(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下さらに本発明の実施形態の薬剤払出し装置1について説明するが、理解を容易にするため、先に薬剤払出し装置1の概要と大まかな動作について説明し、その後に各部材や装置を詳細に説明する。
本実施形態の薬剤払出し装置1は、筐体7によって囲まれており、その内部は、薬剤棚部領域100と、薬剤分割領域200と、薬剤包装領域300に分かれている。
薬剤棚部領域100には、薬剤容器2を設置する容器保管装置101が設けられている。
容器保管装置101は、略水平方向に回転する縦型のドラム部材102を有し、ドラム部材102の外周面に複数の容器設置部103が設けられたものである。本実施形態では、容器設置部103は3段に渡って設けられている。また一段に12個の容器設置部103が設けられており、合計36個の薬剤容器2を取り付けることができる。
【0046】
ドラム部材102は、モータによって回転し、所望の薬剤容器2が、後記する容器移動手段700のロボット702に近接され、ロボット702によって着脱される。
【0047】
薬剤棚部領域100から薬剤分割領域200に至る領域に、容器移動手段700が設けられている。
図43に示すように容器移動手段700は、垂直方向に設けられた昇降機構701に、ロボット702が設けられたものである。ロボット702は、2本のアーム部材705,706と、ハンド部707とを有するものである。ハンド部707には、電磁石が設けられており、薬剤容器2の鉄板を磁着して保持することができる。
【0048】
薬剤分割領域200は、2個の分配皿201が埋設状態に設置された領域であり、その周辺に容器載置装置3と、清掃装置500が配置されたものである。また薬剤分割領域200には、掻出装置930が設けられており、薬剤分割領域200の各分配皿201からは、掻出装置930の掻出用アーム931が突出している。
即ち薬剤分割領域200には、平板状のテーブル部材205がある。テーブル部材205は平面であり、上に物を置くことができる。すなわち、テーブル部材205は、物品を載置可能なテーブル面205aを有する。
図17に示すようにテーブル部材205には分配皿収容開口206が2箇所に設けられている。すなわち、テーブル面205aの2箇所に分配皿収容開口206が開口している。
そして分配皿収容開口206の中に分配皿201が設けられている。
分配皿201は、中央に機材収納開口210が設けられた皿状の部材である。分配皿201は、上面側に薬剤投入溝208が設けられている。薬剤投入溝208は、「R溝」とも称され、断面形状が円弧状である。薬剤投入溝208は、分配皿201の外縁部近傍にあって、機材収納開口210の周囲を環状に取り巻いている。
【0049】
分配皿201は、分配皿収容開口206の中にすっぽりと納められており、いずれの部位もテーブル部材205の表面(テーブル面205a)よりも下にある。
分配皿201は、後記する皿回転機構211によって一定速度で回転させることができる。また所定の角度だけ回転させることもできる。
後記する様に、皿回転機構211はいずれもテーブル部材205の下に設けられている。
【0050】
掻出装置930は、
図23に示す様に、掻出側動力伝動系統932と、アーム側動力伝動系統933を有する。掻出側動力伝動系統932はモータ950を有し、モータ950を作動させることによって、掻出用アーム931に設けられた掻出機構606を駆動することができる。アーム側動力伝動系統933は、モータ960を有し、モータ960を作動させることによって、掻出用アーム931を昇降させることができる。
【0051】
本実施形態では、テーブル部材205の下にターンテーブル604があり、当該ターンテーブル604に、掻出用アーム931が固定されている。
したがってターンテーブル604を回動させることによって掻出装置930全体を旋回させることができる。
【0052】
またモータ950、960の大半の地上高は、テーブル部材205の表面(テーブル面205a)よりも下である。
掻出用アーム931の基端部は、ターンテーブル604側に固定されており、先の部分が分配皿201の機材収納開口210から外側に突出している。
従って、前記した掻出用アーム931の基端側は機材収納開口210内またはその真上の位置にあって先端側が機材収納開口210側から片持ち状に張り出している。
【0053】
分配皿201の機材収納開口210内には、蓋207(覆い部材)が設けられていて、モータ950,960(
図21)を覆う。蓋207はターンテーブル604側に固定されており、ターンテーブル604と一体的に回転する。蓋207の外径は、分配皿201の中央に設けられた機材収納開口210と略等しく、機材収納開口210に入りこむ。しかしながら、蓋207は分配皿201と当接や係合するものではなく、蓋207と分配皿201とは相対回転可能である。
蓋207は、天面が一部の突出部を除いて略平面状である。より具体的には、蓋207を平面視したとき、その面積の4分の3以上が平滑である。
また蓋207には、掻出用アーム931を突出させるための開口がある。そしてこの開口には扉部材が設けられている。扉部材は、重力によって常時閉じている。そして掻出用アーム931が縦姿勢に近づく方向に回動すると、掻出用アーム931に押されて扉部材が開く。一方、掻出用アーム931が水平姿勢に近づく方向に回動すると、付勢部材の力によって扉部材が閉じ方向に動く。
【0054】
清掃装置500は、テーブル部材205側から片持ち状に突出すると共に先端側が動力によって昇降する清掃用アーム501を有し、その先端に清掃ブラシ502が設けられたものである。
清掃ブラシ502は、ブラシカバー503内に回転可能に装着されている。ブラシカバー503は、
図36に示す様に、先端側に開口部503a(露出開口)を有し、当該開口部503aから清掃ブラシ502の一部が露出する。
【0055】
清掃ブラシ502は、ハブ部材の周囲に植毛が施されたものである。
本実施形態では、ハブ部材の周囲に4列に植毛が施されている。4列の植毛列の内、外側の植毛列は、いずれも毛先側が内側に向かう様に設けられている。これに対して中央の植毛列は、一方が右向きに植毛され、他方が左向きに植毛させており、全体として毛先が左右方向に振り分けられている。
従って清掃ブラシ502の植毛列は、3列以上に渡って設けられ、両端側の植毛列は、毛先側がハブ部材の中央側に傾斜する方向に植毛された中央方向傾斜毛群を含み、中央側の植毛列は、毛先側がハブ部材の一方の端部側に向かって傾斜する方向に植毛された一端方向傾斜毛群と毛先側がハブ部材の他方の端部側に向かって傾斜する方向に植毛された他端方向傾斜毛群とを含んでいる。
またハブ部材は、植毛列の間に溝が設けられている。
【0056】
テーブル部材205には、容器載置装置3が設けられている。本実施形態では、分配皿201の周囲に3セットずつ容器載置装置3がある。
容器載置装置3は、振動台20と、薬剤容器2の重量を直接的または間接的に測定する重量測定手段25とを有している。
そして容器載置装置3の主要部は、いずれもテーブル部材205よりも下に埋没しており、振動台20の表面を含む一部だけがテーブル部材205から露出している。
振動台20には、振動台20に薬剤容器2を一時的に固定する容器保持手段が設けられている。容器保持手段は、具体的には磁石である。より詳細には自己保持ソレノイド30と称される構造の電磁石である。自己保持ソレノイド30は、永久磁石と電磁石とを併用したものであり、常時は主に永久磁石によって吸着力を発揮している。そして自己保持ソレノイド30から磁着されたものを離脱させる場合に電磁石に通電し、永久磁石とは逆方向の磁力を発生させて永久磁石の磁力を打ち消す。
あるいは、吸着時にも電磁石に通電して永久磁石と同一方向の磁力を発生させ、離脱時には、逆方向の電流を流して永久磁石とは逆方向の磁力を発生させる。
本実施形態では、容器載置装置3に薬剤容器2が載置し、振動台20を振動させて薬剤容器2から薬剤を排出させることができる。またその時の薬剤容器2の重量変化が、重量測定手段25によって検知される。
【0057】
テーブル部材205には、さらに薬剤投入開口241が設けられている。またテーブル部材205の薬剤投入開口241からやや正面側に離れた位置に、ホッパー閉塞部材400が設けられている。ホッパー閉塞部材400は本体部401と中蓋部402を有し、中蓋部402は動力によって本体部401から離れる方向に移動する。
【0058】
薬剤包装領域300(
図2)には、
図32に示す薬剤包装装置410が内蔵されている。薬剤包装装置410は、公知のそれと同様に、薬剤を一服用分ずつ包装する機械であり、公知の様に、分包紙供給装置と、分包装置によって構成されている。また包装部に薬剤を投入する散薬投入ホッパー413(薬剤投入ホッパー)が設けられている。
本実施形態の薬剤包装置は、特有の構成として、全体が前後方向に移動する。
即ち本実施形態では、薬剤包装装置410が全体的に移動する。即ち薬剤を包装している際には、散薬投入ホッパー413の投入開口が、薬剤投入開口241の位置にあり、包装作業が終了すると、薬剤包装装置410が全体的に正面側に移動して散薬投入ホッパー413の投入開口が、ホッパー閉塞部材400の位置に至る。そしてその後に、散薬投入ホッパー413等の清掃作業が実施される。
【0059】
またその他の構成として、分配皿201、散薬投入ホッパー413、掻出機構606の全てに残薬検知センサーが設けられている。
残薬検知センサーは光学センサーであり、本体機器とファイバーを有し、ファイバーの先端部分が分配皿201等あるいはその近傍に設けられている。
さらに、2つの分配皿201の間に隔壁(図示せず)を設けてもよい。隔壁を設けると、一方の分配皿201内の散薬が、他方の分配皿201に飛散する恐れがなくなる。また、この隔壁を清掃する隔壁清掃手段を設けるのが好ましい。すなわち、隔壁に付着した散薬が飛散し、異なる種類の薬剤に混入する事態を回避することができる。
【0060】
次に、薬剤払出し装置1の概要と大まかな動作について説明する。
本実施形態の薬剤払出し装置1は、処方箋に応じて薬剤を選び出す動作と、所定量の薬剤を分配皿201に投入する動作と、薬剤を分割して薬剤包装装置410に投入する動作を自動的に行うことができる。
またその後に、分配皿201の清掃が自動的に行われ、さらに掻出機構606についても自動的に清掃される。
さらにその後、散薬投入ホッパー413内についても自動的に清掃される。
【0061】
即ち本実施形態の薬剤払出し装置1は、処方箋に応じて自動的に薬剤容器2を選び出す。具体的には、容器保管装置101のドラム部材102を回転し、所望の薬剤容器2を容器移動手段700に近づける。そして容器移動手段700のハンド部707で、薬剤容器2を保持し、アーム等を動作させて当該薬剤容器2を容器載置装置3の振動台20に設置する。
なお複数の薬剤を配合して、一つの包装中に同封する場合には、複数の薬剤容器2が容器載置装置3に設置される。
【0062】
そして振動台20を振動させる。その結果、薬剤容器2の散薬が、ゆっくりと移動し、薬剤容器2から排出されて分配皿201に落下する。
また振動開始と前後して散薬分配装置202の分配皿201を回転させる。振動開始と前後して、薬剤容器2の重量が測定される。その間、薬剤容器2の重量が、監視され、散薬の総落下量が所望の重量となったところで、振動台20の振動を停止する。
すなわち重量測定手段25によって、薬剤を排出する以前の薬剤容器2の重量たる原重量Gを測定し、薬剤容器2から散薬を少量ずつ排出する際に前記重量測定手段25によって薬剤容器2の重量を監視する。そして薬剤容器2の現在の重量たる現重量gが、原重量Gから目標排出量を引いた値に一致した際あるいは略一致した際に薬剤容器2からの散薬の排出を停止させる。
【0063】
その後に分配皿201の回転を停止する。そしてモータ950(
図21)を正回転して、掻出用アーム931を揺動させ、先端側を降下させて掻出機構606を下げ、掻出機構606を分配皿201の薬剤投入溝208内に入れる。
そして分配皿201を分配個数に応じた角度だけ回転させて、掻寄板609にかき寄せる。その後、モータ950を逆回転して、掻寄板609を回転し、掻出板607で薬剤をすくい上げて分配皿201から排出し、薬剤投入開口241に投入する。
薬剤投入開口241に投入された薬剤は、散薬投入ホッパー413を落下して薬剤包装装置410に運ばれ、薬剤包装装置410で包装される。
この動作を順次繰り返し、分配皿201内の薬剤を全て排出し、それぞれ薬剤包装装置410で包装される。
【0064】
分配皿201内の薬剤を全て排出し終えると、溝清掃動作が実行される。即ちモータ960を正回転して、掻出用アーム931を揺動させ、先端側を上昇させて掻出機構606を分配皿201の薬剤投入溝208から出す。
続いて清掃装置500の清掃用アーム501を回動させて先端に設けられた清掃ブラシ502を降下させ、清掃ブラシ502を分配皿201の薬剤投入溝208内に入れる。
そして清掃ブラシ502を回転しつつ、分配皿201を回転させる。
その結果、分配皿201の薬剤投入溝208内に残っていた薬剤の残渣が清掃ブラシ502で掻き落とされ、舞い上がっていた残渣が吸引手段で吸引される。その結果、薬剤投入溝208内が清掃される。
溝清掃動作が終了すると、清掃用アーム501を回動させて先端に設けられた清掃ブラシ502を上昇させ、清掃ブラシ502を分配皿201の薬剤投入溝208から出す。
【0065】
なお吸引手段による吸引は、清掃ブラシ502を上昇させている間も継続することが望ましい。そうすることにより、清掃ブラシ502を上昇させる際に清掃ブラシ502に付着していた薬剤が分配皿201に落下することを防ぐことができる。
また分配皿201を清掃した後に、残薬検知センサー372によって分配皿201の清掃状況が確認されるから、清掃ブラシ502を上昇させた後も分配皿201は回転し続けている。そのため、分配皿201を回転させたままの状態であって、吸引手段による吸引を行いつつ清掃ブラシ502を回転させ続け、清掃ブラシ502を上昇した後に清掃ブラシ502を回転と吸引手段による吸引を停止する。
【0066】
そしてその後に、掻出部清掃動作が実行される。
即ちテーブルの下に内蔵されているターンテーブル604を回転し、掻出装置930全体を旋回させて掻出装置930の掻出機構606を清掃装置500の近傍に移動させる。なお蓋207と分配皿201とは相対回転可能であるから、ターンテーブル604と共に回転する。
そして清掃装置500の清掃用アーム501をやや傾斜し、
図39に示す様に、清掃ブラシ502の溝C,Dに、掻出機構606の掻寄板609と、仕切板603を挿入する。その状態で、清掃ブラシ502を回転させる。その結果、掻出機構606にこびりついていた薬剤の残渣が清掃ブラシ502で掻き落とされ、ブラシカバー503に入る。そしてブラシカバー503内の残渣が真空装置515(吸引手段)で吸引される。その結果、掻出機構606が清掃される。
【0067】
