特許第6898746号(P6898746)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6898746三次元積層造形装置およびその制御方法並びにビーム走査パターン生成プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6898746
(24)【登録日】2021年6月15日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】三次元積層造形装置およびその制御方法並びにビーム走査パターン生成プログラム
(51)【国際特許分類】
   B22F 12/70 20210101AFI20210628BHJP
   B22F 12/49 20210101ALI20210628BHJP
   B22F 10/322 20210101ALI20210628BHJP
   B22F 10/366 20210101ALI20210628BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20210628BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20210628BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20210628BHJP
   B23K 26/34 20140101ALI20210628BHJP
   B23K 26/082 20140101ALI20210628BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20210628BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20210628BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20210628BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALN20210628BHJP
【FI】
   B22F12/70
   B22F12/49
   B22F10/322
   B22F10/366
   B33Y30/00
   B33Y50/02
   B23K26/21 Z
   B23K26/34
   B23K26/082
   B23K26/00 M
   B29C64/153
   B29C64/393
   !B33Y10/00
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-23510(P2017-23510)
(22)【出願日】2017年2月10日
(65)【公開番号】特開2018-127710(P2018-127710A)
(43)【公開日】2018年8月16日
【審査請求日】2020年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】原口 英剛
(72)【発明者】
【氏名】谷川 秀次
(72)【発明者】
【氏名】北村 仁
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏介
(72)【発明者】
【氏名】種池 正樹
(72)【発明者】
【氏名】大原 利信
【審査官】 池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−277878(JP,A)
【文献】 特開2014−201068(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/034393(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 12/70
B22F 10/322
B22F 10/366
B22F 12/49
B23K 26/00
B23K 26/082
B23K 26/21
B23K 26/34
B29C 64/153
B29C 64/393
B33Y 30/00
B33Y 50/02
B33Y 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレートと、
前記ベースプレート上に形成された粉末層を選択的に固化するように前記粉末層にビームを照射するためのビーム照射ユニットと、
前記粉末層上にガス流れを形成するためのガス流れ形成ユニットと、
前記ビーム照射ユニットを制御するコントローラと、
を備え、
前記ビーム照射ユニットは、前記ビームを走査するためのスキャナを含み、
前記スキャナは、前記ガス流れの流れ方向における前記ベースプレートの中央位置に対して前記流れ方向の上流側にオフセットして配置され
