【文献】
Goodgut: Goodgut “Junts, ferm front a les malaties digestives”,2014年,URL,https://www.accucatalunya.cat/ca/notices/goodgut-junts-ferm-front-a-les-malalties-digestives/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被験体において腸内ディスバイオシスを予防的又は治療的に処置する方法に用いるための、直腸投与用の、又は胃抵抗性遅延放出経口形態としての経口投与用の、分離された、白ブドウ品種ヴィティス・ビニフェラ(Vitis vinifera)由来の、水分含有量が20%以下の脱水されたブドウ果皮を含む組成物であって、前記腸内ディスバイオシスが、ロゼブリア・ホミニス(Roseburia hominis)、及びサブドリグラニュラム・バリアビレ(Subdoligranulum variabile)からなる群より選択される酪酸産生細菌の存在量の低下及び/又は活性の減少を特徴とし、かつ前記酪酸産生細菌の、腸内存在量及び/又は活性を増加させるプレバイオティクス効果を有する、組成物。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】クローン病(CD:Crohn's Disease)患者サンプルにおけるFpraレベル/EUB Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図1B】潰瘍性大腸炎(UC:Ulcerative Colitis)患者サンプルにおけるFpra/EUB Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図1C】健康な(H)被験体サンプルにおけるFpra/EUB Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図2A】CD患者サンプルにおけるPHG−I/EUB Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図2B】UC患者サンプルにおけるPHG−I/EUB I Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図2C】H被験体サンプルにおけるPHG−I/EUB Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図3A】CD患者サンプルにおけるPHG−II/EUB Ct値(実験3)を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図3B】UC患者サンプルにおけるPHG−II/EUB I Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図3C】H被験体サンプルにおけるPHG−II/EUB Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図4A】CD患者サンプルにおけるEco/EUB I Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図4B】UC患者サンプルにおけるEco/EUB Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図4C】H被験体サンプルにおけるEco/EUB Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図5A】CD患者サンプルにおけるB46/EUB Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図5B】UC患者サンプルにおけるB46/EUB Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図5C】H被験体サンプルにおけるB46/EUB Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図6A】CD患者サンプルにおけるRos/EUB Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図6B】UCサンプルにおけるRos/EUB Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図6C】H被験体サンプルにおけるRos/EUB Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図7A】CD患者サンプルにおける酪酸レベル(mg/L)を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図7B】UC患者サンプルにおける酪酸レベル(mg/L)を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図7C】H被験体サンプルにおける酪酸レベル(mg/L)を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図8A】CD患者サンプルにおける酢酸レベル(mg/L)を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図8B】UC患者サンプルにおける酢酸レベル(mg/L)を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図8C】H被験体サンプルにおける酢酸レベル(mg/L)を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図9A】CD患者サンプルにおけるプロピオン酸レベル(mg/L)を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図9B】UC患者サンプルにおけるプロピオン酸レベル(mg/L)(実験3)を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図9C】H被験体サンプルにおけるプロピオン酸レベル(mg/L)を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図10A】CD患者サンプルにおけるヘキサン酸レベル(mg/L)を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図10B】UC患者サンプルにおけるヘキサン酸レベル(mg/L)を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図10C】H被験体サンプルにおけるヘキサン酸レベル(mg/L)を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図11A】CD患者サンプルにおける吉草酸レベル(mg/L)を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図11B】UC患者サンプルにおける吉草酸レベル(mg/L)を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図11C】H被験体サンプルにおける吉草酸レベル(mg/L)を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図12A】CD患者サンプルにおけるイソ吉草酸レベル(mg/L)を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図12B】UC患者サンプルにおけるイソ吉草酸レベル(mg/L)を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図12C】H被験体サンプルにおけるイソ吉草酸レベル(mg/L)を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図13A】CD患者サンプルにおけるイソ酪酸レベル(mg/L)を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図13B】UC患者サンプルにおけるイソ酪酸レベル(mg/L)を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図13C】H被験体サンプルにおけるイソ酪酸レベル(mg/L)を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=Previpect 600mg、4=Previpect 200mg+ペクチン200mg、5=ペクチン200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図14A】過敏性腸症候群(IBS:Irritable bowel syndrome)患者サンプルにおけるEUB Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=プランタゴ・オバタ(Plantago ovata)200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図14B】健康な被験体サンプルにおけるEUB Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=プランタゴ・オバタ200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図15A】IBS患者サンプルにおけるFpra Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=プランタゴ・オバタ200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図15B】健康な被験体サンプルにおけるFpra Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=プランタゴ・オバタ200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図16A】IBS患者サンプルにおけるPhGI Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=プランタゴ・オバタ200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図16B】健康な被験体サンプルにおけるPhGI Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=プランタゴ・オバタ200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図17A】IBS患者サンプルにおけるPhGII Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=プランタゴ・オバタ200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図17B】健康な被験体サンプルにおけるPhGII Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=プランタゴ・オバタ200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図18A】IBS患者サンプルにおけるEco Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=プランタゴ・オバタ200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図18B】健康な被験体サンプルにおけるEco Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=プランタゴ・オバタ200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図19A】IBS患者サンプルにおけるRos Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=プランタゴ・オバタ200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図19B】健康な被験体サンプルにおけるRos Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=プランタゴ・オバタ200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図20A】IBS患者サンプルにおけるB46 Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=プランタゴ・オバタ200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図20B】健康な被験体サンプルにおけるB46 Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=プランタゴ・オバタ200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図21A】IBS患者サンプルにおけるAkk Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=プランタゴ・オバタ200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図21B】健康な被験体サンプルにおけるAkk Ct値を示す図である。1=陰性対照(基質なし)、2=Previpect 200mg、3=プランタゴ・オバタ200mg。有意な値の差をアスタリスクで表す(p≦0.05の場合は
*、p≦0.01の場合は
**、及びp≦0.001の場合は
***)。
【
図22】60℃〜62℃の空気循環オーブンで5日間(0日目〜5日目)脱水に供したブドウサンプルの湿度(%)及び水分活性を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
定義
「被験体」又は「個体」という用語は、哺乳動物として分類される全ての動物を指すため本明細書において同じ意味で使用され、飼育動物及び家畜、霊長類及びヒト、例えば、人間、非ヒト霊長類、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、又は齧歯類を含むがこれらに限定されない。被験体は、あらゆる年齢又は人種の男性又は女性の人間であることが好ましい。
【0018】
「治療」という用語は、予防的処置及び治療的処置の両方を含む。本明細書で使用される「治療的処置」又は「治療法」という用語は、身体を病的状況又は疾患からその正常で健康な状態に戻すことを指す。本明細書で使用される「予防的処置」という用語は、病的状況を予防することを指す。
【0019】
