(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6898903
(24)【登録日】2021年6月15日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】リアルタイムクロックを備えたトランシーバ装置
(51)【国際特許分類】
H04L 7/00 20060101AFI20210628BHJP
G08C 15/06 20060101ALI20210628BHJP
【FI】
H04L7/00 990
G08C15/06 H
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-203560(P2018-203560)
(22)【出願日】2018年10月30日
(65)【公開番号】特開2019-115036(P2019-115036A)
(43)【公開日】2019年7月11日
【審査請求日】2020年10月22日
(31)【優先権主張番号】17209427.8
(32)【優先日】2017年12月21日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508223789
【氏名又は名称】スティヒティング・イメック・ネーデルラント
【氏名又は名称原語表記】Stichting IMEC Nederland
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】リウ・ヤオ−ホン
【審査官】
阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−055588(JP,A)
【文献】
特表2015−532571(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0150474(US,A1)
【文献】
特開2008−164524(JP,A)
【文献】
特表2003−502980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 7/00
G04G 5/00
G08C 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロック信号を提供するように構成されたリアルタイムクロック(20)と、受信部とを備えるトランシーバ装置であって、
前記受信部は、
通信信号を受信するように構成された主受信機(40)と、
タイムスタンプを含むクロックタイミング情報を備える較正信号を受信し、前記クロックタイミング情報に基づいて前記リアルタイムクロック(20)を調整するウェイクアップ受信機(10)とを備えるトランシーバ装置において、
前記トランシーバ装置は、前記クロックタイミング情報を受信し、前記受信されたクロックタイミング情報を前記リアルタイムクロック(20)のタイミング情報と比較して、トランシーバ装置の前記リアルタイムクロック(20)を調整するためのタイミング誤差を得るように構成されたリアルタイムクロックコントローラ(30)をさらに備え、
前記ウェイクアップ受信機(10)は、前記リアルタイムクロック(20)からの前記クロック信号を介して周期的にイネーブルされるように構成され、
前記リアルタイムクロックコントローラ(30)は、
前記リアルタイムクロック(20)の前記タイミング情報を抽出するためのカウンタ(32)と、
前記受信されたクロックタイミング情報と、前記リアルタイムクロック(20)の前記タイミング情報との比較を実行して、前記タイミング誤差を出力する比較手段(31)と、
前記タイミング誤差をフィルタリングして、前記リアルタイムクロック(20)を調整するための周波数制御信号を発生して、前記リアルタイムクロック(20)に出力するデジタルループフィルタ(33)とを備えるトランシーバ装置。
【請求項2】
前記ウェイクアップ受信機(10)は、ウェイクアップ信号を受信し、前記ウェイクアップ信号を受信したときに前記主受信機(40)をウェイクアップさせるために使用されるように構成される請求項1に記載のトランシーバ装置。
【請求項3】
前記リアルタイムクロック(20)は、前記主受信機(40)をウェイクアップさせるように構成される請求項1に記載のトランシーバ装置。
【請求項4】
センサ装置をさらに備える請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載のトランシーバ装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のトランシーバ装置を備えるセンサネットワークにおけるセンサノードとして使用するための装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の1つ以上のトランシーバ装置を備える通信システム。