また本実施形態の薬剤払出し装置1では、前記した溝清掃動作及び掻出部清掃動作と並行してホッパー清掃動作が実行される。
即ち分配皿201内の薬剤を全て排出し終え、さらに薬剤の包装が終了すると、薬剤包装装置410を全体的に移動させ、散薬投入ホッパー413の投入開口をホッパー閉塞部材400の位置に至らしめる。そしてホッパー閉塞部材400を動作させて中蓋部402を突出させ、散薬投入ホッパー413の投入開口を閉鎖する。そしてこの状態で、吸引部材を動作させ、散薬投入ホッパー413の内部を清掃する。
また散薬投入ホッパー413の末端に開閉装置がある場合は、当該開閉装置を開閉する。
【0068】
本実施形態の薬剤払出し装置1では、以上の動作を繰り返し、薬剤の秤量、分割、包装、清掃を実施する。
また一日の作業が終了した際や、早朝の作業開始時には、薬剤払出し装置1の全体を手作業で清掃する。
即ち清潔な布でテーブル上の各部材を拭き上げ、埃や、散薬の残渣を除去する。
ここで本実施形態の薬剤払出し装置1は、テーブル上の凹凸が少ないので、人力による清掃が容易である。
【0069】
即ち本実施形態の薬剤払出し装置1では、分配皿201が、テーブル部材205の上面(テーブル面205a)よりも低い位置にあり、薬剤投入溝208の高さがテーブル部材205と同等である(実際にはやや低い)。そのため、人力による拭き上げ作業が容易である。
また分配皿201は、テーブル部材205の中に埋め込まれた構造となっており、分配皿201の下面とテーブル部材205上面(テーブル面205a)との間に陰の部位が生じない。そのため、埃や散薬が隙間に入り込むことはなく、清潔である。
【0070】
また分配皿201の中央に蓋207が在る状態においては、蓋207の天面は、概ね平坦であるから、蓋を拭く作業も容易である。また隙間に塵等が挟まることもないから清潔である。
【0071】
本実施形態の薬剤払出し装置1は、各機構の動作・形状・用途に応じた清掃機構を搭載しているので、清掃性能が大幅に向上し、散薬のコンタミネーションを起こしにくく、安全性が高い。
【0072】
次に、薬剤払出し装置1の各部材や装置について説明する。
(1)薬剤容器
薬剤容器2は、密閉型の容器であり、容器本体5と、運搬用鉄板部157と、固定用鉄板部6と、蓋部材120と、情報記録部材15とによって構成されている。
容器本体5は樹脂で作られた縦長の容器であり、長手方向の一端が開口していて薬剤排出部8を構成している。
また容器本体5には運搬用鉄板部157が設けられている。本実施形態では、運搬用鉄板部157は、二つの小運搬用鉄板部157a,157bに分かれている。運搬用鉄板部157は、フェライト等の磁性体成分を含む鋼板で作られている。
【0073】
蓋部材120は、蓋本体部125と、可動蓋部134と、整流コイル126と、櫛状整流部材130によって構成されている。また蓋部材120には、
図6の様に乾燥剤182が配されている。
可動蓋部134に摘まみ部147があり、当該摘まみ部147を押圧することにより可動蓋部134が開く。そして可動蓋部134は開かれた状態が維持される。
蓋部材120は、
図6の様に容器本体5に装着されて薬剤排出部8を構成する。
蓋部材120の表面には、係合突起370が設けられている。また薬剤容器2の後端部に窪み371がある。
【0074】
固定用鉄板部6は、フェライト等の磁性体成分を含む鋼板である。固定用鉄板部6は、容器本体5の外周部であって周壁下面12に取り付けられている。固定用鉄板部6が取り付けられた面と、前記した運搬用鉄板部157が取り付けられた面は、対向する。また、容器本体5自身が磁性体であり、薬剤容器全体が磁性体であってもよい。
薬剤容器2は、保管時には、縦姿勢で載置され、使用時は水平姿勢に設置される。
また薬剤容器2には、バーコードやRFID(Radio Frequency IDentification)やバーコード等の情報記録部材15が設けられている。本実施形態では、情報記録部材15として、RFIDのチップが取り付けられている。情報記録部材15には、薬剤容器2に充填されている薬剤の種類が記録されている。
【0075】
(2)容器載置装置
容器載置装置3は、
図7乃至
図10の様に、上から振動台20、加振手段21a,21b、中間台22、防振台23、重量測定手段25及び基礎部材26によって構成されている。
【0076】
振動台20はブロック状の載置台である。振動台20の外観形状は、
図7,8,9,10の様であり、略直方体である。
【0077】
載置面61には、自己保持ソレノイド30a,30bが内蔵されている。
振動台20の短辺側側面63a,63bには、中央部分に傾斜面67a,67bが形成されている。
【0078】
加振手段21a,21bは、圧電素子である。
中間台22は、
図8の様にその概観は、平面視が略「H」状を呈している。
中間台22には傾斜面78aがある。そして中間台22の傾斜面78aの延長上に振動台20の傾斜面67aがある。
【0079】
中間台22の内部には大きな空洞部75があり、本体部76の裏面は広く開放されている。
防振台23は、
図8の様に、中央部を突出させて内部に空間を設けた板体である。
【0080】
次に本実施形態の容器載置装置3の各構成部材の位置関係について説明する。容器載置装置3では、
図7,8,9,10の様に、振動台20と中間台22の間に加振手段21a,21bが設けられている。
【0081】
本実施形態においては、振動台20と中間台22との間には、加振手段21a,21bが存在しており、加振手段21a,21b以外の部位では振動台20が支持されていない。そのため振動台20は、加振手段21a,21bによって、中間台22から中空に支持された構造となっている。
【0082】
また中間台22の下部には、防振台23が配されている。本実施形態では、中間台22と防振台23の間を接続する部材は、防振部材40以外には無い。そのため中間台22は、防振部材40によって防振台23から中空に支持された構造となっている。
【0083】
また防振台23の下部には、
図8,9,10の様に重量測定手段25が配され、さらにその下部には基礎部材26が配されている。
重量測定手段25は、その大部分が、
図8,9,10の様に、防振台23の中央に設けられた凸条80内にあり、重量測定手段25の上設置面36が防振台23の凸条80の天面81の内面に接続されている。
一方、重量測定手段25の下設置面37は基礎部材26に取り付けられている。
基礎部材26は、先の実施形態と同様に防振部材41を介して散薬分配装置202の分配皿201の近傍に取り付けられている。
【0084】
(3)薬剤フィーダ(散薬投入装置)
本実施形態の薬剤払出し装置1では、薬剤容器2と、容器載置装置3によって一組の薬剤フィーダ50(散薬投入装置)が構成される。
即ち薬剤容器2と、容器載置装置3とが別々のものであり、散薬を分包する際に、両者が結合されて薬剤フィーダ50を構成する。
薬剤フィーダ50は、振動台20に内蔵された自己保持ソレノイド30に対する通電を停止して薬剤容器2を振動台20に固定し、薬剤容器2を振動させて散薬を排出させる機能を持つ。
即ち本実施形態では、薬剤容器2は縦姿勢で保管され、散薬は、散薬貯留部17に貯留されている。本実施形態では、ロボット702のハンド部707で薬剤容器2を保持し、薬剤容器2を移動し、
図3の様に容器載置装置3に載置する。
より具体的には、
図2の様に、薬剤容器2を移動させると共に姿勢変更する。即ち、薬剤容器2を容器載置装置3の近傍に移動させ、さらに、薬剤容器2を水平姿勢に寝かせ、振動台20に載せる。
【0085】
そして振動台20に内蔵された自己保持ソレノイド30に対する通電を停止する。その結果、永久磁石の磁力が復活して振動台20に磁力が発生し、薬剤容器2の固定用鉄板部6が振動台20に吸着される。
そして加振手段21a,21bに一定周波数の電流を通電して振動を発生させ、この振動によって振動台20を振動させる。
また振動開始と前後して散薬分配装置202の分配皿201を回転させる。
【0086】
また振動開始と前後して、薬剤容器2の重量が測定される。薬剤容器2の重量は、重量測定手段25の検知重量から、一定値を引いたものである。より具体的には、薬剤容器2の重量は、重量測定手段25の検知重量から、容器載置装置3の重量測定手段25より上の部材の重量を引いたものである。
振動台20に設置直後の薬剤容器2の重量は、原重量Gとして記憶される。また薬剤容器2の重量は、常時監視される。即ち薬剤容器2の現在の重量は、現重量gとして監視される。
【0087】
振動台20が振動を開始すると、薬剤容器2が振動する。ここで、本実施形態では、薬剤容器2は、自己保持ソレノイド30a,30bの永久磁石によって強固に振動台20に接合されており、且つ振動台20との密着度合いも高いから、薬剤容器2は、振動台20と同一周波数で振動する。その結果、薬剤容器2の散薬貯留部17に貯留された散薬が、薬剤排出部8側に向かってゆっくりと移動する。
【0088】
そして散薬は、櫛状整流部材130の部位によって形成される狭窄開口部13に至る。狭窄開口部13を通過した散薬は、導出路部18に排出される。そして散薬は川の流れの如くに導出路部18を流れ、遂には薬剤容器2の薬剤排出部8に至り、滝のごとくに落下し、下の分配皿201の薬剤投入溝208に入る。
【0089】
散薬が落下中であることは、薬剤容器2の重量が低下することによって確認される。即ち本実施形態では、散薬が薬剤容器2の薬剤排出部8から落下中においても、薬剤容器2の現在の重量が、現重量gとして監視され続けている。そして振動台20に設置直後の薬剤容器2の原重量Gと、現重量gとを比較し、散薬の落下量H(Gマイナスg)を常時演算している。
そして散薬の総落下量Hが所望の重量となったところで、振動台20の振動を停止する。
【0090】
(4)容器保管装置
容器保管装置101は、
図11に示すようにドラム部材102を有している。ドラム部材102は、円筒形の部材であり、中は空洞である。
ドラム部材102は、縦置き姿勢であって回転可能に配置され、下端側に大歯車304が設けられている。
【0091】
ドラム部材102の周面には、容器設置部103が設けられている。本実施形態では、前記した様に、容器設置部103が3段に渡って設けられている。また一段に12個の容器設置部103が設けられており、合計36個の容器設置部103がある。
【0092】
本実施形態では、容器設置部103は、
図12に示すように垂直壁320と、載置台(底面支持部)323によって構成されている。垂直壁320には側面支持部材321と、装着検知部材322と、上部係合部325とが設けられている。
載置台(底面支持部)323は、薬剤容器2を縦置きした姿勢を基準としてその底面を支持するものであり、底面支持部として機能する。
側面支持部材321は、
図12,13に示すように金属の板体を折り曲げて作られたものであり、正面壁と、左右側壁とを有している。左右側壁は、正面壁に対してやや傾斜した姿勢をとるものであり、容器本体5の固定用鉄板部6と同等の開き角度を有している。側面支持部材321は、薬剤容器2の側面の内の3面を支持する。
【0093】
上部係合部325は、軸部を有しその先端側が鉤状を呈している。上部係合部325は、各容器設置部103の上端近傍にあって垂直壁320から突出している。上部係合部325は、基礎端側を中心として上下方向に揺動する。上部係合部325は常時は軸部が水平姿勢を保っている。また上部係合部325は図示しない付勢手段によって、軸部が水平姿勢を保つ様に付勢されている。
その一方で強い外力を受けると上部係合部325は回動し、上部係合部325は、付勢手段の付勢力に抗して自由端側が上方に逃げる。
【0094】
装着検知部材322は、突出部材を有している。装着検知部材322は、上部係合部325よりも下の位置にあり、突出部材は、垂直壁320から外側に向かって突出している。突出部材についても、図示しない付勢部材によって外側に向かって突出した状態を維持している。突出部材を付勢する付勢部材は、付勢力が弱く、何かに当たって押されると、突出部材は容易にドラム部材102の内部に没入する。即ち突出部材は常時は、ドラム部材102の外側に向かって突出しているが、容器設置部103に薬剤容器2が装着されると、薬剤容器2に押されてドラム部材102の内部に没入し、ドラム部材102の内部側に突出する。
【0095】
また載置台323には、下部係合部326が設けられている。下部係合部326についても、図示しない付勢部材によって突出した状態を維持している。
薬剤容器2は、前記した様に蓋部材120に係合突起370が設けられている。また薬剤容器2の後端部に窪み371がある。
上部係合部325は、薬剤容器2の蓋部材120を押しつけることにより、
図14の様に矢印の様に上方に回動する。下部係合部326は、薬剤容器2の固定用鉄板部6を押しつけることにより、載置台323の中に没する。
容器設置部103に薬剤容器2を押しつけると、上部係合部325と、下部係合部326は、付勢部材の力に抗して逃げる。そして薬剤容器2が所定の位置に至ると、上部係合部325が図示しない付勢部材によって復帰し、蓋部材120の係合突起370と係合する。また下部係合部326が図示しない付勢部材によって復帰し、薬剤容器2の後端部の窪み371に係合する。
薬剤容器2を取り出す場合は、ロボット702等で薬剤容器2を保持し、容器設置部103から引き離す。その際、上部係合部325と、下部係合部326は、付勢部材の力に抗して逃げ、係合が解ける。
【0096】
またドラム部材102の近傍にはギャードモータ302が設けられており、ギャードモータ302に取り付けられた小歯車303がドラム部材102に取り付けられた大歯車304と係合している。
従って、ギャードモータ302を回転すると、ドラム部材102が回転する。
【0097】
また
図11に示すようにドラム部材102の近傍には飛び出し検知センサー330が設けられている。飛び出し検知センサー330は、発光器331と受光器332から成る光学センサーであり、例えば発光器331がドラム部材102の近傍であって上部側に設けられている。一方、受光器332は、発光器331の鉛直方向下の位置に設けられている。
飛び出し検知センサー330の発光器331と受光器332とを結ぶ光の直線は、ドラム部材102と平行である。また光の直線は、薬剤容器2が容器設置部103に対して正確に取り付けられている状態において、ドラム部材102を回転させた際の回転軌跡と交わらない。
一方、薬剤容器2の容器設置部103に対する押し込みが不十分であり、薬剤容器2が容器設置部103に対して正確に取り付けられていない場合においては、ドラム部材102を回転させた際の回転軌跡と交わる。
【0098】
従って、容器設置部103に対して正確に取り付けられていない薬剤容器2があれば、ドラム部材102を回転させた際に、薬剤容器2が発光器331から発光された光線を遮り、受光器332への入光が途切れる。そのため本実施形態では、ギャードモータ302を駆動してドラム部材102を回転し、既に容器設置部103に装着されている薬剤容器2が正規の姿勢で取り付けられているか否かを検知することができる。
