特許第6899209号(P6899209)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6899209情報処理装置、システム、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6899209
(24)【登録日】2021年6月16日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】情報処理装置、システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/06 20120101AFI20210628BHJP
【FI】
   G06Q40/06
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-210820(P2016-210820)
(22)【出願日】2016年10月27日
(65)【公開番号】特開2018-73057(P2018-73057A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年9月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】500086308
【氏名又は名称】日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】溝口 佳亨
(72)【発明者】
【氏名】久松 隆典
(72)【発明者】
【氏名】大塚 亮
【審査官】 梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−223564(JP,A)
【文献】 特開2009−211594(JP,A)
【文献】 特開2014−063297(JP,A)
【文献】 特開2003−044681(JP,A)
【文献】 特開2006−268557(JP,A)
【文献】 特開2005−285045(JP,A)
【文献】 特開2008−282109(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0210695(US,A1)
【文献】 あすの企業年金制度を企業とともに考える,DC NEWS,[online],[2020年11月10日検索],2006年 8月,pp.1-4,インターネット<URL:http://www.sjdc.co.jp/~/media/sjnkdc/files/news/dcnews/no54.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
確定拠出年金制度に加入している者である加入者等の加入している確定拠出年金の契約が変更されたことを示す情報が受付けられ、かつ変更前の契約と変更後の契約とに共通する商品の残高を付け替えることが設定されている場合に、前記変更前の契約と前記変更後の契約とが同じ運営管理機関により管理される契約であるか否かを判定する判定手段と、
前記変更前の契約と前記変更後の契約とが同じ運営管理機関により管理される契約であると判定された場合に、前記運営管理機関が提供する契約に含まれる商品の情報に基づき、前記変更前の契約に含まれる情報のうち、前記変更後の契約に含まれる商品を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された商品について、変更前の契約に含まれる商品の残高を、変更後の契約に含まれる商品の残高に付け替える付け替え手段と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記付け替え手段は、前記特定手段により特定された商品について、変更前の契約に含まれる商品の残高を、変更後の契約に含まれる商品の残高に含まれると決定することで、変更前の契約に含まれる商品の残高を、変更後の契約に含まれる商品の残高に付け替える請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記変更前の契約に含まれる商品のうち、前記特定手段により特定された商品を除く商品についての売却額を取得し、前記売却額と、前記変更後の契約に含まれる商品それぞれをどれだけ購入するかを示す購入割合情報と、に基づいて、前記売却額で購入される前記変更後の契約に含まれる商品それぞれの量を取得する取得手段と、
