特許第6898834号(P6898834)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6898834
(24)【登録日】2021年6月15日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】流体圧制御装置
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/02 20060101AFI20210628BHJP
【FI】
   F15B11/02 M
【請求項の数】8
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-220301(P2017-220301)
(22)【出願日】2017年11月15日
(65)【公開番号】特開2019-90493(P2019-90493A)
(43)【公開日】2019年6月13日
【審査請求日】2020年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000155609
【氏名又は名称】KYB−YS株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮下 英樹
(72)【発明者】
【氏名】松崎 敬一
【審査官】 北村 一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−148175(JP,A)
【文献】 特開2006−242336(JP,A)
【文献】 特開2014−163421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00−11/22;21/14
E02F 3/42− 3/43; 3/84− 3/85; 9/20− 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ポンプから吐出される作動流体を導くメイン通路と、
前記メイン通路に設けられ、負荷を駆動する流体圧シリンダに給排される作動流体の流れを制御するシリンダ制御弁と、
第2ポンプから前記シリンダ制御弁へ作動流体を導く合流通路と、
パイロット圧が導かれるパイロット通路が接続される第1パイロット室と、タンクに連通するタンク通路のみが接続される第2パイロット室と、を有して、前記合流通路が接続する連通弁と、を備え、
前記パイロット通路には、前記シリンダ制御弁を通じて前記タンクに連通する第1制御通路が接続され、
前記連通弁は、前記第2ポンプから前記シリンダ制御弁へと作動流体を導く供給ポジションと、前記第2ポンプから前記シリンダ制御弁への作動流体の供給を遮断する遮断ポジションと、を有し、前記シリンダ制御弁によって前記第1制御通路が遮断されることにより、前記第1パイロット室に前記パイロット圧が導かれて、前記供給ポジションに切り換わり、
前記タンク通路には、通過する作動流体に抵抗を付与する抵抗部が設けられることを特徴とする流体圧制御装置。
【請求項2】
前記シリンダ制御弁よりも上流において前記メイン通路に設けられ走行モータに給排される作動流体の流れを制御する走行制御弁をさらに備え、
前記パイロット通路には、前記走行制御弁を通じて前記タンクに連通する第2制御通路が接続され、
前記連通弁は、前記シリンダ制御弁によって前記第1制御通路が遮断されると共に前記走行制御弁によって前記第2制御通路が遮断されることにより、前記第1パイロット室に前記パイロット圧が導かれて、前記供給ポジションに切り換わることを特徴とする請求項1に記載の流体圧制御装置。
【請求項3】
前記抵抗部は、前記タンク通路の流路を絞る絞り部であることを特徴とする請求項1または2に記載の流体圧制御装置。
【請求項4】
前記絞り部は、前記連通弁が前記遮断ポジションから前記供給ポジションに切り換わるにつれて、作動流体の流れに付与する抵抗が小さくなるように構成される可変絞りであることを特徴とする請求項3に記載の流体圧制御装置。
【請求項5】
前記抵抗部は、前記シリンダ制御弁を作動させる制御パイロット圧が導かれ前記制御パイロット圧によって作動する切換弁であることを特徴とする請求項1または2に記載の流体圧制御装置。
【請求項6】
前記切換弁は、
前記連通弁の前記第2パイロット室と前記タンクと連通する第1連通ポジションと、
前記第1連通ポジションである状態から前記制御パイロット圧が増加することにより切り換わって前記タンク通路を流れる作動流体に抵抗を付与する制御ポジションと、
前記制御ポジションである状態から前記制御パイロット圧が増加することにより切り換わって前記第2パイロット室と前記タンクとを連通する第2連通ポジションと、を有することを特徴とする請求項5に記載の流体圧制御装置。
【請求項7】
前記切換弁は、前記第1連通ポジションにおいて、前記タンク通路を開放して前記第2パイロット室と前記タンクを連通し、前記第2連通ポジションにおいて、前記タンク通路を開放して前記第2パイロット室と前記タンクとを連通することを特徴とする請求項6に記載の流体圧制御装置。
【請求項8】
前記切換弁は、前記制御パイロット圧が導かれる切換パイロット室と、前記切換パイロット室に前記制御パイロット圧を導くパイロットポートと、を有し、前記第1連通ポジションにおいて、前記パイロットポートを通じて前記第2パイロット室と前記タンク通路とを連通し、前記第2連通ポジションにおいて、前記タンク通路を開放して前記第2パイロット室と前記タンクとを連通することを特徴とする請求項6に記載の流体圧制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体圧制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、建設機械の油圧回路として、3回路・3ポンプ方式のものが開示されている。特許文献1には、車両走行時にアクチュエータ操作が行われた場合に、合流弁によって第3ポンプの油を第1及び第2両回路に合流させる回路構成が開示されている。特許文献1の油圧回路は、ブーム上げ・旋回操作が行われた場合に、合流弁を切り換えて、パラレル通路を通じてブームシリンダが属する第1回路に第3ポンプの油を合流させ、アームシリンダが属する第2回路に対しては旋回用コントロールバルブによって第3ポンプの油を遮断するように構成されている。
【0003】
特許文献1の油圧回路では、パイロット油圧源に連通するパイロットラインが合流弁の第2パイロットポートに接続され、このパイロットラインには、第1サイドバイパスラインが接続される。第1サイドバイパスラインは、アーム用方向切換弁に対して一体的に設けられたサブバルブを通り、その下流側で、タンクに連通するドレンラインに接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−122644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される油圧回路において、例えばアームの作動時には、アーム作動信号であるパイロット圧がアーム用方向切換弁のサブバルブに導かれ、サブバルブが切り換わることによって第1サイドバイパスラインがドレンラインから遮断される。これにより、合流弁の第2パイロットポートにアーム作動信号が入力される。よって、合流弁のポジションが切り換わり、アーム用油圧シリンダには、第2ポンプからの作動油に加え第3ポンプからも作動油が供給される。
【0006】
このように、特許文献1の油圧回路では、例えば車両走行時にアームを操作する複合動作時など、アーム用油圧シリンダへの作動油の流量が不足するような場合には、アーム用方向切換弁と合流弁とが連動して第3ポンプからアーム用油圧シリンダに作動油が供給される。これにより、アーム用油圧シリンダへ供給される作動油の流量不足が防止される。
【0007】
しかしながら、このような油圧回路では、油路やポートを形成するスペースに制限があるため、油路やポートの形状や配置に制限がある。そのため、アーム用方向切換弁が切り換わるタイミングと合流弁が切り換わるタイミングとを精度よく一致させることは困難である。
【0008】
