(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を
図1から
図13によって説明する。本実施形態では、液晶表示装置10について例示する。なお、各図面の一部にはX軸、Y軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図面で示した方向となるように描かれている。また、
図2などに示す上側を表側とし、同図下側を裏側とする。
【0011】
本実施形態に係るテレビ受信装置10TVは、
図1に示すように、全体として横長の略方形状をなす液晶表示装置10と、当該液晶表示装置10を挟むようにして収容する表裏両キャビネット10C1,10C2と、電源10Pと、テレビ信号を受信するチューナー(受信部)10Tと、スタンド10Sと、を備えて構成される。液晶表示装置10は、
図2に示すように、画像を表示する液晶パネル(表示パネル)11と、液晶パネル11に表示のための光を供給するバックライト装置(照明装置)と、を備え、これらが枠状のベゼル(バックライト装置共々図示せず)などにより一体的に保持される。なお、バックライト装置は、液晶パネル11に対して裏側(背面側)に配置され、白色の光(白色光)を発する光源(例えばLEDなど)や光源からの光に光学作用を付与することで面状の光に変換する光学部材などを有する。
【0012】
次に、液晶パネル11について説明する。液晶パネル11は、
図2に示すように、ほぼ透明で優れた透光性を有するガラス製の一対の基板11A,11Bと、両基板11A,11B間に介在し、電界印加に伴って光学特性が変化する物質である液晶分子(液晶材料)を含む液晶層11Cと、液晶層11Cの周りを封止するよう周方向に沿って延在するとともに両基板11A,11Bを液晶層11Cの厚さ分のギャップを維持した状態で貼り合わせるシール部(図示せず)と、を少なくとも備える。液晶パネル11は、画面の中央側部分により構成されて画像が表示される表示領域(アクティブエリア)AAと、画面の外周側部分により構成されて表示領域AAを取り囲む額縁状(枠状)をなすとともに画像が表示されない非表示領域(ノンアクティブエリア)NAAと、に区分されている(
図4を参照)。液晶パネル11は、バックライト装置から供給される光を利用して表示領域AAに画像を表示することができ、その表側が出光側とされている。なお、両基板11A,11Bの外面側には、それぞれ偏光板12が貼り付けられている。
【0013】
液晶パネル11を構成する両基板11A,11Bのうち表側(正面側)がCF基板11Aとされ、裏側(背面側)がアレイ基板11Bとされる。アレイ基板11Bのうちの表示領域AAの内面側(液晶層11C側、CF基板11Aとの対向面側)には、
図2及び
図3に示すように、スイッチング素子であるTFT(Thin Film Transistor:表示素子)13及び画素電極14が多数個ずつマトリクス状(行列状)に並んで設けられるとともに、これらTFT13及び画素電極14の周りには、格子状をなすゲート配線(走査配線)15及びソース配線(信号配線、データ配線)16が取り囲むようにして配設されている。ゲート配線15は、X軸方向(行方向)に沿って概ね直線状に延在していて走査信号を伝送するのに対し、ソース配線16は、Y軸方向(列方向)に沿って概ね直線状に延在していて画像信号を伝送する。ゲート配線15は、相対的に下層側に配される第1金属膜M1からなるのに対し、ソース配線16は、相対的に上層側に配されて第1金属膜M1との間に絶縁膜INが介在する第2金属膜M2からなる(
図5を参照)。これにより、互いに交差するゲート配線15とソース配線16との短絡が防がれている。ゲート配線15は、TFT13のゲート電極に、ソース配線16は、TFT13のソース電極に、それぞれ接続されているのに対し、画素電極14は、TFT13のドレイン電極に接続されている。そして、TFT13は、ゲート配線15から走査信号が供給されることで駆動され、ソース配線16に供給される画像信号を画素電極14に供給することで、画素電極14を画像信号に基づく電位に充電する。画素電極14は、ゲート配線15及びソース配線16により囲まれた方形の領域に配されており、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウム錫)或いはZnO(Zinc Oxide:酸化亜鉛)といった透明電極膜からなる。既述した通り、画素電極14は、X軸方向及びY軸方向に沿って多数個ずつ並んで配されているが、このうちY軸方向に沿って直線状に並ぶ多数個の画素電極14には、共通のソース配線16がTFT13を介して接続されている。従って、Y軸方向に沿って並んで列をなす画素電極14群は、共通のソース配線16から画像信号の供給を受けることになる。