【0099】
ドラム部材102の内部には、前記した装着検知部材322の突出部材の姿勢を検知する突出部材検知センサー333(
図15)が設けられている。突出部材検知センサー333は、光学的センサー、あるいは近接センサーである。
突出部材検知センサー333は、ドラム部材102とは別途独立した垂直軸に取り付けられおり、ドラム部材102が回転しても突出部材検知センサー333は回転しない、本実施形態では、容器設置部103が3段に渡って設けられているので、突出部材検知センサー333は、各段に対応して一個ずつ、合計3個設けられている。
本実施形態では、突出部材検知センサー333は、後記する薬剤容器2の装着ステージとなる近傍に設けられている。
そのため、薬剤容器2を容器設置部103に装着する際に、薬剤容器2が正規の位置に納まったか否かを検知することができる。
またギャードモータ302を駆動してドラム部材102を回転し、既に容器設置部103に装着されている薬剤容器2が正規の姿勢で取り付けられているか否かを検知することもできる。
【0100】
またドラム部材102の近傍にはRFIDリーダ等の情報読み書き装置335が設けられている。
本実施形態では、容器設置部103が3段に渡って設けられているので、情報読み書き装置335は、各段に対応して一個ずつ、合計3個設けられている。
本実施形態では、ギャードモータ302を駆動してドラム部材102を回転させると、ドラム部材102の周囲に取り付けられた薬剤容器2がドラム部材102と共に回動する。そのため、ドラム部材102の周囲に取り付けられた薬剤容器2が一つずつ順番に情報読み書き装置335に近づく。本実施形態では、適当なタイミングで、情報読み書き装置335を動作させ、個々の薬剤容器2に取り付けられたRFIDからそれぞれの薬剤容器2に収容された薬剤の種類を読み取り、図示しない制御装置に記憶する。即ち、薬剤容器2が装着されている位置と、内蔵されている薬剤とを関連付けて、制御装置に記憶する。
また既に制御装置に記憶されている情報を書き換えたり、内容を確認する用途に供する。
【0101】
また適宜ドラム部材102を回転し、突出部材検知センサー333及び飛び出し検知センサー330によって薬剤容器2が適切に取り付けられているか否かが検知される。
【0102】
(5)分配皿
本実施形態の薬剤払出し装置1では、分配皿201を2セット有している。
二つの分配皿201は、同一の大きさ及び構造をしている。即ち分配皿201は、円盤状であり、中央に機材収納開口210が設けられている。前記した様に分配皿201は、上面側に薬剤投入溝208が設けられている。薬剤投入溝208は、深さの浅い溝であり、断面形状が円弧状である。薬剤投入溝208は、分配皿201の外縁部近傍にあって、機材収納開口210の周囲を環状に取り巻いている。
【0103】
分配皿201は、ガイドによって下面側が保持され、回転可能である。
また機材収納開口210の内面が下側に向かって突出しており、その外周部に歯車の歯が刻まれている。
分配皿201の下部にモータ209が設けられており、当該モータ209に設けられた歯車が、分配皿201に設けられた歯車の歯と係合している。そのため、モータ209を回転させると、分配皿201が回転する。
【0104】
前記した機材収納開口210の部分には、蓋207がある。蓋207はターンテーブル604側に固定されており、ターンテーブル604と一体的に回転する。蓋207の外径は、分配皿201の中央に設けられた機材収納開口210と略等しく、機材収納開口210に入りこむので実質的に機材収納開口210を塞ぎ、内部の機器を覆う。しかしながら、蓋207は分配皿201と当接や係合するものではく、蓋207と分配皿201とは相対回転可能である。
蓋207には掻出用アーム931を突出させる開口があり、当該開口には扉部材が設けられており、掻出用アーム931の昇降に応じて扉部材が動作する。そのため掻出用アーム931の昇降に応じて開口面積が増減し、開口面積を必要最小限に保つ。
【0105】
蓋207の具体的な形状構造は、
図28の通りであり、蓋本体212と、扉部材213によって構成されている。蓋本体212は、あたかもベレー帽の様な薄い円盤状であり、円形の低部側天面230があり、低部側天面230の周囲に高さの低い側壁部がある。
蓋207の天面部の周端部の一部には隆起部231が形成されている。隆起部231はやや偏心した位置にある。即ち隆起部231には高部側天面と高部側天面の3方につながる3面の隆起部側面がある。3面の隆起部側面の内、対向する二面は面積が広く、残る一面は、前記二面を繋ぐものである。
そして一つの隆起部側面から低部側天面の周に至る距離と、これに対向する隆起部側面から低部側天面の周に至る距離が異なる。
【0106】
本実施形態では、隆起部231の天面から蓋本体212の側壁部にかけて大きな開口232が設けられている。また開口232の内側の縁には、図示しないガイド部が設けられている。
蓋207の裏面側であって開口232の近傍には、一対のリブが設けられている。当該リブには、軸挿通孔(図示せず)が設けられている。
【0107】
扉部材213は、開口232を開閉可能に覆うものであり、本体部と揺動軸片233を有している。扉部材213は、本体部の側面が開口232の縁に設けられた図示しないガイドと係合し、さらに揺動軸片233が軸挿通孔(図示せず)と係合している。
扉部材213は、自重によって閉じられ、蓋本体212の開口232を閉塞する。一方、外力によって持ち上げられると、難なく開く。
そのため蓋207によって開口232が必要最低限度に開かれ、埃等の進入が阻止される。
【0108】
(6)ターンテーブル
ターンテーブル604は、円形の板体であり、その外周に歯車の歯が刻まれている。ターンテーブル604は、外周部に設けられた3個のガイドによって回転可能に支持されている。またターンテーブル604の近傍には、
図18に示す様に、モータ650が設けられており、当該モータ650に設けられた歯車651が、ターンテーブル604の外周に設けられた歯車の歯605と係合している。そのため、モータ650を回転させると、ターンテーブル604が回転する。
【0109】
(7)掻出装置
次に、掻出装置930について説明する。
図21は、掻出装置930の斜視図であり、
図22は、掻出装置930の掻出用アーム931の先端に装着された掻出機構606の斜視図である。また、
図23は、掻出装置930の動力の伝動系統を示すスケルトン図である。
図21に示す様に、掻出装置930は、掻出用アーム931と、掻出用アーム931の先端に設けられた掻出機構606を有する。
また、
図23に示す様に、掻出装置930は、破線Dで囲んだ掻出側動力伝動系統932と、破線Eで囲んだアーム側動力伝動系統933とを有する。
掻出装置930の掻出機構606は、掻出側動力伝動系統932で駆動される。
【0110】
掻出機構606は、
図22に示す様に、掻寄板609と、掻出板607と、仕切板603とを有する部材である。掻寄板609は、薄板で作られた円盤である。
仕切板603は、掻寄板609と平行に配された薄板であり、扇型に近い形状をしている。即ち仕切板603は、中心角が30度程度の円弧と、直線の2辺によって形付けられた略三角形の板である。
仕切板603は、掻寄板609と平行に配置されている。そして仕切板603の中心角を成す直線状の一辺と掻寄板609が、掻出板607で接続されている。掻出板607は、掻寄板609に対しても仕切板603に対しても直交している。
掻出機構606は、掻出用アーム931の先端にあり、掻寄板609は後記する掻出側動力伝動系統932(
図23)によって回転される。
【0111】
掻出用アーム931は、ターンテーブル604内に基端部を有する回動アームであり、アーム側動力伝動系統933によって上下に揺動される。
【0112】
掻出用アーム931は、細長い略四角柱状の外形の筐体を有し、筐体の内部には空洞が形成されている。すなわち、掻出用アーム931の筐体は、対向する一対の側板934a、934bと、天板934dと、底板934cで四方が囲まれた構造を有する。また、掻出用アーム931の基端側には基端側板935が設けられている。
【0113】
掻出用アーム931の基端側には、軸部材614が設けられている。軸部材614は、側板934a、934bを貫通している。また、掻出用アーム931の先端側には、軸部材615が設けられている。軸部材614、615は、互いに平行であり、それぞれ掻出用アーム931の長手方向に対して直交する方向に延びている。
図21に示す様に、掻出用アーム931の途中の部位が若干屈曲している。すなわち、掻出用アーム931における軸部材614(
図23)が設けられた一端側(基端部)と、軸部材615(
図23)が設けられた他端側(先端部)の間の部位が、若干屈曲している。
【0114】
掻出用アーム931における基端付近には、突出部936(
図26)が設けられている。掻出用アーム931の筐体の底板934cは、突出部936の外形に沿って湾曲している。突出部936によって、底板934cの一部に押圧面936aが構成されている。押圧面936aは、天板934dに対して傾斜している。
また、側板934a、934bの基端付近には、軸部材614を挿通させる孔937a、937b(
図21において側板934bの孔937bのみを描写)が設けられている。
さらに、基端側板935には、受け部材938が設けられている。
【0115】
図21に示す様に、受け部材938は、固定部939と押圧部940を有する。
固定部939は、基端側板935に対してねじ止め等によって固定される固定板939aと、固定板939aと直交して連続する張出板939bを有する。張出板939bには孔941が設けられている。すなわち、固定板939aが掻出用アーム931の基端側板935に固定されると、張出板939bは、掻出用アーム931の長手方向に張り出す。また、張出板939bの孔941は、側板934a、934bの孔937a、937bを貫通する軸部材614と直交する方向に開口している。
【0116】
押圧部940は、コイルばね942と、ばね固定部材943で構成されている。
ばね固定部材943は、ボルト部943aとナット部943bとで構成されている。ボルト部943aが張出板939bの孔941を下方から貫通しており、ボルト部943aはナット部943bと螺合されている。
【0117】
ボルト部943aには、ばね装着部944が設けられている。ばね装着部944は、フランジ部944aと、フランジ部944aから下方に突出する凸部944bで構成されている。ボルト部943aとナット部943bをねじ込んでいくと、ボルト部943aのフランジ部944aが、固定部939の張出板939bに接近する。そして、フランジ部944aを張出板939bに当接させ、一体化させることができる。
【0118】
コイルばね942は、圧縮ばねである。コイルばね942の一端(上端)が、ばね装着部944の凸部944bと係合し、コイルばね942がばね装着部944に装着されている。コイルばね942の他端(下端)は、後述の載置部材945の突起946と係合して載置部材945に装着されている。
【0119】
図23に示す様に、掻出側動力伝動系統932は、モータ950の駆動軸950aに、歯車628が装着されている。本実施形態では、モータ950から歯車628、641、633によって構成される歯車列に動力が伝達され、さらに歯車633から軸部材614を経て駆動側プーリ623に動力が伝動される。そして動力は、駆動側プーリ623から歯付きベルト634を介して従動側プーリ682に伝動される。
即ち本実施形態では、掻出側動力伝動系統932は、歯車628,641,633によって構成される歯車列と、軸部材614、駆動側プーリ623、歯付きベルト634、従動側プーリ682、軸部材615によって構成される。掻出機構606が逆回転することを防止するために、歯車641にワンウェイクラッチを設けてもよい。
【0120】
アーム側動力伝動系統933は、
図23に示す様に、モータ960、位置決め機構961、揺動機構962を有する。
【0121】
モータ960は、モータ950とは別のモータである。すなわち、モータ960は、アーム側動力伝動系統933のみを駆動するモータであり、正方向と逆方向に回転駆動可能である。モータ960の駆動軸960aには、歯車951(ピニオン)が装着されている。
【0122】
位置決め機構961は、位置決めピン952、ガイド部材953a、953b、連結部材954、及び、固定側係合部材670を有する。
【0123】
位置決めピン952は、丸棒状の部材であり、円柱側面にラック部955が形成されている。位置決めピン952の先端側は鉛筆の様に先細りしている。位置決めピン952の先細りした先端部分は、ターンテーブル604の外側に設置された固定側係合部材670の溝672と係合可能である。
位置決めピン952は、ターンテーブル604上に配置されている。位置決めピン952は、モータ960の駆動軸960aの軸芯と直交している。また、駆動軸960aに装着された歯車951(ピニオン)が、位置決めピン952のラック部955と係合している。すなわち、モータ960を正方向及び逆方向に駆動すると、歯車951からラック部955に動力が伝達されて位置決めピン952が直線往復移動する。
【0124】
ガイド部材953a、953bは、ターンテーブル604上に設置されており、往復移動する位置決めピン952をガイドする。
【0125】
連結部材954は、位置決めピン952の後端部分と、後述の揺動機構962とを連結する部材である。連結部材954は、ピン949で位置決めピン952の後端部分と接続されている。すなわち、連結部材954と位置決めピン952は、ピン949を介して相対回動可能に接続されている。
また、連結部材954は、掻出装置930に設けられた図示しない直線ガイドに沿って往復移動が可能である。この直線ガイドは、位置決めピン952の長手方向に延びている。すなわち、連結部材954は、位置決めピン952と共に位置決めピン952の長手方向に往復移動することができる。
さらに、連結部材954は、前述の図示しない直線ガイドによって、長手方向を軸とした軸回りの回転が阻止されている。よって、連結部材954と一体の位置決めピン952も回転不能である。そのため、位置決めピン952のラック部955は、常に歯車951と係合している。
【0126】
固定側係合部材670は、位置決めピン952と係合可能な溝672を有する。また、固定側係合部材670は、ターンテーブル604の外周側に隣接する固定部材699に配置されている。
【0127】
位置決め機構961は、掻出用アーム931の昇降に連動して、位置決めピン952を往復移動させる。位置決めピン952は、ターンテーブル604から突出すると、位置決めピン952と固定側係合部材670の溝672とが係合し、ターンテーブル604が回転不能に固定される。また、位置決めピン952がターンテーブル604内に退避すると、位置決めピン952と溝672の係合が解除され、ターンテーブル604が回転可能になる。
