特許第6898983号(P6898983)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6898983ガス拡散電極およびそのような電極を有する燃料電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6898983
(24)【登録日】2021年6月15日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】ガス拡散電極およびそのような電極を有する燃料電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/86 20060101AFI20210628BHJP
   H01M 4/88 20060101ALI20210628BHJP
   H01M 8/10 20160101ALI20210628BHJP
   H01M 8/1023 20160101ALI20210628BHJP
   H01M 8/1048 20160101ALI20210628BHJP
   H01M 8/1004 20160101ALI20210628BHJP
   H01B 1/06 20060101ALI20210628BHJP
   C08F 8/32 20060101ALI20210628BHJP
【FI】
   H01M4/86 M
   H01M4/86 B
   H01M4/88 K
   H01M8/10 101
   H01M8/1023
   H01M8/1048
   H01M8/1004
   H01B1/06 A
   C08F8/32
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-507731(P2019-507731)
(86)(22)【出願日】2017年9月4日
(65)【公表番号】特表2019-525425(P2019-525425A)
(43)【公表日】2019年9月5日
(86)【国際出願番号】EP2017072124
(87)【国際公開番号】WO2018046446
(87)【国際公開日】20180315
【審査請求日】2019年2月12日
(31)【優先権主張番号】102016116632.4
(32)【優先日】2016年9月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591037096
【氏名又は名称】フオルクスワーゲン・アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】VOLKSWAGEN AKTIENGESELLSCHAFT
(73)【特許権者】
【識別番号】591006586
【氏名又は名称】アウディ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】AUDI AG
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ベーレント,ライナー ニコ
【審査官】 高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102013219010(DE,A1)
【文献】 特開2010−118269(JP,A)
【文献】 特開2005−056833(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/083029(WO,A1)
【文献】 特開2007−250210(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102015224835(DE,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0051281(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/86−4/98
H01M 8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池(10)用のガス拡散電極(20)であって、
金属陽イオンと錯形成可能な官能基を有する有機ポリマーから形成された気体透過性基材(221)と、
前記官能基によって基材(221)の第1の平坦な側(222)の表面でおよび/または基材(221)の第1の平坦な側(222)の表面に隣接した領域(224)で結合された触媒的に活性な貴金属粒子および/または原子と、
を備え、
前記官能基に結合された前記貴金属粒子および/または原子は、前記官能基に結合された状態で、ゼロ酸化状態に還元されている、燃料電池(10)用のガス拡散電極(20)。
【請求項2】
前記官能基は、アミドキシム基、ヒドロキサム酸基、アミドラゾン基、またはこれらの混合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載のガス拡散電極(20)。
【請求項3】
前記有機ポリマーは、ニトリル基が、部分的または完全に反応して、アミドキシム基、ヒドロキサム酸基および/またはアミドラゾン基を形成している、ニトリル基含有ポリマーであり、特に、ヒドロキシルアミンおよび/またはヒドラジンと反応したポリアクリロニトリル(PAN)、またはコポリマーまたはそれらの混合物であることを特徴とする、請求項1または2に記載のガス拡散電極(20)。
