(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6899034
(24)【登録日】2021年6月15日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】エポキシ樹脂電磁波吸収複合材料及びその作製方法
(51)【国際特許分類】
H05K 9/00 20060101AFI20210628BHJP
C08L 63/00 20060101ALI20210628BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20210628BHJP
C08K 9/06 20060101ALI20210628BHJP
【FI】
H05K9/00 M
C08L63/00 C
C08K3/04
C08K9/06
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-515802(P2020-515802)
(86)(22)【出願日】2018年4月19日
(65)【公表番号】特表2020-521037(P2020-521037A)
(43)【公表日】2020年7月16日
(86)【国際出願番号】CN2018083677
(87)【国際公開番号】WO2018214681
(87)【国際公開日】20181129
【審査請求日】2019年11月25日
(31)【優先権主張番号】201710386665.4
(32)【優先日】2017年5月26日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519420230
【氏名又は名称】ルオヤン インスティテュート オブ カッティング−エッジ テクノロジー
【氏名又は名称原語表記】LUOYANG INSTITUTE OF CUTTING−EDGE TECHNOLOGY
(73)【特許権者】
【識別番号】519420241
【氏名又は名称】ルオヤン カッティング エッジ イクイップメント テクノロジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LUOYANG CUTTING EDGE EQUIPMENT TECHNOLOGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ルオペン
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,ジーヤ
(72)【発明者】
【氏名】イン,ミャオ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ルー
(72)【発明者】
【氏名】ホウ,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ユンシャン
(72)【発明者】
【氏名】チウ,ジョンハオ
(72)【発明者】
【氏名】リー,シュエ
【審査官】
西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第103290396(CN,A)
【文献】
特開平11−354974(JP,A)
【文献】
特表2016−508077(JP,A)
【文献】
米国特許第05837739(US,A)
【文献】
国際公開第2009/101498(WO,A2)
【文献】
特開2018−135481(JP,A)
【文献】
特開2009−062403(JP,A)
【文献】
特開昭57−192412(JP,A)
【文献】
特開昭60−133048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/14
C08K 3/00− 13/08
C08G 59/00− 59/72
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂電磁波吸収複合材料の作製方法であり、下記ステップを含む作製方法。
エポキシ樹脂を温度T1までに昇温し、カーボンブラックを入れ、エポキシ樹脂・カーボンブラックの混合液を得る。
上記エポキシ樹脂・カーボンブラックの混合液を温度T2までに昇温し、硬化剤を入れ、攪拌・溶解を行い、エポキシ樹脂・カーボンブラック・硬化剤の混合液を得る。並びに