【0014】
一方、CF基板11Aのうちの表示領域AAの内面側には、
図2及び
図3に示すように、アレイ基板11B側の各画素電極14と対向状をなす位置に多数個のカラーフィルタ17がマトリクス状に並んで設けられている。カラーフィルタ17は、赤色、緑色及び青色(R,G,B)の三色を呈するものが所定の順で繰り返し並んで配置される。各色のカラーフィルタ17は、各色に係る特定の波長範囲の光を選択的に透過する。つまり、赤色のカラーフィルタ(赤色カラーフィルタ)17は、赤色の波長領域の光を、緑色のカラーフィルタ(緑色カラーフィルタ)17は、緑色の波長領域の光を、青色のカラーフィルタ(青色カラーフィルタ)17は、青色の波長領域の光を、それぞれ選択的に透過する。各カラーフィルタ17間には、混色を防ぐための格子状の遮光層(ブラックマトリクス)18が形成されている。遮光層18は、上記したゲート配線15及びソース配線16と平面に視て重畳する配置とされる。カラーフィルタ17及び遮光層18の表面には、アレイ基板11B側の画素電極14と対向するベタ状の対向電極19が設けられている。対向電極19は、常に一定の基準電位に保たれている。また、両基板11A,11Bの内面側には、液晶層11Cに含まれる液晶分子を配向させるための配向膜20がそれぞれ形成されている。
【0015】
この液晶パネル11においては、
図2に示すように、カラーフィルタ17と、カラーフィルタ17と対向する画素電極14と、が画素部PXを構成している。画素部PXは、カラーフィルタ17が呈する色に応じた表示色を呈する。具体的には、赤色のカラーフィルタ17を有するものが赤色の表示色となる赤色の画素部(赤色画素部)PXであり、緑色のカラーフィルタ17を有するものが緑色の表示色となる緑色の画素部(緑色画素部)PXであり、青色のカラーフィルタ17を有するものが青色の表示色となる青色の画素部(青色画素部)PXである。なお、
図2,
図7から
図11では、赤色のカラーフィルタ17及び画素部PXを「R」にて、緑色のカラーフィルタ17及び画素部PXを「G」にて、青色のカラーフィルタ17及び画素部PXを「B」にて、それぞれ示している。これら赤色、緑色及び青色の各画素部PXは、X軸方向(行方向)に沿って繰り返し並んで配されるとともに、Y軸方向(列方向)に沿って同色のものがそれぞれ連続して並んで配されている(
図7から
図11を参照)。これにより、液晶パネル11には、異なる色を呈する多数の画素部PXが行列状に配列されている。そして、この液晶パネル11においては、Y軸方向に沿って隣り合う赤色、緑色及び青色の3色の画素部PXによって所定の階調のカラー表示を可能な表示画素が構成されている。各色の画素部PXを構成する各画素電極14は、接続されたTFT13の駆動によってソース配線16から供給される画像信号に基づく電位に充電され、その電位と対向電極19の基準電位との電位差に基づいて各色の画素部PXにおける液晶層11Cの配向状態が変化し、もって各色の画素部PX毎に液晶パネル11の透過光量、つまり表示階調が個別に制御されるようになっている。各TFT13に接続された各ゲート配線15及び各ソース配線16には、アレイ基板11Bの端部に接続されたフレキシブル基板を介してコントロール基板(フレキシブル基板共々図示せず)に備わる表示駆動部22から走査信号及び画像信号がそれぞれ供給されるようになっている(
図6を参照)。表示駆動部22は、各画素部PXの表示階調に応じて例えば0〜255の階調値をとる256階調の画像信号を各ソース配線16に供給する。
【0016】
ここで、液晶パネル11における具体的な表示駆動について説明する。コントロール基板に備わる表示駆動部22は、複数の画素部PXに、相対的に高輝度な(明るい)明画素部HPXと、相対的に低輝度な(暗い)暗画素部LPXと、が含まれるように表示駆動している(
図7から
図11を参照)。具体的には、表示駆動部22は、複数の画素部PXのうちのX軸方向について他の色の画素部PXを介して隣り合う同色の2つの画素部PXまたはY軸方向について直接隣り合う同色の2つの画素部PXのうちの一方が明画素部HPXとなり、他方が暗画素部LPXとなるようにしている。そして、表示駆動部22は、明画素部HPXの表示階調と暗画素部LPXの表示階調との平均階調が目的の表示階調となるように表示駆動を行っている。これにより、使用者が液晶パネル11の表示面をどのような角度から視認した場合でも使用者に知覚される輝度(明るさ)が均等化されるようになっており、もって視野角補正を図ることができる。また、表示駆動部22は、各画素部PXに対して画像信号に係る極性を周期的に反転させる反転駆動を行っており、それにより液晶層11Cの劣化を防ぐようにしている。
