前後に概ね水平な方向に移動させるために適合された第一モータと;第二モータと;第二モータと操作駆動関係にあり、工作物係合構造体を昇降させるために工作物係合構造体と操作可能に連結された、少なくとも一つの第二ロボットアームと;第一および第二モータ、第一ロボットアーム、第二ロボットアーム、ならびに工作物係合構造体を支持するための支持構造体とを含み、第一および第二モータは、第一および第二ロボットアームの一方または両方によって工作物係合構造体を昇降および/または前後方向に移動させるために、同期して操作される。昇降または移動は、一つ以上の歯車減速機構によって補助されまたは引き起こされうる。一つ以上の歯車減速機構は、ロボットアームの一つ以上の中に少なくとも部分的に収容されうる。
【0010】
企図される様々な実施形態に適用できる本明細書の一般的教示の一部として、一つのモータが、別のモータによって移動可能な構造体上に装着され搭載されることも考えられる(例えばあるモータが、別のモータによって移動するロボットアームに装着されてもよい)。したがって、昇降は一つのモータによって行われ、ピッチは別のモータによって行われてもよい。別のモータが、装置または装置が関連する構造体の縦軸または横軸に沿った線形運動を提供するために用いられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本教示よる装置の斜視図である。
図2図1の装置の側面図である。
図3図1の装置の端部の上面図である。
図4A図1の装置において有用なアームの側面図である。
図4B図1の装置の角部の部分図である。
図5】本教示の歯車減速機構の断面透視図である。
図6】装着脚部を省略した本教示の歯車減速機構の別の断面透視図である。
図7図5の機構の断面の平面図である。
図8図5の機構の透視斜視図である。
図9図5の機構の一部の断面図である。
図10A】本教示の歯車減速機構の分解図である。
図10B】本教示の歯車減速機構の分解図である。
図11A】駆動シャフト取り付け部の斜視図である。
図11B】B、C線に沿った駆動シャフト取り付け部の一部の横断面図である。
図11C】B、C線に沿った駆動シャフト取り付け部の一部の横断面図である。
図12A】装置に沿って工作物を前進させる様々なステージで示された本教示の装置の斜視図である。
図12B】装置に沿って工作物を前進させる様々なステージで示された本教示の装置の斜視図である。
図12C】装置に沿って工作物を前進させる様々なステージで示された本教示の装置の斜視図である。
図12D】装置に沿って工作物を前進させる様々なステージで示された本教示の装置の斜視図である。
図12E】装置に沿って工作物を前進させる様々なステージで示された本教示の装置の斜視図である。
図13】本教示の装置の斜視図である。
図14】プレスのボルスタプレートに装着された本教示の装置の斜視図である。
図15】プレスの直立支持部材に装着された本教示の装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
必要に応じて、本教示の詳細な実施形態が本明細書に開示されるが、開示される実施形態は、様々な代替的形態で具体化されうる教示の例示に過ぎないことを理解されたい。図面は必ずしも縮尺通りではなく、一部の特徴は、特定の構成要素の詳細を示すために拡大または縮小されうる。したがって、本明細書に開示される特定の構造および機能の詳細は、限定と解釈されてはならず、当業者に本教示を多様に用いることを教示するための代表的基礎に過ぎないものと解釈されねばならない。
【0013】
例示的実施形態が上に記載されているが、これらの実施形態によって本発明の教示の全ての可能な形態を説明する意図はない。むしろ、明細書において使用される語は、限定ではなく説明のための語であり、本発明の教示の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な変更が加えられうることを理解されたい。加えて、本発明の教示のさらなる実施形態を形成するために、実践される様々な実施形態の特徴が組み合わせられてもよい。
【0014】
例として、本教示は作物搬送装置を含むことができ、この工作物搬送装置は、少なくとも一つの工作物係合構造体と;工作物係合構造体に枢動可能に接続された少なくとも一つの第一ロボットアームと;第一ロボットアームに連結され、第一ロボットアームを前後に概ね水平な方向に並進させるため(または工作物係合構造体を昇降させるため)に適合された第一モータと;第二モータと;第二モータと操作駆動関係にあり、工作物係合構造体を昇降および/または(例えば前後に概ね水平な方向に)並進させるために工作物係合構造体と操作可能に連結された、少なくとも一つの第二ロボットアームと;第一および第二モータ、第一ロボットアーム、第二ロボットアーム、および工作物係合構造体を支持するための支持構造体とを含み;第一および第二モータは、第一および第二ロボットアームの一方または両方によって工作物係合構造体を昇降させ、および/または前後方向に並進させるために、同期して操作される。本明細書の教示は、装置の追加的な移動を達成する(例えばもう一つの移動軸を作り出す)ための第三モータも含む。
【0015】
本明細書の教示は、(ウォーキングビーム装置等の)工作物搬送装置を想定し、この工作物搬送装置は、工作物を係合し、工作物操作システムの段階的操作ステーションで工作物に対して一つ以上の操作(例えば工作物の(例えばプレスによる)成形、(例えば溶接、締結、接着、圧着のうちの一つ以上またはその他の方法による)工作物の二つ以上の部品の取り付け)を行うために適合された工作物操作システム内で工作物を搬送するために適合された、少なくとも一つの工作物係合構造体(例えばバー、工作物を保持するためのツールの支持および/もしくは取り付けのための要素、またはその他の表面)を含む。上昇ロボットアームデバイスが工作物係合バーを操作可能に係合し、このロボットアームデバイスは、工作物操作システムに対して、上下への並進、ならびに工作物搬送方向への水平の並進および工作物搬送方向と反対方向への水平の並進のために適合される。本明細書におけるすべてのロボットアーム並進についての教示にいえることであるが、このように上記は、一つ以上の円弧状の運動の外観が生じるような一連のわずかな並進の組み合わせも企図することはいうまでもない。任意に、第二後方工作物係合バーが、ロボットアームと同じ中心で回転する第一ロボットアームに接続されたシャフトによってロボットアームに取り付けられたアームにより操作可能に係合されてもよい。上昇ロボットアームは、モータ駆動されることができ、上昇ロボットアームデバイスが上方へ、下方へおよび/または水平に並進するときにもう一つの任意の上昇ロボットアームデバイスが実質的に類似の様式で概ね上方へ、下方へおよび/または水平に並進しうるような様式で、同期して制御されうる。上昇ロボットアームデバイスの一つ以上は、工作物操作システム(例えばサブプレートまたはボルスタプレート)に対して固定されたポジションに装着されるように適合された装着部を含みうる。ロボットアームは、第一ジョイントで装着部に枢動可能に接続された第一アームを含みうる。少なくとも一つの第二アームは、少なくとも一つの第二ジョイントで第一アームに枢動可能に接続されうる。少なくとも一つの第二アームは、工作物係合バー(単数または複数)に水平移動を提供するために、工作物係合バーに接続されうる。第二アームはモータ駆動されることができ、水平移動ロボットアームデバイスのうちの一つが水平に並進するときに他方の水平移動ロボットアームデバイスも概ね水平に実質的に同様の様式で並進するように、工作物係合バー(単数または複数)によって第二水平移動ロボットアームがモータ駆動水平移動ロボットアームデバイスにリンクされうる。アームは、応用例に応じて任意のサイズまたは形状とすることができる。アセンブリの他の構成は、概ね水平に並進する第一アームと、概ね上方へおよび/または下方へ並進する第二アームとを含みうることも企図される。したがって、サブアセンブリが、アセンブリの支持構造体に対して静止ポジションに維持される第一モータを含むことが可能である。少なくとも一つの第二モータは、ロボットアーム上に結合され、これにより例えば支持構造体に対して、そのポジションが移動されうる。