上記エポキシ樹脂・カーボンブラック・硬化剤の混合液に表面処理済み中空ガラスビーズを入れ、硬化し、上記エポキシ樹脂電磁波吸収複合材料を得る。
【請求項2】
さらに下記ステップを含む、請求項1記載の作製方法。
アルコール−水の混合溶液に氷酢酸を入れ、pHを調整する。さらにシランカップリング剤を入れ、シランカップリング剤溶液を作製する。中空ガラスビーズを入れ、中空ガラスビーズ溶液を作製し、80〜100℃までに昇温し、攪拌・フィルタリング・洗浄・真空乾燥を行い、表面処理済み中空ガラスビーズを得る。
【請求項3】
上記アルコール−水の混合溶液は質量比8〜10:0.5〜2の無水アルコールと脱イオン水で配合された溶液である、請求項2記載の作製方法。
【請求項4】
上記pH調整後の上記アルコール−水の混合溶液のpH値は3〜4である、請求項2記載の作製方法。
【請求項5】
上記シランカップリング剤はγ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(2,3-エポキシプロポキシ)プロピルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シランのいずれか一種か複数種類である、請求項2記載の作製方法。
【請求項6】
上記シランカップリング剤溶液の上記シランカップリング剤の質量分率が2〜3%である、請求項5記載の作製方法。
【請求項7】
上記真空乾燥の温度が100〜110℃であり、上記真空乾燥の時間が2〜3hである、請求項2記載の作製方法。
【請求項8】
上記エポキシ樹脂、カーボンブラック、硬化剤と表面処理済み中空ガラスビーズの質量比が80〜120:20〜30:30〜34:25〜35である、請求項1記載の作製方法。
【請求項9】
上記エポキシ樹脂、カーボンブラック、硬化剤と表面処理済み中空ガラスビーズの質量比が100:25:32:30である、請求項8記載の作製方法。
【請求項10】
T1が50〜70℃であり、T2が100〜120℃である、請求項1記載の作製方法。
【請求項11】
上記エポキシ樹脂・カーボンブラック・硬化剤の混合液に上記表面処理済み中空ガラスビーズを入れ、超音波分散・真空脱ガス・硬化を行い、上記エポキシ樹脂電磁波吸収複合材料を得る、請求項1記載の作製方法。
【請求項12】
上記硬化が110〜130℃で1〜3hの真空乾燥及び170〜190℃で3〜5hの真空硬化である、請求項1記載の作製方法。
【請求項13】
請求項2〜7のいずれか記載の作製方法で作製されたエポキシ樹脂電磁波吸収複合材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は材料分野に関し、さらに具体的にはエポキシ樹脂電磁波吸収複合材料及びその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の進歩により、電子化・情報化技術の応用は迅速に発展され、色々な現代的な電子設備(例えばラジオ放送、テレビ、携帯電話など)が迅速に普及されることにより、より多くの電子・電気設備が相次ぎ日常事務や生活環境に入ってきた中では、電磁波放射汚染が人々の身体健康をひどく影響しているので、電磁波吸収複合材料の電磁波シールディングに対するニーズがますます増えている。
【0003】
その同時に、航空・宇宙飛行、建築材料、車輌、兵器などの分野にての応用の中では、往々にしては複合材料の性能を保持する上、なるべく材料の密度やコストなどを下げる必要がある。しかし、従来の電磁波吸収材料(例えば四三酸化鉄、石墨、陶磁類など)の主な欠点は大きな密度や狭い電磁波吸収帯域幅などであるので、電磁波吸収材料の「薄い・軽い・広い・強い」要求を満たしていない。
【発明の概要】
【0004】
本発明はエポキシ樹脂を基材とし、電磁波シールディング性能の優れるカーボンブラックと表面処理済み中空ガラスビーズを電磁波吸収剤とするので、同複合材料が優れた電磁波シールディング性能を持つ。また、電磁波吸収剤には表面処理済み中空ガラスビーズを使うことで、材料の密度を下げるだけでなく、広い帯域幅の電磁波に対する力強い吸収を実現できる。その同時に、シランカップリング剤で中空ガラスビーズを処理するのは、エポキシ樹脂基材での中空ガラスビーズの均一分散に役立ち、エポキシ樹脂と中空ガラスビーズの間で優れた結合を形成することで、従来の電磁波吸収複合材料の大きな密度、狭い電磁波吸収帯域幅などの欠点を有効的に解決している。