本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、本明細書で定義される疾患、障害、又は病的状態の予防的又は治療的な処置において被験体(ヒト患者等)に単回又は複数回の用量が投与される際に有効な量を指す。
【0020】
「プレバイオティクス」という用語は、1995年にGibson及びRoberfroid(The journal of nutrition, 125, 1401-1412)によって提案され、「結腸内の1つ又は限られた数の細菌の増殖及び/又は活性を選択的に刺激して健康を改善することにより宿主に有益な影響を与える非消化性食品原料」を指す。プレバイオティクスは、腸内微生物叢の不均衡として定義され得る腸内ディスバイオシスを治療又は予防するために使用することができる。プレバイオティクスは、1)腸内に存在する有益な常在細菌(典型的には、ビフィドバクテリウム属及びラクトバチルス属)の増殖及び/又は活性の賦活、並びに2)短鎖脂肪酸(SCFA)の産生の増加の2つの主なメカニズムによって腸機能にプラスの効果を発揮することが知られている。食物繊維の全ての構成要素がプレバイオティクスであるわけではないことに留意されたい。未消化の基質のプレバイオティクスの特徴は、常在の腸内ミクロフローラの有益な成分がそれを基質として選択的に使用するかどうかに依存する(Galvez et al., "Prebiotics and Probiotics in Experimental Models of Rodent Colitis:Lessons in Treatment or Prevention of Inflammatory Bowel Diseases",Bioactive Foods in promoting healthの書籍の第35章(601頁〜610頁),Ed:R. R.Watson and V.R.Preedy, 2010, Academic Press、Manning T.S. and Gibson G.R."Prebiotics", Best Practice & Research Clinical Gastroenterology 2004, 18(2):287-298)。
【0021】
本明細書で使用される「プローブ」という用語は、所定の条件下で標的核酸配列への特異的及び選択的なハイブリダイゼーションを可能にし、検出又はアッセイ性能の向上のための部分を任意に含む、特定のヌクレオチド配列を含む長さが10塩基対〜285塩基対の合成の又は生物学的に産生された核酸を指す。統計学的には、特異性を獲得して安定したハイブリダイゼーション産物を形成するためには、一般に最低10ヌクレオチドが必要であり、一般に最大285ヌクレオチドが、反応パラメーターを容易に調整してミスマッチ配列及び選択的ハイブリダイゼーションを決定することができる長さの上限となる。プローブには、任意に、或る特定のアッセイ条件下でそれらの適切な又は最適な機能に寄与する或る特定の構成要素が含まれてもよい。例えば、プローブは、ヌクレアーゼ分解に対する耐性を改善するため(例えば、エンドキャッピングによって)、検出リガンド(例えば、フルオレセイン)を運ぶため、又は固体支持体(例えば、ポリデオキシアデノシン「テイル」)へのそれらの捕捉を促進するため修飾されてもよい。
【0022】
本明細書で使用される「プライマー」という用語は、ヌクレオチド配列を増幅するためのポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)等の増幅方法で使用され得るオリゴヌクレオチドを指す。プライマーは、特定の標的配列のポリヌクレオチド配列、例えば或る特定の16S rDNA配列に基づいて設計される。プライマー及びプローブの設計及び検証は、当該技術分野でよく知られている。定量的リアルタイムPCR法については、例えばRodriguez A et al.(Methods Mol Biol., 2015, 1275:31-56)を参照されたい。
【0023】
本明細書で使用される「特異的(な)」という用語は、ヌクレオチド配列が所定の標的配列にハイブリダイズし/所定の標的配列を増幅し、アッセイ条件下で実質的に非標的配列にハイブリダイズしない/非標的配列を増幅しないことを意味し、一般的にはストリンジェントな条件が使用される。
【0024】
本明細書で使用される「ハイブリダイゼーション」という用語は、所定の反応条件下で、核酸の2つの部分的又は完全に相補的な鎖が、どの核酸塩基が互いに対となり得るかに関する明確な規則に従って、逆平行様式で一緒になって特異的で安定な水素結合により二本鎖核酸を形成させるプロセスを指す。
【0025】
「実質的なハイブリダイゼーション」という用語は、観察されるハイブリダイゼーションの量が、陽性対照及び陰性対照のハイブリダイゼーションデータに対して結果を観察する人がその結果を陽性とみなすような量であることを意味する。「バックグラウンドノイズ」と見なされるデータは、実質的なハイブリダイゼーションではない。
【0026】
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」という用語は、およそ0.9モルのNaClの塩溶液中においておよそ35℃〜65℃を意味する。また、ストリンジェンシーは、ハイブリダイゼーション溶液に存在するイオン種の濃度及び種類、存在する変性剤の種類及び濃度、並びにハイブリダイゼーションの温度等の反応パラメーターによっても左右され得る。一般的には、安定したハイブリッドを形成するには、ハイブリダイゼーション条件がよりストリンジェントになるにつれて、より長いプローブが好ましい。原則として、ハイブリダイゼーションが行われる条件のストリンジェンシーが、用いられる好ましいプローブの或る特定の特徴に影響する。
【0027】
本明細書で使用される「同一性」という用語は、それぞれ2つのポリヌクレオチド又はポリペプチド配列の正確なヌクレオチド対ヌクレオチド又はアミノ酸対アミノ酸の一致を指す。2つ以上の配列(ポリヌクレオチド又はアミノ酸)を、それらの「パーセント同一性」を決定することにより比較することができる。核酸配列又はアミノ酸配列に関わらず、2つの配列の「パーセント同一性」は、2つの整列させた配列間の完全一致の数をより短い配列の長さで割って100を掛けたものである。配列間のパーセント同一性又は類似性の計算に適したプログラムは、例えばデフォルトパラメータ(http://www.ncbi.nlm.gov/cgi-bin/BLAST)を用いて使用されるNCBI BLASTプログラム等、当該技術分野で良く知られている。
【0028】
詳細な説明
第1の態様では、本発明は、酪酸産生細菌の腸内レベルを増加させるためのプレバイオティクスとしてのブドウ果皮又はそれを含む組成物の使用に関する。
【0029】
酪酸産生菌は、ブチリルCoA:酢酸CoAトランスフェラーゼ活性を示す(Duncan et al., Appl Environ Microbiol.2002, 68:5186-5190)。この活性は、クロストリジウム・レプタム(Clostridium leptum)グループとしても知られるクロストリジウムクラスターIV(Duncan et al., Int J Syst Evol Microbiol 2002, 52, 2141-2146)、及びクロストリジウム・コッコイデス(Clostridium coccoides)グループとしても知られるクラスターXIVa(Hold et al., Appl Environ Microbiol 2003, 69, 4320-4324、Barcenilla et al., Appl Environ Microbiol 2000, 66, 1654-166)のメンバー等のクロストリジウム亜門に属する嫌気性細菌に広く存在する。F.プラウスニッツイは、クロストリジウムクラスターIVに属する代表的な酪酸産生菌であるのに対し、ロゼブリア・セシコラ(Roseburia cecicola)、ロゼブリア・インテスティナリス、及びロゼブリア・ホミニス等のロゼブリア属の様々な種は、クロストリジウムクラスターXIVaに分類される酪酸産生菌である。
【0030】
より具体的には、第1の態様では、本発明は、被験体において腸内ディスバイオシスを治療する方法のために用いられるブドウ果皮に関し、腸内ディスバイオシスは、酪酸産生細菌レベルの低下及び/又は酪酸産生細菌活性の減少(本明細書では「酪酸産生細菌のディスバイオシス」とも称される)を特徴とする。好ましくは、上記酪酸産生細菌は、その系統群(例えば、PHGI及び/又はPHGII)を含むF.プラウスニッツィ、ロゼブリア・ホミニス及びサブドリグラニュラム・バリアビレからなる群より選択される。
【0031】
関連する態様では、本発明は、被験体において腸内ディスバイオシスを治療する方法であって、腸内ディスバイオシスは、酪酸産生細菌レベルの低下及び/又は酪酸産生細菌の活性の減少(例えば、短鎖脂肪酸(SCFA)の産生レベルが低い又は減少した酪酸産生細菌)を特徴とし、かかる治療を必要とする被験体に、治療有効量の本明細書に記載されるブドウ果皮を投与することを含む、方法を提供する。
【0032】
好ましくは、被験体において腸内ディスバイオシスを治療する上記方法は予防方法であり、すなわち、上記被験体は、酪酸産生細菌の低い又は低下したレベル及び/又は活性を示さない。
【0033】
微生物叢の組成及び多様性は、疾患で変化することが報告されている。「ディスバイオシス」という用語は、保護細菌と有害細菌との間の身体に対する又は体内の微生物のバランスが崩れている状態を指す。「腸内ディスバイオシス」という用語は、腸内微生物叢の好ましくない変化に関する。例えば、数名の著者は炎症性腸疾患の微生物組成を研究して、クローン病(CD)及び潰瘍性大腸炎(UC)を特徴付けるディスバイオシスの特徴を定義した。特に、Joosens et al.(Gut 2011, 60:631-7)は、5つの細菌種、すなわち、F.プラウスイニッツイ、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ディアリスター・インヴィスス(Dialister invisus)、及びクロストリジウムクラスターXIVaの性質が不明な種の減少、並びにルミノコッカス・グナバス(Ruminococcus gnavus)の増加(この細菌の特徴は、疾患の病因における酪酸産生細菌の欠如を示す)がCDにおけるディスバイオシスを特徴付けると報告した。最近では、UCのディスバイオシスを特徴付けるロゼブリア・ホミニス及びF.プラウスニッツイの減少が報告されている(非特許文献8)。
【0034】
特定の実施形態では、腸内ディスバイオシスは、酪酸産生細菌の低レベル又は減少を特徴とし、好ましくは、酪酸産生細菌は、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ、F.プラウスニッツイの系統群I(PHGI)、F.プラウスニッツイの系統群II(PHGII)、ロゼブリア・ホミニス及びサブドリグラニュラム・バリアビレからなる群より選択される。
【0035】
酪酸産生細菌の低レベル又は減少は、
a)上記被験体の腸内サンプル中の酪酸産生細菌のレベルを決定することと、
b)上記被験体サンプル中の上記酪酸産生細菌のレベルを参照サンプル中のレベルと比較することと、
を含む方法によって決定され得て、
上記被験体サンプル中のレベルが上記参照サンプル中のレベルを下回る場合、酪酸産生細菌の減少がある。腸内サンプル中の細菌種のレベルを定量する方法は、本明細書において以下に記載される。
【0036】
腸内サンプルは、例えば回腸、結腸及び/又は直腸の粘膜組織からの生検材料であってもよい。この腸内サンプルは、糞便サンプルであることが好ましい。これらのタイプのサンプルは、臨床業務で日常的に使用されており、当業者は、それらの取得及び保存の最も適切な手段を識別する方法を知っているであろう。サンプルが得られると、新鮮なものを使用してもよく、適切な手段を使用して凍結、凍結乾燥、又は保存してもよい。
【0037】
本明細書で使用される「参照値」という用語は、被験体から収集されたサンプルから得られた値又はデータを評価するための参照として使用される予め定められた基準に関する。参照値又は参照レベルは、絶対値、相対値、上限若しくは下限を有する値、値の範囲、代表値(average value)、中央値、平均値、又は特定の対照値若しくはベースライン値と比較した値であってもよい。参照値は、個々のサンプル値に基づいてもよく、又は時系列の年齢が一致した群の被験体の集団等の多数のサンプルに基づいてもよく、又は試験されるサンプルを含む若しくは除外するサンプルのプールに基づいてもよい。
【0038】
参照値は、腸疾患の兆候及び/又は症状を呈していない被験体若しくは被験体群、腸疾患を有していない被験体若しくは被験体群、又は同じ健康な被験体若しくは腸疾患を有すると診断されたが、より早期の時点の被験体から得ることができる。上記参照サンプルは、腸疾患を有していない被験体又は被験体群のサンプルであることが好ましい。
【0039】
マーカーのレベルは、サンプル内の上記マーカーのレベルがその参照値よりも低い場合に「低下した」とみなされる。マーカーのレベルは、その参照値よりも少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、少なくとも150%以上低い場合に、その参照値よりも低いとみなされる。腸内ディスバイオシスを確立するため、参照値に対する被験体のサンプル中の1つ以上の細菌マーカーの存在量レベルの低下は統計学的に有意であることが好ましい。
【0040】
同様に、サンプル中のマーカーのレベルがその参照値よりも高い場合、そのマーカーのレベルは「上昇した」とみなされる。マーカーのレベルは、その基準値よりも少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、少なくとも150%以上高い場合に、その参照値よりも高いとみなされる。
【0041】
代替的に又は追加的に、本明細書に記載される参照値よりも約1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍又は20倍超のレベルの逸脱(すなわち、上昇又は低下)を有する被験体は、腸内ディスバイオシスを有すると識別され得る。
【0042】
統計学的に有意な量は、種々の統計学的手法を使用することにより、当業者によって確立され得て、該統計学的手法の例示的で非限定的な例としては、信頼区間の決定、p値の決定、カイ二乗検定識別関数等が挙げられる。好ましい信頼区間は、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%である。p値は、好ましくは0.1未満、0.05未満、0.01未満、0.005未満、又は0.001未満である。典型的には、適切な統計学的分析は、例えばコルモゴロフ−スミルノフの検定を使用して調査中の変数が正規分布を有しているかどうか、及び例えばレーベン検定で決定される等分散性があるかどうかに基づいて判断される。正規分布及び等分散性がある場合、t検定又はANOVA検定等のパラメトリックモデルを使用し、正規性が達成されない場合、一般的にはマン−ホイットニーU検定又はクラスカル−ウォリス検定等のノンパラメトリックモデルを使用することが好ましい。
【0043】
或いは、酪酸産生細菌の減少は、特定の被験体における他の細菌種又は一群の種に対する該被験体における1つ以上の酪酸産生細菌種又は一群の種の存在量レベルの比率を決定することにより定義され得て、例えば、酪酸産生細菌の減少は以下の場合に見られることがある:
フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ/エシェリキア・コリのレベルの比率(例えば、16S rRNA遺伝子コピー/細菌16S rRNA遺伝子コピー100万個の中央値log
10)が2.5未満である、又は、
真正細菌/ロゼブリア・ホミニスのレベルの比率が12.5を超えている。
【0044】
特定の実施形態では、任意に、上記又は下記の実施形態又は特徴の1つ以上と組み合わせて、酪酸産生細菌の減少は、特定の被験体における他の細菌種又は一群の種に対する該被験体における1つ以上の酪酸産生細菌種又は一群の種の存在量レベルの比率を決定することにより定義され、以下を含むがこれらに限定されない正規化された指数として表される:
フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ/エシェリキア・コリ比(FE指数):値が低いほど、被験体のディスバイオシスの程度が高くなる、及び/又は、
酪酸産生細菌/炎症性細菌比(BP指数):値が低いほど、被験体のディスバイオシスの程度が高くなり、例えば、酪酸産生細菌は、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(任意に、それに加えて又はその代替としてフィーカリバクテリウム・プラウスニッツイPHGI、及びフィーカリバクテリウム・プラウスニッツイPHGII)、ロゼブリア・ホミニス及びサブドリグラニュラム・バリアビレの総存在量の合計によって計算され、炎症性細菌はエシェリキア・コリの総存在量である。
【0045】
加えて、被験体における腸内ディスバイオシスは、酪酸産生細菌の活性の減少、例えば、SCFA産生レベルが低いか又は低下した酪酸産生細菌を更に特徴とする場合がある。これは、酪酸塩/酪酸産生細菌比(BB指数)によって決定され得て、酪酸産生細菌は、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(任意に、それに加えて又はその代替としてフィーカリバクテリウム・プラウスニッツイのPHGI及びフィーカリバクテリウム・プラウスニッツイのPHGII)、ロゼブリア・ホミニス及びサブドリグラニュラム・バリアビレの総存在量の合計によって計算され得て、酪酸塩は発酵チューブ内で得られた酪酸塩の濃度である。値が低いほど、酪酸産生細菌の活性は低くなる。例えば、被験体におけるBB指数が参照又は対照サンプルよりも低い場合、酪酸産生のレベルが低下している又は低い可能性がある。
【0046】
本明細書で使用される「存在量」、「レベル」又は「負荷(load)」という用語は、生体サンプル内の標的微生物の量の尺度を指す。細菌の定量は、一般的には分子法によって、典型的には、例えば蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)又はPCR/ピロシーケンシングによって、上記標的微生物の16S rRNA遺伝子コピーの数を決定することによって行われる。生体サンプル内の標的核酸配列の存在量の定量は、絶対的であってもよく又は相対的であってもよい。「相対的定量」は一般的には、1つ以上の内部参照遺伝子、すなわち参照株に由来する16S rRNA遺伝子に基づき、ユニバーサルプライマーを使用し、標的核酸配列の存在量を全細菌16S rRNA遺伝子コピーのパーセンテージとして表す又はE.コリの16S rRNA遺伝子コピーにより正規化した総細菌の決定等がある。「絶対的定量」は、DNA標準との比較又はDNA濃度による正規化によって、標的分子の正確な数を与える。
【0047】
定量レベルは、濃度(単位体積当たりのDNA量)、細胞数当たりのDNA量若しくは遺伝子コピー数、サイクル閾値(Ct値)、又は遺伝子コピー数のlog10等のその数学的な変換として表される場合がある。Ct値は、サンプル中の標的核酸濃度のlog10に反比例する。
【0048】
特定の実施形態では、任意に、上記又は下記の実施形態の1つ以上と組み合わせて、本明細書に記載される酪酸塩産生種はqPCRにより定量される。好ましくは、定量はqPCRによって実行されて、定量レベルはサイクル閾値(Ct値)として表され、この場合、酪酸産生細菌の存在量レベルの低下はCt値の増加として示される。
【0049】
リアルタイムPCRとしても知られる定量的PCR(qPCR)は、当該技術分野で良く知られている。Applied Biosystems製のABI Prism 7700 SDS、GeneAmp 5700 SDS、ABI Prism 7900 HT SDS、Bio-Rad製のiCycler iQ、Cepheid製のSmart Cycler、Corbett Research製のRotor−Gene、Roche Molecular Biochemicals製のLightCycler、及びStratagene製のMx4000 Multiplex等の種々の機器が利用可能である。qPCRプロセスは、反応の対数期の非常に早い段階でPCR産物の蓄積を測定することによってリアルタイムでPCR産物を正確に定量することを可能にすることで、エンドポイントPCRで生じるPCR増幅効率に関連する定量のバイアスが減少される。qPCRに関する技術概要及びプロトコルは、例えば上記の供給業者、例えばhttp://www.sigmaaldrich.com/technical-documents/protocols/biology/sybr-green-qpcr.html又はhttp://www.sigmaaldrich.com/life-science/molecular-biology/pcr/quantitative-pcr/qpcr-technical-guide.html.から入手可能である。qPCR法の総説については、Smith CJ and Osborn AM., FEMS Microbiol Ecol., 2009;67(1):6-20、及びGiulietti et al., Methods 2001; 25, 386-401を参照されたい。特定の実施形態では、定量方法は、例えば、単一のqPCR反応においてF.プラウスニッツイの系統群I及び系統群IIのレベルを定量する場合、マルチプレックスqPCRを含む。
【0050】
幾つかの遺伝子を、細菌の定量を目的として使用することができる。典型的には、特定の標的細菌は16S rRNA遺伝子のPCR増幅によって定量され得る。16S rRNAは、ほぼ全ての細菌種で異なる。細菌種を定義するのは困難であるが、しばしば、操作的分類単位(OTU:operational taxonomic unit)として定義される少なくとも97%の同一性を有する16S rRNA遺伝子配列を持つ生物とする。約1.5キロベースの16S rRNA遺伝子配列には、細菌の分類群を区別する9つの短い超可変領域があり、これらの領域の1つ以上の配列は、地域調査で標的とされている(Weinstock B.M, Nature 2012, 489,250-256)。
【0051】
タンパク質をコードする遺伝子、例えばハウスキーピング遺伝子も使用され得る。Roux et al.(FEMS Microbiol Ecol 78 (2011) 617-628)は、生態学的研究のための分類学的マーカーとしてプライマーセットが利用可能であった、5つのタンパク質マーカー遺伝子(rplB、pyrG、fusA、leuS、及びrpoB)の使用について記載している。特定の標的細菌の定量を目的としたヌクレオチジルトランスフェラーゼ遺伝子及びブチリル−CoAトランスフェラーゼ遺伝子の使用も記載されている(Jia et al.FEMS Microbiol Lett.2010; 310:138-144)。
【0052】
qPCRに対して種々の検出化学が利用可能である。それらはいずれも、上記のqPCR機器で使用され得る。「検出化学」という用語は、リアルタイムPCRで特定のPCR産物の増幅を報告する方法を指し、加水分解又はTaqMan(商標)プローブ、分子ビーコン、スコーピオン(scorpions)、ハイブリダイゼーションプローブ及びSYBR(商標)Green I等のDNA結合色素を含む場合がある。これらは、例えばGiulietti et al., Methods 2001; 25, 386-401に詳述される。
【0053】
本明細書に記載される酪酸産生種の定量は、16S rRNA遺伝子の定量により実施されることが好ましい。好ましい実施形態では、本明細書に記載される酪酸産生種の定量のためのポリヌクレオチド(例えば、プライマー及びプローブ)は、実施例に開示されたもの、又はそれに対して少なくとも85%、好ましくはそれに対して少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも約97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するポリヌクレオチドである。
【0054】
好ましくは、上記ポリヌクレオチドは10ヌクレオチド〜30ヌクレオチド、より好ましくは15ヌクレオチド〜26ヌクレオチド、更により好ましくは18ヌクレオチド〜22ヌクレオチド、更により好ましくは約20ヌクレオチドを有する。特定の実施形態では、上記プライマー及び/又はプローブは、検出のため又はアッセイ性能を高めるため修飾されている。
【0055】
特定の実施形態では、酪酸産生細菌は、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ、F.プラウスニッツイの系統群I(PHGI)、F.プラウスニッツイの系統群II(PHGII)、ロゼブリア・ホミニス及びサブドリグラニュラム・バリアビレからなる群より選択され、以下の1つ以上の使用を含む方法によってそれぞれの存在量レベルが決定される:
F.プラウスニッツイのレベルを決定するための配列番号1、配列番号2、配列番号3、及びそれらに対して少なくとも85%の同一性を有するポリヌクレオチドからなる群より選択されるポリヌクレオチド、
任意に配列番号4及び/又は配列番号5、又はそれらに対して少なくとも85%の同一性を有するポリヌクレオチドと組み合わせた、PHGIのレベルの決定のための配列番号6からなるポリヌクレオチド又はそれに対して少なくとも85%の同一性を有するポリヌクレオチド、
任意に、配列番号4及び/又は配列番号5、又はそれらに対して少なくとも85%の同一性を有するポリヌクレオチドと組み合わせた、PHGIIのレベルの決定のための配列番号7からなるポリヌクレオチド又はそれに対して少なくとも85%の同一性を有するポリヌクレオチド、
ロゼブリア・ホミニスのレベルを決定するための配列番号11、配列番号12、及びそれらに対して少なくとも85%の同一性を有するポリヌクレオチドからなる群より選択されるポリヌクレオチド、並びに、
サブドリグラニュラム・バリアビレのレベルを決定するための配列番号13、配列番号14、及びそれらに対して少なくとも85%の同一性を有するポリヌクレオチドからなる群より選択されるポリヌクレオチド。
【0056】
フィーカリバクテリウムは、Duncan et al.(Duncan et al., Int J Syst Evol Microbiol.2002; 52, 2141-2146)によって作り出された新しい属である。非芽胞形成性、非運動性のグラム陽性で絶対嫌気性の該生物は、酪酸塩、d−乳酸塩、及びギ酸塩を産生し、酢酸塩を利用する。ゲノムDNAのG−C含有量は47±57モル%(熱変性により決定される)である。その特性がCato et al.(1974)によって報告された基準株は、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイATCC27768T(NCIMB 13872T)である。しかしながら、過去10年間にこの種で行われた最近の研究のほとんどは、同じくDuncan et al.(Duncan et al., Int J Syst Evol Microbiol.2002; 52, 2141-2146)によって記載された株A2−165(DSM17677)に基づいている。今日、F.プラウスニッツイ種は、フィルミクテス門、クロストリジウム綱、ルミノコッカス科を代表する(非特許文献3)。
【0057】
F.プラウスニッツイの2つの系統群は以前に記載されている(非特許文献11)。この研究は、16S rRNA遺伝子配列に基づいてクロストリジウムクラスターIVの他のメンバーに対するF.プラウスニッツイ分離株の系統関係を分析し、F.プラウスニッツイ種内の2つの系統群を初めて定義し(非特許文献11の
図1)、具体的には、97%超の配列同一性を持つルミノコッカス科の2つの枝を定義している。これらには、分離株M21/2、ATCC27766、ATCC27768(PHGIに属する)、並びにA2−165及びL2−6(PHGIIに属する)について以前に報告された5つの配列が含まれる。
【0058】
国際公開第2017/025617号は、F.プラウスニッツイの16S rRNA遺伝子に対する独自の種特異的プライマー対、及び各F.プラウスニッツイの系統群を標的とする2つの加水分解プローブの使用を含む、F.プラウスニッツイの両方の系統群を同時に定量するqPCRアッセイを記載している。このアッセイに使用されるオリゴヌクレオチドは、国際公開第2017/025617号の表15に示されており、その内容は引用することで本明細書の一部をなす。
【0059】
本明細書で使用される表現「フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイのディスバイオシス」は、F.プラウスニッツイ(Fpra)、F.プラウスニッツイの系統群I(PHGI)及び/又はF.プラウスニッツイの系統群II(PHGII)全体の減少を指す。
【0060】
ロゼブリア・ホミニスは、Duncan et al.(International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology 2006, 56, 2437-2441)によって最初に記載された。ロゼブリア・ホミニスは、グラム不定又はグラム陰性で絶対嫌気性のわずかに湾曲した桿菌であり、系統発生的にR.インテスティナリスに関連しているが、既存の種に含めるには関連性が十分ではない。基準株はA2−183である。R.ホミニスはグリセロールでは増殖することができるが、イヌリン、キシラン、及びアミロペクチン等の複合基質では増殖することができなかった(表1を参照されたい)。酪酸塩及びギ酸塩は、R.ホミニス代謝の主要な生成物である(表2を参照されたい)。
【0061】
サブドリグラニュラム・バリアビレは、Holmstrom et al.(Anaerobe 2004, 10, 197-203)によって最初に記載された。サブドリグラニュラム・バリアビレは、幾分可変性の球形の形態を示す、絶対嫌気性で非芽胞形成性のグラム陰性染色生物である。比較16SリボソームRNA遺伝子配列決定研究は、系統発生的にクロストリジウム・レプタム属より上位の分類群のrRNAクラスターのメンバーであることを示した。S.バリアビレの基準株はBI 114Tである。グルコース発酵の主な生成物は、酪酸及び乳酸である。
【0062】