前記コントローラは、前記ベースプレート上の造形可能領域の少なくとも一部において、前記ビーム照射ユニットからの前記ビームの照射位置を起点として前記ガス流れの下流側に延ばした基準線の両側の禁止角度範囲を除く許容角度範囲内に前記ビームの走査方向を制限するよう構成され、
前記造形可能領域は、
前記スキャナよりも前記ガス流れの下流側に位置する第1領域と、
前記スキャナよりも前記ガス流れの上流側に位置する第2領域と、
を含み、
前記コントローラは、
前記第1領域への前記ビームの照射時、前記許容角度範囲内への前記ビームの走査方向の制限を解除し、
前記第2領域への前記ビームの照射時、前記許容角度範囲内に前記ビームの走査方向を制限するよう構成されたことを特徴とする三次元積層造形装置。
【請求項2】
前記禁止角度範囲は、前記基準線の両側にそれぞれ少なくとも20度の角度範囲を含むことを特徴とする請求項に記載の三次元積層造形装置。
【請求項3】
ベースプレートと、
ビームを走査するためのスキャナを含み、前記ベースプレート上に形成された粉末層を選択的に固化するように前記粉末層に前記ビームを照射するためのビーム照射ユニットと、
第1方向と、前記第1方向とは少なくとも反対側に向かう方向成分を有する第2方向と、の間で切り替え可能にガス流れを前記粉末層上に形成するように構成されたガス流れ形成ユニットと、
前記ガス流れ形成ユニットを制御するコントローラと、
チャンバと、
を備え、
前記コントローラは、
前記ベースプレート上の造形可能領域のうち、前記スキャナよりも前記第1方向の下流側に位置する第1領域への前記ビームの照射時、前記第1方向の前記ガス流れを前記粉末層上に形成し、
前記造形可能領域のうち、前記スキャナよりも前記第1方向の上流側に位置する第2領域への前記ビームの照射時、前記第2方向の前記ガス流れを前記粉末層上に形成するように、
前記ガス流れ形成ユニットを制御するよう構成された
前記ガス流れ形成ユニットは、ポンプ、第1流路、第2流路、第3流路、第4流路、第1バルブ、第2バルブ、第3バルブ及び第4バルブを備え、
前記第1流路は、前記ポンプと前記チャンバの一端側とを接続しており、前記第1流路に前記第1バルブが設けられており、
前記第2流路は、前記ポンプと前記チャンバの他端側とを接続しており、前記第2流路に前記第2バルブが設けられており、
前記第3流路は、前記第1流路における前記ポンプと前記第1バルブとの間から分岐して、前記第2流路における前記チャンバと前記第2バルブとの間に接続しており、
前記第4流路は、前記第1流路における前記第1バルブと前記チャンバとの間から分岐して前記第2流路における前記第2バルブと前記ポンプとの間に接続していることを特徴とする三次元積層造形装置。
【請求項4】
前記第2方向は、前記第1方向に対して、160度以上200度以下の角度をなすことを特徴とする請求項に記載の三次元積層造形装置。
【請求項5】
前記粉末層上における前記ガス流れの方向を検出するための流れ方向センサを更に備え、
前記コントローラは、前記ガス流れが前記第2方向に切り替わったことを示す検出結果を前記流れ方向センサから受け取った後、前記第2領域への前記ビームの照射を開始させるように前記ビーム照射ユニットを制御するよう構成されたことを特徴とする請求項又はに記載の三次元積層造形装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記ガス流れ形成ユニットによって前記粉末層上に前記第1方向のガス流れを形成する場合、前記第1バルブ及び前記第2バルブを開状態に制御するとともに前記第3バルブ及び前記第4バルブを閉状態に制御し、前記ガス流れ形成ユニットによって前記第2方向のガス流れを形成する場合、前記第1バルブ及び前記第2バルブを閉状態に制御するとともに前記第3バルブ及び前記第4バルブを開状態に制御するように構成された、請求項3乃至5の何れか1項に記載の三次元積層造形装置。
【請求項7】
三次元積層造形装置の制御方法であって、
ベースプレート上に形成された粉末層上にガス流れを形成するステップと、
前記ベースプレート上に形成された前記粉末層を選択的に固化するように前記粉末層にビームを照射するステップと、
を備え、
前記粉末層にビームを照射するステップでは、前記ベースプレート上の造形可能領域の少なくとも一部において、前記ビームの照射位置を起点として前記粉末層上のガス流れの下流側に延ばした基準線の両側の禁止角度範囲を除く許容角度範囲内に前記ビームの走査方向を制限し、
前記造形可能領域は、
スキャナよりも前記ガス流れの下流側に位置する第1領域と、
前記スキャナよりも前記ガス流れの上流側に位置する第2領域と、
を含み、
前記粉末層にビームを照射するステップでは、
前記第1領域への前記ビームの照射時、前記許容角度範囲内への前記ビームの走査方向の制限を解除し、
前記第2領域への前記ビームの照射時、前記許容角度範囲内に前記ビームの走査方向を制限することを特徴とする、三次元積層造形装置の制御方法。
【請求項8】