【0017】
ところで、本実施形態に係る液晶パネル11を構成するアレイ基板11Bには、
図4に示すように、ソース配線16が断線した場合にその断線修理を行うための予備配線21が設けられている。予備配線21は、アレイ基板11Bにおける非表示領域NAAに配されていて表示領域AAを迂回する形で引き回されている。詳しくは、予備配線21は、ゲート配線15と同じ第1金属膜M1からなり、X軸方向に沿って概ね直線状に延在する一対の第1配線部21Aと、Y軸方向に沿って概ね直線状に延在してその両端部が一対の第1配線部21Aに連なる第2配線部21Bと、を有する。このうち、一対の第1配線部21Aは、
図4及び
図5に示すように、各ソース配線16のうち、非表示領域NAAにまで延出された両端側部分16Eに対して交差しており、両端側部分16Eと絶縁膜INを介して重畳する配置とされている。一対の第1配線部21Aは、全てのソース配線16における両端側部分16Eを横切る形で配されている。そして、ソース配線16に断線が生じた場合には、その断線が生じたソース配線16における両端側部分16Eと、予備配線21における一対の第1配線部21Aと、の重畳箇所にそれぞれレーザ光を照射して絶縁膜INを破壊する。これにより、断線が生じたソース配線16における両端側部分16Eと、予備配線21における一対の第1配線部21Aと、が短絡される。ここで、ソース配線16には、両端側部分16Eのうちの一方の端側部分16E(例えば
図4に示す下側の端側部分16E)から画像信号が供給されているので、断線箇所と一方の端側部分16Eとの間に配された画素部PXを構成する画素電極14には予備配線21を介することなく通常通りソース配線16から画像信号が供給されるのに対し、断線箇所と他方の端側部分16Eとの間に配される画素部PXを構成する画素電極14には予備配線21を介して画像信号が供給される。このため、予備配線21を介して画像信号が供給される画素部PXを構成する画素電極14は、予備配線21を介することなく画像信号が供給される画素部PXを構成する画素電極14に比べると、供給される画像信号に鈍りが生じ易くなっており、本来の電位に充電されずに本来の階調表示が難しくなるおそれがある。特に、本実施形態では、表示駆動部22が、複数の画素部PXに明画素部HPXと暗画素部LPXとが含まれるように表示駆動しているため、各画素部PXに供給する画像信号に係る電圧変動が生じ易くなっており、上記した予備配線21を介して画像信号が供給される画素部PXの階調表示が本来とはかけ離れたものになりがちとなっていた。なお、
図4では、ソース配線16の断線箇所を「×」印にて示すとともに、ソース配線16と予備配線21との短絡箇所を「●」印にて示す。
【0018】
そこで、本実施形態に係る液晶表示装置10は、
図6に示すように、明画素部HPXの表示階調と暗画素部LPXの表示階調との平均階調を利用した表示駆動を行う表示駆動部22と、複数の画素部PXにおける明画素部HPX及び暗画素部LPXの配置パターンを複数種類記憶する記憶部23と、記憶部23に記憶された複数種類の配置パターンの中から選択された配置パターンを、表示駆動部22による表示駆動に利用させる設定を行うためのパターン設定部24と、を備える。これら表示駆動部22、記憶部23及びパターン設定部24は、いずれも既述したコントロール基板に設けられている。パターン設定部24は、液晶表示装置10の製造過程において作業者により操作される。
【0019】
記憶部23に記憶された配置パターンには、
図7から
図11に示される5種類の配置パターンが含まれている。なお、
図7から
図11では、明画素部HPXに密度の高い線(斜線、縦線及び横線)を、暗画素部LPXに密度の低い線を、それぞれ入れるとともに、各画素部PXの正負の極性を「+」と「−」により示している。
図7及び
図8は、いずれも複数ずつの明画素部HPX及び暗画素部LPXがY軸方向に沿って直線状に配される直線状配置パターン(縦縞配置パターン)を表す。このうち、
図7は、明画素部HPX及び暗画素部LPXがX軸方向について1つずつ交互に並ぶ第1直線状配置パターン(直線状配置パターン、第1縦縞配置パターン)を表し、
図8は、明画素部HPX及び暗画素部LPXがX軸方向について2つずつ交互に並ぶ第2直線状配置パターン(直線状配置パターン、第2縦縞配置パターン)を表す。
図9から
図11は、いずれも複数ずつの明画素部HPX及び暗画素部LPXが千鳥状に配される千鳥状配置パターンを表す。このうち、
