特許第6899256号(P6899256)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6899256
(24)【登録日】2021年6月16日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】ドレン回収システム及び配管継手
(51)【国際特許分類】
   F22D 11/06 20060101AFI20210628BHJP
   F22D 11/00 20060101ALI20210628BHJP
【FI】
   F22D11/06
   F22D11/00 H
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-95817(P2017-95817)
(22)【出願日】2017年5月12日
(65)【公開番号】特開2018-194186(P2018-194186A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2020年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】町野 勝彦
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−029416(JP,A)
【文献】 特開2000−304204(JP,A)
【文献】 特開昭57−065504(JP,A)
【文献】 特開平09−152101(JP,A)
【文献】 特開2010−249902(JP,A)
【文献】 特開2013−034930(JP,A)
【文献】 実開昭60−076709(JP,U)
【文献】 米国特許第03984504(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22D 11/00
F22D 11/06
F22B 37/26
F28B 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレンが流通する第1ドレン管と、
前記第1ドレン管を流通するドレンよりも高温のドレンが流通する第2ドレン管と、
前記第1ドレン管と前記第2ドレン管とがそれぞれ接続され、前記第2ドレン管を流通するドレン又は該ドレンの再蒸発蒸気を前記第1ドレン管に流出させる配管継手とを備えたドレン回収システムにおいて、
前記配管継手は、前記第2ドレン管から流入したドレン又は再蒸発蒸気を、前記第1ドレン管の軸心よりも上方の部分からは前記第1ドレン管に流出させることなく、前記軸心よりも下方の部分において前記軸心を中心とする周方向の異なる複数箇所から前記第1ドレン管に流出させることを特徴とするドレン回収システム。
【請求項2】
請求項1に記載のドレン回収システムにおいて、
蒸気が流通する蒸気管をさらに備え、
前記第2ドレン管は、前記蒸気管で発生したドレン又は該ドレンの再蒸発蒸気を前記配管継手へ流入させることを特徴とするドレン回収システム。
【請求項3】
ドレンが流通する第1ドレン管と、前記第1ドレン管を流通するドレンよりも高温のドレンが流通する第2ドレン管とがそれぞれ接続され、前記第2ドレン管からのドレン又は該ドレンの再蒸発蒸気を前記第1ドレン管に流出させる配管継手において、
前記第2ドレン管のドレン又は再蒸発蒸気が流入する流入部と、
前記流入部と連通し、前記流入部から流入したドレン又は再蒸発蒸気を前記第1ドレン管に流出させる複数の流出部とを備え
前記複数の流出部は、前記第1ドレン管の軸心よりも上方の部分には設けられておらず、前記軸心よりも下方の部分において前記軸心を中心とする周方向の異なる位置に配置されていることを特徴とする配管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、ドレン回収システム及び配管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ドレンを回収するドレン回収システムが知られている。例えば、特許文献1には、ドレンが流通する第1ドレン管(回収主管)と、第1ドレン管にドレンを流出させる第2ドレン管(分岐回収管)とを備えたシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭50−55701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述のようなシステムにおいては、第2ドレン管を流通するドレンは、再蒸発する場合がある。そして、第2ドレン管を流通するドレンの温度が第1ドレン管を流通するドレンの温度よりも高い場合、第2ドレン管から第1ドレン管へ流出した再蒸発蒸気が急激に凝縮し得る。再蒸発蒸気が急激に凝縮すると、衝撃や音が発生する。このように蒸気が急激に凝縮することによって大きな衝撃や音が発生する現象をウォータハンマという。