【0016】
ウォーキングビーム工作物搬送装置は、出力シャフトの位置を感知することに基づく閉ループ制御のために適合されたモータ等の一つ以上のモータ(例えばサーボモータ)を含みうる。モータは、制御可能に操作されるように適合され、電力および適切なコントローラ(例えばプログラマブル論理コントローラ)と通信するための入力を有しうる。適切なコントローラは、モータ出力(例えば駆動シャフト)のポジション位置と対応するモータからの信号に基づいてモータの操作を制御しうる。モータは、駆動シャフトを有しうる。駆動シャフトは、その外形が概ね円筒状でありうる。一つ以上のモータは、モータをアセンブリ内のベースに取り付けることを可能にし、モータが歯車減速機構と係合することを可能にし、またはその両方を可能にする、モータアダプタプレートも含みうる。アセンブリは、モータ(例えば、シュナイダー エレクトリック社(Schneider Electric)製、型番BMH100/P12A2Aまたは類似のパワー出力を有するか否かを問わず類似の構造および/または機能特徴を有するモータ)、細長駆動シャフト取り付け部(例えばカップラ)、および一つ以上の歯車減速機構(例えばギアボックス)を含みうる。
【0017】
細長駆動シャフト取り付け部は、モータの出力シャフトと接続されるように適合された第一モータ接続部と、歯車減速機構とインタフェースするように適合された第二ギアボックスインタフェース部とを含みうる。モータ出力シャフト(例えば駆動シャフト)が細長駆動シャフト取り付け部と一体的に形成されることも企図される。第一モータ接続部は、モータ出力シャフト(例えば駆動シャフト)上へプレス嵌めされまたは他の方法でアセンブルされるように適合されうる。例えば、細長駆動シャフト取り付け部は、その横断面において内壁が楕円形である(例えば、モータ駆動シャフトの縦軸と概ね揃えられた)縦軸を有しうる。細長駆動シャフト取り付け部は、形状がモータ出力シャフト(例えば駆動シャフト)の形状と概ね対応するように、加えられた圧力に応じて横断面形状を変えるように適合されうる。圧力が加えられたときに、細長駆動シャフト取り付け部がモータ出力シャフト(例えば駆動シャフト)上に配置されうる。圧力が解放されると、材料(例えばAISI1095等級鋼等の適切なばね鋼)の弾力によって、内壁がその最初の形状へと戻り、それによって駆動モータ出力部(例えば駆動シャフト)をプレス嵌め様式で係合しうる。細長駆動シャフト取り付け部は、約10mm以下(例えば、約1mm〜約7mmまたは約2mm〜約5mmの範囲)の壁厚を有しうる。
【0018】
細長駆動シャフト取り付け部は、第一モータ接続部とギアボックスインタフェース部とを接合しうる。ギアボックスインタフェース部は、歯車減速機構と嵌合インタフェースするように適合された係合部を(例えば、モータ接続部と反対側の端に)有しうる。歯車減速機構は、細長駆動シャフト取り付け部との接続のための相補形状構造体を有しうる。例えば係合部は、(例えば歯車減速機構の)対向する雄または雌コネクタ部をそれぞれ係合する、雄または雌コネクタ部を有しうる。一つの特定の可能性は、平坦な成分を有する縦軸に対して(例えば概ね平行または約75°未満のある角度に)向けられた少なくとも一つの表面を係合部に持たせることである。例えば、この表面は概ね長方形であってもよい。
【0019】
歯車減速機構は、歯車減速の一つ以上のステージを有しうる。モータの一方または両方が、ロボットアームの一つ以上に関連するサイクロイド歯車減速機構を駆動しうる。例えばサイクロイド歯車減速機構は、第一アーム、第二アームまたはその両方に一体的に装着され、その一部として形成されてもよい。モータの一方または両方が、ロボットアームの一つ以上と関連する遊星歯車減速機構を駆動しうる。単一のモータが、個々のロボットアームを駆動してもよい。単一のモータが、複数のアームを駆動してもよい。歯車減速機構および/または取り付けられたモータを伴わないおよび/または含まない一つ以上のアームが用いられてもよい。例えばそのようなアームは、装置の駆動アームと反対側の側部に、および/または駆動アームと同じ側であるがその下流に位置してもよい。対向する工作物係合バーの間の幅は、共通のシャフトに沿って調節可能でありうる。
【0020】
示されるように、サイクロイド歯車減速機構、遊星歯車減速機構または他の歯車減速機構が(例えばモータとロボットアームとの間に)用いられうる。歯車減速機構は、ロボットアームに少なくとも部分的に一体化されることができ、モータの一つ以上と操作可能駆動関係にありうる。利用されるいずれの歯車減速機構も、少なくとも約2:1、3:1、4:1、6:1、10:1、30:1、50:1、90:1または150:1もの減速比を有しうる。サイクロイド歯車アセンブリ、遊星歯車アセンブリまたはその両方は、ロボットアームに少なくとも部分的に一体化されうる。
【0021】
サイクロイド歯車アセンブリは、モータ(例えば駆動モータの出力シャフト)とロボットアセンブリの被駆動アームとの間に操作可能に配置され、または他の方法でロボットアームと少なくとも部分的に一体化されうる(例えば、ロボットアームを画成する構造体内に少なくとも部分的に収容される)。モータとロボットアームとの間の操作可能関係は、駆動モータ(例えばサーボモータ)からの出力(例えば回動出力)が、サイクロイド歯車を(例えば駆動モータの回転軸のまわりで)回転可能に駆動するような関係であるのが望ましい。サイクロイド歯車は、概ね偏心した様式で回転する周辺部(例えば外周部)を有する。周辺部は、ロボットアームのベースに関連する固定構造体を操作可能に係合する歯または何らかの他の表面を含みうる。サイクロイド歯車と被駆動関係にありうる一つ以上の出力部材(例えばベアリング鋼製等のコレクタピン)が、サイクロイド歯車から回動運動を集める一方、サイクロイド歯車の軌道運動は基本的に無視する。出力部材はさらに、サイクロイド歯車の回転軸のまわりを回転する。さらにこの回転から、出力部材がロボットアームの被駆動部を移動させる。上述のサイクロイド歯車アセンブリ(または他の歯車減速アセンブリ)は、本明細書において用いられるモータの一つ以上(または全て)とともに用いられうる。
【0022】
別の歯車減速機構または歯車減速機構ステージが、サイクロイド歯車減速機構の代わりにまたはサイクロイド歯車減速機構に加えて(例えばサイクロイド歯車減速機構の前、サイクロイド歯車減速機構の後、またはサイクロイド歯車減速機構と概ね同時に)用いられてもよい。例えば、適切な遊星歯車減速機構が用いられてもよい。モータ出力シャフト(例えば駆動シャフト)に連結された細長駆動シャフト取り付け部が、偏心駆動部に操作可能に係合しうる。偏心駆動部は、遊星歯車アセンブリを含みうる。例えば、遊星歯車アセンブリは、偏心構造体に装着され、中央に配置された太陽歯車、複数の放射状に配置された遊星歯車および外接するリング歯車を含みうる遊星歯車アセンブリの要素を操作可能に受け取る、遊星キャリアを含みうる。遊星歯車は、歯車および遊星キャリア内に受け取られる複数の各車軸による回転のために適合されうる。歯車比は、約3:1、4:1、5:1、6:1またはそれ以上であってもよい。偏心構造体は、互いに位相がずれて、シャフトに対して形成されまたは取り付けられた複数の偏心体を有する細長シャフト部を含みうる。偏心構造体は、歯車減速機構において車軸として機能しうる。遊星歯車アセンブリは、歯車減速アセンブリの出力構造体(例えばトルクプレート)内に搭載されるように、被駆動アームおよびアーム旋回車軸として働く偏心構造体の中および間に搭載されるように、またはその両方であるように適合されうる。トルクプレートは、歯車を軸方向に含みうるが、歯車は、一つのアームによって駆動され、別のアームを駆動するように機能しうる。トルクチューブは、トルクプレートに溶接されまたは他の方法で取り付けられうる。第一モータによって駆動される両アームが、トルクチューブに接続されうる。
【0023】
