特許第6899332号(P6899332)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6899332
(24)【登録日】2021年6月16日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】熱分解装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   C10B 53/02 20060101AFI20210628BHJP
   C10B 47/44 20060101ALI20210628BHJP
【FI】
   C10B53/02
   C10B47/44
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-555714(P2017-555714)
(86)(22)【出願日】2016年4月20日
(65)【公表番号】特表2018-515647(P2018-515647A)
(43)【公表日】2018年6月14日
(86)【国際出願番号】AU2016050286
(87)【国際公開番号】WO2016168894
(87)【国際公開日】20161027
【審査請求日】2019年4月5日
(31)【優先権主張番号】2015901409
(32)【優先日】2015年4月20日
(33)【優先権主張国】AU
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517367319
【氏名又は名称】レインボー ビー イーター アイピー プロプライエタリー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】RAINBOW BEE EATER IP PTY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】バージェス、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】スタンレー、イアン
【審査官】 上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−043180(JP,A)
【文献】 中国実用新案第203866250(CN,U)
【文献】 特開昭52−071503(JP,A)
【文献】 特開2004−300185(JP,A)
【文献】 特開2001−072979(JP,A)
【文献】 特表2016−537485(JP,A)
【文献】 特開2008−248183(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0285814(US,A1)
【文献】 特開2016−124996(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0006520(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0244674(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10B 1/00−57/18
B09B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.第1の端部及び第2の端部を有する熱分解チャンバであって、前記第1の端部から少なくとも部分的に前記第2の端部へ向けて延び、及びバイオマス床を形成する芯なし熱分解スクリューコンベヤを備える、熱分解チャンバと、
b.前記熱分解チャンバの前記第1の端部に隣接する供給材料入口と、
c.前記熱分解チャンバの前記第2の端部に隣接するバイオ炭出口と、
d.前記熱分解チャンバと流体連通し、前記第1の端部に隣接して位置するガス出口と、
e.前記第2の端部に隣接して設けられる少なくとも1つのガス注入口とからなり、
前記供給材料入口が芯なしフィードスクリューコンベヤを収容するボアと、前記芯なし熱分解スクリューコンベヤの端部と前記熱分解チャンバの間の間隔とを備え、前記熱分解チャンバの前記第2の端部にガス出口がなく、前記芯なし熱分解スクリューコンベヤは前記芯なし熱分解スクリューコンベヤの前記端部と前記熱分解チャンバの間の前記間隔にバイオマスプラグを形成し、
前記バイオ炭出口が、芯なしバイオ炭スクリューコンベヤを収容するボアをさらに備える、熱分解装置。
【請求項2】
前記芯なしバイオ炭スクリューコンベヤの端部と前記バイオ炭出口の吐出口との間に間隔がある、請求項に記載の熱分解装置。
【請求項3】
前記熱分解装置が、前記バイオ炭出口と連通するバイオ炭弁をさらに備える、請求項1〜のいずれか1項に記載の熱分解装置。
【請求項4】
a.
i.第1の端部及び第2の端部を有する熱分解チャンバであって、前記第1の端部から少なくとも部分的に前記第2の端部へ向けて延び、及びバイオマス床を形成する芯なし熱分解スクリューコンベヤを備え、前記熱分解チャンバの前記第2の端部にガス出口がない、熱分解チャンバと、
ii.前記熱分解チャンバの前記第1の端部に隣接する供給材料入口であって、前記供給材料入口が芯なしフィードスクリューコンベヤを収容するボアと、前記芯なし熱分解スクリューコンベヤの端部と前記熱分解チャンバの間の間隔とを備え、前記芯なし熱分解スクリューコンベヤは前記芯なし熱分解スクリューコンベヤの前記端部と前記熱分解チャンバの間の前記間隔にバイオマスプラグを形成する、供給材料入口と、
iii.前記熱分解チャンバの前記第2の端部に隣接するバイオ炭出口であって、芯なしバイオ炭スクリューコンベヤを収容するボアをさらに備える前記バイオ炭出口と、
iv.前記熱分解チャンバと流体連通し、前記第1の端部に略隣接して位置するガス出口と、
v.前記第2の端部に隣接して設けられる少なくとも1つのガス注入口とからなる、熱分解装置を設ける工程と、
b.バイオマスを前記供給材料入口から前記熱分解チャンバの前記第1の端部へ導入する工程と、
c.前記バイオマスを前記熱分解チャンバの前記第1の端部から前記熱分解チャンバの前記第2の端部へ動かして、前記バイオマスを熱分解し、合成ガス及びバイオ炭を生成する工程と、
d.前記バイオ炭を、前記熱分解チャンバから前記バイオ炭出口を通して除去する工程と、
e.前記合成ガスを概ね前記第2の端部から前記第1の端部へ向かう方向に動かして、前記ガス出口を通して除去する工程とを備えることにより前記バイオマスを処理する、バイオマスを処理する方法。
【請求項5】
前記芯なしバイオ炭スクリューコンベヤの端部と前記バイオ炭出口の吐出口との間に間隔がある、請求項に記載の熱分解装置又は方法。
【請求項6】
温度勾配が前記熱分解チャンバ内に形成される、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記熱分解装置が、前記バイオ炭出口と連通するバイオ炭弁をさらに備える、請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのガス注入口は酸素又は大気から選択されるガスを注入する、請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
バイオ炭プラグが前記バイオ炭出口に形成される、請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