【0005】
ここに開示された技術は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ウォータハンマの発生を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示されたドレン回収システムは、ドレンが流通する第1ドレン管と、前記第1ドレン管を流通するドレンよりも高温のドレンが流通する第2ドレン管と、前記第1ドレン管と前記第2ドレン管とがそれぞれ接続され、前記第2ドレン管を流通するドレン又は該ドレンの再蒸発蒸気を前記第1ドレン管に流出させる配管継手とを備え、前記配管継手は、前記第2ドレン管から流入したドレン又は再蒸発蒸気を複数箇所から前記第1ドレン管に流出させる。
【0007】
ここに開示された配管継手は、レンが流通する第1ドレン管と、前記第1ドレン管を流通するドレンよりも高温のドレンが流通する第2ドレン管とがそれぞれ接続され、前記第2ドレン管からのドレン又は該ドレンの再蒸発蒸気を前記第1ドレン管に流出させる配管継手であって、前記第2ドレン管のドレン又は再蒸発蒸気が流入する流入部と、前記流入部と連通し、前記流入部から流入したドレン又は再蒸発蒸気を前記第1ドレン管に流出させる複数の流出部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
前記ドレン回収システムによれば、ウォータハンマの発生を低減することができる。
【0009】
前記配管継手によれば、ウォータハンマの発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、ドレン回収システムの配管図である。
図2図2は、配管継手を中心とする第1ドレン管及び第2ドレン管の正面図である。
図3図3は、配管継手の分解斜視図である。
図4図4は、図2のIV−IV線における配管継手の断面図である。
図5図5は、変形例に係る配管継手の、図4に相当する断面の部分拡大図である。
図6図6は、配管継手の流出管の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本願の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本願に開示の技術、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0012】
図1は、ドレン回収システム1の配管図である。ドレン回収システム1は、図1に示すように、蒸気が流通する蒸気管11と、蒸気管11を介して蒸気が供給される蒸気使用機器13と、蒸気使用機器13から排出されるドレンが流通する第1ドレン管14と、蒸気管11で発生したドレンを流通させる複数の第2ドレン管16と、第1ドレン管14と第2ドレン管16とがそれぞれ接続され、第2ドレン管16を流通するドレンを第1ドレン管14に流出させる配管継手5とを備えている。ドレン回収システム1は、蒸気使用機器13で発生したドレン及び蒸気管11で発生したドレンを回収する。
【0013】
蒸気管11の上流端は、例えばボイラー設備(図示省略)に接続されている。蒸気管11の下流端は、蒸気使用機器13に接続されている。ボイラー設備で生成された蒸気が蒸気管11を介して蒸気使用機器13に供給される。蒸気管11を流通する蒸気の圧力は、大気圧よりは高くなっている。蒸気管11には、蒸気の圧力を調節する減圧弁12が設けられている。蒸気使用機器13は、例えば熱交換器である。蒸気使用機器13においては、蒸気管11から供給された蒸気が対象物に放熱して凝縮し、対象物が加熱される。蒸気は、凝縮することによってドレン(復水)になる。
【0014】
第1ドレン管14は、蒸気使用機器13に接続されている。蒸気使用機器13で蒸気の凝縮により発生したドレンは、第1ドレン管14を介して回収される。第1ドレン管14には、液体圧送装置15が設けられている。液体圧送装置15は、蒸気使用機器13で発生したドレンを第1ドレン管14を通じて下流側へ圧送するポンプである。例えば、液体圧送装置15では、蒸気使用機器13のドレンが第1ドレン管14を介して流入し、一時的に貯留される。ドレンの貯留量が所定量になると、液体圧送装置15に高圧の作動気体が導入され、貯留されていたドレンが作動気体の圧力によって第1ドレン管14の下流側へ圧送される。ドレンが圧送されると、再び蒸気使用機器13からドレンが液体圧送装置15に流入して貯留される。こうして、液体圧送装置15では、ドレンの流入とドレンの圧送(排出)とが交互に行われる。