上記被験体は、腸疾患の症状を呈さない被験体であってもよい。実際、被験体は、腸疾患を発症する前に、例えば、炎症性疾患の場合、炎症の徴候及び/又は症状が現れる前に、F.プラウスニッツイ及び/又はその他の酪酸産生細菌の減少を特徴とするディスバイオシス等の腸内ディスバイオシスを経験する場合がある。実施例2のin vitro発酵実験では、陰性対照に対して、Previpect(商標)を基質として使用する健康な被験体に由来する糞便サンプルにおいて、ロゼブリア・ホミニス、F.プラウスニッツイの系統群II及びサブドリグラニュラム・バリアビレの存在量の統計学的に有意な増加が観察された。この増加は、真正細菌に対するこれらのマーカーの相対レベルが決定される際に、ロゼブリア・ホミニス及びF.プラウスニッツイの系統群IIで維持される(表1及び表2を参照されたい)。特定の実施形態では、任意に、上記又は下記の実施形態の1つ以上と組み合わせて、上記被験体は腸疾患の症状を示すことなく、PHGII、サブドリグラニュラム・バリアビレ及び/又はロゼブリア・ホミニスのディスバイオシスを有する。
【0063】
或いは、上記被験体は腸疾患を有していてもよい。この腸疾患は、炎症性腸疾患(inflammatory intestinal disease)、例えば「炎症性腸疾患(IBD:inflammatory bowel disease)」、又は非炎症性腸疾患であってもよい。
【0064】
本明細書で使用される「炎症性腸疾患(IBD)」という用語は、特発性慢性炎症性腸疾患のグループを指す。該用語に含まれる2つの主要な疾患カテゴリーは、クローン病(CD)及び潰瘍性大腸炎(UC)であり、どちらも重複する明確な臨床的及び病理学的のの特徴を備えている。IBDの診断には、包括的な身体検査及び患者の病歴のレビューが必要である。血液検査、検便、内視鏡検査、生検、及び画像診断を含む様々な検査は、他の原因を除外して診断を確定するのに役立つ(World Gastroenterology Organisation Global Guidelines, Inflammatory bowel disease: a global perspective, June 2009、及びSilverberg et al., Can J Gastroenterol.2005, 19 Suppl A:5-36)。IBDの疫学及び遺伝学の理解が深まるにつれて、UC及びCDが実際にIBDの幾つかの形態を表す可能性があることが臨床医に明らかとなった。したがって、本明細書で使用される「IBD」という用語は、その表現型を含む。
【0065】
本明細書で使用される「IBD表現型」という用語は、CD、UC、分類不能大腸炎、タイプ未分類炎症性腸疾患(IBDU)、嚢炎、顕微鏡的大腸炎、直腸炎、憩室炎等の疾患又は障害を含む(Mowat et al., Gut 2011, 1-37、Geboes et al., J Clin Pathol 2005;58:1133-1134、Regueiro M, J Clin Gastroenterol.2004, 38(9):733-740、Cheifetz A, and Itzkowitz S., J Clin Gastroenterol.2004 May-Jun;38(5 Suppl 1):S44-50)。該用語には、IBDの疾患又は障害のサブタイプが更に含まれる。CDサブタイプは、例えばモントリオール分類によって定義されるものであり、CDは診断時の年齢、場所、及び/又は挙動に従って分類される。UCサブタイプは、モントリオール分類によって定義されているものであってもよく、UCは疾患の範囲及び/又は疾患の重症度に従って分類される(World Gastroenterology Organisation Global Guidelines, Inflammatory bowel disease: a global perspective, June 2009、及びSilverberg et al., Can J Gastroenterol.2005, 19 Suppl A:5-36)。
【0066】
本明細書で使用される用語「分類不能大腸炎(IC)」は、結腸切除標本中のUC又はCDのいずれの特徴も持たない慢性IBDの症例を指す(Silverberg et al., Can J Gastroenterol.2005, 19 Suppl A:5-36; Satsangi et al., Gut 2006; 55, 749-753)。
【0067】
本明細書で使用される「タイプ未分類炎症性腸疾患(IBDU)」という用語は、小腸の関与なしに、結腸を冒す慢性炎症性腸疾患の臨床的及び内視鏡的な根拠に証拠があり、CD又はUCのいずれを確立する組織学的又はその他の証拠のない、感染が除外されている症例を指す(Satsangi et al., Gut 2006; 55, 749-753)。
【0068】
特定の実施形態では、任意に、上記又は下記の実施形態の1つ以上と組み合わせて、上記被験体はIBDを有する。上記被験体はUCを有することが好ましい。UC患者は、以前にPHGIIレベルの低下を特徴とすることが報告されている(国際公開第2017/025617号)。
【0069】
実施例2のin vitro発酵実験では、真正細菌に対する相対レベルが決定される場合にも、陰性対照に対して、基質としてPrevipect(商標)を使用するUC患者に由来する糞便サンプル中のF.プラウスニッツイの系統群IIの存在量の統計学的に有意な増加が観察される(表4及び表5を参照されたい)。特定の実施形態では、任意に、上記又は下記の実施形態の1つ以上と組み合わせて、上記被験体は潰瘍性大腸炎及びPHGIIのディスバイオシスを有する。
【0070】
別の特定の実施形態では、任意に、上記又は下記の実施形態の1つ以上と組み合わせて、上記被験体は非炎症性腸疾患を有する。非炎症性腸疾患の例示的で非限定的な例は、過敏性腸症候群(IBS)及び結腸直腸癌である(非特許文献3)。本発明の特定の実施形態では、上記腸疾患は非炎症性腸疾患であるが、ただし結腸直腸癌ではない。別の特定の実施形態では、上記非炎症性腸疾患は過敏性腸症候群である。実施例3は、IBS患者及び健康な被験体において糞便サンプルをPrevipect(商標)200、リンゴペクチン及びプランタゴ・オバタとインキュベートした場合に得られた実験結果を提供する。表12に示すように、陰性対照に対して、IBS患者の糞便サンプルをPrevipect(商標)200とインキュベートすると、F.プラウスニッツイ、ロゼブリア・ホミニス、及びサブドリグラニュラム・バリアビレ全体で総存在量の統計学的に有意な増加が観察された。特定の実施形態では、任意に、上記又は下記の実施形態の1つ以上と組み合わせて、上記被験体は、IBS及びF.プラウスニッツイ、ロゼブリア・ホミニス及び/又はサブドリグラニュラム・バリアビレのディスバイオシスを有する。
【0071】
更なる特定の実施形態では、任意に、上記又は下記の実施形態の1つ以上と組み合わせて、上記被験体はヒト被験体である。
【0072】
第2の態様では、本発明は、被験体において腸疾患を治療する方法に使用されるブドウ果皮、好ましくは分離されたブドウ果皮に関し、該被験体は酪酸産生細菌の減少を特徴とする腸内ディスバイオシスを有し、酪酸産生細菌は、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ、F.プラウスニッツイの系統群I(PHGI)、F.プラウスニッツイの系統群II(PHGII)、ロゼブリア・ホミニス及びサブドリグラニュラム・バリアビレからなる群より選択されることが好ましい。
【0073】
さらに、本発明は、被験体において腸疾患を治療する方法であって、該被験体が酪酸産生細菌の減少を特徴とする腸内ディスバイオシスを有し、酪酸産生細菌がフィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ、F.プラウスニッツイの系統群I(PHGI)、F.プラウスニッツイの系統群II(PHGII)、ロゼブリア・ホミニス、及びサブドリグラニュラム・バリアビレからなる群より選択される、方法に関し、該方法は、かかる治療を必要とする被験体に、治療有効量の本明細書に記載のブドウ果皮を投与することを含む。
【0074】
特定の実施形態では、腸疾患を治療する上記方法は予防方法であり、上記被験体は腸疾患の徴候及び/又は症状を呈していない。別の実施形態では、腸疾患を治療する上記方法は治療方法であり、上記被験体は腸疾患を有する、すなわち腸疾患の徴候及び/又は症状を呈する。これらの態様の特定の実施形態及び好ましい特徴は上記の通りである。
【0075】
更なる態様では、本発明は、被験体において腸疾患を治療する方法に使用されるブドウ果皮、好ましくは分離されたブドウ果皮に関する。関連する態様では、本発明は被験体において腸疾患を治療する方法に関し、該方法は、かかる治療を必要とする被験体に、治療有効量の本明細書に記載されるブドウ果皮を投与することを含む。上記のいずれかの特定の実施形態では、上記腸疾患は潰瘍性大腸炎以外であり、好ましくは潰瘍性大腸炎以外の上記疾患はCD又はIBSである。これらの態様の特定の実施形態及び好ましい特徴は上記の通りである。
【0076】
本明細書で言及されるブドウ果皮は、好ましくは「分離されたブドウ果皮」である。本明細書で使用される「分離されたブドウ果皮」という用語は、果肉、種子及び茎から分離されたブドウ果皮を指す。果肉及び他の搾りかすからブドウ果皮を分離する方法は、当業者によく知られている。例えば、ブドウ果皮は手作業で分離されてもよい。特定の実施形態では、ブドウ全体を脱水した後、ブドウ果皮を他の搾りかす(例えば、種子及び茎)から分離する。
【0077】
ブドウは、任意のブドウ種、白ブドウ又は赤ブドウの品種、好ましくは白ブドウ品種に由来し得る。ブドウ搾りかすのペクチン含有量は、赤ブドウ品種と白ブドウ品種との間で有意差を示すことが報告されており、白品種の搾りかすではより高い(Gonzalez-Centeno MR, et al.Food sci technol.2010; 43:1580-1586)。白ブドウ品種の例示的で非限定的な例としては、ヴィティス・ビニフェラ(Vitis vinifera)、ヴィティス・ラブラスカ(Vitis labrusca)、ヴィティス・リパリア(Vitis riparia)、V.ビニフェラハイブリッド及び非V.ビニフェラハイブリッドが挙げられる。
【0078】
ブドウ果皮は、ヴィティス・ロトゥンディフォリア(Vitis rotundifolia)以外のブドウ種に由来することが好ましい。マスカディンブドウ(ヴィティス・ロトゥンディフォリア)ワインの化学組成は、房状ブドウ(ヴィティス・ビニフェラ)ワインとは、特に抗酸化化合物の組成に関して異なるとBasha et al.(African Journal of Biotechnology 2004, Vol. 3 (10), 523-528)に記載されている。特に、マスカディンブドウは、高濃度の或る特定のフェノール化合物の存在を特徴とし、マスカディン以外のブドウ種には通常見られないエラグ酸を含むことが報告されている(Olien et al.Hortsci.199025, 732-739、Lin and Vine J. Food Sci.1990, 55, 1607-1613)。
【0079】
好ましい実施形態では、任意に、上記又は下記の実施形態の1つ以上と組み合わせて、上記ブドウはブドウ種ヴィティス・ビニフェラに由来する。ヴィティス・ビニフェラ種の白ブドウ品種の例は当該技術分野でよく知られており、ホワイトグルナッシュ、ピノブラン、シャルドネ、及びソーヴィニヨンブランが含まれるが、これらに限定されない。このブドウはブドウ種ヴィティス・ビニフェラ及びホワイトグルナッシュ品種に由来することが好ましい。
【0080】
分離されたブドウ果皮を、脱水(凍結乾燥を含む)又は粉砕等の物理的変換プロセスにかけてもよい。特定の実施形態では、任意に、上記又は下記の実施形態の1つ以上と組み合わせて、上記ブドウ果皮は、水分含有量が20%以下、例えば18%付近であることを特徴とする脱水ブドウ果皮である。好ましくは、上記ブドウ果皮は、水分含有量が15%以下、例えば水分含有量が5%〜15%、より好ましくは10%〜12%、例えば11%付近の脱水ブドウ果皮である。
【0081】
更なる実施形態では、任意に、上記又は下記の実施形態の1つ以上と組み合わせて、上記ブドウ果皮は、
a)ブドウ全体を乾燥させることと、
b)ブドウ果皮を分離することと、
c)任意に、b)で得られた生成物を粉砕することと、
d)任意に、c)で得られた生成物を篩にかけることと、
を含む方法により得られる又は得ることができる。
【0082】
工程a)では、ブドウを少なくとも2日間、60℃〜62℃の空気循環オーブンで乾燥させることが好ましい。例えば、2日間〜5日間、より好ましくは2日間乾燥させてもよい。
【0083】
粉砕生成物は、その粒径によって特に限定されない。工程c)の後に得られる粉砕生成物の粒径は、例えば、0.001mm〜5mmであってもよい。典型的には粉砕生成物は、2mm未満、好ましくは1mm未満、より好ましくは0.1mm未満の粒径を有する。特定の実施形態では、粉砕生成物は微粒子化される。
【0084】
本明細書で使用される「微粒子化」という用語は、固体材料の粒子の平均直径を減少させるプロセスを指す。通常、微粒子化という用語は、直径がわずか数マイクロメートル(通常は100μm未満)からナノメートルの範囲で生成される粒子の場合に使用される。従来の微粒子化技術は、摩擦を使用して粒径を縮小することに基づいている。本明細書で使用される「粉砕」という用語は、製粉及び粉砕等の粒径の縮小を目的とする任意の技術を包含するように広く使用される。
【0085】
好ましい実施形態では、任意に、上記又は下記の実施形態の1つ以上と組み合わせて、本発明は、被験体において腸内ディスバイオシスを治療する方法に使用される、本明細書に記載される分離されたブドウ果皮と、少なくとも1つの薬学的、獣医学的又は栄養学的に許容可能な賦形剤又はビヒクルとを含む組成物に関し、腸内ディスバイオシスは、本明細書に記載される酪酸産生細菌の減少を特徴とする。本発明はさらに、被験体において腸疾患を治療する方法に使用される上記医薬組成物の使用に関し、上記被験体は、本明細書に記載される酪酸産生細菌の減少を特徴とする腸内ディスバイオシスを有する。
【0086】
「薬学的、獣医学的又は栄養学的に許容可能な賦形剤又はビヒクル」という用語は、組成物を調製するための薬学的な、獣医学な又は食品の技術での使用に適した賦形剤又はビヒクルを指す。これらの成分、賦形剤又は担体は、組成物の他の材料と適合性でなくてはならない。また、合理的なベネフィット/リスク比で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の免疫原性の問題若しくは合併症を伴わずに、人間及び動物の組織又は器官と接触させて使用するのに適していなければならない。賦形剤又はビヒクルは、医薬品の形で存在する濃度で薬理学的活性を欠いている物質である。賦形剤又はビヒクルは、1つ以上の有効成分の安定性、バイオアベイラビリティ、忍容性、及び投与の容易さを保証する薬学的又は獣医学的な形態特性を提供するために使用される。賦形剤が有効成分の放出に影響する程度に関して、賦形剤は、そのバイオアベイラビリティの変化によって薬品の薬理活性の大きさ及び時間プロファイルを変更することができる。賦形剤はまた、適切な形態又は粘稠度の調製物を提供するために使用される。賦形剤の種類の例:可溶化剤、崩壊剤(disintegrants)又は崩壊物質(disintegrating agents)、乳化剤(emulsifiers)(乳化物質(emulsifying agents))、色素、香料、結合剤、酸化防止剤、滑沢剤、防腐剤、増粘剤等。また、Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed.(1980)又はRemington:The Science and Practice of Pharmacy 22