造形物の三次元形状データからスライスデータを生成する処理と、
生成された前記スライスデータに基づいて、ベースプレート上の造形可能領域の少なくとも一部において、ビームの照射位置を起点としてガス流れ形成ユニットによるガス流れの下流側に延ばした基準線の両側の禁止角度範囲を除く許容角度範囲内に前記ビームの走査方向を制限するようにビーム走査パターンを生成する処理と、
をコンピュータに実行させる三次元積層造形装置のビーム走査パターン生成プログラムであって、
前記造形可能領域は、
スキャナよりも前記ガス流れの下流側に位置する第1領域と、
前記スキャナよりも前記ガス流れの上流側に位置する第2領域と、
を含み、
前記ビーム走査パターンを生成する処理では、
前記第1領域への前記ビームの照射時、前記許容角度範囲内への前記ビームの走査方向の制限を解除し、
前記第2領域への前記ビームの照射時、前記許容角度範囲内に前記ビームの走査方向を制限するように前記ビーム走査パターンを生成する、三次元積層造形装置のビーム走査パターン生成プログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、三次元積層造形装置およびその制御方法並びにビーム走査パターン生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、粉末層にビーム(例えばレーザビーム又は電子ビーム)を照射して粉末層を選択的に固化する三次元積層造形方法が知られている。この種の三次元積層造形方法では、粉末層にビームを照射して粉末を焼結又は溶融により固化させる際に、ヒュームと呼ばれる煙状の物質がビーム照射位置から発生する。ヒュームは、粉末層が金属粉末からなる場合に顕著に発生するが、粉末層が樹脂粉末等からなる場合にも発生する。
【0003】
ヒュームがビームの経路を遮ると、ビームのエネルギー量が低下したり、ビーム形状が変形することがある。また、ビームのエネルギー量が低下すると、造形品質に影響し、強度不足や形状精度の低下生じる恐れがある。
【0004】
特許文献1には、ヒュームによるビームの遮りを防止するために、チャンバ内に入射したビームの経路から離れた位置に局所的なガス流れを形成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5653358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されるようにビームの経路から離れた位置に局所的なガス流れを形成したとしても、ビーム照射位置の近傍に存する発生直後のヒュームによってビームの経路が遮られると、ビームのエネルギー量が低下したり、ビーム形状が変形することがある。このため、依然として、ヒュームに起因して造形品質の低下が生じる恐れがあった。
【0007】
本発明の少なくとも一実施形態は、上述したような従来の課題に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、ヒュームに起因する造形品質の低下を抑制可能な三次元積層造形装置及びその制御方法並びにビーム走査パターン生成プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る三次元積層造形装置は、ベースプレートと、前記ベースプレート上に形成された粉末層を選択的に固化するように前記粉末層にビームを照射するためのビーム照射ユニットと、前記粉末層上にガス流れを形成するためのガス流れ形成ユニットと、前記ビーム照射ユニットを制御するコントローラと、
を備え、前記コントローラは、前記ベースプレート上の造形可能領域の少なくとも一部において、前記ビーム照射ユニットからの前記ビームの照射位置を起点として前記ガス流れの下流側に延ばした基準線の両側の禁止角度範囲を除く許容角度範囲内に前記ビームの走査方向を制限するよう構成される。
【0009】
上記(1)に記載の三次元積層造形装置によれば、ビームの照射位置から発生したヒュームは、基準線に沿ってガス流れの下流側へ流れるため、許容角度範囲内の走査方向へ走査されたビームがヒュームに遮られにくくなり(巻き込まれにくくなり)、ビームに対するヒュームの影響を低減することができる。これにより、ヒュームに起因する造形品質の低下を抑制することができる。
【0010】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の三次元積層造形装置において、前記禁止角度範囲は、前記基準線の両側にそれぞれ少なくとも20度の角度範囲を含む。
【0011】
上記(2)に記載の三次元積層造形装置によれば、禁止角度範囲が基準線を挟んで40度以上のある程度大きい角度範囲に設定されるため、許容角度範囲内の走査方向へ走査されたビームがヒュームに遮られにくくする効果を高めて、ビームに対するヒュームの影響を効果的に低減することができる。これにより、ヒュームに起因する造形品質の低下を効果的に抑制することができる。