【請求項4】
前記有機ポリマーは、ヒドロキシルアミンと反応したアクリロニトリルおよびアクリル酸モノマーのコポリマー、またはヒドロキシルアミンと反応したポリアクリロニトリル(PAN)とポリアクリル酸との混合物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1つに記載のガス拡散電極(20)。
【請求項5】
気体透過性基材(221)は、前記有機ポリマーの繊維から、特に、不織ウェブ、フェルトまたはクロスプライラミネートの形態で、形成されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1つに記載のガス拡散電極(20)。
【請求項6】
前記触媒的に活性な貴金属粒子および/または原子の濃度は、基材(221)の第1の平坦な側(222)からの勾配で内側へと低減することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1つに記載のガス拡散電極(20)。
【請求項7】
燃料電池(10)用のガス拡散電極(20)を製造する方法であって、
金属陽イオンと錯形成することができる官能基を有する有機ポリマーから形成された気体透過性基材を調製し、
基材の第1の平坦な側の表面に存在する、および/または基材の第1の平坦な側の表面に隣接する領域に存在する前記官能基に、触媒的に活性な貴金属のイオンを負荷して、その錯形成を行い、
錯形成されて結合された貴金属のイオンをゼロ酸化状態に還元する、
ことを含む、燃料電池(10)用のガス拡散電極(20)を製造する方法。
【請求項8】
燃料電池(10)であって、高分子電解質膜(11)と、高分子電解質膜(11)の両側に配置された請求項1〜の1つに記載のガス拡散電極(20)と、ガス拡散電極(20)に接続されたバイポーラプレート(17)と、を備え、貴金属粒子および/または原子を含有する、ガス拡散電極(20)の触媒的に活性な第1の平坦な側(222)が、それぞれの場合、高分子電解質膜(11)に接触する、燃料電池(10)。
【請求項9】
高分子電解質膜(11)は、ポリアクリロニトリルに基づく膜であり、ポリアクリロニトリルに基づく膜のニトリル基が、少なくとも部分的に反応してアミドキシム基を形成していることを特徴とする、請求項8に記載の燃料電池(10)。
【請求項10】
高分子電解質膜(11)と、接続されたガス拡散電極(20)との間には、さらなる層、特に、微孔性層も、触媒層も存在しないことを特徴とする、請求項8または9に記載の燃料電池(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単純な構造の燃料電池用のガス拡散電極に関する。本発明はまた、ガス拡散電極を有する燃料電池、およびこの種の燃料電池を有する燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、電気エネルギーを生成するために、水を生成する燃料の酸素との化学反応を用いる。この目的のために、燃料電池はその核心となる構成要素として、いわゆる膜電極アッセンブリ(MEA)を含み、膜電極アッセンブリは、イオン伝導性(通常プロトン伝導性)の膜と、膜の両側にそれぞれ配置された触媒電極(アノードおよびカソード)とから作成された構造または複合物である。これらの電極は通常、担持された貴金属粒子、特に白金と、ポリマーバインダーとから成る触媒層を備える。ガス拡散層(GDL)が、膜電極アッセンブリの両側で膜とは反対の電極の側に配置され、微孔性層もしばしば、GDLへの触媒粒子の貫入を防止するためにGDLと触媒層との間に配置される。典型的なGDLは通常、(発泡)黒鉛、炭素繊維または親水性化ポリマー材料から作成される。触媒層は、膜の両側に直接適用可能であり、この場合、触媒被覆膜(CCM)という用語が使用される。代替として、触媒層は、GDLまたは微孔性層に適用され、ガス拡散電極を形成する。
【0003】
通常、燃料電池は、スタックとして配置された複数のMEAによって形成され、その電気出力は、加法的である。個々の膜電極アッセンブリの間にバイポーラプレート(流れ場プレートまたはセパレータプレートとも呼ばれる)が一般に配置されており、個々の電池への作動媒体すなわち反応物の供給を行い、また通常、冷却のためにも役立つ。バイポーラプレートはまた、膜電極アッセンブリとの電気伝導性接触を提供する。
【0004】
燃料電池が作動している際に、燃料(アノード作動媒体)特に水素H2または水素含有ガス混合物が、バイポーラプレートのアノード側で開いている流れ場を介してアノードに供給され、そこで電子が放出されながらプロトンH+へのH2の電気化学的酸化が生じる(H2 → 2H++2e-)。反応室を互いに気密な仕方で分離しかつそれらを電気的に絶縁する電解質または膜を介して、アノード室からカソード室へ、プロトンの(水が結合したまたは水なしの)輸送が行われる。アノードで供給された電子は、電気ラインを介してカソードに運ばれる。電子が吸収されながらO2-へのO2の還元が生じるように(1/2O2+2e- → O2-)、カソード作動媒体として酸素または酸素含有ガス混合物(例えば、空気)が、バイポーラプレートのカソード側で開いている流れ場を介してカソードに供給される。同時に、カソード室内で酸素陰イオンが、膜を通して輸送されたプロトンと反応して、水を生成する(O2-+2H+ → H2O)。