また、アーム用油圧シリンダへの作動油の給排は、アーム用方向切換弁によって制御される。このため、アーム用方向切換弁が切り換わってアーム用油圧シリンダへの作動油の供給が許容される前に、アーム用油圧シリンダに第3ポンプから作動油を供給するように合流弁が切り換わると、第3ポンプの負荷が上昇するおそれがある。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、流体圧制御装置の作動の安定性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、流体圧制御装置であって、第1ポンプから吐出される作動流体を導くメイン通路と、メイン通路に設けられ、負荷を駆動する流体圧シリンダに給排される作動流体の流れを制御するシリンダ制御弁と、第2ポンプからシリンダ制御弁へ作動流体を導く合流通路と、パイロット圧が導かれるパイロット通路が接続される第1パイロット室と、タンクに連通するタンク通路のみが接続される第2パイロット室と、を有して、合流通路が接続する連通弁と、を備え、パイロット通路には、シリンダ制御弁を通じてタンクに連通する第1制御通路が接続され、連通弁は、第2ポンプからシリンダ制御弁へと作動流体を導く供給ポジションと、第2ポンプからシリンダ制御弁への作動流体の供給を遮断する遮断ポジションと、を有し、シリンダ制御弁によって第1制御通路が遮断されることにより、第1パイロット室にパイロット圧が導かれて、供給ポジションに切り換わり、タンク通路には、通過する作動流体に抵抗を付与する抵抗部が設けられることを特徴とする。
【0011】
第1の発明では、連通弁の第2パイロット室とタンクとを連通するタンク通路に抵抗部が設けられるため、抵抗部が作動流体の流れに付与する抵抗を調整することにより、連通弁のポジションが切り換わるタイミングを調整することができる。よって、シリンダ制御弁と連通弁との切り換わりのタイミングを精度よく一致させることができるため、各ポンプの負荷の上昇を抑制することができる。
【0012】
第2の発明は、メイン通路に設けられ走行モータに給排される作動流体の流れを制御する走行制御弁をさらに備え、パイロット通路には、走行制御弁を通じてタンクに連通する第2制御通路が接続され、連通弁は、シリンダ制御弁によって第1制御通路が遮断されると共に走行制御弁によって第2制御通路が遮断されることにより、第1パイロット室にパイロット圧が導かれて、供給ポジションに切り換わることを特徴とする。
【0013】
第2の発明では、走行モータが駆動される車両の走行中において流体圧シリンダが作動する複合作動時の作動油不足を防止することができる。したがって、走行速度の低下を招くことなく複合動作を行うことができる。
【0014】
第3の発明は、抵抗部が、タンク通路の流路を絞る絞り部である。
【0015】
第4の発明は、絞り部が、連通弁が遮断ポジションから供給ポジションに切り換わるにつれて、作動流体の流れに付与する抵抗が小さくなるように構成される可変絞りである。
【0016】
第4の発明では、流体圧シリンダに作動流体を給排するようにシリンダ制御弁が切り換わった後、速やかに連通弁を供給ポジションとすることができ、複合動作を速やかに行うことができる。
【0017】
第5の発明は、抵抗部が、シリンダ制御弁を作動させる制御パイロット圧が導かれ制御パイロット圧によって作動する切換弁であることを特徴とする。
【0018】
第6の発明は、切換弁が、連通弁の第2パイロット室とタンクと連通する第1連通ポジションと、第1連通ポジションである状態から制御パイロット圧が増加することにより切り換わってタンク通路を流れる作動流体に抵抗を付与する制御ポジションと、制御ポジションである状態から制御パイロット圧が増加することにより切り換わって第2パイロット室とタンクとを連通する第2連通ポジションと、を有することを特徴とする。
【0019】
第6の発明では、流体圧シリンダに作動流体を給排するようにシリンダ制御弁が切り換わった後、速やかに連通弁を供給ポジションとすることができ、複合動作を速やかに行うことができる。
【0020】
第7の発明は、切換弁が、第1連通ポジションにおいて、タンク通路を開放して第2パイロット室とタンク室を連通し、第2連通ポジションにおいて、タンク通路を開放して第2パイロット室とタンク室とを連通することを特徴とする。
【0021】
第8の発明は、切換弁が、制御パイロット圧が導かれる切換パイロット室と、切換パイロット室に制御パイロット圧を導くパイロットポートと、を有し、第1連通ポジションにおいて、パイロットポートを通じて第2パイロット室とタンク通路とを連通し、第2連通ポジションにおいて、タンク通路を開放して第2パイロット室とタンク室とを連通することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、流体圧制御装置の作動の安定性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態に係る流体圧制御装置の構成を示す概略図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る連通弁の断面図であり、遮断ポジションである状態を示す図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る連通弁の拡大断面図であり、タンク通路及び絞り部周辺を示す図である。
図4】本発明の第2実施形態の第1変形例に係る連通弁の拡大断面図であり、図3に対応する図である。
図5】本発明の第2実施形態の第2変形例に係る連通弁の拡大断面図であり、図3に対応する図である。
図6】本発明の第3実施形態に係る流体圧制御装置の構成を示す概略図である。
図7】本発明の第3実施形態に係る連通弁及び切換弁を示す拡大断面図であり、切換弁が第1連通ポジションである状態を示す図である。
図8】本発明の第3実施形態の変形例に係る流体圧制御装置の構成を示す概略図である。
図9】本発明の第3実施形態の変形例に係る連通弁及び切換弁を示す拡大断面図であり、切換弁が第1連通ポジションである状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態に係る流体圧制御装置100について説明する。以下では、建設機械、特に油圧ショベルに用いられ、流体圧アクチュエータに給排される作動流体の流れを制御する流体圧制御システム101に設けられる流体圧制御装置100を例に説明する。
【0025】
まず、図1を参照して、流体圧制御装置100を備える流体圧制御システム101の全体構成について説明する。
【0026】
流体圧制御システム101は、作動流体としての作動油を吐出する複数の油圧ポンプP1,P2,P3と、作動油を貯留するタンクTと、クローラ式の左右一対の走行装置(図示省略)を駆動する第1走行モータ1及び第2走行モータ2と、ブーム,アーム,又はバケット等の駆動対象(図示省略)を駆動する流体圧シリンダとしての油圧シリンダ3と、第1走行モータ1、第2走行モータ2、及び油圧シリンダ3の作動を制御する流体圧制御装置100と、を備える。以下では、油圧シリンダ3がブームの駆動する場合を例に説明し、ブーム以外の駆動対象を駆動する油圧シリンダについては、図示及び詳細な説明を省略する。
【0027】
流体圧制御システム101は、第1ポンプとしての第1駆動ポンプP1と、第2駆動ポンプP2と、第2ポンプとしての第3駆動ポンプP3と、の3つの油圧ポンプを備える。第1駆動ポンプP1、第2駆動ポンプP2、及び第3駆動ポンプP3は、エンジン(図示省略)又はモータ(図示省略)によって駆動されて、作動油を吐出する。
【0028】
第1走行モータ1には、第1給排通路10a及び第2給排通路10bを通じて作動油が給排される。第1走行モータ1は、第1給排通路10aから作動油が供給され、第2給排通路10bを通じて作動油が排出されることで正転し、第2給排通路10bから作動油が供給され、第1給排通路10aを通じて作動油が排出されることで逆転する。同様に、第2走行モータ2には、第3給排通路11a及び第4給排通路11bを通じて作動油が給排される。第2走行モータ2は、第3給排通路11aから作動油が供給され、第4給排通路11bを通じて作動油が排出されることで正転し、第4給排通路11bから作動油が供給され、第3給排通路11aを通じて作動油が排出されることで逆転する。
【0029】
油圧シリンダ3は、シリンダチューブ4の内部をロッド側室7とボトム側室8とに区画するピストン5を有する複動形シリンダである。ピストン5にはピストンロッド6が連結される。油圧シリンダ3のロッド側室7には、ロッド側通路12aを通じて作動油が給排される。油圧シリンダ3のボトム側室8には、ボトム側通路12bを通じて作動油が給排される。
【0030】
ボトム側室8に作動油が供給されロッド側室7から作動油が排出されることにより、油圧シリンダ3は伸長作動してブームを上昇させる。反対に、ロッド側室7に作動油が供給されボトム側室8から作動油が排出されることにより、油圧シリンダ3は収縮作動してブームを下降させる。
【0031】