【0005】
本発明はエポキシ樹脂電磁波吸収複合材料の作製方法を提供し、下記ステップを含む。
【0006】
エポキシ樹脂を温度T
1までに昇温し、カーボンブラックを入れ、エポキシ樹脂・カーボンブラックの混合液を得る。エポキシ樹脂・カーボンブラックの混合液を温度T
2までに昇温し、硬化剤を入れ、攪拌・溶解を行い、エポキシ樹脂・カーボンブラック・硬化剤の混合液を得る。並びに、エポキシ樹脂・カーボンブラック・硬化剤の混合液に表面処理済みの中空ガラスビーズを入れ、硬化し、エポキシ樹脂電磁波吸収複合材料を得る。
【0007】
上記作製方法では、さらに下記を含む。アルコール−水の混合溶液に氷酢酸を入れ、pHを調整する。シランカップリング材を入れ、シランカップリング剤溶液を作製する。並びに、中空ガラスビーズを入れ、中空ガラスビーズ溶液を作製し、80〜100℃までに昇温し、攪拌・フィルタリング・洗浄・真空乾燥を行い、表面処理済みガラスビーズを得る。
【0008】
上記作製方法では、アルコール−水の混合溶液は質量比8〜10:0.5〜2の無水アルコールと脱イオン水で作製された溶液である。質量比9:1の無水アルコールと脱イオン水で作製された溶液を優先的に選ぶ。
【0009】
上記作製方法では、pH作製後のアルコール−水の混合溶液のpH値は3〜4である。
【0010】
上記作製方法では、シランカップリング剤はA-1100(γ-アミノ
プロピルトリエトキシシラン)、A-187(γ-(2,3-エポキシプロポキシ) プロピルトリメトキシシラン)やA-172(
ビニルトリス(2-メトキシエトキシ) シラン)のいずれか一種類か複数種類である。
【0011】
上記作製方法では、シランカップリング剤溶液の中のシランカップリング剤の質量分率は2〜3%である。
【0012】
上記作製方法では、真空乾燥の温度は100〜110℃であり、真空乾燥の時間は2〜3hである。
【0013】
上記作製方法では、エポキシ樹脂、カーボンブラック、硬化剤と表面処理済み中空ガラスビーズの質量比は80〜120:20〜30:30〜34:25〜35である。
【0014】
上記作製方法では、エポキシ樹脂、カーボンブラック、硬化剤と表面処理済み中空ガラスビーズの質量比は100:25:32:30である。
【0015】
上記作製方法では、T
1は50〜70℃であり、T
2は100〜120℃である。
【0016】
上記作製方法では、エポキシ樹脂・カーボンブラック・硬化剤の混合液に表面処理済み中空ガラスビーズを入れ、超音波分散、真空脱ガス、硬化を行い、エポキシ樹脂電磁波吸収複合材料を得る。
【0017】
上記作製方法では、硬化は110〜130℃で1〜3hの真空乾燥及び170〜190℃で3〜5hの真空硬化である。
【0018】
本発明は上記作製方法で作製されるエポキシ樹脂電磁波吸収複合材料をも提供している。
【0019】
本発明提供のエポキシ樹脂電磁波吸収複合材料を作製する方法により、カーボンブラックと表面処理済み中空ガラスビーズを電磁波吸収剤とすることで、同複合材料に優れた電磁シールディング性能を持たせ、同複合材料の密度を下げている。最低密度は0.85g/cm
3に達している。さらに超音波分散・真空脱ガスなどのステップを行うことで、表面処理済み中空ガラスビーズとエポキシ樹脂・カーボンブラック・硬化剤の混合液を十分に混合させてから、真空硬化を行うことで、作製されたエポキシ樹脂電磁波吸収複合材料は0.5〜18GHzの広い帯域幅に対する力強い吸収を実現し、反射率が全部-5dB以下であり、従来の電磁波吸収複合材料の大きな密度、狭い電磁波吸収帯域幅などの欠点を有効的に解決している。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1はエポキシ樹脂電磁波吸収複合材料の作製プロセスを示す図である。
【
図2】
図2は実施例1のエポキシ樹脂電磁波吸収複合材料の作製プロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