【0005】
接触可能な大きな表面が、触媒の高い触媒活性にとって決定的に重要である。しかしながら、燃料電池の触媒層は、経年変化を受ける。この状況で生じる現象の1つは、凝集、すなわち、より大きな構造を形成する、微細に分割された触媒貴金属の一体化であり、その結果、触媒的に活性な表面積の減少が生じる。さらに、貴金属の流出および喪失が生じる。従って、微細に分割された触媒貴金属が、最も安定した可能な仕方で担体に適用される触媒層が求められている。
【0006】
一例としてEP2357655A1に記載されるように、ガス拡散層または微孔性層が、炭化ポリアクリロニトリル(PAN)繊維(PANに基づく炭素繊維または単にPAN炭素繊維としても知られている)から作成可能であることが知られている。これらは、ニトリル基を窒素含有芳香族複素環式化合物に変換し、従って、必要とされる電気伝導性を与える、複数工程の方法を受けるポリアクリロニトリル繊維である。
【0007】
US8,535,847B2には、2つの触媒層が適用された高分子電解質膜と、これらに隣接した2つのガス拡散層とを有する燃料電池が記載されている。それぞれの場合、触媒被覆膜に面するガス拡散層にPAN炭素繊維の保護層が適用される。
【0008】
US2012/0202134A1には、燃料電池であって、そのガス拡散層が、PAN炭素繊維から構成され、微孔性層を持たない、燃料電池が記載されている。
【0009】
触媒金属の流出の問題を解決しようと努力するために、例えば、US8,546,042B2には、炭素担持白金触媒層内への錯化剤の組み込みが記載されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明は、触媒貴金属の凝集および流出に耐性がありかつ単純な構造の、燃料電池用のガス拡散電極を提案する課題に基づいている。
【0011】
これらの課題は、独立請求項の特徴を有するガス拡散電極、燃料電池および燃料電池システムによって部分的にまたは完全に達成される。本発明の好ましい実施例は、従属請求項に記載された追加の特徴から理解できる。
【0012】
燃料電池用のガス拡散電極は、
金属陽イオンと錯形成可能な官能基を有する有機ポリマーから形成された気体透過性基材と、
基材の第1の平坦な側の表面でおよび/または基材の第1の平坦な側の表面に隣接した領域で官能基によって結合された触媒的に活性な貴金属粒子および/または原子と、
を備える。
【0013】
従って、本発明によるガス拡散電極は、気体透過性基材であって、錯形成基とその上に結合された触媒貴金属とを有する、気体透過性基材によって本質的に形成される、非常に単純な構造を有する。従って、本発明よるガス拡散電極は、独立した触媒層を有していない。その代わりに、触媒的に活性な貴金属粒子または原子が、ガス拡散層内に直接一体化されている。従って、本発明によるガス拡散電極は、1つの一体の構成要素内に、ガス拡散層(GDL)および触媒層の機能を組み込んでいる。従来のガス拡散電極または膜の触媒被覆とのさらなる違いは、触媒貴金属が、ゼロの酸化状態を有する非常に微細な金属粒子の形態で、または原子の形態ででさえも、存在することである。これは、貴金属が最初にポリマーの官能基に錯形成(キレート固定)によりイオンとして結合され、次の還元によりゼロ酸化状態に変換されることによって、達成される。還元の生成物は、元素状態で存在する(非荷電)貴金属で、微細な粒子および/または原子の形態であり、貴金属原子または粒子は、錯体としてまたは錯体のような形態で官能基に結合したままであると想定され得る。これは、触媒貴金属の非常に微細な分布および極めて大きな接触可能な触媒表面をもたらす。また、基材の対応する官能基による錯結合を通した貴金属の(元の)化学結合について言及するのは重要である。本来、化学結合は、例えば貴金属が付着により炭素粒子上に保持されている従来の触媒層内に存在する結合などのような、純粋な物理結合より実質的に強固かつ安定である。従って、錯形成された貴金属陽イオンからの貴金属の「その場(in−situ)」での形成によって、より粗い構造への触媒の合体(凝集)と、触媒構造からの貴金属の流出および除去との両方が防止される。従って、本発明によるガス拡散電極は、経年変化の影響に対して実質的により大きな長期安定性を有する。
【0014】
配位結合としても知られている錯結合は、一般に金属陽イオン(ここでは、貴金属陽イオン)であり通常その電子配置内に「孔」を有する中心金属が、自由電子対を用いて中心金属を結合する官能基の1つまたは複数の分子(配位子)によって囲まれている、一種の化学結合として定義される。本発明では、錯形成基すなわち配位子が、基材を形成するポリマーの官能基によって表される。錯形成官能基はここでは、有機ポリマーバックボーンに、好ましくは側基の形態で、共有結合している。
【0015】
本発明の範囲内の錯形成官能基についての特に好ましい実施例は、アミドキシム基(R−C(NH2)=N−OH)、ヒドロキサム酸基(R−CO−NHOH)、アミドラゾン基(R−C(=NH)−NH−NH2、互変異性体R−C(NH2)=N−NH2およびR−CH(NH2)−N=NHを含む)、およびこれらの混合物である。これらはいわゆる、二座配位子であり、従って、これらは、金属陽イオンの錯形成に適した2つの自由電子対を有する。例えば、触媒金属の比較的安定した結合はすでに、そのような基のうちの1つと可能である。しかしながら、貴金属陽イオンが、これらの基のうちの2つまたは特に3つと配位結合することは、よりありそうである。さきに述べた基のなかで、アミドキシム基が特に好ましい。しかしながら、上に名前を挙げた基に加えて、例示的な実施例でさらに説明するように、多数の他の基が本発明の範囲内で考慮される。