nd edition, Pharmaceutical press (2012), ISBN-13:9780857110626に記載されているもの等の薬学的に許容可能な担体又は賦形剤は、医薬組成物の所望の特性に悪影響を与えない限り、本明細書に記載される医薬組成物に含まれ得る。
【0087】
好ましい実施形態によれば、組成物は医薬組成物である。任意の投与経路が適切であるが、経口又は直腸投与が好ましい場合がある。医薬組成物は、好ましくは経口又は直腸投与用に製剤化される。経口組成物は、例えば、丸剤、錠剤、トローチ剤、カプセル剤、粉末、ウェーハ、発泡性の粉末若しくは錠剤、溶液、懸濁液、シロップ又は顆粒の形態であってもよい。固体医薬組成物については、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカム、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウム等を含む従来の非毒性固体担体を使用してもよい。直腸組成物は、とりわけ坐剤、浣腸剤又は特殊なカテーテルの形態であってもよい。別の好ましい実施形態によれば、組成物は食品組成物である。食品組成物は、液体組成物又は飲料、固体組成物又は栄養補助食若しくは栄養補完食(complement)(栄養補助又は栄養補完の食餌又は食品とも称される)であってもよい。本発明の文脈では、「食品組成物」という用語は、分離されたブドウ果皮が豊富な任意の固体又は液体の食品と並んで、分離されたブドウ果皮を含む任意の栄養補助食又は栄養補完食を包含する。
【0088】
食品組成物は、社会で最も一般的に使用されるという点で液体組成物、すなわち飲料であってもよい。本発明の文脈では、かかる液体組成物としては、限定されないが、動物性又は植物性のミルクと並んでその派生物、例えば、ミルクシェイク、ヨーグルト、ケフィア等;果物及び/又は野菜のジュース;静水(still water)若しくはスパークリングウォーター、又は風味若しくは甘みを付けた(栄養甘味料(スクロース、フルクトース等)又は人工甘味料による)水又は飲料;例えば、任意のサルサ、ドレッシング、ケチャップ、油、酢又は酢調製品等の調味料;任意の種類のアルコール飲料;茶、コーヒー;また同様に、あらゆる種類の清涼飲料若しくはソフトドリンク、又はエナジー飲料(energizing beverages)からなる群より選択される任意の飲料が挙げられる。
【0089】
食品組成物はまた、固体組成物であってもよい。かかる固体組成物は、例えば、チーズ、バター、マーガリン、及び豆腐等の動物性又は植物性のミルクの派生物;焼きたての、包装された、又は冷凍のパン、スライスしたパン、全粒粉パン、スパイスパン、甘いパン、塩味のパン等を含む任意の種類のパン;小麦粉又はセモリナ粉(マカロニ、スパゲッティ、麺等)等の任意の穀物粉から調製したパスタ;ケーキ、クッキー、マフィン、ドーナツ等を含む焼き菓子;飲料を調製するためのバルクの又はサシェ入りのインフュージョン(infusions)、茶又はコーヒー;「ソフトフルーツキャンディー」としてより知られているグミキャンディーを含む、ゼリー、キャンディー;また同様に、任意の種類の固体調味料、例えばオレガノ、塩、コリアンダー、パセリ、バジル等、又はそれらの混合物からなる群より選択され得るが、これらに限定されない。
【0090】
最後に、食物組成物は、栄養学上の補助又は補完の食餌又は食品であってもよく、これらのいずれの用語も本発明の文脈で同じように使用される。これらの用語は通常、経口で消費される組成物に使用され、本発明の場合では分離されたブドウ果皮である、食事を補完することを意図した材料を含む。食物組成物は、従来の食品に取って代わるものではなく、食事又は食餌の唯一の成分であってはならない。食物組成物は、トローチ、丸剤、錠剤、カプセル剤、ソフトゼラチンカプセル剤、ゼラチンカプセル剤、ウェーハ、発泡錠、液体(溶液、懸濁液、シロップ)、顆粒、及び粉末等の種々の提示で見られてもよく、いずれも本発明の範囲内に特定の実施形態として含まれる。栄養学的又は薬学的に許容可能な賦形剤は、前述の提示のいずれかを得ることについて当業者にとって明らかであり、それらは本発明の範囲内に含まれる。
【0091】
特定の実施形態では、任意に、上記又は下記の実施形態の1つ以上と組み合わせて、分離されたブドウ果皮の組成物は、遅延放出又は腸溶性の経口形態として製剤化される。遅延放出経口形態では、外表面又は内容物のいずれかが胃液の作用に抵抗するが、腸液の存在下では有効成分(複数の場合もある)を放出する。かかる遅延放出経口形態としては、顆粒剤、錠剤と並んで、硬質又は軟質のカプセル剤、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
上記遅延放出経口形態は、少なくとも1つの胃抵抗性の層又はコーティングを含み、該胃抵抗性の層又はコーティングは、少なくとも1つの胃腸ポリマー(gastro-intestinal polymer)を含む。本明細書で使用される「コーティング」という用語は、表面全体、例えば、カプセルのシェル又は有効成分を含むコアに層を塗布することを指す。いくつかの実施形態では、上記遅延放出形態は、2つ、3つ又はそれ以上の胃抵抗性の層又はコーティングを備えてもよい。
【0093】
胃抵抗性ポリマーは、当該技術分野でよく知られている。これらのポリマーは、一般に5.5を超えるpHで溶解し、コーティングされた物質又は組成物を胃の環境から保護することを可能とする。胃抵抗性のポリマー及びポリマーコーティングの例示的で非限定的な例は、酢酸セルロース、EUDRAGIT(商標)、主にEUDRAGIT(商標)L及びEUDRAGIT(商標)Sの商品名で商業的に知られている種々の比率のメタクリル酸及びメタクリル酸エステルのコポリマー、ポリビニルアセトフタレート及びヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートである。さらに、上記胃抵抗性の層又はコーティングは、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、トリアセチン、ポリエチレングリコール及びアセチル化モノグリセリド等の可塑剤を更に含んでもよい。典型的には、可塑剤は、コーティング剤の量に対して5重量%〜15重量%の量で含まれる。
【0094】
特定の実施形態では、任意に、上記又は下記の実施形態の1つ以上と組み合わせて、上記組成物は、プレバイオティクス、単一種又は一群のプロバイオティクス種(天然又は遺伝子組み換えの微生物を含む)、細菌の二次生成物(例えば、酪酸塩)、細菌/宿主相互作用の分子経路のモジュレーター、及び狭域抗生物質からなる群より選択される化合物を更に含む。プレバイオティクス及びプロバイオティクスの化合物は、当該技術分野で良く知られており、単独で又は組み合わせて(すなわち、シンバイオティクス用途)使用され得る。例えば、The Handbook of Prebiotics and Probiotics Ingredients; Health benefits and food applications (Ed. Ungsoo Cho S. and Finocchiaro T., CRC press, 2009)を参照されたい。
【0095】
特定の実施形態では、任意に、上記又は下記の実施形態の1つ以上と組み合わせて、上記組成物はプレバイオティクス化合物を更に含む。本明細書に記載されるブドウ果皮と組み合わせて使用され得るプレバイオティクス化合物の例示的で非限定的な例としては、他のブドウ派生物(例えば、ブドウ種子又はブドウ種子プロアントシアニジン抽出物(GSPE、Liu W. et al., Mol.Nutr.Food Res 61, 9, 2017を参照されたい))、発芽オオムギ麦食品(GBF)、フルクトオリゴ糖(FOS)、イヌリン、リンゴペクチン、及びイスパキュラ殻(Ispaghula husk)(プランタゴ・オバタとも称される)種子及び/又は花及び/又は植物のその他の任意の部分が挙げられ、それらから選択され得る。上記プレバイオティックス化合物はリンゴペクチンであることが好ましい。
【0096】
ヨーグルト及び他の乳製品に存在するものを含む、多くのプロバイオティクス種が記載されている。プロバイオティクス種の例示的で非限定的な例としては、乳酸桿菌(例えば、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ブルガリウス(Lactobacillus bulgarius)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri))、ビフィズス菌(例えば、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum))、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、サッカロマイセス・ブラウディ(Saccharomyces boulardii)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)及びE.コリ(E.coli)の非病原性種が挙げられる。
【0097】
特定の実施形態では、任意に、上記又は下記の実施形態の1つ以上と組み合わせて、上記組成物は、酪酸産生細菌、乳酸桿菌、ビフィズス菌、ストレプトコッカス・サーモフィルス、サッカロマイセス・ブラウディ、バチルス・サブチリス及びE.コリの非病原性種からなる群より選択される単一種又は一群のプロバイオティクス種を更に含み、該酪酸産生細菌は、F.プラウスニッツイ、F.プラウスニッツイの系統群I、F.プラウスニッツイの系統群II、R.ホミニス、及びS.バリアビレからなる群より選択されることが好ましい。
【0098】
上記組成物は、凍結乾燥形態、液体形態又は噴霧形態等の任意の形態であってもよい。例えば、組成物を作製するために凍結乾燥された細菌を使用する場合、凍結乾燥された細菌の上記予備組成物は、所望の総濃度(CFU/ml)の最終組成物を得ることができるように、例えば滅菌等張食塩水で再水和されてもよい。
【0099】
容易な使用を提供するため、上記組成物は投与形態であってもよい。例えば、各用量は、10
7以上、10
8以上、10
9以上、10
10以上、10
11以上のコロニー形成単位(CFU)の細菌を含む(10
9以上が好ましい場合がある)。用量は、0.1ml〜100ml、好ましくは0.2ml〜50ml、より好ましくは0.5ml〜20ml、より好ましくは1.0ml〜10ml、より好ましくは1.5ml〜5mlの範囲の体積を有してもよい。
【0100】
更なる態様では、本発明は、ブドウ果皮と、プレバイオティクス、単一種又は一群のプロバイオティクス種、細菌の二次生成物、細菌/宿主相互作用の分子経路のモジュレーター、及び狭域抗生物質からなる群より選択される化合物との相乗的な組み合わせに関する。本発明はさらに、ブドウ果皮と、腸内ディスバイオシスの治療に相乗効果をもたらす上に定義される化合物とを含む組成物、及び腸内ディスバイオシスの治療、好ましくは酪酸産生細菌のディスバイオシスの治療におけるその使用に関する。特定の実施形態及び好ましい特徴は、本明細書に記載されている通りである。
【0101】
本明細書に記載される任意の特徴は、本発明の任意の医学的使用、組成物、医薬組成物、治療方法、組成物の製造方法及び/又は併用療法の実施形態のいずれかと任意に組み合わせられてもよいことが企図され、本明細書で述べられる任意の実施形態を、これらのいずれに関して実施することができる。本明細書に記載される特定の実施形態は、本発明の限定としてではなく、実例として示されることが理解される。本発明の主な特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態で用いられ得る。当業者は、日常的な実験のみを使用して、本明細書に記載される特定の手順について多くの等価物を認識する、又は確認することができる。かかる等価物は、本発明の範囲内にあるとみなされ、特許請求の範囲に包含される。
【0102】
全ての出版物及び特許出願は、各個々の出版物又は特許出願が引用することで本明細書の一部をなすことが具体的かつ個別に示されている場合と同じ程度に、引用することで本明細書の一部をなす。
【0103】
数量を特定していない語(the word "a" or "an")の使用は「1つ」を意味する場合があるが、「1つ以上」、「少なくとも1つ」、及び「1つ又は2つ以上」の意味とも一致する。「別の」という用語の使用は、1つ以上を指す場合もある。特許請求の範囲における「又は」の用語の使用は、代替物のみを指すように明示的に示されない限り、又は代替物が相互に排他的でない限り、「及び/又は」を意味するため使用される。
【0104】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「含む、含んでいる(comprising)(及び「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」等の「含む」の任意の形態)、「有する、有している(having)」(及び「有する(have)」及び「有する(has)」等の「有する」の任意の形態)、「含む、含んでいる(including)」(及び「含む(includes)」及び「含む(include)」等の「含む」の任意の形態)、又は「含有する、含有している(containing)」(及び「含有する(contains)」及び「含有する(contain)」等の「含む」の任意の形態)の単語は、包括的又は無制限であり、追加の引用されていない要素又は方法の工程を除外しない。また、「含む(comprises)」という用語は、「からなる(consists of)」及び「から本質的になる(consists essentially of)」という用語も包含し、明示的に開示する。本明細書で使用される「から本質的になる」という語句は、特許請求の範囲を明示される材料又は工程、及び特許請求の範囲に記載される発明の基本的及び新規の特性(複数の場合もある)に実質的に影響しないものに限定する。本明細書で使用される「からなる」という語句は、例えば要素又は制限に通常関連する不純物を除き、特許請求の範囲で明示されていない任意の要素、工程、又は成分を除外する。
【0105】
本明細書で使用される「又はそれらの組み合わせ」という用語は、その用語に先立って列挙される項目の全ての順列及び組み合わせを指す。例えば、「A、B、C、又はそれらの組み合わせ」には、以下の少なくとも1つ:A、B、C、AB、AC、BC、又はABCが含まれ、特定の文脈で順序が重要な場合は、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、又はCABも含まれることを意図する。この例を続けると、BB、AAA、AB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABB等の1つ以上の項目又は用語の繰り返しを含む組み合わせが明示的に含まれる。当業者は、文脈からそうでないことが明らかでない限り、通常、任意の組み合わせにおける項目又は用語の数に制限がないことを理解する。