下記実施例は本分野の技術者に全面的に本発明を理解させるものであり、いかなる方式にて本発明を制限するものではない。
【0022】
本発明はエポキシ樹脂を基材とし、カーボンブラックと表面処理済み中空ガラスビーズを電磁波吸収剤とすることで、密度の小さい、電磁波吸収帯域幅の広い、力強い電磁波吸収材料を得る。具体的なステップは下記の通りである。
【0023】
中空ガラスビーズの表面処理:質量比8〜10:0.5〜2の無水アルコールと脱イオン水でアルコール−水の混合溶液を作製し、氷酢酸を入れ、pHを3〜4に作製する。シランカップリング剤を入れ、質量分率2〜3%のシランカップリング剤溶液に作製する。さらに中空ガラスビーズを入れ、質量分率5%〜15%の中空ガラスビーズ溶液に作製し、80〜100℃までに昇温し、60〜80min攪拌し、ポリプロピレン微孔フィルタ膜でフィルタリングし、溶液が中性になるまで脱イオン水で洗浄し、100〜110℃で2〜3hの真空乾燥をし、表面処理済み中空ガラスビーズを得る。その中、シランカップリング剤はA-1100、A-187やA-172のいずれか一種類か複数種類である。
【0024】
エポキシ樹脂電磁波吸収複合材料の作製:エポキシ樹脂を50〜70℃までに昇温し、カーボンブラックを入れ、30〜60minの超音波分散を行い、エポキシ樹脂・カーボンブラックの混合液を得る。エポキシ樹脂・カーボンブラックの混合液を100〜120℃までに昇温し、硬化剤を入れ、攪拌・溶解を行い、エポキシ樹脂・カーボンブラック・硬化剤の混合液を得る。エポキシ樹脂・カーボンブラック・硬化剤の混合液に表面処理済み中空ガラスビーズを入れ、30〜60minの超音波分散を行い、混合液は気泡がなくなるまでに真空オーブン又は真空脱ガス機で脱ガスを行ってから、金型に入れ、110〜130℃で1〜3hの真空乾燥及び170〜190℃で3〜5hの真空硬化を行い、エポキシ樹脂電磁波吸収複合材料を得る。その中、エポキシ樹脂、カーボンブラック、硬化剤と表面処理済み中空ガラスビーズの質量比は80〜120:20〜30:30〜34:25〜35である。100:25:32:30を優先的に選ぶ。硬化剤は4,4 ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、3,3'-ジアミノジプロピルアミン(DPTA)、トリメチルエチレンジアミンのいずれか一種類か複数種類である。
【0025】
実施例1
中空ガラスビーズの表面処理:質量比9:1の無水アルコールと脱イオン水でアルコール−水の混合溶液を作製し、氷酢酸を入れ、pHを3〜4に調整する。シランカップリング剤A-1100を入れ、質量分率2.5%のシランカップリング剤溶液に作製する。中空ガラスビーズを入れ、中空ガラスビーズ溶液に作製し、90℃までに昇温し、60min攪拌し、フィルタリングしてから、溶液が中性になるまでに脱イオン水で洗浄し、105℃で2hの真空乾燥を行い、表面処理済み中空ガラスビーズを得る。
【0026】
エポキシ樹脂電磁波吸収複合材料の作製:120部のエポキシ樹脂を60℃までに昇温し、20部のカーボンブラックを入れ、超音波分散を30min行い、エポキシ樹脂・カーボンブラックの混合液を得る。エポキシ樹脂・カーボンブラックの混合液を110℃までに昇温し、34部の硬化剤を入れ、攪拌・溶解を行い、エポキシ樹脂・カーボンブラック・硬化剤の混合液を得る。エポキシ樹脂・カーボンブラック・硬化剤の混合液に30部の表面処理済み中空ガラスビーズを入れ、超音波分散を30min行い、混合液は気泡がなくなるまでに真空オーブンで真空脱ガスを行い、金型に入れ、120℃で2hの真空乾燥及び180℃で4hの真空硬化を行い、エポキシ樹脂電磁波吸収複合材料を得る。上記作製ステップは
図2に示されている。同複合材料をプレス成型し、300mm*300mm*1mmの標準サイズに切断して反射率をテストし、さらにその密度を測定する。
【0027】
実施例2
中空ガラスビーズの表面処理:質量比8:0.5の無水アルコールと脱イオン水でアルコール−水の混合溶液を作製し、氷酢酸を入れ、pHを3〜4に調整する。シランカップリング剤A-187を入れ、質量分率3%のシランカップリング剤溶液に作製する。中空ガラスビーズを入れ、中空ガラスビーズ溶液に作製し、80℃までに昇温し、80min攪拌し、フィルタリングしてから、溶液が中性になるまでに脱イオン水で洗浄し、100℃で2.5hの真空乾燥を行い、表面処理済み中空ガラスビーズを得る。