本教示の装置は、工作物が前進させられる一つ以上のワークステーションと組み合わせて用いられてもよい。本教示の装置は、一つ以上の工作物支持部材(例えば一つ以上のスラット、壁および/またはビーム)と組み合わせて用いられてもよい。本教示の装置は、プレス等の一つ以上の工作物成形ステーションとともに用いられてもよい。一つ以上のワークステーションは、工作物改変工作機、一つ以上の工作物支持部材または両方を含みうる。一つ以上の工作物支持部材は、工作物が装置に沿って下流方向に前進させられる際に、および工作物係合構造体が装置に沿って上流方向に戻される間に、工作物を支持する働きをする。一つ以上の工作物支持部材は、静止していてもよい。例えば、工作物支持部材は、一つ以上のポストまたは他の直立構造体によってポジションが固定されうる。直立構造体は、装置支持構造体(例えばサブプレートまたはボルスタプレート)上に固着されまたは載置されうる。一つ以上の工作物支持部材は、工作物(または複数の工作物)と接触するための概ね平坦な上側面を有しうる。一つ以上の工作物支持部材は、一つ以上のノッチ、カットアウト、溝、スリットまたは一つ以上の工作物が支持可能に受け取られる他の開口部を含みうる。一つ以上の工作物支持部材は、細長工作物係合構造体の間および/または外側に配置されうる。一つ以上の工作物支持部材は、工作物係合構造体と概ね平行に配置されうる。一つ以上の工作物支持部材は、任意の工作物係合構造体が工作物を前進させる際に、そのような工作物係合構造体が工作物支持部材の上側面より上に上昇するように、配置されうる。他の装備も可能である。例えば、一つ以上の工作物支持部材は、工作物支持部材の下面から支持面を搭載しうる。例えば、工作物支持部材の下に下がり、工作物または細長支持部材を工作物支持部材の上側面の高さより上に上昇させずに、前進する工作物が中に受け取られる、フック、ウェルなどがあってもよい。
【0024】
任意の細長支持構造体または工作物支持部材のどちらかまたは両方は、一つまたは複数の縦方向に向けられた間隔が置かれた開口部(例えばスルーホールおよび/または細長スロット)を有しうる。そのような開口部は、一つ以上のピンまたはファスナを受け取りうる。例えば、細長支持構造体の一つ以上の開口部は、アーム(例えば本明細書に記載されるようなロボットアーム)を枢動可能に連結するためのハードウェアを受け取りうる。
【0025】
装置支持構造体は、一つまたは複数のスロットを含みうる。例えば、装置支持構造体は、工作物の移動方向に対して横方向に向けられたおよび/または平行方向に向けられた複数のスロットを含みうる。任意のそのようなスロットは、装置支持構造体の一方の側から反対側に延びていてもよいし、またはその間の一部だけに延びていてもよい。スロットは、概ね反転T字状でありうる。スロットを介して装置支持構造体に装着されたハードウェアは、ハードウェアが側部突起によってスロットから抜けるのに抵抗するように、相補的な反転T字形を有しうる。スロットの間隔および数により、特定の応用例の寸法の必要を満たすように構造体上の部品の装備を変動させることが可能である。
【0026】
明らかなように、モータ、ギアボックス構造体、ロボットアーム、および/または支持構造体またはワークステーション構成の複数の組み合わせのいずれかが用いられうる。ロボットアームがいずれの歯車減速構造体も含まないことも考えられる。ロボットアームが歯車減速構造体の一部を含むかまたは他の方法で収容するためにアームと一体的に形成された部分を有することも考えられる。複数のアームが、用いられうる。単一のロボットアームが、二つのモータに操作可能に接続されてもよい。単一のモータが、複数のロボットアームを操作可能に駆動してもよい。一つ以上のロボットアームが、共通の横断シャフト上に搭載されうる。
【0027】
本明細書の様々な教示は、様々な応用例で用いられうる。本教示は、ウォーキングビーム装置に限定されない。本教示は、いくつかの工作物搬送操作において実装されることが可能である。一つのアプローチは、クラウン、ボルスタ/ボルスタプレートまたは両方を含むプレスを用いることを企図する。以上において教示されるロボットアームは、プレスのボルスタプレートに装着されうる。ロボットアームは、プレスのクラウンに装着されうる。ロボットアームは、ボルスタとプレスのクラウンとの間の中間の位置で、例えば一つ以上の直立支持部材で装着されうる。プレスは、前方部、後方部、および前方部と後方部との間に延びる対向する側部構造体を有しうる。プレスは、縦軸および横軸を有しうる。ロボットアームは、プレスの縦軸、プレスの横軸と概ね平行の回転軸を有するような方向に、またはその間の方向に装着されうる。
【0028】
ロボットアームをプレスに固着するために、適切な装着構造体が用いられうる。ロボットアームは、ベースによってプレスに固着されうる。例えばベースは、プレスの対向する直立支持部材の間に延びるクロス部材を含むことができ、クロス部材が直立支持部材に装着される。ベースは、ロボットアームをプレスのボルスタプレートまたはプレスのクラウンに取り付けおよび/または固着するための支柱または他の支持部材を含みうる。
【0029】
本明細書において用いられるロボットアームは、アームの運動を達成するための、一つ、二つ、三つまたはそれ以上のサーボモータを含みうる。回転ジョイント(例えばアームが接合または接続される領域)を画成する一つ、二つ、三つまたはそれ以上のサイクロイドアセンブリがあってもよい。例えば一つのアプローチは、プレスの直立支持部材に固定して取り付けられた装着構造体を用いることである。装着ブラケットに接続する部分を含む第一ジョイント、接続部と連結され、一体化されたギアボックスを含むロボットアーム、装着構造体の軸と概ね平行である軸のまわりの第一ロボットアームの回転を達成するためにギアボックスを駆動するモータが、装着構造体に取り付けられる。第一ロボットアームの対向する端に向かって、第二ギアボックスを含む第二ジョイントと、第一ロボットアームの方向と異なる方向または同じ方向に第二ロボットアームの回転を達成するためのモータがある。第二ロボットアームは、第三ジョイント(実際にはリストジョイント)に接続され、第三ジョイントがさらに、工作物係合構造体またはツールに取り付けられうる。第三ジョイントは、工作物係合構造体またはツールを所望のポジションに向けて保つのを助けうる。一つ以上のモータが、第三ジョイントおよび工作物係合構造体に関連しうる。例えば、リストモータとして作用するモータは、工作物係合構造体を所望のポジションに保つ(例えばアームが動いていても所望の向きに保つ)のを助けうる。工作物係合構造体またはツールの線形運動作動を提供するために線形作動モータが用いられてもよい。モータは、直接線形運動を用いてもよいし、または(例えば回動モータからの)回動運動を線形運動に変換する方法を含んでもよい。これは、リードスクリュドライブ、ベルトドライブまたは線形サーボモータドライブ等の方法を使用して達成されうる。これは、第一ロボットアーム、第二ロボットアーム、またはその両方の回転軸に対して概ね垂直の方向の工作物係合構造体の移動を可能にしうる。事実上、三つの各軸のまわりの回転が達成されうる。本明細書においては、第一ロボットアームおよび第二ロボットアームならびに第一モータおよび第二モータのような名称が、一つのアームまたはモータを他と区別するため、明確のために用いられる。例えば、第一ロボットアームは、装着ブラケットに連結されたアームに限定されない。代わりに、第一アームは、例えば工作物係合構造体に連結されたアームとすることもできる。
【0030】