次に、流体圧制御装置100の具体的構成について説明する。
【0032】
流体圧制御装置100は、第1駆動ポンプP1に接続され第1駆動ポンプP1から作動油が供給される第1回路系統C1と、第2駆動ポンプP2に接続され第2駆動ポンプP2から作動油が供給される第2回路系統C2と、第3駆動ポンプP3に接続され第3駆動ポンプP3から作動油が供給される第3回路系統C3と、を備える。
【0033】
第1回路系統C1は、第1駆動ポンプP1から吐出される作動油を導く第1メイン通路13と、第1メイン通路13に設けられ第1走行モータ1に給排される作動油の流れを制御する第1走行制御弁20と、第1走行制御弁20よりも下流において第1メイン通路13に設けられ、油圧シリンダ3に給排される作動油の流れを制御するシリンダ制御弁25と、を備える。
【0034】
第1メイン通路13は、タンクTに連通するドレン通路14に接続され、第1駆動ポンプP1から吐出される作動油をタンクTへ導く。
【0035】
第1走行制御弁20は、第1メイン通路13を開放する中立ポジション20Aと、第1走行モータ1を正転させる正転ポジション20Bと、第1走行モータ1を逆転させる逆転ポジション20Cと、を有する。第1走行制御弁20は、一方のパイロット室21aにパイロット圧が導かれると正転ポジション20Bに切り換わり、他方のパイロット室21bにパイロット圧が導かれると逆転ポジション20Cに切り換わる。一対のパイロット室21a,21bのいずれにもパイロット圧が導かれない状態では、第1走行制御弁20は、一対のセンタリングスプリング22a,22bにより中立ポジション20Aに維持される。
【0036】
第1走行制御弁20が中立ポジション20Aにある状態では、第1走行モータ1に接続される第1給排通路10a及び第2給排通路10bは、それぞれドレン通路14に合流する第1ドレン合流通路14aに連通する。このため、第1走行モータ1は、作動油が給排されず、回転しない。また、第1走行制御弁20には、第1メイン通路13から分岐する分岐通路13aが接続される。第1走行制御弁20が中立ポジション20Aにある状態では、第1メイン通路13は開放され、分岐通路13aは遮断される。
【0037】
第1走行制御弁20が正転ポジション20Bに切り換わると、第1メイン通路13は遮断され、第1走行モータ1には、分岐通路13a及び第1給排通路10aを通じて作動油が導かれる。また、第1走行モータ1から第2給排通路10b及び第1ドレン合流通路14aを通じて作動油が排出される。よって、第1走行制御弁20が正転ポジション20Bに切り換わると、第1走行モータ1が正転する。
【0038】
第1走行制御弁20が逆転ポジション20Cに切り換わると、第1メイン通路13は遮断され、第1走行モータ1には、分岐通路13a及び第2給排通路10bを通じて作動油が導かれ、第1給排通路10a及び第1ドレン合流通路14aを通じて作動油が排出される。このように、第1走行制御弁20が逆転ポジション20Cに切り換わると、第1走行モータ1が逆転する。
【0039】
シリンダ制御弁25は、第1メイン通路13を開放する中立ポジション25Aと、油圧シリンダ3を伸長させる伸長ポジション25Bと、油圧シリンダ3を収縮させる収縮ポジション25Cと、を有する。なお、以下では、伸長ポジション25Bと収縮ポジション25Cとを合わせて「作動ポジション」とも称する。
【0040】
シリンダ制御弁25は、パイロットポンプPPからパイロット弁27を通じて一対のパイロット室26a,26bにパイロット圧(後述する「制御パイロット圧」)が導かれることにより、作動する。パイロット弁27は、作業者による操作レバー28の操作に応じて、一対のパイロット室26a,26bのいずれかにパイロット圧を導く。
【0041】
シリンダ制御弁25は、一方のパイロット室26aにパイロット圧が導かれると伸長ポジション25Bに切り換わり、他方のパイロット室26bにパイロット圧が導かれると収縮ポジション25Cに切り換わる。一対のパイロット室26a,26bのいずれにもパイロット圧が導かれない状態では、シリンダ制御弁25は、一対のセンタリングスプリング27a,27bにより中立ポジション25Aに維持される。
【0042】
シリンダ制御弁25が中立ポジション25Aにある状態では、油圧シリンダ3に接続されるロッド側通路12a及びボトム側通路12bは、第1走行制御弁20との間の第1メイン通路13から分岐する分岐通路13bとの連通がそれぞれ遮断される。また、中立ポジション25Aでは、ロッド側通路12a及びボトム側通路12bは、ドレン通路14に合流する第2ドレン合流通路14bとの連通もそれぞれ遮断される。これにより、油圧シリンダ3は、作動油の給排が遮断されて、負荷保持状態となる。
【0043】
シリンダ制御弁25が伸長ポジション25Bに切り換わると、第1メイン通路13は遮断され、油圧シリンダ3には、分岐通路13b及びボトム側通路12bを通じてボトム側室8に作動油が導かれる。また、ロッド側室7の作動油は、ロッド側通路12a及び第2ドレン合流通路14bを通じてタンクTに排出される。このようにして、シリンダ制御弁25が伸長ポジション25Bに切り換わると、油圧シリンダ3は伸長作動する。
【0044】
シリンダ制御弁25が収縮ポジション25Cに切り換わると、第1メイン通路13は遮断され、油圧シリンダ3には、分岐通路13b及びロッド側通路12aを通じてロッド側室7に作動油が導かれる。また、ボトム側室8の作動油は、ボトム側通路12b及び第2ドレン合流通路14bを通じてタンクTに排出される。このようにして、シリンダ制御弁25が収縮ポジション25Cに切り換わると、油圧シリンダ3は収縮作動する。
【0045】
第2回路系統C2は、第2駆動ポンプP2から吐出される作動油を導く第2メイン通路15と、第2メイン通路15に設けられ第2走行モータ2に給排される作動油の流れを制御する第2走行制御弁30と、第2走行制御弁30よりも下流において第2メイン通路15に設けられ、ブームとは異なる負荷を駆動する油圧シリンダに給排される作動油の流れを制御する制御弁31と、を備える。第2回路系統C2は、第1回路系統C1と同様の構成を有するため、詳細な図示及び説明を省略する。第2回路系統C2の制御弁31は、シリンダ制御弁25と同様の構成を有し、シリンダ制御弁25と同様に、油圧シリンダの作動を制御する。よって、制御弁31の詳細な図示及び説明も省略する。第2回路系統C2には、油圧シリンダの数に応じて複数の制御弁31が設けられてもよい。
【0046】
第3回路系統C3は、第3駆動ポンプP3から吐出される作動油を導くポンプ通路16と、ポンプ通路16に設けられる連通弁40と、連通弁40よりも下流に設けられ、ブームとは異なる負荷を駆動する油圧シリンダに給排される作動油の流れを制御する制御弁44と、を備える。
【0047】
ポンプ通路16は、タンクTに連通しており、第3駆動ポンプP3から吐出される作動油をタンクTへ導く。また、連通弁40の上流には、ドレン通路14を通じてタンクTに連通するリリーフ通路16eが接続される。リリーフ通路16eには、リリーフ弁43が設けられる。第3回路系統C3における制御弁44は、第1回路系統C1におけるシリンダ制御弁25と同様の構成であるため、詳細な図示及び説明を省略する。
【0048】
ここで、作業機においては、第1,第2走行モータ1,2が回転する車両の走行中において、例えばブームを駆動させる複合動作が行われることがある。しかしながら、車両の走行中では第1走行制御弁20が正転ポジション20B又は逆転ポジション20Cにあるため、第1メイン通路13は第1走行制御弁20によって遮断される。このため、車両走行中においては、第1走行制御弁20の下流にあるシリンダ制御弁25には、第1メイン通路13を通じた第1駆動ポンプP1からの作動油の供給が遮断される。これにより、油圧シリンダ3を作動するための作動油の流量が不足する。
【0049】
そこで、流体圧制御装置100では、上記の複合動作を行うために、連通弁40によって第3駆動ポンプP3からシリンダ制御弁25へ作動油が供給される。以下、連通弁40の構成及び動作について説明する。なお、以下では、第1回路系統C1によって作動が制御されるブーム駆動用の油圧シリンダ3を複合動作する場合を例に説明する。第2回路系統C2によって作動が制御される油圧シリンダとの複合動作については、第1回路系統C1の場合と同様の構成を適用できるため、適宜説明を省略する。また、以下では、第1走行制御弁20を単に「走行制御弁20」、第1走行モータ1を単に「走行モータ1」とも称する。
【0050】
まず、図1を参照して、連通弁40の構成について説明する。
【0051】