【0128】
揺動機構962は、載置部材945、揺動部材947を有する。載置部材945と揺動部材947は、ねじ948a、948bで一体固着されている。すなわち、載置部材945と揺動部材947は、互いに相対移動が不能である。
【0129】
揺動部材947は、
図24に示す様に、略L字形の板状の部材である。揺動部材947には、ねじ948a、948bを挿通させる2つの孔(図示せず)が設けられている。揺動部材947の一方の端部は、連結部材954と相対回転可能にピン956で接続されている。揺動部材947の他方の端部は、軸部材614に貫通されている。すなわち、揺動部材947は、軸部材614を中心に揺動可能である。軸部材614の両端は、ターンテーブル604上に固定された支持部材963、964(
図21、
図23)によって支持されている。
【0130】
載置部材945は、
図26に示す様に、本体957、載置部958、959を有する。
本体957は、垂直姿勢に配される板である。本体957には、ねじ948a、948bを挿通させる孔965a、965bが設けられている。本体957の上辺部の2か所が垂直に折り曲げられて載置部958、959が構成されている。載置部958と載置部959は、いずれも本体957に対して直交すると共に、両者は同一面内にはなく、互いに傾斜している。
載置部958上には突起946が設けられている。突起946は、コイルばね942と係合し、コイルばね942を載置部958に固定する機能を有する。
図24に示す様に、揺動部材947と載置部材945は、2本のねじ948a、948bで一体固着されている。
【0131】
図26に示す様に、載置部材945の載置部958には、コイルばね942の下側の端部が固定されている。コイルばね942の上側の端部は、固定部939のばね固定部材943に固定されている。ばね装着部944のフランジ部944aは、固定部939の張出板939bに当接している。すなわち、張出板939bは、フランジ部944aとナット部943bで挟持されている。コイルばね942は、固定部939側のフランジ部944aと、揺動機構962の載置部材945の載置部958の間に配置されている。コイルばね942は、圧縮されている。
【0132】
図26に示す様に、載置部材945の載置部959上には、掻出用アーム931の押圧面936aが載置されている。
【0133】
掻出用アーム931の基端側の端部は、軸部材614で貫通されている。軸部材614は、掻出用アーム931の側板934a、934bを貫通すると共に、掻出用アーム931の内部では、
図23に示す様に、駆動側プーリ623が装着されている。
軸部材614は、支持部材963、964で支持されているので、掻出用アーム931の基端側は、軸部材614で支持されている。
載置部材945の載置部959に掻出用アーム931の押圧面936aが載置されている。押圧面936aは、掻出用アーム931における軸部材614の挿通部分よりも先端側に形成されている。そのため、底板934cに形成された押圧面936aを載置部959が下方から押圧する、又は、載置部959上に押圧面936aを載置することにより、掻出用アーム931を載置部材945で支持することができる。
すなわち、載置部材945によって、掻出用アーム931の自重による軸部材614回りの回動が阻止されている。
【0134】
次に、掻出装置930の動作について説明する。
【0135】
位置決めピン952が、ターンテーブル604に退入した状態では、ターンテーブル604は回転移動が可能である。また、このとき、
図27(a)に示す様に、掻出用アーム931は上昇している。すなわち、
図23,76に示す揺動機構962の揺動部材947が軸部材614を中心に反時計回りに回動して停止しており、載置部材945の載置部959が上昇しているため、載置部959で押圧面936aが押圧されている掻出用アーム931は、
図27(a)に示す上昇姿勢となっている。
【0136】
この状態からモータ960を駆動し、位置決めピン952をターンテーブル604から突出させ、固定側係合部材670の溝672に係合させると、ターンテーブル604は回転不能に固定される。また、位置決めピン952と一体の連結部材954が、ピン956を介して揺動機構962の揺動部材947を引っ張る。そのため、揺動部材947は、軸部材614を中心に時計回りに回動する。揺動部材947と一体の載置部材945も、揺動部材947と一体に時計回りに回動する。その結果、載置部959の位置が下がり、載置部958の位置が上がるので、掻出用アーム931の先端側が下降し、
図27(b)に示す状態になる。
【0137】
図27(a)に示す状態から
図27(b)に示す状態に、軸部材614を中心に揺動部材947が回動すると、揺動部材947に固定されたピン956が、最下点(軸部材614の真下)を通過し、ターンテーブル604から若干上昇する。すなわち、ピン956と軸部材614の距離は常に一定であるが、
図27(b)に示す状態では、
図27(a)に示す状態よりもピン956が高い位置にある。
【0138】
この様に、揺動部材947の回動に伴ってピン956の高さ位置が変化するが、連結部材954と位置決めピン952がピン949で接続されているため、連結部材954はピン952を中心に揺動することができ、連結部材954は、位置決めピン952の突出移動に追従しながらピン949を中心に揺動し、連結部材954におけるピン956が接続された端部を上昇させることができる。
【0139】
掻出用アーム931が、
図27(b)に示す下降姿勢を呈すると、
図23に示すモータ950を駆動する。モータ950の駆動力は、駆動軸950a、歯車628、641、633、軸部材614、駆動側プーリ623、歯付きベルト634、従動側プーリ682、軸部材615を介して掻寄板609に伝達される。
【0140】
また、薬剤の掻出操作が完了すると、モータ950を停止し、掻出用アーム931の先端側を上昇させる。すなわち、モータ960を逆方向に回転させ、位置決めピン952をターンテーブル604上に退入させ、揺動機構962の載置部材945を軸部材614回りに反時計回りに回動させる。その結果、載置部材945の載置部959が上昇し、掻出用アーム931の先端側が上昇する。
【0141】
掻出用アーム931が上昇姿勢から下降姿勢になるときには、掻出機構606の掻寄板609が、分配皿201に衝突することがある。しかし、その際に生じる衝撃は、固定部939のコイルばね942によって緩和される。
【0142】
図23において図示していないが、歯車641に、ワンウェイクラッチを設けるのが好ましい。このワンウェイクラッチによって、掻寄板609の自重による逆回転が阻止される。
【0143】
(8)ホッパー閉塞部材
ホッパー閉塞部材400は本体部401と中蓋部402を有している。本体部401は平面形状が略長方形であって、厚さが1cm程度の板状である。
中蓋部402の面積は、本体部401の面積よりも小さい。中蓋部402の形状は、略長方形であって、本体部と相似形に近い。
中蓋部402は外表面が樹脂で作られている。中蓋部402は本体部401に対して平行に配され、平行状態を維持して近接・離反する様にガイドされている。
また中蓋部402と本体部401との間にモータ(開閉機構)とカムとが内蔵されており、モータを回転することにより、中蓋部402は本体部401に対して平行移動し、近接・離反する。すなわち、モータが1回転する間に、本体部401と中蓋部402は、
図41に示す近接した状態と、
図42に示す離反した状態を呈することができる。よって、モータを適切な回転位置で停止させると、
図41に示す近接位置や、
図42に示す離反位置で中蓋部402を停止させることができる。
【0144】
(9)薬剤包装装置
薬剤包装装置410は基本構成として、分包紙供給装置と、分包装置を有する装置である。また付属装置として、散薬投入用の散薬投入ホッパー413と、吸引装置415(吸引手段)を備えている。
分包紙供給装置は、シート状の分封紙を分包部に供給する部位である。
分包装置は、シート状の分包紙を折り曲げ、その中に散薬を導入した後、シートの辺を融着して袋状に成形する部位である。本実施形態で採用する分包紙供給装置及び分包装置は、いずれも公知のものであり、詳細な説明を省略する。
【0145】
散薬投入ホッパー413は、薬剤包装装置410側に散薬を導入するものであり、ロート状をしている。即ち散薬投入ホッパー413は、開口面積が大きな導入側開口と、開口面積が小さい排出側開口(薬剤排出口)を有している。排出側開口は、散薬投入ホッパー413の下端にあり、開閉板416が設けられている。開閉板416は、動力によって開閉可能であり、排出側開口を開閉することができる。
散薬投入ホッパー413の排出側開口は、薬剤包装装置410の分包装置に至っており、折り曲げられたシートに散薬を導入する。
【0146】
本実施形態では、散薬投入ホッパー413の中途部分に、吸引装置415が接続されている。吸引装置415は、公知の真空吸引機であり、ブロアー等の負圧発生装置と、真空ホースによった構成されている。
本実施形態では、真空ホースが散薬投入ホッパー413の中途部分に接続されている。
【0147】
分包紙供給部と、分包部及び散薬投入ホッパー413は、ユニット化されており、三者は一体化されている。
また本実施形態では、薬剤包装領域300であって薬剤包装装置410の両側面にレール417が設けられている。またレール417の近傍にラック418が設けられている。
一方分包紙供給部等のユニット側には、レール417と係合する図示しないレール係合部と、走行モータが設けられている。走行モータにはピニオンが設けられており、前記したラック418と係合している。
そのため薬剤包装装置410は一体的に前後方向に移動可能である。
【0148】
すなわち、薬剤包装装置410は、
図40に示す掻出機構606の下方の位置と、
図41に示すホッパー閉塞部材400の下方の位置の間を往復移動することができる。薬剤包装装置410が
図41に示す位置にあるときには、
図42に示す様に、ホッパー閉塞部材400の中蓋部402で散薬投入ホッパー413の導入側開口を閉塞することができる。
【0149】
図42に示す様に、排出側開口が開閉板416で閉鎖され、導入側開口が閉塞部材400の中蓋部402で閉鎖されると、散薬投入ホッパー413内が外部と遮断される。そして、吸引装置415を作動させると、散薬投入ホッパー413内の散薬の残渣が吸引されて除去される。
【0150】
(10)テーブル部材
テーブル部材205は、
図19に示すようにステンレススチール等で作られた光沢性を有する平滑な板で作られている。テーブル部材205は、テーブル面205aを有する。テーブル面205aは、テーブル部材205の上面を構成する。テーブル部材205には、2箇所に分配皿収容開口206が設けられている。すなわち、テーブル面205aには2つの分配皿収容開口206が開口している。また分配皿収容開口206の周囲に、それぞれ容器載置装置用開口240が3個ずつ設けられている。分配皿収容開口206同士の間に、薬剤投入開口241と、閉塞部材設置開口242が設けられている。
分配皿収容開口206は、外径の大きな円形の開口である。分配皿収容開口206の外径は、分配皿201の外径よりも大きく、分配皿201は、分配皿収容開口206内に完全に嵌まり込む。
分配皿収容開口206は、二つ並んで設けられており、一部が連通している。
【0151】
容器載置装置用開口240は、長方形の開口であり、分配皿収容開口206を取り巻く様に設けられている。容器載置装置用開口240の中心線は、分配皿収容開口206の接線と平行となっている。そのため容器載置装置3に薬剤容器2が装着された状態においては、薬剤容器2の軸線が分配皿201の接線方向に向く姿勢となる。
【0152】
分配皿収容開口206同士の間であって、図面手前側の位置に、薬剤投入開口241と、閉塞部材設置開口242がある。本実施形態では、薬剤投入開口241と、閉塞部材設置開口242とは連通していて一体化されている。
閉塞部材設置開口242の内部には、段部がある。
【0153】
前記した二つの分配皿201は、いずれも分配皿収容開口206内に納まっており、分配皿201のいずれの部位についてもテーブル部材205の上面(テーブル面205a)よりも下にある。
【0154】
また分配皿201の外径は、前記した様に分配皿収容開口206の内径よりも小さいので、分配皿201の外縁と、分配皿収容開口206の内縁との間には僅かに隙間がある。
分配皿201の外縁の周囲には、樋状の受け部材243がある(
図18)。分配皿201の外縁と、分配皿収容開口206の内縁との間に生じる隙間の下に前記した受け部材243が配置され、隙間に落ちた散薬は受け部材243内に落下する。
【0155】
閉塞部材設置開口242には、ホッパー閉塞部材400が設けられている。ホッパー閉塞部材400は、本体部の下面が段部によって支持され、中蓋部402はテーブル部材205の下部に突出している。
【0156】
薬剤包装装置410についてもテーブル部材205の下にある。そして常時は、装置の奥側にあり、散薬投入ホッパー413の投入開口は、テーブル部材205の薬剤投入開口241の下部にある。
また前記した様に薬剤包装装置410は全体的に移動可能であり、包装作業が終了すると、薬剤包装装置410が全体的に正面側に移動して散薬投入ホッパー413の投入開口が、ホッパー閉塞部材400の位置に至る。
【0157】
(11)清掃装置
清掃装置500は、先端側が動力によって昇降する清掃用アーム501を有し、その先端に清掃ブラシ502が設けられたものである。また清掃ブラシ502は、ブラシカバー503内に回転可能に装着されている。ブラシカバー503には、吸引装置が接続されている。
【0158】
図33に示す様に、清掃ブラシ502を巨視的に見ると、2条の溝C,Dが設けられたハブ部材505があり、ハブ部材505の円周面に植毛が施されたものである。
図34に示す様に、清掃ブラシ502を分解すると、4個の円盤状ブラシ506a、506b、506c、506dが同一の回転軸508で連結された構造となっている。即ち清掃ブラシ502は、二つの中央円盤状ブラシ506a、506bと、二つの側面側円盤状ブラシ506c、506dを有し、これらの中心を回転軸508で連結したものである。ただし二つの中央円盤状ブラシ506a、506bは密着されていて見かけ上、一つの中央ブラシ507を形成している。
【0159】
側面側円盤状ブラシ506c、506dは、厚さの薄い円盤部を有している。円盤部は、中心に軸挿通孔を有する円盤であり、外周面と、側面を有している。そして円盤部の円周面には、等間隔に小穴が設けられている。ここで小穴は、清掃ブラシ502の軸方向に傾斜している。即ち小穴の延長線は、清掃ブラシ502の中心軸側に向かうが、円盤部の中心を通過しない。
【0160】
側面側円盤状ブラシ506c、506dは、この小穴を利用して植毛されたものである。植毛は、剛性を有して自立する毛材を使用し、当該毛材を数十本束ねて毛束とし、この毛束の一端側が前記した小穴に挿入されて接着されている。