図1図4Bを参照すると、マルチステーション工作物操作システムのための工作物搬送装置10が示される。本装置は、ウォーキングビーム装置である。本装置は、少なくとも一つの概ね細長の工作物係合構造体12を含む。本装置は、一対の概ね平行の構造体12を有して示される。工作物係合構造体12は、フィンガ部材12’(装置の一部を形成しうる)もしくは工作物等、その他の支持された構造体を支持または搭載するように適合されうる。工作物係合構造体12は、工作物のためのネストとして働く一つ以上の凹状部または窪みを代わりに含んでもよい。任意の工作物係合構造体が、所望の工作物を受け取りおよび/または移送するために適切に構成されうる。工作物係合構造体は、工作物の少なくとも一部を支持するための一つもしくは複数のフィンガ突起、工作物の少なくとも一部を受け取るための一つもしくは複数のネスト、ノッチもしくはその他の窪み、またはその両方を含みうる。装置は、少なくとも一つの第一ロボットアーム14を含みうる。装置は、第一端部16と第二端部18とを有する少なくとも一つの第一ロボットアーム14を含み、第一端部16は、少なくとも一つの概ね細長の工作物係合構造体12に(例えば下向きの突起20を介して)枢動可能に接続される。図のように、本明細書におけるロボットアームは、一端が反対側の端よりも幅広であってもよい。
【0031】
第一モータ22(例えばプログラム可能に作動または制御されうるサーボモータ)が、第二端部18で少なくとも一つの第一ロボットアーム14に(例えば枢動可能にまたは固定関係で)連結されうる。連結は、少なくとも一つの第一ロボットアーム14を概ね水平方向に前後に並進させることを可能にするようなものである。
【0032】
第二モータ24が利用されてもよい。第二モータは、第一端部28と第二端部30とを有する少なくとも一つの第二ロボットアーム26と連結され、少なくとも一つの第二ロボットアームの第一端部は、第二モータと操作駆動関係にあり、第二端部は、少なくとも一つの概ね細長の工作物係合構造体を上下させるために、(例えば少なくとも一つの第一ロボットアームを介して)少なくとも一つの概ね細長の工作物係合構造体と操作可能に連結される。第二モータ24は、概ね適所に固定されているのが見える。しかし、第一モータ22は、第二モータによって生じる運動などに応答して並進可能とすることができる。
【0033】
第一および第二モータ、少なくとも一つの第一ロボットアーム、少なくとも一つの第二ロボットアーム、ならびに少なくとも一つの概ね細長の工作物係合構造体を支持するために、支持構造体32(例えばサブプレートまたはボルスタプレート)が利用されうる。図面から分かるように、第一および第二モータは、少なくとも一つの第一および第二ロボットアームの一方または両方によって、少なくとも一つの概ね細長の工作物係合構造体を昇降させ、少なくとも一つの概ね細長の工作物係合構造体を前後方向に並進させるために、同期して操作されうる。シャフトを受け取るための開口部を内部に有する支柱32’または他の適切な固定ベースにより、シャフトが支持されうる。
【0034】
前述のように、本装置は、少なくとも二つの概ね平行の離間された概ね細長の工作物係合構造体12を含みうる。この少なくとも二つの概ね平行の離間された概ね細長の工作物係合構造体は、少なくとも一つの共通の横断シャフト34によって支持されうる。少なくとも一つの共通の横断シャフト34は、少なくとも第一モータ22によって駆動されるように適合されうる。少なくとも一つの共通の横断シャフト34は、第二モータ24が第一モータ22をシャフト34とともに昇降させうるように、第二モータ24によって間接的に駆動されてもよい。
【0035】
本装置は、第二モータ24によって駆動されるように適合された横断シャフト36を含みうる。
【0036】
再び装置全体を参照すると、第一および/または第二モータにより生じる運動のいずれかまたは両方を補うために第三モータが下流に用いられうることが分かる。例えば第三モータ38は、第二モータ24および/または第一モータ22と類似の機能を行うために適合されうる。
【0037】
一つ以上のロボットアームは、丸形端を有するように成形されうる。一端は、他端の曲率半径より大きい曲率半径を有しうる。曲率半径が大きいほうの端のほうが側壁同士が遠く離れていてもよく、半径が小さいほうの端に向かって先細になっていてもよい。ロボットアームは、サイクロイド歯車アセンブリ等の歯車減速機構の少なくとも一部(図では隠れている)を受け取るように構成されうる。ロボットアームの一つ以上は、図4Aの形状を有しうる。ロボットアームは、一つ以上の横断シャフトを受け取るように適合されうる。例えば、図4Aに見られるように、ロボットアームは、(例えば図4Bに示すような固定関係あるいは枢動関係(概ね円形またはそれ以外の丸形の開口部を含みうるように)で)横断シャフトのうちの一つを受け取るための開口部40を含みうる。一つ以上のアームは、工作物支持構造体との枢動接続部を画成するためのもう一つの開口部(例えば図4Aのような開口部42)を含みうる。図4Aの図面から分かるように、開口部40は、アームをシャフトのまわりに圧縮して取り付けるために用いられうるネジ40bなどによって幅が調節可能に開閉されうるスリット40aに隣接する。
【0038】
一つ以上のベアリング(例えばベアリング44)が、ロボットアームのいずれかがシャフト、モータまたは両方に連結される位置に用いられうる。ベアリングの相補形状の開口部を貫通する任意の形状の横断面のシャフトを用いることによって、一つ以上のロボットアームが枢動様式でシャフトに連結されることが可能である。
【0039】
本明細書の教示の例示的サイクロイド歯車減速機構の構造にさらに注意して、図5図9に示された例を参照する。限定を伴わずに例として、歯車減速機構(例えばサイクロイド歯車アセンブリ50)は、モータ(例えばモータ22、24、38)の一つ以上の出力駆動構造体と操作可能に接続されうる。図6図8を参照すると、縦軸を有するモータ駆動シャフト52が、(例えばモータ54の端54aで)モータ54から延びることが分かる。モータは、適切なサーボモータ(例えば、サイクロイド歯車アセンブリを駆動するために用いられうるモータ駆動シャフトに回動駆動出力を送達するためにプログラム可能にまたはその他の方法で制御可能に操作されるサーボモータ)でありうる。出力駆動構造体(例えば駆動シャフト52)は、偏心アセンブリ56を駆動するように適合される。偏心アセンブリは、関連する偏心ベアリングを伴うかまたは伴わない、一つまたは複数の偏心体を含みうる。例えばアセンブリは、二つ以上の位相がずれた偏心体56’の使用などにより、適切にバランスが保たれうる。図5および図6に示すように、一つ以上の偏心体は、縦軸を有するシャフト58(例えば中空シャフト)上に搭載されうる。シャフト58の縦軸は、モータシャフト52の回転軸と概ね揃っていてもよい。シャフト58は、モータ駆動シャフト52と連結されてもよい(例えば、駆動シャフトと一体的に形成されてもよいし、またはその他の方法で駆動シャフトの上または中に嵌合されてもよい)。前述のように、偏心アセンブリは、複数(例えば二つ以上)の偏心体56’を含みうる。複数の偏心体は、駆動シャフトの縦軸に対して縦方向に配置されうる。複数の偏心体は、互いに対して位相がずれていればよい(例えば互いに対して180°位相がずれた二つの偏心体)。複数の偏心体は、隣接していてもよい。複数の偏心体は、互いから離れていてもよい(例えば対向する面の間に隙間ができ、例えば隙間が約0.5mm〜約50mm、または約2mm〜約30mmに及びうるように、縦方向に間隔が置かれてもよい)。
【0040】
一つ以上の偏心体56’によって一つ以上のサイクロイド歯車60が駆動されうる。例えばバランスがとれた操作を達成するために位相がずれた二つ以上のそれぞれの偏心体により駆動される二つ以上のサイクロイド歯車60が用いられうる。サイクロイド歯車は、概ね中央の開口部62を有しうる。開口部は、スルーホール開口部であってもよく、偏心体(またはそれに関連するベアリング)を受け取りうる。
【0041】
一つ以上のサイクロイド歯車(概ね丸く、周辺部のまわりに離間された複数の歯を有しうる)は、複数の放射状に配置されたスルーホール開口部等の一つ以上のスルーホール開口部を含みうる。スルーホール開口部は概ね丸く、直径または他の内側周辺部寸法を有しうる。例えば、図9に示すように、サイクロイド歯車60に複数の放射状に間隔が置かれたスルーホール開口部64が形成される。スルーホール開口部は概ね円形であり、直径を有しうる。サイクロイド歯車60の周辺部66は概ね丸く、互いに離間された複数の歯68を有する。サイクロイド歯車の二つ以上は、それぞれのスルーホール開口部64および/または概ね中央の開口部62が、概ね互いに対して重ね合わせて揃えられていればよい。