連通弁40には、第3駆動ポンプP3からシリンダ制御弁25に作動油を導くための第1合流通路17が接続される。第1合流通路17は、走行制御弁20とシリンダ制御弁25の間の第1メイン通路13から分岐する分岐通路13bに連通する。
【0052】
また、連通弁40には、ポンプ通路16から分岐する分岐通路19と、第3駆動ポンプP3から第2回路系統C2の制御弁31に作動油を導くための第2合流通路18と、が接続される。
【0053】
連通弁40は、後述するスプール46(図2参照)の移動により、ポジションが切り換わる。連通弁40は、第3駆動ポンプP3からシリンダ制御弁25へと作動油を導く供給ポジション40Aと、第3駆動ポンプP3からシリンダ制御弁25への作動油の供給を遮断する遮断ポジション40Bと、を有する。なお、分岐通路19は、連通弁40が供給ポジション40A及び遮断ポジション40Bのいずれにあっても遮断されず、第3回路系統C3の制御弁44に第3駆動ポンプP3の作動油を導く。
【0054】
また、連通弁40は、第1パイロット室41aと、第2パイロット室41bと、付勢部材としてのスプリング42と、を有する。連通弁40は、第1パイロット室41aと第2パイロット室41bとの圧力差に応じて作動する。
【0055】
第1パイロット室41aにはパイロット通路50が接続され、パイロット通路50を通じてパイロット圧が導かれる。第1パイロット室41aに導かれるパイロット圧は、連通弁40が供給ポジション40Aに切り換わるように、スプール46に作用する。
【0056】
第2パイロット室41bには、タンクTに連通するタンク通路51が接続される。よって、第2パイロット室41bは、タンクTの内圧に応じた圧力の作動油で満たされる。第2パイロット室41bの圧力は、第1パイロット室41aの圧力に抗するように、スプール46に作用する。また、タンク通路51には、通過する作動油に抵抗を付与する抵抗部として、絞り部60が設けられる。
【0057】
スプリング42は、連通弁40が遮断ポジション40Bに切り換わるように、スプール46を付勢する。よって、連通弁40は、第1パイロット室41aにパイロット圧が導かれない状態では、遮断ポジション40Bとなる。
【0058】
第1パイロット室41aに連通するパイロット通路50には、共通通路52を通じて第1制御通路52aと第2制御通路52bとが接続される。第1制御通路52aは、シリンダ制御弁25を通じてタンクTに連通する。また、第2制御通路52bは、第1走行制御弁20及び第2走行制御弁30を通じてタンクTに連通する。パイロット通路50に接続される第1制御通路52aがシリンダ制御弁25に接続され、第2制御通路52bが第1走行制御弁20に接続されることで、連通弁40を第1走行制御弁20及びシリンダ制御弁25と連動させることができる。連通弁40の作動については、後に詳細に説明する。なお、第1制御通路52aを、第1回路系統C1のシリンダ制御弁25に接続することに加え、第2回路系統C2の制御弁31を通じてタンクTに連通するように構成してもよい。
【0059】
以下、図2を参照して、連通弁40の具体的な構成について説明する。なお、図2では、図1と同様の構成については同様の符号を付して、説明を適宜省略する。また、説明の便宜上、図1に示すように、連通弁40よりも上流のポンプ通路16を「上流ポンプ通路16a」、下流のポンプ通路16を「下流ポンプ通路16b」として説明する。
【0060】
連通弁40は、図2に示すように、第1収容穴45aが形成されるバルブハウジング45と、第1収容穴45aに摺動自在に挿入されポジションを切り換えるスプール46と、バルブハウジング45に取り付けられスプール46の両端を収容する第1キャップ49a及び第2キャップ49bと、を備える。
【0061】
バルブハウジング45には、上流ポンプ通路16aに連通する一対の上流ポート16c、下流ポンプ通路16bに連通する下流ポート16d、第1合流通路17に連通する第1合流ポート17a、第2合流通路18に連通する第2合流ポート18a、及び共通通路52に連通する共通ポート52cが、第1収容穴45aに開口するように形成される。また、バルブハウジング45には、上流ポンプ通路16aに連通する分岐通路19の一部と、第1収容穴45aに連通するドレン通路14の一部と、が形成される。
【0062】
ドレン通路14内には、スプール46が挿入される第1収容穴45aの一部が形成される隔壁部45bが設けられる。ドレン通路14は、隔壁部45bによって一部が2股に分流する。
【0063】
スプール46の外周面には、第1環状溝46a、第2環状溝46b、第3環状溝46c、及び第4環状溝46dが、軸方向一端側(図2中左側)から他端側(図2中右側)に向かって並んで設けられる。
【0064】
第1パイロット室41aは、第1キャップ49aとスプール46の一端部との間に区画される。第1キャップ49aには、パイロット通路50に連通するパイロットポート49cが形成される。第1パイロット室41aは、オリフィス50aを通じて第1キャップ49aのパイロットポート49cに連通する。また、スプール46には、第1パイロット室41aと第2環状溝46bとを連通する第1内部通路47が形成される。第1パイロット室41aは、第1内部通路47及び第2環状溝46bを通じて、共通ポート52cと常時連通する。
【0065】
第2パイロット室41bは、第2キャップ49bとスプール46の他端部との間に区画される。スプリング42は、第2キャップ49とスプール46の他端との間に圧縮状態で設けられ、第2パイロット室41bが拡張する方向にスプール46を付勢する。
【0066】
第2パイロット室41bは、スプール46の他端に形成される第2内部通路48を通じてドレン通路14に常時連通する。第2内部通路48は、第2パイロット室41bに開口しスプール46の軸方向に延びる軸方向通路48aと、スプール46の第4環状溝46dに開口し、軸方向通路48aと連通する径方向通路48bと、を有する。第2内部通路48が、図1に示すタンク通路51に相当する。
【0067】
径方向通路48bの一部は、オリフィスとして形成されて絞り部60(図1参照)を構成する。径方向通路48bは、スプール46の位置に関わらず、第4環状溝46d及び隔壁部45bの第1収容穴45aを通じてドレン通路14に連通する。よって、径方向通路48bに設けられる絞り部60は、スプール46の位置に関わらず、その流路面積に応じた抵抗を作動油の流れに付与する固定絞りとして機能する。
【0068】
次に、図1及び2を参照して、連通弁40の作動について具体的に説明する。
【0069】
走行制御弁20(及び第2走行制御弁30)が中立ポジション20Aであるときは、図1に示すように、第2制御通路52bは、タンクTに連通する。走行制御弁20が正転ポジション20B又は逆転ポジション20Cに切り換わると、第2制御通路52bは、走行制御弁20によってタンクTとの連通が遮断され、他の通路等とは連通せずに閉塞される。なお、図示及び詳細な説明を省略するが、第2回路系統C2の第2走行制御弁30が作動ポジションに切り換わったときも、第2制御通路52bは、遮断される。
【0070】
同様に、第1制御通路52aは、シリンダ制御弁25が中立ポジション25Aであるときは、タンクTに連通する。シリンダ制御弁25が作動ポジション(伸長ポジション25B及び収縮ポジション25Cのいずれか)に切り換わると、第1制御通路52aは、シリンダ制御弁25によってタンクTとの連通が遮断され、他の通路等とは連通せずに閉塞される。
【0071】
よって、走行制御弁20及びシリンダ制御弁25の少なくともいずれかが中立ポジション20A,25Aである状態(言い換えれば、走行モータ1及び油圧シリンダ3の少なくともいずれかが作動しない状態)では、パイロット通路50のパイロット圧は、第2制御通路52b及び/又は第1制御通路52aを通じてタンクTに導かれる。このため、連通弁40は、スプリング42の付勢力によって遮断ポジション40Bになる。
【0072】
連通弁40が遮断ポジション40Bであるときには、図2に示すように、一方の上流ポート16cと下流ポート16dとが第3環状溝46cを通じて連通する。これにより、上流ポンプ通路16aと下流ポンプ通路16bとが連通して、ポンプ通路16が開放される。また、一対の上流ポート16cと第1,第2合流ポート17a,18aとの連通は、スプール46によって遮断される。
【0073】
走行制御弁20が正転ポジション20B又は逆転ポジション20Cに切り換わり、シリンダ制御弁25が伸長ポジション25B又は収縮ポジション25Cに切り換わる複合動作時には、第1制御通路52a及び第2制御通路52bは、それぞれタンクTとの連通が遮断される。よって、パイロット通路50のパイロット圧は、連通弁40の第1パイロット室41aに導かれる。