【0015】
複数の第2ドレン管16は、蒸気管11と配管継手5とに接続されている。具体的に、第2ドレン管16の上流端が蒸気管11に接続され、第2ドレン管16の下流端が配管継手5に接続されている。複数の第2ドレン管16は、互いに間隔(例えば、20〜30m)を置いて設けられている。蒸気管11において蒸気の一部が凝縮しドレンになる場合がある。凝縮したドレンは、第2ドレン管16及び配管継手5を介して第1ドレン管14に回収される。
【0016】
第2ドレン管16の途中には、ドレントラップ17が設けられている。ドレントラップ17には、蒸気管11で発生したドレンが第2ドレン管16を介して流入する。ドレントラップ17には、蒸気管11から蒸気混じりのドレンが流入する。ドレントラップ17は、その上下流の圧力差(上流側の圧力と下流側の圧力との差)によって、流入したドレンのみを下流側へ自動的に排出する。つまり、ドレントラップ17は、蒸気管11からの蒸気の通過を阻止する一方、蒸気管11からのドレンの通過を許容する。蒸気管11で発生したドレンは、第2ドレン管16及び配管継手5を介して第1ドレン管14を流通するドレンと合流し下流側へ圧送される。
【0017】
図2は、配管継手5を中心とする第1ドレン管14及び第2ドレン管16の正面図である。図3は、配管継手5の分解斜視図である。図4は、図2のIV−IV線における配管継手5の断面図である。配管継手5は、図3に示すように、本体6と蓋7とを有している。本体6は、中央に円形状の開口60を有する円盤状に形成されている。すなわち、本体6は、一対の環帯状の第1平面61及び第2平面62と、円筒状の外周面63及び内周面64とを有している。本体6の中心及び開口60の中心は、軸心Xと一致している。
【0018】
第1平面61には、第2ドレン管16のドレンが流通する流路65が形成されている。流路65は、1つの流入路65aと、3つの流出路65bと、流入路65aと流出路65bとを連通させる連通路65cとを有している。流入路65a、流出路65b及び連通路65cは、第1平面61から本体6の厚み方向に深さを有する溝によって形成されており、本体6を厚み方向には貫通していない。流入路65aは、流入部の一例であり、流出路65bは、流出部の一例である。
【0019】
連通路65cは、図4に示すように、軸心Xを中心とする円形状に形成されている。流入路65aは、連通路65cの最上部から、軸心Xを中心とする半径方向外側に延びて、外周面63に開口している。3つの流出路65bは、軸心Xを中心とする周方向の異なる位置に配置されている。3つの流出路65bは、連通路65cのうち軸心Xよりも下方の部分から、軸心Xを中心とする半径方向内側に延びて、内周面64に開口している。3つのうちの1つの流出路65bは、連通路65cの最下部から延びている。残りの2つの流出路65bは、最下部に位置する流出路65bから軸心Xを中心とする周方向の両側に同じ角度だけ離れた位置に位置している。
【0020】
また、本体6のうち流路65が形成されていない部分に、4つの挿入孔66が厚み方向に貫通して形成されている。
【0021】
蓋7は、中央に円形状の開口70を有する円盤状に形成されている。すなわち、蓋7は、一対の環帯状の第1平面71及び第2平面72と、円筒状の外周面73及び内周面74とを有している。蓋7の中心及び開口70の中心は、軸心Xと一致している。外周面73の半径は、外周面63の半径と同じである。内周面74の半径は、内周面64の半径と同じである。第1平面71及び第2平面72には、本体6と異なり、流路は形成されていない。
【0022】
また、蓋7には、本体6の4つの挿入孔66と連通する4つの挿入孔76が厚み方向に貫通して形成されている。
【0023】
本体6と蓋7とは、第1平面61と第2平面72とが接触する状態で重ね合わされる。こうすることで、流路65のうち第1平面61に開口する部分が第2平面72によって閉鎖される。すなわち、閉断面を有する流路65が形成される。このとき、開口60と開口70とが連通し、各挿入孔66と各挿入孔76とが連通する。
【0024】