図9は、明画素部HPX及び暗画素部LPXがX軸方向について1つずつ交互に並ぶ第1千鳥配置パターン(千鳥配置パターン)を表し、
図10は、明画素部HPX及び暗画素部LPXがX軸方向について2つずつ交互に並ぶ第2千鳥配置パターン(千鳥配置パターン)を表し、
図11は、明画素部HPX及び暗画素部LPXがX軸方向について3つずつ交互に並ぶ第3千鳥配置パターン(千鳥配置パターン、市松配置パターン)を表す。これら5種類の配置パターンは、いずれもY軸方向に沿って並ぶ各画素部PXが同一極性とされる。つまり、本実施形態では、パターン設定部24によりいずれの配置パターンが設定された場合であっても表示駆動部22は、列反転駆動を行う。
図7,
図9及び
図11に示される各配置パターンは、X軸方向について隣り合う4つの画素部PXの極性が「+−−+」の順となり、
図8及び
図10に示される各配置パターンは、X軸方向について隣り合う4つの画素部PXの極性が「+−+−」の順となる。
【0020】
そして、表示駆動部22は、
図6に示すように、パターン設定部24により設定された配置パターンを利用して表示駆動を行うので、パターン設定部24によって適切な配置パターンを設定すれば、予備配線21を用いた修理が行われたソース配線16に接続された画素部PXを目立ち難くすることが可能となる。具体的には、本実施形態に係る液晶パネル11は、既述した通り、Y軸方向に沿って直線状に並ぶ多数個の画素部PX(画素電極14)に共通のソース配線16が接続されている。このような構成の液晶パネル11の製造過程で予備配線21を用いた修理が行われた場合には、記憶部23に記憶された5種類の配置パターンの中から
図7または
図8に示されるいずれかの直線状配置パターンを選択してパターン設定部24により設定するのが好ましい。ここで、
図9に示される第1千鳥配置パターンを選択した場合と、
図7または
図8に示される直線状配置パターンを選択した場合と、でソース配線16に伝送される画像信号がどのようになるか、に関して
図12及び
図13を用いて説明する。
図12及び
図13は、対向電極19の基準電位に対するソース配線16に伝送される画像信号に係る電位が、単位表示期間毎にどのように変化するかを表す図であり、各図において一点鎖線で示される基準電位に対して上側は極性が正(+)であり、下側は極性が負(−)である。また、
図12及び
図13では、正極性の画像信号に係る電位を実線にて、負極性の画像信号に係る電位を二点鎖線にて、それぞれ示している。
【0021】
まず、
図9に示される第1千鳥配置パターンを、表示駆動部22の表示駆動に利用するようパターン設定部24により設定した場合には、
図12に示すように、相対的に高い電位の画像信号と、相対的に低い電位の画像信号と、が単位表示期間毎に交互にソース配線16に伝送されることになる。つまり、第1千鳥配置パターンを用いると、ソース配線16に伝送される画像信号に電圧変動が生じることになる。このため、列方向に沿って直線状に並ぶ複数の画素部PXに、予備配線21を用いた断線修理に伴って予備配線21を経由して画像信号が供給されるものが含まれていると、その画素部PXは上記した画像信号に生じる電圧変動の影響を受けて本来の階調表示が困難になるおそれがある。これに対し、
図7または
図8に示される第1直線状配置パターンまたは第2直線状配置パターンを、表示駆動部22の表示駆動に利用するようパターン設定部24により設定した場合には、
図13に示すように、相対的に高い電位の画像信号と、相対的に低い電位の画像信号と、のいずれかが常にソース配線16に伝送されることになる。つまり、第1直線状配置パターンまたは第2直線状配置パターンを用いると、ソース配線16に伝送される画像信号に電圧変動が殆ど生じなくなる。従って、列方向に沿って直線状に並ぶ複数の画素部PXに、予備配線21を用いた断線修理に伴って予備配線21を経由して画像信号が供給されるものが含まれても、その画素部PXは画像信号に電圧変動が生じ難くなっていることで、本来の階調表示に相対的に近い階調表示を行うことが可能となる。これにより、断線修理に伴って予備配線21を経由して画像信号が供給される画素部PXを目立ち難くすることができ、もって表示品位が良好なものとなる。
【0022】