【0074】
第1パイロット室41aにパイロット圧が導かれると、スプール46は第1パイロット室41aの容積が拡大するように図2中右方向に移動し、第2パイロット室41bの作動油は、径方向通路48b(タンク通路51)の絞り部60及びドレン通路14を通じてタンクTに排出される。これにより、連通弁40は、供給ポジション40Aに切り換えられる。
【0075】
供給ポジション40Aでは、第3環状溝46cを通じて一方の上流ポート16cと第1合流ポート17aとが連通し、第1環状溝46aを通じて他方の上流ポート16cと第2合流ポート18aとが連通する。よって、上流ポンプ通路16aと第1合流通路17とが連通すると共に、上流ポンプ通路16aと第2合流通路18とが連通する。また、供給ポジション40Aでは、上流ポンプ通路16aと下流ポンプ通路16bとの連通がスプール46によって遮断される。
【0076】
これにより、第3駆動ポンプP3の作動油が第1合流通路17を通じてシリンダ制御弁25に導かれるため、走行モータ1とブームを駆動する油圧シリンダ3とを同時に駆動させる複合動作が可能となる。
【0077】
以上のように、連通弁40は、走行制御弁20及びシリンダ制御弁25が切り換わるのに応じて、切り換わる。しかしながら、流体圧制御装置100では、各通路やポートをバルブハウジング45に形成するスペースに制限があり、これに応じて、通路の形状やレイアウトも制限される。よって、走行制御弁20及びシリンダ制御弁25が切り換わるタイミングと連通弁40が切り換わるタイミングとを精度よく一致させることは困難である。
【0078】
例えば、車両の走行中にブームを作動させる場合、シリンダ制御弁25が作動ポジションに切り換わって油圧シリンダ3への作動油の供給が許容される前に、連通弁40が供給ポジション40Aに切り換わると、第3駆動ポンプP3から第1合流通路17へ作動油が導かれる。しかしながら、油圧シリンダ3への作動油の供給はできないため、第3駆動ポンプP3の負荷が上昇する。この結果、第3駆動ポンプP3と共に第1,第2駆動ポンプP1,P2が馬力制御されて吐出容量が減少し、車両の走行速度の低下をまねくおそれがある。
【0079】
これに対し、流体圧制御装置100では、第2パイロット室41bに連通する径方向通路48b(タンク通路51)に絞り部60が設けられる。連通弁40は、絞り部60によって付与される作動油の抵抗に応じて、ポジションが切り換わる。このため、絞り部60が付与する抵抗、具体的には、オリフィス径などを調整することで、連通弁40が切り換わるタイミングを調整できる。つまり、絞り部60が設けられない場合と比較して、絞り部60によって付与される抵抗に応じて、供給ポジション40Aに切り換わるタイミングを遅らせることができる。これにより、シリンダ制御弁25が切り換わるタイミングとほぼ一致させることができる。したがって、シリンダ制御弁25が切り換わるよりも前に連通弁40が供給ポジション40Aに切り換わることを防止することができ、第3駆動ポンプP3の負荷の上昇及び複合動作時の走行速度の低下を防止することができる。なお、第3駆動ポンプP3の負荷の上昇及び複合動作時の走行速度の低下を防止するには、少なくとも、シリンダ制御弁25が作動ポジションに切り換わった後に、連通弁40が供給ポジション40Aに切り換わるように構成すればよく、両者の切り換えのタイミングが完全に一致することに限定されるものではない。
【0080】
次に、本実施形態の変形例について説明する。以下のような変形例も本発明の範囲内であり、以下の変形例と上記実施形態の各構成とを組み合わせたり、以下の変形例と後述の他の実施形態及びその変形例と組み合わせたり、以下の変形例同士を組み合わせたりすることも可能である。また、上記実施形態の説明において記載された変形例についても同様に、他の変形例や他の実施形態と組み合わせることが可能である。
【0081】
上記実施形態では、車両の走行中にブームを作動させる複合動作時に、第3駆動ポンプP3からシリンダ制御弁25に作動油を導く場合について説明した。これに限らず、複合動作時以外の場合においても、油圧シリンダ3に供給される作動油の流量不足を補うために、第3駆動ポンプP3からシリンダ制御弁25に作動油を導くように構成してもよい。例えば、上記実施形態における第2制御通路52bを、ブーム以外(例えばアーム)を作動させる油圧シリンダを制御するシリンダ制御弁(図示省略)に接続してもよい。この場合には、ブームとアームを同時に操作する際に、第3駆動ポンプP3からシリンダ制御弁25に作動油が導かれ、作動油の流量不足が防止される。また、第2制御通路52bを廃止して、連通弁40が単一のシリンダ制御弁25と連動して、第3駆動ポンプP3からシリンダ制御弁25に作動油を導くように構成してもよい。このように、連通弁40は、少なくとも1つのシリンダ制御弁25と連動して、第3駆動ポンプP3の作動油をシリンダ制御弁25に導くように構成されていればよい。
【0082】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0083】
流体圧制御装置100では、連通弁40の第2パイロット室41bとタンクTとを連通するタンク通路51に絞り部60が設けられるため、絞り部60が作動流体の流れに付与する抵抗を調整することにより、連通弁40のポジションが切り換わるタイミングを調整することができる。よって、シリンダ制御弁25と連通弁40との切り換わりのタイミングを精度よく一致させることができるため、各ポンプの負荷の上昇を抑制して車両の走行速度の低下を防止することができる。したがって、流体圧制御装置100の作動が安定する。
【0084】
(第2実施形態)
次に、図3図5を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。以下では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、上記第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0085】
上記第1実施形態では、タンク通路51に設けられる絞り部60は、固定絞りである。これに対し、第2実施形態では、絞り部160は、連通弁40のスプール46の位置に応じて、流路面積が変化する可変絞りである点において、上記第1実施形態とは相違する。以下、第2実施形態について説明する。
【0086】
図3に示すように、第2実施形態では、スプール46の第2内部通路48は、第2パイロット室41bに連通する軸方向通路48aと、軸方向通路48aに連通する2つの径方向通路(以下、それぞれ「第1通路148a」、「第2通路148b」と称する。)と、を有する。第1通路148a及び第2通路148bは、スプール46の軸方向に互いに離間するように形成される。第1通路148a及び第2通路148bは、上記第1実施形態と同様に、それぞれ一部がオリフィス160a,160bとして形成される。第1通路148a及び第2通路148bに形成されるオリフィス160a,160bによって、可変絞りとしての絞り部160が構成される。
【0087】
第2実施形態は、スプール46は、隔壁部45bに設けられる第1収容穴45aに摺動自在に挿入される。
【0088】
第1パイロット室41aにパイロット圧が導かれず、連通弁40が遮断ポジション40Bである状態では、図3に示すように、第1通路148aの開口部は隔壁部45bの内周面によって塞がれ、第2通路148bの開口部は、隔壁部45bの内周面によって一部だけ塞がれている。よって、この状態では、第2パイロット室41bは、第2通路148bを通じてドレン通路14に連通し、第2パイロット室41bからドレン通路14に排出される作動油の流れには、第2通路148bのオリフィス160bの流路面積に応じた抵抗が付与される。
【0089】
第1パイロット室41aのパイロット圧によってスプール46が図中右方向に移動すると、第2通路148bに加え、第1通路148aもドレン通路14に連通する。よって、この状態では、第2パイロット室41bは、第1通路148a及び第2通路148bを通じてドレン通路14に連通する。これにより、第2パイロット室41bからドレン通路14に排出される作動油の流れには、第1通路148aのオリフィス160aと第2通路148bのオリフィス160bの流路面積の和に応じた抵抗が付与される。つまり、この状態では、オリフィス2つ分の流路抵抗となるため、作動油の流れに付与される抵抗は、第2通路148bのみを通じてドレン通路14に連通する場合と比較して、小さくなる。