高密度に充填されたバイオマスが前記熱分解チャンバ内に形成される、請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
合成ガスが前記高密度に充填されたバイオマスにより濾過される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
バイオマスを連続処理する方法である、請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱分解の分野に関する。より詳細には、本発明は、バイオマスの熱分解及び処理のための装置ならびに方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオマスは、植物材料及び動物材料を含む直近まで生きていた生物に由来し得る生物学的材料である。バイオマスが由来し得る材料の例として、森林の木、農業工程及び林業工程の材料の残り、ならびに人、工業工程、及び動物に由来する有機廃棄物が挙げられる。バイオマスを再生可能な燃料源として使用して、熱又は電気を発生させることができる。バイオマスの組成は主に、炭素、水素、及び酸素である。バイオマスを、その熱分解による合成ガスの生成を含む、他の燃料のための供給原料として使用してもよい。
【0003】
熱分解は、有機材料を高温で熱化学的に分解することである。有機材料が確実に燃焼を受けないようにするために、熱分解は酸素(又は反応性ガス)のない雰囲気中で行われるべきである。このような高温かつ酸素のない状態で、有機材料は化学分解を受けて合成ガス及び副産物であるバイオ炭を形成する。バイオ炭を使用してエネルギーを発生させることができ、あるいはバイオ炭を土壌改良剤として使用することができる。有機材料の熱分解の別の有用な特徴は、潜在的な温室効果ガス排出物質が固体状態(バイオ炭)にとどまるため、大気中に放出されず、より環境に配慮した工程になることである。
【0004】
熱分解において現在直面している問題は、多くの場合、生成する合成ガス中に埃、油、及びタールが存在することである。そのため、合成ガスを使用前に浄化する必要がある。大規模な熱分解に関連する別の問題は、バイオマスの連続的な熱分解が困難なことである。多くの熱分解システムは順次システムであり、バイオマスをチャンバに装填し、熱分解を開始し、合成ガスを生成し、チャンバを開けてバイオ炭を除去した後に、新しいバイオマス装填材料を加えることができる。このシステムの欠点として、チャンバを開けたときに合成ガスが失われること、チャンバに再装填するのに時間がかかること、頻繁な冷却及び熱上昇によるエネルギー効率の悪さが挙げられる。
【0005】
さらに、高含水量のバイオマスは、熱分解を行うことができるようになる前に水分を除去するのに追加の熱エネルギーが必要となるため、熱分解が困難となり得る。そのため、高含水量のバイオマスは、熱分解チャンバへの導入前に別個に乾燥させ処理する必要がある。この必要性のため、低含水量のバイオマスが利用できるときは、熱分解において多くの高含水量のバイオマスの使用が対象外とされている。このため、可能な燃料源としての多くの種類のバイオマスが処理対象外とされており、これらのエネルギー価値が実現していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような欠点の1つ又は複数に対処し、又は有用な商業用代替物を提供する熱分解装置及びその使用方法を提供することが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様において、唯一の形態又は最も広い形態である必要はないが、本発明は、
a.第1の端部及び第2の端部を有し、第1の端部から少なくとも部分的に第2の端部へ向かって延びる芯なし熱分解スクリューコンベヤからなる熱分解チャンバと、
b.熱分解チャンバの第1の端部に隣接する供給材料入口と、
c.熱分解チャンバの第2の端部に隣接するバイオ炭出口と、
d.熱分解チャンバと流体連通し、第1の端部に隣接して位置するガス出口とからなり、
供給材料入口が芯なしフィードスクリューコンベヤからなり、熱分解チャンバの第2の端部にガス出口がない熱分解装置に属する。
【0008】
実施形態において、熱分解装置は、第2の端部に隣接する少なくとも1つのガス注入口をさらに備える。
一実施形態において、熱分解チャンバと流体連通するすべてのガス出口が第1の端部に略隣接して位置する。
【0009】
一実施形態において、芯なし熱分解スクリューコンベヤが、第1の端部から、第2の端部へ向かう熱分解チャンバに沿った進路の少なくとも約3分の1まで延びる。
さらなる実施形態において、芯なし熱分解スクリューコンベヤは、第1の端部から、第2の端部へ向かう熱分解チャンバに沿った進路の少なくとも約半分まで延びる。
【0010】
好適には、芯なし熱分解スクリューコンベヤは、実質的に第1の端部と第2の端部との間に延びる。
一実施形態において、芯なし熱分解スクリューコンベヤは、芯なし熱分解スクリューコンベヤの中心を形成するアパーチャ又はボアを有し、このアパーチャ又はボアには構造もしくはデバイスが実質的に何もない。すなわち、芯なし熱分解スクリューコンベヤのアパーチャ又はボアは空であり、かつ/又は芯なし熱分解スクリューコンベヤのフライトにより画定される空隙として説明することができる。
【0011】
ある実施形態において、芯なしフィードスクリューコンベヤの端部と熱分解チャンバとの間に間隔がある。
一実施形態において、バイオ炭出口は芯なしバイオ炭スクリューコンベヤを備える。
【0012】
ある実施形態において、芯なしバイオ炭スクリューコンベヤの端部とバイオ炭出口の吐出口との間に間隔がある。
別の実施形態において、熱分解装置はバイオ炭弁をさらに備える。
【0013】
好適には、バイオ炭弁は、熱分解チャンバから最も遠いバイオ炭出口の端部に位置する。
さらなる実施形態において、熱分解装置は、供給材料入口と連通するバイオマスフィードホッパをさらに備える。
【0014】
一実施形態において、熱分解装置は、供給材料入口と熱分解チャンバとの間に延びる輸送シュートをさらに備える。
一実施形態において、熱分解チャンバは、輸送シュート及びガス出口が開口している膨張チャンバを備える。
【0015】
第2の態様において、本発明は、
a.
i.第1の端部及び第2の端部を有し、第1の端部から少なくとも部分的に第2の端部へ向かって延びる芯なし熱分解スクリューコンベヤからなる熱分解チャンバと、
ii.熱分解チャンバの第1の端部に隣接する供給材料入口と、
iii.熱分解チャンバの第2の端部に隣接するバイオ炭出口と、
iv.熱分解チャンバと流体連通し、第1の端部に隣接して位置するガス出口とからなり、供給材料入口が芯なしフィードスクリューコンベヤからなり、熱分解チャンバの第
2の端部に実質的にガス出口がない熱分解装置を設ける工程と、
b.バイオマスを供給材料入口から熱分解チャンバの第1の端部へ導入する工程と、
c.バイオマスを熱分解チャンバの第1の端部から熱分解チャンバの第2の端部へ動かして、バイオマスを熱分解し、合成ガス及びバイオ炭を生成する工程と、
d.バイオ炭を、熱分解チャンバからバイオ炭出口を通して除去する工程と、
e.合成ガスを概ね第2の端部から第1の端部へ向かう方向に動かして、ガス出口を通して除去する工程とを含むことによりバイオマスを処理する、バイオマスを処理する方法に属する。
【0016】