【請求項7】
マスタ装置として動作するように構成された別のトランシーバ装置を備える請求項6に記載の通信システム。
【請求項8】
ネットワーク内のスレーブとして動作する第1のトランシーバ装置のリアルタイムクロック(20)を較正する較正方法であって、
前記較正方法は、
前記第1のトランシーバ装置の受信部の一部を形成するウェイクアップ受信機(10)をイネーブルするステップと、
前記ウェイクアップ受信機(10)において、タイムスタンプを含むクロックタイミング情報を含む較正信号を受信し、前記クロックタイミング情報に基づいて前記リアルタイムクロック(20)を調整するステップとを含む較正方法において、
タイムスタンプを含む前記受信されたクロックタイミング情報は、前記リアルタイムクロック(20)のタイミング情報と比較されてタイミング誤差を得ることで、前記リアルタイムクロック(20)を調整し、
前記ウェイクアップ受信機(10)は、前記リアルタイムクロック(20)からのクロック信号を介して周期的にイネーブルされ、
前記較正方法は、
前記リアルタイムクロック(20)の前記タイミング情報を抽出するステップと、
前記受信されたクロックタイミング情報と、前記リアルタイムクロック(20)の前記タイミング情報との比較を実行して、前記タイミング誤差を出力するステップと、
前記タイミング誤差をフィルタリングして、前記リアルタイムクロック(20)を調整するための周波数制御信号を発生して、前記リアルタイムクロック(20)に出力するステップとを含むことを特徴とする較正方法。
【請求項9】
前記較正信号が受信されるとき、前記第1のトランシーバ装置の受信部の一部を形成する主受信機が前記ウェイクアップ受信機(10)でウェイクアップされる請求項8に記載の較正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、センサネットワークの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば無線センサネットワークを形成するセンサノードによって収集されたほとんどのデータは、非常にゆっくりと変化する。従って、多くのアプリケーションでは、ほとんどのデータは数分又は数時間ごとに1回だけ送信する必要がある。
【0003】
複数のセンサノードは、典型的には、送信機/受信機構造(すなわち、トランシーバ)と、センサと、センサインタフェースと、例えばバッテリのようなエネルギー源と、コントローラとを備える。センサ及びエネルギー源は、センサノードに統合されていてもよく、センサノードの外部にあってもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
寿命がますます長くなるバッテリを使用する傾向は明確である。1回の設置又はエネルギー収集作業で10年のバッテリ寿命の厳しい目標を達成するために、RFトランシーバ(これはセンサネットワークでは最も電力を消費するブロックである)は、非常に低いデューティサイクル(すなわち、睡眠時間に対するオンタイムの比)を有するべきであり、これにより、平均消費電力を最小限に抑えることができる。例えば、RFトランシーバの平均消費電力は、100mAhの小型バッテリで10年間持続するために1μW以下にする必要がある。
【0005】
最小平均消費電力とデューティサイクルに達するための2つの重要な制限要因があり、これは、リーク電流とリアルタイムカウンタの精度である。リークの問題に対処するために、高度な電力管理と不揮発性メモリが広く検討される。しかしながら、リアルタイムカウンタの精度はこれまでのところほとんど注目されていませんでした。リアルタイムカウンタの周波数誤差が1%の場合、同期を失わないようにするためにトランシーバをより長く有効にする必要があるため、最低デューティサイクルも約1%に制限されている。ピーク電力が10mWのトランシーバの場合、1μW以下の平均電力を達成するためにデューティサイクルを10
−5に低減する必要があり、このことは、リアルタイムカウンタの精度を約10ppmにする必要があり、すなわち、水晶発振器(XO)と同等の精度にする必要がある。ここで、低電力のRCベースのリアルタイムカウンタは、通常、10000ppm程度の精度を有する。
【0006】
主水晶発振器の整定時間又はシステム処理オーバヘッドが支配的な要因となるときには、デューティサイクルをさらに減少させても、平均電力が減少することはない。
【0007】
当技術分野では、高精度の外部温度補償された水晶発振器の使用が提案される。そのような温度補償されたXOは、10μAも消費することがあり、すなわち、オンチップ緩和発振器の100倍以上である。重要な欠点は、これは非常に高価な解決策であるということである。