そのため毛束の自由端側は、円盤部の周面から突出している。ただし、前記した様に毛束を埋め込む小穴が、傾斜方向に形成されているから、毛束は、全体として側面側に向かって傾斜した姿勢となっている。
【0161】
2個の中央円盤状ブラシ506a、506bについても、厚さの薄い円盤部を有している。2個の中央円盤状ブラシ506a、506bの構造も、前記した側面側円盤状ブラシ506c、506dと同様であり、傾斜方向に形成された小穴を利用して植毛されたものである。2個の中央円盤状ブラシ506a、506bについても、毛束は、全体として側面側に向かって傾斜した姿勢となっている。
【0162】
2個の中央円盤状ブラシ506a、506bは、密接した状態で接合されている。合致された二枚の中央円盤状ブラシ506a、506bを一つの中央ブラシ507とすると、厚さの厚い回転ブラシの様な形状を呈している。即ち合致構造の円盤部は、中心に軸挿通孔を有する円盤である。合致構造の円盤部についても、円盤部の円周面には、等間隔に小穴が設けられている。
ただし本実施形態では、小穴は2列に分かれて設けられている。
また小穴は、清掃ブラシ502の軸方向に傾斜している。即ち小穴の延長線は、清掃ブラシ502の中心軸側に向かうが、円盤部の中心を通過しない。
ここで、中央ブラシ507の円盤部の一方の側面をA側面、他方の側面をB側面とすると、一方の穴列に埋め込まれた毛束は、毛先がA側面側に向かって傾斜し、他方の穴列に埋め込まれた毛束は、毛先がB側面側に向かって傾斜している。
即ち、中央ブラシ507は、一方に向かって傾斜する毛束と、他方に向かって傾斜する毛束が混在している。
また一方の穴列と他方の穴列は、いずれも小穴が等間隔に設けられているが、小穴の分布角度はずれている。そのため、中央ブラシ507では、一方に向かって傾斜する毛束と、他方に向かって傾斜する毛束が交互に配された構造となっている。
【0163】
清掃ブラシ502は、中央ブラシ507を中央においてその両脇に側面側円盤状ブラシ506c、506dを配置し、三者に回転軸508を挿通して一体化したものである。各円盤ブラシは、回転軸508に対して一体的に固定されており、相対回転を許さない。
回転軸508の端部には歯車が設けられている。
【0164】
また
図38に示す様に、中央ブラシ507と、両脇の側面側円盤状ブラシ506c、506dとの間には隙間があり、当該隙間によって環状の溝が形成されている。即ち一方の側面側円盤状ブラシ506cと中央ブラシ507との間に環状溝Cがあり、他方の側面側円盤状ブラシ506dと中央ブラシ507との間に環状溝Dがある。
【0165】
また中央ブラシ507の両脇に配された二つの側面側円盤状ブラシ506c、506dは、共に毛先が中央ブラシ507側に向かって傾斜する姿勢で取り付けられている。
その結果、清掃ブラシ502は、ハブ部材505を有し、当該ハブ部材505の外周に植毛列が設けられたものとなっている。
また植毛列は、4列に渡って設けられ、両端側の植毛列は、毛先側がハブ部材505の中央側に傾斜する方向に植毛された中央方向傾斜毛群である。中央側の植毛列は、毛先側がハブ部材505の一方の端部側に向かって傾斜する方向に植毛された一端方向傾斜毛群と毛先側がハブ部材505の他方の端部側に向かって傾斜する方向に植毛された他端方向傾斜毛群とを含んでいる。
【0166】
ブラシカバー503は、清掃ブラシ502の大部分を覆うことができる筐体である。本実施形態では、ブラシカバー503は、蝸牛状の本体部を有している。即ち本体部の側面形状は、約180度弱の円弧状面部を有し、円弧状面部の両端側が延長された形状をしている。二つの延長部は互いに角度が広がる方向に延びており、全体として蝸牛に似た形状となっている。二つの延長部の端部は開口されている。
また本体部の一部に接続部が設けられている。接続部は空洞であり、本体部内の空間と連通している。
【0167】
より詳細に説明すると、ブラシカバー503は、二つの側面壁510と、開口部513を除いて二つの側面壁の端部同士を繋ぐ周面壁509とを有している。
二つの側面壁510は、いずれも約180度弱の円弧状面部511と、円弧状面部511の両端側が延長された延長壁部512とが一体化されたものである。延長壁部512は、左右の辺が直線状であり、先端の辺は円弧状をしている。そのため側面壁510の一辺は円弧状辺部となっている。
そして二つの側面壁510の円弧状辺部同士の間が開口部513となっている。
【0168】
ここで、本実施形態では、二つの側面壁510が平行に対向されているが、二つの側面壁510の形状は異なっている。
即ち前記した様に、二つの側面壁510は、円弧状面部511と、延長壁部512とが一体化されたものである。ここで、二つの側面壁510の円弧状面部511は、同一形状、同一面積であるが、延長壁部512の大きさは両者で異なっている。
即ち延長壁部512は、一方が大きく、他方は小さい。
大きい側の延長壁部512aは、左右辺の直線部分が他方の延長壁部512bに比べて長い。
大きい側の延長壁部512aの円弧状辺部は、その曲率が前記した分配皿201の薬剤投入溝208の曲率と等しい。
また円弧状辺部の全長は、分配皿201の薬剤投入溝208よりも長い。そのため分配皿201の薬剤投入溝208に円弧状部を合わせると、両者は隙間無く合致し、且つ円弧状辺部の両端は薬剤投入溝208から少しだけ外にまで至る。
【0169】
小さい側の延長壁部512bは、左右辺の直線部分が他方の延長壁部512aに比べて短い。小さい側の延長壁部512bの円弧状辺部は、その曲率が前記した分配皿201の薬剤投入溝208の曲率と等しいが、その全長は、大きい側の延長壁部512aの円弧状辺部に比べて短い。
そのためブラシカバー503の開口部513を分配皿201の薬剤投入溝208に円弧状部を合わせると、小さい側の側面壁510の開口端と薬剤投入溝208との間に隙間ができる。
【0170】
前記した清掃ブラシ502は、ブラシカバー503の中に回転自在に配されている。清掃ブラシ502は、その大部分がブラシカバー503の中の空間内に収まり、一部だけが開口部513から露出する。
清掃ブラシ502に設けられた歯車504は、ブラシカバー503の外に露出する。
ブラシカバー503は、清掃ブラシ502を内包した状態で、清掃用アーム501の先端に取り付けられている。
【0171】
またブラシカバー503の接続部が清掃用アーム501に接続されている。ここで清掃用アーム501は、真空引き流路としても機能し、内部が空洞になっている。また清掃用アーム501の基端部は、真空装置515(吸引手段)に接続されている。
【0172】
清掃用アーム501は、テーブル部材205側を基端として揺動するアームであり、揺動中心たるピン555はテーブル部材205側(正確にはフレーム)に固定されている。揺動中心たるピン555は、水平に設けられている。
清掃用アーム501の側面には、固定歯車516が設けられている。固定歯車516の中心軸は、前記ピン555と一致する。固定歯車516は、清掃用アーム501と一体であり、両者は相対回転しない。
清掃用アーム501の近傍のテーブル部材205側に、揺動用モータ517が設けられている。揺動用モータ517には歯車518が設けられており、当該歯車518は、前記した固定歯車516と係合している。そのため揺動用モータ517を回転させると、固定歯車516が回転する。固定歯車516は、清掃用アーム501に一体に設けられており、清掃用アーム501が固定歯車516の回転軸556を中心として揺動する。
その結果、清掃用アーム501の先端側が昇降する。
【0173】
また清掃用アーム501の他方の側面には、歯車列が形成されている。歯車列は、いずれもアイドル歯車514a〜514eで構成されており、清掃用アーム501に対して自由回転可能である。歯車列の端部の歯車は、ブラシカバー503に設けられた歯車504と係合する。
清掃用アーム501の近傍のテーブル部材205側には、ブラシ用モータ519(回転装置)が設けられている。ブラシ用モータ519には歯車520が設けられており、当該歯車520は、前記した清掃用アーム501の他方の側面に設けられた歯車列の一つと係合する。従って、本実施形態では、ブラシ用モータ519に設けられた歯車520から、清掃ブラシ502に設けられた歯車504に至る一連の歯車列が形成され、一連の動力伝導経路が存在する。そのためブラシ用モータ519を回転すると、清掃用アーム501の先端側に取り付けられた清掃ブラシ502が回転する。
【0174】
(12)容器移動手段
容器移動手段700は、昇降機構701及びロボット702によって構成されている。昇降機構701は、垂直方向に設けられた直線ガイドであり、直線レール703と、昇降台704によって構成されている。直線レール703には図示しないラックが形成されており、昇降台704には図示しないモータとピニオン歯車が設けられている。
昇降台704は、図示しないモータを動作することによって上下方向に移動する。
【0175】
ロボット702は、2本のアーム部材705,706と、ハンド部707とを有するものである。
即ち第一アーム部材705は、図示しない垂直軸を介して昇降台704に取り付けられており、昇降台704に取り付けられたモータを駆動することにより、昇降台704を中心として水平方向に回動する。昇降台704に取り付けられたモータは上方に突出している。
第二アーム部材706は、図示しない垂直軸を介して第一アーム部材705の先端に取り付けられており、第一アーム部材705の先端に取り付けられたモータを駆動することにより、第一アーム部材705の先端を中心として水平方向に回動する。第一アーム部材705に取り付けられたモータは上方に突出している。
前記した第一アーム部材705及び第二アーム部材706は、いずれも幅に対して厚さが小さく、その断面形状は偏平である。
【0176】
ハンド部707は、手首部708と、容器保持掌部709を有している。手首部708は、前記したアーム部材705,706よりも短いアームである。手首部708は、図示しない垂直軸を介して第二アーム部材706の先端に取り付けられており、モータを駆動することにより、第二アーム部材706の先端を中心として水平方向に回動する。
手首部708は、前記したアーム部材705,706よりも高さが高く、アーム部材の中にモータが内蔵されている。
【0177】
容器保持掌部709は、長方形の板であり、取り付け金具710を介して手首部708の先端に取り付けられている。
取り付け金具710は、容器保持掌部709が構成する平面に対して垂直方向に曲がった金具であり、その一端が手首部に軸止されている。取り付け金具710が取り付けられる軸は、水平方向に配されており、容器保持掌部709は手首部に設けられたモータによって水平軸を中心として回動する。
従って、容器保持掌部709は
図44、
図45の様な平行姿勢をとることも、
図46の様な垂直姿勢をとることもできる。
また手首部708を水平方向に回動させることもできる。
容器保持掌部709には電磁石が装着されている。
【0178】
容器移動手段700は、ドラム部材102の容器設置部103から薬剤容器2を取り出し、この薬剤容器2を容器載置装置3に移動させて容器載置装置3に引き渡す動作を実行することができる。また容器載置装置3から薬剤容器2を引取り、ドラム部材102に移動させて容器設置部103に薬剤容器2を引き渡すことができる。
【0179】
ドラム部材102の容器設置部103から薬剤容器2を取り出す際には、
図46の様に容器保持掌部709を垂直姿勢にして薬剤容器2に近接させる。そして薬剤容器2に取り付けられた運搬用鉄板部157に容器保持掌部709を押し当てる。その後、容器保持掌部709に設けられた電磁石に通電して薬剤容器2に設けられた運搬用鉄板部157を吸着させる。そしてアーム部材705、706を後退させて薬剤容器2を抜き取る。
そしてアーム部材等を動作さて薬剤容器2を下の分配皿201の近傍に移動させる。また容器保持掌部709の姿勢を
図45の様な平行姿勢に変更し容器載置装置3の振動台に近づける。
そして容器移動手段700の容器保持掌部709を降下させて薬剤容器2を容器載置装置3に設置する。
そしてハンド部707側の電磁石への通電を停止し、代わって容器載置装置3の磁力を復活させる。
こうしてハンド部707側から容器載置装置3側に薬剤容器2を引き渡す。
【0180】
分配作業が終了すると、逆の経路で薬剤容器2をドラム部材102に戻す。
ここで、薬剤容器2をドラム部材102に戻す際には、
図2の様に、ハンド部707の手首部708を水平に回動させつつ、ドラム部材102を回転させ、薬剤容器2を特定の容器設置部103に対向させる。
即ち本実施形態のドラム部材102の、容器設置部103には、前記した様に側面支持部材321があり、当該側面支持部材321は容器本体5の固定用鉄板部6と同等の開き角度を有している。そのためドラム部材102の表面は平坦ではなく、側面支持部材321の一部が放射状に突出している。そのため、容器移動手段700を安易に移動させて薬剤容器2をドラム部材102に近づけると、薬剤容器2が側面支持部材321に当たってしまう。
【0181】
そこで本実施形態では、
図15の様にハンド部707の手首部708を水平に回動させ、これと周速度が等しくなる様にドラム部材102も回転させる。
そうしてあたかも、二つの歯車がかみ合うごとくにハンド部707とドラム部材102を逆方向に回動させ、薬剤容器2を特定の容器設置部103に対向させる。その後に、アーム部を動作して、薬剤容器2をドラム部材102の容器設置部103に押し込んで、薬剤容器2を容器設置部103に係合させる。薬剤容器2が正規の姿勢で取り付けられた場合は、突出部材がドラム部材102の中に没入する。薬剤容器2が正規の姿勢で取り付けられたか否かは、ドラム部材102の中に設けられた光センサーで検知される。
さらにその後、ハンド部707の磁力を消去し、ハンド部707を薬剤容器2から離脱させる。
なお本実施形態では、後記する薬剤容器仮置部11に設置された薬剤容器2をドラム部材102に移動させる際にも容器移動手段700が利用される。
【0182】
(13)骨格および筐体
本実施形態の薬剤払出し装置1は、鋼材でフレームが作られ、そのフレームに各部材や装置が取り付けられた構造となっている。
またフレームは全体的に筐体7で覆われ、内外が遮蔽されている。
筐体7内には除湿装置と温度調節器が設けられており、内部の温度と湿度が一定範囲に維持される。また筐体7の天面にはファンが2基設けられていて筐体7内を換気することができる。
筐体7は、概ね、薬剤棚部領域100を覆う棚領域筐体100aと、薬剤分割領域200を覆う分割領域筐体200aと、薬剤包装領域300を覆う包装領域筐体300aとに分かれている。
棚領域筐体100aと、分割領域筐体200aは、透明な樹脂で作られており、内部を観察することができる。これに対して包装領域筐体300aは、鋼板で作られており、内部を見ることはできない。
【0183】