一実施形態において、方法は、供給材料入口と熱分解チャンバとの間にバイオマスプラグを形成する工程をさらに含む。
一実施形態において、方法は、バイオ炭出口の吐出口にバイオ炭プラグを形成する工程をさらに含む。
【0017】
一実施形態において、方法は、バイオマスを連続処理する方法である。
ある実施形態において、熱分解を約400℃〜約700℃の温度で実施することができる。
【0018】
方法を、約250kPa未満、好適には200kPa未満、さらに好適には約150kPa未満、さらに好適には約100kPa未満又は約50kPa未満の圧力で実施することができる。
【0019】
本発明のさらなる特徴及び利点が以下の詳細な説明から明らかになろう。
本発明の理解を助け、当業者が本発明を実用化できるようにするために、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について例としてのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】熱分解装置の平面図。
図2】バイオマスプラグを形成する工程を示す図。
図3】バイオ炭プラグを形成する工程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態は、主に熱分解装置及びバイオマスを処理して合成ガス及びバイオ炭を生成する方法に属する。したがって、装置及び方法工程は簡潔な概略の形で図面に示され、本発明の実施形態の理解に必要である具体的な詳細のみが、本説明の恩恵を有する当業者に容易に明らかになる過剰な詳細で本開示を不明瞭にすることのないように示されている。
【0022】
本明細書において、第1及び第2などの形容詞は、1つの要素又は動作を別の要素又は動作と区別するためにのみ使用され、実際のそのような関係又は順序を必ずしも要するものではなく、これを暗示するものではない。「からなる/備える」又は「含む」などの用語は、非排他的な包含を定義するものであり、多数の要素を備える方法又は装置がそれらの要素のみを含むのではなく、そのような方法又は装置に固有の要素を含む明記されていない他の要素を含み得るようになっている。
【0023】
「バイオマス」という用語は、本明細書で使用されるとき、燃料として使用できる再生可能な有機材料を指す。具体的なバイオマスとしては、非限定的な例として、林産物、農産物、動物性物質、わら、木材チップ、刈り取ったつる植物が挙げられる。
【0024】
「芯なしスクリューコンベヤ」という用語は、本明細書で使用されるとき、フライティ
ングと呼ぶことのできる回転螺旋スクリューブレードを使用して、粒状材料又は液体材料を経路に沿って動かす機構を指す。螺旋コイルは一端で駆動され、他端は自由であり、従来のスクリューコンベヤの中心軸がない。本明細書で適用される用語は、材料を熱分解チャンバの「芯なし熱分解スクリューコンベヤ」に通し、材料を前記チャンバの「芯なしフィードスクリューコンベヤ」に導入し、熱分解された材料を前記チャンバの「芯なしバイオ炭スクリューコンベヤ」から受け入れ、除去するために芯なしスクリューコンベヤを使用するという文脈において使用される。
【0025】
「約」という用語は、本明細書で使用されるとき、名目上、量が「約」という用語に続く数であるが、実際の量はこの正確な数から重要でない程度に変化してもよいことを意味する。
【0026】
「バイオ炭」という用語は、本明細書で使用されるとき、「炭」という用語と区別なく使用できる。
図1を参照すると、熱分解装置が示される。熱分解装置100は、第1の端部111及び第2の端部112を有する熱分解チャンバ110からなる。供給材料入口120が第1の端部111に概ね隣接して位置し、バイオ炭出口130が第2の端部112に概ね隣接して位置する。ガス出口140が、熱分解チャンバ110の中空内部と流体連通し、供給材料入口120に略隣接して、したがって第1の端部111に隣接して位置する。
【0027】
熱分解チャンバ110は、好適には管又はチューブの形状であり、その長さに沿って中空内部又はボア113を有する。熱分解チャンバ110を、軟鋼又は適切に高温に強い他の材料から構成することができる。一実施形態において、熱分解チャンバ110は、その直径の約8倍〜約12倍、好適には約10倍の長さを有することができる。有利には、熱分解チャンバ110は、図示した実施形態においてボア113の長さに沿って延びる芯なし熱分解スクリューコンベヤ114からなる。芯なし熱分解スクリューコンベヤ114は、熱分解チャンバ110に対して独立して回転可能である。芯なし熱分解スクリューコンベヤ114は、バイオマスを熱分解チャンバ110に沿って第1の端部111から第2の端部112へ動かすように動作する。芯なし熱分解スクリューコンベヤ114は、従来の軸スクリューコンベヤよりも優れた明確な動作上の利点をもたらす。
【0028】
従来のスクリューコンベヤ又はパドルは、バイオマスを動かすが、そのバイオマスのより高密度な充填に寄与することはない。これは、通常、装填中にバイオマス内に形成される空隙又は空洞の大部分が維持されることを意味する。さらに、従来のスクリューコンベヤ又はパドルは、芯なしスクリューコンベヤと比べて材料を動かすのにより多くのエネルギーを必要とする。芯なしスクリューコンベヤは、芯なしスクリューコンベヤと動かされる材料との摩擦が小さいため、必要なエネルギーが少ない。これにより、熱分解装置100の効率が高まる。これに加えて、芯なしスクリューコンベヤを使用すると、材料(バイオマス又はバイオ炭)が転動して芯なしスクリューコンベヤの空隙に落下することができるため、材料が芯なしスクリューコンベヤの外側と関連する壁との間に詰まる可能性が低下する。これに加えて、芯なしスクリューコンベヤの回転速度が比較的遅くても効果的となり得るため、スクリューの摩耗も低減する。
【0029】
この芯なし熱分解スクリューコンベヤ114は、中心軸を備えていないため、絶え間ない転動及びバイオマス床の再形成のためのより多くの空間をもたらし、比較的少ない空隙又は空洞でより高密度な床を有利に形成することがわかっている。これは、高密度なバイオマス床が、熱分解チャンバ110の第1の端部にあるバイオマスと加熱された合成ガスとの間の優れた向流熱交換システムとして作用するという動作上の重要な利点をもたらす。これについては、より詳細に後述する。ある実施形態において、合成ガスは熱分解温度(400℃〜700℃)から60℃〜80℃まで冷却され、同時に、導入されたバイオマ
スは周囲温度から乾燥温度まで、最終的に熱分解温度まで加熱される。したがって、この熱交換により、バイオマスの水分が除去される。転動効果により生成される高密度バイオマス床は、合成ガスから油、タール、及び粒子を濾過することに関して重要な利点をさらにもたらす。一実施形態において、芯なし熱分解スクリューコンベヤ114は高密度に充填されたバイオマスを形成する。
【0030】
バイオマスに空隙及び空洞が相対的に存在しないと、合成ガスが、高密度に充填されたバイオマスを蛇行経路で通過する必要があるため、大きい熱交換効果及び濾過効果が得られる。これについては、より詳細に後述する。最後に、この芯なし熱分解スクリューコンベヤ114は、より高い全体的なエネルギー効率と、はるかに清浄な合成ガス生成物とをもたらし、この生成物を抽出して、さらなる清浄化動作なしで、又は最低限の清浄化動作で次の動作において使用することができる。結果として得られるバイオ炭及び合成ガスは商業用に使用できる品質及び量であり、さらなる浄化を必要としない。このため、有用な生成物の高産出量を伴う、より効率的な工程となる。例えば、熱分解装置100により処理される1トンのユーカリ木材チップにより、約5〜約7Gj/トンのバイオマス(無水ベース)の量で約5〜約9Mj/mのエネルギー密度を有する合成ガスと、85%超の固定炭素で約250Kg〜約350Kgのバイオ炭とが生成される。