前記付け替え手段により付け替えられた残高と、前記取得手段により取得された量と、基づいて、前記変更後の契約に含まれる商品それぞれについて、前記加入者等が保有する残高を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された前記変更後の契約に含まれる商品それぞれについて、前記加入者等が保有する残高の情報を記憶する記憶手段と、
を更に有する請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、前記決定手段により決定された前記変更後の契約に含まれる商品それぞれについて、前記加入者等が保有する残高の情報を、前記変更後の契約を提供する運営管理機関が提供する契約をとりまとめるとりまとめ契約情報と対応付けて記憶する請求項3記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記加入者等は、企業型年金加入者及び企業型年金運用指図者並びに個人型年金加入者及び個人型年金運用指図者のいずれかである、請求項1乃至4何れか1項記載の情報処理装置。
【請求項6】
確定拠出年金制度に加入している者である加入者等の加入している確定拠出年金の契約が変更されたことを示す情報が受付けられ、変更前の契約と変更後の契約とに共通する商品の残高を付け替えることが設定されている場合に、前記変更前の契約と前記変更後の契約とが同じ運営管理機関により管理される契約であるか否かを判定する判定手段と、
前記変更前の契約と前記変更後の契約とが同じ運営管理機関により管理される契約であると判定された場合に、前記運営管理機関が提供する契約に含まれる商品の情報に基づき、前記変更前の契約に含まれる情報のうち、前記変更後の契約に含まれる商品を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された商品について、変更前の契約に含まれる商品の残高を、変更後の契約に含まれる商品の残高に付け替える付け替え手段と、
を有するシステム。
【請求項7】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
確定拠出年金制度に加入している者である加入者等の加入している確定拠出年金の契約が変更されたことを示す情報が受付けられ、変更前の契約と変更後の契約とに共通する商品の残高を付け替えることが設定されている場合に、前記変更前の契約と前記変更後の契約とが同じ運営管理機関により管理される契約であるか否かを判定する判定手段と、
前記変更前の契約と前記変更後の契約とが同じ運営管理機関により管理される契約であると判定された場合に、前記運営管理機関が提供する契約に含まれる商品の情報に基づき、前記変更前の契約に含まれる情報のうち、前記変更後の契約に含まれる商品を特定する特定ステップと、
前記特定ステップで特定された商品について、変更前の契約に含まれる商品の残高を、変更後の契約に含まれる商品の残高に付け替える付け替えステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1乃至5何れか1項記載の情報処理装置の各手段として、機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
個人又は事業主が拠出した掛金を個人が自己の責任において運用しその結果に基づき損益が反映されたものを老後の受給額とする確定拠出年金制度がある。
確定拠出年金制度を運用するためのシステムには、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−256658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
確定拠出年金制度において、加入者等が、加入する契約を変更する場合がある。契約の変更が行われた場合、例えば、変更前の契約に含まれる商品を売却・現金化し、その現金で変更後の契約に含まれる商品を購入することが行われる。また、契約の変更が行われた場合、変更前の契約にも変更後の契約にも含まれる商品について、変更前の契約に含まれる商品の残高を、変更後の商品の残高にそのまま付け替えることが行われる場合もある。また、契約の変更が行われた場合、変更前の契約にも変更後の契約にも含まれる商品について、売却・現金化し、その現金で変更後の契約に含まれる商品を購入することが行われる場合もある。