【0090】
以上のように、本実施形態では、遮断ポジション40Bから供給ポジション40Aに切り換わる直後では、第2通路148bのみがドレン通路14に連通し、第2内部通路48(タンク通路51)を流れる作動油には、比較的大きな抵抗が付与される。その後スプール46が所定量だけ移動すると、第1通路148a及び第2通路148bの両方がドレン通路14に連通して、タンク通路51を流れる作動油には、比較的小さな抵抗が付与される。このようにして、第1通路148a及び第2通路148bの2つのオリフィス160a,160bによって、作動油の流れに付与される抵抗がスプール46のストロークに応じて変化する可変絞りが構成される。
【0091】
本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様に、絞り部160によって付与される抵抗に応じて、連通弁40が供給ポジション40Aに切り換わるタイミングを遅らせることができ、シリンダ制御弁25が切り換わるよりも前に連通弁40が供給ポジション40Aに切り換わることを防止することができる。
【0092】
また、流体圧制御装置100では、複合動作時において、シリンダ制御弁25が作動ポジションに切り換わり、分岐通路13bとボトム側通路12b及びロッド側通路12aのいずれかが連通すると、速やかに連通弁40を供給ポジション40Aに切り換えることが望ましい。しかしながら、上記第1実施形態では、絞り部60が固定絞りであるため、シリンダ制御弁25が作動ポジションに切り換わった後でも、タンク通路51を流れる作動油には比較的大きな抵抗が付与される。つまり、シリンダ制御弁25が作動ポジションに切り換わった後であっても、連通弁40は、供給ポジション40Aに切り換わりにくい状態が維持される。
【0093】
これに対し、第2実施形態に係る連通弁40は、絞り部60が可変絞りであり、第1パイロット室41aのパイロット圧を受けてスプール46が移動するのに伴い、絞り部160が付与する抵抗が小さくなる構成である。このため、シリンダ制御弁25が作動ポジションに切り換わるタイミングに合わせて、作動油の流れに付与する抵抗が小さくなるように絞り部160を形成することで、速やかに連通弁40を供給ポジション40Aに切り換えることができる。
【0094】
以上のように、第2実施形態では、絞り部160を可変絞りとすることによって、シリンダ制御弁25が作動ポジションに切り換わるまでは、連通弁40が供給ポジション40Aに切り換わりにくい。この一方で、シリンダ制御弁25が作動ポジションに切り換わると、連通弁40が供給ポジション40Aに速やかに切り換わる。よって、第2実施形態によれば、第3駆動ポンプP3の負荷の上昇及び複合動作時の走行速度の低下を防止することができると共に、複合動作時に速やかに油圧シリンダ3を駆動させることができる。
【0095】
次に、第2実施形態の変形例について説明する。
【0096】
上記実施形態では、絞り部160は、第1通路148a及び第2通路148bに設けられる2つのオリフィス160a,160bによって可変絞りとして構成される。これに対し、絞り部160を可変絞りとして構成するには、上記構成に限らず、その他の構成であってもよい。
【0097】
例えば、図4に示す第1変形例のように、絞り部160は、軸方向通路48aに連通すると共にスプール46の径方向に延びて外周面に開口する径方向通路161であって、一様な流路断面積を有するものでもよい。この場合には、連通弁40が遮断ポジション40Bの状態では、径方向通路161の開口部は、隔壁部45bによって一部が塞がれる。第1パイロット室41aのパイロット圧を受けてスプール46が図中右方向に移動するのに伴い、径方向通路161の開口部の開口面積が徐々に増加して、作動油の流れに付与される抵抗が徐々に小さくなる。
【0098】
また、図5に示す第2変形例のように、絞り部160は、スプール46の軸方向に沿って外周面に形成されるノッチ162でもよい。ノッチ162は、例えば、軸方向に垂直な断面がV字状に形成される。ノッチ162は、第4環状溝46dに連通すると共に、バルブハウジング45の端面に形成される凹部165を通じて第2パイロット室41bに連通する。また、ノッチ162は、第2パイロット室41b側の側面が、第2パイロット室41bに近づくにつれ深さが小さくなるテーパ面162aとして形成される。連通弁40が遮断ポジション40Bの状態では、ノッチ162のテーパ面162aと凹部165との間の流路面積が比較的小さく、作動油の流れに対して比較的大きな抵抗が付与される。第1パイロット室41aのパイロット圧を受けてスプール46が図中右方向に移動するのに伴い、ノッチ162のテーパ面162aとバルブハウジング45の凹部165との間の流路面積が徐々に増加して、作動油の流れに付与される抵抗が徐々に小さくなる。
【0099】
以上のような第1変形例や第2変形例においても、連通弁40が遮断ポジション40Bから切り換わる直後では、タンク通路51を流れる作動油に付与される抵抗が大きく、スプール46の移動に伴って抵抗が小さくなる。よって、第1実施形態と比較して、複合動作時に速やかに油圧シリンダ3を駆動させることができる。
【0100】
また、オリフィス160a,160bによって可変絞りを構成する上記第2実施形態では、第1,第2通路148a,148bとオリフィス160a,160bとを一度に加工することはできないためそれぞれ別の加工工程を必要とすると共に、オリフィス160a,160bは比較的径が小さいため加工がしにくい。これに対し、第1変形例や第2変形例では、径方向通路161やノッチ162は一度の加工で形成することができ、オリフィス160a,160bのように径が小さいものではないため、第2実施形態と比較して、容易に加工できる。なお、第1変形例や第2変形例に限らず、スプール46が第1パイロット室41aのパイロット圧を受けて移動するのに伴い、作動油の流れに付与される抵抗が連続的又は段階的に小さくなるように構成される限り、可変絞りは任意の構成とすることができる。
【0101】
以上の実施形態によれば、上記第1実施形態が奏する効果に加え、以下に示す効果を奏する。
【0102】
第2実施形態に係る連通弁40では、絞り部160が可変絞りとして形成されるため、第1パイロット室41aのパイロット圧を受けてスプール46が移動するのに伴い、絞り部160が付与する抵抗が小さくなる。このため、シリンダ制御弁25が伸長ポジション25B又は収縮ポジション25Cに切り換わるまでは、連通弁40が供給ポジション40Aに切り換わりにくい。また、シリンダ制御弁25が伸長ポジション25B又は収縮ポジション25Cに切り換わると、連通弁40が供給ポジション40Aに速やかに切り換わるように構成することができる。よって、第3駆動ポンプP3の負荷の上昇及び複合動作時の走行速度の低下を防止することができると共に、複合動作時に速やかに油圧シリンダ3を駆動させることができる。
【0103】
(第3実施形態)
次に、図6及び7を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。以下では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、上記第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0104】
上記第1実施形態では、抵抗部は、タンク通路51の流路を絞る絞り部60である。これに対し、第3実施形態では、抵抗部は、タンク通路51に設けられる切換弁260である点において、第1実施形態とは相違する。
【0105】
まず、図6の油圧回路図を参照して、切換弁260の構成について説明する。
【0106】
切換弁260は、図6に示すように、パイロット弁27からシリンダ制御弁25のパイロット室26a,26bに導かれるパイロット圧(以下、「制御パイロット圧」と称する。)が、高圧選択弁210を通じて導かれる切換パイロット室261と、切換パイロット室261のパイロット圧による推力に抗するように切換スプール265(図7参照)を付勢する切換スプリング262と、を有する。切換弁260は、切換パイロット室261の制御パイロット圧による推力と、切換スプリング262による付勢力と、に応じて切換スプール265が移動して、ポジションが切り換えられる。また、切換パイロット室261には、シリンダ制御弁25を作動させる制御パイロット圧が導かれるため、切換弁260はシリンダ制御弁25と連動する。
【0107】