【0042】
サイクロイド歯車は、少なくとも一つのインナーレース70を含むアセンブリの一部でありうる。インナーレース70は、インナーレースの内周面などによって、サイクロイド歯車の周辺部と協働するように構成されうる。インナーレースは、歯車減速機構における車軸として機能しうる。インナーレースは、(例えばサイクロイド歯車の歯数より多くの)転動要素72を受け取る複数のポケットを(例えば内周面上に)有しうる。インナーレースは、サイクロイド歯車の周辺部に概ね外接し、サイクロイド歯車の周辺部の少なくとも一部のまわりで間隔が置かれうる。例えばインナーレース70は、サイクロイド歯車の歯車歯と転動要素とが噛み合って係合する箇所を除いて、概ねサイクロイド歯車を囲み、サイクロイド歯車60から離間されうる。
【0043】
一つの例示された実施形態に見られるように、インナーレースは、概ね円形の外周壁を有しうる。インナーレースは、転動要素72を受け取るための複数のポケットを有しうる概ね円形の内壁を有しうる。インナーレースの内壁は、サイクロイド歯車の周辺部と概ね対向関係にありうる。インナーレースの内壁は、サイクロイド歯車が(例えばモータ駆動シャフト52の回転によって)回転されるにしたがって、サイクロイド歯車の外周部の一部がインナーレースの内壁の一部に向かって放射状に前進するように適合されうる(図9参照)。同時に、サイクロイド歯車の外周部の一部は、インナーレースの内壁から後退する。
【0044】
インナーレースとサイクロイド歯車との間には、複数の転動要素(例えば細長円筒状ピン、ボールまたは他の転動要素)を有するスペースがありうる。例えばインナーレースの内面は、転動要素を受け取り、それにより転動要素キャリッジ構造体を画成するための、歯車歯の間の複数の円周方向に配置されたスペース(例えばポケット)を含みうる。
【0045】
インナーレースの外壁は、横断面プロフィールを有しうる。プロフィールは、インナーレースの外壁が、一つまたは複数の転動要素を受け取ることなどにより、アウターレースの内壁と回転可能に協働するように適合されているようなものでありうる。例えば、プロフィールは、概ね平坦な底部、弓形の底部、または両方(例えば半球状のくぼみを有する底部)を有しうる。プロフィールは、(底部に対して概ね垂直でありうる)対向する直立した壁を有しうる。プロフィールは、概ね平坦であるかまたは一つ以上の平坦部を含みうる上壁を有しうる。プロフィールは、くぼみを含みうる。プロフィールは、インナーレースとアウターレース74との間のスペースに(例えばインナーレースの外壁とアウターレースの内壁との間のスペースに)一つ以上の転動要素を受け取るための適切な構成を有しうる。プロフィールは、インナーレースのまわりで概ね一定でありうる。例えば図5および図6に見られるように、横断面プロフィールは概ね平坦な下壁、二つの概ね直立した(例えば下壁に対して垂直の)側壁、および概ね平坦な部分と中央に配置されたくぼみとを有する上壁を有する。
【0046】
インナーレースの平均内径に対するサイクロイド歯車の平均直径は、相対的に小さくてもよい。平均直径は、歯車歯の歯先から底部までの平均深さをとった直径でありうる。直径の相対的サイズは、偏心シャフトが単一の回転によって回転する際に、サイクロイド歯車が一回転未満だけ反対方向に回転するようなものでありうる(例えばサイクロイド歯車の回転に対するインナーレースの回転の比は、約5:1〜約95:1の範囲である)。インナーレースは、少なくとも部分的にアウターレース内に位置していてもよく、例えばインナーレースとアウターレースはそれぞれ、共通または概ね平行の回転平面(例えば回転軸と直角で交差する平面)を有しうる。
【0047】
本明細書におけるアセンブリのインナーレース70およびアウターレース74は、互いに対する回転運動のために配置されうる。アウターレースは、インナーレースの外周部を概ね囲む内周壁を有しうる。例えば、インナーレースまたはアウターレースのうちの一方が、他方のレースに対して固定された操作ポジションに維持されてもよい。固定されたポジションで維持するために、レースのうちの一方が、ロボットアームの装着脚部76等(図1および図2の支柱32’等)のロボットアームの固定構造体に固着されうる。例えば、一つ以上のファスナ78(例えばヘッドキャップスクリュ)が、インナーレースを装着脚部76に、またはロボットアームの駆動部材に固着しうる。アウターレース74は、ロボットアームの被駆動部80に対して固定されたポジションにおいて保たれうる。例えばアウターレース74は、一つ以上のファスナ(例えばヘッドキャップスクリュ82)によって被駆動部80に装着されてもよい。アウターレースまたはインナーレースのどちらかまたは両方は、一つの一体的ピースまたは複数の個別のピースで作られうる。
【0048】
サイクロイド歯車の(全てでなくとも)複数の放射状に配置されたスルーホール開口部の各々の中に、サイクロイド歯車の回転運動をロボットアームの被駆動部を駆動するための回動運動に変換するように適合された適切な部材がありうる。例えば、複数のコレクタピン84は、スルーホール開口部の直径より小さい直径を有しうる。このようにして、サイクロイド歯車の回転がピンによって集められ、これらのピンはまた、サイクロイド歯車の軌道運動を有効に無視する。(モータ駆動シャフトの縦軸と概ね平行の縦軸を有しうる)コレクタピンは、一つ以上のベアリング(例えばベアリング86)によって適所に保たれうる。そのようなコレクタピンベアリングは、ピンが回転軸のまわりで自由に回転できるように適合されうる。そのようなコレクタピンベアリングは、ロボットアームの被駆動部内に配置されうる。例えば、ベアリング86はそれぞれ、ロボットアームの被駆動部80のポケット内に配置されうる。ロボットアームの被駆動部の回転を助けるために、一つ以上の追加のベアリング88が用いられてもよい。
【0049】
以上より、図5図9に示される例を考慮して認められるように、モータ54がその駆動シャフト52を駆動シャフト回転軸のまわりで回転させると、駆動シャフトが(偏心体によって)サイクロイド歯車60を回転軸のまわりで回転させ、この回転軸は、例えば駆動シャフト回転軸と揃えられまたは平行でありうる。サイクロイド歯車60は、コレクタピン84を(それぞれの回転軸のまわりならびにモータ駆動シャフトおよびサイクロイド歯車の回転軸のまわりで)回転させ、さらにロボットアームの被駆動部80を並進させる。このようにして歯車減速が可能である。さらに分かるように、他の実施形態に適用できる本明細書の一般的な教示によれば、歯車減速機構の部品はロボットアームの一部として一体化されてもよい。例えば、歯車減速機構の操作部品は、ロボットアームの一部として機械加工されまたは他の方法で形成されてもよい(例えばロボットアームの端部(モータも搭載する駆動端部等)が、サイクロイド歯車の回転を促進するための複数のコレクタピンを受け取るように機械加工されまたは他の方法で形成されてもよい)。
【0050】
本明細書の教示および説明に役立つ実例から分かるように、ロボットアームのドライビング部(例えば脚部に接続されたアームの部分)にアウターレースが関連するように、部品が交換されてもよく、ロボットアームの被駆動部がインナーレースを含んでもよい。
【0051】
図10Aおよび図10Bは、駆動部のポジションを固定するためにマウント部と連結されたモータ付駆動部を用いたアセンブリの分解図を示す。ロボットアーム内に少なくとも部分的に収容された歯車減速部は、モータ付駆動部からの制御された出力に(例えば、モータ付駆動部および遊星歯車減速機構ならびに/またはサイクロイド歯車減速体からの出力によって)ロボットアームを駆動させる。サイクロイド歯車減速体は、概ね図5図9の実施形態と整合して機能する。図5図9の実施形態に示される特徴は本実施形態に用いることができ、その逆も同様である。図のように、第二モータ24は、概ね適所に(例えば支柱またはベース32’に)固定される。第一モータ22は、第二モータ24により生じる運動などに応じて、(例えば第二モータ24に対して)並進可能でありうる。装置は、複数(例えば一対)の共通の横断シャフト34および36を含みうる。少なくとも一つの共通の横断シャフト34は、少なくとも第一モータ22によって駆動されるように適合されうる。少なくとも一つの共通の横断シャフト34は、第二モータ24がシャフト34とともに第一モータ22を昇降させうるように、第二モータ24によって間接的に駆動されてもよい。装置は、第二モータ24によって駆動されるように適合された横断シャフト36も含みうる。