従来、加入者等が契約を変更した場合、変更前の契約と変更後の契約とで共通する商品について、残高の付け替えが行われるか、売却・現金化されるかに応じて、変更後の契約に含まれる商品の残高の取得を支援する技術がなかった。
そこで本発明は、加入者等が加入する契約を変更した際に、変更後の契約に含まれる商品の残高の取得を支援する情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の情報処理装置は、確定拠出年金制度に加入している者である加入者等の加入している確定拠出年金の契約が変更されたことを示す情報が受付けられ、かつ変更前の契約と変更後の契約とに共通する商品の残高を付け替えることが設定されている場合に、前記変更前の契約と前記変更後の契約とが同じ運営管理機関により管理される契約であるか否かを判定する判定手段と、前記変更前の契約と前記変更後の契約とが同じ運営管理機関により管理される契約であると判定された場合に、前記運営管理機関が提供する契約に含まれる商品の情報に基づき、前記変更前の契約に含まれる情報のうち、前記変更後の契約に含まれる商品を特定する特定手段と、前記特定手段により特定された商品について、変更前の契約に含まれる商品の残高を、変更後の契約に含まれる商品の残高に付け替える付け替え手段と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、加入者等が加入する契約を変更した際に、変更後の契約に含まれる商品の残高の取得を支援する情報処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2図2は、契約の変更の一例を説明する図である。
図3図3は、情報処理装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、加入者等の保有する商品の残高の情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
<実施形態>
(確定拠出年金制度の概要)
確定拠出年金制度の概要を説明する。確定拠出年金制度には、企業が実施する企業型年金と国民年金基金連合会が実施する個人型年金がある。本実施形態では、個人型年金での確定拠出年金制度を例に説明する。
個人型確定拠出年金制度は、国民年金基金連合会、商品提供機関、国民年金基金連合会から加入者等の資産の管理等を受託した信託銀行等(以下「資産管理機関」という。)、運営管理機関により行われる。
国民年金基金連合会には、それぞれ個人型年金の加入者等が所属している。加入者等とは、確定拠出年金制度に加入している者であり、より具体的には、企業型年金加入者、及び企業型年金運用指図者並びに個人型年金加入者及び個人型年金運用指図者のことである。
商品提供機関は、運用商品を提供する銀行、証券会社、保険会社等の金融機関である。
資産管理機関は、加入者等の資産を管理する機関であり、加入者等からの拠出金の受入や加入者等への給付金の支払等を行う。国民年金基金連合会は、加入者等から拠出金を受け取って、受け取った拠出金を資産管理機関へ送る。即ち、資産管理機関は、国民年金連合会を経由して、加入者等からの拠出金を受け入れる。
加入者等のそれぞれは、資産の運用指図を、運営管理機関に通知する。
【0009】
運営管理機関は、個人型年金においては国民年金基金連合会からの委託を受けて運営管理業務を行う機関である。運営管理機関は、(1)加入者等に関する事項を記録、保存及び通知し、(2)加入者等が行った運用指図をとりまとめてその内容を資産管理機関に通知し、(3)給付を受ける権利の裁定を行い、また、(4)運用商品を選定及び加入者等に提示し、運用商品の情報を提供する。上記(1)〜(3)を「記録関連業務」、(4)を「運用関連業務」といい、それぞれの役割を担う機関を、「記録関連運営管理機関」及び「運用関連運営管理機関」という。記録関連運営管理機関は、個人型年金に加入している加入者等からの運用指図の内容を、資産管理機関に通知する(通知を受けた資産管理機関と商品提供機関との間で運用商品の売買が行われる)ことにより加入者等の資産運用を実現する。記録関連運営管理機関は、これらの情報授受等を一元管理し記録する。なお(1)〜(3)の記録関連業務については相当規模のシステム投資が必要なため、運営管理機関は、運営管理業務のうち、記録関連業務を専門に行う会社に委託するケースが一般的である。
本実施形態では、記録関連運営管理機関に所属する情報処理装置100が、加入者等が契約を変更した場合、加入者等が保有する変更後の契約に含まれる商品の残高の情報を取得し、記憶する処理について説明する。