切換弁260は、連通弁40の第2パイロット室41bとタンクTとを連通する第1連通ポジション260Aと、第1連通ポジション260Aである状態から制御パイロット圧が増加することにより切り換わってタンク通路51を流れる作動油に抵抗を付与する絞りポジションとしての保持ポジション260Bと、保持ポジション260Bである状態から制御パイロット圧が増加することにより切り換わって連通弁40の第2パイロット室41bとタンクTとを連通する第2連通ポジション260Cと、を有する。つまり、切換弁260は、制御パイロット圧が大きくなるにつれて、第1連通ポジション260A、保持ポジション260B、第2連通ポジション260Cの順で切り換わる。
【0108】
切換パイロット室261への制御パイロット圧の供給が遮断されると、切換弁260は、切換スプリング262によって第1連通ポジション260Aに維持される。
【0109】
保持ポジション260Bでは、タンク通路51は、切換弁260によって遮断される。これにより、第2パイロット室41bから作動油が排出されないため、切換弁260が保持ポジション260Bの状態では、連通弁40は供給ポジション40Aに切り換わることがない。なお、本明細書では、「タンク通路51を流れる作動油に抵抗を付与する」とは、切換弁260が保持ポジション260Bとなった状態のように、タンク通路51を閉じて、第2パイロット室41bとタンクTとの連通が完全に遮断されることも含む意味である。なお、保持ポジション260Bに代えて、第2パイロット室41bとタンクTとの連通を完全に遮断せず、第1、第2連通ポジション260A,260Cよりもタンク通路51の流路面積を減少させて作動油の流れに大きな抵抗を付与する絞りポジションとしてもよい。このように、制御ポジションには、保持ポジション260Bと絞りポジションの両方が含まれる。
【0110】
次に、切換弁260の具体的構成について説明する。
【0111】
図7に示すように、切換弁260は、連通弁40の第2キャップ49bに形成される第2収容穴270に摺動自在に挿入される切換スプール265と、第2収容穴270を封止するプラグ280と、を有する。切換パイロット室261は、切換スプール265の一端部とプラグ280との間に区画される。切換スプリング262は、切換スプール265の他端部と第2収容穴270の底部との間に区画されるばね収容室270aに圧縮状態で設けられる。
【0112】
第2キャップ49bには、第2パイロット室41bと第2収容穴270とを連通する第1接続通路271と、ばね収容室270aとタンクTとを連通するための第2接続通路272と、が形成される。第2接続通路272は、連通弁40のバルブハウジング45に形成された第3接続通路273を通じてドレン通路14に連通する。第1接続通路271、第2接続通路272、第3接続通路273が、タンク通路51(図6参照)を構成する。また、第2キャップ49bには、第1接続通路271よりもプラグ280側に設けられ、第2パイロット室41bと第2収容穴270とを連通する第4接続通路274がさらに形成される。
【0113】
プラグ280には、切換弁260の切換パイロット室261に制御パイロット圧を導くパイロットポート280aが形成される。
【0114】
切換スプール265には、環状の第1連通路265aと、第1連通路265aとばね収容室270aとを連通する内部通路として第2連通路265bと、環状の第3連通路265cと、が形成される。また、ばね収容室270aに臨む切換スプール265の端部には、切換スプリング262を支持する軸部267が設けられる。プラグ280に臨む切換スプール265の端面には、径方向に延びるスリット268が形成される。
【0115】
切換弁260の切換パイロット室261に制御パイロット圧が導かれていない状態では、切換弁260は、第1連通ポジション260Aとなる。第1連通ポジション260Aでは、図7に示すように、第4接続通路274、第3連通路265c、切換パイロット室261、及びスリット268を通じて、第2パイロット室41bがパイロットポート280aに連通する。よって、第2パイロット室41bは、パイロット弁27を通じてタンクTに連通する。第1連通ポジション260Aでは、切換スプール265によって第1接続通路271とばね収容室270aとの連通は遮断される。
【0116】
切換弁260の切換パイロット室261に制御パイロット圧が導かれると、切換弁260は、保持ポジション260Bに切り換えられる。保持ポジション260Bでは、切換スプール265によって、第4接続通路274と切換パイロット室261との連通が遮断され、第2パイロット室41bとパイロットポート280aとの連通が遮断される。また、保持ポジション260Bにおいても、切換スプール265によって第1接続通路271とばね収容室270aとの連通が遮断される。よって、切換弁260によって、連通弁40の第2パイロット室41bとタンクTとの連通が遮断される。
【0117】
保持ポジション260Bの状態から切換パイロット室261に導かれる制御パイロット圧が大きくなると、切換スプール265が図中左方向へ移動して、切換弁260は、第2連通ポジション260Cに切り換えられる。第2連通ポジション260Cでは、第1接続通路271と第1連通路265aとが連通し、第2パイロット室41bは、第1接続通路271、第1連通路265a、第2連通路265b、ばね収容室270a、第2接続通路272、及び第3接続通路273を通じてドレン通路14に連通する。これにより、タンク通路51が開放され、第2パイロット室41bの作動油がタンクTに排出される。
【0118】
以上のように、切換弁260は、シリンダ制御弁25を作動させる制御パイロット圧によってシリンダ制御弁25と連動して作動し、シリンダ制御弁25が作動ポジションに切り換わる初期において保持ポジション260Bとなる。このため、シリンダ制御弁25が作動ポジションに切り換わる初期において、シリンダ制御弁25が切り換わる前に、連通弁40が供給ポジション40Aとなることを防止することができる。
【0119】
また、切換弁260は、制御パイロット圧の上昇に伴い、保持ポジション260Bから第2連通ポジション260Cとなる。このため、シリンダ制御弁25が作動ポジションに切り換わった直後に切換弁260が第2連通ポジション260Cとなるように構成することで、速やかに連通弁40を供給ポジション40Aに切り換えることができる。具体的には、シリンダ制御弁25が作動ポジションに切り換わった直後に切換弁260が第2連通ポジション260Cとなるように、切換スプリング262の付勢力と、第1連通路265a及び第1接続通路271との相対位置(言い換えれば、両者が連通するまでの切換スプール265のストローク量)と、を構成すればよい。これにより、複合動作時に速やかに油圧シリンダ3を駆動させることができる。
【0120】
また、切換弁260は、保持ポジション260Bによって、タンク通路51を完全に遮断するため、連通弁40が切り換わることを確実に防止することができる。
【0121】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
【0122】
上記実施形態では、切換弁260は、第1連通ポジション260Aにおいて、プラグ280に形成されるパイロットポート280aを通じて連通弁40の第2パイロット室41bとタンクTとを連通する。つまり、切換弁260が第1連通ポジション260Aにある際には、連通弁40の第2パイロット室41bは、タンク通路51及びドレン通路14を通じてタンクTに連通するものではない。これに対し、切換弁260は、図8に示すように、第1連通ポジション260A及び第2連通ポジション260Cのいずれにおいても、タンク通路51を通じて連通弁40の第2パイロット室41bとタンクTとを連通するものでもよい。以下、図8及び図9を参照して、具体的に説明する。
【0123】
図9に示すように、変形例に係る切換スプール265では、第1連通ポジション260Aにおいて第1接続通路271とばね収容室270aとが直接連通するように構成される。また、変形例に係る切換スプール265では、第3連通路265cと第4接続通路274とが形成されない。このような変形例では、第1連通ポジション260Aにおいて、第2連通第1接続通路271とばね収容室270aとが直接連通し、第2連通ポジション260Cと同様にタンク通路51が開放される。切換弁260が保持ポジション260Bに切り換わると、切換スプール265によって第1接続通路271とばね収容室270aとの直接の連通が遮断される。また、この状態では、第1接続通路271と第1連通路265aとの連通も遮断される。切換弁260が第2連通ポジション260C切り換わると、上記第3実施形態と同様に、第1接続通路271と第1連通路265aとが連通して、第2パイロット室41bが、タンクTと連通する。このような変形例であっても、上記第3実施形態と同様の効果を奏する。また、上記実施形態では、第1連通路265aよりもプラグ280側において切換スプール265に第3連通路265cが形成され、第3連通路265cに連通するように第2キャップ49bに第4接続通路274が形成される。このため、上記実施形態では、加工コストの増加と切換スプール265及び第2キャップ49bの大型化を招く。これに対し、図8及び9に示す変形例では、第3連通路265cと第4接続通路274とが形成されないため、加工コストの低減と切換弁の小型化をすることができる。このように、コスト低減や小型化の観点では、本変形例のように、第1連通ポジション260a及び第2連通ポジション260cのいずれにおいても、タンク通路51を開放するように構成することが望ましい。