配管継手5は、図2に示すように、本体6と蓋7とが重ね合わされた状態で、一の第1ドレン管14のフランジ14aと別の第1ドレン管14のフランジ14aとに挟み込まれる。各フランジ14aには、挿入孔66又は挿入孔76と連通する挿入孔14bが形成されている。一のフランジ14aの挿入孔14b、本体6の挿入孔66、蓋7の挿入孔76及び別のフランジ14aの挿入孔14bに、ボルト81が挿入され、ボルト81の先端部にナット82が螺合される。こうして、配管継手5が一の第1ドレン管14のフランジ14aと別の第1ドレン管14のフランジ14aとの間に固定される。このとき、開口60及び開口70は、第1ドレン管14と連通する。開口60及び開口70は、第1ドレン管14のドレンが流通するので、第1ドレン管14の一部とみなすことができる。
【0025】
配管継手5において本体6の外周面63には流入路65aが開口している。この流入路65aに第2ドレン管16が接続される。第2ドレン管16のドレンは、配管継手5の流路65を介して第1ドレン管14へ流出する。詳しくは、第2ドレン管16のドレンは、流入路65aに流入する。流入路65aに流入したドレンは、連通路65cを流通して3つの流出路65bから開口60、ひいては、第1ドレン管14へ流出される。
【0026】
このように構成されたドレン回収システム1において、蒸気管11を流通する蒸気の圧力は、大気圧よりも高い一方、第1ドレン管14を流通するドレンの圧力は、略大気圧である。そのため、第2ドレン管16を流通するドレンは、第1ドレン管14の方へ流れるに従って圧力が低下し、再蒸発し得る。第2ドレン管16から配管継手5を介して第1ドレン管14へ流出するドレンには、再蒸発蒸気(以下、「フラッシュ蒸気」ともいう)が混入していることがある。そして、第2ドレン管16を流通するドレンは、蒸気管11で発生したドレンであり、第1ドレン管14を流通するドレンに比べて高温である。同様に、フラッシュ蒸気も高温である。この高温のフラッシュ蒸気が第1ドレン管14を流通する比較的低温のドレンに流出すると、急激に凝縮し、その際に衝撃及び音が発生し得る。比較的大きな蒸気の塊(以下、「蒸気塊」ともいう)が急激に凝縮すると、大きな衝撃及び音が発生する現象、所謂、ウォータハンマが生じる。
【0027】
それに対し、第2ドレン管16のドレン又はフラッシュ蒸気を配管継手5の複数箇所から第1ドレン管14に流出させることによって、ウォータハンマの発生を低減することができる。詳しくは、第2ドレン管16から配管継手5を介して第1ドレン管14内に流出したフラッシュ蒸気は、第1ドレン管14内において上部へ浮上していく。第1ドレン管14の上部においてフラッシュ蒸気が集合すると大きな蒸気塊が形成され得る。しかし、第2ドレン管16からのドレン又はフラッシュ蒸気は、配管継手5の複数の流出路65bから分散して第1ドレン管14へ流出し、小さな気泡のフラッシュ蒸気が第1ドレン管14内に点在することになるので、大きな蒸気塊が形成され難くなる。その結果、ウォータハンマの発生が低減される。
【0028】
それに加えて、同一体積のフラッシュ蒸気が1つの気泡を形成する場合と複数の気泡を形成する場合では、複数の気泡を形成する場合の方がフラッシュ蒸気の総表面積が大きくなる。つまり、フラッシュ蒸気が複数の気泡に分割されることによって、ドレンとの接触面積が増加し、凝縮が促進される。フラッシュ蒸気は、第1ドレン管14の上部に達するまでに凝縮して消失するか、気泡がさらに小さくなる。このことによっても、第1ドレン管14の上部において大きな蒸気塊が形成され難くなり、ひいては、ウォータハンマの発生が低減される。
【0029】
さらに、配管継手5の流出路65bは、第1ドレン管14のうち軸心Xよりも下方に位置しているので、流出路65bから第1ドレン管14の上部までの距離が確保される。これにより、フラッシュ蒸気が流出路65bから第1ドレン管14の上部まで移動する距離が長くなり、フラッシュ蒸気がより多くのドレンと接触する、すなわち、ドレンとより長い間接触することになる。フラッシュ蒸気は、流出路65bから第1ドレン管14の上部に達するまでに凝縮が促進される。このことによっても、第1ドレン管14の上部において大きな蒸気塊が形成され難くなり、ひいては、ウォータハンマの発生が低減される。
【0030】
以上のように、ドレン回収システム1は、ドレンが流通する第1ドレン管14と、第1ドレン管14を流通するドレンよりも高温のドレンが流通する第2ドレン管16と、第1ドレン管14と第2ドレン管16とがそれぞれ接続され、第2ドレン管16を流通するドレン又は該ドレンのフラッシュ蒸気を第1ドレン管14に流出させる配管継手5とを備え、配管継手5は、第2ドレン管16から流入したドレン又は再蒸発蒸気を複数箇所から第1ドレン管14に流出させる。