【0016】
本発明の実施例では、気体透過性基材は、ニトリル基を含むポリマーから形成され、ニトリル基は、アミドキシム基、ヒドロキサム酸基および/またはアミドラゾン基に部分的または完全に変換される。そのようなポリマーの特に好ましい実施例は、ポリアクリロニトリル(PAN)またはそのコポリマーまたは混合物であり、ニトリル基は、ヒドロキシルアミン(NH2OH)および/またはヒドラジン(H2N−NH2)と反応している。ヒドロキシルアミンと反応することによって、ニトリル基は、アミドキシム基に変換される。他方で、ヒドラジンとの反応は、アミドラゾン基または対応するアミドヒドラゾン互変異性体の混合物をもたらす。この点について、ヒドロキシルアミンと反応したポリアクリロニトリル(PAN)が特に好ましく使用される。最初にすでに説明したように、炭化された形態のPANに基づくガス拡散層は、ガス拡散層または微孔性層としての使用に適している。しかしながら、従来技術と対照的に、ここではPANは炭化されないが、それというのも、この場合、ニトリル基が失われるであろうが、適切な試薬と反応して錯形成官能基を生成するからである。
【0017】
錯形成官能基としてのアミドキシム基の1つの利点は、それらがすでに良好なイオン伝導性を特にプロトンについて有することである。イオン伝導性をさらに増大させるために、本発明の実施例では、ポリアクリロニトリルが、アクリロニトリル形成ブロックに加えて少なくとも1つのさらなるコモノマーを有するコポリマーの形態またはさらなる有機ポリマーとの混合物の形態で存在することが提供される。ここでは、コモノマーまたはさらなるポリマーは好ましくは、イオン基を有するポリマーであり、さらに基材のイオン伝導性を増大させる。好ましくは、アクリル酸がさらなるコモノマーとして使用され、かつ/または、PANとの混合物として存在するポリアクリル酸がさらなるポリマーとして使用される。アクリル酸基を基材に導入することで、これに、良好なイオン伝導性ばかりでなく、良好な電気伝導性が与えられ、良好な電気伝導性は、(燃料電池内の)触媒中心に隣接するバイポーラプレートへの触媒中心の電気接続にとって有利である。従って、この実施例では、ガス拡散電極は、貴金属粒子を有する触媒活性中心と、電気伝導性の役割を担うアクリル酸基とを有する。
【0018】
本発明のいくつかの実施例では、気体透過性基材はまた有機ポリマーの繊維から形成される。特に基材は、不織ウェブ、フェルトまたはクロスプライラミネートの形態を有する。特にこの実施例の利点は、適切な材料、例えばPANフェルトまたはクロスプライラミネートが、商業的に入手可能であり、手頃な価格であることである。すなわち、PANは容易に紡いで繊維にすることができ、これらはさらに、対応する繊維構造へと処理することができる。さらに、繊維材料は、ガス拡散電極に要求される必要な永久的な一体の安定性を有する。
【0019】
触媒貴金属は、アノードまたはカソードにおける燃料電池反応の触媒に適した金属である。特に、ここでは、白金族元素、好ましくは白金および/またはパラジウムが使用される。
【0020】
気体透過性基材内での触媒貴金属粒子および/または原子の分布は、可変的に選択可能である。一実施例によれば、触媒貴金属粒子および/または原子は、基材の膜に面する第1の平坦な側に隣接した比較的鋭く画定された領域内にのみ配置される。本発明の代替の実施例では、触媒貴金属粒子および/または原子は、基材の第1の平坦な側から内側への方向へと低減する濃度勾配を有して存在する。このような仕方で、燃料電池の熱および水の含有量は、より均一の分配可能である。さらに、触媒活性は、必要な場所に集中させることができる。
【0021】
本発明はまた、次のステップ、すなわち、
金属陽イオンと錯形成することができる官能基を有する有機ポリマーから形成された気体透過性基材を供給し、
基材の第1の平坦な側の1つの表面に存在する、および/またはこの表面に隣接する基材の第1の平坦な側の領域に存在する官能基に、触媒的に活性な貴金属のイオンを負荷して、貴金属のイオンに錯形成を受けさせ、
錯形成された貴金属のイオンをゼロ酸化状態に還元する、
各ステップを備える、ガス拡散電極を製造する方法に関する。
【0022】
気体透過性官能基含有基材は特に、有機ポリマーから形成された基材を、ポリマーを官能化し、またはすでに存在する官能基を金属陽イオンと錯形成可能な基に化学的に変換する適切な試薬で処理することによって調製される。例えば、PAN基材は、PANのニトリル基をアミドキシム基に変換するようにヒドロキシルアミンで処理可能である。
【0023】
上述の陳述は同様に、有機ポリマーおよび官能基にあてはまる。
【0024】
官能基に触媒的に活性な貴金属のイオンを負荷することは好ましくは、基材を貴金属の適切な塩の溶液と接触させることによって、例えば、浸す、中に置く、噴霧する、または同様のものなどによって、達成される。これは特に、(燃料電池内の高分子電解質膜に面する)基材の第1の平坦な側の表面の、および/またはこの表面に隣接した基材の第1の平坦な側の領域内の、領域のみに貴金属が負荷されるように、部分的に行うことができる。