【0010】
(情報処理装置のハードウェア構成)
図1は、情報処理装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
情報処理装置100は、確定拠出年金の加入者等毎に、保有する商品の残高の情報等を管理するパーソナルコンピュータ(PC)やタブレット装置等の情報処理装置である。情報処理装置100は、CPU101、主記憶装置102、補助記憶装置103、ネットワークI/F104を含む。CPU101、主記憶装置102、補助記憶装置103、ネットワークI/F104は、システムバス105を介して、相互に接続されている。
CPU101は、情報処理装置100の処理を制御する中央演算装置である。主記憶装置102は、CPU101のワークエリアやデータの一時的な記憶領域として機能するRAM(Random Access Memory)等の記憶装置である。補助記憶装置103は、各種プログラム、各種設定情報、確定拠出年金の加入者等の保有する商品の残高の情報等を記憶するROM(Read Only Memory)、HDD(ハードディスクドライブ)、SSD(ソリッドステートドライブ)等の記憶装置である。ネットワークI/F104は、インターネット、LAN等のネットワークを介した運営管理機関、商品提供機関、資産管理機関等に所属する情報処理装置等の外部の装置との間での通信に利用されるインターフェースである。
CPU101が、補助記憶装置103に記憶されたプログラムに基づき処理を実行することで、情報処理装置100の機能、及び図3で後述するフローチャートの処理等が実現される。
【0011】
(契約変更の概要)
運営管理機関は、1つ又は複数の拠出金の運用に関する契約を提供する。契約とは、運営管理機関が行う運営管理業務の実施範囲を画する概念であり、これを業務の実施単位として、運営管理業務が行われる。また、資産管理機関が行う資産管理業務及び商品提供機関が行う商品提供業務も契約を業務の実施単位として行われる。個人型年金において一の運営管理機関が複数の契約を提供する場合、契約毎に運用商品の種別や手数料などに差異が設けられることがある。加入者等は、一の運営管理機関が提供する複数の契約の中から、希望する契約を選択し、各種業務の提供を受けることとなる。契約には、運用される商品が設定された数だけ含まれている。加入者等は、加入する契約に含まれる商品のうち、指定した商品を指定した量だけ購入し、加入者等により購入された商品が運用されることになる。
加入者等は、一つの運営管理機関が提供する契約に加入した後に当該運営管理機関が提供する他の契約に加入する契約を変更した場合、変更前の契約に含まれる商品を売却し、現金化し、その現金で、変更後の契約に含まれる商品を購入する。また、加入者等は、加入する契約を変更した場合、変更前の契約に含まれる商品のうち、変更後の契約にも含まれる商品について、その商品の残高を、変更後の契約に含まれるその商品の残高に付け替えてもよい。その場合、加入者等は、変更前の契約に含まれる商品のうち、変更後の契約に含まれない商品について、売却し、現金化し、その現金で、変更後の契約に含まれる商品を購入する。
【0012】
図2は、契約の変更の一例を説明する図である。図2を用いて、運営管理機関αが提供する契約Aに加入する加入者等nが、加入する契約を、運営管理機関αが提供する契約Bに変更する場合について説明する。図2の例では、変更前の契約に含まれる商品のうち、変更後の契約にも含まれる商品について、残高の付け替えが行われるものとする。
契約Aには、運用可能な商品として、商品1〜12が含まれる。契約Aの加入者等は、商品1〜12から、運用したい商品を購入し、運用することになる。加入者等nは、契約Aに加入し、商品1、3、6、12を購入し、運用している。加入者等nは、契約Bに加入する契約を変更する。契約Bには、運用可能な商品として、商品1〜10が含まれる。加入者等Aが保有する商品1、3、6、12のうち、商品1、3、6については、契約Aにも契約Bにも含まれる。そのため、運営管理機関αは、商品1、3、6については、加入者等nが契約Aに加入している際に保有していた残高を、加入者等nが契約Bに加入した際に保有する残高として付け替える。加入者等nは、商品12について、売却し、現金化し、その現金で、契約Bに含まれる商品1〜10を、設定された割合で購入する。