【0028】
エポキシ樹脂電磁波吸収複合材料の作製:100部のエポキシ樹脂を70℃までに昇温し、30部のカーボンブラックを入れ、超音波分散を35min行い、エポキシ樹脂・カーボンブラックの混合液を得る。エポキシ樹脂・カーボンブラックの混合液を100℃までに昇温し、32部の硬化剤を入れ、攪拌・溶解を行い、エポキシ樹脂・カーボンブラック・硬化剤の混合液を得る。エポキシ樹脂・カーボンブラック・硬化剤の混合液に25部の表面処理済み中空ガラスビーズを入れ、超音波分散を40min行い、混合液は気泡がなくなるまでに真空オーブンで真空脱ガスを行い、金型に入れ、110℃で3hの真空乾燥及び170℃で5hの真空硬化を行い、エポキシ樹脂電磁波吸収複合材料を得る。同複合材料をプレス成型し、300mm*300mm*1mmの標準サイズに切断して反射率をテストし、さらにその密度を測定する。
【0029】
実施例3
中空ガラスビーズの表面処理:質量比10:1の無水アルコールと脱イオン水でアルコール−水の混合溶液を作製し、氷酢酸を入れ、pHを3〜4に調整する。シランカップリング剤A-1100を入れ、質量分率2%のシランカップリング剤溶液に作製する。中空ガラスビーズを入れ、濃度が3Mである中空ガラスビーズ溶液に作製し、100℃までに昇温し、70min攪拌し、フィルタリングしてから、溶液が中性になるまでに脱イオン水で洗浄し、110℃で真空乾燥を3h行い、表面処理済み中空ガラスビーズを得る。
【0030】
エポキシ樹脂電磁波吸収複合材料の作製:80部のエポキシ樹脂を50℃までに昇温し、25部のカーボンブラックを入れ、超音波分散を40min行い、エポキシ樹脂・カーボンブラックの混合液を得る。エポキシ樹脂・カーボンブラックの混合液を110℃までに昇温し、30部の硬化剤を入れ、攪拌・溶解を行い、エポキシ樹脂・カーボンブラック・硬化剤の混合液を得る。エポキシ樹脂・カーボンブラック・硬化剤の混合液に35部の表面処理済み中空ガラスビーズを入れ、超音波分散を60min行い、混合液は気泡がなくなるまでに真空オーブンで真空脱ガスを行い、金型に入れ、130℃で1hの真空乾燥及び180℃で4hの真空硬化を行い、エポキシ樹脂電磁波吸収複合材料を得る。同複合材料をプレス成型し、300mm*300mm*1mmの標準サイズに切断して反射率をテストし、さらにその密度を測定する。
【0031】
実施例4
中空ガラスビーズの表面処理:質量比10:2の無水アルコールと脱イオン水でアルコール−水の混合溶液を作製し、氷酢酸を入れ、pHを3〜4に調整する。シランカップリング剤A-172を入れ、質量分率2.5%のシランカップリング剤溶液に作製する。中空ガラスビーズを入れ、中空ガラスビーズ溶液に作製し、90℃までに昇温し、60min攪拌し、フィルタリングしてから、溶液が中性になるまでに脱イオン水で洗浄し、105℃で真空乾燥を3h行い、表面処理済み中空ガラスビーズを得る。
【0032】
エポキシ樹脂電磁波吸収複合材料の作製:100部のエポキシ樹脂を60℃までに昇温し、20部のカーボンブラックを入れ、超音波分散を50min行い、エポキシ樹脂・カーボンブラックの混合液を得る。エポキシ樹脂・カーボンブラックの混合液を120℃までに昇温し、32部の硬化剤を入れ、攪拌・溶解を行い、エポキシ樹脂・カーボンブラック・硬化剤の混合液を得る。エポキシ樹脂・カーボンブラック・硬化剤の混合液に30部の表面処理済み中空ガラスビーズを入れ、超音波分散を30min行い、混合液は気泡がなくなるまでに真空オーブンで真空脱ガスを行い、金型に入れ、120℃で3hの真空乾燥及び190℃で3hの真空硬化を行い、エポキシ樹脂電磁波吸収複合材料を得る。同複合材料をプレス成型し、300mm*300mm*1mmの標準サイズに切断して反射率をテストし、さらにその密度を測定する。
【0033】
実施例5