【0031】
バイオマスの高密度な充填は、熱分解が行われる前に、第1の端部111に最も近い熱分解チャンバ110の部分においてのみ真に有益であることを理解されたい。バイオマスは、徐々に乾燥した後、熱分解ゾーンを通るときに熱分解され、この熱分解ゾーンにより元の体積の約3分の1まで縮小するため、合成ガスの濾過及び浄化の役割を果たさなくなる。したがって、一実施形態において、芯なし熱分解スクリューコンベヤ114は、単に第1の端部111から少なくとも部分的に熱分解チャンバ110の第2の端部112に向かって延びる。ある実施形態において、芯なし熱分解スクリューコンベヤ114は、第1の端部111から、第2の端部112へ向かう熱分解チャンバ110に沿った進路の少なくとも約3分の1まで延びる。芯なし熱分解スクリューコンベヤ114が単にこの点で終端し、芯なし熱分解スクリューコンベヤ114により供給されるより多くのバイオマスの絶え間ない動きによって、バイオマスをさらに押してもよい。さらなる実施形態において、芯なし熱分解スクリューコンベヤ114は、第1の端部111から、第2の端部112へ向かう熱分解チャンバ110に沿った進路の少なくとも約半分まで延びる。好適には、芯なし熱分解スクリューコンベヤ114は、実質的に第1の端部111と第2の端部112との間に延びる。本実施形態は、バイオマスの充填における利点が、(第1の端部111からの)熱分解チャンバ110の長さの3分の1などにおいて得られ、バイオマスを熱分解ゾーンに効率的に通して、バイオマスを必要に応じてバイオ炭出口130の近くに送達するのに必要なだけ遠くまでこのコンベヤ設計を単に延長することが、構成に関してより簡単であるため好適である。
【0032】
一実施形態において、芯なし熱分解スクリューコンベヤ114の中心を形成するアパーチャ又はボアには、例えば加熱ロッド、ガス注入ランセットなどの構造又はデバイスが実質的に何もない。すなわち、芯なし熱分解スクリューコンベヤ114のアパーチャ又はボアは空であり、かつ/又は芯なし熱分解スクリューコンベヤのフライトにより画定される空隙として説明することができる。構造が芯なし熱分解スクリューコンベヤ114のアパーチャ又はボアを通って位置する場合には、前述した利点を同程度まで実現することはできない。
【0033】
熱分解チャンバ110に対する供給材料入口120、バイオ炭出口130、及びガス出口140の位置が、前述した利点を達成するのに重要であることを理解されたい。これに加えて、後述するバイオマスプラグ124及びバイオ炭プラグ133の形成も本発明にとって重要である。これらの特徴の組合せにより、合成ガスが、熱分解チャンバ110内の
高密度に充填されたバイオマスに通されて、ガス出口140を通って出る。これにより、合成ガスから粒子状物質が実質的になくなる。この高密度に充填されたバイオマスは、合成ガスから特定の物質を効果的に濾過する。
【0034】
熱分解チャンバ110は単一のチャンバであることが好適である。これは、より小型で使用する部品が少ないからである。使用する部品が少ないと、熱分解装置100で起こり得る機械的故障の危険が低下する。これに関し、合成ガスの向流を達成するには、単一の熱分解チャンバ110のみが必要である。しかしながら、バイオマスの高密度プラグを通る向流が達成されるのであれば、複数の管又はチューブを使用してもよいことを、当業者は理解するであろう。
【0035】
熱分解チャンバ内に凝縮物が形成される。これらの凝縮物は、タール及び油を含み、熱分解装置100、ガス出口140、及びボイラ又はエンジンなどの、合成ガスを使用する下流の機械類の汚染を生じさせることがある。先行技術の熱分解装置に関する問題は、大量の油、タール、及び粒子状物質が合成ガス中に残り、熱分解装置から出ることである。そのため、先行技術の熱分解装置から出る合成ガスは、非常に低レベルの粒子状物質、油、及びタールしか必要としない最新の高効率ボイラ、ガスエンジン、又はガスタービンでの使用には適していない可能性がある。そのような合成ガスには高価な浄化システムが必要である。
【0036】
この熱分解装置100は、入ってくる高密度に充填されたバイオマスを通して、出ていく合成ガスを連続的に向流濾過することにより、この問題を軽減する。粒子状物質、油、及びタールをバイオマスにより捕捉して、熱分解ゾーンに向かって動かす。合成ガスがガス出口140で熱分解装置100から出るときに、非常に低レベルの粒子状物質、油、及びタールしか合成ガス中に残らない(10〜100mg/m程度)。
【0037】
前述したように、合成ガスの向流は、ガス出口140に向かって進むときにバイオマスを加熱し乾燥させる。合成ガスは、バイオマスにより効果的に濾過され、同時に熱エネルギーをバイオマスに伝達する。この向流の別の利点は、バイオマスとの大きい表面積接触を維持し、効率的な熱エネルギー伝達を可能にすることである。
【0038】
これに関し、先行技術で使用されるようなヒータ又はランセットなどの加熱要素では、比較的小さい熱伝達表面積がバイオマスと熱源との間に作られるだけであり、効率的な熱エネルギー伝達を容易にすることはない。これにより生じる影響は、バイオマスからバイオ炭及び合成ガスへの変換が遅くなること、熱分解装置の汚染が増えること、ならびにバイオマスが常に確実に熱源に晒されるようにするためにより高速なスクリューの回転が必要なことである。
【0039】
しかしながら、本発明の主な利点は、高密度に充填されたバイオマスを通る合成ガスの向流にあることを理解されたい。これに関し、熱分解装置100が、熱分解チャンバ110の第2の端部112近くのバイオマスを熱分解温度まで加熱する加熱要素を備えてもよいことを理解されたい。この構成においても、合成ガスの向流が達成され、実質的に粒子状物質のない合成ガスが得られることを理解されたい。
【0040】
本実施形態において、1つ又は複数の加熱要素は、任意の電源から熱エネルギーを発生させることができる。加熱要素によって発生する熱エネルギーを、電気により、任意の他の適切なエネルギー源により、又は太陽熱エネルギーから供給することができる。この熱エネルギーを再生可能な資源から調達すると、より環境に配慮しているため有利である。
【0041】
当技術分野で理解されるように、芯なし熱分解スクリューコンベヤ114をステンレス
鋼、及び他の適切な材料から作ることができる。芯なし熱分解スクリューコンベヤ114が回転する速度を制御して、バイオマスの性質及び含水量に応じて変化し得る最適な速度でバイオマスを通すことができるため、バイオマスは、熱分解チャンバ110における余分な追加時間なしで完全に熱分解される。
【0042】