【0012】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)に記載の三次元積層造形装置において、前記ビーム照射ユニットは、前記ビームを走査するためのスキャナを含み、前記造形可能領域は、前記スキャナよりも前記ガス流れの下流側に位置する第1領域と、前記スキャナよりも前記ガス流れの上流側に位置する第2領域と、を含み、前記コントローラは、前記第1領域への前記ビームの照射時、前記許容角度範囲内への前記ビームの走査方向の制限を解除し、前記第2領域への前記ビームの照射時、前記許容角度範囲内に前記ビームの走査方向を制限するよう構成される。
【0013】
本願発明者の知見によれば、ガス流れの流れ方向における下流側からビームを照射する場合と比較して、ガス流れの流れ方向における上流側からビームを照射する場合の方が、ビームがヒュームに遮られにくく、ビームに対するヒュームの影響が小さい。
【0014】
このため、上記(3)に記載のように、光スキャナより下流側の第1領域へのビームの照射時、許容角度範囲内へのビームの走査方向の制限を解除し、光スキャナより上流側の第2領域へのビームの照射時、許容角度範囲内にビームの走査方向を制限することにより、ビームに対するヒュームの影響を低減しつつ、第1領域におけるビームの走査方向の自由度を確保することができる。
【0015】
(4)本発明の少なくとも一実施形態に係る三次元積層造形装置は、ベースプレートと、前記ベースプレート上に形成された粉末層を選択的に固化するように前記粉末層にビームを照射するためのビーム照射ユニットと、前記粉末層上にガス流れを形成するためのガス流れ形成ユニットと、を備え、前記ビーム照射ユニットは、前記ビームを走査するためのスキャナを含み、前記スキャナは、前記ガス流れの流れ方向における前記ベースプレートの中央位置に対して前記流れ方向の上流側にオフセットして配置されている。
【0016】
上述のように、ガス流れの流れ方向における下流側からビームを照射する場合と比較して、ガス流れの流れ方向における上流側からビームを照射する場合の方が、ビームがヒュームに遮られにくく、ビームに対するヒュームの影響が小さい。
【0017】
このため、上記(4)に記載のように、ガス流れの流れ方向におけるベースプレートの中央位置に対して流れ方向の上流側に光スキャナをオフセットして配置することにより、ガス流れの流れ方向において上流側からビームを照射できる領域を広げて、ヒュームによるビームへの影響を低減することができる。これにより、ヒュームに起因する造形品質の低下を抑制することができる。
【0018】
(5)本発明の少なくとも一実施形態に係る三次元積層造形装置は、ベースプレートと、ビームを走査するためのスキャナを含み、前記ベースプレート上に形成された粉末層を選択的に固化するように前記粉末層に前記ビームを照射するためのビーム照射ユニットと、第1方向と、前記第1方向とは少なくとも反対側に向かう方向成分を有する第2方向と、の間で切り替え可能にガス流れを前記粉末層上に形成するように構成されたガス流れ形成ユニットと、前記ガス流れ形成ユニットを制御するコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記ベースプレート上の造形可能領域のうち、前記スキャナよりも前記第1方向の下流側に位置する第1領域への前記ビームの照射時、前記第1方向の前記ガス流れを前記粉末層上に形成し、前記造形可能領域のうち、前記スキャナよりも前記第1方向の上流側に位置する第2領域への前記ビームの照射時、前記第2方向の前記ガス流れを前記粉末層上に形成するように、前記ガス流れ形成ユニットを制御するよう構成される。
【0019】
上記(5)に記載の三次元積層造形装置によれば、第1領域へビームを照射する場合においても第2領域へビームを照射する場合においても、ガス流れの流れ方向における上流側から照射位置にビームを照射することができる。このため、ビームがヒュームに遮られにくく、ビームに対するヒュームの影響を低減することができる。これにより、ヒュームに起因する造形品質の低下を抑制することができる。
【0020】
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)に記載の三次元積層造形装置において、前記第2方向は、前記第1方向に対して、160度以上200度以下の角度をなす。
【0021】
上記(6)に記載の三次元積層造形装置によれば、第2方向と第1方向とのなす角度を180度程度に設定することにより(ガス流れの方向を逆方向に切り替えることにより)、第1領域へビームを照射する場合においても第2領域へビームを照射する場合においても、ビームがヒュームに遮られにくくなり、ビームに対するヒュームの影響を効果的に低減することができる。これにより、ヒュームに起因する造形品質の低下を効果的に抑制することができる。
【0022】