【0052】
モータはそれぞれ、モータをアセンブリ内に固着するためのモータアダプタ(例えばプレート)162を含む。例えばモータは、モータアダプタに取り付けられうる(例えばファスナによって取り付けられ、および/または一体的に形成される)。アダプタはさらに、支柱32’内、ロボットアーム(例えばロボットアームの端に形成された凹所)内またはその他の場所に固着されうる。第一ロボットアーム14を前後の概ね水平な方向に並進させるために適合された第一モータ22は、第一ロボットアーム14と連結される。第一ロボットアーム14は、応用例によって任意の形状でありうる。第一ロボットアーム14は、シャフトを受け取り、工作物の操作の間にピッチを達成するためなどに工作物を概ね水平な方向に並進させる、図4Aに示した第一ロボットアームと類似の形状でありうる。モータ(例えば図10Aおよび図10Bの第二モータ24)の一つ以上は、支柱32’または他のベースまたは支持部材によって支持されうる。この例においては、第二モータ24は、歯車減速機構と係合する(例えば偏心アセンブリ56および/または遊星歯車アセンブリと操作可能に係合された)モータ24の駆動シャフト上に位置する細長駆動シャフト取り付け部190を含む。アセンブリ内に、細長駆動シャフト取り付け部190を囲む開口部を有するエンドキャップ164がある。スペーサ168がベアリング166内に位置し、エンドキャップ164と偏心アセンブリ56との間にスペースを提供する。偏心アセンブリ56は、歯車減速機構の車軸として働き、一つ以上の位相がずれた偏心体56’を含みうる。ベアリングリテーナ170が、概ね偏心アセンブリと反対の端に位置する。一つ以上のサイクロイド歯車60もアセンブリ内に位置してもよく、一つ以上のコレクタピン84を受け取るための一つ以上の開口部またはエリアを含みうる。
【0053】
アセンブリは、少なくとも一つの工作物の昇降を可能にするように機能する第二ロボットアーム26を含む。遊星歯車減速体が、第二ロボットアーム26、第一ロボットアーム14、または両方を使用した昇降を補助しうる。遊星歯車減速アセンブリは、第二ロボットアーム26の一部とアセンブリの他の要素との間にスペースを提供するためのスペーサ168を含みうる。遊星歯車減速アセンブリは、ベアリング166を含む。遊星歯車アセンブリは、偏心アセンブリに56に装着され、遊星歯車アセンブリの要素を操作可能に受け取る、遊星キャリア172を含む。遊星歯車アセンブリは、中央に位置する太陽歯車176と係合し、そのまわりを回転する複数の遊星歯車174を含む。複数の遊星歯車および/または太陽歯車は、車軸182とその内部に配置されたベアリング184とを含む。遊星歯車は、歯車および遊星キャリア172内に受け取られるそれぞれの車軸182による回転のために適合される。リング歯車178が歯車に外接する。遊星歯車アセンブリの反対の面は、トルクプレート180上に搭載されるように適合される。
【0054】
歯車減速機構(例えばサイクロイド歯車減速体、遊星の歯車減速体または両方)と係合する細長駆動シャフト取り付け部190が、図11Aにさらに詳細に示される。細長駆動シャフト取り付け部190は、図10Aおよび図10Bの第二モータ24等のモータの駆動シャフト上に位置する、第一モータ接続部192を含む。細長駆動シャフト取り付け部190は、第一モータ接続部192と、歯車減速機構と(例えば雄/雌接続によって)インタフェースする係合部196を含むギアボックスインタフェース部194とを接合する。係合部196は、一つ以上の平坦な側面を有しうる。これらの側面は、本例においては、横断面プロフィールが概ね長方形である。第一モータ接続部192は、その長さの一部に沿って概ね中空である。第一モータ接続部192は、図11Bに示されるように、図11Aの細長駆動シャフト取り付け部190のB、C線における横断面において内壁が楕円形でもよい。圧力が加えられたときには、第一モータ接続部192が、図11Aの細長駆動シャフト取り付け部190のB、C線における横断面である図11Cに示されるように、圧力が加えられたときに概ね円筒状のモータ駆動シャフト上に配置されることができる。圧力が解除されると、材料の弾力によって内壁が図11Bに示すようなその最初の形状に概ね戻ることができ、モータ駆動シャフトと(例えばプレス嵌めおよび/または摩擦により)係合する。
【0055】
以上より、図10Aおよび図10Bに示される例を考慮して認められるように、モータ24がその駆動シャフトを駆動シャフト回転軸のまわりで回転させると、駆動シャフトは太陽歯車176および/または遊星歯車174を回転軸のまわりで回転させ、回転軸は、例えば駆動シャフト回転軸と揃えられまたは平行であってもよく、(偏心体により)サイクロイド歯車60を回転軸のまわりで回転させる。このようにして歯車減速が可能である。さらに分かるように、歯車減速機構の部品は、ロボットアームの一部として一体化されてもよい。
【0056】
第一モータ22は、第一アーム14を駆動しまたは工作物係合構造体を直接駆動するために自らの歯車減速機構を通じて作用することが企図される(図1参照)。本明細書の任意の図面のアセンブリの任意のモータが、アームを昇降させるために制御されうる。任意のモータが、アームの(例えば概ね水平な方向の)前後運動を達成するために制御されうる。この移動は、同じモータによって行われても、または異なるモータによって行われてもよい。この移動は、所望の並進経路を達成するためにコントローラ(図示せず)によって制御されうる。
【0057】
本明細書の教示の他の変形例も可能である。例示するように、限定されるものではないが、一対の横断シャフトが、装置の上流部および下流部(例えば端部)に位置してもよい。装置の対向する上流部および下流部にそれぞれが位置する一対の横断シャフトがあってもよい。シャフトは、シャフトの長さに沿って異なる横断面形状を有してもよい。例えば、シャフトの一つ以上は、ロボットアームを一端部で固定して係合するための領域において概ね長方形であってもよい。シャフトの一つ以上は、同じロボットアームをもう一つの端部で枢動可能に係合するために、概ね円形であってもよい。シャフトは、その形状が長さの少なくとも一部に延び、その結果ロボットアームが長さのその部分に沿って摺動可能に調節可能であるようなものとしてもよい。シャフトは、その長さに少なくとも部分的に沿った一つ以上のアーム(例えばロボットアーム)の並進を可能にするために構成されてもよい。
【0058】
本教示から、本装置が単一のモータ(例えば第一モータ22)だけを使用して前後方向の並進機能を行いうることが認められるであろう。複数のモータが用いられてもよい(例えば2つ、3つ、4つ以上のモータ)。(例えば並進のために適合されたロボットアームまたは他の構造体によって)工作物係合構造体の前方向/または後方向への並進の機能を行うために適合された単一のモータまたは複数のモータが用いられてもよい。(例えば並進のために適合されたロボットアームまたは他の構造体によって)工作物係合構造体を昇降させる機能を行うために適合された単一のモータまたは複数のモータが用いられてもよい。(例えば並進のために適合されたロボットアームまたは他の構造体によって)工作物係合構造体の昇降機能を行い、前方向および/または後方向の運動を生じさせるためにそれぞれが適合された単一のモータまたは複数のモータが用いられることができる、すなわち、単一のモータが、上昇/下降およびピッチ並進運動の両方のために適合されうる。モータの一つ以上(または全て)が、装置の同じ側に位置しうる。横断シャフトおよび/またはロボットアーム、または工作物係合構造体の並進のために適合された他の構造体は、装置の一つの側からまたは装置の両側からモータによって駆動されうる。