供給材料入口120は、熱分解チャンバ110の第1の端部111に概ね隣接している。一実施形態において、供給材料入口120は第1の端部111に隣接してのみ位置する。別の実施形態において、供給材料入口120は、熱分解チャンバ110の第1の端部111から熱分解チャンバ110の長さの3分の1以内に位置する。さらなる実施形態において、供給材料入口120は、熱分解チャンバ110の第1の端部111から熱分解チャンバ110の長さの4分の1以内に位置する。供給材料入口120は中空内部又はボア121を有する。供給材料入口120は、ボア121の長さに沿って芯なしフィードスクリューコンベヤ122をさらに備える。芯なしフィードスクリューコンベヤ122は、供給材料入口120に対して独立して回転可能であり、芯なし熱分解スクリューコンベヤ114と同様の設計である。
【0043】
芯なしフィードスクリューコンベヤ122の回転速度を変化させることができる。芯なしフィードスクリューコンベヤ122の回転速度によって、バイオマスを熱分解チャンバ110に、したがって芯なし熱分解スクリューコンベヤ114に導入する速度が決まることを当業者は理解するであろう。芯なしフィードスクリューコンベヤ122の回転速度を調節して、芯なし熱分解スクリューコンベヤ114の回転速度に合わせる。好適には、この調節は自動システムにより行われ、これにより、自動で供給されるバイオマスに合わせて芯なし熱分解スクリューコンベヤ114の回転速度を調節することによって、芯なしフィードスクリューコンベヤ122の回転速度を適切に調節する。特に、内部のバイオマスのレベルに左右される芯なしフィードスクリューコンベヤ122のトルクを感知することによって、芯なし熱分解スクリューコンベヤ114と芯なしフィードスクリューコンベヤ122との間のバイオマス流のバランスを維持することができる。その後、このトルク測定を使用して送達速度を微調整する。一実施形態において、熱分解チャンバ110へのバイオマス導入速度は、芯なしフィードスクリューコンベヤのトルクを感知することにより芯なしフィードスクリューコンベヤ122の回転を停止及び再開することによって制御される。
【0044】
好適な実施形態において、熱分解チャンバ110に隣接する芯なしフィードスクリューコンベヤ122の端部と熱分解チャンバ110との間で、供給材料入口120のボア121内に間隔がある。本発明の装置の特定の利点は、芯なしフィードスクリューコンベヤ122が、熱分解チャンバ110に最も近い芯なしフィードスクリューコンベヤ122の端部と熱分解チャンバ110への入口の点との間に形成されたこのような間隔又は間隙に、バイオマスプラグ124を生成できることである。この空間に芯なしフィードスクリューコンベヤ122の構造が存在しないため、高密度バイオマスプラグ124が形成される。このバイオマスプラグ124は実質的に気密であることがわかっており、したがって、このための追加の専用装置部品を必要とすることなく熱分解装置100内で合成ガスを維持する効率的な手段となる。先行技術よりも優れた重要な利点は、バイオマス自体が気密封止部として使用され、導入される新しいバイオマスによって常に再生されるため、熱分解装置100がバッチごとではなく連続して動作できることである。連続動作の利点は明確であり、これは芯なしフィードスクリューコンベヤ122の使用によってこの装置100で可能になる。芯なしフィードスクリューコンベヤ122と熱分解チャンバ110との間で供給材料入口120のボア121に空間を残すことにより、バイオマスプラグ124をこの空間に形成して蓄積させ、より高密度で深くすることができるため、封止の質を向上させることができることがわかっている。一実施形態において、バイオマスプラグ124に隣接する供給材料入口120の表面を粗くし、印付けし、又はより高摩擦の被覆もしく
は材料を設けて、通されるバイオマスの把持力を高めることにより、バイオマスプラグ124の形成及びバイオマスプラグ124の密度の維持を助ける。さらなる実施形態において、供給材料入口120を長くすることにより、又は芯なしフィードスクリューコンベヤ122の端部が熱分解チャンバ110への入口からより長い距離を有するようにすることにより、バイオマスプラグ124をより深くなるように調節して、プラグの形成及び「自己保持」の能力を高めることができる。一実施形態において、バイオマスプラグ124は供給材料入口120に形成される。別の実施形態において、バイオマスプラグ124は熱分解チャンバ110に隣接する供給材料入口120に形成される。一実施形態において、バイオマスプラグ124は、熱分解チャンバ110と供給材料入口120とが流体連通することを実質的に防ぐ。
【0045】
バイオマスプラグ124の形成及び維持のためのこの手法は、芯なしフィードスクリューコンベヤ122から必要とするトルク、及びしたがってエネルギーが少ないことがわかっている。また、これによって、熱分解チャンバ110内にガスが蓄積することによる噴出が生じにくい、より確実な封止部が得られる。
【0046】
芯なし熱分解スクリューコンベヤ114は水平面に位置する。しかしながら、熱分解チャンバ110の動作に大きく影響しなければ、熱分解チャンバ110がこの平面から外れてもよいことを理解されたい。バイオマスと供給材料入口120との摩擦により、かつその部分に芯なしフィードスクリューコンベヤ122のフライトがないことにより、バイオマスプラグ124が形成されるため、供給材料入口120はバイオマスを熱分解チャンバ110に任意の角度で導入することができる。実施形態において、供給材料入口120と熱分解チャンバ110との間に形成される角度は、適切には、0℃〜90℃、より好適には0℃〜45℃、最適には0℃又は180℃である。言い換えると、供給材料入口120を同じ平面で熱分解チャンバ110に連結することが最適である。
【0047】
一実施形態において、輸送シュート(図示せず)を介して供給材料入口120を熱分解チャンバ110に連結してもよい。輸送シュートはバイオマスプラグ124の成分が膨張及び分断するのを助けるとともに、小型のサージチャンバとなる。このサージチャンバにより、芯なし熱分解スクリューコンベヤ114への入口が、確実に新しいバイオマスによって連続的に「溢れる」ため、芯なし熱分解スクリューコンベヤ114内に完全なフライティングを維持する。
【0048】
バイオマスフィードホッパ123は供給材料入口120と連通する。バイオマスフィードホッパ123を通してバイオマスを供給材料入口120に導入することができる。その後、芯なしフィードスクリューコンベヤ122によりバイオマスを熱分解チャンバ110の第1の端部111へ動かす。より大きいバイオマスの場合、バイオマスフィードホッパ123は、バイオマスのサイズを縮小するための縮小デバイス(図示せず)からバイオマス材料を受けてもよい。具体的なデバイスとしては、シュレッダ、回転ドラムチョッパ、タブグラインダ、及びハンマミルが挙げられる。バイオマス物質のサイズを縮小するための他の適切な機構が、当業者に明らかであろう。すべてのバイオマスのサイズを縮小する必要はないことを理解されたい。バイオマスプラグ124の圧縮効果及び熱分解チャンバ110内のガス浄化の完全な利点を達成するために、バイオマスの直径が約25mm未満であると好適である。これにより、転動及びバイオマス内の再充填が容易になるため、前述した動作について適切な密度が得られる。
【0049】
熱分解チャンバ110は、少なくとも1つのガス注入口115をさらに備えてもよい。少なくとも1つのガス注入口115は、熱分解が行われる領域で、概ね熱分解チャンバ110の第2の端部112側に位置する。少なくとも1つのガス注入口115は、ガスを熱分解チャンバ110に注入して、最低限必要なレベルのバイオマス燃焼を開始し、適切な