(7)幾つかの実施形態では、上記(5)又は(6)に記載の三次元積層造形装置において、前記粉末層上における前記ガス流れの方向を検出するための流れ方向センサを更に備え、前記コントローラは、前記ガス流れが前記第2方向に切り替わったことを示す検出結果を前記流れ方向センサから受け取った後、前記第2領域への前記ビームの照射を開始させるように前記ビーム照射ユニットを制御するよう構成される。
【0023】
上記(7)に記載の三次元積層造形装置によれば、ガス流れの方向が第2方向に切り替わったことを示す検出結果を流れ方向センサから受け取った後に、第2領域へのビームの照射を開始させるようにビーム照射ユニットを制御することで、ヒュームに起因する造形品質の低下を効果的に抑制することができる。
【0024】
(8)本発明の少なくとも一実施形態に係る三次元積層造形装置の制御方法において、ベースプレート上に形成された粉末層上にガス流れを形成するステップと、前記ベースプレート上に形成された前記粉末層を選択的に固化するように前記粉末層にビームを照射するステップと、を備え、前記粉末層にビームを照射するステップでは、前記ベースプレート上の造形可能領域の少なくとも一部において、前記ビームの照射位置を起点として前記粉末層上のガス流れの下流側に延ばした基準線の両側の禁止角度範囲を除く許容角度範囲内に前記ビームの走査方向を制限する。
【0025】
上記(8)に記載の三次元積層造形装置の制御方法によれば、ビームの照射位置から発生したヒュームは、基準線に沿ってガス流れの下流側へ流れるため、許容角度範囲内の走査方向へ走査されたビームがヒュームに遮られにくくなり(巻き込まれにくくなり)、ビームに対するヒュームの影響を低減することができる。これにより、ヒュームに起因する造形品質の低下を抑制することができる。
【0026】
(9)本発明の少なくとも一実施形態に係る三次元積層造形装置の制御方法において、ベースプレート上に形成された粉末層上にガス流れを形成するステップと、前記ベースプレート上に形成された粉末層を選択的に固化するように前記粉末層にビームを照射するステップと、を備え、前記粉末層に前記ビームを照射するステップでは、前記ベースプレート上の造形可能領域のうち、スキャナよりも第1方向の下流側に位置する第1領域への前記ビームの照射時、前記第1方向の前記ガス流れを前記粉末層上に形成し、前記造形可能領域のうち、前記スキャナよりも前記第1方向の上流側に位置する第2領域への前記ビームの照射時、前記第1方向とは少なくとも反対側に向かう方向成分を有する第2方向の前記ガス流れを前記粉末層上に形成する。
【0027】
上記(9)に記載の三次元積層造形装置の制御方法によれば、第1領域へビームを照射する場合においても第2領域へビームを照射する場合においても、ガス流れの流れ方向における上流側から照射位置にビームを照射することができる。このため、ビームがヒュームに遮られにくく、ビームに対するヒュームの影響を低減することができる。これにより、ヒュームに起因する造形品質の低下を抑制することができる。
【0028】
(10)本発明の少なくとも一実施形態に係る三次元積層造形装置のビーム走査パターン生成プログラムは、造形物の三次元形状データからスライスデータを生成する処理と、生成された前記スライスデータに基づいて、ベースプレート上の造形可能領域の少なくとも一部において、ビームの照射位置を起点としてガス流れ形成ユニットによるガス流れの下流側に延ばした基準線の両側の禁止角度範囲を除く許容角度範囲内に前記ビームの走査方向を制限するようにビーム走査パターンを生成する処理と、をコンピュータに実行させる。
【0029】
上記(10)に記載の三次元積層造形装置のビーム走査パターン生成プログラムによれば、ビームの照射位置から発生したヒュームは、基準線に沿ってガス流れの下流側へ流れるため、許容角度範囲内の走査方向へ走査されたビームがヒュームに遮られにくくなり(巻き込まれにくくなり)、ビームに対するヒュームの影響を低減することができる。これにより、ヒュームに起因する造形品質の低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の少なくとも一つの実施形態によれば、ヒュームに起因する造形品質の低下を抑制可能な三次元積層造形装置及びその制御方法並びにビーム走査パターン生成プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】一実施形態に係る三次元積層造形装置2(2A)の概略構成を示す模式図である。
図2】一実施形態に係る光ビーム照射ユニット10による光ビーム8の走査方向を説明するための平面図である。
図3】ヒューム16の影響の低減効果を説明するための平面図である。
図4】一実施形態に係る光ビーム照射ユニット10の制御方法を説明するための模式図である。
図5】一実施形態に係る光ビーム照射ユニット10の制御方法を説明するための模式図である。
図6】ヒューム16の影響の低減効果を説明するための模式図である。