本実施形態は以上のような構造であり、続いてその液晶表示装置10の製造方法を説明する。本実施形態に係る液晶表示装置10の製造方法は、液晶パネル11を製造する液晶パネル製造工程(表示部材製造工程)と、表示駆動部22、記憶部23及びパターン設定部24などを有するコントロール基板を実装する実装工程と、液晶パネル11に検査画像を表示させて複数の画素部PXの表示階調を検査する検査工程と、特定の配置パターンを表示駆動部22による表示駆動に利用させる設定をパターン設定部24により行うパターン設定工程と、を含む。さらには、液晶表示装置10の製造方法には、検査工程とパターン設定工程との間に行われる修理工程が含まれている。なお、上記した各工程以外にも、液晶表示装置10の製造方法には、例えば液晶パネル11にバックライト装置を組み付けるバックライト組み付け工程などが含まれている。
【0023】
液晶パネル製造工程では、液晶パネル11に、表示領域AA、ソース配線16及び予備配線21などを既知のフォトリソグラフィ法などを用いて設けるようにしている。検査工程では、液晶パネル11に検査用のバックライト装置から光を照射しつつ検査画像を表示させ、その検査画像を作業者が目視することで、ソース配線16の断線の有無などを検査している。検査工程にて断線したソース配線16が見つかった液晶パネル11に関しては、修理工程が行われる。修理工程では、断線が生じていたソース配線16の両端側部分16Eと予備配線21の第1配線部21Aとの重畳箇所にレーザ光を照射することで、これらの間に介在する絶縁膜INを破壊する(
図4及び
図5を参照)。これにより、断線が生じていたソース配線16の両端側部分16Eと予備配線21の第1配線部21Aとの重畳箇所同士が短絡される。なお、検査工程にて断線したソース配線16が見つからなかった液晶パネル11に関しては、修理工程を飛ばしてパターン設定工程が行われる。
【0024】
パターン設定工程では、修理工程を経て予備配線21を用いた修理が行われた液晶パネル11の表示駆動を行う表示駆動部22に、記憶部23に記憶された5種類の配置パターンの中から特定の配置パターンを選択し、その選択された配置パターンを利用させる設定が行われる(
図6を参照)。本実施形態では、作業者に、
図7または
図8に示される第1直線状配置パターンまたは第2直線状配置パターンを選択して設定を行わせるようにする。従って、ソース配線16の断線修理に伴って本来の階調表示を行うのが難しい画素部PXが生じていた場合でも、パターン設定部24により明画素部HPX及び暗画素部LPXがY軸方向に沿って直線状に配される第1直線状配置パターンまたは第2直線状配置パターンが設定されることで(
図7または
図8を参照)、Y軸方向に沿って直線状に配される明画素部HPXに同じソース配線16から同じ極性の画像信号が供給されて電圧変動が生じ難くなるとともに、Y軸方向に沿って直線状に配される暗画素部LPXに同じソース配線16から同じ極性の画像信号が供給されて電圧変動が生じ難くなる(
図13を参照)。これにより、本来とは異なる表示階調の表示を行う画素部PXが目立たないようになるので、表示品位が良好なものとなる。一方、検査工程にて断線したソース配線16が見つからなかった液晶パネル11に関しては、パターン設定工程では、記憶部23に記憶された5種類の配置パターンの中から例えば
図9から
図11に示される千鳥配置パターンのいずれかを選択し、その選択された千鳥配置パターンを利用する設定が行われる。このようにすれば、第1直線状配置パターンまたは第2直線状配置パターンを選択した場合に比べると、Y軸方向に沿う直線状の表示ムラが視認され難くなるので、解像感が優れたものとなる。
【0025】
以上説明したように本実施形態の液晶表示装置(表示装置)10は、異なる色を呈する複数の画素部PXを行列状に配列してなる液晶パネル(表示部材)11と、複数の画素部PXに、相対的に高輝度な明画素部HPXと、相対的に低輝度な暗画素部LPXと、が含まれて、明画素部HPXの表示階調と暗画素部LPXの表示階調との平均階調を利用した表示駆動を行う表示駆動部22と、複数の画素部PXにおける明画素部HPX及び暗画素部LPXの配置パターンを複数種類記憶する記憶部23と、記憶部23に記憶された複数種類の配置パターンの中から選択された配置パターンを、表示駆動部22による表示駆動に利用させる設定を行うためのパターン設定部24と、を備える。
【0026】
このようにすれば、表示駆動部22による表示駆動が行われると、液晶パネル11は、行列状に配列された複数の画素部PXに、相対的に高輝度な明画素部HPXと、相対的に低輝度な暗画素部LPXと、が含まれ、明画素部HPXの表示階調と暗画素部LPXの表示階調との平均階調を利用した表示を行う。表示駆動部22は、パターン設定部24によって記憶部23に記憶された複数種類の配置パターンの中から特定の配置パターンを表示駆動に利用するよう設定されているので、例えば特定の画素部PXが故障などに起因して本来の階調表示を行うのが難しい場合であっても、その画素部PXが目立たないようにすることができる。これにより、表示品位が良好なものとなる。