【0025】
元素状態で存在する貴金属への錯形成された貴金属イオンの還元は、適切な還元剤で処理することによって行うことができる。貴金属の電子構造のために貴金属は容易にゼロ酸化状態に入るので、ポリマー材料をおかさない限り、この目的のためにほとんど任意の還元剤が使用可能である。適切な還元剤の例には、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ヒドロキノン、ベンズアルデヒド、ヒドラジン、およびその他、およびこれらの混合物が含まれる。
【0026】
還元ステップの生成物は、元素状態で存在する(非荷電)貴金属で、有機ポリマー材料上に微細な粒子の形態で、または原子の形態ででさえも、存在し、貴金属原子または粒子はまた、錯体としてまたは錯体のような形態で官能基に結合した状態で存在すると想定され得る。
【0027】
本発明のさらなる態様は、高分子電解質膜の両側に本発明によるガス拡散電極が配置された高分子電解質膜であって、触媒貴金属陽イオンを有するガス拡散電極の第1の平坦な側がそれぞれ接触する高分子電解質膜と、ガス拡散電極に取り付けられたバイポーラプレートと、を備える燃料電池に関する。本発明が同様に、複数のそのような燃料電池を有する燃料電池スタックに関することは、明らかである。
【0028】
本発明の好ましい実施例では、ガス拡散電極の基材と同じ主成分で形成されたポリマーから作成された膜が使用される。このような仕方で、ガス拡散電極と膜との間に高い化学的親和性が達成され、プロトンに対する低い境界抵抗を有する膜の良好な材料接続が達成される。従って、好ましくは、気体透過性基材がPANに基づく場合、使用される高分子電解質膜は、ポリアクリロニトリルに基づく膜であり、そのニトリル基が、ヒドロキシルアミンを用いた処理によってアミドキシム基に少なくとも部分的に変換される、または、ポリアリーレンエーテルスルホンを含浸させられる。
【0029】
本発明の好ましい実施例では、高分子電解質膜と本発明による次のガス拡散電極との間には、さらなる層は存在せず、特に、従来技術では通例の微孔性層も、触媒層も存在しない。このタイプの燃料電池は、特に単純な構造を有し、より小さい層厚みを持って、従って、より低い設置空間で、作成可能である。
【0030】
本発明のさらなる態様は、本発明による燃料電池または燃料電池スタックを有する燃料電池システムに関する。特に、燃料電池スタックに加えて、燃料電池システムは、対応する周辺構成要素を有するアノード供給源およびカソード供給源を有する。
【0031】
本発明のさらなる態様は、本発明による燃料電池または燃料電池スタックを有する燃料電池システムを有する乗り物に関する。乗り物は好ましくは、燃料電池システムによって生成された電気エネルギーが牽引用電気モータおよび/または牽引用バッテリに電力供給するために使用される、電気自動車である。
【0032】
本願に記載された本発明のさまざまな実施例は有利には、特に明記しない限り、互いに組み合わせ可能である。
【0033】
本発明は、以下において、対応する図面による例示的な実施例において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】従来技術による燃料電池およびその内部で生じる反応の斜視断面図。
図2】従来技術による燃料電池の構成要素の概略順序の図。
図3】本発明の実施例によるガス拡散電極の概略断面図。
図4】本発明のさらなる実施例によるガス拡散電極の概略断面図。
図5図3によるガス拡散電極を有する本発明による燃料電池の構成要素の概略順序の図。
図6図4によるガス拡散電極を有する本発明による燃料電池の構成要素の概略順序の図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、10’で全体が示される従来技術による燃料電池内の構造と生じる反応とを示す。
【0036】
燃料電池10’は、イオン電導性を特にプロトンH+について有する高分子電解質膜11を備える。現在の燃料電池内の高分子電解質膜用の最も一般的な材料は、ナフィオン(登録商標)の商品名で知られているスルホン化ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。膜11の両側に、電極構造すなわちアノード12およびカソード13が接続されている。各電極12、13は、触媒層14、ガス拡散層16、およびガス拡散層16と触媒層14との間に配置された任意選択の微孔性層15を備える。
【0037】
触媒層14は通常、電気伝導性担体材料142上に分布した微細に分割された触媒貴金属粒子141から構成された担持触媒材料を有する(図1の部分断面を参照のこと)。粒子用の担体材料142は通常、活性炭、カーボンブラックまたは同様のものなどの炭素基材料である。触媒材料は、高分子電解質膜11と同じ材料からしばしば選択されるイオン伝導性ポリマーバインダー143によって一緒に保持される。
【0038】