図7】ヒューム16の影響の低減効果を説明するための模式図である。
図8】第1領域S1と第2領域S2との間に中間領域S0について説明するための模式図である。
図9】一実施形態に係る三次元積層造形装置2(2B)の概略構成を示す模式図である。
図10】一実施形態に係る三次元積層造形装置2(2C)の概略構成を示す模式図である。
図11】一実施形態に係る三次元積層造形装置2(2C)の概略構成を示す模式図である。
図12】三次元積層造形装置2(2C)における光ビーム照射ユニット10の制御方法を説明するための模式図である。
図13】三次元積層造形装置2(2C)における光ビーム照射ユニット10の制御方法を説明するための模式図である。
図14】ヒューム16の影響の低減効果を説明するための模式図である。
図15】ヒューム16の影響の低減効果を説明するための模式図である。
図16】一実施形態に係る三次元積層造形装置2(2C)の構成例を示す模式図である。
図17】一実施形態に係る三次元積層造形装置2(2C)の構成例を示す模式図である。
図18】三次元積層造形装置2(2A〜2C)における光ビームの走査パターンを生成するためのフローの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0033】
図1は、一実施形態に係る三次元積層造形装置2(2A)の概略構成を示す模式図である。
図1に示すように、三次元積層造形装置2は、ベースプレート4と、ベースプレート4上に形成された粉末層6を選択的に固化するように粉末層6に光ビーム8(レーザビーム)を照射するための光ビーム照射ユニット10と、粉末層6上にガス流れFを形成するためのガス流れ形成ユニット12と、光ビーム照射ユニット10及びガス流れ形成ユニット12を制御するコントローラ20とを備える。光ビーム照射ユニット10は、光ビーム8を走査するための光スキャナ14(ガルバノミラー)と、不図示の光源とを含む。なお、図1に示す三次元積層造形装置2(2A)では、ガス流れ形成ユニット12は、例えばポンプ等によって粉末層6上に一方向のガス流れFを形成するように構成されている。なお、ガス流れFのガスの種類は特に限定されないが、例えばArガスや窒素ガス等の不活性ガスを用いてもよい。
【0034】
図2は、一実施形態に係る光ビーム照射ユニット10による光ビーム8の走査方向を説明するための平面図である。
図1及び図2に示すように、コントローラ20は、ベースプレート4上の造形可能領域Sの少なくとも一部において、光ビーム照射ユニット10からの光ビームの照射位置Pを起点としてガス流れFの下流側に延ばした基準線Lの両側の禁止角度範囲A1を除く許容角度範囲A2内に光ビーム8の走査方向dsを制限する。すなわち、コントローラ20は、許容角度範囲A2内の方向にのみ光ビーム8を走査するよう光ビーム照射ユニット10を制御する。
【0035】
かかる構成によれば、図3に示すように、光ビーム8の照射位置Pから発生したヒューム16は、基準線Lに沿ってガス流れFの下流側へ流れるため、許容角度範囲A2内の走査方向dsへ走査された光ビーム8がヒューム16に遮られにくくなり(巻き込まれにくくなり)、光ビーム8に対するヒューム16の影響を低減することができる。これにより、ヒューム16に起因する造形品質の低下を抑制することができる。
【0036】
一実施形態では、図2に示すように、禁止角度範囲A1は、基準線Lの両側にそれぞれ少なくとも20度の角度範囲を含む。
【0037】
かかる構成によれば、禁止角度範囲A1が基準線Lを挟んで40度以上のある程度大きい角度範囲に設定されるため、許容角度範囲A2内の走査方向dsへ走査された光ビーム8がヒューム16に遮られにくくする効果を高めて、光ビーム8に対するヒューム16の影響を効果的に低減することができる。これにより、ヒューム16に起因する造形品質の低下を効果的に抑制することができる。
【0038】
図4及び図5は、一実施形態に係る光ビーム照射ユニット10の制御方法を説明するための模式図である。
一実施形態では、図4及び図5に示すように、造形可能領域Sは、光スキャナ14よりもガス流れFの下流側に位置する第1領域S1と、光スキャナ14よりもガス流れFの上流側に位置する第2領域S2と、を含む。また、コントローラ20は、第1領域S1への光ビーム8の照射時、許容角度範囲A2(図2及び図3参照)内への光ビーム8の走査方向の制限を解除し、第2領域S2への光ビーム8の照射時、許容角度範囲A2内に光ビームの走査方向を制限する。
【0039】
ガス流れFの流れ方向における下流側から光ビーム8を照射する場合(図6参照)と比較して、ガス流れFの流れ方向における上流側から光ビーム8を照射する場合(図7参照)の方が、光ビーム8がヒューム16に遮られにくく、光ビーム8に対するヒューム16の影響が小さい。
【0040】