棚領域筐体100aは、他の二つに比べて平面的な占有面積が小さい。そのため棚領域筐体100aは、薬剤分割領域200の上に載置された様なデザインとなっている。本実施形態では、棚領域筐体100aは、正面から見て左側に寄った位置にある。そのため薬剤分割領域200の上部は、一部だけが棚領域筐体100aと連通し、残る一部は連通せず、天井面となっている。
【0184】
棚領域筐体100aには、扉部9が設けられている。扉部9は、ヒンジによって開閉するものであり、ウイング式の扉である。
本実施形態では、扉部9は、左開きであって、引き方向に開く。即ち扉部9を開くと、扉部9は棚領域筐体100a内の空間から外側に突出する。扉部9は、薬剤払出し装置1内に薬剤容器2を出し入れするための出入り口である。本実施形態の薬剤払出し装置1では、原則として扉部9のみから薬剤容器2が出し入れされる。即ち本実施形態の薬剤払出し装置1では、故障等の異常に対する対処を実施する場合を除いて、扉部9のみから薬剤容器2が出し入れされる。
【0185】
本実施形態では、扉部9の内側に、薬剤容器仮置部11が設けられている。薬剤容器仮置部11は、筐体7内に薬剤容器2を導入する際の導入部として機能する。また筐体7内から薬剤容器2を取り出す際の取出部としても機能する。
【0186】
薬剤容器仮置部11の構造には、容器設置部103と同一のものが設けられている。容器設置部103は、前記したドラム部材102に取り付けられていたものと同一構造であり、垂直壁320と、載置台323によって構成されている。垂直壁320には側面支持部材321と、装着検知部材322と、上部係合部325とが設けられている。
さらに薬剤容器仮置部11には、RFIDリーダライター等の情報読み書き装置(
図47)が設けられている。また薬剤容器仮置部11には、薬剤容器2の重量を測定する重量測定手段が設けられている。
【0187】
本実施形態では、筐体7内に薬剤容器2を導入する際や、取り出す際、及び分包が終了して容器保管装置101に薬剤容器2を戻す際に、薬剤容器2に収容された薬剤の量を計量する機能を果たす。
即ち薬剤容器2内の薬剤が不足すると、薬剤容器2を薬剤払出し装置1から取り出し、当該薬剤容器2に薬剤を補充するが、当該薬剤容器2を薬剤払出し装置1に戻す際に、薬剤容器2の重量が測定され、図示しない制御装置に記憶される。また薬剤容器2に装着された情報記録部材15に記録される。
具体的な手順としては、図示しないスイッチを操作して扉部9を開き、薬剤容器仮置部11に薬剤容器2を設置する。その後に、図示しないスイッチを操作すると、扉部9が自動的に閉じ、さらに薬剤容器2の重量が測定される。
【0188】
また分包が終了して容器保管装置101に薬剤容器2を戻す際に、ロボット702のハンド部707で薬剤容器2を保持し、薬剤容器2を移動し、薬剤容器仮置部11に設置する。そして薬剤容器2の重量が測定される。また薬剤容器2に取り付けられている情報記録部材15の情報が書き換えられる。
薬剤容器2の重量が薬剤の排出量に対して想定される範囲を超えている場合は、図示しない報知手段で報知される。
【0189】
分割領域筐体200aには、スライド式の大きな扉105が設けられている。即ち薬剤分割領域200の正面壁は、その両端にガイドレールが設けられており、分割領域筐体200aの正面壁の下半分程度が嵌合しており、図示しないモータによって扉部分が上下に開閉する。
【0190】
(14)変形例(容器設置部)
容器設置部の変形例として次の構成が考えられる。
図49に示すように変形例の容器設置部340には、垂直壁341と載置台343がある。垂直壁320には開口346があり、開口346の中に、突起(保管部側上部係合部 対容器係合部)347が上向きに突出している。
また載置台343には、保管部側下部係合部348が設けられている。保管部側下部係合部348は、突起である。
本実施形態で採用する薬剤容器2は、後端部に窪み371がある。容器本体5の周壁下面12に容器側係合部352が設けられている。容器側係合部352の位置は、周壁下面12であって中央よりもやや蓋部材120寄りの位置であり、薬剤容器2を振動台20に設置した際、振動台20に当たることはない。容器側係合部352はリング状であって、薬剤容器2の長手方向に貫通する四角の孔351が設けられている。
【0191】
本実施形態では、薬剤容器2の容器側係合部352を開口346に挿通して、薬剤容器2を押し下げ、容器側係合部352の孔351に容器設置部340の突起(保管部側上部係合部 対容器係合部)347を差し込むことによって薬剤容器2を容器設置部340につり下げる。
またこのとき、載置台343に設けられた突起(保管部側下部係合部)348が、薬剤容器2の窪み371に係合する。
本実施形態の容器設置部340は、薬剤容器2の一部と係合する突起(保管部側上部係合部 対容器係合部)347を有し、突起は薬剤容器2を上方から下方に薬剤容器2を上方から下方にスライドさせることにより薬剤容器2と係合する。また薬剤容器2下方から上方にスライドさせることにより薬剤容器2と突起(保管部側上部係合部 対容器係合部)347の係合が解除される。
【0192】
(15)変形例(容器保管装置)
前記した実施形態では、ドラム部材102を有し、容器設置部103が円周状に配置されていた。しかし本発明は、この構成に限定されるものではなく、
図49の様に、容器設置部340が平面的に配置されていてもよい。
変形例における薬剤払出し装置800の全体構造は、例えば
図50に示す様なものである。薬剤払出し装置800は、機能上、上下方向に薬剤棚部領域803と、薬剤分割領域805と、薬剤包装領域806とに分けられる。
最上部の薬剤棚部領域803は、周囲に薬剤容器収納棚801が並べられており、その内部に薬剤容器移動装置802が設けられている。
薬剤棚部領域803は、図示しない除湿装置で除湿されている。また薬剤棚部領域803の内部には図示しない集塵装置が設けられており、薬剤棚部領域803内の塵が除去される。例えば薬剤棚部領域803に、送風ファンを設け、送風ファンによって薬剤棚部領域803内の空気を循環させる。そして送風ファンの吸気側等、一定の通気経路にフィルターを設け、薬剤棚部領域803を浮遊する塵等を除去する。
【0193】
薬剤容器移動装置802は、上下昇降軸810と、水平移動アーム808と、薬剤容器2を保持するハンド部812とを有している。水平移動アーム808は、
図50の様に2箇所に関節813,814を有している。ハンド部812は、薬剤容器2の姿勢を変更することができる。なお薬剤容器移動装置802では、電磁石807のハンド部812を採用している。
【0194】
本実施形態の薬剤払出し装置800では、薬剤棚部領域803に棚部材815があり、棚部材815は、レール816に載置されている。またレール816の近傍には図示しないラックが設けられている。一方、棚部材815には走行モータが設けられ、当該走行モータにはピニオンが設けられており、前記したラックと係合している。
本実施形態の薬剤払出し装置800では、棚部材815が全体的に前後方向に移動し、薬剤容器2を取り出す際に、前進して分配皿201に近づく。
次に細部の補足説明及び他の変形例について説明する。
【0195】
(16)容器本体の蓋開閉
容器本体5の可動蓋部(開閉蓋)134の開閉手段は任意であるが、ロボット702のハンド部707に開閉手段を設けることが推奨される。
図57は、ハンド部707の容器保持掌部709に開閉手段を設けた例を示している。
図57に示すハンド部707は、容器保持掌部709であって薬剤容器2に押し当てられる面に開口426が設けられている。この開口426の中に、開閉部材419が設けられている。開閉部材419は、「L」字状の部材であり、2辺の当接部材420,421を有している。
また開閉部材419は、2辺の当接部材420,421の付け根部分を中心として揺動する。開閉部材419は、図示しないソレノイドやモータ等の動力によって揺動される。
【0196】
容器本体5がハンド部707に保持されたとき、容器本体5の可動蓋部134に設けられた摘まみ部(操作部)147が、
図57の様にハンド部707の開口426に入る。このとき、摘まみ部147は、開閉部材419の2辺の当接部材420,421の間に入る。
この状態で、図示しないソレノイド等により、開閉部材419が矢印の様に左右に揺動される。その結果、開閉部材419が摘まみ部147と係合して摘まみ部147が揺動し、可動蓋部134が開閉される。
【0197】
容器本体5の可動蓋部134の開閉手段を容器載置装置3に設けてもよい。また独立した可動蓋部134の開閉手段を設置してもよい。
【0198】
(17)容器本体を移動させる際の姿勢
薬剤容器2は、前記した様にドラム部材102の容器設置部103に設置され、ロボット702のハンド部707で保持されて移動され、
図3の様に容器載置装置3に載置される。仮に、薬剤容器2を水平姿勢にして移動させた場合には、薬剤容器2を容器載置装置3に設置する直前に、
図58の様に、薬剤容器2の薬剤排出部8側が上になる様に、一旦傾斜させることが望ましい。薬剤排出部8側が上になる様に、薬剤容器2を傾斜させることにより、散薬貯留部17内の散薬が、薬剤排出部8側から離れる方向に寄せられる。
この姿勢変更動作によって、可動蓋部134を開いたときに、散薬がこぼれ落ちることが防止される。
【0199】
(18)容器本体を容器載置装置から外す際の手順
容器設置部103から薬剤容器2を外す際には、薬剤容器2が容器載置装置3に載置されている状態で容器本体5の可動蓋部134を閉じ、その後に薬剤容器2をロボット702のハンド部707で保持して移動させる。
最も推奨される動作は、ハンド部707を容器本体5に近接させて、
図59の様に容器載置装置3に設置されている薬剤容器2に、ハンド部707の容器保持掌部709を合致させ、
図57に示す摘まみ部147を開口426に入れる。そして開閉部材419を動作させ、可動蓋部134を閉じる。このとき、ハンド部707側の磁石はオフ状態としておき、容器本体5は、容器載置装置3側が発生する磁力によって容器載置装置3側に固定しておく、そしてその後に、容器載置装置3側の磁力を停止し、ハンド部707側の磁石をオン状態として容器本体5をハンド部707側に保持させる。
この動作をすることにより、ハンド部707によって薬剤容器2を吸着した際の振動で、薬剤容器2の薬剤排出部8から薬剤がこぼれ落ちるのを防止することができる。
即ち所定量の払い出しが終わった後、可動蓋部134を閉じる前に、ハンド部707側の磁力を発現させると、薬剤容器2を吸着した際の振動で、可動蓋部134の近傍に止まっていた薬剤がこぼれる。これに対して可動蓋部134を閉じた後にハンド部707側の磁力を発現させ、薬剤容器2をハンド部707側に吸着すると、薬剤がこぼれることがない。
【0200】
(19)分配皿の覆い
図67の様に分配皿201の上面側に覆い220を設けることが望ましい。また上記した実施形態の様に分配皿201を複数有する場合には、分配皿201が設けられている領域を仕切り壁221で仕切ることが望ましい。
即ち散薬の粒子は薬品によってまちまちであり、極めて細かい粒子のものもある。極めて細かい粒子の散薬は、わずかな空気の動きでも浮遊する場合がある。
そのため分配皿201を複数有する薬剤払出し装置では、一方の分配皿201に投入された散薬が浮遊し、他方の分配皿201に落下することが考えられる。実際問題として、仮に浮遊した散薬が他方の分配皿201に落下したとしても、その量は極めて少なく、患者に影響があるとは思えない。しかしながら、可能性としてはあり得ることであり、防止する方策を講じることが望ましい。
【0201】
図67は、この要請に応えるべく分配皿201の上面側に覆い220を設けた例を示している。覆い220は、分配皿201の30パーセントから100パーセントの領域を覆うものである。
本実施形態では、分配皿201の約30パーセントの領域を覆っている。覆い220は、テーブル部材205に固定され、テーブル部材205側を基端として、分配皿201の上に片持ち状に張り出したものである。
【0202】
覆い220の高さは、掻出機構606を清掃装置500側に移動させる際に、掻寄板609が干渉しない高さである。
即ち上部側に掻出装置930の掻出用アーム931を立てて掻出機構606を上部側に移動させ、さらにターンテーブル604を回動させて掻出機構606を清掃装置500側に移動させるが、そのとき、掻寄板609等は、覆い220の上を通過する。
【0203】
本実施形態では、清掃装置500の近傍においては、覆い220が欠落している。
本実施形態では、覆い220は、一つの中央覆い部材222と、二つの端部覆い部材223によって構成されている。
中央覆い部材222は、二つの分配皿201に跨がって設置されるものであり、散薬投入ホッパー413の近傍から清掃装置500の近傍に至る領域を覆う。
また中央覆い部材222の下部に仕切り壁221が垂下されている。仕切り壁221の下端は、テーブル部材205に固定されている。そのため仕切り壁221は、中央覆い部材222を支持する支持部材としても機能している。
端部覆い部材223は、中央覆い部材222を挟んでその両脇にあるが、端部覆い部材223と中央覆い部材222との間には、清掃装置500の清掃ブラシ502を入れるための隙間が確保されている。
【0204】
また
図67に示す実施形態では、ホッパー閉塞部材400にも仕切り壁430が設けられている。ホッパー閉塞部材400に設けられた仕切り壁430は可動式であり、ホッパー閉塞部材400から出没する。
図69は、ホッパー閉塞部材400における仕切り壁430に関連する部材の分解斜視図である。
【0205】
ホッパー閉塞部材400は、本体部431と、清掃部材432と、仕切り壁430を有している。本体部431は、天面部から側面にかけてスリット433が形成されている。
また本体部431の天面には、清掃部材432を装着するための凹部424が設けられている。また凹部424の両脇部分には係合溝425が設けられている。
仕切り壁430は板状であり、本体部431の天面部のスリット433に挿入されている。また仕切り壁430は、回動軸435を有している。本体部431内には、回動軸435を回転させるためのモータ(図示せず)が内蔵されており、仕切り壁430はスリット433の中にあって回動軸435を中心として回動する。
【0206】
そのため仕切り壁430は、
図68(a)の様に本体部431の側方に突出した姿勢と、
図68(b)の様に回動し、遂には
図68(c)の様に本体部431のスリット433内に収容される姿勢をとることができる。
また本実施形態では、本体部431の天面に清掃部材432が設けられている。清掃部材432は、厚さが薄い部材であり、金属で作られた枠部材436と、中央部材437を有している。枠部材436は、平面視が「コ」の字状であり、3辺を有する部材である。
【0207】
中央部材437は軟質であるがやや腰のあるゴム又は樹脂で作られた薄板である。中央部材437にはスリット438が設けられている。スリット438は、一端側か開放された切り欠き状である。スリット438の幅は、本体部431に設けられたスリット433の幅よりも狭い。またスリット438の幅は、仕切り壁430の厚さよりも狭い。