【0027】
また、液晶パネル11は、複数の画素部PXが配列される表示領域AAと、表示領域AAにて列方向に沿って延在しつつ複数の画素部PXに接続されてそれらに画像信号を供給するソース配線(信号配線)16と、表示領域AAを迂回する形で引き回されてその第1配線部(一部ずつ)21Aがソース配線16の両端側部分16Eと絶縁膜INを介して重畳する予備配線21と、を備える。このようにすれば、表示領域AAに配列された複数の画素部PXには、接続されたソース配線16により画像信号が供給される。ソース配線16に断線が生じた場合には、表示領域AAを迂回する形で引き回される予備配線21の第1配線部21Aと、断線したソース配線16の両端側部分16Eと、の間に介在する絶縁膜INを破壊し、これらを短絡させる。すると、予備配線21を介してソース配線16に接続された複数の画素部PXに画像信号を供給することが可能となる。一方、予備配線21を介して画像信号が供給される画素部PXは、予備配線21を介すことなく画像信号が供給される画素部PXに比べると、供給される画像信号に鈍りが生じ易くなっており、本来の階調表示が難しくなるおそれがある。その点、表示駆動部22は、パターン設定部24によって記憶部23に記憶された複数種類の配置パターンの中から特定の配置パターンを表示駆動に利用するよう設定されているので、ソース配線16の断線修理に伴って本来の階調表示を行うのが難しい画素部PXが生じても、その画素部PXが目立たないようにすることができる。
【0028】
また、液晶パネル11は、列方向に沿って延在しつつ列方向に沿って直線状に並ぶ複数の画素部PXに接続されてこれらの画像信号を供給するソース配線16を備えており、記憶部23は、複数種類の配置パターンに、明画素部HPX及び暗画素部LPXが列方向に沿って直線状に配される直線状配置パターンを含むよう記憶する。このようにすれば、列方向に沿って直線状に並ぶ複数の画素部PXには、接続されたソース配線16により画像信号が供給される。ここで、例えばソース配線16の断線修理などに起因して本来の階調表示を行うのが難しい画素部PXが生じた場合でも、表示駆動部22は、パターン設定部24によって記憶部23に記憶された複数種類の配置パターンの中から明画素部HPX及び暗画素部LPXが列方向に沿って直線状に配される直線状配置パターンを表示駆動に利用するよう設定されれば、直線状に配される明画素部HPXに同じソース配線16から画像信号が供給されて電圧変動が生じ難くなるとともに、直線状に配される暗画素部LPXに同じソース配線16から画像信号が供給されて電圧変動が生じ難くなる。これにより、本来の階調表示を行うのが難しい画素部PXが目立たないようにすることができる。
【0029】
また、本実施形態に係るテレビ受信装置10TVは、上記記載の液晶表示装置10を備える。このようなテレビ受信装置10TVによれば、液晶表示装置10の表示品位が優れているから、表示品位に優れたテレビ画像の表示を実現することができる。
【0030】
また、本実施形態に係る液晶表示装置10の製造方法は、異なる色を呈する複数の画素部PXを行列状に配列してなる液晶パネル11を製造する液晶パネル製造工程(表示部材製造工程)と、複数の画素部PXに相対的に高輝度な明画素部HPXと相対的に低輝度な暗画素部LPXとが含まれて明画素部HPXの表示階調と暗画素部LPXの表示階調との平均階調を利用した表示駆動を行う表示駆動部22と、複数の画素部PXにおける明画素部HPX及び暗画素部LPXの配置パターンを複数種類記憶する記憶部23と、記憶部23に記憶された複数種類の配置パターンの中から選択される配置パターンを表示駆動部22による表示駆動に利用させる設定を行うためのパターン設定部24と、を実装する実装工程と、液晶パネル11に検査画像を表示させて複数の画素部PXの表示階調を検査する検査工程と、検査工程による検査結果に基づいて記憶部23に記憶された複数種類の配置パターンの中から選択される配置パターンを、表示駆動部22による表示駆動に利用させる設定をパターン設定部24により行うパターン設定工程と、を含む。
【0031】
このようにすれば、液晶パネル製造工程及び実装工程を経た後に行われる検査工程では、液晶パネル11に検査画像が表示され、その検査画像に基づいて行列状に配列された複数の画素部PXの表示階調が検査される。続いて行われるパターン設定工程では、この検査工程による検査結果に基づいて記憶部23に記憶された複数種類の配置パターンの中から選択される配置パターンを、表示駆動部22による表示駆動に利用させる設定をパターン設定部24により行う。従って、検査結果において複数の画素部PXに本来とは異なる表示階調の表示を行う画素部PXが含まれていた場合であっても、パターン設定部24により適切な配置パターンを設定することで、本来とは異なる表示階調の表示を行う画素部PXが目立たないようにすることができる。これにより、表示品位が良好なものとなる。