【0008】
リアルタイムカウンタを較正するために水晶発振器を使用する場合、周波数オフセットのみが較正され、ノイズ、温度又は電源電圧に起因する変動は考慮していない。
【0009】
また、周波数がネットワークレベルで同期している場合、周波数ドリフトのみが較正されるが、ノイズによって誘発される変動は較正されない。
【0010】
従って、長い動作寿命又はエネルギー収穫ベースの動作を可能にするために超低電力である同期方法が必要である。
【0011】
本開示の実施形態の目的は、正確なウェイクアップタイミングのための機構を含むトランシーバ装置を提供することである。このようなトランシーバ装置を利用可能にすることは、センサネットワークにおいて超低電力同期を確立するための重要なステップである。また、本開示の目的は、このようなトランシーバ装置を較正するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的は、本開示による解決策によって達成される。
【0013】
第1の態様において、本開示は、クロック信号を提供するように構成されたリアルタイムクロックと、受信部とを備えたトランシーバ装置に関する。
前記受信部は、
通信信号を受信するように構成された主受信機と、
タイムスタンプを含むクロックタイミング情報を含む較正信号を受信し、前記クロックタイミング情報に基づいて前記リアルタイムクロックを調整するように構成されたウェイクアップ受信機とを備える。
【0014】
提案された解決策は、実際に、ウェイクアップ受信機において定期的に較正信号を受信することを可能にし、消費電力及びコストを低減してネットワーク同期が可能となる。
【0015】
好ましい実施形態においては、ウェイクアップ受信機はウェイクアップ信号を受信し、ウェイクアップ信号の受信時に主受信機をウェイクアップさせるように構成される。
【0016】
他の好ましい実施形態においては、リアルタイムクロックは、前記主受信機をウェイクアップさせるように構成される。
【0017】
他の好ましい実施形態においては、ウェイクアップ受信機は、リアルタイムクロックからのクロック信号を介して周期的にイネーブルされるように構成される。
【0018】
前記受信部は、マスタとして動作するトランシーバ装置からクロックタイミング情報を受信し、受信したクロックタイミング情報とリアルタイムクロックのタイミング情報とを比較することでトランシーバ装置のリアルタイムクロックを調整するためのタイミング誤差を得るように構成されたリアルタイムクロックコントローラを備える。前記リアルタイムクロックコントローラは、有利には、リアルタイムクロックのタイミング情報を抽出するカウンタを備える。
【0019】
前記トランシーバ装置は、特定の実施形態では、受信クロックタイミング情報とリアルタイムクロックのタイミング情報との比較を実行する比較手段を備える。
【0020】
一実施形態においては、前記リアルタイムクロックコントローラは、タイミング誤差をフィルタリングするデジタルループフィルタをさらに備える。
【0021】
有利には、前記トランシーバ装置は、センサ装置をさらに備える。
【0022】
別の態様では、本開示は、前述したトランシーバ装置を含むセンサネットワークにおけるセンサノードとして使用するための装置に関する。
【0023】
1つの態様では、本開示は、前述したような1つ以上のトランシーバ装置を備える通信システムに関する。
【0024】
好ましい実施形態では、通信システムは、マスタ装置として動作するように構成された別のトランシーバ装置を備える。
【0025】
別の態様では、本開示は、ネットワーク内のスレーブとして動作する第1のトランシーバ装置のリアルタイムクロックを較正するための方法であって、
前記第1のトランシーバ装置の受信部の一部を形成するウェイクアップ受信機を可能にするステップと、
前記ウェイクアップ受信機においてタイムスタンプを含むクロックタイミング情報を含む較正信号を受信するステップと、
前記クロックタイミング情報に基づいてリアルタイムクロックを調整するステップとを含む。
【0026】
本方法の実施形態では、前記較正信号が受信されるとき、前記第1のトランシーバ装置の受信部の主受信機形成部分が前記ウェイクアップ受信機でウェイクアップされる。
【0027】
特定の実施形態では、前記ウェイクアップ受信機は、リアルタイムクロックからのクロック信号を介して周期的にイネーブルされる。
【0028】
要約のために、本開示及び先行技術よりも達成される利点、本開示の特定の目的及び利点は、本明細書において上に記載される。当然のことながら、必ずしもそのような目的又は利点のすべてが本開示の特定の実施形態に従って達成されるとは限らない。従って、例えば、当業者であれば、本開示は、必ずしも他の目的又は利点を達成することなく、本明細書で教示又は示唆されるように、本明細書で教示されるような1つの利点又は利点群を達成又は最適化する。