温度範囲を維持する。熱分解チャンバ110に注入されるガスは、燃焼を開始可能な任意のガスであってよい。適切なガスとして、酸素又は大気などの酸素を含むガスが挙げられる。したがって、バイオマスの燃焼は、熱分解チャンバ110の第1の端部111から第2の端部112へ動くときに行われ、これにより第1の端部111と第2の端部112との間に温度勾配が形成される。熱分解チャンバ110は断熱されて、熱分解中に発生する熱の損失を防ぐ。
【0050】
少なくとも1つのガス注入口は、概ね第2の端部側に位置するため、熱分解チャンバ110内に温度勾配が形成される。前述したように、高密度に充填されたバイオマスは、第1の端部110に最も近い熱分解チャンバ110の部分においてのみ真に有益である。少なくとも1つのガス注入口115が熱分解チャンバ110全体に位置する場合には、バイオマスの体積が減少し、高密度に充填されたバイオマスを形成しない。このように、少なくとも1つのガス注入口が第2の端部112側に位置するため、熱分解、及びしたがって合成ガスの生成が第2の端部112側でのみ行われる。これにより、高温の合成ガスが向流方向に送られる。一実施形態において、少なくとも1つのガス注入口115は第2の端部112に隣接してのみ位置する。別の実施形態において、少なくとも1つのガス注入口115は、熱分解チャンバ110の第2の端部112から熱分解チャンバ110の長さの3分の1以内に位置する。さらなる実施形態において、少なくとも1つのガス注入口115は、熱分解チャンバ110の第2の端部111から熱分解チャンバ110の長さの4分の1以内に位置する。これによっても、熱エネルギーが徐々にバイオマスに伝達されて温度勾配が形成される。温度勾配により、熱分解は第2の端部112に隣接して行われ、高密度に充填されたバイオマスは第1の端部近くに維持される。一実施形態において、温度勾配は熱分解チャンバ内に形成される。
【0051】
他の方法を使用してガスを熱分解チャンバ110に導入してもよいことを当業者は理解するであろう。別の適切な方法は、ガスを熱分解チャンバ110に導入してバイオマスの燃焼を開始するように位置決めされたランスを使用することであってよい。
【0052】
第2の端部112の温度は、適切には約200℃超、より適切には約200℃〜約1000℃、好適には約400℃〜約600℃、最適には450℃〜約550℃である。便宜上、熱分解装置100を熱分解で使用するものとして説明していることを理解されたい。本明細書に記載の熱分解装置100及び方法は半炭化及びガス化に等しく適用可能であることを、当業者は理解するであろう。
【0053】
例えば、熱分解装置を半炭化に適用するとき、第2の端部112の温度は、適切には約150℃超、より適切には約150℃〜約500℃、好適には約200℃〜約400℃、最適には200℃〜約350℃である。あるいは、熱分解装置をガス化に使用するとき、第2の端部112の温度は、適切には約400℃超、より適切には約500℃〜約1500℃、好適には約700℃〜約1000℃である。
【0054】
熱分解チャンバ110の温度は複数のセンサによりモニタリングされ、これらのセンサは、制御システムにフィードバックを与えて、少なくとも1つのガス注入口115及び/又はランスにより注入されるガスの量を制御する。このガスの量により、燃焼からどれだけの熱が生じるか、及びしたがって熱分解チャンバ110の第2の端部112の温度が決まる。
【0055】
バイオ炭出口130は熱分解チャンバ110の第2の端部112に位置し、中空内部又はボア131と芯なしバイオ炭スクリューコンベヤ132とをさらに備える。一実施形態において、バイオ炭出口130は第2の端部112に隣接してのみ位置する。別の実施形態において、バイオ炭出口130は、熱分解チャンバ110の第2の端部112から熱分
解チャンバ110の長さの3分の1以内に位置する。さらなる実施形態において、バイオ炭出口130は、熱分解チャンバ110の第2の端部112から熱分解チャンバ110の長さの4分の1以内に位置する。芯なしバイオ炭スクリューコンベヤ132は、ボア131の長さに沿って位置し、バイオ炭出口130に対して独立して回転可能である。芯なしバイオ炭スクリューコンベヤ132の回転運動により、バイオ炭出口130の吐出口を通して、バイオ炭を熱分解チャンバ110から除去する。好適な一実施形態において、熱分解チャンバ110から最も遠い芯なしバイオ炭スクリューコンベヤ132の端部と、バイオ炭出口130の吐出口との間に間隔がある。これにより、芯なしバイオ炭スクリューコンベヤ132の端部とバイオ炭出口130の吐出口との間の空間にバイオ炭プラグ133を形成することを促す。供給材料入口120についてなされた説明はすべて、バイオ炭出口130に準用され、これにはバイオ炭プラグ133を形成する手法、及びバイオ炭出口130の吐出口に隣接する領域における高摩擦面の任意の使用が含まれる。前述したように、他のコンベヤについて、芯なしバイオ炭スクリューコンベヤ132の回転速度を変化させてもよい。芯なしバイオ炭スクリューコンベヤ132の回転速度により、バイオ炭を熱分解チャンバ110から除去する速度が決まるため、この回転速度は芯なし熱分解スクリューコンベヤ114について設定された速度に基づいて自動で調節されることを当業者は理解するであろう。一実施形態において、バイオ炭プラグ133はバイオ炭出口130に形成される。別の実施形態において、バイオ炭プラグ133は、芯なしバイオ炭スクリューコンベヤ132の端部とバイオ炭出口130の吐出口との間の空間に形成される。一実施形態において、バイオ炭プラグ133は、バイオ炭出口130が外部雰囲気と流体連通することを防ぐ。
【0056】
熱分解チャンバ110は、バイオ炭をバイオ炭出口130に任意の角度で導入することができる。バイオ炭とバイオ炭出口130との摩擦により、かつその部分に芯なしバイオ炭スクリューコンベヤ132のフライトがないことにより、バイオ炭プラグ133が形成されるからである。実施形態において、熱分解チャンバ110とバイオ炭出口130との間に形成される角度は、適切には0℃〜90℃、より好適には0℃〜45℃、最適には0℃又は180℃である。言い換えると、バイオ炭出口130を同じ平面で熱分解チャンバ110に連結することが最適である。
【0057】
図1において、バイオ炭出口130は熱分解チャンバ110を横切って延びる。熱分解チャンバ110の第2の端部112に形成されるバイオ炭は、芯なしバイオ炭スクリューコンベヤ132のフライト内に落下する。バイオ炭がバイオ炭出口130に沿って進むときに、水又は回収された凝集物がバイオ炭に噴霧されて、バイオ炭を冷却及び不動態化し、正確な含水量によりバイオ炭プラグ133を形成できるようにする。したがって、バイオ炭は、バイオ炭出口130に沿って進むときに冷却され、含水量が高くなるため、結果として得られるバイオ炭を安全に処理し保存することができる。
【0058】
ガス出口140は、その長さに沿ってボア141を有し、標準のガス輸送管又はチューブであってよい。ガス出口140は、熱分解チャンバ110と流体連通し、合成ガスを熱分解チャンバ110から除去する。一実施形態において、ガス出口140と輸送シュートとが膨張チャンバ内に着座する。膨張チャンバにより、合成ガスのガス速度を低下させて、バイオマス粒子及び凝集物の液滴の脱エントレインメントを促す。一実施形態において、ガス出口140は、時々交換可能なバイオマスのバスケットをさらに備えるため、さらに粒子状物質が合成ガス中に確実に存在しなくなる。