記録関連運営管理機関は、運営管理機関αから、加入者等nが契約変更後に保有することになった商品の残高の情報を取得し、記録することになる。
【0013】
(契約変更の際の処理)
図3は、情報処理装置100の処理の一例を示すフローチャートである。図3を用いて、加入者等が契約を変更した場合の情報処理装置100の処理の一例を説明する。
S301において、CPU101は、加入者等の加入する契約の変更の通知を受け付ける。例えば、CPU101は、国民年金基金連合会や運営管理機関の情報処理装置等の外部の装置から、加入者等が加入する契約を変更したことを示す情報を受信することで、加入者等の加入する契約の変更の通知を受け付ける。また、契約を変更した加入者等が記録関連運営管理機関に紙媒体の届出を提出することで、又は、電話、メール等で加入する契約を変更したことを知らせた場合、CPU101は、例えば、情報処理装置100の入力装置を介した記録関連運営管理機関のオペレータによる操作に基づいて、加入者等の加入する契約の変更の通知を受け付けることとしてもよい。
本実施形態では、S301で受付けられた加入者等の加入する契約の変更の通知には、加入する契約を変更する加入者等の情報、変更前の契約を示す情報、変更後の契約を示す情報が含まれる。以下では、S301で受付けられた加入者等の加入する契約の変更の通知に含まれる加入者等の情報に対応する加入者等を、単に加入者等とする。また、以下では、S301で受付けられた加入者等の加入する契約の変更の通知に含まれる変更前の契約を示す情報に対応する契約を、変更前の契約とする。また、以下では、S301で受付けられた加入者等の加入する契約の変更の通知に含まれる変更後の契約を示す情報に対応する契約を、変更後の契約とする。
【0014】
S302において、CPU101は、S301で受付けられた通知が示す契約の変更が、同じとりまとめ契約番号でとりまとめられる契約間の変更であるか否かを判定する。とりまとめ契約番号とは、運営管理機関毎に設定されたその運営管理機関が提供する契約をとりまとめるとりまとめ契約情報の一例である。即ち、とりまとめ契約番号には、とりまとめられた契約が対応づけられることになる。補助記憶装置103は、予め、とりまとめ契約番号と、各とりまとめ契約番号でとりまとめられる契約との対応情報を記憶している。CPU101は、補助記憶装置103から、とりまとめ契約番号と、各とりまとめ契約番号でとりまとめられる契約との対応情報を取得する。CPU101は、取得した対応情報と、S301で受付けた通知に含まれる変更前の契約を示す情報及び変更後の契約を示す情報とに基づいて、変更前の契約と変更後の契約とが同じとりまとめ契約番号でとりまとめられる契約であるか否か(同じ運営管理機関が管理する契約であるか否か)を判定する。
CPU101は、例えば、変更前の契約及び変更後の契約が、同一のとりまとめ契約番号に対応する場合、変更前の契約と変更後の契約とが同じとりまとめ契約番号でとりまとめられる契約であると判定する。また、CPU101は、例えば、変更前の契約及び変更後の契約が、同一のとりまとめ契約番号に対応しない場合、変更前の契約と変更後の契約とが同じとりまとめ契約番号でとりまとめられる契約でないと判定する。
CPU101は、変更前の契約と変更後の契約とが同じとりまとめ契約番号でとりまとめられる契約であると判定した場合、S303の処理に進み、変更前の契約と変更後の契約とが同じとりまとめ契約番号でとりまとめられる契約でないと判定した場合、S310の処理に進む。
本実施形態では、同一のとりまとめ契約番号でとりまとめられる契約間の変更である場合、その契約間で共通する商品については、残高をそのまま付け替えることを指定できるものとする。残高の付け替えとは、変更前の契約におけるある商品の残高を、そのまま、変更後の契約におけるその商品の残高に含まれることとすることである。
【0015】
S303において、CPU101は、変更前の契約と変更後の契約とで共通する商品について、残高の付け替えを行うか否かを判定する。本実施形態では、補助記憶装置103は、予め、加入者等が契約を変更した際に残高の付け替えを行うか否かを示す情報を記憶している。CPU101は、補助記憶装置103から、加入者等が契約を変更した際に残高の付け替えを行うか否かを示す情報を取得し、取得した情報に基づいて、変更前の契約と変更後の契約とで共通する商品について、残高の付け替えを行うか否かを判定する。CPU101は、変更前の契約と変更後の契約とで共通する商品について、残高の付け替えを行うと判定した場合、S304の処理に進み、変更前の契約と変更後の契約とで共通する商品について、残高の付け替えを行わないと判定した場合、S310の処理に進む。