【0029】
また、本開示の上記及び他の態様は、以下に記載される実施形態を参照して明らかになるであろう。
【0030】
本開示は、添付の図面を参照して例としてさらに説明されるが、同様の参照番号は、様々な図における同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】マスタトランシーバとスレーブトランシーバを備えたネットワーク構造を示す。
【
図2】本発明の一実施形態に係るトランシーバのブロック図であり、受信部の主要ブロックを示す。
【
図3】
図1のネットワーク構造とともに使用することができる通信方式を示す。
【
図4】ウェイクアップ受信機は連続的にイネーブルされる別の通信方式を示す。
【
図5】本開示のトランシーバ装置によって達成され得るクロックのデューティサイクルの低減を示す。
【
図6】較正及びクロック補正を示すブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本開示は、特定の実施形態及び特定の図面を参照して説明するが、本開示はそれに限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0033】
さらに、説明及び特許請求の範囲における第1、第2などの用語は、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも時間的に、空間的に、ランク付けで、又は他の方法でシーケンスを記述するためではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であることは理解されるべきである。本明細書に記載された開示の実施形態は、本明細書に記載又は図示された以外の順序で動作することができることを理解されたい。
【0034】
特許請求の範囲で使用される用語「備える」は、その後に列挙される手段に限定されるものとして解釈されるべきではなく、他の要素又はステップを排除するものではないことは気づかれるべきことである。従って、記載された特徴、整数、ステップ又は構成要素の存在を指定するものとして解釈されるべきであり、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ又は構成要素、又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。従って、「手段A及びBを備える装置」という表現の範囲は、成分A及びBのみからなる装置に限定されるべきではない。このことは、本開示に関して、装置の唯一の関連する構成要素は、A及びBであることを意味する。
【0035】
本明細書を通じて、「一実施形態」又は「実施形態」とは、実施形態に関連して説明した特定の特徴、構造、又は特性は、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれる。このように、本明細書の様々な箇所における「一実施形態では」又は「実施形態では」という表現の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造又は特性は、1つ以上の実施形態において、本開示から当業者に明らかであるように、任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0036】
同様に、本開示の例示的な実施形態の説明において、本開示の合理化及び様々な発明的態様の1つ又は複数の理解を助ける目的で、本開示の様々な特徴が、単一の実施形態、図、又はその説明で一緒にグループ化されることがある。しかしながら、この開示の方法は、意図を反映すると解釈されるべきではない。請求された開示は、各請求項に明示的に記載されるより多くの特徴を必要とする。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の態様は、単一の前述の開示された実施形態のすべての特徴よりも少ないものである。従って、詳細な説明に続く請求項は、この詳細な説明に明示的に組み込まれ、各請求項は、本開示の別個の実施形態として独立して立っている。
【0037】
さらに、本明細書で説明されるいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれるいくつかの他の特徴を含むが、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、本開示の範囲内であり、当業者には理解されるように、異なる実施形態を形成することを意味する。例えば、特許請求の範囲において、特許請求された実施形態のいずれかは、任意の組み合わせで使用することができる。