【0106】
本明細書で使用される、「約(about)」、「付近(around)」、「およそ(approximately)」等の限定されない近似語は、そのように修飾される場合、必ずしも絶対的又は完全であると理解されるものではなく、その状態を存在すると指定する根拠を与えるように十分近いと当業者にみなされる状態を指す。説明が変化し得る程度はどの程度の変更を行うことができるかに依存し、当業者に、修飾された特徴が必要な特性及び修飾されていない特徴の能力をまだ持っていると認識させる。一般的に、前述の記述を条件として、「約」等の近似語によって修飾される本明細書の数値は、表示される値から±1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%又は15%異なってもよい。したがって、「約」という用語は、その値の表示値±5%、好ましくはその値の表示値±2%を意味し得て、最も好ましくは「約」という用語は表示値(±0%)を正確に意味する。
【0107】
本発明の項目
1.被験体において腸内ディスバイオシスを治療する方法のために用いられる分離されたブドウ果皮であって、腸内ディスバイオシスが、酪酸産生細菌の減少を特徴とし、好ましくは、酪酸産生細菌は、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ、F.プラウスニッツイの系統群I(PHGI)、F.プラウスニッツイの系統群II(PHGII)、ロゼブリア・ホミニス、及びサブドリグラニュラム・バリアビレからなる群より選択される、分離されたブドウ果皮。
2.前記被験体が、腸疾患の徴候及び/又は症状を呈さない、項1に記載の分離されたブドウ果皮。
3.前記被験体が腸疾患を有する、項1に記載の分離されたブドウ果皮。
4.被験体において腸疾患を治療する方法のために用いられる分離されたブドウ果皮であって、前記被験体が、酪酸産生細菌の減少を特徴とする腸内ディスバイオシスを有し、好ましくは、酪酸産生細菌は、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ、F.プラウスニッツイの系統群I(PHGI)、F.プラウスニッツイの系統群II(PHGII)、ロゼブリア・ホミニス、及びサブドリグラニュラム・バリアビレからなる群より選択される、分離されたブドウ果皮。
5.前記方法が予防的方法であり、前記被験体が腸疾患の徴候及び/又は症状を呈さない、項4に記載の分離されたブドウ果皮。
6.前記方法が治療方法であり、前記被験体が腸疾患を有する、項4に記載の分離されたブドウ果皮。
7.前記腸疾患が炎症性腸疾患である、項3〜項6のいずれかに記載の分離されたブドウ果皮。
8.前記腸疾患が潰瘍性大腸炎又はクローン病である、項3〜項7のいずれかに記載の分離されたブドウ果皮。
9.前記腸疾患が過敏性腸症候群である、項3〜項6のいずれかに記載の分離されたブドウ果皮。
10.前記被験体がヒト被験体である、項1〜9のいずれかに記載の分離されたブドウ果皮。
11.酪酸産生細菌の減少が、
a.前記被験体の腸内サンプル、好ましくは糞便サンプル中の酪酸産生細菌のレベルを決定することと、
b.前記被験体サンプル中の前記酪酸産生細菌のレベルを参照サンプル中のレベルと比較することと、
を含む方法によって判断され、好ましくは、前記参照サンプルが、腸疾患を有していない被験体又は被験体群のサンプルであり、
前記被験体サンプルのレベルが前記参照サンプルのレベルを下回る場合に酪酸産生細菌の減少がある、
項1〜項10のいずれかに記載の分離されたブドウ果皮。
12.前記酪酸産生細菌のレベルが定量的PCRによって判断される、項11に記載の分離されたブドウ果皮。
13.前記酪酸産生細菌が、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ、F.プラウスニッツイの系統群I(PHGI)、F.プラウスニッツイの系統群II(PHGII)、ロゼブリア・ホミニス、及びサブドリグラニュラム・バリアビレからなる群より選択され、
前記酪酸産生細菌のそれぞれのレベルが、
F.プラウスニッツイのレベルを決定するための配列番号1、配列番号2、配列番号3、及びそれに対して少なくとも85%の同一性を有するポリヌクレオチドからなる群より選択されるポリヌクレオチド、
配列番号4及び/又は配列番号5と、又はそれらに対して少なくとも85%の同一性を有するポリヌクレオチドと任意に組み合わせた、PHGIレベルを決定するための配列番号6からなるポリヌクレオチド又はそれに対して少なくとも85%の同一性を有するポリヌクレオチド、
配列番号4及び/又は配列番号5と、又はそれらに対して少なくとも85%の同一性を有するポリヌクレオチドと任意に組み合わせた、PHGIIレベルを決定するための配列番号7からなるポリヌクレオチド又はそれに対して少なくとも85%の同一性を有するポリヌクレオチド、
ロゼブリア・ホミニスのレベルを決定するための配列番号11、配列番号12、及びそれに対して少なくとも85%の同一性を有するポリヌクレオチドからなる群より選択されるポリヌクレオチド、及び、
サブドリグラニュラム・バリアビレのレベルを決定するための配列番号13、配列番号14、及びそれに対して少なくとも85%の同一性を有するポリヌクレオチドからなる群より選択されるポリヌクレオチド、
の1つ以上の使用を含む方法によって決定される、項11又は項12に記載の分離されたブドウ果皮。
14.ヴィティス・ロトゥンディフォリア以外のブドウ種に由来する、項1〜項13のいずれかに記載の分離されたブドウ果皮。
15.ヴィティス・ビニフェラのブドウ種、好ましくは白ブドウ品種に由来する、項1〜項14のいずれかに記載の分離されたブドウ果皮。
16.20%以下の水分含有量を有することを特徴とする脱水されたブドウ果皮である、項1〜項15のいずれかに記載の分離されたブドウ果皮。
17.項1〜項16のいずれかに記載の分離されたブドウ果皮であって、
a)ブドウ全体を乾燥させることと、
b)ブドウ果皮の分離することと、
c)任意に、b)で得られた生成物を粉砕することと、
d)任意に、c)で得られた生成物を篩にかけ、好ましくは粒径が1mm以下の生成物を得ることと、
を含む方法によって得られる又は得ることができる、ブドウ果皮。
18.工程a)において、前記ブドウ全体を少なくとも2日間、60℃〜62℃の空気循環オーブンで乾燥させる、項17に記載の分離されたブドウ果皮。
19.項1〜項18のいずれかに記載の用途のために用いられる、項1〜項18のいずれかに定義される分離されたブドウ果皮を含む組成物。
20.プレバイオティクス、単一種又は一群のプロバイオティクス種、細菌の二次生成物、細菌/宿主相互作用の分子経路のモジュレーター、及び狭域抗生物質からなる群より選択される化合物を更に含む、項19に記載の組成物。
21.発芽オオムギ食品(GBF)、フルクトオリゴ糖(FOS)、イヌリン、リンゴペクチン、及びイスパキュラ殻種子及び/又は花及び/又は植物の任意の他の部分からなる群より選択されるプレバイオティックス化合物を更に含む、項19又は項20のいずれかに記載の組成物。
22.前記組成物が、酪酸産生細菌、乳酸菌、ビフィズス菌、ストレプトコッカス・サーモフィルス、サッカロマイセス・ブラウディ、バチルス・サブチリス及びE.コリの非病原性種からなる群より選択される単一種又は一群のプロバイオティクス種を更に含み、好ましくは前記酪酸産生細菌がF.プラウスニッツイ、F.プラウスニッツイの系統群I、F.プラウスニッツイの系統群II、R.ホミニス、及びS.バリアビレからなる群より選択される、項19〜項21のいずれかに記載の組成物。
23.経口投与用又は直腸投与用に製剤化されている、項1〜項22のいずれかに記載の組成物。
【0108】
以下の実施例は、本発明を例示する役割を果たすものであり、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0109】
実施例1.−アッセイされた脱水ブドウ果皮の組成の特性評価
脱水されたブドウ果皮組成物は、ブドウのヴィティス・ビニフェラ種の白ブドウ品種(すなわち、ホワイトグルナッシュ(スペイン国カタルーニャ州アールテンポルダー)の全ブドウ果皮を60℃〜62℃の空気循環オーブンで2日間乾燥することと、その後、ブドウ果皮を粉砕することと、1mmの篩を使用してブドウ果皮を篩い分けすることとを含む方法によって得られた。1mm以下の粒径を持つ得られた組成物は、本明細書では「Previpect(商標)」と称される。
【0110】
以下の表は、このブドウ果皮の組成の化学組成分析の結果を提供し、表中、例えば可溶性及び不溶性の繊維と並んで中性糖の含有量を明示する。
【0111】
化学組成分析:
結果:
全糖(グルコースで表される)%(p/p)s.s.n 53.24
方法:Lurff−Schoorl体積法(規制(EC)no 152/2009)
糖のクロマトグラム
方法:HPLC−屈折率(RI)
フルクトース%(p/p)s.s.n 25.8
グルコース%(p/p)s.s.n 6.1
スクロース%(p/p)s.s.n <0.5
マルトース%(p/p)s.s.n <0.5
ラクトース一水和物%(p/p)s.s.n <0.5
可溶性及び不溶性の食物繊維%(p/p)s.s.n
方法:重量分析(AOAC Official Method 993. 19 1(1996)16
th.Edition)
総食物繊維%(p/p)s.s.n 32.16
可溶性食物繊維%(p/p)s.s.n 3.30
不溶性食物繊維%(p/p)s.s.n 28.86
湿度及び揮発性物質(103℃)%(p/p)s.s.n 6.30
方法:重量分析(規制(EC)no 152/2009)
ナトリウム(Na)mg/Kg s.s.n 78
方法:フレーム原子吸光分析(A.A.S.)
硝酸塩(NO
3Na)mg/Kg s.s.n 26
方法:HPLC−UV(DAD)
【0112】
脱水試験
60℃〜62℃の空気循環オーブンで5日間乾燥させた後、ヴィティス・ビニフェラ種(ホワイトグルナッシュ品種)のブドウ果皮のサンプルの水分含有量を決定するため、熱天秤を使用した。結果は、2日後の湿度のパーセンテージが20%未満であり、3日後の湿度のパーセンテージが11%付近で安定していることを示す。結果を以下に示し、
図22に提示する。
【0113】
t(日) 湿度(%) 水分活性(aw)
0 75.53 0.921
1 59.05 0.886
2 18.22 0.242
3 11.55 0.265
4 11.25 0.164
5 11.56 0.151
【0114】
実施例2.−Previpect(商標)とIBD患者及び健康な被験体に由来する糞便サンプルとのin vitroインキュベーション
材料及び方法
1.患者、臨床データ及びサンプリング
糞便サンプルを、13名の健康な被験体(H)及び炎症性腸疾患(IBD)と診断された11名の患者(5名がクローン病(CD)と診断され、6名が潰瘍性大腸炎(UC)と診断された)から採取した。それらのボランティアは、大学病院の消化器内科のJosep Trueta医師(スペイン国ジローナ)によって募集された。
【0115】
IBD患者として募集された被験体は、標準的な臨床的、病理学的及び内視鏡の基準に従って診断され、炎症反応の点でいずれも活動性疾患であった(250μg/G超のカルプロテクチンレベル又は0.5μg/L超のプロテインC反応性(PCR)レベルを伴う)。既知の胃腸障害のない健康な被験体からなる対照群を、臨床基準に従って募集した。
【0116】
2.サンプルの収集、保存、及び保管
被験体はそれぞれ、1つの糞便サンプルを提供した。これらは、大学病院の消化器内科Josep Trueta医師のところで収集された。簡潔に言えば、サンプルを滅菌尿ポット(ドイツ国ニュームブレヒトのSarstedt)に収集し、室温に維持して、寄託後4時間未満の新鮮なものを使用した。全被験体に由来する全てのサンプルをホモジナイズし、直ちに実験に使用した。
【0117】
3.糞便のインキュベーション
上記のように、IBD及び健康な被験体から得られた新鮮なヒトの糞便を用いて糞便発酵を行った。実験室において、糞便サンプルをストマッカー滅菌プラスチックバッグに移し、5:1の発酵バッファー(0.1M KH
2PO
4、0.05mM NaOH;pH 7.0)を加えた後、バッグを慎重に絞って内容物を混合した。混合物又は糞便スラリーをStomacher 400(英国ワージングのSeward)において230rpmで3分間撹拌した。この懸濁液10ミリリットルをフェノールキャップ(phenolic cap)付きホウケイ酸ガラスチューブに移した。以下の各化合物を先に追加しておいた:
陰性対照:発酵バッファー10ml;
Previpect(商標)200:発酵バッファー10mlで希釈したPrevipect(商標)200mg;
Previpect(商標)600:発酵バッファー10mlで希釈したPrevipect(商標)600mg;
ペクチン200:発酵バッファー10mlで希釈したリンゴペクチン(スペイン国マドリードのSolgar)200mg;
Previpect(商標)+ペクチン200:どちらも発酵バッファー10mlで希釈したリンゴペクチン200mg及びPrevipect(商標)200mg。
【0118】
基質の入ったチューブを、脱気するため100℃で10分間、先にオートクレーブした。発酵チューブをしっかりと閉じ、穏やかに撹拌しながら37℃でインキュベートした。
【0119】
72時間後、チューブを滅菌プラスチックチューブに移し、4℃にて4500×gで30分間遠心分離した。上清を別のチューブに移し、4℃で15分間、4500×gで再度遠心分離した。最後に、上清を−20℃の閉じたバイアルに保存した。
【0120】
実験の内部対照として採取した1名の健康な被験体を除き、各ボランティアから1つずつ、独自の糞便サンプルを使用した。しかしながら、実験で報告された変動のため、この被験体を各実験において異なる被験体と見なした。
【0121】
4.DNA抽出
NucleoSpin(商標)Soil Kit(ドイツ国デューレンのMacherey-Nagel GmbH &Co.)を使用して、遠心分離前に発酵チューブからDNAを抽出した。簡潔に説明すると、サンプル250μlをNucleospinビーズチューブに入れた。DNA回収率を向上させるために、700μlのSL1及び150μlのエンハンサー(SX)を各サンプルに添加した。その後、製造業者の指示に従ってDNAを抽出し、精製した。ゲノムDNAを100μlの溶出バッファーで溶出し、使用するまで−20℃で保存した。抽出物のDNA濃度を、Qubit dsDNA High Sensitivity Assay Kitを使用して、Qubit蛍光光度計(米国のInvitrogen detection Technologies)にて決定した。qPCR分析の前に、DNA不含水(free DNA water)でDNA濃度を8ng/μlに調整した。
【0122】
5.短鎖脂肪酸(SCFA)の分析