【0031】
換言すると、ドレンが流通する第1ドレン管14と、第1ドレン管14を流通するドレンよりも高温のドレンが流通する第2ドレン管16とがそれぞれ接続され、第2ドレン管16からのドレン又は該ドレンの再蒸発蒸気を第1ドレン管14に流出させる配管継手5は、第2ドレン管16のドレン又は再蒸発蒸気が流入する流入路65a(流入部)と、流入路65aと連通し、流入路65aから流入したドレン又は再蒸発蒸気を第1ドレン管14に流出させる複数の流出路65b(流出部)とを備える。
【0032】
この構成によれば、第2ドレン管16のドレンから発生するフラッシュ蒸気は、第1ドレン管14へ複数箇所から分散して流出する。そのため、第1ドレン管14においては、フラッシュ蒸気が点在することになり、大きな蒸気塊が発生し難くなる。その結果、ウォータハンマの発生が低減される。さらに、フラッシュ蒸気を複数箇所から流出させることによって、フラッシュ蒸気が複数の気泡に分割される。フラッシュ蒸気が1つの気泡を形成する場合に比べて、フラッシュ蒸気の気泡が複数に分割される方が、フラッシュ蒸気の気泡の総表面積が拡大される。その結果、フラッシュ蒸気の凝縮が促進され、このことによっても、ウォータハンマの発生が低減される。
【0033】
また、複数の流出部65bは、第1ドレン管14の軸心Xを中心とする周方向の異なる位置に配置されている。
【0034】
さらに、複数の流出部65bの少なくとも1つは、第1ドレン管14の軸心Xよりも下方に配置されている。
【0035】
この構成によれば、フラッシュ蒸気が第2ドレン管16から第1ドレン管14へ流出してから第1ドレン管14の上部に達するまでの距離が長くなる。フラッシュ蒸気が第1ドレン管14内のドレンと接触する時間が確保されるので、フラッシュ蒸気の凝縮が促進される。これにより、フラッシュ蒸気が第1ドレン管14の上部に到達するまでに消失してしまうか、フラッシュ蒸気が第1ドレン管14の上部に到達したときにはフラッシュ蒸気のサイズが小さくなっている。その結果、第1ドレン管14の上部において大きな蒸気塊が形成され難くなり、ウォータハンマの発生が低減される。
【0036】
さらに、ドレン回収システム1は、蒸気が流通する蒸気管11をさらに備え、第2ドレン管16は、蒸気管11で発生したドレン又は又は該ドレンの再蒸発蒸気を配管継手5へ流入させる。
【0037】
この構成によれば、第2ドレン管16を流通するドレンは、蒸気管11で発生したドレンであり、比較的高温である。つまり、第2ドレン管16からの比較的高温のドレンから発生したフラッシュ蒸気が、第1ドレン管14の比較的低温のドレンに流出する。そのため、第1ドレン管14においてフラッシュ蒸気が凝縮しやすくなっている。このような構成においては、第2ドレン管16のドレンを複数箇所から第1ドレン管14に流出させることが特に有効となる。
【0038】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0039】
前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0040】
第2ドレン管16が配管継手5を介して第1ドレン管14へ流出させるドレン又はフラッシュ蒸気は、蒸気管11で発生したドレンに限られるものではない。第2ドレン管16は、例えば、蒸気加熱装置において発生したドレン又はフラッシュ蒸気を配管継手5を介して第1ドレン管14へ流出させるように構成されていてもよい。つまり、第2ドレン管16の上流端は、ドレン又はフラッシュ蒸気が発生する任意の場所に接続され得る。ここに開示された技術は、第1ドレン管14のドレンよりも高温のドレンを第2ドレン管16及び配管継手5を介して流出させる構成において有効なので、第2ドレン管16の上流端は、蒸気が流通し、又は供給されてドレンが発生する場所に接続されていることが好ましい。
【0041】
配管継手5の構成は、前述の構成に限られるものではない。例えば、配管継手5は、第2ドレン管16からのドレン又はフラッシュ蒸気を第1ドレン管14へ2箇所又は4箇所以上から流出させてもよい。すなわち、流出路65bは、2つ又は4つ以上設けられていてもよい。
【0042】
第2ドレン管16からのドレン又はフラッシュ蒸気を第1ドレン管14へ流出させる複数の流出部(即ち、流出路65b)は、軸心Xと直交する同一平面上に配置されていなくてもよい。例えば、複数の流出路65bは、軸心Xと平行に配列されていてもよい。