本実施形態では、CPU101は、運営管理機関の情報処理装置等の外部の装置から、加入者等が契約を変更した際に、変更前の契約と変更後の契約とで共通する商品について残高の付け替えを行うか否かを示す情報を取得し、取得した情報を、補助記憶装置103に記憶する。また、CPU101は、情報処理装置100の入力装置を介した記録関連運営管理機関のオペレータによる操作に基づいて、加入者等が契約を変更した際に、変更前の契約と変更後の契約とで共通する商品について残高の付け替えを行うか否かを示す情報を取得し、取得した情報を、補助記憶装置103に記憶することとしてもよい。
【0016】
S304において、CPU101は、変更前の契約と変更後の契約とで共通する商品を特定する。本実施形態では、補助記憶装置103は、予め、各運営管理機関が提供する各契約に含まれる商品の情報を記憶している。CPU101は、補助記憶装置103から、各運営管理機関が提供する各契約に含まれる商品の情報を取得して、取得した情報に基づいて、変更前の契約に含まれる商品のうち、変更後の契約にも含まれる商品を特定する。
S305において、CPU101は、S304で特定した商品について、変更後の契約におけるその商品の残高に、変更前の契約におけるその商品の残高を付け替えることを決定する。より具体的には、CPU101は、S304で特定した商品について、変更前の契約におけるその商品の残高が、変更後の契約におけるその商品の残高に含まれることを決定することで、変更前の契約におけるその商品の残高を変更後の契約におけるその商品の残高に付け替える。
本実施形態では、加入者等が保有する変更前の契約に含まれる商品の残高は、図4(a)の示す通りとする。本実施形態では、補助記憶装置103は、予め、加入者等が保有する変更前の契約に含まれる商品の残高の情報を、図4(a)のようなテーブル形式で記憶している。本実施形態では、変更前の契約は、契約番号がAの契約であり、変更後の契約は、契約番号がBの契約である。契約番号がAの契約は、商品1〜12を含み、契約番号がBの契約は、商品1〜10を含む。そのため、CPU101は、S304で、契約番号がAの契約と契約番号がBの契約とで共通する商品として、商品1〜10を特定する。そして、CPU101は、S305で、変更前の契約に含まれる商品1〜10の残高を、変更後の契約に含まれる商品1〜10の残高に付け替えることを決定する。
S306において、CPU101は、変更前の契約に含まれる商品のうち、S304で特定された商品以外の商品についての売却額を取得する。CPU101は、例えば、変更前の契約に含まれる商品のうち、S304で特定された商品以外の商品それぞれについて、加入者等が保有する残高に、その商品の1口当たりの売却額を乗ずることで、売却額を取得する。CPU101は、定期的に商品提供機関の情報処理装置等の外部の装置から、各商品の1口当たりの売却額の情報を取得し、補助記憶装置103に記憶するものとする。そして、CPU101は、補助記憶装置103から、各商品の1口当たりの売却額の情報を取得し、取得した情報に基づいて、変更前の契約に含まれる商品のうち、S304で特定された商品以外の商品についての売却額を取得する。
【0017】
S307において、CPU101は、S306で取得された売却額で購入される変更後の契約に含まれる商品の量を決定する。補助記憶装置103は、予め、加入者等が契約を変更した際に、変更前の契約に含まれる商品の売却で得られた金額のどの割合の金額で、変更後の契約に含まれる商品それぞれを購入するかを示す情報を記憶している。CPU101は、補助記憶装置103から、変更後の契約に含まれる各商品を、変更前の契約に含まれる商品の売却で得られた金額のどの割合の金額で購入するかを示す情報を補助記憶装置103から取得する。そして、CPU101は、取得した情報に基づいて、変更後の契約に含まれる商品のうち、購入される商品の購入の量を決定する。CPU101は、例えば、変更後の契約に含まれるある商品について、その商品の購入に用いられる金額を、その商品の1口当たりの金額で割ることで、購入されるその商品の量を決定する。加入者等が契約を変更した際に、変更前の契約に含まれる商品を売却して得られた金額のどの割合の金額で、変更後の契約に含まれる商品それぞれを購入するかを示す情報は、前記変更後の契約に含まれる商品それぞれをどれだけ購入するかを示す購入割合情報の一例である。