糞便インキュベーションに由来する上清2ミリリットルを0.22μlの滅菌フィルターに通して新しいチューブに入れた。内部標準として85ミリリットルのクロトン酸(10000ppm)、更に85%リン酸100μlを加えて、サンプル1.5mlごとに非イオン化サンプルに変換した。バイアルをGC−FIDシステム(米国カリフォルニア州Agilent)のDB−FFAPカラム(米国カリフォルニア州Agilent)に入れた。測定された短鎖脂肪酸は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸及びヘキサン酸であった。
【0123】
6.糞便サンプルから抽出されたDNAの定量的リアルタイムPCR(qPCR)
糞便インキュベーションに由来するDNAを定量的リアルタイムPCRにより分析した。より具体的には、本発明者らは、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(Fpra)、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイの系統群I(PhGI)、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイの系統群II(PhGII)、エシェリキア・コリ(Eco)、ロゼブリア・ホミニス(ROS)、B46(サブドリグラニュラム・バリアビレ)、及び真正細菌(EUB)全体の量を評価した。Fpra、PGhI、PGhII、及びEcoの細菌配列をTaqman(商標)プローブベースアッセイを用いる定量的リアルタイムPCRを使用して定量し、一方でROS、B46及びEUBをSYBR(商標)Greenアッセイを用いて定量した。プライマー及びqPCR条件は以下の通りとした。
【0124】
【表1】
【0125】
サンプルを同じプレートにて二連で扱った。データ分析では、二連の定量の平均を使用した。各サンプルの細菌存在量は、総DNA濃度に対して正規化されたCtとして表され、Ct(サイクル閾値)値は、蛍光シグナルが閾値を超えるために必要なq−PCRサイクルの数として定義される。Ctレベルは、サンプル中の標的核酸濃度の対数に反比例する。リアルタイムアッセイは40サイクルの増幅を経る。
【0126】
全ての定量的PCRは、AriaMx PCRシステム(米国カリフォルニア州サンタクララのAgilentによるStratagene)を使用して実行され、AriaMxソフトウェアバージョン1.2(米国カリフォルニア州サンタクララのAgilentによるStratagene)を使用して分析された。
【0127】
7.統計学的分析の方法
データの統計学的な正規分布を、コルモゴロフ−スミルノフ検定により分析した。データの統計学的な正規分布があるかどうかに応じて、以下の群を比較するために適切な統計学的検定を使用した。通常のt検定を使用して、正規分布した群を比較したのに対して、マン−ホイットニーノンパラメトリック検定を使用して、正規分布のない群を比較した。
【0128】
結果
Previpect(商標)の添加によって引き起こされる腸内微生物叢の改善の可能性を判断するため、これらの患者の真正細菌、B46、ロゼブリア・ホミニス、F.プラウスニッツイ、系統群I、系統群II及びE.コリの存在量を5つの異なる基質とのインキュベーション後に調査した。細菌種の定量結果を
図1A〜
図6Cに示す。Previpect(商標)の添加後に短鎖脂肪酸(SCFA)を産生することができる微生物叢の代謝活性の予想される増加を評価するため、酪酸、ヘキサン酸、イソ酪酸、イソ吉草酸、プロピオン酸、吉草酸、及び酢酸等のSCFAの濃度も定量した。SCFAの定量結果を
図7A〜
図13Cに示す。
【0129】
健康な(H)被験体、クローン病(CD)患者及び潰瘍性大腸炎(UC)患者の3つの異なるサンプル群において5つの処理の間で統計学的比較を行った。データが正規分布を示さなかったため、処理を比較するためノンパラメトリック検定であるマン−ホイットニー検定を使用した。
【0130】
統計学的な比較の結果
健康な(H)被験体
【0131】
【表2】
【0132】
陰性対照(基質なし)をPrevipect(商標)200mg及びPrevipect(商標)600mgと比較すると、B46、ロゼブリア・ホミニス、F.プラウスニッツイ、特にF.プラウスニッツイの系統群II等の酪酸産生種の全般的な増加が観察される。さらに、Previpect(商標)600mgをペクチン200mg(すなわち、リンゴペクチン)と比較すると、ロゼブリア・ホミニスの存在量の増加が観察される。
【0133】
【表3】
【0134】
真正細菌に対する相対レベルを決定する場合、(陰性対照に対して)Previpect(商標)200mg及びPrevipect(商標)600mgにて観察されたロゼブリア・ホミニス及び系統群IIの存在量の統計学的に有意な増加は維持される。同様に、真正細菌に対する相対レベルを決定する場合、Previpect(商標)600mgをペクチン200mgと比較したときに観察されたロゼブリア・ホミニスの存在量の増加も維持される。
【0135】
【表4】
【0136】
Previpect(商標)は代謝的に豊富であることがわかっている。特に、Previpect(商標)200mg及びPrevipect(商標)600mgを陰性対照と比較すると、酪酸及び酢酸の濃度の増加が観察された。さらに、Previpect(商標)600mgをペクチン200mg(すなわち、リンゴペクチン)と比較すると、酪酸及び酢酸の産生の統計学的に有意な増加が観察された。
【0137】
酪酸濃度の増加は、結腸細胞により良好な環境を提供することが報告されている(Benus R. et al.(非特許文献13))。同様に、酢酸濃度の増加も、クロストリジウムグループXIV等の腸内微生物叢に見られる他のクロストリジウム種の栄養素濃度が高くなるため、有益である。クロストリジウムグループXIVは、腸内細菌叢の全細菌のかなりの部分(10%〜40%)を占めると報告されている。クロストリジウムは、他の常在微生物集団と相互作用するだけでなく、特定の必須機能を提供することにより、腸のホメオスタシスに重要な役割を果たす(Lopetuso et al., "Commensal Clostridia: leading players in the maintenance of gut homeostasis" Gut Pathogen 2013, 5:23)。
【0138】
潰瘍性大腸炎(UC)患者
【0139】
【表5】
【0140】
Previpect(商標)200mgを陰性対照と比較すると、B46、F.プラウスニッツイ、特にUC患者では欠乏すると記載されているF.プラウスニッツイの系統群II等の特定の指標を含む微生物叢の存在量の増加が観察される。
【0141】
【表6】
【0142】
陰性対照と比較したPrevipect(商標)600mgについて真正細菌の存在量に対する存在量の値が表される場合、系統群IIの統計学的に有意な増加が維持される。
【0143】
【表7】
【0144】
Previpect(商標)は代謝的に豊富であることがわかっている。特に、Previpect(商標)200mg及びPrevipect(商標)600mgを陰性対照と比較すると、酪酸及び酢酸の濃度の増加が観察された。さらに、Previpect(商標)600をペクチン200と比較すると、酢酸の産生の増加が観察された。
【0145】
クローン病(CD)患者
【0146】
【表8】
【0147】
Previpect(商標)200mgを陰性対照と比較すると、ロゼブリア及びF.プラウスニッツイ等の特定の種の増加が観察される。
【0148】
【表9】
【0149】
存在量のレベルが真正細菌の存在量に対して表される場合、異なる基質間で統計学的に有意な差は観察されなかった。
【0150】
【表10】
【0151】
Previpect(商標)は代謝的に豊富であることがわかっている。特に、Previpect(商標)200mg及びPrevipect(商標)600mgを陰性対照と比較すると、酪酸及び酢酸の濃度の増加が観察された。
【0152】
実施例3−Previpect(商標)とIBS患者及び健康な被験体に由来する糞便サンプルとのin vitroインキュベーション
材料及び方法
1.患者、臨床データ及びサンプリング
糞便サンプルを、3名の健康な被験体(H)及び過敏性腸症候群(IBS)と診断された3名の患者から得た。それらのボランティアは、大学病院の消化器内科のJosep Trueta医師(スペイン国ジローナ)によって募集された。
【0153】
IBS患者として募集された被験体はIBSのローマIV基準に従って診断され、該基準は、下記:
1.排便に関連
2.糞便の頻度の変化に関連
3.糞便の形態(粘稠度)の変化に関連
の2つ以上に関連する少なくとも過去3ヶ月間に平均で週に少なくとも1日の再発性腹痛であり、症状は少なくとも6ヶ月前に開始していなければならない(Lacy et al., Gastroenterology 2016, 150(6), 1393-1407)。
【0154】
既知の胃腸障害のない健康な被験体からなる対照群を、臨床基準に従って募集した。
【0155】
2.サンプルの収集、保存、及び保管
被験体はそれぞれ、1つの糞便サンプルを提供した。これらは、大学病院の消化器内科Josep Trueta医師のところで収集された。簡潔に言えば、サンプルを滅菌尿ポット(ドイツ国ニュームブレヒトのSarstedt)に収集し、室温に維持して、寄託後4時間未満の新鮮なものを使用した。全被験体の全てのサンプルをホモジナイズし、直ちに実験に使用した。
【0156】
3.糞便のインキュベーション
上記のように、IBS及び健康な被験体から得られた新鮮なヒトの糞便を用いて糞便発酵を行った。実験室において、糞便サンプルをストマッカー滅菌プラスチックバッグに移し、5:1の発酵バッファー(0.1M KH
2PO
4、0.05mM NaOH;pH 7.0)を加えた後、バッグを慎重に絞って内容物を混合した。混合物又は糞便スラリーをStomacher 400(英国ワージングのSeward)において230rpmで3分間撹拌した。この懸濁液10ミリリットルをフェノールキャップ付きホウケイ酸ガラスチューブに移した。以下の各化合物を先に追加しておいた:
陰性対照:発酵バッファー10ml;
Previpect(商標)200:発酵バッファー10mlで希釈したPrevipect(商標)200mg;
プランタゴ・オバタ200:発酵バッファー10mlで希釈したプランタゴ・オバタ(スペイン国のCinfa)200mg;
ペクチン200:十分なサンプルが提供された場合、発酵バッファー10mlで希釈したリンゴペクチン(スペイン国マドリードのSolgar)200mg。
【0157】
基質の入ったチューブを、脱気するため100℃で10分間、先にオートクレーブした。発酵チューブをしっかりと閉じ、穏やかに撹拌しながら37℃でインキュベートした。
【0158】
72時間後、チューブを滅菌プラスチックチューブに移した後、4℃で30分間、4500×gで遠心分離した。上清を別のチューブに移し、4℃で15分間、4500×gで再度遠心分離した。最後に、上清を−20℃の閉じたバイアルに保存した。
【0159】
各患者から1つずつ、独自の糞便サンプルを使用した。健康な被験体に由来する全てのサンプルは、同じ人によって提供された。しかしながら、実験で報告された変動のため、この被験体を各実験において異なる被験体とみなした。
【0160】
4.DNA抽出
NucleoSpin(商標)Soil Kit(ドイツ国デューレンのMacherey-Nagel GmbH &Co.)を使用して、遠心分離前に発酵チューブからDNAを抽出した。簡潔に説明すると、サンプル250μlをNucleospinビーズチューブに入れた。DNA回収率を向上させるために、700μlのSL1及び150μlのエンハンサー(SX)を各サンプルに添加した。その後、製造業者の指示に従ってDNAを抽出し、精製した。ゲノムDNAを100μlの溶出バッファーで溶出し、使用するまで−20℃で保存した。抽出物のDNA濃度を、Qubit dsDNA High Sensitivity Assay Kitを使用して、Qubit蛍光光度計(米国のInvitrogen detection Technologies)にて決定した。qPCR分析の前に、DNA不含水でDNA濃度を8ng/μlに調整した。
【0161】
5.糞便サンプルから抽出されたDNAの定量的リアルタイムPCR(qPCR)
糞便インキュベーションに由来するDNAを定量的リアルタイムPCRにより分析した。より具体的には、本発明者らは、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(Fpra)、F.プラウスニッツイの系統群I(PhGI)、F.プラウスニッツイの系統群II(PhGII)、エシェリキア・コリ(Eco)、ロゼブリア・ホミニス(ROS)、B46(サブドリグラニュラム・バリアビレ)、アッカーマンシア・ムシニフィラ(Akkermansia muciniphila)(AKK)、及び真正細菌(EUB)全体の量を評価した。Fpra、PGhI、PGhII、及びEcoの細菌配列をTaqman(商標)プローブベースアッセイを用いる定量的リアルタイムPCRを使用して定量し、一方でROS、B46及びEUBをSYBR(商標)Greenアッセイを用いて定量した。プライマー及びqPCR条件は以下の通りとした。
【0162】
【表11】
【0163】
サンプルを同じプレートにて二連で扱った。データ分析では、二連の定量の平均を使用した。各サンプルの細菌存在量は、総DNA濃度に対して正規化されたCtとして表され、Ct(サイクル閾値)値は、蛍光シグナルが閾値を超えるために必要なq−PCRサイクルの数として定義される。Ctレベルは、サンプル中の標的核酸濃度の対数に反比例する。リアルタイムアッセイは40サイクルの増幅を経る。
【0164】
全ての定量的PCRは、AriaMx PCRシステム(米国カリフォルニア州サンタクララのAgilentによるStratagene)を使用して実行され、AriaMxソフトウェアバージョン1.2(米国カリフォルニア州サンタクララのAgilentによるStratagene)を使用して分析された。
【0165】
6.統計学的分析の方法
データの統計学的な正規分布を、コルモゴロフ−スミルノフ検定により分析した。データの統計学的な正規分布があるかどうかに応じて、以下の群を比較するために適切な統計学的検定を使用した。通常のt検定を使用して、正規分布した群を比較したのに対して、マン−ホイットニーノンパラメトリック検定を使用して、正規分布のない群を比較した。
【0166】
結果
Previpect(商標)の添加によって引き起こされる腸内微生物叢の改善の可能性を判断するため、これらの患者の真正細菌、B46、ロゼブリア・ホミニス、A.ムシニフィラ、F.プラウスニッツイ、系統群I、系統群II及びE.コリの存在量を5つの異なる基質とのインキュベーション後に調査した。細菌種の定量結果を
図14A〜
図21Bに示す。アッカーマンシア・ムシニフィラはムチン重合体を分解すると説明されている粘液栄養(muconutritive)細菌である(Derrien et al., International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology (2004), 54, 1469-1476)。