清掃部材432は、本体部431の天面の凹部424に装着されている。清掃部材432の両脇の辺部は、凹部424に設けられた係合溝425と係合しており、清掃部材432を係合溝425によって前側又は後ろ側にスライドさせることにより清掃部材432を本体部431から着脱することができる。
前記した様に仕切り壁430は、
図68(a)の様に本体部431の側方に突出した姿勢から回動し、本体部431のスリット433内に収容される姿勢となるが、その際に、仕切り壁430は中央部材437のスリット438を通過する。そして中央部材437は軟質であるがやや腰のあるゴム又は樹脂で作られており、且つスリット438の幅は、仕切り壁430の厚さよりも狭いから、仕切り壁430がスリット438を通過する際に仕切り壁430の両側面を中央部材437のスリット438が拭う。そのため仕切り壁430が本体部431内に収容される際に、仕切り壁430が清掃される。
また前記した様に本実施形態では、清掃部材432を本体部431に対してスライドさせることにより本体部431から離脱させることができるから、清掃部材432を取り外して水洗い等で清浄化することができる。
【0208】
(20)薬剤容器仮置部
次に扉部9に設けられた薬剤容器仮置部11の変形例について説明する。
図51は、他の実施形態の薬剤容器仮置部250である。先の実施形態と同様に薬剤容器仮置部250は、扉部9に取り付けられており、扉部9と共に移動する。
薬剤容器仮置部250は、載置台251と、係合レバー252と、保持部材253によって構成されている。保持部材253は柵状であって薬剤容器2を保持するものである。
載置台251は、直立姿勢かやや傾斜姿勢で配置された背もたれ部255と、略水平姿勢に配置される台座部256によって構成されている。
背もたれ部255は、中央に長方形で大面積の設置部257があり、その両脇に長方形のサイド部258a,258bがある。
サイド部258a,258bは、設置部257に対し前側に向かって傾斜姿勢となっている。
台座部256の中央には、大きな切り欠き部260がある。
【0209】
係合レバー252は、台座部256の切り欠き部260に配置されている。係合レバー252と保持部材253は係合しており、係合レバー252が降下すると保持部材253が上昇する。
係合レバー252は、金属板を曲げ加工して作られたものである。係合レバー252は、一種のテコであり、
図56の様に中央に支点領域261があり、一端側に力点たる容器当接部262があり、他方側に作用部263がある。
支点領域261は、板材が「L」字状に折り曲げられた領域であり、その角の部分に揺動軸265がある。
【0210】
また支点領域261の一方の端部が折り曲げられて容器当接部262が設けられている。支点領域261の他方の端部が折り曲げられて作用部263が設けられている。作用部263には孔264が設けられている。
【0211】
保持部材253は、線材を左右対象に曲げ加工して作られたものである。
保持部材253は、中央に回転軸部269があり、その両端が折り曲げられて連接部266a,266bが形成されている。さらに連接部266a,266bの先端側が回転軸部269から離れる方向に折り曲げられてサイド保持部267a,267bが設けられている。そしてサイド保持部267a,267bの先端側が、互いに近接する方向に折り曲げられて前側保持部268a,268bが設けられている。
【0212】
係合レバー252は、揺動軸265が図示しないフレームと係合し、揺動軸265を中心として揺動する。
保持部材253は、係合レバー252の近傍にあり、回転軸部269は係合レバー252の揺動軸265と平行に配されている。
保持部材253は、回転軸部269が軸受け273に保持されていて回転軸部269を中心として揺動する。
【0213】
係合レバー252と保持部材253は、バネ270及び接続金具271を介して係合している。
接続金具271は、保持部材253の回転軸部269に一体的に取り付けられている。接続金具271には孔275が設けられている。
バネ270は、ねじりコイルばねであり、中央にコイル部274があり、両端に係合部がある。
バネ270は、コイル部274が保持部材253に対して回転軸部269を中心として取り付けられている。そしてバネ270の一方の係合部が係合レバー252の作用部263の孔264と係合している。またバネ270の他方の係合部が保持部材253に取り付けられた接続金具271の孔275と係合している。
そのため係合レバー252の容器当接部262が押し下げられると、
図56を基準として係合レバー252が時計方向に回動し、バネ270を反時計方向に回動させる。そしてバネ270と係合する保持部材253が反時計方向に回動し、サイド保持部267a,267bと、前側保持部268a,268bを上昇させる。
なお常時、係合レバー252の容器当接部262は、載置台251の台座部256の切り欠き部260から上方に突出している。
【0214】
薬剤容器仮置部250に薬剤容器2を取り付ける際には、人の手やロボット702のハンド部707を利用して、薬剤容器2を載置台251に載せる。
前記した様に係合レバー252の容器当接部262は、載置台251の切り欠き部260から上方に突出しているから、薬剤容器2を載置台251に載せると、容器当接部262が揺動して沈み、代わってサイド保持部267a,267bと、前側保持部268a,268bが上昇する。そしてサイド保持部267a,267bが薬剤容器2の側面を保持し、前側保持部268a,268bが薬剤容器2の運搬用鉄板部157側を保持する。また薬剤容器2の固定用鉄板部6側は、載置台251の背もたれ部255に保持される。
従って薬剤容器2は、載置台251の台座部256及び背もたれ部255と、保持部材253のサイド保持部267a,267b及び前側保持部268a,268bによって5面が保持され、脱落しない。
【0215】
(21)薬剤容器の清掃(掻き落とし部材)
図51に示す実施形態では、扉部9を閉じた状態を基準としており、薬剤容器仮置部250の真上の位置に、掻き落とし部材280(清掃部)が設けられている。掻き落とし部材280は、扉部9ではなく薬剤払出し装置1の本体側に設けられている。
掻き落とし部材280は、断面形状が容器本体5の形状に沿う凹部281(容器接触部)を有している。また凹部281(容器接触部)の内側には吸引口282が開いており、吸引口282は図示しない吸引装置に接続されている。
【0216】
図52は、掻き落とし部材280の分解斜視図であり、
図53は、掻き落とし部材280の断面斜視図である。
掻き落とし部材280は、
図52の様に、本体部283と、拭い部材234によって構成されている。
本体部283は、硬質の樹脂で作られたものであり、前記した様に凹部281aが設けられている。
【0217】
拭い部材234は、シリコンゴム等の軟質の樹脂またはゴムによって作られたものであり、本体部283と同様に凹部281bが設けられている。
拭い部材234は、本体部283の下部にやや間隔を開けた状態で取り付けられている。また拭い部材234の凹部281bの先端は、
図53の様に、本体部283の凹部281aの先端よりも少し前に飛び出した位置にある。
また前記した様に、拭い部材234と本体部283との間には、少しの間隔があり、当該隙間が吸引口282となっている。
【0218】
掻き落とし部材280は、薬剤容器2の側面を清掃するために設けられた部材である。上記した実施形態では、薬剤容器2から直接、分配皿201に薬剤を供給する。そのため、薬剤を供給した後、静電気等の影響で、薬剤容器2の側面に薬剤が付着していることがある。特に薬剤容器2の薬剤排出部8の近傍に、薬剤がこびり付くことがある。
そこで薬剤容器2の側面を掻き落とし部材280の凹部281(容器接触部)に押し当て、薬剤容器2を下方又は上方にスライドさせる。
また同時に図示しない吸引装置を起動させる。
ここで本実施形態では、硬質であって剛性の高い本体部283があり、その下にやや柔らかい拭い部材234がある。また拭い部材234は、本体部283よりも突出している。そのため薬剤容器2を下方又は上方にスライドさせると、薬剤容器2の側面であって薬剤排出部8の近傍が拭い部材234によって拭われ、こびりついた薬剤が斯き落とされる。こうして薬剤容器2の側面に付着した薬剤が拭い落とされ、吸引口282から吸引装置に吸引される。そのため仮に薬剤容器2の側面に薬剤の残渣が残っていたとしても、掻き落とし部材280によって清掃される。
【0219】
前記した様に薬剤容器2は、人の手やロボット702のハンド部707を利用して、薬剤容器仮置部250に取り付けられるが、ロボット702のハンド部707を利用して、薬剤容器仮置部250に取り付ける際には、掻き落とし部材280で薬剤容器2の側面を拭ってから薬剤容器仮置部250に取り付けることが望ましい。すなわち、ハンド部707で把持した薬剤容器2を容器接触部281に押し当て、薬剤容器2の側面に付着した薬剤を掻き落とす。
また使用済みの薬剤容器2をロボット702によってドラム部材102の容器設置部103に戻す際にも掻き落とし部材280で薬剤容器2の側面を拭ってから薬剤容器仮置部250に取り付けることが望ましい。
【0220】
(22)ホッパー清掃
前記したホッパー清掃動作においては、散薬投入ホッパー413内に清掃剤を投入することが推奨される。清掃剤は剥離剤であり、処方された薬剤以外の粉体であり、ホッパー内を洗浄するための粉体である。また清掃剤は、薬効の有無に関係無く、仮に人の口に入っても害が無いものが選択される。
清掃剤は、例えば重曹粉末、乳糖、でんぷん等の人体に無害な粉体又は粒子である。
図60は、清掃動作時に散薬投入ホッパー413内に清掃剤を投入する機能を備えた実施形態の概念図である。
図60に示す実施形態では、散薬投入ホッパー413の導入側開口の近傍に清掃剤投入装置423が設けられている。また散薬投入ホッパー413の末端の排出側開口(薬剤排出口)に開閉板416があり、開閉板416の外側の近傍にエアーノズル422が設けられている。
【0221】
散薬投入ホッパー413は、例えば
図65の様な形状をしており、下部に排出側開口(薬剤排出口)1000があり、上部に導入側開口1001がある。また排出側開口1000には開閉板416が設けられている。
散薬投入ホッパー413の側面には、吸引開口1002が開口している。吸引開口1002は、少なくとも排出側開口1000よりも上にあり、排出側開口1000よりも導入側開口1001に近い高さにある。吸引開口1002の平面方向の中心軸X−Xの延長線は、散薬投入ホッパー413の中心軸Z−Zの近傍を通過する。即ち吸引開口1002は、平面視的には、散薬投入ホッパー413の側面の中心に設けられている。
吸引開口1002の形状は偏平であり、縦長さよりも横幅の方が広い。吸引開口1002には、パイプ又はホース等の管部材1010が接続されており、当該管部材1010の末端が吸引装置415に接続されている。即ち管部材1010が吸引開口1002から吸引装置415に至る吸引路の一部を構成している。
【0222】
そして本実施形態では、管部材1010が曲部1012を有している。即ち本実施形態では、吸引路であって、吸引開口1002の直近の位置が大きくカーブしている。即ち管部材1010を上方から見たとき、曲部1012が認められる。
また吸引開口1002は偏平である。そのため吸引開口1002の近傍における空気の流速は、カーブの外側に近い側と内側に近い側で相違する。
【0223】
清掃剤を投入して実施するホッパー清掃動作は、次の手順で実施される。
最初の工程として散薬投入ホッパー413内に清掃剤を投入する。このとき散薬投入ホッパー413の末端の開閉板416は閉じておく。
そして散薬投入ホッパー413の投入開口をホッパー閉塞部材400で閉鎖する。この状態で、吸引部材を動作させる。その結果、散薬投入ホッパー413内に激しい空気流が発生し、清掃剤が激しく渦巻いて散薬投入ホッパー413の内壁と衝突する。
ここで散薬投入ホッパー413の末端の開閉板416が閉じられているから、散薬投入ホッパー413内に供給される空気量は制限されている。そのため散薬投入ホッパー413内で清掃剤が渦巻くものの、吸引部材による空気吸引量は少ない。そのため清掃剤は単に散薬投入ホッパー413内で攪拌されるだけであって、吸引部材によって吸い出される量は少ない。
そのため清掃剤は散薬投入ホッパー413内に止まり、散薬投入ホッパー413の内壁と長時間に渡って衝突する。またあたかもサイクロン式掃除機のごとく、清掃剤の遠心力が作用して散薬投入ホッパー413の内面にぶつかるので衝突の衝撃は大きい。そのため散薬投入ホッパー413の内壁に付着した薬剤が剥ぎ落とされる。
【0224】
そしてその後、散薬投入ホッパー413の末端の開閉板416を開く。より望ましくは、開閉板416の開閉をくりかえす。
その結果、負圧傾向となっている散薬投入ホッパー413内に散薬投入ホッパー413の末端から外気が導入され、散薬投入ホッパー413内にさらに激しい空気流が発生し、清掃剤が激しく渦巻いて散薬投入ホッパー413の内壁と衝突して散薬投入ホッパー413の内壁に付着した薬剤が剥ぎ落とされる。
【0225】
特に本実施形態では、吸引開口1002が偏平であり、且つ吸引路であって、吸引開口1002の直近の位置が大きくカーブしているから、吸引開口1002の近傍における空気の流速は、カーブの外側に近い側と内側に近い側で相違する。
本実施形態では、内壁1003の近傍では、空気の流速が早くなり、対向する内壁1006の近傍では、空気の流速が遅くなる。
そのため散薬投入ホッパー413の中に強い旋回流が発生する。また散薬投入ホッパー413の下部に設けられた排出側開口1000から空気が導入される。そのため空気流は、散薬投入ホッパー41の内壁に沿った旋回を伴い、下側から上側に向かって進む。そのため、投入された清掃剤が、散薬投入ホッパー41の内壁を削るがごとくに作用して薬剤をはぎ取り、これを清掃剤と共に巻き上げて吸引部材によって排出する。
本実施形態では、吸引開口1002は、散薬投入ホッパー413の上端近傍に設けられているから、散薬投入ホッパー413の略全ての内壁が清掃される。
【0226】
剥離した薬剤が清掃剤と共に吸引部材によって吸い出され、散薬投入ホッパー413の外に排出される。
開閉板416の開閉をくりかえす場合は、清掃剤を散薬投入ホッパー413に止めた状態による清掃剤の攪拌と、空気を導入して清掃剤の一部を排出しつつ行う清掃剤の攪拌とを繰り返されることとなる。
【0227】
また開閉板416自身の外側面に付着した薬剤を、開閉板416の近傍に設けられたエアーノズル422から空気を吹きつけることによって除去する。
即ち本発明者らの経験によると、散薬投入ホッパー413の排出側開口1000に設けられた開閉板416に薬剤が付着する場合がある。ここで、開閉板416の内側(散薬投入ホッパー413の内面側)は、前記した清掃剤に攪拌による衝撃を利用して清掃することができるが、開閉板416自身の外側面は清掃剤を衝突させることができない。