【0043】
複数の流出路65bは、軸心Xを中心とする半径方向に延びているが、これに限られるものではない。例えば、全ての流出路65bは、半径方向に対して軸心Xを中心とする周方向の一方側へ傾斜していてもよい。この場合、流出路65bからのドレン及びフラッシュ蒸気によって第1ドレン管14内に旋回流が発生し得る。これにより、第1ドレン管14内でドレン及びフラッシュ蒸気が撹拌されて、凝縮が促進される。
【0044】
また、流出路65bは、第1ドレン管14の軸心Xよりも上方の位置に設けられていてもよい。
【0045】
さらに、配管継手5の変形例について図5,6を参照して説明する。図5は、変形例に係る配管継手205の、図4に相当する断面の部分拡大図である。図6は、配管継手205の流出管265bの斜視図である。
【0046】
変形例に係る配管継手205は、ドレン又は再蒸発蒸気を第1ドレン管14に流出させる流出部が流出管265bで形成されている点で配管継手5と異なる。そこで、配管継手205の構成のうち配管継手5と異なる部分を中心に説明し、配管継手5と同様の構成については同様の符号を付して、説明を省略する。
【0047】
図5に示すように、配管継手205の本体206において、配管継手5の流出路65bに相当する溝に流出管265bが設けられている。つまり、配管継手205の流路265は、1つの流入路65a(図6では省略)と、3つの流出管265bと、流入路65aと流出管265bとを連通させる連通路65cとを有している。流入路65aに流入したドレンは、連通路65cを流通して3つの流出管265bから開口60、ひいては、第1ドレン管14(図6では省略)へ流出される。
【0048】
流出管265bは、図6に示すように、円筒状の管で形成されている。流出管265bには、管壁を貫通する複数の貫通孔265eが形成されている。複数の貫通孔265eは、流出管265bの軸心を中心とする周方向に間隔を空けて配置されている。
【0049】
このように構成された流出管265bは、内周面64から開口60に突出する状態で本体206に設けられている。貫通孔265eは、流出管265bのうち開口60に突出した部分に形成されている。
【0050】
流出管265bから流出するドレン又はフラッシュ蒸気の圧力が比較的高い場合には、ドレン又はフラッシュ蒸気が流出管265bの下流端の開口から開口60へ噴出する。このとき、開口60に存在する、第1ドレン管14を流通するドレンが貫通孔265eから流出管265b内に吸引される。つまり、流出管265b内においてフラッシュ蒸気と第1ドレン管14のドレンとが混合され、フラッシュ蒸気の凝縮が促進される。これにより、第1ドレン管14内での大きな蒸気塊の形成がさらに低減され、ウォータハンマの発生がより低減される。一方、流出管265bから流出するドレン又はフラッシュ蒸気の圧力が比較的低い場合には、ドレン又はフラッシュ蒸気は、流出管265bの下流端の開口に加えて、貫通孔265eからも開口60へ噴出する。これにより、フラッシュ蒸気はさらに拡散されると共に、さらに微細化される。この場合も、第1ドレン管14内での大きな蒸気塊の形成がさらに低減され、ウォータハンマの発生がより低減される。
【0051】
尚、流出管265bは、開口60に突出しているので、流出管265bへの異物の進入が低減される。つまり、第1ドレン管14を流通するドレンに異物が含まれる場合、自重の大きな異物は第1ドレン管14の下部、即ち、開口60の下部に沈殿又は滞留し得る。前述のように、流出管265bを第1ドレン管14の軸心Xよりも下方に配置する構成であっても、流出管265bを開口60の内部に突出させることによって、流出管256bの下流端の開口は、開口60の最も低い部分よりも高い位置に位置することになる。その結果、第1ドレン管14又は開口60の下部に沈殿又は滞留する異物が流出管265bに進入し難くなる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上説明したように、ここに開示された技術は、ドレン回収システム及び配管継手について有用である。
【符号の説明】
【0053】
1 ドレン回収システム
11 蒸気管
14 第1ドレン管
16 第2ドレン管
5,205 配管継手
65a 流入路(流入部)
65b 流出路(流出部)
265b 流出管(流出部)
X 軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6