本実施形態では、CPU101は、運営管理機関の情報処理装置、加入者等の所有する情報処理装置等の外部の装置から、加入者等が契約を変更した際に、変更前の契約に含まれる商品を売却して得られた金額のどの割合の金額で、変更後の契約に含まれる商品それぞれを購入するかを示す情報を取得し、取得した情報を、補助記憶装置103に記憶する。また、CPU101は、情報処理装置100の入力装置を介した記録関連運営管理機関のオペレータによる操作に基づいて、変更前の契約に含まれる商品を売却して得られた金額のどの割合の金額で、変更後の契約に含まれる商品それぞれを購入するかを示す情報を取得し、取得した情報を、補助記憶装置103に記憶することとしてもよい。
【0018】
本実施形態では、変更前の契約に含まれ、変更後の契約に含まれない商品11、12が売却され、現金化されることになる。図4(a)が示すように、商品11の残高が0で、商品12の残高が100口である。そのため、本実施形態では、商品11については、売却する残高がないことになる。加入者等は、商品12を100口分売却した金額で、変更後の契約に含まれる商品1〜10のうち選択した商品を購入することになる。
本実施形態では、売却した金額で、商品1のみを購入するよう設定されているとする。即ち、補助記憶装置103は、予め、変更前の契約に含まれる商品を売却した金額全てで、商品1を購入することを示す情報を記憶している。CPU101は、商品12を100口分売却した金額と、商品1の1口当たりの金額とに基づいて、購入される商品1の量を取得する。本実施形態では、商品12の1口当たりの売却額と、商品1の1口当たりの購入額とは、同じであるとする。そのため、CPU101は、商品12を100口分売却した金額と、商品1の1口当たりの金額とに基づいて、購入される商品1の量を、100口として取得する。そして、CPU101は、変更前の契約に含まれる商品1の残高100口に、取得した100口を加え、変更後の契約に含まれる商品1の残高を、200口として決定する。
【0019】
S308において、CPU101は、S305で付け替えることが決定された残高と、S307で決定された購入される商品の量に基づいて、変更後の契約に含まれる商品それぞれについて、加入者等が保有することになる残高を決定する。CPU101は、例えば、変更後の契約に含まれるある商品がS305で変更前の契約から残高が付け替えられることが決定された商品である場合、変更前の契約におけるその商品の残高に、S307で決定された購入されるその商品の量を加えることで、変更後の契約におけるその商品の残高を決定する。また、CPU101は、例えば、変更後の契約に含まれるある商品がS305で変更前の契約から残高が付け替えられることが決定されていない商品である場合、S307で決定された購入されるその商品の量を、変更後の契約におけるその商品の残高として決定する。
S309において、CPU101は、S308で決定された変更後の契約に含まれる商品それぞれの残高の情報を、とりまとめ契約番号、契約番号、加入者等の情報と対応付けて、補助記憶装置103に記憶する。
【0020】
図4(b)は、S309でとりまとめ契約番号等と対応付けて記憶された変更後の契約に含まれる商品それぞれの残高の情報の一例を示す図である。CPU101は、変更後の契約に含まれる商品の残高の情報を、とりまとめ契約番号と対応付けて記憶することにより、以下のような効果を奏することができる。即ち、CPU101は、とりまとめ契約番号毎に、商品の残高の情報を集計し、集計した結果を、商品提供機関等に提示できる。即ち、商品提供機関等は、運営管理機関が複数の契約を管理していることを考慮することなく、運営管理機関が運用している各商品の残高の集計結果等を取得することができる。
S310において、CPU101は、変更前の契約に含まれる全ての商品についての売却額を取得する。CPU101は、例えば、変更前の契約に含まれる商品それぞれについて、加入者等が保有する残高に、その商品の1口当たりの売却額を乗ずることで、売却額を取得する。CPU101は、例えば、補助記憶装置103から、各商品の1口当たりの売却額の情報を取得し、取得した情報に基づいて、変更前の契約に含まれる全ての商品についての売却額を取得する。
【0021】