ガス拡散層16は、同時に反応ガスを触媒層14に供給しかつ反応生成物を運び去るのに役に立つ。従来技術によるガス拡散層は、発泡体または繊維の形態の電気伝導性気体透過性層から構成される。発泡黒鉛、炭素繊維、または炭化PANなどの炭素基材料、または親水性化有機ポリマー材料が使用される。微孔性層15も同様に、電気伝導性で通常は炭素に基づく材料、しばしばカーボン紙から構成される。微孔性層15は、触媒層14からガス拡散層16への触媒粒子の貫入を防止することが意図されている。触媒層14、微孔性層15およびガス拡散層16がこの種の材料複合物で存在する場合、この複合物は、ガス拡散電極GDLとも呼ばれる。代替として、触媒層14が高分子電解質膜11に直接適用されることができ、そこで、触媒被覆膜すなわちCCMという用語が使用されることが知られている。
【0039】
1つのバイポーラプレート17が、ガス拡散層16の両側のそれぞれに固定される。その平坦な側のそれぞれのバイポーラプレートは、反応媒体を供給しかつ燃料電池生成物を除去するための、流れチャネル171、172を有する。このプロセスにおいて、アノード側流れチャネル171は、燃料、通常は水素H2を供給し、未反応の燃料および生成された水を除去するのに役に立つ。カソード側流れチャネル172は、酸素を、通常は空気の形態で供給し、カソードオフガスおよび生成された水を運び去るのに役に立つ。さらに、バイポーラプレート17は、冷却材の通過および反応熱の除去の役に立つ内部冷却材チャネル173を有する。バイポーラプレート17は同様に、電気伝導性材料、通常は金属材料または黒鉛材料から作成される。バイポーラプレート17は、電気消費体に連結された外部電気回路18を介して接続される。
【0040】
燃料電池10’は次のように機能する。水素H2がバイポーラプレート17のアノード側流れチャネル171を介してアノード12に導入される。空気がバイポーラプレートのカソード側流れチャネル172を通してカソード13に導入される。これらの作動ガスは、それぞれガス拡散層16および微孔性層15を通ってそれぞれの触媒層14へと拡散する。アノード側触媒層14では、触媒貴金属粒子141上で水素H2が電子e-を放出しながらプロトンH+へと酸化され、電子e-は、アノード側微孔性層15、ガス拡散層16、および取り付けられたバイポーラプレート17を介して、電気回路18を介して除去される。アノード反応中に生成されたプロトンH+は、イオン伝導性高分子電解質膜11を介して燃料電池のカソード13へと移動する。ここで、電気回路18によって供給された電子を吸収しながら、供給された空気からの酸素O2のプロトンとの反応が生じて、水H2Oが生成する。従って、全体として水素と酸素が反応して水を生成し、この反応の起電力は、電気消費体、例えば、電気自動車用の電気モーターに供給するための電気エネルギーを生成するのに役に立つ。通常、燃料電池は、直列に接続された、図1による多数の個々の電池から構成される。
【0041】
図2は、従来技術による個々の燃料電池10’の構成要素の順序を、図1と同じ参照符号を用いて概略的に示す。構造は、構成要素の数が多いので、比較的複雑であることが理解できる。
【0042】
図3は、全体が20で示された、本発明の第1の実施例による燃料電池用のガス拡散電極20の構造を示す。
【0043】
ガス拡散電極20は、平坦な構造の形態の気体透過性基材221を備え、気体透過性基材221は、第1の平坦な側222と、第1の平坦な側222と反対に配置された第2の平坦な側223とを有する。基材221は、ポリマーバックボーン構造に共有結合した官能基を有する有機ポリマーから作成される。官能基は、配位化学結合の意味で化学的に金属イオンと錯形成するのに適している。この目的のためには、官能基が少なくとも1つの自由電子対、好ましくは少なくとも2つの自由電子対を有することが必要である。
【0044】
気体透過性基材221のポリマーの適切な官能基は、第一級アミン基(−NH2)、第二級アミン基(−NH−)、第三級アミン基(=N−)、ニトロシル基(−N=O)、ニトリルまたはシアン化物基(−CN)、イソシアン化物基(−NC)、シアン酸基(−CNO)、イソシアン酸基(−NCO)、カルボニル基(−C=O)、カルボキシル基(−C(O)OH)、カルボン酸エステル基(−C(O)OR)、アミド基(−C(O)−NH2)、アミドキシム基(−C(NH2)=N−OH)、ヒドロキサム酸基(−CO−NHOH)、アミドラゾン基(−C(=NH)−NH−NH2、互変異性体−C(NH2)=N−NH2および−CH(NH2)−N=NHを含む)、およびこれらの混合物を含む群から選択される。上述の官能基全ては、それらが錯形成に適した自由電子対を有すること、すなわち、ルイス塩基であることによって特徴付けられる。
【0045】
本発明の枠組内では、アミドキシム基、アミドラゾン基およびヒドロキサム酸基が特に好ましい。アミドキシム基は、2つの窒素原子を有し、アミドラゾン基は実際、3つの窒素原子を有し、これらの窒素原子のそれぞれが、金属イオンと錯形成するのに適した自由電子対を有する。ヒドロキサム酸基は、カルボニル官能基およびアミン基によって、配位結合に利用可能な2つの自由電子対を有する。従って、これらはそれぞれ、少なくとも二座配位子である。
【0046】
基材221用の材料として使用可能な好ましいポリマーは、変性ポリアクリロニトリル(PAN)である。後の変換なしであっても、ポリアクリロニトリルはすでに、それ自体すでに金属陽イオンと錯形成可能なニトリル基(−CN)を含む。また、ニトリル基は容易に、他の官能基、特にアミドキシム基、アミドラゾン基またはヒドロキサム酸基へと化学的に変換可能である。例えばヒドロキシルアミン(H2N−OH)との反応によってニトリル基の全てまたは一部がヒドロキシム基に変換されている(下記の反応式を参照のこと)PANを使用するのが特に好ましい。また、ポリアクリロニトリルは、酸や多くの有機溶媒に対する高い耐薬品性および高い耐加水分解性によって特徴付けられる。