【0167】
統計学的比較は、健康な(H)被験体及び過敏性腸症候群(IBS)患者の2つの異なるサンプル群において4つの処理の間で行われた。データが正規分布を示さなかったため、処理を比較するためノンパラメトリック検定であるマン−ホイットニー検定を使用した。
【0168】
統計学的な比較の結果
健康な(H)被験体
【0169】
【表12】
【0170】
陰性対照(基質なし)をPrevipect(商標)200mg及びプランタゴ・オバタ200mgと比較すると、酪酸産生種であるロゼブリア・ホミニスの増加が観察される。Previpect(商標)200mgをペクチン200mgと比較すると、R.ホミニスの減少が観察される。さらに、陰性対照(基質なし)をPrevipect(商標)200mg、プランタゴ・オバタ200mg及びペクチン200mg(すなわち、リンゴペクチン)と比較すると、アッカーマンシア・ムシニフィラの存在量の減少が観察される。
【0171】
【表13】
【0172】
真正細菌に対する相対レベルを決定する場合、Previpect(商標)200mgにて観察されたロゼブリア・ホミニスの存在量の統計学的に有意な増加(陰性対照に対する)及びPrevipect200mgに対するペクチン200mgでのR.ホミニスの存在量の有意な減少は維持される。同様に、真正細菌に対する相対レベルを決定する場合、陰性対照をPrevipect(商標)200mg、プランタゴ・オバタ200mg、及びペクチン200mgと比較したときに観察されたアッカーマンシア・ムシニフィラの存在量の減少も維持される。さらに、真正細菌に対する相対レベルを決定する場合、陰性対照をPrevipect(商標)200mgと比較すると、E.コリは減少する。
【0173】
過敏性腸症候群(IBS)患者
【0174】
【表14】
【0175】
Previpect(商標)200mg、プランタゴ・オバタ200mg、及びペクチン200mgを陰性対照と比較すると、B46、F.プラウスニッツイ、及びR.ホミニス等の酪酸産生菌を含む微生物叢の存在量の増加が観察される。さらに、Previpect(商標)200mgをプランタゴ・オバタ200mgと比較すると、A.ムシニフィラの減少が観察される。
【0176】
【表15】
【0177】
陰性対照と比較した任意の処理について真正細菌の存在量に対する存在量の値が表される場合、観察された統計学的に有意な増加は維持されない。真正細菌に対する相対レベルを決定する場合、プランタゴ・オバタ200mg及びペクチン200mgを陰性対照と比較すると、A.ムシニフィラの存在量の減少が観察される。Previpect(商標)200mgを陰性対照と比較した場合、A.ムシニフィラの存在量の統計学的に有意な減少は観察されない。さらに、Previpect(商標)200mgをプランタゴ・オバタ200mgと比較した場合にもA.ムシニフィラの減少が観察される。
【0178】
実施例4.−Previpect(商標)と糞便サンプルとのin vitroインキュベーション−分析された異なる被験体のディスバイオシス指数
材料及び方法
健康な被験体及び腸障害患者の結腸に存在する微生物叢に対するPrevipect(商標)の効果を確認するため、2つの異なる実験を行った。使用した材料及び方法は両方の実験で同じであった。分析された被験体の初期のディスバイオシス、またサンプルのインキュベーション後の種々の基質の効果を観察するため、3つの異なる指数を計算した。
【0179】
患者、臨床データ及びサンプリング
糞便サンプルは、16名の健康な被験体(H)及び腸障害と診断された14名の患者から得られた。11名の患者が炎症性腸疾患(IBD)と診断され、5名がクローン病(CD)と診断され、6名が潰瘍性大腸炎(UC)と診断され、3名の患者が過敏性腸症候群(IBS)と診断された。それらのボランティアは、大学病院の消化器内科のJosep Trueta医師(スペイン国ジローナ)によって募集された。
【0180】
IBD患者として募集された被験体は、標準的な臨床的、病理学的及び内視鏡の基準に従って診断され、炎症反応の点でいずれも活動性疾患であった(250μg/G超のカルプロテクチンレベル又は0.5μg/L超のプロテインC反応性(PCR)レベルを伴う)。既知の胃腸障害のない健康な被験体からなる対照群を、臨床基準に従って募集した。
【0181】
IBS患者として募集された被験体はIBSのローマIV基準に従って診断され、該基準は、「下記:
1.排便に関連
2.糞便の頻度の変化に関連
3.糞便の形態(粘稠度)の変化に関連
の2つ以上に関連する少なくとも過去3ヶ月間に平均で週に少なくとも1日の再発性腹痛である。症状は少なくとも6ヶ月前に開始していなければならない。」
【0182】
既知の胃腸障害のない健康な被験体からなる対照群は、臨床基準に従って募集された。
【0183】
指数の計算
3つの異なる指数を計算した。
フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ/エシェリキア・コリ比(FE指数):値が低いほど、被験体のディスバイオシスの程度が高くなる。
酪酸産生細菌/炎症性細菌比(BP指数):酪酸産生細菌は、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイPHGI、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイPHGII、ロゼブリア・ホミニス及びサブドリグラニュラム・バリアビレの総存在量の合計によって計算され、炎症性細菌はエシェリキア・コリの総存在量である。値が低いほど、被験体のディスバイオシスの程度は高くなる。
酪酸塩/酪酸産生細菌比(BB指数):酪酸産生細菌は、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイPHGI、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイPHGII、ロゼブリア・ホミニス及びサブドリグラニュラム・バリアビレの総存在量の合計によって計算され、酪酸塩は発酵チューブ内で得られた酪酸塩の濃度である。値が低いほど、酪酸産生細菌の活性は低くなる。
【0184】
3つの指数の値が大きいことが推奨される。
【0185】
サンプルの収集、保存、及び保管に関するプロトコル:糞便インキュベーション、DNA抽出、短鎖脂肪酸(SCFA)の分析、及び糞便サンプルから抽出されたDNAの定量的リアルタイムPCR(qPCR)を本明細書の上記の通り実施した。
【0186】
結果
実験4.1:Previpect(商標)と、健康な被験体、潰瘍性大腸炎患者、及びクローン病患者に由来する糞便サンプルとのin vitroインキュベーション
潰瘍性大腸炎患者及びクローン病患者に由来する糞便サンプルでPrevipect(商標)を比較するため使用した化合物は以下の通りであった:
初期サンプル:インキュベーション処理をしていない初期状態のサンプル;
陰性対照:基質を含まない発酵バッファー10ml;
Previpect(商標)200:発酵バッファー10mlで希釈したPrevipect(商標)200mg;
Previpect(商標)600:発酵バッファー10mlで希釈したPrevipect(商標)600mg;
ペクチン200:発酵バッファー10mlで希釈したリンゴペクチン(スペイン国マドリードのSolgar)200mg;
Previpect(商標)+ペクチン200:どちらも発酵バッファー10mlで希釈したリンゴペクチン200mg及びPrevipect(商標)200mg。
【0187】
【表16】
【0188】
健康な被験体及び潰瘍性大腸炎におけるいずれかの基質のインキュベーション中にFE指数が増加したことを観察することができ、これは、ディスバイオシスの程度が修正されたことを意味する。しかしながら、クローン病患者では、全ての基質とのインキュベーション後にFE指数が低下した。使用した基質間の有意差を観察するため、クラスカル−ウォリス統計検定を行った。健康な被験体では、FE指数を分析すると有意差が見られたが(p=0.035)、潰瘍性大腸炎患者又はクローン病患者で観察された差は有意ではなかった(p=0.110及びp=0.597)。
【0189】
【表17】
【0190】
陰性対照と比較して、糞便サンプルのインキュベーションに対してペクチン、及びPrevipectとペクチンとの組み合わせの両方を使用した場合、健康な被験体で有意差が見られた。また、潰瘍性大腸炎患者にも有意差が見られた。ペクチンインキュベーションは、陰性対照及びPrevipect(商標)200と比較した場合、より良好な結果を示した。Previpect(商標)とインキュベートしたサンプルを他のサンプルと比較した場合、クローン病の患者には有意差は見られなかった。
【0191】
【表18】
【0192】
健康な被験体、潰瘍性大腸炎患者及びクローン病患者におけるいずれかの基質のインキュベーション中にBP指数が増加したことを観察することができる。健康な被験体では、Previpectは、最も高い値を示し、ディスバイオシスの程度を修正する能力がより高い基質であった。潰瘍性大腸炎の場合、Previpect及びペクチンは、ディスバイオシスの程度の修正に関して同様の能力を示した。しかしながら、クローン病患者では、Previpectインキュベーションによって得られたBP指数が最も低かった。使用した基質間の有意差を観察するため、クラスカル−ウォリス統計検定を行った。健康な被験体では、BP指数を分析すると有意差が見られたが(p=0.006)、潰瘍性大腸炎患者又はクローン病患者で観察された差は有意ではなかった(それぞれp=0.277及びp=0.837)。
【0193】
【表19】
【0194】
陰性対照と比較すると、糞便サンプルをPrevipect、ペクチンと組み合わせたPrevipect、及びペクチンとインキュベートした場合、健康な被験体には有意差が見られた。また、Previpectとペクチンとの組み合わせのインキュベーションと比較した場合、Previpectはより良好な結果を示すことが観察された。Previpect(商標)とインキュベートしたサンプルを他のサンプルと比較した場合、クローン病の患者には有意差は見られなかった。
【0195】
【表20】
【0196】
健康な被験体、潰瘍性大腸炎患者(ペクチンを除く)及びクローン病患者におけるいずれかの基質のインキュベーション中にBB指数が増加したことを観察することができ、これは、サンプル中の酪酸産生細菌の生産性が基質によって向上したことを意味する。全ての被験体(健康な被験体、潰瘍性大腸炎患者及びクローン病患者)において、Previpectインキュベーション後にBB指数の最高値が見られた。使用した基質間の有意差を観察するため、クラスカル−ウォリス統計検定を行った。潰瘍性大腸炎患者では、BB指数を分析すると有意差が見られたが(p=0.023)、健康な被験体又はクローン病患者で観察された差は有意ではなかった(それぞれp=0.253及びp=0.630)。
【0197】
【表21】
【0198】
Previpectを糞便サンプルにおいてインキュベートし、陰性対照と比較すると、健康な被験体で有意差が見られた。また、糞便サンプルをPrevipectとインキュベートし、ペクチン及び陰性対照と比較すると、潰瘍性大腸炎患者で有意差が見られた。Previpectとのインキュベーションでより高い結果が得られた。
【0199】
結論:Previpectは、健康な被験体及び潰瘍性大腸炎患者のディスバイオシスの程度(指数BP)を低下させることができる。さらに、Previpectは、BB指数を増加させ、結腸での酪酸塩産生を増強する能力がより高い分析された基質である。
【0200】
実験4.2:Previpect(商標)と健康な被験体及び過敏性腸症候群患者に由来する糞便サンプルとのin vitroインキュベーション
過敏性腸症候群患者に由来する糞便サンプル中のPrevipect(商標)を比較するため使用した化合物は以下の通りであった:
陰性対照:発酵バッファー10ml;
Previpect(商標)200:発酵バッファー10mlで希釈したPrevipect(商標)200mg;
プランタゴ・オバタ200:発酵バッファー10mlで希釈したプランタゴ・オバタ(スペイン国のCinfa)200mg;
ペクチン200:発酵バッファー10mlで希釈したペクチン200mg。
【0201】
【表22】
【0202】
健康な被験体におけるいずれかの基質のインキュベーション中にFE指数が増加し、Previpectインキュベーション後に最高値を示したことを観察することができる。過敏性腸症候群患者では、プランタゴ・オバタインキュベーションでのみFE指数値のみが高かった。使用した基質間の有意差を観察するため、クラスカル−ウォリス統計検定を行った。しかしながら、FE指数を分析すると、健康な被験体又は過敏性腸症候群患者のいずれにも有意差は見られなかったものの(それぞれp=0.492及びp=0.282)、健康な被験体又はクローン病患者で観察された差は有意ではなかった(p>0.05)。
【0203】
【表23】
【0204】
糞便サンプルをPrevipectとインキュベートし、ペクチンと比較すると、過敏性腸症候群患者で有意差が見られた。ペクチンとのインキュベーションでより高い結果が得られた。
【0205】
【表24】
【0206】
健康な被験体におけるいずれかの基質、及び過敏性腸症候群患者におけるほぼ全ての基質のインキュベーション中に、BP指数が増加したことを観察することができる。全ての処理のうち、健康な被験体ではPrevipect処理が最高のBP指数値を示した。しかしながら、過敏性腸症候群の患者では、PrevipectはBP指数の最低値を示した。使用した基質間の有意差を観察するため、クラスカル−ウォリス統計検定を行った。BP指数を分析すると健康な被験体又は過敏性腸症候群患者のいずれについても有意差は見られなかった(それぞれp=0.587及びp=0.576)。
【0207】
【表25】
【0208】
糞便サンプルをPrevipectとインキュベートした場合、健康な被験体又は過敏性腸症候群患者に有意な差は見られなかった。
【0209】
【表26】
【0210】
健康な被験体についてPrevipect及びプランタゴ・オバタのインキュベーション中にBB指数が増加したことを観察することができ、これはサンプル中の酪酸産生細菌の生産性が向上したことを意味する。さらに、ペクチンには酪酸生産性を高める能力がないようであった。過敏性腸症候群の患者にとって、プランタゴ・オバタは、酪酸塩産生を増加させる能力を持つ唯一の基質であった。使用した基質間の有意差を観察するため、クラスカル−ウォリス統計検定を行った。健康な被験体で有意差が観察されたが(p=0.002)、過敏性腸症候群患者のBB指数を分析した際には有意な差は見られなかった(p=0.120)。
【0211】
【表27】
【0212】
糞便サンプルをPrevipectとインキュベートし、プランタゴ・オバタと比較すると、健康な被験体において有意差がみられた。しかしながら、プランタゴ・オバタとのインキュベーションでより高い結果が得られた。
【0213】
結論:Previpectは、ペクチンと同様に、健康な被験体で酪酸産生種及びその生産性を選択的に高めることができる。過敏性腸症候群の患者では、Previpectは生産性についてはペクチンと同様の効果を示したが、指数になんらの重要な変更もなかった。