【0038】
特定の用語の使用については、本開示の特定の特徴又は態様を説明するとき、その用語が関連付けられている用語が本開示の特徴又は態様の任意の特定の特徴を含むように限定されることを意味すると暗示するべきではない。
【0039】
本明細書で提供される説明では、多くの具体的な詳細が述べられている。しかし、本開示の実施形態は、これらの特定の詳細なしで実施されてもよい。他の例では、周知の方法、構造及び技術は、この説明の理解を不明瞭にしないために詳細に示されていない。
【0040】
低電力同期を可能にするために、本開示は、新規な構造を有するトランシーバ装置、及び、それがネットワークの一部であるようなトランシーバ装置を較正するための方法を開示する。
【0041】
本開示を説明するために、
図1に示す例示的なネットワーク構造が考誤差れる。無線ノードのネットワークが示されている。1つの無線トランシーバがマスタノードとして使用される。スレーブノードとして機能する2つのトランシーバ装置が示されている。送信機部及び受信機部の他に、各スレーブ装置には、リアルタイムクロック20が提供される。
【0042】
本発明によれば、スレーブとして動作するトランシーバ装置は、通信信号を受信することができる主受信機40を備える受信部を有するだけでなく、ウェイクアップ受信機10も備える。本開示はまた、較正方法を開示し、ここで、このウェイクアップ受信機は重要な役割を果たす。
【0043】
本開示のトランシーバの高レベルアーキテクチャのより詳細な図を
図2に示す。本開示の好ましい実施形態では、ウェイクアップ受信機(WuRX)10は、リアルタイムカウンタ(RTC)20のクロック信号によって周期的にイネーブルされる。この明細書では、「リアルタイムカウンタ」及び「リアルタイムクロック」という用語は同じものを指し、互換的に使用される。一旦使用可能になると、ウェイクアップ受信機は、マスタノードからクロックタイミング情報及び/又はウェイクアップ信号を含む較正信号を受信する準備が整う。
図2に示すように、受信部はリアルタイムクロックコントローラ30を備え、リアルタイムクロックコントローラ30はマスタ装置から受信したクロックタイミング情報を受信する。受信されたクロックタイミング情報に基づいて、スレーブ装置は、以下に詳述するように、リアルタイムカウンタのクロック信号を補正することができる。マスタノードの送信機は、正確な水晶発振器を使用して正しいタイミング基準を生成する。またそれは、タイムスタンプを含む較正信号をスレーブ装置に定期的に送信する。マスタノード内の精密な水晶発振器は、安定した信号中心周波数を生成するためにさらに使用される。
【0044】
あるいは、ウェイクアップ受信機は継続的に使用可能になる。このようにして、ウェイクアップはいつでも着信較正信号を聞く準備ができている。
【0045】
しかしながら、本開示は、定期的にイネーブルされるウェイクアップ受信機を参照して以下に説明される。
【0046】
一実施形態では、ウェイクアップ信号が受信されると、ウェイクアップ受信機はスレーブトランシーバ装置の受信部内の主受信機をウェイクアップする。これにより、主受信機のオン時間が短縮される。ウェイクアップ信号は、マスタノードが通信信号をスレーブノードに送信する直前に送信される。
【0047】
他の実施形態では、主受信機は、リアルタイムカウンタ(RTC)20からのクロック信号を介して直接的にウェイクアップされる。これは、
図2に破線で示される。
【0048】
図3は、典型的な通信方式を示す。通常の時間に、スレーブ装置のウェイクアップ受信機がイネーブルされる。その後、クロックタイミング情報を含む較正信号を受信することができる。
図3はまた、第2の較正信号送信及び第3の信号(ウェイクアップ信号)送信を示す。ウェイクアップ信号の送信は、主バースト信号を送信する直前に行われる。
【0049】
図4は、
図3と同様の方法を提供するが、いまこの場合、ウェイクアップ受信機は継続的にイネーブルされる。ウェイクアップ受信機は、クロックタイミング情報を含む較正信号を受信する準備ができている。
【0050】
提案された手法は、代わりに水晶発振器が使用される場合のようにスレーブノードの電力消費を増加させることなく、リアルタイムクロック精度を水晶発振器と同様のレベルに調整し、すなわち、10,000ppm〜10ppmに調整する。ウェイクアップ受信機自体は、非常に低い電力を消費し、短時間しかイネーブルされない。
図5は、計算された平均消費電力(μW)対デューティサイクルを示している。上側の曲線は、較正を伴う典型的なリアルタイムクロックに基づいて計算され、下側の曲線は、本開示で提案されたように較正されたリアルタイムクロックに基づいて計算される。