【0059】
ロボットアーム並進に対する制御は、本教示によれば応用自在である。例えば、本明細書に記載のモータの一つ以上は、開始ポジションからのロボットアームの上昇、アームの前方並進、その後開始ポジションへのロボットアームの戻りを引き起こし、これによりサイクルを完了するように、制御(例えばプログラム可能に制御)されうる。上昇は、概ね円弧状の運動、線形運動、または両方を含むように行われる部分を含みうる。円弧状の運動は、円弧状の運動(例えば放射状の運動)の外観を与えるような大きさの複数のわずかな水平および垂直の移動を含みうる。円弧状の運動は、一つまたは複数の放射状の移動を含みうる。上述の運動を行うステップも、本明細書の教示の一部である。サイクル速度は、毎分約5サイクル〜毎分約120サイクル(例えば毎分約10サイクル〜毎分約90サイクル、あるいは毎分約15サイクル〜毎分約60サイクル)にも及びうる。サイクルは、一つ以上のロボットアームによってロボットアームの初期ポジションから第一位置から第二位置への工作物の前進が生じる前進部と、一つ以上のロボットアームがその初期ポジションに戻る戻り部とを含みうる。サイクルの前進部にかかる時間は、戻り部の時間と同じでも、長くても、または短くてもよい。例えば、戻り部の時間に対する前進部の時間は、約6:1〜約1:6、約4:1〜約1:4、または約2:1〜1:2にも及びうる。
【0060】
ロボットアーム並進に対する制御は、一つ以上の滞留時間を導入することもでき、その間、工作物に対して所望の操作が行われるのを可能にするため、工作物操作の一つにおいて使用される器材に対して操作を行うためなどに、工作物は比較的長時間システム内の特定の位置に維持される。
【0061】
特定の工作物に所望される並進量を達成するために器具が制御されうる。例えば並進量は、約1mm〜1000mm(またはそれ以上)(例えば約5〜約500mm、または約15mm〜約250mm、さらには約25〜約100mm)に及びうる。
【0062】
各モータの一つ以上と関連した一つ以上のコントローラ(例えばプログラマブル論理コントローラ)によって、制御操作が行われうる。したがって、プログラムが(例えば、Gコードを使用した)命令をつなぎ合わせて、所望の応用例のための所望の運動を得ることができる。
【0063】
動作時には、工作物係合構造体を工作物と接触させ、第一上流ポジションから第二下流ポジションに工作物を並進させるために、少なくとも一つの第一モータが前後に並進し、少なくとも一つの第二モータが上方および下方に並進する。例えば第二モータは、工作物と係合しまたは係合を外れるために昇降しうる。上昇された係合されたポジションにある間、第二モータは、工作物係合構造体の前方への移動を生じさせる。工作物が下流に前進させられたあと、第一モータが工作物係合構造体を下降させ、第二モータが工作物係合構造体を上流に並進させ、そこで別の次の工作物を係合しうる。これらのステップが、連続的に繰り返されうる。
【0064】
図面に示すように、前のポジションに並進させるステップは、右から左に装置に沿って縦方向に工作物を前進させるために装置を制御するステップを伴いうる。しかし、本装置は、左から右に装置に沿って縦方向に工作物を前進させるために制御されてもよい。本装置は、一つ以上の工作物のポジションを確認するように適合された一つ以上のセンサを含んでもよい。装置は、工作物係合構造体に搭載されることが意図された一つ以上の工作物の有無を確認するための一つ以上のセンサを含んでもよい。用いられる任意のセンサが、装置の操作を制御する適切なコントローラとシグナル通信していてもよい。例えば、ある状態がセンサによって検出された場合、センサが(例えばコントローラに)信号を出し、その信号がコントローラに所定の様式で装置の操作を変更させる。
【0065】
本教示にしたがい、その他の変形例または特徴も可能である。モータは、工作物係合構造体より下または上に位置しうる。モータは、装置のベースまたは支持体に隣接して位置しうる。モータの一つ以上は、プレス等の工作物成形システムに(例えばプレスのクラウンおよび/またはボルスタに)装着されうる。回転軸を有する出力軸をそれぞれが有する複数のモータが用いられうる。複数のモータがある場合、二つ以上の軸のうちの各軸は概ね平行でありうる。各軸は、離間されていてもよい。軸の一つは、他方よりも高く配置されうる。ロボットアームは、一つ、二つ、三つまたはそれ以上の枢動ジョイントを有しうる。各ジョイントに、および/またはそのようなジョイントでロボットアームの少なくとも一部の運動を引き起こすために、一つ以上のモータがありうる。細長工作物係合構造体が横方向に向けられること、および/または少なくとも一つの横方向に向けられた細長工作物係合構造体および少なくとも一つの縦方向に向けられた細長工作物係合構造体があることも可能である。
【0066】
本明細書の教示は、記載されるサブアセンブリも企図する。例えば、(教示される)ロボットアームおよび/またはモータが一つ以上の歯車減速機構(教示される、例えばサイクロイド歯車減速機構、記載される遊星歯車減速機構)と組み合わせて存在することは、本明細書の教示の範囲内である。偏心アセンブリ、遊星歯車アセンブリまたは両方が、第一ロボットアーム、第二ロボットアームまたは両方を駆動するために用いられことが企図される(例えば偏心アセンブリは、第二ロボットアームの開口部のいずれかまたは両方に位置し、および/または第一および第二モータのいずれかまたは両方に関連しうる)。装着ハードウェアが使用されうる(例えばロボットアーム、モータおよび/または歯車減速機構を支持構造体(例えばプレスのクラウンおよび/またはボルスタ等の既存の支持構造体)に固着するための装着脚部または他の同様の部品)。これらの部品および/またはサブアセンブリのいずれかを含むキットも、本明細書の教示の範囲内である。
【0067】
図12A図12Eを見ると、工作物100を装置に沿って縦方向に、この場合は右側から左側に向かって前進させるために本明細書の教示による装置110が順に用いられる方法の例が見られる。装置110は、装置110の長さの少なくとも一部に概ね沿った方向に工作物を搬送するように基本的に適合された、本明細書の一般的教示(例えば以上および図1図11Cの実施形態に関連して記載されたもの)を用いる。細長(および概ね平行の)工作物構造体112(概ね長方形のスラットとして示される)は、アーム114を構造体112に枢動可能に接続するためのピンまたは他のハードウェアを受け取るための複数のスルーホールが中に形成される。細長工作物支持構造体112は、一対の概ね平行の工作物支持部材150の間に配置される。支持部材150は、直立材152によって支持構造体132より上に配置される。支持構造体132は、様々なハードウェア部品が中に配置されているかまたは配置されることができる複数の任意の反転T字状スロット154を含むのが示される(例にすぎず限定ではない)。これらの図に示される支持部材は、完成した工作物を生産するためのワークステーションを模倣してもよいしまたはその一部であってもよい。
【0068】
図12Aにおいては、工作物は、支持部材150上に載って第一ポジションにある。図12Bにおいては、工作物係合構造体112の上面が工作物支持部材150の上面より下になるように、(歯車減速機構(例えば本明細書に記載されるようなサイクロイド歯車アセンブリ)を介して)モータによりロボットアームが工作物係合構造体112をある高さで上流に並進させる。それから工作物係合構造体112は、モータ122および124の一方または両方ならびにそれぞれが駆動するロボットアームによって、工作物が支持部材150の上面より上になるように、上昇させられる(図12C)。もう一つの下流モータ138は、下流モータ138自体の関連するアーム114の一つ以上および任意の関連する歯車減速機構によって、細長工作物係合構造体112の同様の下流運動を促進しうる。そのステップの一部として、またはそれ自体のステップによって、モータの一つ以上は、工作物係合構造体112を前に送り、このようにして工作物100を装置の少なくとも一部に沿って下流に前進させる(図12D参照)。例えばモータ122は、ピッチを達成するために前後のロボットアーム運動を生じさせるように適合されうる。モータ124および/または138は、工作物係合構造体112を上昇および/または下降させるために用いられうる。