このため、光スキャナ14より下流側の第1領域S1への光ビーム8の照射時、許容角度範囲A2(図2及び図3参照)内への光ビーム8の走査方向の制限を解除し、光スキャナ14より上流側の第2領域S2への光ビーム8の照射時、許容角度範囲A2内に光ビーム8の走査方向を制限することにより、光ビーム8に対するヒューム16の影響を低減しつつ、光ビーム8の第1領域S1における走査方向の自由度を確保することができる。
【0041】
なお、第1領域S1と第2領域S2とは、図4及び図5に示すように境界線を介して隣接していてもよいし、図8に示すように第1領域S1と第2領域S2とは中間領域S0を挟んで互いに離れていてもよい。
【0042】
図9は、一実施形態に係る三次元積層造形装置2(2B)の概略構成を示す模式図である。以下では、三次元積層造形装置2(2B)のうち、三次元積層造形装置2(2A)と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略し、三次元積層造形装置2(2A)と異なる構成について説明する。
【0043】
一実施形態では、図9に示すように、光スキャナ14は、ガス流れFの流れ方向におけるベースプレート4の中央位置Cに対してガス流れFの流れ方向の上流側にオフセットして配置されている。図示する例示的形態では、光スキャナ14は、ガス流れFの流れ方向におけるベースプレート4の上流端18の位置と重複する同位置または上流端18より上流側の位置に設けられている。
【0044】
上述のように、ガス流れFの流れ方向における下流側から光ビーム8を照射する場合(図6参照)と比較して、ガス流れFの流れ方向における上流側から光ビーム8を照射する場合(図7参照)の方が、光ビーム8がヒューム16に遮られにくく、光ビーム8に対するヒューム16の影響が小さい。このため、上述のように、ガス流れFの流れ方向におけるベースプレート4の中央位置Cに対してガス流れFの流れ方向の上流側に光スキャナ14をオフセットして配置することにより、ガス流れFの流れ方向において上流側から光ビーム8を照射できる領域を広げて、ヒューム16による光ビーム8への影響を低減することができる。これにより、ヒューム16に起因する造形品質の低下を抑制することができる。
【0045】
図10及び図11は、一実施形態に係る三次元積層造形装置2(2C)の概略構成を示す模式図である。図12及び図13は、三次元積層造形装置2(2C)における光ビーム照射ユニット10の制御方法を説明するための模式図である。以下では、三次元積層造形装置2(2C)の構成のうち、三次元積層造形装置2(2A)と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略し、三次元積層造形装置2(2A)と異なる構成について説明する。
【0046】
一実施形態では、図10及び図11に示すように、ガス流れ形成ユニット12は、粉末層6上に形成するガス流れFの流れ方向を、第1方向d1と、第1方向d1とは少なくとも反対側に向かう方向成分を有する第2方向d2との間で切り替え可能に構成されている。
【0047】
三次元積層造形装置2(2C)では、コントローラ20は、図12に示すように、ベースプレート4上の造形可能領域Sのうち、光スキャナ14よりも第1方向d1の下流側に位置する第1領域S1への光ビーム8の照射時、第1方向d1のガス流れFを粉末層6上に形成するようにガス流れ形成ユニット12を制御する。また、コントローラ20は、図13に示すように、造形可能領域Sのうち、光スキャナ14よりも第1方向d1の上流側に位置する第2領域S2への光ビーム8の照射時、第2方向d2のガス流れFを粉末層6上に形成するようにガス流れ形成ユニット12を制御する。
【0048】
かかる構成によれば、第1領域S1へ光ビーム8を照射する場合(図14参照)においても第2領域S2へ光ビーム8を照射する場合(図15参照)においても、ガス流れFの流れ方向における上流側から光ビーム8を照射することができる。このため、光ビーム8がヒューム16に遮られにくく、光ビーム8に対するヒューム16の影響を低減することができる。これにより、ヒューム16に起因する造形品質の低下を抑制することができる。
【0049】
一実施形態では、平面視において、第2方向d2は、第1方向d1に対して160度以上200度以下の角度(図11~図15に示した例示的形態では、180度)をなす。このように、第2方向d2と第1方向d1との角度を180度程度に設定することにより、第1領域S1へ光ビームを照射する場合(図14参照)においても第2領域S2へ光ビームを照射する場合(図15参照)においても、光ビーム8がヒューム16に遮られにくくなり、光ビーム8に対するヒューム16の影響を効果的に低減することができる。これにより、ヒューム16に起因する造形品質の低下を効果的に抑制することができる。
【0050】
なお、ガス流れFの方向を第1方向d1と第2方向d2とに切り替えるためのガス流れ形成ユニット12の構成は特に限定されないが、例えば、図16に示すガス流れ形成ユニット12を用いてもよい。