【0032】
また、上記した液晶表示装置10の製造方法において、液晶パネル製造工程では、液晶パネル11に、複数の画素部PXが配列される表示領域AAと、表示領域AAにて列方向に沿って延在しつつ複数の画素部PXに接続されてそれらに画像信号を供給するソース配線16と、表示領域AAを迂回する形で引き回されてその第1配線部21Aがソース配線16の両端側部分16Eと絶縁膜INを介して重畳する予備配線21と、を設けていて、検査工程では、ソース配線16の断線の有無を検査しており、検査工程とパターン設定工程との間に行われて断線が生じていたソース配線16の両端側部分16Eと予備配線21の第1配線部21Aとの重畳箇所間に介在する絶縁膜INを破壊してこれらを短絡させる修理工程を含む。このようにすれば、検査工程にて断線が生じたソース配線16が見つかった場合には、修理工程にて断線が生じていたソース配線16の両端側部分16Eと予備配線21の第1配線部21Aとの重畳箇所間に介在する絶縁膜INを破壊してこれらを短絡させる。すると、予備配線21を介してソース配線16に接続された複数の画素部PXに画像信号を供給することが可能となる。一方、予備配線21を介して画像信号が供給される画素部PXは、予備配線21を介すことなく画像信号が供給される画素部PXに比べると、供給される画像信号に鈍りが生じ易くなっており、本来の階調表示が難しくなるおそれがある。そこで、パターン設定工程では、検査工程による検査結果に基づいて記憶部23に記憶された複数種類の配置パターンの中から選択される配置パターンを、表示駆動部22による表示駆動に利用させる設定をパターン設定部24により行うようにしているので、ソース配線16の断線修理に伴って本来の階調表示を行うのが難しい画素部PXが生じても、その画素部PXが目立たないようにすることができる。
【0033】
<実施形態2>
本発明の実施形態2を
図14または
図15によって説明する。この実施形態2では、画素電極114に対するソース配線116の接続の仕方などを変更したものを示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0034】
本実施形態に係るソース配線116は、
図14に示すように、Y軸方向に沿って延在しつつ千鳥状に並ぶ複数の画素部PXに接続されている。詳しくは、X軸方向及びY軸方向に沿って行列状に並ぶ多数の画素電極114(画素部PX)のうち、ソース配線116を挟んでX軸方向について隣り合う2列の画素電極114群に含まれて千鳥状に並ぶ複数の画素電極114は、共通のソース配線116がTFT113を介して接続されていてその共通のソース配線116から画像信号の供給を受ける。
【0035】
これに対し、本実施形態では図示を省略する記憶部(
図6を参照)は、上記した実施形態1にて説明した5種類の配置パターンに加えて、
図15に示される第4千鳥配置パターン(千鳥配置パターン、ドット反転配置パターン)を記憶している。
図15は、千鳥配置パターンの一種である第4千鳥配置パターンを表す。第4千鳥配置パターンは、第1千鳥配置パターンと同様に、明画素部HPX及び暗画素部LPXがX軸方向について1つずつ交互に並ぶものの、X軸方向及びY軸方向について隣り合う各画素部PXの極性がそれぞれ反転している。第4千鳥配置パターンでは、X軸方向及びY軸方向について隣り合う4つずつの画素部PXの極性が「+−+−」の順となる。
【0036】
このような構成の液晶表示装置の製造方法に含まれるパターン設定工程では、修理工程を経て予備配線を用いた修理が行われた液晶パネルの表示駆動を行う表示駆動部に、記憶部に記憶された6種類の配置パターンの中から
図15に示される第4千鳥配置パターンを選択し、その選択された第4千鳥配置パターンを利用させる設定が行われる。従って、ソース配線116の断線修理に伴って本来の階調表示を行うのが難しい画素部PXが生じていた場合でも、パターン設定部により明画素部HPX及び暗画素部LPXが千鳥状に配される第4千鳥配置パターンが設定されることで、千鳥状に配される明画素部HPXに同じソース配線116から同じ極性の画像信号が供給されて電圧変動が生じ難くなるとともに、千鳥状に配される暗画素部LPXに同じソース配線116から同じ極性の画像信号が供給されて電圧変動が生じ難くなる(