【0124】
以上の実施形態によれば、上記第1実施形態が奏する効果に加え、以下に示す効果を奏する。
【0125】
第3実施形態によれば、切換弁260は、シリンダ制御弁25を作動させる制御パイロット圧によってシリンダ制御弁25と連動して作動し、シリンダ制御弁25が伸長ポジション25B又は収縮ポジション25Cに切り換わる初期において保持ポジション260Bとなる。このため、シリンダ制御弁25が伸長ポジション25B又は収縮ポジション25Cに切り換わる初期において、シリンダ制御弁25が切り換わる前に、連通弁40が供給ポジション40Aとなることを防止することができる。
【0126】
また、切換弁260は、シリンダ制御弁25が伸長ポジション25B又は収縮ポジション25Cに切り換わった直後に切換弁260が第2連通ポジション260Cとなるように構成することで、速やかに連通弁40を供給ポジション40Aに切り換えることができる。これにより、複合動作時に速やかに油圧シリンダ3を駆動させることができる。
【0127】
また、切換弁260は、保持ポジション260Bによって、タンク通路51を完全に遮断するため、連通弁40が切り換わることを確実に防止することができる。
【0128】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0129】
流体圧制御装置100は、第1駆動ポンプP1から吐出される作動油を導く第1メイン通路13と、第1メイン通路13に設けられ、負荷を駆動する油圧シリンダ3に給排される作動油の流れを制御するシリンダ制御弁25と、第3駆動ポンプP3からシリンダ制御弁25へ作動油を導く第1合流通路17と、パイロット圧が導かれるパイロット通路50が接続される第1パイロット室41aと、タンクTに連通するタンク通路51が接続される第2パイロット室41bと、を有して、第1合流通路17が接続する連通弁40と、を備え、パイロット通路50には、シリンダ制御弁25を通じてタンクTに連通する第1制御通路52aが接続され、連通弁40は、第1パイロット室41aと第2パイロット室41bとの圧力差に応じて、第3駆動ポンプP3からシリンダ制御弁25へと作動油を導く供給ポジション40Aと、第3駆動ポンプP3からシリンダ制御弁25への作動油の供給を遮断する遮断ポジション40Bと、を有し、シリンダ制御弁25によって第1制御通路52aが遮断されることにより、第1パイロット室41aにパイロット圧が導かれて、供給ポジション40Aに切り換わり、タンク通路51には、通過する作動油に抵抗を付与する抵抗部(絞り部60、160、切換弁260)が設けられる。
【0130】
この構成では、連通弁40の第2パイロット室41bとタンクTとを連通するタンク通路51に抵抗部(絞り部60、160、切換弁260)が設けられるため、抵抗部(絞り部60、160、切換弁260)が作動油の流れに付与する抵抗を調整することにより、連通弁40のポジションが切り換わるタイミングを調整することができる。よって、シリンダ制御弁25と連通弁40との切り換わりのタイミングを精度よく一致させることができるため、各ポンプの負荷の上昇を抑制することができる。したがって、流体圧制御装置100の作動の安定性が向上する。
【0131】
また、流体圧制御装置100は、シリンダ制御弁25よりも上流において第1メイン通路13に設けられ第1走行モータ1に給排される作動油の流れを制御する第1走行制御弁20をさらに備え、パイロット通路50には、走行制御弁20を通じてタンクTに連通する第2制御通路52bが接続され、連通弁40は、シリンダ制御弁25によって第1制御通路52aが遮断されると共に走行制御弁20によって第2制御通路52bが遮断されることにより、第1パイロット室42aにパイロット圧が導かれて、供給ポジション40Aに切り換わる。
【0132】
この構成では、第1走行モータ1が駆動される車両の走行中において油圧シリンダ3が作動する複合作動時の作動油不足を防止することができる。したがって、走行速度の低下を招くことなく複合動作を行うことができる。
【0133】
また、第1及び第2実施形態では、抵抗部は、タンク通路51の流路を絞る絞り部60、160である。
【0134】
また、第2実施形態では、絞り部160は、連通弁40が遮断ポジション40Bから供給ポジション40Aに切り換わるにつれて、作動油の流れに付与する抵抗が小さくなるように構成される可変絞りである。
【0135】
この構成では、油圧シリンダ3に作動油を給排するようにシリンダ制御弁25が切り換わった後、速やかに連通弁40を供給ポジション40Aとすることができ、複合動作を速やかに行うことができる。
【0136】
また、第3実施形態では、抵抗部は、シリンダ制御弁25を作動させる制御パイロット圧が導かれ制御パイロット圧によって作動する切換弁260である。
【0137】
また、第3実施形態では、切換弁260は、連通弁40の第2パイロット室41bとタンクTと連通する第1連通ポジション260Aと、第1連通ポジション260Aである状態から制御パイロット圧が増加することにより切り換わってタンク通路51を流れる作動流体に抵抗を付与する制御ポジション(保持ポジション260B)と、制御ポジション(保持ポジション260B)である状態から制御パイロット圧が増加することにより切り換わって第2パイロット室41bとタンクTとを連通する第2連通ポジション260Cと、を有する。
【0138】
この構成では、油圧シリンダ3に作動油を給排するようにシリンダ制御弁25が切り換わった後、速やかに連通弁40を供給ポジション40Aとすることができ、複合動作を速やかに行うことができる。
【0139】
また、第3実施形態では、切換弁260は、第1連通ポジション260Aにおいて、タンク通路51を開放して第2パイロット室41bとタンクT室を連通し、第2連通ポジション260Cにおいて、タンク通路51を開放して第2パイロット室41bとタンクT室とを連通する。
【0140】
また、第3実施形態に係る変形例では、切換弁260は、制御パイロット圧が導かれる切換パイロット室261と、切換パイロット室261に制御パイロット圧を導くパイロットポート280aと、を有し、第1連通ポジション260Aにおいて、パイロットポート280aを通じて第2パイロット室41bとタンク通路51とを連通し、第2連通ポジション260Cにおいて、タンク通路51を開放して第2パイロット室41bとタンクT室とを連通する。
【0141】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0142】
1,2…走行モータ、3…油圧シリンダ(流体圧シリンダ)、13…第1メイン通路(メイン通路)、15…第2メイン通路(メイン通路)、17…第1合流通路(合流通路)、18…合流通路(合流通路)、20…第1走行制御弁(走行制御弁)、25…シリンダ制御弁、30…第2走行制御弁(走行制御弁)、40…連通弁、40A…供給ポジション、40B…遮断ポジション、41a…第1パイロット室、41b…第2パイロット室、50…パイロット通路、51…タンク通路、52a…第1制御通路、52b…第2制御通路、60…絞り部(抵抗部)、160…絞り部(抵抗部)、260…切換弁(抵抗部)、260A…第1連通ポジション、260B…保持ポジション(制御ポジション)、260C…第2連通ポジション、261…切換パイロット室、280a…パイロットポート、100…流体圧制御装置、P1…第1駆動ポンプ(第1ポンプ)、P3…第3駆動ポンプ(第2ポンプ)、T…タンク
図1
図2
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図7
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図9