図5に示すように、較正なしのリアルタイムクロックによる平均消費電力は約10μWに制限され、デューティサイクルが10
−5以下にまで低減される。一方、リアルタイムクロックが10ppmの精度で較正される場合、クロックデューティサイクルが10
−5に減少したときにスレーブノードの平均消費電力を0.9μWに減少させる。
【0051】
ここで、
図6のブロック図を参照して、較正及びリアルタイムクロック補正の詳細を提供する。ウェイクアップ受信機は、そのアンテナを介して、タイムスタンプを含む較正信号を受信する。
図6は、マスタ装置からクロックタイミング情報を受信するリアルタイムクロックコントローラを提供する。リアルタイムコントローラはさらに、この情報をスレーブトランシーバに含まれるリアルタイムクロックから導出されたタイミング情報と比較するように構成される。また、
図6に示すように、コントローラは、有利には、スレーブ装置のリアルタイムクロック出力からリアルタイム情報を抽出するカウンタを備える。次に、コントローラは、受信されたクロックタイミング情報を比較することによって、すなわち、そこに含まれるタイムスタンプと、リアルタイムクロックのタイミング情報とを比較することによって、タイミング誤差を判定することができる。
【0052】
好ましい実施形態では、タイミングループにフィルタリングするデジタルループフィルタが設けられている。
【0053】
なお、スレーブノードで水晶発振器を必要とせずに安定した信号中心周波数を提供する方法を問題解決のために提供するために、同様の方法で上記の方法を適用することができる。
【0054】
多くの無線センサネットワークは、「同期」ネットワーク構造を使用している。この種の同期ネットワークでは、コントロールセンターとして、1つ又は複数のスレーブ装置との通信を構成するマスタノードが存在する。これらのスレーブ装置は、典型的にはセンサを備え、環境情報を収集してマスタノードに送信する。このようなネットワーク構造では、マスタノードは、制御情報(又はビーコン信号)を周期的に送信する。スレーブノードは、この制御情報を受信するために周期的にウェイクアップし、センサデータをマスタノードに返送する必要がある。それが必要な場合、これらのスレーブノードがマスタからの制御情報を含む信号を見逃さないようにするために、彼らは適切な時にウェイクアップする必要がある。さもなければ、制御信号を逃さないためにはるかに早くオンにする必要があり、不要なエネルギーの浪費を引き起こす。提示された開示では、リアルタイムクロック精度が較正されるのであるレーブノードは正しい時刻にウェイクアップすることができる。
【0055】
上述の無線センサネットワークと同様に、多くの無線通信ネットワークも同様のマスタ−スレーブネットワーク構造を使用する。例えば、セルラシステムの基地局はマスタに相当し、携帯電話はスレーブ装置である。携帯電話の受信機は、基地局から制御情報を受信するために定期的にオンにする必要がある。携帯電話のバッテリ寿命を延ばすために、同様のアプローチを採用して、携帯電話のウェイクアップタイミングが正確に較正されるようにすることができる。
【0056】
本開示は、図面及び前述の説明において詳細に図示され説明されてきたが、そのような図示及び説明は、例示的又は例示的であって制限的ではないとみなされるべきである。前述の説明は、本開示の特定の実施形態を詳述するものである。しかし、前述の内容がどれほど詳細に記述されていても、この開示は多くの方法で実施することができる。開示は、開示された実施形態に限定されない。
【0057】
開示された実施形態に対する他の変形例は、請求された開示を実施する際に当業者によって理解され得、図面、開示及び添付の特許請求の範囲から明らかである。特許請求の範囲において、「備える」という単語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数を排除しない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項に列挙された、いくつかの項目の機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、適切な媒体上に記憶/配布されてもよく、他のハードウェアと一緒に又は他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体又は固体媒体などの他の形態で配布されてもよいが、インターネット又は他の有線又は無線の電気通信システムを介して、他の形式で配布されてもよい。特許請求の範囲内のいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。