中空ガラスビーズの表面処理:質量比9:2の無水アルコールと脱イオン水でアルコール−水の混合溶液を作製し、氷酢酸を入れ、pHを3〜4に調整する。シランカップリング剤A-1100を入れ、質量分率2.5%のシランカップリング剤溶液に作製する。中空ガラスビーズを入れ、中空ガラスビーズ溶液に作製し、100℃までに昇温し、60min攪拌し、フィルタリングしてから、溶液が中性になるまでに脱イオン水で洗浄し、105℃で真空乾燥を2h行い、表面処理済み中空ガラスビーズを得る。
【0034】
エポキシ樹脂電磁波吸収複合材料の作製:100部のエポキシ樹脂を65℃までに昇温し、30部のカーボンブラックを入れ、超音波分散を60min行い、エポキシ樹脂・カーボンブラックの混合液を得る。エポキシ樹脂・カーボンブラックの混合液を115℃までに昇温し、32部の硬化剤を入れ、攪拌・溶解を行い、エポキシ樹脂・カーボンブラック・硬化剤の混合液を得る。エポキシ樹脂・カーボンブラック・硬化剤の混合液に25部の表面処理済み中空ガラスビーズを入れ、超音波分散を35min行い、混合液は気泡がなくなるまでに真空オーブンで真空脱ガスを行い、金型に入れ、120℃で2hの真空乾燥及び180℃で4hの真空硬化を行い、エポキシ樹脂電磁波吸収複合材料を得る。同複合材料をプレス成型し、300mm*300mm*1mmの標準サイズに切断して反射率をテストし、さらにその密度を測定する。
【0035】
実施例6
中空ガラスビーズの表面処理:質量比9:1の無水アルコールと脱イオン水でアルコール−水の混合溶液を作製し、氷酢酸を入れ、pHを3〜4に調整する。シランカップリング剤A-187を入れ、質量分率2%のシランカップリング剤溶液に作製する。中空ガラスビーズを入れ、中空ガラスビーズ溶液に作製し、80℃までに昇温し、75min攪拌し、フィルタリングしてから、溶液が中性になるまでに脱イオン水で洗浄し、100℃で真空乾燥を3h行い、表面処理済み中空ガラスビーズを得る。
【0036】
エポキシ樹脂電磁波吸収複合材料の作製:100部のエポキシ樹脂を60℃までに昇温し、25部のカーボンブラックを入れ、超音波分散を30min行い、エポキシ樹脂・カーボンブラックの混合液を得る。エポキシ樹脂・カーボンブラックの混合液を110℃までに昇温し、32部の硬化剤を入れ、攪拌・溶解を行い、エポキシ樹脂・カーボンブラック・硬化剤の混合液を得る。エポキシ樹脂・カーボンブラック・硬化剤の混合液に30部の表面処理済み中空ガラスビーズを入れ、超音波分散を50min行い、混合液は気泡がなくなるまでに真空オーブンで真空脱ガスを行い、金型に入れ、120℃で2hの真空乾燥及び170℃で4hの真空硬化を行い、エポキシ樹脂電磁波吸収複合材料を得る;同複合材料をプレス成型し、300mm*300mm*1mmの標準サイズに切断して反射率をテストし、さらにその密度を測定する。
【0037】
上記攪拌の回転速度は800〜900r/minである。
【0038】
上記密度はGB/T 6343-2009により測定する。反射率はSFL-I反射率測定器で測定する。
【0039】
実施例一から六まで測定された反射率により、得られた反射率及び密度の結果は表1の通りである。
【0041】
表1のように、本発明は酸性アルコール−水の混合溶液で中空ガラスビーズを処理することで、電磁波吸収性能の優れる表面処理済み中空ガラスビーズを得ており、同処理済み中空ガラスビーズ及びカーボンブラックを電磁波吸収剤とし、エポキシ樹脂電磁波吸収複合材料を作製することで、得られたエポキシ樹脂電磁波吸収複合材料は0.5〜18GHzの吸収帯域幅範囲での反射率が全部-5dB以下で、最低は-32.7dBである。エポキシ樹脂電磁波吸収複合材料の電磁波吸収性能を有効的に強化し、超音波分散・真空脱ガスなどのステップにより、表面処理済み中空ガラスビーズとエポキシ樹脂・カーボンブラック・硬化剤の混合液を十分に混合させ、真空硬化することで、作製されたエポキシ樹脂電磁波吸収複合材料は複合材料の電磁波吸収帯域幅を広げている。その同時に、表面処理済み中空ガラスビーズ及びエポキシ樹脂・カーボンブラック・硬化剤の混合液の組み合わせにより、複合材料の密度を有効的に下げている。同複合材料の密度は最低0.85g/cm
3に達している。それにより電磁波吸収複合材料の「薄い・軽い・広い・強い」要求を満たしている。
【0042】
上記実施例は単なる例示であり、本発明の精神や範囲を逸脱しない前提では、色々な変化や差し替え、変更を行うことができるとは、本分野の技術者が理解できるべきである。