【実施例】
【0019】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0020】
<製造例1>
(1)パーオキシカーバメート化合物の合成
1Lビーカーに、2,5−ジメチル−2,5−ジヒドロペルオキシヘキサン(95.8%品、95.95g、0.5mоl)をピリジン(172g、2.2mоl)中に溶解・撹拌させ、10℃以下に冷却した。続いて、フェニルクロロホルメート(170g、1.0mоl)をペンタン(170g)で希釈し、上記のピリジン溶液中に10℃で滴下した。滴下終了後、1時間撹拌し、析出物とジピリジン塩酸塩をろ別した。ろ別した析出物をペンタン、水で洗浄した後に、メタノールで洗浄し、乾燥させ、上記の一般式(2)で表されるパーオキシエステル化合物(2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシ−フェニルモノカーボネート))を得た(165g、純度97.3%、収率71%)。
また、純度は、ヨードメトリーによる活性酸素量からペルオキシ基の含有量を求め、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシ−フェニルモノカーボネート)の理論活性酸素量から算出した。
【0021】
次に、上記で得られた2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(ペルオキシ−フェニルモノカーボネート)(100g、0.23mоl)をトルエン(200g)で溶解させた。このトルエン溶液に、アミノプロピルトリエトキシラン(101g、0.46mоl)を5℃で滴下し、1時間撹拌し、上記の一般式(1)で表される2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ[N−(3−トリエトキシシリル)プロピル]ペルオキシカーバメートを得た(トルエンおよびフェノール(副生成物)希釈品、400g、濃度37%)。
【0022】
なお、上記の一般式(1)で表される2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ[N−(3−トリエトキシシリル)プロピル]ペルオキシカーバメートの構造は、AVANCE400NMRスペクトルメーター(BRUCKER社製)を用いた
1H−NMR測定にて同定した[0.68(t,4H)、1.23(t,18H)、1.53(s,12H)、1.66−1.73(m, 4H)、2.20(s,4H)、3.26−3.31(m,4H)、3.81−3.87(q,12H)、6.03(t,2H)]。
また、濃度は、ヨードメトリーによる活性酸素量からペルオキシ基の含有量を求め、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ[N−(3−トリエトキシシリル)プロピル]ペルオキシカーバメートの理論活性酸素量から算出した。
【0023】
<実施例1>
<架橋試験>
ロール機(東洋精機社製)を80℃に加熱し、E−SBR(商品名「JSR 1502」、JSR社製)を混練した。混練しながら、E−SBRの100gに対して、上記で得られた2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ[N−(3−トリエトキシシリル)プロピル]ペルオキシカーバメートを1.48mmоl混合し、E−SBRのゴムシート(10cm×20cm)を得た。得られたゴムシートをJSRトレーディング社製キュラストメータにて、130℃で架橋試験を行った。その結果を、表1および表2に示す。
【0024】
<実施例2>
実施例1の2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ[N−(3−トリエトキシシリル)プロピル]ペルオキシカーバメートの使用量を、0.74mmоlにしたこと以外は、実施例1と同様の操作方法にて、架橋試験を行った。その結果を、表1および表2に示す。
【0025】
<比較例1>
実施例1の2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ[N−(3−トリエトキシシリル)プロピル]ペルオキシカーバメートを、下記一般式(A)で表されるパーオキシカーバメート化合物に変更した以外は、実施例1と同様の操作方法にて、架橋試験を行った。その結果を、表1および表2に示す。
【化6】
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
評価の結果、一般式(1)で表される化合物を用いた実施例1と実施例2については、一般式(A)で表される化合物を用いた比較例1よりも、最大トルク値が低下し、架橋反応が抑制されていることが確認された。さらにアルコキシシリル基が等量添加された実施例2と比較例1を比較した結果、さらに架橋反応が抑制されていることが確認された。