図13を参照)。これにより、本来とは異なる表示階調の表示を行う画素部PXが目立ち難くなるので、表示品位が良好なものとなる。
【0037】
以上説明したように本実施形態によれば、液晶パネルは、列方向に沿って延在しつつ千鳥状に並ぶ複数の画素部PXに接続されてこれらに画像信号を供給するソース配線116を備えており、記憶部は、複数種類の配置パターンに、明画素部HPX及び暗画素部LPXが千鳥状に配される千鳥配置パターンを含むよう記憶する。このようにすれば、千鳥状に並ぶ複数の画素部PXには、接続されたソース配線116により画像信号が供給される。ここで、例えばソース配線116の断線修理などに起因して本来の階調表示を行うのが難しい画素部PXが生じた場合でも、表示駆動部は、パターン設定部によって記憶部に記憶された複数種類の配置パターンの中から明画素部HPX及び暗画素部LPXが千鳥状に配される千鳥配置パターンを表示駆動に利用するよう設定されれば、千鳥状に配される明画素部HPXに同じソース配線116から画像信号が供給されて電圧変動が生じ難くなるとともに、千鳥状に配される暗画素部LPXに同じソース配線116から画像信号が供給されて電圧変動が生じ難くなる(
図13を参照)。これにより、本来の階調表示を行うのが難しい画素部PXが目立たないようにすることができる。
【0038】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記した各実施形態以外にも、記憶部に記憶させる配置パターンの具体的な内容は適宜に変更可能である。具体的には、配置パターンには、明画素部及び暗画素部に係る配列と、画素部の極性に係る配列と、が含まれているが、これらの配列を適宜に変更することができる。前者に関しては、例えば明画素部及び暗画素部がそれぞれX軸方向に沿って直線状に並ぶ配置パターンを採ることも可能である。また、後者に関しては、例えば
図7,
図9及び
図11に示される各配置パターンにおいてX軸方向について隣り合う4つの画素部の極性を「+−+−」の順としたり、
図8及び
図10に示される各配置パターンにおいてX軸方向について隣り合う4つの画素部の極性を「+−−+」の順としたりすることが可能である。
(2)上記した各実施形態では、液晶表示装置を構成する液晶パネルが予備配線を有するとともに、液晶表示装置の製造方法に予備配線を用いた修理工程が含まれる場合を示したが、液晶パネルが予備配線を有しておらず、液晶表示装置の製造方法に修理工程が含まれない場合であっても構わない。液晶パネルの構成によっては、本来的にソース配線から供給される画像信号による画素電極の充電率が芳しくない場合もあり、そのような液晶パネルを備える液晶表示装置では、その製造方法に含まれるパターン設定工程にて、画素電極(画素部)に対するソース配線の接続態様などに応じて複数種類の配置パターンの中から特定の配置パターンを選択し、その選択した配置パターンを表示駆動部による表示駆動に利用させるようパターン設定部により設定を行えばよい。
(3)上記した各実施形態以外にも、液晶パネルにおける画素電極(画素部)に対するソース配線の具体的な接続態様は適宜に変更可能である。
(4)上記した各実施形態では、表示駆動部、記憶部及びパターン設定部がいずれもコントロール基板に設けられた場合を示したが、これらのいずれかまたは全てがコントロール基板以外の部品に設けられていても構わない。
(5)上記した各実施形態では、液晶パネル及びシャーシがその短辺方向を鉛直方向と一致させた縦置き状態とされるものを例示したが、液晶パネル及びシャーシがその長辺方向を鉛直方向と一致させた縦置き状態とされるものも本発明に含まれる。
(6)上記した各実施形態では、液晶表示装置のスイッチング素子としてTFTを用いたが、TFT以外のスイッチング素子(例えば薄膜ダイオード(TFD))を用いた液晶表示装置にも適用可能であり、カラー表示する液晶表示装置以外にも、白黒表示する液晶表示装置にも適用可能である。
(7)上記した各実施形態では、透過型の液晶表示装置を例示したが、それ以外にも反射型の液晶表示装置や半透過型の液晶表示装置にも本発明は適用可能である。
(8)上記した各実施形態では、表示パネルとして液晶パネルを用いた液晶表示装置を例示したが、他の種類の表示パネルを用いた表示装置にも本発明は適用可能である。
(9)上記した各実施形態では、チューナーを備えたテレビ受信装置を例示したが、チューナーを備えない表示装置にも本発明は適用可能である。具体的には、電子看板(デジタルサイネージ)や電子黒板として使用される液晶表示装置にも本発明は適用することができる。