【0047】
【化1】
【0048】
アミドキシム基は、銅イオンに対する特に高い親和性を有するが、白金およびパラジウムイオンにも非常に安定して結合できる。以下の列: Cu>Au>V>U>Fe>Pd>Pt>Zn>Cd>Cr>Ni>Pb は、さまざまな金属イオンに対するアミドキシムの親和性を示す。
【0049】
気体透過性基材221の有機ポリマーのイオンおよび電気伝導性を増大させるために、好ましくは、ポリマーも同様に酸基を有することが提供される。この目的のために、官能基を有する有機ポリマーは、対応する酸基を有するコモノマーを用いて共重合可能である。特に、ここでは、アクリロニトリルおよびアクリラートモノマーのコポリマーが使用可能であり、ニトリル基は完全または部分的に、アミドキシム基に変換される。
【0050】
代替として、ポリアクリロニトリルおよびポリアクリル酸の混合物が使用可能であり、ポリアクリロニトリルのニトリル基は、混合前または混合後に、反応してアミドキシム基を形成する。
【0051】
基材221は、適切な気体透過性を有する必要がある。この目的のために、基材は好ましくは、ウェブ、フェルトまたはクロスプライラミネートの形態の有機ポリマーの繊維から作成される。
【0052】
本発明による図3によるガス拡散電極20はまた、基材221の第1の平坦な側222の領域でかつ表面に隣接した基材の領域において製造された触媒区域224を有する。触媒区域224内において、ガス拡散電極20は、基材221の有機ポリマーの官能基によって錯形成された貴金属陽イオンの還元によって形成された触媒貴金属粒子および/または貴金属原子を含む。特に、貴金属粒子または原子は、基材221の官能基によって錯形成され、好ましくは、2つ以上の官能基によってキレート化される。触媒貴金属または原子は、燃料電池反応に触媒作用を及ぼすのに適した金属または原子、特に白金族の金属または原子である。特に好ましくは、触媒区域224の触媒貴金属粒子または原子は、白金および/またはパラジウムを備える。さらに、ガス拡散電極20は、触媒機能が気体透過性基材221内、従ってガス拡散層内に形成されており、ガス拡散層の上に被覆の形態で存在するのでないという点において、従来技術と異なる。従って、本発明によるガス拡散電極20は、2つの層の配置または複合物の構造を有さず、その代わりに、ガス拡散層と触媒層の機能を兼ね備えている一体の構成要素である。
【0053】
図4は、本発明の第2の実施例によるガス拡散電極20を示す。図3に示す電極とは対照的に、ここでは、触媒貴金属粒子/原子は、基材221の比較的鋭くかつ狭く画定された区域に限定されない。その代わりに、貴金属の濃度は、第1の平坦な側222から内側の基材の方向に減少する勾配を有する。
【0054】
図5は、図3によるガス拡散電極20を有する本発明による燃料電池10の構造を非常に概略的に示す。燃料電池は、本発明による2つのガス拡散電極20の間に配置された高分子電解質膜11を有する。ここでは、ガス拡散電極20は、触媒貴金属を負荷したそれらの第1の平坦な側222がそれぞれの場合、膜11に面しそれに直接接触するように、配置される。ガス拡散電極20の第2の平坦な側223はそれぞれ、バイポーラプレート17に接続される。本発明による燃料電池10が少しの構成要素しかない単純な構造を有することは明らかである。従って、ガス拡散電極20は、従来の燃料電池(図2を参照のこと)の触媒層14、微孔性層15およびガス拡散層16に取って代わるものである。
【0055】
図6は、図4によるガス拡散電極20を含む、本発明による燃料電池10を示す。
【0056】
好ましくは、本発明による燃料電池10において、本発明によるガス拡散電極20の基材と同じまたは類似の主成分で作成された高分子電解質膜が使用される。好ましい実施例により、GDE20が変性ポリアクリロニトリルに基づく場合、好ましくは、ポリ(アリーレンエーテルスルホン)を含浸させたポリアクリロニトリル、またはニトリル基の一部または全部が反応してアミドキシム基を形成したポリアクリロニトリルが使用される。両方の場合、それに対応して処理されたPANウェブが、膜11の基礎として使用可能である。
【0057】
本発明による燃料電池10の機能は、図1に関連して説明したものに相当する。
【0058】
本発明によるガス拡散電極20は、以下のように製造可能である。アクリロニトリル(AN)とアクリル酸(AA)とのコポリマー、従って、ポリ(アクリロニトリル−コ−アクリル酸)、またはポリアクリロニトリル(PAN)とポリアクリル酸(PAA)との混合物の繊維から作成されるフェルトが使用される。例えば、フェルトは、ニトリル基が反応してアミドキシム基を形成する際、ヒドロキシルアミンと反応する。このような仕方で処理したフェルトを清浄化し、乾燥した後、フェルトの第1の平坦な側を適切な白金塩溶液(例えば、水溶性塩化白金(II)溶液)で処理する。これは、貴金属溶液を第1の平坦な側222に噴霧することによって、またはフェルトをその第1の側222で貴金属溶液に浸し、第1の平坦な側222またはその表面に隣接した領域のみを溶液に浸すことによって、行うことができる。この場合、アミドキシム基の高い親和性に起因して、キレート形成の形態で、貴金属陽イオンの迅速な錯形成が生じる。図4による触媒貴金属の濃度勾配を有する構造を製造する場合、貴金属塩溶液中の浸漬時間は、毛管力の結果として、溶液が基材221の内部の方向へ引っ張られるのに、十分長くなるように選択できる。次いで、フェルトをすすいで、乾燥する。次いで、基材に存在する貴金属陽イオンを、ヒドロキノンなどの還元剤を用いてゼロの酸化状態を有する貴金属粒子に変換する。