【0059】
一実施形態において、ガス出口140は、熱分解チャンバ110の第1の端部111に隣接する領域にのみ位置する。別の実施形態において、ガス出口140は、熱分解チャンバ110の第1の端部111から熱分解チャンバ110の長さの3分の1以内に位置する。さらなる実施形態において、ガス出口140は、熱分解チャンバ110の第1の端部1
11から熱分解チャンバ110の長さの4分の1以内に位置する。一実施形態において、ガス出口140は、熱分解チャンバ110の第1の端部111に略隣接して位置する。一実施形態において、熱分解チャンバ110と流体連通するすべてのガス出口が、第1の端部に略隣接して位置する。
【0060】
本発明において、2つ以上のガス出口140が前述したように位置していれば、これらのガス出口140を使用してもよいことを当業者は理解するであろう。一実施形態において、熱分解装置は2つ以上のガス出口を備える。所望の向流、合成ガスの濾過、及び効率的な熱エネルギー伝達を達成するために、ガス出口140を熱分解ゾーンの前及び高密度に充填されたバイオマスの前に配置する必要があることを理解されたい。
【0061】
装置100の1つの利点は、熱分解チャンバ110への導入前にバイオマスを乾燥させる必要がないため、より含水量の高いバイオマスを使用できることである。合成ガスの顕熱及び潜熱の多くが、入ってくるバイオマスに伝達されることにより、バイオマスを乾燥させる。使用可能なバイオマスの含水量は、適切には0%〜70%、より適切には0%〜50%、好適には約0%〜40%、最適には約0%〜30%である。前述したように、乾燥効果は温度勾配によって達成され、この温度勾配は、合成ガスが熱分解チャンバ110の第2の端部112に隣接して生成されて第1の端部111に向けて動かされるときに設定される。合成ガスは、バイオマスの熱分解から形成されたばかりであるため、当然、高温であり、新しく入ってくるバイオマスを通過すると、その入ってくるバイオマスを加熱して、水分を失わせる。これは、合成ガスを冷却するというさらなる利点を有する。部分的には、第1の端部111側でのバイオマスの効果的な充填により、バイオマスは合成ガスと密に接触し、効率的な熱伝達が得られる。したがって、通常は処理対象外とされるか、又は別の乾燥工程を必要とするより高い含水量のバイオマス材料を使用することができる。
【0062】
別の実施形態において、熱分解装置100は、バイオ炭弁134をさらに備える。バイオ炭弁134は、1つ又は複数の弁を直列に備えることができる。バイオ炭弁134をバイオ炭出口130の吐出口に連結してもよい。一実施形態において、バイオ炭弁134はセグメント回転弁などの回転弁であってもよい。本実施形態において、バイオ炭は熱分解チャンバ110から出て、芯なしバイオ炭スクリューコンベヤ132により除去される。バイオ炭を芯なしバイオ炭スクリューコンベヤ132に接触させながら、水又は凝集物をバイオ炭に加えて冷却し、間隔まで送達された後に、バイオ炭プラグ133が形成される。バイオ炭プラグ133から得られたバイオ炭は、その後、バイオ炭弁134に入り、かつバイオ炭弁134を通過して外部雰囲気中に入り、そこでコンベヤベルトなどに配置され得る。したがって、バイオ炭弁134は、バイオ炭プラグ133の発生し得る欠陥に対する対策をもたらす。過剰な水の添加により、又は凝集物により、バイオ炭プラグ133の水分が多くなりすぎた場合、バイオ炭プラグ133はバイオ炭出口130と外部雰囲気とを非流体連通に維持することができないため、この場合にバイオ炭弁134が助けとなる。
【0063】
一実施形態において、バイオ炭弁134は回転弁である。回転弁は、いくつかの封止されたセグメントを含むことができ、セグメント回転弁が回転すると、セグメントによりバイオ炭出口130と外部雰囲気とが確実に流体連通しなくなる。セグメント回転弁は、少なくとも2つ、好適には5つ又は6つのセグメントを有する。好適な実施形態において、バイオ炭弁134は二重回転弁である。
【0064】
熱分解装置は、供給材料入口120、熱分解チャンバ110、及びバイオ炭出口130に圧力センサをさらに備えてもよい。これらの圧力センサを使用して、各部分の圧力をモニタリングし、バイオマスプラグ124とバイオ炭プラグ133とが確実に過度の圧力差
によって故障しないようにすることができる。熱分解装置100に圧力センサを設け、工程中にこれをモニタリングした。熱分解ゾーンとバイオマス入口との間に約10〜約50KPaの圧力降下があり、これは、高密度に充填されたバイオマスを通して合成ガスが濾過されたことを示すことがわかった。
【0065】
図2を参照すると、供給材料入口120の概略図が示される。工程(a)では、芯なしフィードスクリューコンベヤ122とバイオマスプラグ124とが示される。芯なしフィードスクリューコンベヤ122は、回転すると、バイオマスを熱分解チャンバ110の第1の端部111へ向けて連続的に動かす。芯なしフィードスクリューコンベヤ122はまた、回転すると、より多くのバイオマスを動かしてバイオマスプラグ124に加える。このバイオマスプラグ124は、熱分解チャンバ110に最も近い芯なしフィードスクリューコンベヤ122の端部と熱分解チャンバ110との間の空間に形成される。工程(b)では、芯なしフィードスクリューコンベヤ122と、さらにバイオマスが加えられたバイオマスプラグ124とが示される。芯なしフィードスクリューコンベヤ122は、回転すると、より多くのバイオマスをバイオマスプラグ124に加え、同時に、バイオマスプラグ124を熱分解チャンバ110の第1の端部111に押し込む。したがって、バイオマスプラグ124を継続的に膨張させて熱分解チャンバ110に押し込むとともに、熱分解チャンバ110が供給材料入口120と確実に流体連通しないにようにして、合成ガスの流出と望ましくない量の空気の流入を防ぐ。工程(c)では、バイオマスプラグ124の先端が潰れ、芯なし熱分解スクリューコンベヤ114により除去される様子が示され、この工程は連続動作で繰り返される。
【0066】
図3を参照すると、バイオ炭出口130の概略図が示される。工程(a)では、バイオ炭出口130、芯なしバイオ炭スクリューコンベヤ132、及び熱分解チャンバ110から最も遠い芯なしバイオ炭スクリュー132の端部とバイオ炭出口130の吐出口との間の空間に形成されたバイオ炭プラグ133が示される。芯なしバイオ炭スクリューコンベヤ132は、回転すると、バイオ炭を熱分解チャンバ110から動かしてバイオ炭プラグ133に加えることにより、バイオ炭弁134に入れる。工程(b)で、芯なしバイオ炭スクリューコンベヤ132と、より多くのバイオ炭が加えられたバイオ炭プラグ133とが示される。芯なしバイオ炭スクリューコンベヤ132は、回転して、より多くのバイオ炭をバイオ炭プラグ133に加えると、同時にバイオ炭プラグ133をバイオ炭出口130の吐出口から押し出してバイオ炭弁134に押し込む。バイオ炭弁134は回転し、バイオ炭出口130が外部雰囲気と確実に流体連通しないようにする。工程(c)では、バイオ炭プラグ133の先端がバイオ炭出口130の吐出口を通して除去されて、バイオ炭弁134の別のセグメントに入る様子が示される。この工程は連続的に繰り返される。
【0067】