S311において、CPU101は、S310で取得された売却額で購入される変更後の契約に含まれる商品の量を決定する。補助記憶装置103は、予め、加入者等が契約を変更した際に、変更前の契約に含まれる商品の売却で得られた金額のどの割合の金額で、変更後の契約に含まれる商品それぞれを購入するかを示す情報を記憶している。CPU101は、補助記憶装置103から、変更後の契約に含まれる各商品を、変更前の契約に含まれる商品の売却で得られた金額のどの割合の金額で購入するかを示す情報を補助記憶装置103から取得する。そして、CPU101は、取得した情報に基づいて、購入される変更後の契約に含まれる商品の量を決定する。CPU101は、例えば、変更後の契約に含まれるある商品について、その商品の購入に用いられる金額を、その商品の1口当たりの金額で割ることで、購入されるその商品の量を決定する。
S312において、CPU101は、S311で決定された購入される商品の量に基づいて、変更後の契約に含まれる商品それぞれについて、加入者等が保有することになる残高を決定する。CPU101は、例えば、S311で決定された購入されるその商品の量を、変更後の契約におけるその商品の残高として決定する。
S313において、CPU101は、S312で決定された変更後の契約に含まれる商品それぞれの残高の情報を、とりまとめ契約番号、契約番号、加入者等の情報と対応付けて、補助記憶装置103に記憶する。
【0022】
以上、本実施形態では、情報処理装置100は、確定拠出年金の加入者等が加入する契約の変更が生じた際に、変更前の契約と変更後の契約とで共通する商品について、残高の付け替えを行うよう設定されている場合、その商品について、変更前の契約における残高を、変更後の契約における残高に含まれるものとして決定した。これにより、変更前の契約と変更後の契約とに共通しない商品についてのみ、売却額を取得し、取得した売却額に応じた変更後の契約に含まれる商品の購入量を取得すればよくなる。このように、情報処理装置100は、変更前の契約と変更後の契約とで共通する商品について、残高の付け替えが行われるか、売却・現金化されるかに応じて、変更後の契約に含まれる商品の残高の取得を支援することができる。
また、情報処理装置100は、変更前の契約と変更後の契約とで共通しない商品について、売却額を取得し、取得した売却額と、変更後の契約に含まれる商品それぞれをどの割合で購入するかを示す情報とに基づいて、変更後の契約に含まれる商品それぞれの購入される量を決定した。そして、情報処理装置100は、決定した購入される商品の量と、付け替えられた残高と、に基づいて、最終的な変更後の契約における各商品の残高を決定し、記憶することとした。このように、情報処理装置100は、変更後の契約に含まれる商品の残高を取得し、記憶することで、管理することができる。
個人型の確定拠出年金法の改正により個人型の確定拠出年金の加入者等の範囲が拡大することになり、各運営管理機関が複数の契約を提供するようになれば、同じ運営管理機関が提供する複数の契約間で、加入者等が加入する契約の変更が起こることが予想される。このような場合に、特に、情報処理装置100は、上記の効果を奏することができる。
また、複数の事業主が企業型年金を実施する場合において、同一の規約内でとりまとめ契約番号が設けられ、事業主毎に契約が分けられることがある。その際、加入者等の転籍等により、同一のとりまとめ契約番号でとりまとめられる契約間で、加入者等の加入する契約の変更が起こる場合がある。このような場合についても、情報処理装置100は、本実施形態の処理を適用することができる。
【0023】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上述した情報処理装置100の機能構成の一部又は全てを本実施形態の処理を実現するように設計された集積回路等のハードウェアとして情報処理装置100に実装してもよい。
また、本実施形態では、単一の情報処理装置である情報処理装置100が本実施形態の処理を実行することとした。しかし、複数の情報処理装置から構成されるシステムが、本実施形態の処理を実行することとしてもよい。その場合、そのシステムに含まれる各情報処理装置のCPUが、相互に連携しながら、各情報処理装置の補助記憶装置に記憶されているプログラムを実行することで、図3のフローチャートの処理等が実現される。また、そのシステムに含まれる複数の情報処理装置の一部又は全部は、自身の機能構成の一部又は全てをハードウェアとして実装してもよい。
【符号の説明】
【0024】
100 情報処理装置
101 CPU
103 補助記憶装置
図1
図2
図3
図4