【0051】
図16に例示するガス流れ形成ユニット12は、ポンプ22、第1流路24、第2流路26、第3流路28、第4流路30、第1バルブ32、第2バルブ34、第3バルブ36、第4バルブ38、フィルタ40及び風向計42(流れ方向センサ)を備える。
【0052】
図16に示す例示的形態では、第1流路24は、ポンプ22とチャンバ44の一端側とを接続しており、第1流路24に第1バルブ32が設けられている。第2流路26は、ポンプ22とチャンバ44の他端側とを接続しており、第2流路26に第2バルブ34が設けられている。第3流路28は、第1流路24におけるポンプ22と第1バルブ32との間から分岐して、第2流路26におけるチャンバ44と第2バルブ34との間に接続している。第4流路30は、第1流路24における第1バルブ32とチャンバ44との間から分岐して第2流路26における第2バルブ34とポンプ22との間に接続している。風向計42は、第1流路24における第3流路28の分岐位置とポンプ22との間に設けられている。フィルタ40は、第2流路26における第3流路28の接続位置とポンプ22との間に設けられている。
【0053】
かかる構成において、ガス流れ形成ユニット12によって粉末層6上に第1方向d1のガス流れを形成する場合、コントローラ20は、図16に示すように、第1バルブ32及び第2バルブ34を開状態に制御するとともに第3バルブ36及び第4バルブ38を閉状態に制御する。これにより、ポンプ22からのガス流れは、第1流路24を通ってチャンバ44の一端側に供給され、粉末層6上を第1方向d1に流れた後、チャンバ44の他端側で第2流路26に流入し、フィルタ40を通って再びポンプ22に流入する。
【0054】
また、ガス流れ形成ユニット12によって第2方向d2のガス流れを形成する場合、コントローラ20は、図17に示すように、第1バルブ32及び第2バルブ34を閉状態に制御するとともに第3バルブ36及び第4バルブ38を開状態に制御する。これにより、ポンプ22からのガス流れは、第1流路24から第3流路28を通ってチャンバ44の他端側に供給され、粉末層6上を第2方向d2に流れた後、チャンバ44の一端側から第1流路24に流入し、第4流路30及び第2流路26のフィルタ40を通って再びポンプ22に流入する。
【0055】
かかる構成により、粉末層6上のガス流れFの方向を第1方向d1と第2方向d2とに容易に切り替えることができる。また、風向計42によって、粉末層6上におけるガス流れFの方向を検出することができる。このため、コントローラ20は、ガス流れFの方向が第2方向d2に切り替わったことを示す検出結果を風向計42から受け取った後に、第2領域S2への光ビーム8の照射を開始させるように光ビーム照射ユニット10を制御することで、ヒューム16に起因する造形品質の低下を効果的に抑制することができる。
【0056】
なお、上述した三次元積層造形装置2(2A〜2C)で用いる光ビーム8の走査パターンを生成する場合、図18に示すフローで走査パターンを生成し、造形処理を行う。
まず、S11において、造形物の三次元形状データを生成し、S12において、造形物の三次元形状データからスライスデータを生成する。次に、S13において、スライスデータに基づいて光ビーム走査パターンを生成する。そして、S14において、スライスデータに基づいて一層ずつ造形処理を行うことで造形物を完成させる。
【0057】
ここで、S13において光ビーム走査パターンを生成する際に、例えば上述した光ビームの走査方向の制限を適用してもよい。すなわち、S12において生成したスライスデータに基づいて、ベースプレート4上の造形可能領域Sの少なくとも一部において、光ビーム照射ユニット10からの光ビームの照射位置Pを起点としてガス流れFの下流側に延ばした基準線Lの両側の禁止角度範囲A1を除く許容角度範囲A2内に光ビーム8の走査方向dsを制限するように、光ビーム走査パターンを生成してもよい。
【0058】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0059】
例えば、上述した実施形態では、ビームとしてレーザビームを用いる形態を例示したが、ビームはこれに限らず、例えば電子ビームであってもよい。この場合、スキャナとして電子レンズが用いられる。
【符号の説明】
【0060】
2(2A〜2C) 三次元積層造形装置
4 ベースプレート
6 粉末層
8 光ビーム
10 光ビーム照射ユニット
12 ガス流れ形成ユニット
14 光スキャナ
16 ヒューム
18 上流端
20 コントローラ
22 ポンプ
24 第1流路
26 第2流路
28 第3流路
30 第4流路
32 第1バルブ
34 第2バルブ
36 第3バルブ
38 第4バルブ
40 フィルタ
42 風向計
44 チャンバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18