そこで本実施形態では、開閉板416の近傍に設けられたエアーノズル422から、開閉板416の外側に向かって直接空気を吹きつけ、開閉板416の外側に付着した薬剤を除去する。
【0228】
なお開閉板416は、通常装置に奥まった位置に設けられているので、開閉板416が排出側開口1000を閉じた状態においては、空気噴射を当てにくい。そこで本実施形態では、開閉板416が開いた姿勢の際に噴射された空気が当たる位置にエアーノズル422が設けられている。
また開閉板416の近傍には、分包紙があるので、エアーによって剥離させた薬剤を分包紙内に回収する。
一連の動作をまとめて説明すると、散薬投入ホッパー413内に清掃剤を投入して吸引を開始し、吸引の後半で開閉板416を開閉し始め、その際にエアーノズル422から、開閉板416の外側に向かって直接空気を吹きつける。5秒から10秒後に吸引とエアーを停止する。
【0229】
図60に示した実施形態では、散薬投入ホッパー413の導入側開口の近傍に清掃剤投入装置423を設けたが、薬剤容器2を利用して散薬投入ホッパー413に清掃剤を投入してもよい。即ち先の実施形態では、清掃剤を投入する清掃剤投入手段として清掃剤投入装置423を設けたが、薬剤容器2を清掃剤投入手段として活用してもよい。
例えば特定の薬剤容器2に重曹等の清掃剤を充填しておき、他の薬剤容器2と同様に容器保管装置101に保管しておく。
そして通常の薬剤容器2から散薬を取り出して散薬投入ホッパー413に投入する動作に準じた動作により、薬剤容器2内の清掃剤を散薬投入ホッパー413に投入する。
【0230】
具体的に説明すると、清掃作業が必要な薬剤が分包された場合や、残薬センサー等により、散薬投入ホッパー413に汚れがあることが判明した場合、自動または手動によって清掃剤が充填された薬剤容器2を選定する。
そしてロボット702のハンド部707で薬剤容器2を保持し、薬剤容器2を移動し、清掃剤が充填された薬剤容器2を容器載置装置3に載置する。
その後に容器載置装置3の防振台23を動作させて薬剤容器2から散薬分配装置202の分配皿201に散薬を投入する。そして掻出装置930で分配皿201から清掃剤を排出し、散薬投入ホッパー413に投入する。
なおこの一連の動作は、通常の薬剤分包時の動作スピードよりも早いスピードで実行される。
【0231】
また通常の薬剤分包を行う場合、薬剤容器2から散薬投入ホッパー413に薬剤を投入する際に開閉板416は閉じられているが、散薬投入ホッパー413に清掃剤を投入する場合には開閉板416を閉じておく。
【0232】
(23)残薬検知センサー
次に分配皿201を対象とする残薬検知センサー372について補足説明する。分配皿201を対象とする残薬検知センサー372(以下 単に残薬検知センサー372)は、光学センサーであり、投光部と受光部が一体化されたものである。
残薬検知センサー372の投光部は、
図66の様に、分配皿201の薬剤投入溝208の幅に相当する幅のビームを照射する。残薬検知センサー372の投光部は固定されており、ビームが照射される領域は、一定の領域に限られる。
ビームの照射位置に汚れや残薬が無い場合は、投光部から照射された光は、薬剤投入溝208の表面で正反射し、受光部には戻らない。
これに対してビームの照射位置に汚れや残薬があれば、投光部から照射された光は、残薬等に当たって乱反射し、一部が残薬検知センサー372の受光部に入光する。
そのため照射部に汚れや残薬が有るか否かを検知することができる。
【0233】
残薬の検知作業は、分配皿201を回転しつつ、残薬検知センサー372(以下 単に残薬検知センサー372)の投光部から光を照射して行う。
具体的には、清掃装置500によって分配皿201の表面を清掃した後に残薬の検知作業を実施する。
前記した様に、分配皿201の清掃は、清掃ブラシ502を回転しつつ、分配皿201を一回転以上(例えば2回)回転させて行う。その後、清掃ブラシ502の回転を停止し、分配皿201をさらに一回転以上回転させる。そしてその際に残薬検知センサー372の投光部から光を照射し、汚れや残薬があるか否かを検査する。
そして受光部が光を検知し、分配皿201に残薬等があることが判れば、清掃ブラシ502を再度回転させ、分配皿201の清掃をやり直す。分配皿201に残薬等が無ければ、清掃用アーム501を回動させて先端に設けられた清掃ブラシ502を上昇させ、清掃ブラシ502を分配皿201の薬剤投入溝208から出す。
【0234】
分配皿201の表面を清掃したにも係わらず残薬検知センサー372が汚れや残薬を検知した場合に、使用者に対して音や映像で報知する構成を採用してもよい。使用者は、その報知を契機として、目視で分配皿201の状態を確認し、報知の原因が、汚れなのか、異物なのか、薬剤の残渣なのかを確認することができる。
【0235】
薬剤の残渣があった場合には、清掃ブラシ502による清掃を再度行い、その後残薬検知センサー372による残薬検知を行う。この動作を複数回(例えば、3回)実施しても、分配皿201に残渣が確認された場合に音や映像による警報を発する。警報には、解除モードとスキップモードがある。解除モードとは、発せられている警報を停止させ、再度清掃ブラシ502による清掃を行う場合のモードである。スキップモードとは、警報を行うが、清掃ブラシ502による清掃は行わず、使用者が残薬の有無を確認し、必要に応じて手作業で清掃するためのモードである。
【0236】
(24)掻出部清掃
前記した掻出部清掃動作においては、作業中に清掃ブラシ502と掻出機構606の相対位置を変化させることが望ましい。
以下、清掃ブラシ502の変形例である清掃ブラシ521について説明する。
本実施形態で採用する清掃ブラシ521は、
図35,
図36に示す清掃装置500において、清掃ブラシ502の代わりに使用されるものである。清掃ブラシ521は、前記した清掃ブラシ502と同様に2条の溝525,526(
図72)が設けられたハブ部材522があり、ハブ部材522の円周面に植毛が施されたものである。
本実施形態の清掃ブラシ521は、3個の円盤状ブラシ526a、526b、526cが連結された構造となっている。
【0237】
側面側の円盤状ブラシ526a、526cには植毛が施されている。円盤状ブラシ526a、526cに植毛された毛束523a,523b(中央方向傾斜毛群)は、いずれも中央に向かって傾斜している。円盤状ブラシ526a、526cに植毛された毛束523(植毛列)には、
図71の様に、毛足の長い毛束523aと、毛足の短い毛束523bがある。
【0238】
中央の円盤状ブラシ526bには、2列に植毛されている。各列に植毛された毛束524には、毛足が長く側面に向かって傾斜した毛束524a(一端方向傾斜毛群)と、毛足が短く側面に向かって傾斜した毛束524b(他端方向傾斜毛群)と、毛足が長く真っ直ぐに植毛された毛束524cがある。
【0239】
図22の様に掻出機構606は、掻寄板609と、掻出板607と、仕切板603とを有する部材である。掻寄板609、掻出板607、仕切板603は、一体に構成されている。掻寄板609の周囲には分配皿201の薬剤投入溝208と密接する様にゴム又は樹脂の円周部シール材683が設けられている。また掻出板607の端辺にも薬剤投入溝208と密接する様にゴム又は樹脂の掻出用シール材685が設けられている。
【0240】
掻出部清掃動作は、掻寄板609、掻出板607及び仕切板603の側面と、円周部シール材683及び掻出用シール材685に清掃ブラシ521を押し当てて清掃する。そのため、原則として
図72(a)(b)の様に、掻出機構606の掻寄板609と、仕切板603を清掃ブラシ521の溝525,526に深く挿入する。
しかしながら、掻出板607が回転し、掻出板607及び仕切板603とが清掃ブラシ521によって清掃される際には、清掃ブラシ521が掻出板607や掻出用シール材685に強く当たりすぎて掻出用シール材685等を傷めてしまう懸念がある。そこで、掻出板607が回転し、掻出板607及び仕切板603とが清掃ブラシ521によって清掃される際には、清掃用アーム501を揺動させて
図72(c)の様に、清掃ブラシ521(ハブ部材522)を掻出機構606から離れる方向に移動させることが望ましい。
【0241】
理想的な動作としては、最初に掻出機構606の掻寄板609と、仕切板603を清掃ブラシ521の溝525,526に深く挿入して清掃ブラシ521を回転しつつ、掻寄板609を回転し、掻出板607が清掃ブラシ521(ハブ部材522)に近づくと、清掃ブラシ521をやや逃がす。そして清掃ブラシ521が掻出板607を通過すると再度清掃ブラシ521を掻出機構606側に寄せて清掃ブラシ521を掻出機構606に深く差し入れる。
そして掻寄板609が一周又は複数回回転した後は、清掃ブラシ521をやや逃がす。その状態では、清掃ブラシ521を回転しつつ、掻寄板609を回転し、円周部シール材683と、掻出用シール材685を重点的に清掃する。
【0242】
(25)監視カメラ
次に、薬剤容器2から散薬が排出されていることを監視する監視カメラ540について説明する。監視カメラ540は、前記した残薬検知センサー372の隣に一台ずつ設置されている。監視カメラ540は図示しない回動機器を備え、撮影箇所を変更することができる。
監視カメラ540は、特に各容器載置装置3の近傍を撮影する様に設定されている。より具体的には、各容器載置装置3に薬剤容器2が設置された状態において、薬剤容器2の薬剤排出部8近傍と、分配皿201を撮影する。
監視カメラ540が撮影した映像は、外部に設けたパソコン等でリアルタイムに見ることができる。また監視カメラ540が撮影した映像は、図示しない記録媒体に記録され、後で確認することもできる。
本実施形態の薬剤払出し装置1は、前記した様に全体的に筐体7で覆われ、薬剤の分配は密閉空間内で行われるが、本実施形態では筐体7内を撮影する監視カメラ540が設けられている。そのため使用者は、外部に設けたパソコン等を見て、散薬の落下状況や、分配皿201に対する分配状況を確認することができる。
また使用者は、散薬の落下状況を見て防振台23の振動強さを調節したり、分配皿201の回転速度を調節することができる。
前記した様に監視カメラ540が撮影した映像が、図示しない記録媒体に記録されるので、不具合があった場合に、その原因を追求するのに役立てることができる。
【0243】
(26)情報記録部材
前記した様に薬剤容器2には、情報記録部材15として、RFIDのチップが取り付けられている。
情報記録部材15には、薬剤の名称等の他、薬剤容器2内の薬剤の残量が記録される。
本実施形態では、薬剤払出し装置1を起動したとき、容器保管装置101は、ドラム部材102に搭載された全ての薬剤容器2に収容された薬剤の種類と残量が、情報記録部材15から読み出され、制御装置に記録される。即ちドラム部材102を回転し、情報読み書き装置335で情報記録部材15の情報が読み取られる。またドラム部材102のどの位置にとの薬剤容器2が収容されているかが確認され、記録される。
【0244】
また本実施形態では、容器載置装置3の近傍に情報読み書き装置27が設けられている。そして薬剤を分包するために容器保管装置101から薬剤容器2を取り出し、薬剤容器2を容器載置装置3に置いた時に対象薬剤であるかが確認される。
【0245】
また分配作業が終了した際、容器載置装置3の近傍に情報読み書き装置27によって、情報記録部材15に記録された薬剤容器2内の薬剤の残量が書き換えられる。
【0246】
また分包が終了して容器保管装置101に薬剤容器2を戻す前に、薬剤容器2が薬剤容器仮置部11に設置され、薬剤容器2の重量が再度測定される。この様に本実施形態の薬剤払出し装置1では薬剤の重量が二重に確認される。
【0247】
薬剤容器仮置部11から容器保管装置101に薬剤容器2を戻した後、ドラム部材102を回転させて戻された薬剤容器2を情報読み書き装置335に近づけ、容器保管装置101に戻された薬剤容器2が元の薬剤容器2であることが確認される。
【0248】
また外部から薬剤払出し装置1に薬剤容器2を収容する際には、図示しない入力装置に薬剤容器2に収容された薬剤の情報を入力する。そして薬剤容器仮置部11に薬剤容器2を設置し、所定のスイッチを操作することにより薬剤容器2の重量が測定され、その重量が情報記録部材15に書き込まれる。また情報記録部材15から薬剤の情報が読み出され、使用者が入力装置に入力した薬剤であることが確認される。
【0249】
薬剤容器2内の薬剤が不足し、薬剤容器2に薬剤を補充して薬剤払出し装置1に薬剤容器2を収容場合も同じである。
なお薬剤容器2内の薬剤が不足している場合は、容器載置装置3又は容器保管装置101から薬剤容器2が扉部9の薬剤容器仮置部11に移動させる。そして扉部9が自動的に開き、使用者が薬剤容器2を取り出せる状態となる。
【0250】
通常時に容器保管装置101に収容していない薬剤(非常備薬剤)を分包する際には、当該薬剤を収容した薬剤容器2を上記した手順で薬剤払出し装置1に入れるが、この場合についても情報記録部材15から薬剤(非常備薬剤)の情報が読み出され、使用者が入力装置に入力した薬剤であることが確認される。
また非常備薬剤を使用する場合については、薬剤容器2は、直接容器載置装置3に運ばれて分配が開始される。
非常備薬剤が充填された薬剤容器2は、分配が終了すると直ちに薬剤容器仮置部11に移動させる。そして扉部9が自動的に開き、使用者が薬剤容器2を取り出せる状態となる。
【0251】
分割領域筐体200aのスライド式の大きな扉105は、通常作業においては開く必要は無いが、何らかのトラブル発生時に扉105を開けた時には、容器保管装置101の薬剤容器2は自由に抜き差しできる環境となる。そのため、薬剤容器2が入れ替わっていないことと、再度薬剤容器2の位置を念のため確認することを目的として、扉105が閉じられた時には、薬剤払出し装置1を起動した際と同様にドラム部材102に搭載された全ての薬剤容器に収容された薬剤の種類と残量が、情報記録部材15から読み出され、制御装置に記録される。即ちドラム部材102を回転し、情報読み書き装置335で情報記録部材15の情報が読み取られる。またドラム部材102のどの位置にとの薬剤容器2が収容されているかが確認され、記録される。
【0252】
図47,48,51に示す薬剤容器仮置部11,250の代わりに、
図73に示す箱型の薬剤容器仮置部111を採用してもよい。薬剤容器仮置部111は、薬剤容器2を載置するだけであり、
図51に示す薬剤容器仮置部250の容器当接部262やサイド保持部267a,267bのような動く部材が存在しない。すなわち、薬剤容器仮置部111は、薬剤容器2を載置台113上に載置し、薬剤容器2の下部側面をガイド部112で保持する。これにより、薬剤容器2の保持が安定する。また、
図73に示す薬剤容器仮置部111では、薬剤容器2の前面を保持していないが、左右のガイド部112同士を連結したり、前面を完全に閉じた状態とし、前方への転倒を防止する機構を別途設けてもよい。