【0069】
図13を見ると、装置110の長さの少なくとも一部に概ね沿った方向に工作物を搬送するように基本的に適合された、概ね本明細書の教示(例えば以上および図1図12Eの実施形態と関連して記載されたもの)を用いた装置110の例が見られる。細長(および概ね平行の)工作物構造体112(概ね長方形のスラットとして示される)は、アーム114を構造体112に枢動可能に接続するためのピンまたは他のハードウェアを受け取るための複数のスルーホールが中に形成される。工作物構造体112は、工作物を保持および/または搬送するのを補助するための一つ以上のフィンガまたは他の取り付け物も含みうる。支持構造体132は、様々なハードウェア部品が中に配置されているかまたは配置されることができる複数の任意の反転T字状スロット154を含むのが示される(例にすぎず限定ではない)。モータ122および124の一方または両方が、第一ロボットアーム114を上方へ、下方へ、前方向に、後方向に、またはそれらの任意の組み合わせで移動させうる。モータ122および124の一方または両方は、第二ロボットアーム126も、上下、前後方向に、またはそれらの任意の組み合わせで移動させうる。下流のモータ138も、ロボットアームを上方へ、下方へ、前方向に、後方向に、またはそれらの任意の組み合わせで移動させうる。この例では、第二モータ124は、支柱32’によって支持構造体132に固定される。モータ、支柱およびアームは、一つ以上の歯車減速機構が第二ロボットアーム126、第一ロボットアーム114または両方の中に少なくとも部分的に収容されるように組み立てられる。一つ以上の電源コード156または他のコードが、モータを制御パネル、電源、コントローラなどに接続しうる。
【0070】
この点に関しては、企図される各種実施形態に適用できる本明細書の一般的教示の一部として、一つ以上のモータが別のモータによって並進可能な構造体に装着され搭載されることも考えられる(例えばモータ122等のモータが、モータ124等の別のモータにより並進させられるロボットアームに装着されてもよい)。したがって、昇降が一つのモータによって行われ、ピッチは別のモータによって行われてもよい。
【0071】
図14および図15は、プレス200上に設置された本明細書に記載の装置を示す。プレスは、縦軸LAおよび横軸TAを含む。プレス200は、ラム204(すなわちプレス内で上下に摺動するプレスの主上部)の往復運動を導く駆動機構またはシリンダを含むプレス200の上部である、クラウン部202を含みうる。プレス200は、プレスの基礎および支持構造体であるベッド部208から上方へ延びる対向する直立支持部材206を含む。図14は、支柱232’等の装着構造体を介してプレス200のボルスタプレート232に装着された装置を示す。図15は、対向する直立支持部材206の間に延びるクロス部材210によってプレス200に装着された装置を示す。装置は、工作物を係合し、プレスを通して動かすための二つの対向する工作物係合構造体212を含む。工作物は、プレスの縦軸LAに沿って、プレスの横軸TAに沿って、またはその間の角度でプレスに入ることができる。装置の向きが、工作物を所望の方向に導く。
【0072】
工作物係合構造体212は、第一ロボットアーム216に連結される。第一モータ226は、工作物係合構造体212と第一アーム216との間のジョイントに概ね位置する。第一モータ226はリストモータとして作用し、装置の他の要素が動いている場合であっても、工作物係合構造体212(および/または図示されない工作物)が所望の向きを維持するのを可能にする。第一モータ226は、工作物係合構造体212が昇降することを可能にする。線形作動モータ240によって工作物係合構造体212の線形運動または並進が達成される。線形並進は、第一ロボットアーム216に対して概ね垂直な方向でもよいし(図15参照)、装置のジョイントの一つの回転軸と概ね平行な方向でもよいし、または両方でもよく、その方向に工作物が前進させられうる。この線形作動は、線形運動を直接作動させるモータによって、または(例えば回動モータからの)回動運動を線形運動に変換する機構によって達成されうる。線形運動を作動させる例は、線形サーボモータドライブ、リードスクリュドライブ、またはベルトドライブを含む。第二ロボットアーム214は、第一ロボットアーム216の反対の側に連結される。第二モータ224は、第一ロボットアーム216と第二ロボットアーム214との間のジョイントに概ね位置する。第二モータ224は、第一ロボットアーム216が昇降することを可能にする。第二ロボットアーム214は、ベース(すなわち図14の支柱232’または図15のクロス部材210)に連結される。第三モータ222は、ベースと第二ロボットアーム214との間のジョイントに概ね位置する。第三モータ222は、第二ロボットアーム214が前後方向に並進すること、昇降すること、またはその両方を可能にしうる。各装置は、モータを搭載する第一ロボットアーム216および第二ロボットアーム214に接合された平行対向するロボットアームを含む。図14は、プレス200の両端に位置する二つの対向する装置も示す。平行対向するロボットアーム(例えば第一ロボットアーム216および対向する第一ロボットアーム;第二ロボットアーム214および対向する第二ロボットアーム)は、接続シャフト234、236および238によって接合される。これらの接続シャフトは、装置および工作物に対する支持および工作物を搬送し移動させるためのさらなる力を提供する。
【0073】
工作物が前進させられたあと、別のサイクルが始まる。細長係合構造体は、工作物から下降して離れ、上流に移動し、そこで再び一連の運動を開始する。
【0074】
本明細書のシステムは、モータに電力源を供給するための一つ以上のスイッチおよび/またはシグナリング源あるいは回路によって操作されうる。
【0075】
図面に示されるユニットは例示であり、制限を意図したものではない。これらは、適切な並進を達成するために必要に応じて異なりうる。図面に示された相対的な割合は、本明細書に明示されない場合であっても教示の一部である。
【0076】
すべての物品および参考文献の開示は、特許出願および刊行物を含めて、すべての目的で参照により組み込まれるものとする。組み合わせを表すための「から基本的になる(consisting essentially of)」という用語は、特定された要素、成分、部品またはステップ、および、組み合わせの基本的かつ新規な特徴に具体的に影響を及ぼさない特定された他の要素、成分、部品またはステップを含む。本明細書における要素、成分、部品またはステップの組み合わせを表すための「備える(comprising)」または「含む(including)」という用語の使用は、その要素、成分、部品またはステップから基本的になる、またはその要素、成分、部品またはステップからなる実施形態も企図する。
【0077】
複数の要素、成分、部品、またはステップは、単一の一体化された要素、成分、部品、またはステップによって提供されてもよい。代替的に、単一の一体化された要素、成分、部品、またはステップは、別々の複数の要素、成分、部品、またはステップに分割されてもよい。要素、成分、部品、またはステップを説明するための「一つの(a)」または「一つの(one)」の開示は、追加の要素、成分、部品、またはステップを除外することを意図したものではない。
【0078】
図示された要素の相対的なポジション関係は、言葉で説明されていなくても本明細書の教示の一部である。さらに、図示された形状も、(制限を意図したものではないが)言葉で説明されていなくても本教示の範囲内である。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図13
図14
図15