動作中に、処理すべきバイオマス材料をバイオマスフィードホッパ123に装填することを理解されたい。場合により、ホッパへの装填前にバイオマス材料のサイズを縮小してもよい。その後、芯なしフィードスクリューコンベヤ122により、バイオマスを供給材料入口120に通す。芯なしフィードスクリューコンベヤ122の回転運動により、バイオマスを熱分解チャンバ110の第1の端部111へ向けて動かす。芯なしフィードスクリューコンベヤ122の端部と熱分解チャンバ110の第1の端部111との間に間隔があってもよい。芯なしフィードスクリューコンベヤ122がバイオマスを加えることにより、熱分解チャンバ110に隣接する供給材料入口120にバイオマスプラグ124が形成される。バイオマスプラグ124は高密度で、大きい空隙が比較的ないため、熱分解チャンバ110と供給材料入口120との流体連通を実質的に防ぐ。芯なしフィードスクリューコンベヤ122はバイオマスをバイオマスプラグ124に連続的に加え、同時に、バイオマスプラグ124を熱分解チャンバ110に押し込む。このバイオマスをバイオマスプラグ124に加える動作によりバイオマスプラグ124を維持するとともに、バイオマスを熱分解チャンバ110の第1の端部111に導入する。
【0068】
その後、バイオマスプラグ124から得られたバイオマスを、芯なし熱分解スクリューコンベヤ114により熱分解チャンバ110の第1の端部111から第2の端部112へ動かす。熱分解チャンバ110は少なくとも1つのガス注入口115を有し、このガス注入口115はガスを注入してごく一部のバイオマスの燃焼を開始し、熱分解のための必要な温度をもたらす。このため、熱分解チャンバ110は、第1の端部111から第2の端部112へと増加する温度勾配を有する。
【0069】
芯なし熱分解スクリューコンベヤ114の回転運動は、バイオマスを常に転動させ再充填して空隙を除去するため、高密度の体積のバイオマスが熱分解チャンバ110の第1の端部111に存在する。本明細書で説明したように、この高密度の体積のバイオマスはフィルタ及び熱交換器として作用する。芯なし熱分解スクリューコンベヤ114は、連続的に新しいバイオマスを加え、同時にバイオマスを第2の端部112へ向けて押す。バイオマスが動くと、温度上昇により、炭化水素及び水分などの揮発性物質が最初にバイオマスから除去され、その後、熱分解が開始される。この工程により、熱分解チャンバ110の第2の端部112近くにバイオ炭が蓄積する。
【0070】
その後、熱分解チャンバ110内のバイオ炭は、バイオ炭出口130の吐出口を通して除去される。芯なしバイオ炭スクリューコンベヤ132の端部とバイオ炭出口130の吐出口との間に間隔がある。吐出工程中、バイオ炭がバイオ炭出口130の吐出口へ向けて動くと、芯なしバイオ炭スクリューコンベヤ132はバイオ炭プラグ133を形成する。バイオ炭プラグ133は高密度で、大きいガス空隙がないため、バイオ炭出口130と外部雰囲気との流体連通を実質的に防ぐ。新しく形成された乾燥バイオ炭は、自然発火性の挙動を示すことがあるため、空気に晒されると自発的に発火するおそれがある。この問題を軽減するために、バイオ炭出口130内に、好適には芯なしバイオ炭スクリューコンベヤ132の一部に隣接して位置する1つ又は複数の水入口を介して、制御した量の水又は凝集物をバイオ炭に加え、バイオ炭が芯なしバイオ炭スクリューコンベヤ132から出てバイオ炭プラグ133を形成する前にバイオ炭を水に接触させるようにしてもよい。
【0071】
熱分解中に生成された合成ガスは、ガス出口140を通して除去される。ガス出口140は、熱分解チャンバ110の第1の端部111に隣接して、かつ供給材料入口120に隣接して位置する。一実施形態において、ガス出口140は、供給材料入口120に略隣接して位置する。ガス出口140は膨張チャンバ内に収容されていてもよい。合成ガスはガス出口140を通して除去され、その後、合成ガスを直接燃料源として使用して、ボイラ、ガスエンジン、又はガスタービンの電気及び/又は工程熱を発生させることができる。合成ガスは、概ね熱分解チャンバ110の第2の端部112から第1の端部111へ進んで、ガス出口140により除去されなければならない。前述したように、芯なし熱分解スクリューコンベヤ114は、熱分解チャンバ110の第1の端部111に隣接して高密度バイオマスを形成する。この高密度バイオマスには大きい空隙が実質的にない。合成ガスは、高密度バイオマスを通じてガス出口140まで通過しなければならならず、そうすることにより、高密度バイオマスによって効果的に「濾過」されて、油、タール、及び粒子状物質を除去する。高密度バイオマスは熱交換器としても作用し、これにより、合成ガスは、入ってくるバイオマスを乾燥させ加熱するために潜熱の大部分を引き渡す。大きい空隙が存在する場合には、合成ガスは抵抗が最小である経路(空隙を通る)を見つけ、油、タール、及び粒子状物質は合成ガスから除去されず、熱交換の効果が低下する。熱分解装置100は、実質的にこの問題を減らすか、又はなくす。
【0072】
ガス出口140により、熱分解チャンバ110は確実に低圧(<50kPA)で動作する。熱分解装置は、常時ごく少量の引火性ガスが熱分解チャンバ110内に存在するため、本質的に安全に設計される。熱分解装置100は、自動窒素パージユニットをさらに備
えてもよい。自動窒素パージユニットを、熱分解チャンバ110と流体連通して配置してもよい。自動窒素パージユニットは、熱分解チャンバ110を窒素でパージして、制御されない燃焼が確実に酸素欠乏になるようにする。火を消すことのできるガスをパージユニットにおいて使用可能であることを当業者は理解するであろう。適切なガスとしては、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、又は二酸化炭素が挙げられる。
【0073】
熱分解装置100のガス圧力が、制御システムによりモニタリングされる。制御システムは、合成ガスを熱分解装置100から除去する速度を制御することにより、ガス出口140のガス圧力をわずかに負圧(20〜100Pa)に維持する。これにより、バイオマスプラグ124の両側の圧力が同様になり、漏れがある場合には、少量の空気が合成ガスと共にガス出口を介して除去され、合成ガスが大気中に漏れることがない。
【0074】
この熱分解装置100はバイオマスを連続的に熱分解し、清浄な合成ガスを連続的に捕集することができることを示した。これに加えて、この熱分解装置100は、高含水量のバイオマスを熱分解することができる。これらの利点は、熱分解チャンバ110と外部環境との流体連通を実質的に防ぐバイオマスプラグ124及びバイオ炭プラグ133を作る様々な芯なしスクリューコンベヤと、存在する合成ガスを効果的に濾過しこの合成ガスからの熱を伝達する、入ってくる高密度に充填されたバイオマスとを使用することによって可能である。本発明の様々な実施形態の上記説明は、当業者に対する説明の目的で示される。この説明は、網羅的なものではなく、本発明を開示された単一の実施形態に限定するものではない。前述したように、本発明の多くの代替例及び変形例が上記の教示の当業者に明らかとなるであろう。したがって、一部の代替実施形態について具体的に説明したが、他の実施形態が当業者によって明らかとなり、又は比較的容易に発展させることができる。したがって、本発明は、本明細書で説明した本発明のすべての代替例、変更、変形例、ならびに上記発明の主旨及び範囲内に含まれる他の実施形態を包含するものである。
図1
図2
図3