【0059】
次いで、上述の仕方で製造した2つのガス拡散電極20の間に高分子電解質膜11を配置し、触媒貴金属を負荷した第1の平坦な側をそれぞれ膜に配置することによって、燃料電池10の組み立てを行う。膜11およびガス拡散電極20から構成されたこの構造を、バイポーラプレート17と交互に積層して、燃料電池スタックを形成し、外部締め付け手段を用いてプレスする。
【0060】
例示的な実施例
以下の調製のために、Duk Man Youらの手順に類似した手順を用いた(“Properties of sulfonated poly(arylene ether sulfone)/electrospun nonwoven polyacrylonitrile composite membrane for proton exchange membrane fuel cells” J. Membrane Sci. 446 (2013), 212−219)。
【0061】
1.PANフェルトのアミドキシム官能化(PANオキシム)
32gの塩化ヒドロキシルアンモニウム(ClH4NO)を、80℃に加熱した800mlの脱イオン水に攪拌しながら溶解した(表1を参照のこと)。次いで、2cm×2cmの大きさ、2.6mmの厚さの18片のPANフェルト(Heimbach、タイプ876531 5/5 PAN(H)500g/m2フェルト)を溶液中に置いた。次いで、CO2の発生が(約1時間10分後に)止まり、ヒドロキシルアミンを形成する塩化ヒドロキシルアンモニウムの炭酸水素ナトリウムとの反応:
NaHCO3+HONH3Cl→CO2+H2O+H2N−OH+NaCl
が完結したと思われるまで、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を少しずつ加えた。
【0062】
バッチは80℃でさらに3時間攪拌し、この間、1時間、2時間、3時間後にそれぞれ6つのフェルト片を反応溶液から取り出し、洗浄するために、攪拌している室温の250mlの脱イオン水中に移した。フェルトは洗浄水の水面に浮かんだ。各回10分間の洗浄工程を3回繰り返した。フェルトは1時間後は、淡黄色であり、2時間後は、淡黄色であり、3時間後は、飴色であった。
【0063】
【表1】
【0064】
2.Fe3+のPANオキシムとの錯形成
それぞれの場合、7.5・10-4mol/lのFeCl3溶液200mlを作成した。これらはすでに暗黄色/橙色であった。次いで、実施例1からのPANオキシムフェルトを追加し、室温で20分間攪拌した。フェルトは、橙色−淡褐色になった。次いで、フェルト片を溶液から取り出し、脱イオン水中で洗浄した。
【0065】
【表2】
【0066】
3.Pt2+のPANオキシムとの錯形成
実施例2からのFeCl3で処理したPANフェルトを濃塩酸(HCl)で洗浄すると、それらは脱色した。濃塩酸中でPtCl2の飽和溶液を製造し(沈殿)、飽和上澄みをデカントした。それぞれの場合、FeCl3で前処理し、HClで洗浄したフェルト3つと、FeCl3で前処理していない3つとを、10〜15mlの飽和PtCl2溶液で、室温で24時間振とうした。24時間後、PtCl2溶液をデカントし、フェルトを希塩酸で30分間洗浄し、脱イオン水で2回洗浄した。
【0067】
4.さまざまな還元剤を用いたPANオキシムと錯形成したPt2+の還元
実施例3からのフェルトを表3に従って還元剤(チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムまたはヒドロキノン)の溶液中に60分間置き、振とうし、次いで、10〜15mlの脱イオン水で洗浄した。Na2235H2Oを用いたバッチは濁っていた。フェルトを空気中、室温で乾燥した。Na2235H2Oで処理したフェルトは、飴色〜褐色を示したが、Na223で処理したフェルトは、淡黄色を示し、ヒドロキノンで処理したフェルトは、淡黄色〜薄い褐色を示した。フェルトの色は、FeCl3を用いた処理を行っていたか否かにも、また、ヒドロキシルアミンでの反応時間の長さにも、明らかに関係しなかった。
【0068】
【表3】
【符号の説明】
【0069】
10…燃料電池
10’…従来技術による燃料電池
11…高分子電解質膜PEM
12…電極/アノード
13…電極/カソード
14…触媒層/触媒体層CL
141…触媒貴金属粒子
142…担体粒子
143…ポリマーバインダー
15…微孔性層MPL
16…ガス拡散層/ガス拡散層GDL
17…バイポーラプレートBPP
171…アノード側流れ場
172…カソード側流れ場
173…冷却材チャネル
18…消費体を有する電気回路
20…本発明によるガス拡散電極
221…気体透過性基材
222…第1の平坦な側
223…第2の平坦な側
224…触媒区域
図1
図2
図3
図4
図5
図6